私の愛、私のそばに     Closer to Heaven   
 原題:私の愛、私のそばに 내 사랑 내 곁에 (ネ サラン ネ キョテ) <2009>

 オススメ

 ストーリー

 韓流王道

 泣き

 笑い

名作

 映像




体が少しずつ麻痺していくルーゲリック病(筋萎縮性硬化症)を抱えているジチョ ンウ(キム・ミョンミン)は、唯一の血 縁の母までが亡くなった日、幼い頃に同じ町内で育った葬儀指導師のジス(ハ・ジウォン)と運命のように再会し恋に落ちる。

1年後、結婚式を挙げた二人の新居は、まさに病院。ジョンウは、スプーン一つさえ握れない状態だが、いつもそばで守ってくれる妻ジスがいて、どんな 時よりも幸せで、誰よりも闘病意志が強い。

全身麻痺や植物人間状態の重い患者たちが集まった6人部屋病棟。同じような痛みを背負った病棟家族たちと互いに励まし合い、慰労されながら過ごす間、回復 傾向 を見せる患者や、手術の希望を探すようになった患者も一人二人と出てくる。

しかし、ジョンウの状態はますます悪くなり、病気をクールに受け入れ、闘病意志を燃やしていたジョンウも、日々変わって行く自分の身体を見守るのがますま す怖くなる。そしてついに、避けたかった言語障害が始まってしまう。

日本公式サイト:http://www.sobaniite.com/
【予告編】
監督 パク・ジンピョ <2003>も し、あなたなら ~六つ の視線~、<2005>ユア・マイ・サンシャイン、 <2007>あいつの声
<2010>私の愛、私のそばに

出演

ハ・ジウォン (河智媛)

出演作品一覧
キム・ミョンミン <2001>鳥肌、<2003>Mirror 鏡の中、<2007>リターン、 <2008>ファム・ファタール
<2009>私の愛、私のそばに、 <2010>破壊された男、<2011>朝鮮名探偵:トリカブトの秘密
カン・シニル <2001>公 共の敵、 <2002>ジェイル・ブレーカー、<2003>清風明月、<2003>シルミド
<2003>千年湖、<2004>サム~SOME~、<2005>公共の敵2、<2005>Mr.ソクラテス
<2006>と かげの可愛い嘘、<2006>韓半島、 <2006>私たちの幸せな時間、<2007>黒い家
<2008>カン・チョルジュン 公共の敵1-1、 <2009>7級公務員、<2009>私の愛、私のそばに(特別出演)
イム・ハリョ ン <2004>彼 女を信じないで ください、<2004>ビッグ・スウィンドル!  、<2004>ARAHAN アラハン、
<2004>小さな恋のステップ、<2005>トンマッコルへようこそ、<2006>裸足のギボン
<2006>ウォンタクの天使、<2007>ブラ ボー・マイ・ライフ、<2007>喧嘩 -ヴィーナス vs 僕-
<2009>仁寺洞スキャンダル、 <2009>私の愛、私のそばに、 <2009>グッドモーニング・プレジデント

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【レビュー&ネタバレ】
2009年9月韓国公開。
観客動員数、約215万人というヒットを 記録。
ユア・マイ・サンシャインのパク・ジンピョ監 督の新作。
彼は実話を元にした映画など、「ルポ」的な映画を制作する傾向にありますね。
この映画は実話を元にした映画ではありませんが、
「ルーゲリック病」という、「世の中で最も残酷な病気」と呼ばれている患者に焦点を当てています。

ルーゲリック病とは、
運動神経の細胞だけが破壊されて、知能、意識、感覚は正常なまま
全身の筋肉が徐々に麻痺していく難病だそうです。
発病の原因は分からず治 療法もなく、たいてい発病後3〜4年の間に呼吸に必要な筋肉まで麻痺し、
人工呼吸器を付けなければ死亡する恐ろしい病気。
正常な精神で徐々に植物人間と化す自身を見守 らなければならないという点で、
「世の中で最も残酷な病気」と呼ばれているそうです。

キム・ミョンミンは、このルーゲリック病患者を演じるに当たって、
180センチの長身で体重が52キロになるまで、20kg以上も減量したそうです。
まさに俳優魂。
キム・ミョンミンの俳優魂も去ることながら、演技も文句のつけどころがありません。
キム・ミョンミンの作品は、ドラマ、映画、いくつか観ておりますが、まさにハマリ役。
冷静沈着で男気があって情熱的、大人の男。
キム・ミョンミンがこんなにかっこいいとも、初めて感じました。
「ハンサムな旦那さん」
というセリフがよく出てきますが、キム・ミョンミンに文句なし!という感じです。

