卑劣な街  Dirty Carnival 
 原題:卑劣な通り 비열한 거리(ピヨラン コリ) <2006>

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卑劣な街
三流暴力団組織のナンバー2、ビョンドゥ(チョ・インソン)。組織のボスと這い 上がってくる後輩たち の狭間で、チャンスは一度も掴めない。組織内ですることといえば、踏み倒された金を回収する程度のつまらない人生だ。病気の母と二人の弟たちまで 責任を負わなければならない。

ゲームセンターの経営権まで、ボスの身代わりで監獄に入る後輩に奪われたビョンドゥは、再び絶望に陥るが、そんな彼にもチャ ンスがやってくる。

組織の後見人 ファン会長(チョン・ホジン)が、極秘で提案をしてきた。ファン会長は、一生面倒看てやるから、自分を苦しめる部長検事を処理してくれという要求をしてき た。

ビョンドゥは苦 悩の末に、危険ではあるが、賭けに出る。ファン会長と手を握ることで家族たちの生計の心配が消えたビョンドゥは、映画監督となって訪ねてきた同窓生ミノ (ナムグン・ミン)との友情も、初恋の人ヒョ ンジュ(イ・ボヨン)との愛も育てながら、人生が楽しいと思い始めた。

そんな新しい人生に対する夢を育てたある日、ビョンドゥはミノに、誰にも話せなかっ た本心を打ち明けるのだが・・・

公式サイト:http: //www.dirtycarnival.co.kr/
【予告編】
監督 ユ・ハ(柳河) <2002>情 愛、<2004>マルチュク青春通り、 <2006>卑劣な街
<2008>霜花店(サンファジョム)-運命、その愛、 <2011>ハウリング
出演
チョ・インソ ン(趙寅成) 出演作品一覧

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【レビュー&ネタバレ】
2006年6月(だった?)韓国 公開 の<卑劣な街>でございます。
チョ・インソンのための役!としか思えない役ですわねー
やっぱりチョ・インソンはチャラ男か、ヤクザが似合う(笑)
見た目は<星を射る>でソンテが演じた<深淵>の・・・・(名前は何でした?)そのまんま(笑)
キャラは・・・今までチョ・インソンが演じたキャラクターを全て合わせたようなキャラ!
もう魅力たっぷりよー
チョ・インソンファンにはたまらないわ。
チョ・インソンの魅力が最大限に発揮されているわ。
冒頭の導入部は最高よね
相手役はイ・ボヨン(スジン@ラストダンスは私と一緒に)よ。
これがまた濃厚なキスシーンで・・・
ファンには辛いかもですけれど、mocaはチョ・インソンのキスシーン好きなのよね。
ぎこちなくて、濃厚で・・・(笑)

チョ・インソンの母役は、<秋の童話>ジュンソ엄마(オンマ)ソヌ・ウンスク씨
上品で、上流家庭の母役が多いけれど、今回は貧乏で小汚く、老けた母役・・・
ちょっと馴染めないわ・・・
チョ・インソンの妹役は、<宮2>のヒロインであるホ・イジェ。
まるでキム・ハヌルなのよね。
引っ張りダコなのもわかる気がするけど、mocaのタイプじゃないわ・・・
チョ・インソンの右腕である子分ジョンスは、
<オールイン>でイ・ビョンホンの子役を演じたチン・グよ。
この役にはちょっと若すぎるんじゃ?と思ったら、チョ・インソンより一歳上なのね・・・
20歳そこそこかと思ったわ・・・
<オールイン>の頃よりアクが抜けた感じだけど、存在感はあるわよね。
ただ、一生脇役で終わりそうな雰囲気だわ・・・

マルジュク通り残酷史の続編的作品という この映 画。
前編でハンバーガー役だったパク・ヒョジュンがチョ・インソンの子分役で、
風紀委員長役だったイ・ジョンヒョクが、劇中でミノの撮影する映画の主人公で出演しているわ。

続編的とはいっても、まったく別物の作品。
高校を舞台にした前作では、学校に関連する人々の裏側・・・残酷さを描いているけれど、
今回はノアールということで、ヤクザを描いてはいるものの、ヤクザに限らず・・・
人間の卑劣さを描いているのよね。
というよりも、固定概念でモノを語るステレオタイプな人間に、ヤクザと一般人を絡ませて描くことで、
アイロニーを訴えたかったんじゃないかしら。
普通に考えて・・・
ヤクザであるビョンドゥは悪で、
好青年であるミノは善で、
けれども、それだけが全てではなく、善と思われる人間の方が卑劣だったりすることも・・・
mocaはそんなことはイヤというほど見てきたから、好青年=善だなんて思わないわ。
ミノの行動は、手に取るように想像できたし。
善人ぶって、平気で裏切るのよ。
優しくて、純粋で、情に深い、、、そんな人間の方が、世間では「悪」になっていることが多いわ。

