炎のように蝶のように    The Sword With No Name  
 原題:炎のように 蝶のように 불꽃처럼 나비처럼 (プルコッチョロム ナビチョロム)<2009>

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19世紀末。帝国主義列強は、天主教(カトリック)と新文物を前面に出し、 植民地征服を東アジアに拡大していた。

しかし朝鮮は「高宗」が王位に上がり、彼の父「大院君」は、強い鎖国政策を執り国の門戸を閉ざしていた。

朝鮮全土は新しさに対する渇望と恐れから、改革と保守の葛藤に巻き込まれ、大院君は王権強化のために王侯選別を急ぐ。

世の中に存在を知られないまま刺客として生きているムミョン(無名)は、ある日、今まで感じたことのない新しい感情を経験するようになる。それは、血の 臭いが染みついた自分とは余りにかけ離れた女性ジャヨンに出会ったこと

しかし彼女は、まもなく王侯になる身で、数日後には高宗とジャヨンの婚礼が行われる。

ムミョンは王以外は誰も彼女を手に入れることができないならば、ジャヨンを死ぬまで守ってやると誓い、入宮試験に通り彼女の護衛武士となる。

一方、冷たい宮廷生活と、舅との政治的見解の違いで一日も安心できない毎日を送るジャヨンは、ムミョンの刃が自分を守ってくれていることを知り、温み を感じるようになる。

しかし日本の外圧と、それから朝鮮を守るためのジャヨンの外交が衝突し、彼女に対するムミョンの愛も狂風の歴史の中に巻きこまれるようになる。
【予告編】
監督 キム・ヨンギュン <2001>ワ ニ&ジュナ~揺れる 想い~、<2005>赤い靴、<2009>炎のように 蝶のように

出演

チョ・スンウ(趙承祐) <2000>春 香伝、<2001>ワニ&ジュナ~揺れる想い~、 <2002>フー・ アー・ユー?
<2002>爆裂野球団!(特別出演)、<2002>H [エイチ]、<2003>ラブストーリー
<2004>下流人生~愛こそすべて~、 <2005>マラソン、<2006>とかげの可愛い嘘
<2006>タチャ イカサマ師、<2008>GO GO 70s、 <2009>炎のように蝶のように

スエ

<2004>ファ ミリー、<2005>ウェディング・ キャンペーン、<2006>夏物語
<2008>あなたは遠いところに、 <2009>炎のように蝶のように、 <2010>深夜のFM
【ムミョン(無 名)/ヨハン】
護衛武士
チョ・スンウ
【ミン・ジャヨ ン(閔紫英)】
明成皇后
スエ
【大院君】
高宗の父
チョン・ホジン
【ネジョン】
護衛武士
チェ・ジェウン
【高宗】
李氏朝鮮第26代国王
キム・ヨンミン
   
【ソヒ】
ムミョンの仲間
コ・スヒ
【テドゥ】
ムミョンの仲間
ソン・ヒヨン
【三浦梧楼】
朝鮮特命全権公使
パク・ミニ
   

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【レビュー&ネタバレ】
2009年9月公開。観客動員数は、約170万人。
92億ウォンが投入された大作。
それを考えると、170万人ではコケたとも言えますね.....

その原因は、中身の薄さも1つでしょう。
この映画のヒロイン「ジャヨン」は、ドラマにもなるくらい有名な「明成皇后」です。
明成皇后の人生はまさに劇的。
韓国人であれば、明成皇后の歴史は多少なりとも知っているでしょう。
そのせいか、明成皇后やその時代の歴史の説明が省かれ、
明成皇后について知識がない者は面白みに欠け、ストーリー的に不満を持つでしょう。
ドラマならともかく、歴史を掘り下げるのは難しいでしょうけれど、
興味深い歴史ですから、もう少しドラマ的に楽しませて欲しかったですね。
mocaは王が亡くなると次の王が即位するものと思っておりましたが、
息子の高宗を王に即位させ、自分は大監となり「摂政」を執るというのも興味深かったです。
しかも朝鮮の王は父に従う... というイメージがあったのですが、
親子でも政治的見解が違うものなのですね。
父を官職から追放するだなんて、考えもしませんでした。
やはり日本同様、血のつながりよりも「欲」が勝つ時代だったのですね。
政権に絡み、実の親が子を殺すこともあったのでしょうか。