元々はこの役はクォン・サンウがキャスティングされており、
あまりにも非常識なドタキャンをしましたが、
結果的には降りてくれて正解。
クォン・サンウでは、このジョンウ役は違和感がありすぎですね。
未だ、学生役を演じれるほどですし、
司法浪人生という”法”関連の役どころも似合いそうにありません。
とにかく、クォン・サンウのイメージは、mocaの中ではケチョンケチョンなので、
それでなくても、ラブストーリーすら観たくないですし。
「ハンサムな旦那さん」
というイメージもちょっと違うかな....

ハ・ジウォンは、さすが演技派。
ですが、カリスマがあまりにもありすぎて、平凡な一人の女性を演じるには違和感を感じます。
その上、悲恋のイメージがあまりにも馴染まない。
ジウォンちゃんは大好きな女優なんですが、メロークイーンは程遠そうですね....
それよりも、彼女のカリスマ演技が観たいです。

この映画は、韓流の王道も王道。ド真ん中。
ここまで王道だと、飽きてすぎてハマれません............
でも、やはり最後は涙なくては見られません。
ユア・マイ・サンシャインは、大好きな映画で すが泣けはしなかったので、
今回も泣けないかな?と思っていたんですけどね。

病気をクールに受け入れ、闘病への情熱も強い芯の強いジョンウでさえ、
麻痺がどんどん進むにつれ、当り散らし、ワガママになり、ひどい精神状態になります。
何よりも「健康が一番」だと、痛感させられます。
病気により精神状態が不安定になるだけでなく、大脳も麻痺して感情の調節までできなくなってしまいます。
本人も苦しく、周囲で支える人間も、並大抵の精神力では耐え切れないでしょう。
ジョンウの入院する6人部屋の患者の家族を通し、
闘病を支えることがいかに辛く、悲しく、苦労するかを垣間見ることができます。
こんなに苦労しても、「息をしてくれているだけでありがたい」という想い、
「愛」とは、本当に深いものですね。

6人部屋の患者の家族らが、まるで家族のように支えあっていく過程も、
韓国映画ならではの「情」を感じさせられます。
スケート選手だったが、練習時に着地に失敗。脊髄を痛め指1つ動かせなくなったジニ。
植物人間の夫を支えるオギョンおばあちゃん。
4年間植物人間のままの妻チュンジャを献身に介護する中年男クンスク。
おじいちゃんを介護する息子や、サムソン電子を退職し全身麻痺の兄を介護するソグォン。
映画を通して、患者や家族の痛みを痛感することができます。

ハ・ジウォン演じるジスの甲斐甲斐しさ、芯の強さ、
愛の深さ、心根の美しさ....
それを観るだけでも、価値のある映画かもしれません。
そして、ラストでの二人が再会した時の回想シーンは、胸が熱くなります。
そういうことだったのか... と。

mocaとしては、「商業映画」ではなく、「芸術作品」的な映画だと思います。
でも、mocaはけっこう笑えました。
言葉を失ってしまった後の、ジョンウの心の声にウケまくり(笑)
これはキム・ミョンミンだからこそ、「笑い」にできたのだと思います。

話題になったのが、夫を励ますために「歌謡界の妖精」と言われたピンクルの「永遠な愛」を、
ハ・ジウォンが振りつきで歌うシーンです。
その時のジョンウのツッコミ具合も最高!
何より、ジョンウの表情を見てください!言葉では言い表せません。

ピンクル-永遠な愛 핑클 - 영원한 사랑


ソン・ユリ、可愛い~ まさに妖精♪
イ・ヒョリも今のSexyさが想像できないほど可愛らしい!!


【劇中で、何度も登場する歌】

김돈규 & 에스더
キム・ドンギュ & エステル

【다시 태어나도(生まれ変わっても)】

그대에게 나 한가지 꼭 묻고싶은게 있어
君に一つだけ必ず聞きたいことがある
그댄 나의 어디가 좋아서 날 사랑하는지
僕のどこが好きで 僕を愛するのか
넓은마음 하나로 한남잘 내가 구제한거지
広い心一つで 一人の男を私が救ったのよ
왜 웃는거야 이젠 그대가 말할 차례야
どうして笑うの 次は君の番よ

