黒い家  Black House
 原題: 黒い家 검은집(コムンジプ) <2007>

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黒い家

初出勤の日。保険会社調査員チョン・ジュノ(ファン・ジョンミン)は、1人の女 性からかかってきた相 談電話を受ける。

 「自殺した場合、保険金はもらえるのでしょうか?」

ジュノは、個人情報を話したり、同情心を表わしてはいけないという社内規約が目にはいるが、自分の 名前を名乗ると共に、親身に回答してしまう。

数日後。チョンジン(清津)洞の顧客から、ジュノを名指しで訪ねるよう依頼がある。その男は、自分の言うこと をきかない息子を説教してくれと、ジュノに子供部屋のドアを開けるよう頼む。しかしその部屋では、7歳の幼 い息子が首をくくったまま死んでいた。彼をより一層混乱に陥れたのは、ジュノの顔色をうかがう父パク・チュンベ(カン・シニル)の視線だった。顧客の生命 を保護するための保険が、人を殺すこともあるのだろうか。ジュノは少年の死が、父による保険金殺人と確信し、保険金支給を中止させてしまう。しかし、あら ゆる証拠は、100%自殺だと立証してしまう。

そして、5年前にパク・チュンベと再婚したシン・イファ(ユソン)に3億ウォンの死亡保険金がかけられてい ることが明らかになる。ジュノは彼女を助けたいが、死が連鎖的に続き、死の痕跡が次々に現れる。5人の死の真実とは?迷宮を追うジュノと、謎の殺人者との 対決の果てには、驚くべき真実が隠されていた。

【予告編】


監督 シン・テラ <2007>黒 い家、<2009>7級公務員

出演

ファン・ジョ ンミン

出演作品一覧

ユソン

<2003>4 人の食卓、<2005>鬘 かつら、<2007>黒い家

カン・シニル <2001>公 共の敵、 <2002>ジェイル・ブレーカー、<2003>清風明月、<2003>シルミド
<2003>千年湖、<2004>サム~SOME~、<2005>公共の敵2、<2005>Mr.ソクラテス
<2006>と かげの可愛い嘘、<2006>韓半島、 <2006>私たちの幸せな時間、<2007>黒い家
<2008>カン・チョルジュン 公共の敵1-1、 <2009>7級公務員、<2009>私の愛、私のそばに(特別出演)、<2010>小さな池
キム・ソヒョン <2000>REC【レック】、< 2001>ベサメムーチョ、< 2002>オーバー・ザ・レインボー
<2002>恋する婚活プランナー、<2003>欲望 Lovers、<2004>天国からのメッセージ、
<2005>女子高の怪談4-ヴォイス-、<2006>シティ・オブ・バイオレンス -相棒-
<2006>ある日突 然 2番目の話-4番目の階、<2007>黒 い家

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【レビュー&ネタバレ】
この映画はすごい!
久しぶりに手ごたえのある映画を観た気がするわ。
映画がすごいというよりも、原作の素晴らしさを実感するわ。
原作は、1997年度の日本ホラー小説大賞を受賞した貴志祐介の「黒い家」
日本でも、森田芳光監督により1999年に映画化されてます。
原作が素晴らしくても、映像化されると破綻してしまうことはよくある話。
それを考えると、この映画は原作に忠実にできているのでしょう。
本当に面白い映画だったわ。
ホラーというよりも、ミステリーね。
次々と予想もしない展開が待ってるわ。
ただ、面白いとはいっても、かなり本格的なミステリーなので、
ミステリーに興味がない方には向かないわ。
ホラー要素もありますしね。

そして、ホラーとしてだけではなく、考えさせられるテーマも。
ラストのファン・ジョンミンと犯人の会話は衝撃的です。
なかなか深い映画です。

観客動員数は約140万人。
この映画を”ホラー”として分類するのであれば、大ヒットです。
韓国でホラー映画は、100万人を突破すればヒットと言われます。
ホラー映画といえば、アイドル俳優、スター俳優が出演することが多いですが、
この映画は演技派俳優ばかりの出演。
それを考えると、本当に大健闘なのかもしれませんね。