明成皇后といえば欠かせないのが日本の存在。
ネタバレになってしまいますが、明成皇后を御存知であれば、この映画のラストは予想がつくことでしょう。
「私は朝鮮の国母だ」
というセリフは、あまりにも有名です。
明成皇后側の視点で見れば、日本は明らかに悪者です。
反日映画とも言えませんが、日本人は悪役ですし、日本輸出を考えての映画ではないのでしょう。
日本人がこの映画で楽しめるのは、ジャヨンとムミョンのラブストーリーだけです。
ですが、日本人としては居た堪れない映画です。
この映画は事実をモチーフにしていますから...
三浦悟楼も実在の人物です。
彼は日本にて逮捕されたものの、その後無実として釈放されております。
この映画を観た後に、その理不尽さを考えてみてください。
mocaが朝鮮人だったら、許せません。

この映画、たいして期待しておりませんでした。
主演がmocaの嫌いなスエと、珍しく男優で苦手なチョ・スンウですから....
二人のメローじゃなぁ... と。
あらすじ読んでも、興味湧かないし.....
ところが、韓流らしい純愛映画でした。

これ ぞ、純愛の 中の純愛!!

涙なくしては観られません。

音楽も大作にふさわしく、叙情的でせつない。

明成皇后などという著名なキャラクターを起用せず、
ストーリーに重点を置き、二人の純愛だけに焦点を当てたら、もっと良い映画になったかもしれませんね。
歴史的背景がわかりづらいことに加え、無駄なアクションが多すぎる。
ストーリー上必要なアクションだけに留めても十分見応えがあるのに、
やたらCGを使いたがって、アクションに随分時間を割いてます。
アクション映画にするか、メロー映画にするか、ハッキリさせるべきでしたね。
ただ、アクション映画にしたら、もっとコケたでしょう....(笑;)

護衛兵士と皇后の禁断の愛。
互いの想いを胸に秘め、心の中でだけ愛を育み続けた純愛。
王以外に手に入れられないのであれば、一生愛する女のそばで彼女を守ると護衛武士になった男。
そんな男の愛を知りつつ、表面には男への愛を表さない皇后。
そんなプラトニック・ラブだからこそ、純粋に伝わってくるのかもしれません。
ただ、ほんと単純です。
「結ばれない禁断の愛」を描いた単純な映画です。

ジャヨンは自分を犠牲にしてまで国を守りたかったのか。
あまりにも崇高な女性。
彼女は皇后となり、幸せを感じた日々はあったのか。
そう思えて仕方がありません。

ほんとにストーリーが陳腐といいますか、展開が読めすぎるのが痛いところ。
「名前」を伏線にした感動シーンは、あまりにもありがちで、少しも泣けません........
それが一番のこの映画の見所でしょうに。
へっただなぁ、としか思えない。
あまりにも予想通り過ぎて、一番の見せ場でテンション下がりまくり。
それでも、チョ・スンウの熱演と、ムミョンの無償の強い純愛に胸を打たれずにはいられません。
あれほどの愛は、映画でもなかなか見られません。

逆にヤラれたのが、義理・友情でしょうか。
コッテコテの感動狙いなのに、やはり義侠モノに弱いmoca。
ネジョンの最期には涙がホロリ。
アウトライブ~飛天舞~を思い出しました。

それにしてもネジョン役のチェ・ジェウン。
これがスクリーンデビュー。なのに、準主役的な役どころ。
彼は舞台俳優で、舞台で実力を認められている人物。
ですが、いくら実力があっても、存在感やインパクトのない役者を重要な役どころに起用するのは困ったもの。
何度見ても顔が覚えられない(笑;)

