私たちの幸せな時間   Maundy Thursday   
原題:私たちの幸せな時間 우리들의 행복한 시간 (ウリドゥレ ヘンボカン シガン) <2006>

 オススメ

 ストーリー

 韓流王道

 泣き

 笑い

名作

 映像

×

×


私たちの幸せな時間

1週間のうち 3時 間、木曜日の10時から1時まで…私たちの幸せな時間。

男の物語。左の胸に赤いタグがつけられている。囚人番号が刻まれた…その時からチョン・ユンス(カン・ドンウォン)ではなく、3人を殺した死刑囚3987 番 だ。死だけを待つ27 歳、刑務所の冷たい床が俺にはむしろ温かい。貧しく凍えていた幼い頃、俺の全てだった幼い弟を失った。俺には何も残らなかった。

女の物語。3回目の自殺も失敗に終わった。生きることより死を切実に願う。昔は売れっ子歌手。金持ちで、叔父の大学で美大講師をしている。私は家の厄介者 で、異邦人だ。 15箇所の傷、惨憺たる記憶、母親の裏切り…このように私の人生は地獄に捨てられた。学生時代、私は自殺に心を奪われていた。

幸せな時間─ 生きたいという意志も、希望もない二人の男女が刑務所の<出会いの部屋>で向かい合って座る。世間から隔離された刑務所内の 死刑囚ユンスと、世間という鉄条の中に閉じ込められて生きている自殺中毒者ユジョン。 初の対面―貧しく不遇だった男と、金持ちで派手な女。余りにも違う二人は、ひねくれた冷たい言葉を言い放ち、互いを寄せ付けない。しかし二人は以外にも、 互 いが似て いることに気がつく。自殺未遂の跡が残るユジョンの手首の傷、手錠がつけたユンスの手首の傷…少しずつ警戒を解いて互いを伺い始める。わずかな 窓の隙間をぬって入ってくる日差しのように、温まっていく気持ち。彼らはようやく、誰にもできなかった<本音>を切り出すようになる… 今、男は生まれて初めて生きたいと思うようになり、女は自ら死ぬ決心などしなくなる。毎日が木曜日であってほしい…叶わない願いで胸がいっ ぱいになる頃、二人に許された時間もまた、わずかだということを知る…


公式ホームページ:http://www.happytime2006.com/

【予告編】

監督 ソン・ヘソン <1999>ホ ワイトクリスマス 恋しくて、逢いたくて、<2001>ラ ブ・レター ~パイランより~
<2004>力道山、<2006>私たちの幸せな時間、<2010>男たちの挽歌

出演

カン・ドン ウォン(姜棟元)

出演作品一覧

イ・ナヨン

出演作品一覧

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【レビュー&ネタバレ】
2006年9月韓国公開の「私た ちの幸せな時間」でございます。
12月9日~12月15日まで、シネマート・シネマ・フェスティバル in シネマート新宿で
一週間限定上映されましたが、日本公開は2007年4月でございますわよー

予告編を観ただけでヤラれてしまったの・・・・ あのカン・ドンウォンの低い声・・・・
そして、胸をしめつける彼の涙・・・・・
予告編だけで泣きそうになってしまうほど、せつなくて、せつなくて・・・・
でも、あまり予告編を観すぎると本編で泣けそうだからほどほどにしなくちゃだわよー(笑)
mocaはホワイトクリスマスも大好きだし、ホント楽しみ だったの。
ラブロマンス映画が300万人の観客動員に成功したのは、
昨年ユア・マイ・サンシャイン以降、『私たちの幸せな 時間』が2作目だそうよ。
ちなみに、私の頭の中の消しゴムは250万人よ。
ただ、韓国でヒットしても、日本では・・・という場合が多々あるし、
期待しつつも、裏切られるのが怖くて・・・

そんな心配を見事に裏切ってくれましたわ!!

