ロスト・メモリーズ  2009 Lost Memories 
 原題:2009 ロストメモリーズ 2009 로스트 메모리즈(ロストゥ メモリジュ) <2002>

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ロスト・メモリーズ

1909年。ハルピン駅で朝鮮統監伊藤博文がアン・ジュングン(安重根)に狙撃 されなかったなら ば、第2次世界大戦で日本が勝利したとすれば、歴史はどのように変わっているだろうか?この映画は、その100年後の2009年において、日本の植民統治 が完全成功し、朝鮮は完全に日本となっていると仮定する。

日本は、朝鮮の独立のため戦う人々を’不令鮮人(フレイセンジン)’と烙印し、彼らの根を抜こう とするが、相次ぐ不令鮮人のテロの目的が何かわからない。事件は、伊藤会館で開かれた井上財団の遺物展示会場で始まる。

日本のJBI(Japan Bureau of Investigation)特別捜査隊 特殊捜査要員の坂本正行(チャン・ドンゴン)と西郷正次郎(仲村トオル)は、伊藤会館に乱入した不令鮮人一味を鎮圧するために投入される。朝鮮人である坂 本は、事件現場で不令鮮人が狙ったものが、「月霊」という高句麗時代の遺物だったことを発見する。

「月霊」と「霊鼓台」に絡み合う秘密を暴く過程で、井上 財団と対抗することになった坂本は、停職処分に遭った挙句、暗殺者の標的になる。坂本は、徐々に日本情報機関の意図を悟り、親友の西郷でさえ敵に成らざる を得ない現実に目覚める。

【予告編】


監督 イ・シミョン

<2001>ロ ストメモリーズ、<2006>吸血刑事ナ・ドヨル

出演

チャン・ドン ゴン(張東健)

出演作品一覧

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【レビュー&ネタバレ】
この映画、ちょっとわかりにく い。
最初観た時はそれほどでもなかったけれど、
レビュー書くために、数年経ってもう一度観てみたら・・・
面白いし、涙が止まりませんでした・・・
二度目でストーリーがすんなりと理解できたこともあるでしょうし、
年を取ったのか?
いや、最近ゴミ映画ばかり観ていたから、新鮮だったのかも・・・

この映画の主役は、チャン・ドンゴンと仲村トオル。
その他にも、日本人俳優が多数出演しております。(それほど有名ではありませんが)
そしてなにより・・・
セリフの大多数が「日本語」なのです!!
制作:日本、韓国 とあるけれど、
日韓合同制作ではないでしょう?
日韓合同で、こんな韓国寄りの映画を作ったらたまりませんが・・・
チャン・ドンゴンも、ほとんどのセリフを日本語でしゃべってます。驚き。
けど、やっぱり発音まではモノにできるわけもなく・・・
重要なシーンでも、ちょっとオマヌケ・・・
頑張っているだけに、気の毒です・・・
ただ、韓国人からみたら日本語のニュアンスなどわかるはずもなく、
これで十分なんでしょうけれど。
moca的には・・・チャン・ドンゴンの日本語には、
日本語字幕をつけて欲しい部分もチラホラと・・・・・・

この脚本、日本人が書いたわけじゃないのよね。
さすがに大部分が日本語というだけあって、
韓国映画にありがちな、デタラメの日本語ではありません。
このイ・シミョンって何者?
かなりの日本通とみた!
日本語も話せそうなニュアンスだったわよね?
日本の伝統や文化にも詳しいし、
日本語の単語の意味も説明していたし・・・
日本に留学でもしていたのかしら?
この映画、とっても好きなので次回作に期待しておりましたが・・
吸血刑事ナ・ドヨルにはちょっとガッカ リ・・・

セリフはほぼまともですが、
「とんでも日本」がかなり登場します。
仲村トオルの家は、庭に池があるような日本邸宅で、
家の中では、仲村トオルも、奥さんも着物で・・・
二人とも、かなり古風な日本人像。
けど、これは韓国人である監督の日本への憧れを映像化しているもので、
「日本好き」
故ですので、微笑ましく観てあげましょう。
今生の別れのシーンも、現在の日本ではありえねー
ですけれど、美しいシーンだわ・・
監督もお気に入りのシーンだそう。
昔の日本人には、外国人が憧れるような美しさを持っていたのよね・・・