ファン・ジョンミンはさすが!の演技力ですし、あまり馴染みのないユソンも名演技を見せています。
ユソンは、4人の食卓 の、パク・シニャンの婚約者。
もう1人パク・シニャン絡みでは、ドラマ<パリの恋人>のパク・シニャンの元妻スンギョンを演じた
キム・ソヒョンがファン・ジョンミンの恋人。
キム・ソヒョンって、美人な故に善良な役柄は少々違和感が.......
ドラマ<グリーンローズ>のユラン役が一番しっくりするわ。

そして、名俳優カン・シニル。
元々は演劇畑の俳優として名を轟かせ、映画やドラマに出演した途端、あっという間に名を馳せたわよね。
人情味のある役がよく似合うカン・シニル。
今回はちょっと奇怪な役柄で、ちょーっとイマイチ違和感を感じずにいられなかったわ。
見るからに”怪奇的”な俳優をキャスティングして欲しかったわ。


元銀行員のジュノは保険会社へ転職。
初出勤日で受けた相談電話で、自分の名前を名乗った上に
相手が自殺を考えていることを察し、思いとどまるよう説得してしまう。
自分も、身内を亡くした立場だから、残された者の気持ちがわかると。
そんなジュノに、顧客からご指名がかかる。
いつもの担当者に不愉快な思いをさせられたので、ジュノに家に来て欲しいと。
ジュノは不信に思いながらも、顧客の家を訪ねる。
その顧客は、ペク・チュンベ。
チュンベは自分の部屋にいる息子に、客に挨拶するよう声をかけるが返事がない。
大人の言うことをきかない息子に手を焼いていると、
大人に注意をされれば、息子も少しは改善するでしょうと、
チュンベは息子に話をしてやってくれと、息子の部屋のドアを開けるようジュノを促す。
気が進まないながらもドアを開けると、なんと部屋の中で7歳の息子は首を吊って死んでいた。
おののくジュノ。
しかし、ジュノを更に混乱させたのは、チュンベの表情だった。
ジュノはチュンベが保険金目的で息子を殺害したと直感し、保険金の支給を中止する。
しかしチュンベは、毎日ジュノの会社を訪れ、保険金を支給するよう騒ぎ立てる。
その時ジュノは、チュンベに親指がないことに気づく。
チュンベは、自分の指を切り落として保険金をせしめた前歴があった。
結局、チュンベが殺害したという証拠もなく、保険金は支給されてしまう。


と、出だしからしてセンセーショナルな......
これからどの方向に転がっていくのか、まったく予測できず。



ジュノの恋人ミナは、ジュノが心配でならない。
そんな危険な人物と関わって、ジュノの身に危険が及ぶのではないかと。
ミナの相談されたと、心理学の助教授スンギュがジュノを訪ねてくる。
スンギュ曰く、チュンベは ”サイコパス(Psychopath)” ではないかと。
サイコパスとは、喜怒哀楽の感情が存在しない精神疾患者。
自分が痛みを感じないために、相手の痛みがわからない。
だから、他人を傷つける。
自分の利益のためならば、自分の息子だろうと平然と殺すことができるという。
サイコは自分が何をしているのかを理解できない、子供を殺したくて殺す、
しかしサイコパスは違う。
子供を殺せば保険金がもらえるのがわかっているから殺すのだとスンギュは言う。

そんな時、チュンベの妻イファに3億ウォンの保険金が懸けられていることが判明。
ジュノはイファの身の危険を案じる。
なんとかイファに危険を知らせようと、ジュノは苦心する。
ジュノはイファ宛に差出人不明で手紙を書くが、それをチュンベが見てしまう。

ジュノが家に帰ると、犬の頭部が玄関に置き去りになっていた。
それは恋人ミナの愛犬の頭だった。
それだけでなく、スンギュが遺体で発見される。
スンギュを殺したのは、チュンベなのか?ジュノは恐怖に陥る。
警察に言っても取り合ってはもらえない。


さ て、この先は未 見の方は見てはいけません!!