とにかく前半から泣き通しだったわ・・・
一番泣いたブラザーフッドには届かないも のの、
次に泣いた私の頭の中の消しゴムは越えたわ。動員数もバカにできないかもね・・・
内容としては、ブラザーフッドや私の頭の中の消しゴムよりずっと好きよ。

主人公二人だけではなく、取り巻く人間にも泣かされたわ。
イ・ナヨンの叔母シスターモニカ。<愛の群像>のシニョン엄마(オンマ)ユン・ヨジョン씨
mocaは
ユン・ヨジョン씨大好き だから嬉しいわ。
そして、看守役にカン・シニル。
カン・シニルが情の深い看守役を演じていて、更にカン・シニルが大好きになったわ。
囚人2896のオ・クァンノクもホントにイイ味だしてるの。
韓国の中堅俳優がmocaは大好きだわ。

そして、名脇役。お婆ちゃん役でよく見かけるキム・ジヨン

カン・ドンウォンが殺害した女性の母親役なんだけ れど、本当に泣かされた わ・・・
劇中でカン・ドンウォンもこの
キ ム・ジヨン씨演じるパクおばさんに 出会ったことで
改心していくのだけれど、それくらいに感銘を受けるわ。
韓国はほとんどの人が宗教を持っていて、熱心なクリスチャンが多いのだけれど、
宗教ってすごいと思うわ・・・
悪徳宗教があまりにも多すぎるから、日本では宗教のイメージがよくないけれど、
純粋な宗教は、人間が人間らしく在る為に残された唯一の方法なのかもしれないわ。
宗教を持たない日本は、人間として廃れていくような気がしてしまうわ・・・
ただ、神なんていないということを、この映画からも思い知らされてしまうのだけれど・・・
それでも、服役するカン・ドンウォンを取り巻く人々を見ていると、
この世も捨てたものじゃない・・・と思わされるわ。
心にたくさんの傷を抱えた人に見て欲しい映画だわ・・・

カン・ドンウォンの子 役は、春のワルツのスホの子 役でもあるウン・ウォンジェ君。
この子が出てきただけでも泣いてしまったわよ・・・
貧しくて、不孝な子役が板についちゃって・・・
春のワルツでは地下鉄でガム売りの少年をしていたけれど、
今回は盲目の弟を連れて、地下鉄でお金を恵んでもらう少年。
けど、今回は本当に弟が盲目なのね・・・
栄養失調で盲目になってしまったのかしら・・・?
あまりにもせつない人生です・・・
自分の幸せのために親に捨てられ、幼い弟と路上で生活するユンス。
盲目の弟を連れ、お金を恵んでもらいながら何とか生きているものの・・・
チンピラたちに殴られ、蹴られ、そのお金さえも巻き上げられて・・・
mocaはこんな兄弟がいたら・・・自分の家に連れ帰ってしまいそうよ・・・
自分一人が生きるだけでも精一杯だけれど、
暖かい場所で眠らせてあげたい・・・少しでもおいしいものを食べさせてあげたい・・・
そんな兄弟を痛めつけた上にお金を巻き上げて・・・人間じゃないわ。
こういう奴らこそ死刑よ!
その上、弟は真冬の寒い路上で眠ったまま死んでいき・・・
「兄ちゃん、怒ってる?僕がいなければ一人で何でもできるのに」
「そうさ、お前がいなけりゃ」
と、心にもないことを言ってしまった翌朝に・・・
ユンスにとっては弟ウンスが全てで、弟の病気を治してやりたいと必死になる弟想いの兄。
売り言葉に買い言葉というほどでもなく・・・言わばツッコミのようなもので、
親しいから、愛しているから言える、愛情表現のようなものなのに・・・
けれど、「お前がいなけりゃ」なんて言ってしまった直後に死なれてしまっては、
いつまでも心の奥に疼く傷になるわ・・・
ユンスが荒んでいくのも理解できるわ・・・
もっと早くに、モニカ叔母さんや、パクおばさんのような人に巡り合えていたら、
ユンスはここまで荒むこともなかったのに・・・と思ったら、
ユンスをここまで荒ませたには他の理由があったの・・・
ようやく人を信じてみようと思った矢先に、また裏切られて・・・
純粋であるが故にここまで荒んでしまったことが、すごく伝わってくるわ・・・