高宗役のキム・ヨンミンも存在感ないし....
キム・ギドク監督の春夏秋冬、そして春の キム・ヨンミンです。

この映画は、チョ・スンウ、スエといった実力派揃い。
安心して観られます。
苦手な俳優でも、実力があればそれなりに楽しめるのかも。
チョ・スンウは今までで一番かっこいい。
髭嫌いのmocaですが、チョ・スンウの髭許せます。
スエも皇后としての気品があり、言葉使いも貫禄があります。

劇中スエのベッドシーンがあり、数秒だけ全裸が映し出されます。
これはスエ本人でなく代役です。監督がハッキリ言ってます。
なのに、「全裸演技のスエは偉い」とか、「拍手!」とか言ってるヤツがいるからぁ.....
ちょっと大きな声で言っときましょか。

スエは 脱いでませんっ。

これでよし。

久々にコ・スヒが見れたのが嬉しいですね。コ・スヒ大好き。
日本に進出したものの、韓国の作品にもコンスタントに出演して欲しいですね。




↓  結末までネタバレします。ご注意を ↓



ヨハンは幼い頃、禁止されていた天主教(カトリック)の信者だった母を処刑された。
それからヨハンは、ヨハンという名を捨て「ムミョン(無名)」と名乗って生きてきた。

白夜行でも書きましたが、「ヨハン」は「ヨハネ」 の意味。
ヨハンの母がクリスチャンであったことを物語っていますね。


ある日ムミョンは、客として海へ行くというジャヨンを船に乗せる。
船着場でジャヨンは、戻るからここで待っていて欲しいと頼むが、
ジャヨンに一目惚れしたムミョンは、「俺も海が見てみたい」と口実を作り、ジャヨンに同行する。


最初は頑なだったジャヨンだが、ムミョンの明るさに触れるうちに心を開きだす。
そして、ようやく海へ着く。
初めて海を見たムミョンは、爽快な気分を味わう。


波打ち際に「紫英」と書くジャヨン。
「これは何という文字で?」
ムミョンが尋ねると、ジャヨンは答える。私の名だと。
「”赤い”の”ジャ”に、”花びら”の”ヨン”」
それを聞いたムニョンはどこかへと走り出す。
そして、花を一束抱え戻ってくる。
「ハマナスの花が赤いので、お嬢様の名前のようだと...」
ムニョンは照れながら花を手渡す。


この海は父との思い出の場所だとジャヨンは語る。
悲しいことや辛いことがあると、父が連れてきてくれたと。
ムミョンは何か辛いことがあり、ジャヨンが海に来たのでは?と、察する。
「心を慰める必要があるのですか?」
ムミョンは尋ねる。
「もうすぐ運命に従い遠くへ行きます。実は、怖いの」
ジャヨンは涙ぐむ。
そんなジャヨンを慈しむようにみつめるムミョン。

帰りの船で、ムミョンはジャヨンに水鳥の雛を見せる。
誰にも見せたことがない。秘密だ、と。
「こいつらは殻を破って出てくるとすぐに飛び立ち、二度と家には戻りません。たくましいと思いませんか?」
ムミョンは語る。
ムミョンの気持ちを察したジャヨン。
「その言葉を聞いて、元気が出ました」
ジャヨンは告げる。


船着場に到着するが、ムミョンは船の代金を受け取らないと言い張る。
困り果てるジャヨン。
ムミョンは申し出る。
「その代わりに、そのリボンを頂けませんか?」と。

別れの挨拶をしたその時、何者かがジャヨンを襲撃する。
身を挺してジャヨンを守ったムミョン。
ジャヨンはムミョンに与えたリボンで、ムミョンの怪我の処置をする。


刺客として生きるムミョンの元へ、殺しの依頼が。
それは何と、ジャヨンだった。
ムミョンは依頼主を裏切り、何者かがジャヨンを狙っていることをジャヨンを警護する護衛武士らに知らせる。