날 처음봤을 때 느낌이 왔던거니
初めて会った時 ピンと来たの?
어땠었니 그저 내사람이라 생각했어
どうだったか ただ、僕の人だと思った

하늘이 보내준 사람
天が与えてくれた人
누군갈 사랑하는건 이유가 없는건가봐
誰かを愛するのに理由はいらない
그대가 그냥 거기 있기 때문이야
君がただそこいるから

그것 뿐이야 내마음 다해 그대를 행복하게 해줄거야
僕の心を全て尽くして 君を幸せにするよ
그대가 다시 태어나도 날 또다시 만나고싶게
君が生まれ変わっても 再び会いたくなるように

날 처음봤을 때 느낌이 왔던거니
初めて会った時 ピンと来たの?
어땠었니 그저 내사람이라 생각했어
どうだったか ただ、僕の人だと思った
하늘이 보내준 사람 워 누군갈 사랑하는건
天が与えてくれた人 Wow 誰かを愛するのは
이유가 없는건가봐 그대가 그냥 거기 있기 때문이야
理由はいらない 君がただ、そこにいるから
그것 뿐이야 내마음 다해 그대를 행복하게 해줄거야
僕の心を全て尽くして 君を幸せにするよ
그대가 다시 태어나도 날 또다시 만나고싶게
君が生まれ変わっても 再び会いたくなるように



【イ・ジス】
葬儀指導師
ハ・ジウォン
【ペク・ジョン ウ】
ルーゲリック病患者
キム・ミョンミン
【イ・ハクジョ ン】
ジスの父
カン・シニル
【ソン・ヨン チャン】
ジョンウの担当医
キム・ヨジン
【チュ・オギョ ン】
6人部屋同室患者の妻
ナム・ヌンミ
【パク・クンス ク】
チュンジャの夫
イム・ハリョン
【ジニの母】
6人部屋同室患者の母
シン・シネ
【ペ・ソグォ ン】
6人部屋同室患者の弟
イム・ヒョンジュン
【ソ・ジニ】
6人部屋同室患者
ガイン
【チュンジャ】
6人部屋同室患者
イム・ソンミン
【クク・ドンソ ク】
ジスの職場社長
キム・グァンギュ
【ユ・スンウ ク】
ジスの同僚
チョン・ウィチョル

特別出演は、カン・シニル、ソル・ギョング、ソン・ヨンチャン。
ソル・ギョングなんて、ほんとに一瞬だけなので、唖然とした後にウケまくり(笑)


この映画は、mocaの大好きなおじさん俳優が三人も出演。
カン・シニル、イム・ハリョン、キム・グァンギュ。
あぁ、幸せだー

でも、イム・ハリョンは「二重」にしているので、すごい違和感が.....
それだけが残念。
でも、若く美しい妻チュンジャへの愛の深さに、感動してしまいます。
こんな風に愛されるような結婚っていいですね。
でも、あんなに愛しているのに妻が植物人間になってしまうなんて、
あまりにも可哀想過ぎて、見るに忍びないです....

ジョンウの隣りのベッドの少女ジニは、本格派ガールズヴォーカルグループ「Brown Eyed Girls」のメンバー。
最近、「私たち結婚しました」でしたっけ?あれにも出演してますね。
ステージなどでの濃いメイクを取ると、こんな平凡っていうか... ちょっとブサイク気味というか...
でも、妙に魅力がありますね。
歌手としての彼女は、こちらでどうぞ。ギャップにビックリです。

Brown Eyed Girls (브라운아이드걸스) - Abracadabra



↓  結末までネタバレしますので、ご注意を ↓

葬儀指導師であるジスはある日、
葬儀の依頼主の元を訪れる。
車椅子に乗る青年ジョンウ。
ジョンウは思いがけない言葉を口にする。
「ジスさんはコチョンの出身?地雷村の。
葬儀屋の一人娘。お父さんは元気かな」
ジスは驚く。
「私をご存知で?」
二人はなんと、同郷で育ったのだった。
運命のような再会。

ジョンウの依頼は、ジョンウの母の葬儀。
ジョンウは、たった一人の血縁を失ってしまった。

ジスは、誠心誠意、心を込めてジョンウの母を
死化粧を施し、表衣を着せる。
「肌がキレイだから、化粧がキレイにのりましたよ。
気に入りましたか?」
ジスは鏡をかざし、ジョンウの母に語りかける。
ジスの心のこもった納棺の仕事ぶりに
ジョンウは感動を覚える。








