GP506 
 原題:GP506 <2008>

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暴雨の夜。誰も入ることも出てくることもできない非武装地帯内の最前方境界警戒 所(GP:Guard Post)で、小隊員21人中、意識不明の1人を除いた20人が謎の抹殺に遭う事件が発生する。

事件の真相を捜査するため、軍当局は捜索隊を派遣するが、 暴雨で道が崩れ、捜索隊までもがGP506に閉じ込められてしまう。

捜索隊の中には、軍最高の精鋭要員と評価されるノ捜査官(チョ ン・ホジン)が含まれている。ノ捜査官の妻の葬儀場まで訪ねて行った将軍(ソン・ビョンホ)は、抹殺された死体の中からGP長を探してこいと命じる。

陸軍 士官学校出身のGP長が、参謀総長の息子であるという事実に国防部全体が緊張する。ノ捜査官に与えられた時間は、その日の明け方6時まで。しかし、新しい 事実が明らかになる。死体は19体。生存者は1人。あと1人の痕跡がない。迷路のようなGPを捜索しながら、発電室で意外な人物.... 生きているGP 長を発見する。しかし彼は、本隊復帰を要求するだけで、疑惑の兆しが見え始める。

【予告編】

監督 コン・スチャン <2004>R ポイント、<2008>GP506

出演

チョン・ホジ ン(千虎珍)

<2001>ロ ストメ モリーズ、<2002>二 重スパイ、<2004>マ ルチュ ク青春通り
<2005>四月の雪、<2004>ビッグ・スウィンドル!(犯罪の再構成)、<2004>オオカミの 誘惑
<2004>人形霊、<2005>ク ラ イング・フィスト(拳が泣く)、<2005>私 の生涯で最も美しい一週間
<2006>吸血刑事ナ・ドヨル、<2006>デイジー、<2006>卑劣な街、<2006>三差路の劇場、
<2007>よいではないか、<2007>用意周到 ミス・シン、 <2008>GP506、<2009>炎のように蝶のように
<2010>悪魔を見た、<2010>殺したい
チョ・ヒョンジェ(趙現宰) <2003>ス キャンダル-朝鮮男女相悦之詞、<2008>GP506
イ・ヨンフン <2006>後 悔なんてしない、<2008>GP506、 <2008>走れ自転車、<2010> 解決士
イ・ジョンホン <2000>春 香伝、<2002>醉画仙(チファソン)、<2002>公 共の敵、<2003>シルミド
<2004>20のアイデンティティ、<2005>クライング・フィスト、 <2005>五つの視線、
<2007>最強ロマンス、<2007> 撃つ、<2007>セブンデイズ、<2008>ハミング、 <2008>GP506

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【レビュー&ネタバレ】
2008年4月公開。観客動員数は、約95万人。
ヒットとは言えない数字。
だが、2008年上半期のTOP10にランクインしているという.........
そもそも、100万人を突破した作品が7本しかない。
韓国映画では、ヒットの基準は200万人と言われている。
(ブロックバスター大作では、400~500万人)
しかし、200万人を突破した作品は3本しかない。
韓国映画の衰退が顕著だ。

この映画も、随分前に撮り終わっていた記憶が...
公開を伸ばし伸ばしにされていたのは、自信作ではなかった証拠でしょう。

この映画は、軍隊を素材にしたミステリー。
軍隊は軍隊でも、目の前は北朝鮮という最前線の警戒所。
その閉じ込められた空間で起きた謎の虐殺事件。

なぜ殺されたのか?
殺したのは、誰だ?

その謎を追いながら展開されるのですが、
ミステリーであるけれど、ちょこっとスリラーでもあるかしら。
南極日誌>の軍隊版のようなもの。
そこに、ちょこーっと、<ユリョン>のテイストを加えた感 じね。

チョン・ホジンは初めての主演。
いい役者です。
けれど、やっぱり<南極日誌>のソン・ガンホのような 人を挽きつけるカリスマが足りない。

ミステリーはミステリーでも、あまりにも現実離れした展開で、
中盤には興味も半減、中だるみで飽き飽き。
軍隊だから、皆軍服だし、端役があまりにも多い上に個性がなくて見分けがつかない。
名前も、カンやら、キムやら... その上、職位も上等兵、中尉....
なんだか、よくわからなくなる。
男性なら、こういう素材は面白くて血が騒ぐんでしょうか?
ストーリーも、過去に飛んだり、現代に戻ったりと.....
けっこう疲れる映画かも。

後半、どんどんグロくなっていきますのでご注意を。
作り物だとわかっていても、気持ち悪い.....

