南極日誌  Antarctic Journal 
 原題:南極日記 남극일기(ナムグギルギ)<2004>

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南極日記

極寒の南極を舞台に、1958年にソ連探検隊によって、たった一度だけ征服さ れた後、誰も到達できなかった南極の到達不能点(Pole of Inaccessibility:南緯82度08分、東経54度58分 海抜3700m、氷の厚さ3000m 海岸線から最も遠い地点)に向かう6人の探 険隊員が、80年前の英国探検隊が残した日記帳を発見した後、一人、二人と狂気に陥っていく。

零下80度の酷寒。昼と夜が6か月ずつ続く南極。探検隊長チェ・ドヒョン(ソン・ガンホ)をはじめとする6人の探険隊員は、到達不能点征服を目指す。日が 沈む前に到達不 能点に到着しなければならない世界最初の無補給横断。残された時間は60日。世界で最も難しく不可能に思える挑戦が始まる。

偶然に発見した古い旗。その下 に埋められていた80年前の英国探検隊の「南極日記」。日記に出てくる英国探検隊も今回と同じ6人。ところが、チームで 一番若いキム・ミンジェ(ユ・ジテ)は、日記に描かれた探検隊の絵が、自分たちとそっくりなことに気づく。

探検隊が「南極日記」を発見してから不思議なこ とが起きる。ウイルスがいない南極で風邪の症状でソ・ジェギョン(チェ・ドンムン)が倒れた。急に吹き荒れたブリザードの中で、危険千万な状況が続く。そ んな中、ベースキャンプのユジン(カン・ヘジョン)との交信も途絶え、通信装備が故障する。同時にベースキャンプに送信される奇異な映像と非情交信 音。ホワイ トアウトの白い闇の恐怖の瞬間、一人、二人と隊員たちが消えていく。

【予告編】

監督 イム・ピルソ ン <2004>南 極日誌、<2007>ヘンゼルとグレーテル

出演

ソン・ガンホ (宋康昊)

出演作品一覧

ユ・ジテ(劉 智泰)

出演作品一覧

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【レビュー&ネタバレ】
監督はイム・ピルソンという新人 監督だけれど、
脚本はグエムル~漢江の怪物~殺 人の追憶などのポン・ジュノ監督が加わっております。
あまりにもスケールの大きい内容のため、制作会社が3度も変わるわ・・・
実現まで相当な時間と労力を費やしたようよ。
しかも、「リング」や、「ロード・オブ・ザ・リング」のスタッフが特殊効果を手がけるという・・・・
めちゃくちゃ期待の作品ね。

けど、この映画、人気が出なかったようね?
ご覧にならないのは、冒険モノのヒューマンドラマだと思ってるのかしら?
冒険モノを題材にした、心理ミステリーでございます・・・(一部ホラーかも?)
mocaは観終わった後に、しばらくの間呆然としていたわ・・・・
なんていうのかしら・・・・
あまりにも引き込まれすぎちゃって、戻ってこれなくなった感じ(笑)
ほんとにそうよー
観てる最中なんて、他のことは一切考えられなかったくらいよー
ただ、時間が経って冷静になると、「一体この映画は何だったんだろう?」と、首を捻るけど(笑)
それはあまりにも中途半端だったから。
ミステリーなのに、タネ明かしががない・・・・・・・・・・・・
これは文学作品だったのかしら?
それともホラー?
いわゆる不完全燃焼作品になってしまったことが、
この映画がヒットしなかった原因ではないでしょうか?
この映画の<キー>となるべき、80年前の日記の正体も不明のままだし・・・・
観客に考えさせて、考えさせて・・・・
哲学的思想で締めくくられ・・・
これはミステリーじゃないわっ!
心に傷を抱えた男の心の旅ね。
しかも、前半と後半で狙いがズレちゃってるし・・・・
始めてみたら、全然違う場所に辿り着いちゃった・・・・そんな感じ(笑)
さすが韓国・・・・・
ただ、心理サスペンスとしてはなかなか凄いものがあるかも・・・・
もう、怖くて、怖くて・・・・
納得できるオチを用意してくれたら、よいミステリーになったのに勿体無いわ。
おかしな点を深く考えず、ただのこの恐怖を楽しめばなかなかのスリルを味わえるわよ。


まだ観ていない方には、ここまでで十分よ!
観たい方はこのまま映画へGo!

その前に、登場人物だけ紹介するわ。

①エベレスト無酸素登頂に成功した探検家チェ・ドヒョン(ソン・ガンホ)、
今回は失敗した到達不能点到達のリベンジ=隊長
②テレビでチェ隊長の勇姿を見て冒険家を志した、最年少のキム・ミンジェ(ユ・ジテ)
③副隊長のイ・ヨンミン(パ ク・ヒスン)=GPSと地図担当
④ヤン・グンチャン(キム・ギョンイク)=食事担当
⑤元救助隊員のキム・ソンフン(ユン・ジェムン)=通信担当
⑥普段は町役場に勤務するソ・ジェギョン(チェ・ドンムン)=ビデオ撮影と電子機器担当

ちなみに、カン・ヘジョンはベースキャンプでの通信と業務担当なので、
ちょい役程度しか顔をだしませーん。
カン・ヘジョンはなんで出演したのかしら?
暇だったの?