母を見送ったジョンウ。
「葬儀屋の娘をあんなに嫌がってたのに、どういうことだ?
当然、恋人もできないだろう?」
ジョンウは尋ねる。
「結婚したわ。すぐ戻ったけど」
ジスは答える。
「体はどうしたの?」
今度はジスが尋ねる。
「あぁ、ルーゲリック?銃で撃たれたんだ。
体が徐々に固まり、3、4年で死んでしまう。
あと2年くらいかな」
ジョンウは、さらりと語る。
「怖いの?人は皆死ぬのよ。順番がないだけ」
ジスもさらりと告げる。
「恐れてないさ。悔しくて、絶対に死ねない」
ジョンウは語る。
「こうして再会したのは運命だと思わないか?」
ジョンウは尋ねる。
「運命?こういうのは偶然っていうのよ」
ジスはあっさり告げる。
「お前にとって運命とはなんだ?」
ジョンウは尋ねる。
「そうね、最後まで守ることかな。
でも、私には縁がないみたい」
「OK。俺が守ってやる」
ジョンウは菊の花を差し出し、
「正式につきあおう」
と、まるでプロポーズのような言葉を告げる。
ジスはそんなジョンウに呆れる。
「ジス、そばにいてくれないか?」
ジョンウは、寂しそうに語る。

(顔よし、声よし、キャラクターよし。かっこよすぎ)
なんだかんだ言いつつ、
ジョンウの元へあしげく通うジス。
「私たちは似合わない」
と、ジスは告げる。
だが、ジョンウが中国行きを決意する。
手術を受けるためだ。
「運命に翻弄されたくない。ちょっとした反抗だ」
熱い闘病への意気込みを見せるジョンウ。
そんなジョンウにジスが告げる。
「いいわ、治ったらつきあってあげる」

ジスはルーゲリック病について調べ始める。
「ほんとに死ぬんだ....」
ジスはルーゲリック病の恐ろしさを始めて痛感する。


帰国したジョンウ。
「久しぶり、会いたかった」
ジスへの言葉を用意するジョンウ。
「デートに誘うのはいいけど、病院なの」
すねるジス。
実際にジスを目の前にすると、
ジョンウは用意した言葉を告げることもできない。
ウキウキしながら真っ赤なルージュを塗ったジスに対し、
「ねずみでも喰ったのか」
と、悪態をつき、からかってしまう。

ジスの献身的な支えの元、
ジョンウは熱心にリハビリへ取り組む。

帰りに居酒屋で食事する二人。
ジスは尋ねる。
「真剣な質問。私の手、怖くて気持ち悪くない?」
「世界で一番可愛い手だ」
ジスはその言葉に感動したジスは、
ジョンウをホテルに誘う。
「私たち、つきあうんでしょ?」
あっけらかんとしているジスに対し、
ジョンウは照れて仕方が無い。


「ステキ」
ジスはラブホテルの部屋に満足だ。
そして二人は結ばれる。


「私、恋人ができたの。嫁に行こうかな」
ジスは父に告げる。

二人が出会って1年。
ジスとジョンウは二人きりの結婚式を挙げる。


明るくジョンウを励ましながら闘病を支えるジス。
二人には、病気に対する暗さなど全くなく、
幸せな新婚そのものだった。

病院へ父が訪ねてくる。
元気なジョンウに安心する父。
「婚姻届は出したのか?」
父は尋ねる。
「忙しくて、まだなの」
父は諭す。
「急ぐことはない。ゆっくりやればいい」と。
病院の個室が、まさに愛の新居。
二人は病室で、熱い夜を過ごす。


「陽性が出て」
祈りながら妊娠検査薬を試すジス。
しかし、結果は陰性。
ガッカリするジス。


「1日1日を1年のように過ごさなきゃ。
他の人より数倍も幸せに。
それでいいのでは?」
ジスは担当医に語る。
「ルーゲリックは今よりも日ごとに進行するはず。
お金はあるの?両親はお金持ち?
退院しなさい。月一度の定期検査だけでいい」
ジスらの事情を察した担当医は告げる。
退院したジョンウ。
ジスは会社にしばらく休みたいと申し出る。
社長は困り果てる。
「会員がお前を指名するんだ」
そして、大金を手渡す。
「ひとまず急ぐなら、これを使え」と。
ジョンウとジスは墓参りする。
ジョンウの両親と、ジスの母が眠る墓地。
ジスはジョンウの両親に礼拝し、
「今度来るときは、ジョンウさんを歩けるようにして
連れてきますね」
ジウは墓前の両親に語りかける。