この映画は観客動員数200万人を超えたヒット作。
チョ・インソンは映画祭で最優秀男優賞を受賞。
万人に向けた映画ではあるけれど、面白おかしく観れる映画とは一風違うわ。
やはり、ノアールはノアールだし。
生きるか死ぬかの世界の壮絶さを痛感するわ・・・
ただ、チョ・インソンの熱演で、ノアールほど重くもなく、楽しめる部分が多々あるわ。
29歳、崖っぷちの三流ヤクザ。
追い込まれたビョンドゥはどこまでも悲運で・・・
人生は甘くなく、残酷で、無情で、、情け容赦ない・・・
暗喩でありながらも、リアルに描いているわ。
エンドロールの中のチョ・インソンがせつなくて泣けてくるわ・・・
エンディングで流れているアラン・パーソンズ・プロジェクトの名曲「Old And Wise」が
よりいっそう切なさを盛り上げているの・・・ほんと名曲ね。
この映画はエンドロールが終わるまで観終えて、完結だと思うわ。


【キム・ビョン ド】
暴力団ナンバー2
チョ・インソン
【カン・ヒョン ジュ】
ビョンドの同級生
イ・ボヨン
【キム・ミノ】
ビョンドの同級生
ナムグン・ミン
【ファン・ミョ ングン】
会長
チョン・ホジン
【ジョンス】
ビョンドの手下
チング
【ハマ(河 馬)】
ビョンドの手下
パク・ヒョジュン
【ホンマン】
ビョンドの手下
パク・ミンギュ
【ミョング】
ビョンドの手下
チェ・ジェファン
【ノ・サンチョ ル】
中間ボス
ユン・ジェムン
【ヨンピル】
サンチョルの手下
チョ・ジヌン
【ビョンドの 母】

ソヌ・ウンスク
【ソノク】
ビョンドの妹
ホ・イジェ


ストーリーは、あらすじのまんまでございます。
病気の母と弟と妹を抱え、生活することさえもままならない三流ヤクザ、ビョンドゥが
一攫千金の賭けに出て、その結果破滅していく姿を描いているわ。

ノアール映画を撮りたい小学校の同級生ミノがビョンドゥに会いに来て、
ミノとの再会により、初恋の相手ヒョンジュとも再会を果たす。

「お前はヤクザには向かない。早くスポンサーをみつけるべきだ。
成功するために必要なものが二つある。
自分にとって必要な人間と、その人にとって必要なものだ。
サンチョルにとって、お前は既に不要な存在だ」
と、ファン会長に助言されたビョンドゥは苦悩の末、決断する。
ビョンドゥは一攫千金を賭け、パク検事を殺害し、ファン会長の期待に答える。
ファン会長の後ろ盾により、ヤクザ人生に光が射す。
しかし、突然人生がランクアップしたビョンドゥを、兄貴分サンチョル(ユン・ジェムン)は怪しみ、
ビョンドゥがパク検事を殺害したのではないか?と、疑い始める。
危険を感じたビョンドゥは、今度はサンチョルを殺害する。
警察から事情聴取はされるものの、難を逃れ、ますます軌道に乗るビョンドゥ。
ヒョンジュにも、好感を持たれているようだ。
しかし、ヒョンジュは不倫相手と別れたばかりだった。
ある日、ヒョンジュは勤める本屋に赴くと、不倫相手と口論するヒョンジュを見かける。
執拗にヒョンジュを追い回す不倫相手を激しく殴りつけるビョンドゥ。
そんなビョンドゥに驚愕したヒョンジュは、
「ヤクザは嫌いなの。二度と会いにこないで」と、言い放つ。
ビョンドゥはショックを受け、ヤクザになったことを後悔する。
ミノの家を訪ねたビョンドゥは、人を殺してしまった苦しみを打ち明ける。
ビョンドゥはヒョンジュに会いに本屋に赴くが、ヒョンジュは病気で当分休みだという・・・
ヒョンジュのアパートを訪ねたビョンドゥ。
ぐったりしたヒョンジュをみつけ、病院へと運ぶ。
退院したヒョンジュのためにお粥を作り、看病するビョンドゥ。
あー ビョンドゥすてきー
ヤクザだって構わないわ!
本屋で本をヒョンジュの足元に 落として・・・それが謎だっ たんだけれど、
ヒョンジュの足のサイズを測る ためだったとは!
立ち仕事で足が疲れるだろう と、オシャレで歩きやすい靴を ヒョンジュのために買って、
靴箱に置いて帰るのよ・・・
病気のヒョンジュを必死になっ て・・・
情の深さ、優しさ、愛・・・ ビョンドゥの全てが見えるわ。

ヒョンジュとの愛も、少しずつ育ってきて・・・
俺の中にはヒョンジュしかいない。
お前が望むなら、ヤクザをやめてもいい。
残りの人生を、お前と一緒に過ごしたいんだ・・・
ビョンドゥはようやく人生に幸せを感じ始める。
そんな矢先、ミノの撮ったヤクザ映画が公開される。
ビョンドゥたちを取材してリアルに撮ったその映画は動員数500万人を超える大ヒット。
しかし、その映画を観たビョンドゥは驚愕する。
なんと!ビョンドゥはミノを信じて打ち明けた、
パク検事殺害とサンチョル殺害までもが映画でリアルに描かれているのだ。