この二人の心に芽生える絆や愛はとても理解できるの・・・
mocaは罪を犯す人は当然、マナーが悪い人、秩序を守らない人は大嫌い。
殺人なんて持っての他。
ただ、パクおばさんのように娘の仇・・・
許せるというよりも・・・理解できるのはこの場合のみよ・・・
自分が遭わされた不幸・・・そのための仕返し・・・
その仕返しのために罪を犯して・・・更に不幸になってしまうのよ。
ことの元凶である奴は八つ裂きにしても足らないわ。
mocaはこの二人を見ていて・・・
大阪の池田小学校殺傷事件の犯人を思い出してしまったの・・・
この犯人は、確かこの映画でイ・ナヨンが支援するように、
支援してくれる女性と獄中結婚したのよね?
この犯人は罪のない人間を殺したわけで、とても許されることじゃない。
自分が背負った不幸・・・
その怒りの矛先がない場合、社会や無関係の人間に向かってしまうのよね・・・
罪を犯す前に、この映画に出てくるような人々や、
支援してくれた女性のような人に巡り合えていたら・・・
子供たちも殺されずにすんだ・・・
mocaは罪を犯した人間に容赦は不要、という考えなんだけれど・・・
その罪の元凶にあるものを見極めないと、この世の罪、不幸はなくならないと思ったわ・・・
もちろん、根っから腐った奴もたくさんいるし、
池田小学校殺傷事件の犯人についても、ふと思っただけで、
詳しい事実を調べたわけではないので、鵜呑みにしないでくださいね。

能書きだけ名作で、駄作になってしまった映画は多いけれど、この映画は文句なしよ。
脚本も、監督も、俳優も・・・すべてにおいてパーフェクトだわ。
映像も、韓国特有のノスタルジックさが堪能できて、mocaにとってはたまらない映像。
そして、韓国のスラム街と言われる街並みも、mocaが惹かれて止まない美しさがあるの・・・
もちろん、上から見下ろしていることはわかってるわ・・・
そこで生活している人たちからしたら、噛み付いてやりたい発言よね・・・
mocaは豪邸よりも、こういう貧しい街並みに惹かれてしまうの・・・
長くなるので省きますが・・・
雪景色もとても美しくて、mocaにとっては最高の一作よ。

イ・ナヨンがちょっと若すぎるのがちょっと難点ではあるけれど、
本当にハマリ役というか・・・今までの役は彼女にはもったいなかったように思うわ。
イ・ナヨンって実はもう三十路近いのね。ビックリしたわ。
この映画のユジョンは30歳なのよ。
どう見ても20歳前半に見えるイ・ナヨンが・・・と思ったら、実年齢的には大差ないとは・・・
カン・ドンウォンより年下に見えるのに。
若く見えることはよいことだけれど、この映画では相当の年齢に見える人が・・・
年下の女に見えて気になって仕方なくて・・・
映画を観る前は、イ・ナヨンに期待してなかったというか・・・
演技力からしても、イメージからしても・・・
イ・ナヨンがユジョン役というのが気に入らなくて・・・
けど、観てみたら・・・イ・ナヨン以外には考えられなくなったわ。
日本公開されたら、ぜひ観て欲しいわ。
京畿道訛り(?)のカン・ドンウォンも可愛いわよ。

まだ観ていない方。
ここから先は完全にネタバレで すので、この まま戻られることをオススメするわ。
この映画は、本当にまっさらなままで楽しんで欲しいので・・・

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カン・ドンウォン


昔(ユンスの子役の年齢から推定すると10代よね?3歳差だから)は売れっ子歌手。
その後、海外へ留学し、今は叔父の経営する大学で美術講師をしているムン・ユジョン。
朝が来るとたまらなく憂鬱になるユジョンは、発作的に三度目の自殺を図る。
結局助かってしまうが、シスターである叔母は「まだ死ぬには早いわ」と言って、
カウンセリングを受けるのと、鑑別所での支援活動とどっちがいい?と、
一ヶ月間鑑別所へ同行させる。
昔売れっ子歌手だったユジョンに会いたいという死刑囚がいるという。
ユジョンの歌う国歌が聴きたいと。

シスターと一緒に鑑別所へ死刑囚チョン・ユンスとの面会に出かけたユジョン。
ユンスとの初めて顔を合わせるシスターは、
ユンスに「親切の押し売り」だと、こっ酷く拒否される。

どんなに拒まれても引き下がらないシスターにmocaは心を打たれたわ・・・
もうこの辺から泣きっぱなしで・・・

本気で施したいと思ってるなら嘆願書を書いてくれ。
「早く死なせてやれ」と。
ユジョンは、「早く死なせてやれ・・・」、その言葉に敏感に反応するの。
この時に「同類」だと、本能では感じていたのかもしれないわね。
「何がユンスを苦しめているの?」と尋ねるシスターに、「朝」と答えるユンス。
自分と同じだとユジョンは感じるが、シスターをこっ酷く拒絶するユンスを見て笑い出す。