ジスは名医だという鍼師の元へ、
嫌がるジョンウを連れて行く。
「奇跡のように治る」
それを信じて。
し かし、そのせいでジョンウは高熱を出してしまい、
再び入院することに。




「気持ちはわかるけど、死ぬところだったのよ。
高熱の怖さをわかってるの」
担当医はジスの安易さを叱責する。
「오빠(オッパ)、ごめんね....」
ジスは泣きながら眠るジョンウに詫びる。

再入院するジョンウ。
今度は個室ではなく、6人部屋だ。
同室の患者は皆、全身麻痺や植物人間の患者。

献身的にジョンウを支えるジス。
「お前がいてくれなければ大変だった。口だけが元気で」
ジョンウは告げる。

「婚姻届は出したのか?」
ある日ジョンウは尋ねる。
「まだよ、忙しくて」
それを聞いたジョンウは安心する。
「よかった。出さなくていい」
ジョンウは告げる。
そんなジョンウに、ジスは語りかける。
「ねぇ、私たちの子供を作ろう」
それを聞いたジョンウは叱る。
「その話はしない約束だろう!」
ジスはガッカリする。
ジョンウの入院費もかさみ、
介護のせいで仕事もできない。
銀行の残金は、14万50ウォン.....
ジスは、再び働く決意をする。


売上を上げるために、葬儀の実演販売を始める。
しかし、「俺たちを殺して棺桶を売る気か!」
と、ジスは客らに殴られ引っ張られ散々な目に。
「棺桶10個も売ったのよ」
と、ジスは明るくジョンウに電話で報告してみせるが、
実はやるせなく、疲れ果てていた。


ジョンウの隣りのベッドの少女ジニ。
ある日ジニは母に向かって暴言を吐く。
「幹手術を受けましょう。治る可能性もあるって...」
そんな母にジニは怒鳴りつける。
「キム・ソンジュ!そんな話信じてるの!
私は今すぐ死にたいの!」
ジニの言葉に耐え切れず、母は病室を出て一人涙を流す。
それを見ていたジョンウは、ジニを諭す。
「少しは母親の立場も考えろ。
それに死ぬ勇気もないくせに。全てわかってぞ」
ジニはジョンウに言い放つ。
「おじさんも死にたいけど、卑屈に生きてるんでしょ?
勇気が無くて。偽善者」
その言葉を聞いたジョンウは、逆上する。
「死にたい?笑わせるな。
お前は生きたいんだ。生きたいのに生きられないから、
ワガママ言って死にたいって言ってるんだ!」
ジョンウはジニを怒鳴りつける。



夜中、ジニはジョンウに話しかける。
「ごめんなさい、昼間は」
ジニは素直に謝る。
そして、自分のことを話し始める。
スケート選手だったジニ。
「ほんとにすごかったのよ。トリプルアクセル知ってる?
ジャンプの途中で落ちて、気絶して目を覚ますと、
母さんが泣いてばかり。
うちの母さんは、父さんが若い女と浮気して離婚しても、
ずっと泣いてばかりいた。
私が脊髄を怪我して、指さえ動かせないと知っても、
目を合わせては泣くの。うんざりよ。
私にはスケートが全てだった。本当に息が詰まりそう。
死にたくなるほど。
おじさんはわかる?押しつぶされた感じ」
ジョンウは答える。
「あぁ、少し....」
ジョンウの精密検査が行われる。
ジョンウの病気の進行具合は速いと。
怒りっぽく涙が出て、気分も優れない。
仮性延髄障害という脳神経麻痺よ。
感情の調節が徐々に出来なくなる。
医師は説明する。
その医師の説明通り、ジョンウは明らかに変化を見せる。
体を拭いてやれば、
「死体を拭いているのか」
と、悪態を吐き、
「今日も死体を拭いたのか?」
と、ジスに尋ねる。
「手は洗ったか?死体を拭いた手で俺の体を拭くのか?
手袋をはめろよ。いや、自分でするから触るな」
世界で一番可愛い手だと言っていたジョンウ。
しかしそのジョンウは変わってしまった。
病気のせいだ。



「最近、お姉さんに辛く当たりすぎじゃない?」
ジニはジョンウをとがめる。
「昆虫採集を知ってるか?」
ジョンウはジニに尋ねる。
「トンボや蝉を捕まえて生きたままピンで固定する。
しばらくは暴れながらも、トンボは徐々に乾いて死ぬだろ?
あの頃は何も考えなかったけど、今の俺はトンボのようだ」
ジョンウは語る。
ジョンウは自分の遺影用の写真を撮影する。
ぎこちない笑顔。