ミステリーでありながらも、人間としての尊厳を問う作品。
そこをもっと掘り下げ、ヒューマンドラマ色を強くしたら、
もっと感動的な作品になったと、残念です。



【ノ捜査官】
チョン・ホジン
【GP長】
チョ・ヒョンジェ
【カン上等兵】
イ・ヨンフン
【軍医官】
イ・ジョンホン
【ユン下士】
キム・ビョンチョル
【パン中尉】
チェ・ギュファン
【ユ中尉】
パク・ヒョンジェ
【副GP長】
ムン・ヨンドン

もう一人の主役、チョ・ヒョンジェ。
この映画が公開されたのは3日。しかし、その2日前の1日に軍入隊。
そして、数日後の4日に病気を理由に出所してしまったという話題の人(笑)
でも、フツーに考えて、映画公開時にはプロモーション等もあり、入隊しないわよね。
チョ・ヒョンジェも、映画公開に合わせて入隊を調整していたそうで
映画の公開が遅れたりしたのも悪かったのよね。
チョ・ヒョンジェも被害者といったところでしょう。
ドラマ<パパ3人ママ1人>の撮影も終わって、8/5に改めて入隊するそうです。

重要な鍵を握る人物、カン上等兵。
映画初出演となる<後悔なんてしない>では、同性愛者であるゲイを演じ、
今回二作目にして、メインキャラクター。
決してイケメンとは言えず、どちらかといえば、ブ?
なのに、人を挽きつけるものがある。
これからが楽しみな俳優。
カン上等兵のキャラクターもよかった。
普段「あのバカが!」と言われるような人物が、実は一番人間らしかったりするのよね。

クールでリアリストの軍医官には、イ・ジョンホン。
出演作は多いけれど脇役ばかりで、最近頭角を現してきましたね。
今回も、<シルミド>同様、自らの保身に走ります。

ユ中尉は、<ランラン18歳>のジョンチャン!

も一人!mocaの大好きなムン・ヨンドン!
ホリデー>の半分!(なぜ半分かは、映画を観てくださ いませ)
出演作が少なすぎてみることができないので、ちょー貴重。
イ・ソンジェの弟分を演じたソル・ソンミンも、除草作業に行く兵士の一人で出演しているわ。


* * *

ストーリーを説明するほどの映画ではありませんが.......


最前線のGPで、兵士全員が抹殺される事件が発生。
ノ捜査官は、GP長が参謀総長の息子であることから、GP長の遺体を捜すよう命じられる。
期限は、明日の明朝まで。
(期限を設定する効果を感じれず by moca)
ノ捜査官は早速GPへと向かう。
そこでは、軍医官が既に遺体の収集を始めていた。
遺体は既に傷み始めており、遺族からのクレームを避けるため
損傷を少なくしようとすぐさま遺体を引き上げるとのことだった。
「GPでの総指揮は私が執る。今後GP外に遺体は運ばせない」
ノ捜査官は宣言する。

GP506所属は21名。
意識不明者が1名。意識不明者は、カン上等兵。
残り20名が殺害されたはず。
しかし、遺体が1体足りない。
ノ捜査官はGP内をくまなく探すが、思いがけないものを発見する。
それは、生きたままのGP長だった。
GP長は怯えた獣のようだった。
GP長をなだめ落ち着かせるが、何も話そうとしない。
本体に復帰させれば全て話す、それだけを要求するだけだ。
「どうせ話しても、誰も信じない」
いくら説得してもGP長の考えは揺るがない。

GP内から、ビデオカメラが発見される。
そこに映っていたのは、カン上等兵。
「これから、20名全員を殺す」
それだけがテープに残されていた。
なぜカン上等兵は、20名全員を殺さねばならなかったのか?

GP長は本隊へと移送されることになる。
しかし、激しい雷雨で道が塞がれてしまい、軍医官たちと共にGPへ戻ってくる。
ここから出られない....
GP長は狂ったように窓ガラスに頭を打ちつけ始める。

GP長は、なぜそんなにもここから出たがるのか?

GP長はようやく重い口を開き始める。
私は幽霊などは信じないが......