帰り道、「よくあの状況で笑えるものね」と、ユジョンはシスターに窘められる。
「女みたいな顔をして、いったい何人殺したの?」と、ユジョンは嫌悪感を示すが、
シスターはユンスを庇う。
「忘れていたわ。叔母さんの仕事はあいつや私みたいな人間を改心させ、
涙を流させることだと」と、
そんな 叔母にユジョンは、ユンスがシスターに感 じた感情を抱く。
「会ってみてわかった でしょ?似た者同士だと」と、シスターは 本当の目的を匂わせる。
「気が変わったわ。一ヶ月訪問するという約束は撤回する」と、
叔母の目論見に気づいたユジョンは拒む。
「好きなようにすればいいわ。
いつまでも悲劇のヒロインを演じ続けなさい、そうしたいのなら」
と、叔母もユジョンを見兼ねる。

ユジョンはインターネットで、ユンスの事件の記事を探し、
17歳の少女を暴行後殺害したことを知る。
大学の講義中も、心ここに在らずで物思いにふけるユジョン。
その日は、父の命日であった。
愛する父親の命日ではあったが、自分を裏切った母や、
15歳の時に自分を犯した従兄ミンソクを憎むユジョンは祭事への出席を拒む。
いつも拒んだ大学の同僚たちとの飲み会に出席してみるが、
「元売れっ子歌手で理事長の姪、趣味の美術で大学講師・・・羨ましいなぁ」と
いう言葉に傷つき腹を立てたユジョンは、そのまま店を出て行く。
シスターはユジョンに 電話をする。
大田の刑務所に行かなければならなくなったから、
木曜日のユンスとの面会にユジョン一人で行くようにと。
「なぜあいつに会わせたがるの?あいつがどんな罪を犯したか知ってるの?」
と、ユジョンは声を荒立てる。シスターは、「過去は忘れなさい」と、ユジョンを諭す。
「会えばいいんでしょう?会って何もかも聞いてきてあげるわよ!」
ユジョンは携帯電話を投げ捨てる。
ユジョンは実家に向か い、父の遺影に挨拶だけすると、
反抗的な態度で実家から立ち去る。
止まっていた従兄ミンソクの新車へ、車で何度も突っ込み、慟哭するユジョン。

ここまででは、ユジョンが15 歳の時に従兄に犯されたこと は明らかになっていないの。
だから、ユンスが17歳の少女 を暴行し殺害したということ を知って、
ユジョンがユンスに抱いた感情 が、後になるまでわからない のよね。
15歳の時に従兄に犯されたユ ジョンにとっては、
17歳の少女を犯して殺したユ ンスは従兄と同じ虫けら同然 であり、
憎しみの対象になるのよね。
ユンスと出会って従兄への憎し みが再び燃え盛って・・・
行くつもりじゃなかった実家へ 行き、怒りが収まらず、
ミンソクの車に追突するのよ ね・・・
レイプのことが明らかになって いないので、
この時点ではユジョンにカタル シスを感じれないのよ。
もっと早くから事実を明らかに してもよかったと思うの に・・・

木曜日、ユジョンはユンスと会うために刑務所の<出会いの部屋>に赴く。
「あんたの記事すべて読んだわ」と、ユンスを蔑むユジョン。
「なぜ死にたいの?本心?」と問うユジョンに、
「どうして祈れとか、償えとか言わないんだ?」と、ユンスは笑う。
「ここでは、死にたいと思わなきゃ狂っちまう」と、ユンスは答える。
ユジョンの手首の傷痕に気づいたユンスは、
自分の手首についた手錠の痕をみつめる。
これがユジョンに少し心を許したシーンなのだけれど、わかりづらいわねー
一言セリフくらい欲しかったわー
「俺のような奴は秘密を打ち明けるには最高の相手だぜ。
なぜなら、秘密を墓まで持っていくから」と、ユジョンに持ちかける。

金持ちで派手なユジョンに嫌悪 感を抱いていたユンスが、
ユジョンの手首の傷跡を見て、 同情・・・するのよね。
自分は手錠をはめられ死ぬ身。 だから、話してみろよ・・・
そんなユンスの優しさが垣間見 れるシーンなのに、
わかりづらくてスルーしそうに なるわ。