そんなことだと思ったわ よー!!
ぜーったいにコイツは裏切る と。
これ以後、キム・ジェウォン似の笑顔を見る度に吐き気がしたわ。

崖っぷちに追い込まれたビョンドゥ。
ジョンスはミノを始末しようと提案するが、
「秘密を守る」というミノの言葉を信じ、「責任は俺が持つ」と、ビョンドゥはミノを庇う。
しかし、ミノを信頼できないジョンスは、ビョンドゥに隠れてミノを拉致する。
ミノを山に埋め、バラしたら殺すと脅し、解放する。
危険を感じたミノは警察に行き、自分を守ってくれるよう、全てをバラしてしまう。

やっぱりね・・・
一度裏切った奴は何度でも裏切 るわよ・・・


結末までネタバレするわよー  ご注意をー


ヒョンジュにプロポーズしようと、本屋を訪ねたビョンドゥ。
そこへ警察がやってきて、ビョンドゥは何とか逃げ出す。
ビョンドゥは、ミノを殺して自分は国外へ逃亡すると、ファン会長に告げる。
子分たちの生活のために、立ち退きの仕事の分け前の約束は守ってくれるよう
ファン会長に念押しして。

ミノを始末するために、張り込むビョンドゥ。
ミノを捕まえたという子分の連絡を受け、車で向かうビョンドゥ。
しかし、車を降りた途端、見知らぬヤクザ達に襲撃される。
敵対するヤクザか?
命からがら逃げ出し、やって来た子分たちを見て安心するが、その子分たちに刺殺される。
「片付けろ」
冷ややかに言い放つジョンス。
ビョンドゥの遺体は山深くに埋められた。
肌身離さず持っていた家族の写真、小学校の時のミノとヒョンジュと一緒に撮った写真、
そして、再会したヒョンジュと撮った写真・・・遺体の上で燃えていく。

戻らぬビョンドゥを追うように、ビョンドゥの母も亡くなる。

ファン会長はミノを呼び出し、優秀賞受賞の祝杯を挙げる。
そこへジョンスがやってくる。
何事もなかったかのように、ビョンドゥのいるべき場所にジョンスがいる。
いつもと変わらない日常がそこにはある。
そして、ミノはビョンドゥが殺されたことを悟る。
ビョンドゥを殺してすぐにミノ が解放され、殺されなかった ということは・・・
そもそもジョンスはミノを殺す つもりなのではなく、
ミノが警察にタレこむことを見 越して、拉致して脅したので しょうね。
ビョンドゥを陥れるため に・・・
ミノも、それを悟ったんじゃな いかしら・・・
そして、自分もそれに加担したこと、
自分もいつビョンドゥと同じ目に遭うかわからない世界に足を踏み入れてしまったことを・・・

ファン会長はカラオケで、Old And Wiseを歌い、
その歌詞を聴いたミノとジョンスは何かを悟るのよね・・・
きっと、子分たちを家族と考え、ミノとの友情を信じたビョンドゥの想いに気づいたのでしょう・・・
このOld And Wiseは、

私が残したものを、私はあなたに知ってほしかった。
私の最も深い考えをいつも共有しました。
後に残すものを、私はあなた方全員に知ってほしい。
私が逃げたくなる最も辛い時期をいつも共有しました。
私の人生の幕が下りる 時
私の友達だったことを 思い出してください。

というような、親友に向けた曲。
この曲と共に、
「俺達の生き様を撮ってくれ」と、ビョンドゥがミノに残した言葉が
回想シーンで映し出されます。
せつないわ・・・
観てる最中よりも、観終わった後にじわじわくる作品ね。
エンドロールだけ見返すだけで泣けてくるわ・・・
「Old And Wise」は、「年をとれば賢明になる」という意味だけれど、
賢明というよりも、ずるくなる・・・ということよね。
そして、「汚い!」という批判を浴びても、年を取れば痛く感じなくなるものだと・・・

この映画を観て、<マルジュク通り残酷史>の邦題を、
<マルチュク青春通り>にしちゃいけなかったと思ったわ・・・。

<マルジュク通り残酷史>は、汚い大人、学校という社会、腐った奴ら・・・
それらに歯向かって、学校をやめていくわけだけれど、
大人になった<卑劣の街>では、年を取るとそんな無茶はできない。
自分にとって何が賢明であるかをまず考える・・・
ビョンドゥにしても、母と弟、妹・・・そして、子分たちのためにパク検事とサンチョルを殺害してしまう。
それが「仕方なかったんだ」ということ・・・
そして、ファン会長はミノを助け、ビョンドゥを抹殺することの方が賢明だと考える。
ミノの方が利用価値があるということだ。
ミノの作った映画については、「しょせん作り話だ」と、自分に言い聞かせ・・・
(警察や)周りにもそう語ったのか、語るのか・・・
そして、年を取ると批判も聞き流す術を身に着ける・・・
「Old And Wise」は、ビョンドゥへの懺悔の歌にもなっているのでしょう。

この<卑劣な街>が、<マルジュク通り残酷史>の続編ということがよくわかったわ。





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