ある日、GPの外へ除草作業へ出かけたマ兵長たちが失踪してしまう。
GP内では、マ兵長たちを捜索するために、捜索隊が編成されるが、
ようやくマ兵長たちが戻ってくる。
それから、異変が始まった。
マ兵長は部下や犬を襲い始めた。
そして、マ兵長に襲われたキム一等兵は、事件当時の記憶が全くないという。
そして、激しく怯え始める。
助けてくれと。
GP長が意識を失い目覚めると、キム一等兵は殺害されていた。

そして、ノ捜査官の目の前で、信じがたい事件が置き始める。
捜査隊の兵士が、仲間の兵士を殺害したのだ。
しかも、殺害時の記憶が一切ないという。
軍医官は、あることに気づく。
殺害した兵士の体に、謎のブツブツができていたのだ。
軍医官は、感染症だという。ウイルス性の。
亡くなった兵士たちの体からも、同様の症状があったという。
「ウイルスに感染すると、人間同士を攻撃しあうということはあるのか?」
ノ捜査官は、軍医官に問いただす。
狂犬病のようなウイルスの場合、神経症勢を伴う攻撃性向があると軍医官は答える。
マ兵長が失踪した時、どこかで原因不明のウイルスに感染したのであれば、
理論上はありえると。

意識不明だったカン上等兵が息を引き取る。
そして、アルバムを見ていたノ捜査官は、あることに気づく。
「騙された!」
先程までGP長だと名乗っていた男は、別の人物だったのだ!
GP長ではなく、医務兵だった。


↓結末ネタバレ。ご注意を↓



(回想)

GP長であるユ中尉は、ウイルスに感染していた。
キム一等兵を殺害したのは、幽霊などではなくGP長だった。
キム一等兵を撲殺しているGP長を止めたのは、医務兵だった。
GP長は、ウイルスの存在など認めなかった。
そして、キム一等兵が亡くなったことも本隊に報告しなかった。
時間が必要なんだ。
時間があれば解決できると。

(現在)

医務兵は、GPから逃げ出そうとしていた。
しかも、兵士の一人を体が引き千切れるまで何度もジープで轢き殺していた。
その兵士の顔は、ウイルスに感染し原型を留めていなかった。
ノ捜査官は、医務兵を捕らえる。
しかし、恐るべきことが起こった。
体を引き千切られた兵士が、地面を這い、別の兵士に襲い掛かったのだ。
これがウイルスの持つ力......?
ノ捜査官たちは恐れおののき、ウイルスの存在を認めるしかなかった。

捜査隊の中でも、徐々にウイルス感染が広まっていた。
事故防止のため、ノ捜査官らは武器の回収を命じる。
しかし、不安を感じた兵士たちは、それを拒む。
そして、その弾みで、銃撃戦が始まってしまう。

「治療薬はあるのか!ないのか!」
ノ捜査官は軍医官に問いただす。
しかし、それは軍医官にもわからない。
一つだけ言えるのは、ウイルスはホストがなければ生きられない。
ホストが死ねば、体内のウイルスも死ぬ。
ノ捜査官は、決意する。
俺たち全員が死ねばウイルスも.......
「全員は殺せない。それは虐殺だ。全員殺せば解決するのか?」
ノ捜査官の決意に気づいた軍医官はノ捜査官を制止する。
しかし、誰もノ捜査官を止められない。
ノ捜査官はようやくわかった。
カン上等兵が、なぜ全員殺さねばならなかったのかと。
この国の人間を殺人兵器にし滅ばせぬために、自ら犠牲になることを選んだのだ。
そしてノ捜査官もまた、今その道を選んだのだ。
GP内に灯油を撒き、爆弾を仕掛けるノ捜査官。
しかし、ノ捜査官が自分たちを殺そうとしているということに感づいた兵士たちに逆襲され
銃撃戦が始まってしまう。
皆が死んだ。
唯一生き残った兵士が外に出ようとドアを開けると
仕掛けられた爆弾が爆発する。
これで、全員死んだ.....

(回想)

ビデオカメラを回すカン上等兵。
何かわからないが、全員が病気になった。
今から、俺は全員を殺害する。
誰かがこのカメラを見た時、誰一人として生き残っていてはいけない。
もし生き残っていたら、その手で殺してくれ。

END

最後にカン兵士のカメラの全貌が明らかになりますが、
一部しか残っていなかったのは、
生き延びたい医務兵が「全員殺せ」というカン上等兵のメッセージだけを消去したから。

この状況に陥った時、
医務兵や軍医官と同様の考えに陥るのが大多数でしょう。
カン上等兵やノ捜査官のように、尊い選択をすぐに選べるでしょうか。

最初、ノ捜査官も自分は助かろうとしたんだと思っちゃいましたわよ。
尊い選択をしたと、もっとわかりやすく描いて欲しかった。
感動もまったくなし。
明朝までというタイムリミットを設定した効果も感じられず、
GP長が実は医務兵だった、なんていうどんでん返しも、いったい何を狙ったのやら。
もっと観客に訴えかける演出とシナリオを考えて欲しいわ。




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