シスターとユジョンは、ユンスが殺した女性の母親に会いに行く。
女性の母親、パクおばさんは、娘があんな目に遭って・・・
マリア像を道に投げ捨ててしまいたくなったと漏らす。
聞きたかったことが・・・。私があいつを殺してもいいか?と・・・
あいつを娘以上に酷い目に遭わせることができれば、地獄に落ちても後悔しない気がする、と。
パクおばさんはシスターにユンスに会わせてくれと懇願する。
あいつの死刑が執行されれば、ざまぁ見ろと思うだろうけど、それは過ちだから・・・
シスターは「簡単に許せないんじゃ?」と、懸念するが
「イエス様がおっしゃったんでしょう?敵を許せ」と、必死に訴えるパクおばさんに根負けする。

木曜日。シスターと一緒に、パクおばさんを連れて<出会いの部屋>に赴くユジョン。
「この方はユンスが殺めた女性のお母さんよ。あなたの為にお餅を作ってくれたの」
と、シスターは紹介するが、ユンスは怯えて逃げ出そうとする。
パクおばさんは一旦風呂敷を解こうとするが、ユンスに走り寄り
「なんで殺したんだ!このロクデナシ!なんで金持ちの娘じゃなく、うちの娘なんだ」
パクおばさんはユンスに向かって泣き叫ぶ。
イ看守(カン・シニル)は、ユンスを連れて出て行こうとするが、
「ちょっと待ってください。すみませんでした。こんなつもりじゃ・・・」
と、パクおばさんは泣きながら詫び続ける。
そんなパクおばさんの姿を見たユンスは、
「ごめんなさい。僕が悪いんです。償いきれない罪を犯しました。」
震える声で泣きながら何度も詫び続けた。
「孤児だったらしいね・・・。あんたを殺せば娘が生き返るなら、
あんたを殺して死刑になるよ。けど、そうじゃない・・・だから、ここに来たんだ・・・
安らかに逝けるように・・・」 パクおばさんはユンスに歩み寄り肩を抱く。
「許してあげるよ・・・いえ、まだ許せてないけど・・・
心から許せる日が来るまで会いに来るよ。
遠いから頻繁には来れないけど、盆や正月には訪ねるから、
それまで死ぬんじゃないよ。生きるんだよ」
パクおばさんはそう言って、ユンスを優しく撫でる。
ユンスはただ謝るばかり・・・
パクおばさんが帰った後、ユンスの具合が悪くなる。
「ごめんなさい。僕が悪かったんです」
と、何度もうなされるように繰り返すユンス。

このシーンは何度見ても涙が止 まらないわ・・・

新年を迎え、神父が受刑者一人一人の足を洗って清めてやる。
神父はユンスに、
「魚が人間に変わるのは魔法で、人が変わるのは奇跡だ。苦しいだろう?」
と、声をかける。

木曜日。
ユジョンに母が入院したと、兄から電話がかかってくる。
ユジョンの母は、何も喉を通らないから三清閣のアワビのお粥を買ってくるようねだる。
「特別室だから食事も豪華でしょ。冷たい床で手錠を食べながら食べる人もいるのよ」
と、電話を投げ捨てる。
結局、三清閣のアワビを買って病院に向かうが、
「年が明けて一週間経ちました。まだ年始の挨拶をしていない人は、
あなたの声の届けてみては?予期せぬ人からの電話は嬉しいもの・・・」
ラジオから流れてくる言葉を聞いたユジョンは、Uターンし、ユンスの元へと赴く。

アワビのお粥を貪るように頬張るユンス。
ユジョンはユンスの顔についた粥を思わず紙ナプキンで拭いてやろうとする。
「うまいなぁ、高いんだろう?」 ユンスは尋ねる。
「当然よ。엄마(オンマ)への差し入れだもの。入院したの。
頭痛でも消化不良でも入院する人なの。母に会いたくないから来たの。
母に会うと私の方が頭痛や消化不良になるから」と、本音を話し始めるユジョン。

会いに来た理由をごまかし、本 音を話し始めたユジョン。
紙ナプキンで拭いてあげようと したり、確実にユジョンの心 が変化しているわよね。

「言葉遣いが教授らしくないな」
と、ユンスはユジョンの秘密をそのまま受け入れる。
「学校では落ちこぼれなの」と、ユジョン。
「俺もここでは落ちこぼれだ」と、うっすら笑みを浮かべるユンス。
二人の会話を聞いていたイ看守は、
恐る恐る「私も実は落ちこぼれです。ですから、仲間に・・・」と、話しかける。
イ看守の言葉に大笑いするユジョン。
ユンスも、戸惑いながらも、ぎこちなく微笑む。
「笑うとステキね」
ユジョンの言葉にユンスは驚き、照れながら戸惑う。
窓の外を見ると雪が・・・
ユンスは「雪だ」と、窓に歩み寄る。