この邸宅は、長野県にあるお寺だそうで、
その他にも、チャン・ドンゴンが警察から脱走して歩く道も日本だそうです。
けれど、日本では路上での撮影許可を取るのが難しいそうで、
無許可で隠れて撮影したそう。
新宿の街をあんな血まみれで歩いているのに、
誰も気にもとめなかったそうで。
恐るべし、日本。
誰も撮影だとは思わなかったんでしょうね・・・
触らぬ神に祟りなし。
ということで、見てないことにしようと・・・
血まみれで歩いていても、誰も助けてくれないって恐ろしいわよね・・
日本の実態が明らかになるエピソードだわ。
撮影は2001年で、まだチャン・ドンゴンも日本では無名だったでしょうから、
実現できたようなものね。

映画は、もし──
という、仮説に基づいて作られた「オルタナティブ・ヒストリー」ということ。
1909年のハルピンで、伊藤博文が安重根(アン・ジュングン)に暗殺されなければ、
今頃どうなっていたか?
そして、そこから更に、
「伊藤博文の暗殺が失敗し、朝鮮が日本の植民地となった」のは、
日本がタイムマシーンとも言える力を使い、1909年にある人物を送り、
時代を操作したからだ、というSFチックなストーリーに仕立てている。

この映画の中では、
2009年の現在。朝鮮の完全植民地化に成功し、
朝鮮人は「朝鮮系日本人」となっている。
「祖国を取り戻そう」とする朝鮮系日本人を「不令鮮人」と呼び弾圧していた。

伊藤博文暗殺に関しては、様々な説があり、
伊藤博文を「朝鮮のよき理解者だった」とする説も多い。
そもそも、伊藤博文は、「朝鮮併合」に反対していたからだ。
その「朝鮮のよき理解者」を暗殺した安重根は愚かであると唱える説は多々ある。
しかし、韓国人で「安重根」は、英雄として語り継がれている。
歴史の真相は、様々な説があるということからも、解明することは難しいのでしょう。
この映画は、あくまでも「安重根が暗殺に失敗したことにより朝鮮は日本に併合された」
という仮説に乗っ取って鑑賞しなければ、矛盾だらけです。
そもそも、ノンフィクションですしね。

考えさせられるのは・・・
今もなお、朝鮮が日本に併合されていたら・・・ということです。
朝鮮人も、もはや日本人として暮らしているわけですが、
日本人は「朝鮮系日本人」を「日本人」として見なしてはいないこと。
映画を観始めた頃は、
物資的にも恵まれ、平和で安全に暮らせているのに
なぜ命をかけてまで祖国を取り戻そうとするのか?と疑問でした。
けれど、そこにあるのは「差別」なのです。
「朝鮮人」という。
見下され、蔑まれ、同等にはなれない・・・
その屈辱は、日本人にはわからないでしょう・・・
アジアの筆頭として君臨し、
世界の大国とも肩を並べて生きてきた日本人には。
仲村トオル演じる西郷が、チャン・ドンゴン演じる坂本に
「お前のことを朝鮮人だと思ったことは一度もないよ」
と告げるシーンがありますが、
その言葉自体も、自分が日本人であるという優越に立っているから言える言葉。
「そんなに民族の誇りとは大事なもの?」と、常々思ってきたけれど、
「祖国を取り戻す」
それがどんな意味なのか・・・
ようやくわかったような気がします。
もし、いまもなお朝鮮が日本に併合されていたら・・・
この映画のようにテロが頻発し、
同じような争いが続いていたでしょうね・・・
もうすぐこの映画の時代設定である2009年ですが、
きっとまた、韓国で激しい反日活動が起きるでしょうね・・・