そしてムミョンはジャヨンを拉致する。
ジャヨンを守るためだ。
ジャヨンを抱きしめるムミョン。しかしジャヨンは無礼だととがめる。
「私は王家へ嫁ぐ身だ」と。
「ずっと昔、オモニを守れなかった。オモニが脅えているのに守れなかった。
あなたは今脅えている。海で、そこへ行くのが怖いと言った。
あなただけは守りたい。
あなたが望むのなら、二度と誰にも捜すことのできない存在にして差し上げます」
ムニョンは必死に説得する。
しかしジャヨンは拒む。
「自分の意思で行くのです。
明日になればジャヨンは消えます。二度とその名では呼ばれません。
ジャヨンとしての出来事は良い思い出として残したい。これで私達の出会いは十分です」
ジャヨンは言い放つ。ムミョンは何も言えない。


そしてジャヨンは高宗の皇后として婚礼を挙げる。
しかし初夜にして高宗から思いもよらぬ言葉を浴びせられる。
「他に女がいる」と。
ジャヨンは、友達でもなく、臣下でもなく、女でもない。
話はわかるし、徳もある。
徳のある人物を皇后としてそばに置いたと思うことにすると。
そして、王は初夜にも関わらず、他の寝所で休むと部屋を出て行ってしまう。
屈辱的な王の態度にも、黙って耐えるジャヨン。


ムミョンは王宮へと乗り込んでいく。
国王の父であり大監である大院君に向かって言い放つ。
「大監は身分を問わず人材を起用すると聞きました。私があの者に勝てば、私の望みを叶えてください」
そう言って、護衛武士の将軍であるネジョンを指差す。
大院君は愉快そうに笑う。
「あの者が何者か知って言っているのか?よかろう、お前の度胸を試そう。綿製背甲を着せろ」
退院君は命じる。
綿製背甲を着せられるムミョン。
それは銃弾を防ぐ防護服だった。まだ試作段階で人体実験はしていないという。
ムミョンは、それでもやると答える。
「死を覚悟してのお前の望みは何だ?」
大院君は尋ねる。
「禁軍として、王宮で働かせて下さい」
ムミョンは答える。


狙撃隊がムミョン目掛けて発砲する。
その銃弾の威力と苦痛に息をすることすら苦しいムミョン。
それでも再び狙撃隊の前に立つ。
再び発砲。ムミョンは今度は起き上がることすらできなかった。
それでも生き延びたムミョンは願いを叶え、護衛武士として王宮に入ることになる。


鎖国政策を執る大院君は、外国公館の大使夫人らと交流を持つ皇后に腹を立てる。
しかし皇后は大院君のおとがめにも堂々と意見する。
「花を咲かせてみなければ、どうすれば花が咲くのか知ることはできない。
西洋と交流しなければ、外敵を操る知恵も得られない」と。


ある日皇后は祈祷のために寺に出かける。
すると、籠の外から「ジャヨン」と呼ぶ声と共に、二羽の蝶が籠の中に舞い込む。
蝶を見て心が和むジャヨン。
籠の外を見ると、そこにはムミョンの姿が。


皇后はムミョンを呼びつける。
「どうしてここに?ここでの生活は望んでいないでしょうに」
皇后は尋ねる。
「あなたを守るために」
ムミョンは告げる。


皇后の働きのおかげで、ロシアと朝鮮の破格的な外交合意を得ることに成功する。
その話を聞きつけた日本公館の公使である三浦悟楼は危機を感じ対策を講じる。
高宗に新式軍隊の配置を要求する三浦に激怒する高宗。
日本はロシアと朝鮮との関係に憂慮している。
この憂慮を払拭する対策をとるよう三浦は高宗に言い放つ。


大院君に加担する派閥の人間らは、皇后に見せしめとして皇后の実母に爆弾を送りつける。
自分のために母が亡くなったことに嗚咽する皇后。
悲しみに暮れる皇后を見かねたムミョンは、大院君の側近であるネジョンに刀を向ける。
結局、二人の勝負は有耶無耶に終わる。

大院君はネジョンに命じる。
「国の魂を売る奴は罰を受けねばならない」と。
そして、ネジョンは壬午軍乱を起こす。(日本人には、壬午軍乱なんてわからんわよね)
多くの者が虐殺された。
しかし皇后はムミョンに連れ出され、難を逃れる。