イ看守、好き好きー
めちゃめちゃ好きだわー
カン・ドンウォンも演技も可愛 らしくて好きだけど、
イ・ナヨン、いい演技してるわ よねー

並んで雪を眺めるユン スとユジョン。
「そろそろ本当のことを話してくれない?」と、ユジョンはユンスに問いかける。
ユンスは、自分の幸せ のために親に捨てられたこと、
貧しく辛い幼い日々のこと、
幼い弟がユジョンのファンだったこと・・・
国歌を聞くと元気が出てくると、国歌が好きだった弟は、
ユジョンが野球の大会で歌った国歌が何より好きだった。
そして、寒い冬の朝、弟は一人死んで行ったこと・・・ユンスは涙ながらに語る。
「泣いてるの?」とユジョンは問う。
「泣いてるさ、あの時一緒に死んでやれなかったから」 と、ユンスはつっかかる。
「私も・・・理解できる」
ユジョンのその言葉に、ユンスは怒りを露にする。
「俺の泥まみれの人生が、お前にわかってたまるか。
俺が怖いんだろう?(手錠をはめた両手を見せ)こんなんで何ができるんだ?
あんたみたいな人間の方が、よっぽど怖いぜ。善人ヅラしやがって。知ったかぶるんじゃねぇ。
俺が死んだら泣くんだろう?ヘドが出る。今更のこのこ現れやがって。静かに死なせてくれ!」
ユンスの言葉に、ユジョンは打ちひしがれる。

あんたみたいな人間の方がよっ ぽど怖い・・・
善人ヅラして・・・知ったか ぶって・・・
mocaも理解できるわ。って 言ったら・・・わかってたま るか!と言われるのかしら・・・
でも、無知故に、知ったかぶっ て傷つける善人ヅラした人間 の多いことは知ってるわ・・・
それがどれほど残酷なこと か・・・
腹が立つことか・・・
ユジョンは金持ちだし、恵まれているけれど・・・
ユンスが言う人間とは、まったく対岸にいる人間なのよね・・・
ユンスはそれを知らないから・・・

イ・ナヨン

ユンスは、点滴で何とか命を取り留める。
あの日以来、絶食し、死のうとしていたのだ。

木曜でないある日。
<出会いの部屋>での面会がない日。ユジョンはユンスに通常の面会を申し込む。
秘密を墓まで持っていくんでしょ?
自分でもよくわからないけど・・・たぶん、話を聞いて欲しくて来たの・・・
ユジョンは今まで3回自殺未遂したことを告白する。
最初の自殺未遂は15歳の時。従兄にレイプされ、死のうとしたと・・・
15歳の時にレイプされたことで、死ぬほど苦しんでいるということに衝撃を受けたユンス。
「ごめんなさい・・・」
と、ユンスは漏らす。
「どうしてユンス씨が?」と、ユジョン。
「俺みたいな奴に・・・」と、ユンスは涙を流す。
「泣かないで。男前が台無しじゃない」
と、ユジョンはガラス越しにユンスの涙を拭ってやる。
ぎこちなく微笑むユンス。二人は微笑み合う。

刑務所で雪掻き作業が行われる。
ユンスに、死刑囚2896が話しかけてくる。
(この時のアザミの話が、すごく心にしみたのよね・・・知ってる話なのに・・・)
「最近大人しくなったな?殴るのもかったるいか?」と、2896は尋ねる。
「さぁな。死ぬ時がやってきたってことかな」と、ユンスは笑う。
「昨日、ネクタイ工場(絞首台ってことかしら?)が掃除されたらしい」と、2896は囁く。
(近々、死刑執行があるってことね・・・)
「どっちが先でも、今度はいい世界でまた会おうな」と、2896は微笑む。
ユンスは、2896に雪をぶつける。
子供のように雪合戦をするユンスたち。

ユンスの笑顔がよいのよー

ユジョンにユンスから手紙が届く。
雪合戦をしたこと。初めて冬を迎えた気になったこと。
俺にとって最後の冬かもしれないと・・・行きたいところもたくさんあるのに。
あと2日で木曜日だ。毎日が木曜日ならいいのに・・・
ユンスの手紙を読んだユジョンは、ポラロイドカメラを持って出かける。
北朝鮮との国境沿いにある<統一展望台>や、海、美しくデコレーションされたケーキ・・・
いろいろなものをカメラに収めるユジョン。
ユジョンはその写真をユンスにプレゼントした。
「これで一日中歩き回れるな」と、最高のプレゼントだと喜ぶユンス。