ある日、司法試験に合格した友人が見舞いに訪れる。
研修に入ると、なかなか来られないからと。
「今でも六法全書を読んでるのか?
いや、聞いた俺がバカだった」
友人の言葉に、ジョンウは傷つく。
その時、同室の患者が息を引き取ってしまう。
人の死を目の当たりにし、ジョンウはショックを受ける。
友人の言葉すら、答えることができない。
そして自動車椅子の操作を誤り、衝突し、転んでしまう。
死の恐怖に捕らわれたジョンウは、叫び声を上げる。



死の恐怖から逃れられないジョンウは、
「怪我した」
と、仕事中のジスを呼び寄せる。
慌てて駆けつけたジス。
「痛いでしょ?」
ジスは心配して怪我した手に触れる。
「触るな」
ジョンウは呼びつけておきながら、冷たく当たる。
「水」
「六法全書を捨てろ」
次々と命じるジョンウ。
「背中が痒い」
「手袋をしろ」
「もういい、行け」
さすがのジスも、言葉を失う。




またもや仕事中のジスを呼びつけるジョンウ。
「오빠(オッパ)、お待たせ」
それでもジスは、明るく振舞う。
「どうしたの?お腹がすいた?お水?背中が痒い?」
ジスは健気に尋ねる。
「本を拾え」

ジョンウは捨てた六法全書を戻すよう命じる。
「오빠(オッパ)、笑ってよ。ハンサムが台無し」
ジスはジョンウを励ます。
「私が読んであげるね」
ジスは六法全書をジョンウのために読み上げる。
しかしすぐさま「俺が読むから持ってろ」と命じる。

それでも、反論一つせずジョンウに従うジス。
「もっと上だ」
「近すぎる」
「揺れてるぞ、手が痛いのか」
ジョンウは嫌がらせかのように、次々と言い放つ。

そんなジョンウにジスは告げる。
「私が、오빠(オッパ)なしでは生きていけないの」と。
しかし、ジョンウはそんなジスの言葉に耳を傾けようとすらしない。
「ページをめくれ」
冷たく言い放つ。
傷つきながらも、黙って従うジス。








ジスがオムツを替えようとすると、
ついにジョンウの溜まっていた感情が爆発する。
「俺は赤ん坊か?いい加減やめてくれ!」
ジスはため息を吐く。
「오빠(オッパ)、最近辛いのはわかるけど、
そんな時こそ、元気を出して」
しかしジョンウは冷たく突き放す。
「もう行け」
ジスはそれでも耐える。
「どこへ行くの?」
ジョンウは更に冷たく突き放す。
「お前なんか必要ない。
それに体を触られると寒気がする。
縁起が悪い。だから、自分で生きろ。
お前がいると息が詰まって死にそうだ。
頼むから助けてくれ」
「何なの?私たち愛し合ってるじゃない。
辛くても一緒に...」
ジスの言葉をジョンウは遮る。
「愛?その愛とかもウンザリしないか?
お前には暇そうな愛でも、俺は毎日が地獄だ。
お前には、死にそうな俺が見えないのか?」
ジョンウは言い放つ。
「私がもっと頑張る。お願いだからやめて、オッパ」
ジスは答える。
「俺の方こそ頼みたい。頼むから消えてくれ」
ジョンウは怒鳴りつける。
ジスは泣きながら出て行く。
二人の様子を、同室の家族らは心配そうに見守る。
「酷すぎる!(나쁜 새끼야:ナップン セッキャ)」
さすがのジスも、ジョンウの仕打ちに怒りが抑えきれない。
とめどなく涙が流れる。


しかしジョンウもまた、涙を流していた。
自分の言葉に、自分自身が傷ついていた。

4年間植物人間であるチュンジャ。
ある日、チュンジャは一瞬意識を取り戻す。
慌てて夫のクンスクを呼びに行くオギョンおばあちゃん。
しかしクンスクが戻った時には、
既にチュンジャの意識は失われていた。
クンスクがトイレに行っていた間の一瞬の出来事だった。
「あんまりだ、何も俺がいない間に....
こんな仕打ちがあるか....」
クンスクは、泣き崩れる。