今からでも、全てを捨て安らかに暮らしてください。もう王宮には戻らないでください。
ムミョンは皇后の身を案じる。
私がそばにいます。いつまでも....
そう願われるのであれば、私をヨハンとお呼びください。
ムミョンは申し出る。


長い道中を逃亡するムミョンと皇后。雨に濡れた皇后の体は冷え、熱を出してしまう。
ムミョンは服を脱ぎ、自分の体温で皇后を温める。
皇后をみつめるムミョン。ムミョンは思わず皇后の唇にキスをしてしまう。
皇后は意識を取り戻しムミョンのキスに気づくが、受け入れる。
しかし、ヨハンとは呼ばなかった。

一方大院君は、皇后が行方不明なのをいいことに、国民に皇后の死を宣布するよう命じる。
民心の収拾のためだ。
父の政策を快く思っていない高宗は、その動きに動揺する。
これでは、日本の思う壺だ。


ムミョンの弟分であるテドゥが皇后の手紙をロシア大使夫人へと届ける。
ことの事実を知った大使夫人は、高宗の医師に手紙を託す。
皇后の無事を知った高宗は、すぐさま皇后を迎えに遣いを出す。


戻った皇后を満面の笑みで迎える高宗。
大院君は計画が失敗し、はらわたが煮え返る思いだ。


「これからも、殿下と私を守ってください。ムミョン」
皇后の言葉に深く傷つくムミョン。
更に高宗が追い討ちをかける。
逃走中、皇后と二人きりだったムミョンに嫉妬した高宗は、今夜は皇后の寝所に泊まると言い出す。
しかも部屋の前でムミョンに見張りにつくよう命じる。
皇后の喘ぎ声を聞きながら、居た堪れなくなるムミョン。
(どう見てもスエじゃないわよね/笑。似た人使えばいいのに)


高宗と皇后の情事の最中、三浦が送った女刺客が皇后の命を狙う。
「殿下には危害は加えません」
女刺客は叫ぶ。
騒ぎを聞きつけたムニョンはすぐさま寝所に乗り込み、女刺客を斬る。

この騒ぎにかこつけて、大院君は皇后を追い込もうとする。
壬午軍乱の際、皇后は一人の護衛と二人きりで何日も消息を絶っていた。
あのムニョンという男が皇后に恋慕し、今回の乱を起こし、
皇后を拉致し欲望を満たそうとしたという噂で国中は持ちきりだと大院君は言い放つ。


ありもしない大院君の言葉に激怒した高宗は、大院君を大監から大老と降格させ官職を奪い王宮から追放する。
そしてムミョンも、皇后に怪我をさせたと、官位を剥奪され王宮から追放される。
ムミョンが王宮から追放されたことに、皇后は心を痛め涙を流す。

高宗の仕打ちに不満を持つ大院君は抗議の手紙を送りつける。
大院君の地位を始め、全てを元に戻すように。
さもなければ、大規模なデモを起こすと、デモの規模まで詳細に知らせてきた。
しかし高宗はその抗議を受け入れるわけにはいかない。
残る手立ては、皇后とムミョンの間には何の関係もなかったことを証明すること。
高宗は、自分のためにムミョンを父の前に立たせるよう告げる。
困惑し、言葉も出ない皇后。


皇后はムミョンを訪ねる。驚きと喜びを隠せないムミョン。
しかし皇后の話は、ムミョンにとって命がけの戦いだった。
「この戦いに勝利はないでしょう。断っても恨まない」
皇后は告げる。
「永遠に誰もあなたを捜せないようにして差し上げます」
皇后は告げる。
「やりましょう」
ムミョンは告げる。
「あなたが捜せないのでは、この世に存在する意味がありません」
ムミョンは告げる。
「必ず生き残ります。生きていれば、こうして会えるじゃありませんか」
ムミョンの言葉に、皇后は背を向けたまま涙を流し去って行く。