夜、みんなが寝静まった後、一人でこっそり、嬉しそうに写真を眺めるユンス。
ふと、ある写真で目を留める。
その写真の余白に何かを書き込み、壁に貼るユンス。
(これはラストで明らかになるわ)
ユンスは、何かに思い悩む。
ユンスは翌日、ユジョンに面会に来てくれるよう連絡する。
そして、真実を告白する。
3人が殺害されたユンスの事件・・・
ユンスの恋人が子宮外妊娠をしてしまい、手術に300万ウォン(約30万円)が必要だった。
金を貸している友達に金を返してくれるよう頼むが、金がないと断られる。
(この友達が息もできないのヤン・イクチュンなんだけど、まるで別人)
仕方なく、テソンの盗みの片棒をかつぎ、報酬をもらうことにする。
テソンと女金貸しの家を訪れ、飲み明かすユンス。
酔って思わず眠ってしまった三人。
テソンに揺り起こされたユンス。
女金貸しの娘が起きてきたのを見たテソンは、女金貸しを寝室に運ぶように言われる。
女を寝室に運ぶと、日頃からユンスに色目を使っていた女は
ユンスに抱いてくれたら恋人の手術代を出してやると持ちかけられる。
その時、女の娘の悲鳴が聞こえる。
慌てて娘の部屋に向かうが、
テソンが17歳の女の娘を犯し、殺してしまっていた。
そして、呆然とする女をテソンは刺し殺す。
愕然とするユンスに「取るものを取って逃げるぞ」と、指示する。
「ナイフを拾え!」
床に転がったナイフをユンスに拾うよう命じるテソン。
そこへ、家政婦が出勤してくる。パクおばさん(キム・ジヨン)の娘だ。
「逃がすな!」というテソンの言葉で、焦って女を取り押さえた拍子に
持っていたナイフが家政婦に突き刺さってしまったのだ。
ユンスは、友達や自分の子を宿した女が自分を愛してくれていると思っていたと、
初めて人を信じようと思ったのに、
死にたくなって、一人で全ての罪を被ったのだと・・・
死んで当然だと思ってたけど、生き地獄だと思ってたけど、
生きたくなったんだ・・・
ユンスは、ユジョンに語る。
「私が出してあげる!」
ユジョンは、検事である兄に頼む込むが断られ、
テソンに頼み込むが、「俺を殺す気か!」と、説得できずに終わる。
「そんな暇があったら母親の心配をしろ!おまえはいくつだ!」
と怒鳴られ、「15歳!私はあの日からずっと15歳なの!」と、長年の苦しみぶつける。
ユンスを助けられずユジョンは落ち込むが、
「ユジョンさんに木曜日に会えるだけで十分だ。幸せな気持ちで笑えるじゃないか。
俺は死ぬけど、悪くない人生だ」と、ユンスは笑う。

夜中、みなが寝静まった中、ユンスは一人で何かを作っていた。
ユジョンにプレゼントするための十字架のネックレスだ。

木曜日、12時49分。
ユンスとユジョンはユンスに送られてきた子供(孤児院の子供?)からの手紙を読んでいた。
ユンスは子供たちと文通を始めていた。
一緒に海に行きませんか?という言葉に、ユンスは困り果てる。
「私に任せて。私の方が損だけど、代わりに行ってあげるわ」と、ユジョン。
「そう言ってくれると思った。お礼ってわけじゃないけど作ってみたんだ」と、十字架のネックレスを取り出す。
手錠が邪魔してネックレスがうまく解けない。
見ていたイ看守が立ち上がり、「手を出してみろ」と、ユンスの手を掴む。
戸惑い、不安になるユンスとユジョン。
イ看守は、ユンスの手錠を外してやる。
もちろん禁止ですよー
いつも穏やかなイ看守が無愛想 に言うから、てっきり没収さ れるのかと思ったわ。
感動したわよー
イ看守、ホントに大好きー
ユンスは、ユジョンの首にネックレスをかけてやる。
嬉しそうなユジョン。
シスターの分も作ったんだ。
ユンスの言葉を聞いたユジョンは、ユンスの両手をしっかりと握り締める。
ユンスは照れてはぐらかす。
「外に出られなくても、ここでこうしてこの子たちに手紙を書きながら、一生暮らせたらいいな」と、ユンスは笑う。
「きっといい知らせがあるわよ」と、ユンスの目を真っ直ぐみつめる。
13時。二人の別れの時。
「来週、誕生日なんだ」と、ユンスはユジョンに照れくさそうにに言い出す。
「何か欲しいものある?」とユジョンに尋ねられ、「考えておく」と言って出て行こうとするが、
「ユジョンさん!ナイキの靴が欲しいな」と、モジモジする。
いつか弟のウンスが欲しがっていたものだ。
「チョン・ユンスさん。年上に向かっていつまで<ユジョンさん>って呼ぶつもり?
靴をプレゼントしたら、누나(ヌナ:姉さん。この場合は親しい年上の女性の呼称)って呼びな」
「알았어요(アラッソヨ:わかったよ)」と、ユンスはそそくさと出て行く。