で は、結末までネ タバレするわよー


零下80度の酷寒。昼と夜が6か月ずつ続く南極。
探検隊長チェ・ドヒョン(ソン・ガンホ)をはじめとする6人の探険隊員は、
到達不能点征服を目指す。
ある日、80年前に英国探検隊が残した<南極日誌>をみつける。
それからというもの、不思議な出来事が起こり始める。
ウイルスが存在することが不可能な南極の地で、
ビデオ撮影担当のジェギョンが風邪の症状で倒れた。
歩くことさえも困難なジェギョンに、チェ隊長は無理矢理旅を続けさせる。
チェ隊長はミンジェに随時後方のジェギョンを確認するよう命じるが
経験の浅いミンジェはジェギョンを見失ってしまい、ジェギョンは一行逸れてしまう。
ミンジェに任せた隊長を隊員は責めるが、
経験のある隊員が自ら名乗り出なかったことが悪いと言い放つ。
手分けして捜索したが、彼のライター以外手がかりは見つからない。
その上、イギリス隊の隊員がミイラ化した死体を発見する。
チェ隊長はベースキャンプに助けを求めることも許さずに、探検を続けるという。
ベースキャンプに助けを求めることは、この探検を放棄することだからである。
以前、副隊長のイ・ヨンミンのために探検を断念したので、
チェ隊長ももヨンミンも今回は絶対に目的を達して帰還したかった。
一方、ベースキャンプのユジン(カン・ヘジョン)の元には、奇異な映像が届く。
そして、<南極日誌>にある通り、探検隊は5人になる。

元々隊長はジェギョンを見捨てるつ もりだった。そのた めに経験の浅いミンジェに確認を指示した。
なんとしても到達不能点征服を目指す隊長にとっては、 ジェギョンは足手まといでしかなかったのだ。
ビデオ撮影と電子機器担当のジェ ギョンがいなくても、隊長に とっては痛くも痒くもない。
ジェギョンが引いていたソリにあっ た食料や煙草を失うことだけ が、多少残念である程度。

撤退を主張する通信担当のソンフンと、
チェ隊長に盲目的に服従する副隊長のヨンミンは対立。殴り合いの喧嘩に・・・・
しかし、ソンフンの体重がかかった為に氷が割れ、ソンフンは落ちてしまう。
4人がロープで引っ張り救助をするが、
一番手前でロープを握っていたチェ隊長はロープを離してしまう。
ソンフンは死に、<南極日誌>の通り、探検隊は4人になった。
そしてミンジェは、隊 長の過去を知らされる。
10歳の息子がマンションの15階から飛び降り自殺をしたのだ。
一人で留守番をしていた息子は、一人でいるのが怖くなりチェ隊長に電話をしたが、
「もっと強くなれ!」と電話を切られてしまった。
その直後、息子は飛び降り自殺をしたのだと。
(白い影はなんだったのでしょう か?)
そして、そのことが原因で妻とも離婚をしていた。

チェ隊長がロープを放したのは、雪 崩が来るのを感じたため、
一人のために皆が犠牲になることを避けるため、
そして、ソンフンの姿が、自殺した息子の姿に重なったため・・・・
だが、この時折現れる<死んだ息子の姿>は、<チェ隊長の心の揺れ>を表したもの。
実際に息子の姿が見えるというよりも、チェ隊長が心乱れている表れである。
ロープを放した時のチェ隊長の表情からは、既に隊長が狂い初めていたことを感じさせる。
雪崩から身を守るだけではなく、食料不足である今、ソンフンの犠牲はチェ隊長にとっては好都合。

隊員から、「なぜ危険なところに行こうとするのか?」と質問されるチェ隊長。
「生きる為に行くのだ」と、「お前達のことはみな兄弟、 息子のように思っている」 と語るチェ隊長。
この<兄弟、息子のように思ってい る>というのが重要なポイン トです。
息子ように思っているから、<もっと強くなれ!>と、 思っている・・・・
弱音を吐くのが許せない・・・