大院君が大勢の兵を引き連れ抗議にやってきた。
しかし、光化門の前にムミョンが立ちはだかっていた。
「王宮には入れるなという王命だ。行くならば、私を越えていけ!」
ムミョンは言い放ち、一人大軍に向かって行く。


次々と大院君の兵を斬って行くムミョン。
「大老!あんたの息子!あんたの嫁!あんたの民!皆殺す気か!どうか、やめてくれ!」
ムミョンは叫ぶ。
その時、光化門の門が開かれる。待機していた千人もの兵士達。
国民らも、大院君を非難する。
「私がお前を英雄にしたようだな」
大院君はムミョンに言い放ち、兵を引き揚げ去って行く。

(ホントはここでソヒが感動の大活躍するはずが、カットされてしまいました。でも、結果オーライ)


ミン・ヨンイクが息をはずませて報告に戻ってくる。
「やり遂げました!ムミョン将軍が彼らをはね除けました! 大院君と軍らが帰って行きます!」
「本当か?まさに驚くべき者だ」
報告を聞いた高宗は感嘆の声を上げる。
「ムミョンはどうなったのか?生きているのか?」
ジャヨンは必死な形相で尋ねる。
その瞬間、高宗らの冷たい視線が皇后に向けられる。
「彼は無事です」
ミン・ヨンイクは言いづらそうに告げる。
「そう...」
皇后は、興味ないよう装い答える。
「その者に十分な褒美は与えたか?」
高宗の言葉に、皇后の表情がこわばる。褒美だと?
高宗は皇后に告げる。
「もし、あの者が成功したならば、皇后の名で十分褒美を与えるよう命じておいたのだ。
立派な剣だが、王宮に再び入れることはできない」
皇后の表情がどんどん硬くなっていく。
「罵ればいい。だが、ムミョンとそなたが再び一緒にいた日には、私は必ずその者を殺す」
高宗の言葉に、皇后は言葉を失う。

そしてムミョンには、褒美が届けられた。皇后からだと。
耳を疑うムミョン。
「本当に?本当にあの方が下さったのか?本当のことを言え!」
ムミョンは泣き叫びながら兵士に刀を突きつける。
皇后が... 信じられない... こんな仕打ち....


三浦らは、大院君を訪ねる。我々が手を貸すと。
「追い詰められた大院君に、我々でなければ誰が手を貸しますか?」
三浦の言葉に、大院君は憤慨し、追い返す。

三浦らの会合の様子を探るネジョン。
「今日我々は、大日本帝国の命令により他国の王妃を暗殺する。
王妃を見せしめとして残忍に殺したという我々の蛮行は絶対外部に知られてはいけない。
このことは朝鮮内部の政争で発生した悲劇であり、日本はこの件とは何の関係もない」
三浦の言葉を聞いたネジョンは憤慨する。
ネジョンの報告を聞いた大院君。
「結局、野蛮な正体を現したな。行け!行って私の嫁を救え!」
大院君はネジョンに命じる。

その頃、王宮には三浦らが侵入していた。
刀を突きつけられ、捕らえられる高宗。


話を聞き、皇后の元へと急ぐムミョン。
「私と今一緒に行かないのなら、私はここで死にます」
ムミョンは言い放つ。
ムミョンの言葉に涙を流しながら皇后は語る。
「あなたは本当にバカです。なぜここに来たのですか。私をどれだけ苦しめているかわかりますか。
心が揺れます。共に逃げたくて....
再び将軍の命と引き換えに...
いえ... 彼らから逃げられるかもしれません....
しかし以前とは違います。
敵に背を向けた私を誰が慕うと思いますか?」
「そんなことは関係ない!どんなことがあっても生きなければ!
あなたのいないこの国が何になる.....」
ムミョンは必死に訴える。
「将軍、許してください」
皇后は告げる。
「あなたの恐怖がここまで伝わってきます....」
ムミョンは告げる。
「その通り。恐れています。あまりにも恐ろしすぎて将軍の顔も見れません」
皇后の気持ちを察したムミョン。
「恐れないで。何も起きません」
ムミョンはそう言うと、立ち去っていく。