ユンスの死刑執行命令が出た。
ショックを受けるイ看守。イ看守はユジョンに知らせる。
ユジョンは、母の病院へと走る。
「何にもしてあげれないの・・・」と、涙を流すユジョン。
「私も、엄마(オンマ:母)を許すわ」
15年前、従兄に犯され泣きながら母に助けを求めた時、
母は「とんでもない子ね。色目を使うなんて・・・どうしたらいいの・・・」と、
「そうじゃないわ!」と、必死に反論するユジョンを殴りつけ
「誰にも言うんじゃないわよ!恥を知りなさい!」と、
傷ついたユジョンを労わるどころか、従兄を庇ったのだ。
犯した従兄よりも、母が憎かった。一生許さないつもりだった。
でも、許すわ。
この世に神がいるなら、엄마(オンマ)を許すのは死ぬことより辛いと知っているはずだから・・・
私が許せば、奇跡が起きて彼を救ってくださるかも・・・
엄마(オンマ)、死なないで。私をなじって、苦しめてもいい・・・だから、死なないで。

ユンスの死刑執行。
神父がユンスに最後の言葉を求める。

私が傷つけた人々にお詫びします。
そして、遺族の皆様にも心からお詫びします。
僕を許してくださったパクおばさん。
本当にすみませんでした。そして、感謝しています。
발머니(ハルモニ:お婆さん)の勇気で生まれ変われました。
そして、面倒をみてくださった看守のみなさん。ありがとうございました。
イ看守(に呼びかけ)。ありがとうございました。
シスターには心配をかけてすみませんでした。

そして、ありがとうございました。
自分は見捨てられたと思っていたけれど、愛があることを教えられました。
シスターは、私に天使を遣わしました。

その時、神父は耳元でユジョンが来ていると囁く。

ユジョンに向かって呼びかけるユンス。
俺の顔が見える?
涙でボロボロになったユジョンがようやく顔を上げる。

俺の顔を忘れないで。
ユジョンさんならできるよね?
고맙습니다.사랑합니다.(ありがとう 愛してます)
누나!(ヌナ)

사랑해...
ユジョンも泣きながら呟く。


国歌を歌うユンス。
覆いがされ、ロープを首に巻かれるユンス。
怖いよ・・・国歌を歌っても怖いよ・・・
泣きすするユンス。

看守により、ユンスの荷物が整理される。
その中には、ユジョンにプレゼントされた写真もあった。
壁に貼っていた写真には、
木曜日10~1時
私達の幸せな時間
と書かれていた。
そして、ガラスのウィンドゥ越しに取られたケーキの写真には、
ガラスに映ったユジョンの顔が写り込んでいた。

END

死刑執行シーンでは、泣かないかもー
なんて高をくくっていたら・・・
めちゃくちゃ号泣してしまったわ・・・
最初から最後まで、ユンスにカタルシスを感じ続けていたから、
耐えられないくらい辛くなっちゃったのよね・・・

ユジョンの母の裏切りは、最後の最後で明らかになったのだけれど・・・
もっと早くに明らかに・・・と思ったけど、
こういうオチがあるから仕方なかったのね・・・
けど、途中がもったいなくなってしまったわ。
最後にオチを作らなくても、十分感動できたはずよ・・・

壁に貼られた写真のオチ・・・
すごくいいわ・・・予想もしなかったわ・・・ユジョンが写り込んでいたなんて・・

mocaの一番好きな映画になるかもしれないわ・・・






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