夜、皆が寝静まると、(3 人が救 助を求めないように)無線機を分解 し、
部品をバリバリと噛み砕 き、食べてしまうチェ隊長。
ベースキャンプとの通信も途絶えた。
隊長を何とか信じ、探検を続ける3人。
逃げたくても隊長がELT(非常時用位置発信機)を持っているため従わざるを得ない。
しかし、ある日奇妙なことに気づく。
一週間前に通った場所と同じ場所を歩いているのだ。
さすがにこれには、3人は限界を感じていた。
隊長に絶対服従していたヨンミン副隊長さえも、ELTで救助隊を呼ぶよう隊長を必死に説得するが、
「出発点に戻ったなら、またここから始めればいい。生き残る道は到達不能点に辿り着くことだ!」
と言って、聞く耳を持たない。
ヨンミンはようやく現在置かれている状況に気づく。
そして、自分は副隊長なのだということを・・・
チェ隊長からELTを盗み出そうとするが失敗し、隊長はELTのバッテリーを抜いてしまう。
その上、ヨンミン副隊長のメガネを割ってしまう。
探検隊は見つけた小屋でひとまず休憩をすることにする。
そして、絶望に追い込まれたヨンミン副隊長は、手首を切り自殺 を図ってしまう。
ヨンミン副隊長はまたもや救助を呼びに行こうとさまようように 小屋を出て行ってしまう。
ミンジェはヨンミン副隊長を探しに行くが、みつけることができない・・・
小屋で2人きりになったグンチャンとチェ隊長。
グンチャンは凍傷で足が壊死し真っ黒になっているのをチェ隊長にみつかってしまう。
チェ隊長は「このままだと全身が腐ってしまうぞ」と彼の足をノ コギリで切り落としてしまう・・・
ミンジェは小屋に戻ろうとするが、何度も小屋の前をさまよう幻覚を見てしま う・・・
小屋に鍵がかかっていることを不審に思ったミンジェは、体当た りでドアを開けると、
そこには足を切断されたグンチャンが・・・・
「何とか助かった。ただ、足を切り落としてしまったから、もう一緒には歩けないがね」
と、いつものようにニヤリと笑うチェ隊長。
隊長の異常さに気づいたミンジェは、隊長に殴りかかる。
「父親を殴るのが子供のする事かー!!」と叫ぶチェ隊長。
その時ブリザードが小屋に襲いかかる。
吹雪がやみ、気がついた時には、チェ隊長は消えており、グンチャンも死んでいた。

すっかりミンジェを自分の子供と思いこんでいま す・・・

ミンジェは一人、到達 不能点を目指し、歩き始める。
消息を消した探検隊を探して、到達不能点に救助がやってくるはずだから。
もうすぐ、6ヶ月続く夜が来てしまう……そうなったらもう、絶望的だ。
隊長が固執し続けた地点。「でもただの地上の点に過ぎない」ミンジェは呟く。
ようやく到達不能点に到着するミンジェ。
ぐったりとしている彼の目に人影が・・・
その人影は、猛スピードでミンジェに近寄ってくる。
救助隊だと思い明かりをつけるミンジェ。
それはチェ隊長だった。
「到達不能点なんて、この広い大地の中の、ただの点でしかないんだ!」
ミンジェは、隊長に言い放つ。

俺の目指すところは誰も来れないところだ。そんなところしか行けないんだ。
ここは俺を受け入れてくれると思ったのになぁ。
お前は俺を止めてくれると思った。止めるべきだった。
寒くて怖くて気が変になっているのに・・・

そう言って、チェ隊長は一人歩いて行ってしまった・・・

というわけです。
「ただの点!」というミンジェの言葉に、隊長は我に返ったんでしょうね・・・・
「寒くて怖くて気が変になっているのに・・・」
オチはそれだけかい!!って感じだけど・・・(笑)
極限の世界が見せた狂気ということなんでしょうね・・・・
<南極日誌>に描かれていた一人の男の後姿・・・それが隊長に似ていると言っていたミンジェ。
「こんな格好をしていれば誰でも似るよ」と返された言葉には、
こんな極限に陥れば、誰でも狂う・・・こうなるよ、ということなのでしょうね。
<南極日誌>に描かれていたことが、ミンジェたちの隊にも起きる・・・
それは英国探検隊の呪いなどではなく、
このような極限に陥れば、同じような過程を辿っていくということなのでしょうね。
仲間を裏切り、見捨て・・・そこまでして目指すものは、
<ただの点にしか過ぎない>
ボロボロの木片が立っているだけの、ただの点・・・・・
そのことをミンジェに気づかされ・・・・
チェ隊長は、息子を失い、いつも苦しみに苛まされ・・・・
ここに辿り着けば・・・と、まるで何かにとりつかれたかのように到着不能点を目指して・・・・
けれど、ここがただの点であり、辿り着いても何も変わらなかった・・・・
<俺を受け入れてくれる場所>
それは、隊長を苦しみから救ってくれる場所・・・・
到着不能点でさえも、彼の苦しみは救われなかった・・・・
もう残るのは・・・・<死>しかないのかもしれないですね・・・・

そう考えると・・・ちょっとせつないですね・・・・

<南極日誌>を拾ったことによる不思議なできごとは、
極限に陥った人間が見せる狂気だとして・・・
あの息子の影はいらなかったと・・・・
チェ隊長の苦しみ、自責の念を表すには、他の方法にして欲しかったわ。
幽霊と思わせることで、もっと緊迫感を観客に与えたかったのかもしれないけれど、
混乱するだけで、少しも怖くないし・・・
あれもこれもと欲張って、支離滅裂な結果になったわね。
それなりに面白い作品になったでしょうに、勿体ないわ。
でも、観終わった後のあの放心状態は、なかなか味わえないわー
(意味がわからなくて・・・放心状態もあったけど/笑)
そういう意味ではちょっとオススメするわ。



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