待ち構えていたのはチェ尚宮。
「皇后様が自らの手で縫った甲冑です」
チェ尚宮は甲冑を差し出す。

ムミョンは皇后から贈られた甲冑を身にまとい、昔ジャヨンから貰ったリボンで刀と腕をくくりつける。
やってきた敵に一人向かって行くムミョン。
(なんで護衛武士が一人もいないんだよー)


次々と浪人らを斬って行くムミョン。
「俺が相手だ」
ムミョンに向かって行こうとする浪人を遮り、出てきたのはネジョン。
しかしネジョンは、ムミョンにでなく浪人に剣を向ける。
(浪人の相手はムミョンでなく俺だという意味だったのね。かっこいー)
ムミョンとネジョン。二人は次々と浪人たちを斬り続ける。
だが、その時に狙撃隊が。


ムミョンを庇い、銃弾を浴びるネジョン。
(綿製背甲はどうしたのよー)
二人を越えて、日本軍が王宮へと侵入していく。
息絶え絶えにネジョンはムミョンに告げる。
「行け!そして皇后様を守れ」
ネジョンは自分の剣をムミョンに差し出す。
後ろ髪を引かれる想いで皇后の元へと向かうムミョン。
「お前との剣は楽しかった。友よ...」
ネジョンは心の中でつぶやくと、そのまま息絶える。


三浦たちの前に立ちはだかるチェ尚宮や宮女たち。
「無礼者!一国の公使が子ネズミのように王宮に侵入するとは。さっさと下がれ!」
チェ尚宮は言い放つ。
そして、皇后を守るため、皆切り捨てられていく。
そこへムミョンがやってくる。
「俺がいる限り、お前らを一歩も近づけさせない!」
ムミョンは怪我した太ももの痛みを止めるため、自らの刀で太ももの神経を斬る。
「神経を切って足を諦め苦痛を減らす... 良い武士だ。お前ら、この方に丁重に礼儀を尽くせ」
三浦は言い放つ。
そして、浪人らはムミョンに斬りかかる。
浪人らの剣を交わすムミョン。
しかしその時、三浦の放った銃弾がムミョンの胸に撃ち込まれる。


ムミョンは皇后の顔を目に焼き付けようとするかのように振り返り皇后の顔をみつめ、
再び前に向くと、自らの足にネジョンの刀を深々と突き刺す。
自分が力を失っても、体が倒れないように...
自らの体が皇后の盾になるように....


次々と銃弾がムミョンの体に撃ち込まれる。
それでもムミョンは倒れない。
信じられない三浦。
皇后はそんなムミョンの姿をみつめ涙を浮かべながらムミョンに近寄る。


皇后を守るために渾身の力で立ち続けるムミョン。
皇后はムミョンの傷に触れる。
「ジャヨン」
ムミョンは皇后でなく、ジャヨンの名を呼ぶ。
二度と呼ばれることのないと言っていたジャヨンという名を。
「すまない....」
そう言うとムミョンは息絶える。
ジャヨンから貰ったリボンでくくった刀も、ムミョンの手から落ちる。
慈しむようにムミョンの顔に触れる皇后。


覚悟を決めたかのような皇后。
堂々とした気高い態度で三浦らの前に立ちはだかる。
「私は、お前達を恐れない。絶対に今日を、私を忘れるな。私は朝鮮の国母ミン・ジャヨンだ」
そして浪人らの刀が次々とジャヨンの体を貫く。
貫かれながら、「ヨハン、ヨハン...」と、今まで呼ばなかったヨハンの名を初めて呼ぶジャヨン。
そして、ムミョンに寄り添うかのように息絶える。


寄り添って横たわるジャヨンとムミョン。
火に焼かれる二人の遺体。
死んでもなお、ジャヨンの目はムミョンをみつめているかのようだ。

── 回想

赤いハマナスの花を摘む笑顔のムミョン。
ジャヨンを見守り続けたムミョンの顔。
目に砂が入ったジャヨン。ムミョンは舌でジャヨンの目を拭く。
照れて気まずくなるも、すぐにパっと笑顔になる二人。

END




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