ジスは、ジョンウを力づけようとキスをし、
体に触れる。
「やめろ!いい加減にしろ!」
ジョンウは怒鳴りつける。
「気分がよくなると思って...」
ジスは言い訳する。
「俺のことを本当に想っていたら、こんなことするはずない。
俺ができることは何1つない。
俺はもうお前に触れたり、触ったりすることもできない。
弁護士の勉強?
自分でページもめくれない。
指が動かなくて試験も受けられない。
まばたき以外に自分の意思何一つできないんだ。
もう俺には奇跡もなく、夢もない。
死にたくないけど、体は生きる屍だ。
考えたことあるか?
一度でもこんなこと考えたことあるか?
それなのに愛?
頼むから、死体遊びはやめて放っておいてくれ。頼む...」
ジョンウは訴える。
「肺に炎症があって抗生物質も飲めないそうよ。
意地を張らずに、幹細胞注射を受けようよ」
ジスはジョンウを説得する。
しかしジョンウは答えない。
「私と話さない気?」
さすがにジスも怒りを露にする。
「今から話すことをよく聞いて。
私、妊娠したの。
ルーゲリックは遺伝しない。
私、私たちの子を産むわ」
ジスは言い放つ。
「消せ」
ジョンウは、ただ一言だけ告げる。
「産むから」
ジスも引かない。
「絶対に認めない」
ジョンウも譲らない。
「私の子よ。私が産んで育てるわ」
ジスは言い放つ。
ジョンウは怒りで震える。
「本当に悪魔のような女だ。
わかるか?お前なんか、うんざりだ!
自分のことばかり考えるな!
もうすぐ死ぬから、俺には関係ないのか!」
ジョンウは怒鳴りつける。
「オッパは死なない。私が助ける」
ジスは否定する。
「もし子供を産めば、俺は死んでやる。舌を噛んで」
ジョンウの言葉を聞いたジスは、ジョンウの頬を叩く。




「私ももうオッパに嫌気がさした。
苦しくて、息が詰まりそう。
初めに言ったわよね?
私がいたいと思う時まで、そばにいると。
言われたから去るんじゃない。
私から去るの。
死のうが、死ぬまいが勝手にして」
ジスはそう言うと、指輪をジョンウの膝に投げ捨てる。
動揺が隠し切れないジョンウ。

実家に戻ったジス。
ジスは父に語る。
「最近、アイツから連絡が来るの」
「ジョンウか?」
父は尋ねる。
「マザコンよ、マザコン」
離婚した元夫だ。
「아빠(アッパ)、少しは貯金ある?」
ジスは尋ねる。
父は黙ってしまう。
ジスは元夫と会う。
お金の無心のためだ。
酔いつぶれたジスを、ホテルに連れ込む元夫。
「お金はありがたいけど、私を口説こうとしてるの?」
ジスは言い放つ。



ホテルに入ると、ジスはネクタイで手を縛れと怒鳴る。
「足も!」
ジスは元夫を怒鳴りつける。
言われるがままに従う元夫。
「出てけ!」
ジスは怒鳴り散らし、暴れる。
元夫は仕方なく、部屋を出て行く。
「何かあったら、連絡くれ」と。

両手、両足の自由が利かないまま、
ベッドの上で何時間も過ごすジス。

ジスの目から、涙があふれ出る。
「あなた(여보:ヨボ)ごめんね....
こんなに辛いとは思わなかった... 私を許して....」
ジスは泣きながら、すぐさまジョンウの元へと向かう。






しかし、その頃ジョンウは、舌を噛んで自殺を図っていた。


ジョンウは目を覚めす。
心配そうに覗き込むジスらの顔が見える。


(後ろに映っている二人がいいですよねー!
涙が出そうです。
人間、やはり”心”が大切だと実感します。
おじいちゃんが亡くなってしまった彼は、
なぜ病院にいるのでしょう?
最初の頃「熱があって飲めない」というセリフがありましたが、彼自身病気なのでしょうか)






ジョンウはハっとする。
自分の喉に穴が開けられ、呼吸器がつけられていた。
もう、言葉を発することすらできない。
「遅かれ早かれ呼吸器は必要だったのよ。
舌を噛む力もなかったのね。困ったちゃん」
担当医は告げる。

ジスはジョンウの体を垢すりでこすってやる。
食べ物も飲み込めず、ガリガリにやせ細ったジョンウの体。
「気持ちいい?もっと強く?」
ジスは尋ねる。
「もっと優しくやれ、皮を剥がす気か?」
ジョンウの声は届かない。
「私に悪いと思わないの?」
ジスはすねる。
「謝らない。いつでも去っていいぞ」
ジョンウの声は届かない。
ジスはジョンウの気持ちを勝手に解釈する。
「私も。愛してる」
ジスは微笑む。
唾すら飲み込むことができなくなったジョンウ。
よだれをジスに拭いてもらい、
口の中の唾は、脱脂綿で吸い取ってもらう。
ジョンウは、もう自分は既に”人間”ではないと悟る。
人間にとって大切な”尊厳”を失った。