ジュノはスンギュが書いたサイコパスに関する論文を読み漁る。
猟奇的な殺人者の中には、サイコパスが存在することがあると。
それだけではなく、他人の体と同様、自分の体も大事に思わない傾向にあるという。
それを読んだジュノはハっとする。
イファの手首の傷を思い出したのだ。
もしや、サイコパスはイファ?
ジュノはイファについて調べるが、驚くべき真実が判明する。
チュンベは、イファの三番目の夫だった。
その前の二人の夫は、腕を切断され保険金を支給されていた。
その頃、イファはチュンベの両腕を切断しようとしていた。

チュンベが両腕を切断され、入院する。
イファは保険金をくれと、顔色一つ変えずにジュノに言う。
ジュノはあなたには心がないのかと問う。
「子供が死ぬ以前から私のことを知ってましたね?どうやって知ったんですか?」
ジュノは動揺しながらイファに問う。
初出勤日の電話の主。あれがイファだったのだ。
イファは少しも悪びれず、しれっとジュノに明かす。

今回の全貌を知った保険会社は、調査員にイファの元へ赴かせる。
保険解約同意書にサインをしろ、サインしなければ傷害罪で10年刑務所だと、
調査委員はイファを脅す。
そして、チュンベの家で、チュンベの腕を故意に切断した証拠をみつけるが、
その帰り道、イファに殺害されてしまう。

ジュノが家に戻ると、部屋の中がメチャクチャに荒らされていた。
部屋の中には、恋人ミナに渡した合鍵が落ちていた。
ジュノの顔色が変わる。
ミナの合鍵で部屋に入ったのだ.... ミナに何かあったんだ!!
ジュノは血相を変えてチュンベの家へと向かう。
ミナはチュンベの家に拉致されていた。
ミナを救出し抜け出そうとするジュノ。しかし、イファが戻ってきてしまう。
ジュノとイファの死闘が始まる。
しかし、危機一髪のところで、警察が助けにやってくる。
ジュノとミナは助け出されるが、イファは炎の中に一人立ち尽くしていた。
「まだ中に人がいるんだ!」
ジュノはイファを助けるよう大声でわめき立てたが、イファはそのまま炎の中へ消えた。

チュンベの家は全焼し、中から包丁を持ったままの丸コゲの遺体が発見された。
遺体を見たチュンベは泣き崩れる。
イファの小学校から同級生だったチュンベは、幼い頃からイファを愛し続け、
幼い頃の事件も、すべて自分がやったことにして、イファを庇い続けてきたのだった。
事件は、イファの保険金目当ての殺人だったと報道される。
それだけでなく、床下から4体もの遺体が発見された。
イファの事件の全貌が明らかになる。

事件は終わった。
ミナの病室に訪れるジュノ。
しかし、ベッドに横たわっていたのは、ミナではなくイファだった。
ジュノの腹を包丁で刺すイファ。
ジュノは血まみれで、病室から屋上まで逃げ出す。
「あんたも私も同じ。あんたも私を殺したいでしょう?」
イファは不敵な笑みを浮かべる。
二人は争いになり、バランスを崩したイファは、柵の外へ投げ出される。
咄嗟にイファの手をつかむジュノ。
ジュノのせいで弟を死なせてしまった記憶がよみがえる。
「そうだ、俺が弟を殺したんだ。これ以上、人が死ぬのを見たくない...
俺は、許されたいんだ。それが人間だ」
ジュノは必死でイファを引き上げるが、イファは持っていた包丁でジュノの手を切りつけ、地上へと落ちていく。

5ヶ月後。

仕事で顧客の入院している病院を訪れるジュノ。
そこには、子供たちの描いた絵が展示されていた。
ジュノは1枚の絵に釘付けになる。
それは、連続殺人犯であるサイコパスが描いた絵にそっくりだったのだ。
その絵を描いた少女は母に子犬が欲しいとねだる。
「また?この前もいなくなったのに」
母は娘に言う。
「いなくなったんじゃないわ。誰にも言わないでね。私が子犬をどうしたかというと........ 」

END

思わせぶりなラスト。少女は、もう1人のイファですね。
サイコパスだったイファと同様に、動物を殺めてしまうのでしょう。
この少女ホンヨンは、イファの幼い頃と同じ女の子ペ・ソヨンちゃんが演じておりますが、可愛いの。
活躍を願います。もっと見たいから(笑)

イファが落ちていくシーンはなぜかせつなくて......
「あんたも私と同じ。私を殺したいでしょう?」
「これ以上人が死ぬのを見たくない。俺は許されたい。それが人間だ」
このセリフは、深いですね.... 衝撃でした。




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