ジョンウは、渾身の力を振り絞り、
パソコンに文字を打つ。
「殺してくれ」
その言葉を見たジスは、絶句する。






真っ赤なルージュを塗り、身支度するジス。
髪にリボンをつけ、フリフリのスリップドレスに着替える。
そして、ピンクルの「永遠な愛」を歌いながら踊り、
ジョンウを懸命に励まそうとする。

(この時のジョンウのツッコミと表情が最高!
キム・ミョンミンだからこそ、です)

「オッパ、今度はオッパが私のために歌って。
ここで聞くから」
と、ジスはジョンウの胸に耳を当てる。
ジョンウは、結婚した時の旅行で歌った
「生まれ変わっても」を歌う。
ジョンウの目から、一筋の涙がこぼれる。




歌い終わったジョンウは、ジスに語りかける。
俺がいなくても、幸せになるんだぞ、必ず。
誰かのそばでの幸せなんて悔しいから、
それは不幸だぞ。
一人でも幸せなのが、本当の幸福だ。
わかったか?

とめどなく涙を流すジス。

お前に一度も言えなかったけど、
有り難くて、
すまなくて、
愛してると....

そしてジョンウは、渾身の力で口を開こうとする。


ジョンウの口の中から、
ジスが投げ捨てた結婚指輪が出てきた。

(んな、アホなー。どうやって入れたんだよー)

泣きながら指輪をはめるジス。
「お前にしてあげたいことがたくさんあったけど....」
ジスは泣きながら告げる。
「オッパ、愛してる。私も愛してる」
ジョンウは届かない想いを語る。

お前を残して逝きたくないけど....
もう逝かせてくれ....


ジョンウの意識が混濁する。
脳死に陥ったジョンウ。

「脳死というのは、死んでるも同然だとある医者が言った」
ジスの父は告げる。
「どういう意味?オッパが死んだというの?」
ジスは反論する。
「こんな風に引き止めたらダメだろう。
俺たち、もう楽にして、見送ってやろう」
父は諭す。
「送る?死んでないわ。誰を楽にするの?私を?
私はできない。医者は全て知ってるの?アッパは神様?」
ジスは泣き崩れる。
意識のないジョンウに語りかけるジス。
「こんなにしてまで、逝きたかったの?
オッパは酷い人。
本当に自分のことしか考えてない。
私がオッパを送れば、安らかになれるの?
私はそんなことできない。気が狂いそう。
どこへも行かず、ずっとそばにいてくれない?ダメ?
目を覚まして!
1秒だけでも目を開けて!お願いよ!
伝えたいことがあるのよ!
聞こえてるんでしょ!」
ジスは泣きながら訴える。


ジスは婚姻届を取り出す。
既に自分の捺印まで済ませている。
「オッパ、約束したじゃない。そばにいると。
約束を守ってよ。
お願いだから、これを見て。
オッパが押してくれないと。
あなたに押して欲しいの」
ジスはジョンウの指に朱肉を押し付け、
婚姻届に捺印させる。
その瞬間、ジョンウの心肺は停止する。
「イヤ!逝かないで!
一緒に暮らそうよ、オッパ!
逝かないで!オッパもイヤでしょう?
私のそばにいたいんでしょう?
そうでしょ?逝きたくないでしょ?
オッパ、逝かないで!」
ジスはジョンウの体に泣きすがる。
そして、ジョンウの目から、一筋の涙が....

ジスは、再会したあの日のことを思い出す。
「ジス、そばにいてくれないか?」
そう言って菊の花を差し出したジョンウ。
「まさか、菊の花でプロポーズしてるの?」
ジスは呆れる。
「うん」
悪びれず素直に答えるジョンウ。
(この「うん」って言う時のキム・ミョンミン最高!)
「俺のそばにいて、いつか、いつか....
その手で俺を天国に送ってくれ」
ジョンウは言う。
「俺にはもう、誰もいない。俺が死んだら....」

(そういうことだったんですねぇ.... いい伏線です)


ジョンウに死化粧を施すジス。
もう、ジスの表情に悲しみはない。
「やっぱり、ハンサムだわ」
ジスはつぶやく。
「気に入った?」
ジスはジョンウに鏡を向ける。

「もう、オッパを見送るわ....」
ジスはジョンウの体に寄り添いながら、つぶやく。

END







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