この映画はある意味反日映画で・・・
日本がなぜそんな姑息な手段を取ったのか・・・
「広島・長崎の悲劇を食い止めたかったから」
と、日本側の言い分も描いております。
(その前に、独立した韓国は物資的にも軍事的もアジア一の大国になることを
やっかんで・・・みたいな発言もありましたが。
にしても、韓国がそうなると監督は本気で思っていたのでしょうか?)
が・・・
それでも、この映画を観て、
フィクションなのに憤りを感じる韓国人もいるでしょうし、
日本に対する反感は増すばかりでしょう。
この映画の主役は、祖国を取り戻そうとする不令鮮人ですから・・・
不令鮮人たちが、卑怯な日本人警察と闘うシーンは、
涙なしでは観られません・・・
この映画のテーマ曲ともなる音楽。
「不令鮮人のテーマ」ですが、このシーンでは
「レクイエム(鎮魂歌)」として、アレンジを変え10分間流れます。
この曲が更に涙を誘うのです・・・
せつなくて、胸がしめつけられるような・・・
そんな悲壮感漂う叙情的で、壮大なレイクイエム・・・
音楽がこんなにも感情を左右するものだと、
こんなに大事なものだと、初めて知らされました。
韓国映画といえば、
忘れてはいけないのが、音楽。
日本人に韓国映画を見直させた<シュリ>
せつないストーリーと、音楽。
その<シュリ>の音楽を担当したイ・ドンジュン(이동준)が、
この映画の音楽を担当しております。
彼は、天才だと思うわ・・・
他にも、様々な映画音楽を担当してます。

・ KUMIHO/千年愛(1994)
・ 銀杏のベッド(1996)
・ グリーンフィッシュ(1997)
・ チム ~あこがれの人~(1998)
・ ユリョン(1999)
・ シュリ(1999)
・ リベラ・メ(2000)
・ ロスト・メモリーズ(2001)
・ 千年湖(2003)
・ ブラザーフッド(2004)
・ ファミリー(2004)
・ 僕の、世界の中心は、君だ。(2005)


そして、一番涙を誘うのが・・・
子役のウン・ウォンジェ。
不令鮮人の隊長だったキム・ジョンファン大尉の息子ミンジェ。
ミンジェが倒れながらも、チャン・ドンゴンに手を伸ばすシーンでは、
胸が張り裂けそうに苦しくて、声をあげて泣きました・・・
このウン・ウォンジェ。
家門の栄光(大変な結婚)>で、三兄弟の長男の息子、
子供ながらに何だか色気のある・・・
この映画でも、長い髪が似合って可愛らしい。
けど、髪切ったらけっこう普通っぽいかもぉ・・・なんて考えてたら、
はたと気がついた!
髪を切った顔・・・・・・・・
髪を切った顔・・・・・・・・・・・・
春のワルツ>のスホではない の!!
なぜ今まで気づかなかったのでしょう・・・・・
本当に髪を切ったら普通になっちゃってました。
演技力はさすがですが。
大きくなったものだわ・・・・・・・・・・・



そして、もう一つ大発見。
妹が、<ボイス>や、ドラマ<守護天使>のウン・ソウだったとは!
兄妹揃って演技達者ねぇー
妹は、ちょっとブサイクすぎですが・・・・・

余談ですが、チャン・ドンゴンって子供に好かれるようですね。
仲村トオルの娘役を演じた女の子も、
最終日にチャン・ドンゴンと別れたくなくて、泣きながらついて回っていたそう。
ちょっと株↑

この映画には、mocaの大好きなアン・ギルガンが出演!
これがまた泣かせるの・・・
体を張って出口を守るシーンでは、涙が止まらなかったわ・・
アン・ギルガン。
ヒット作のない人で・・・・日本では無名かも・・・
野獣と美女や、ウォンタクの天使 では、けっこう目立つキャラクターなんですが・・

そして、これまたヒット作のない・・・
私の生涯で最も美しい一週間吸血刑事ナ・ドヨ ルなど、
あ、卑劣な街はヒットしましたが、日本未公開 で・・・
チョ・インソンのボスを演じたチョン・ホジン。
ミンジェの父親キム・ジョンファン大尉を演じてます。
冒頭で殺されてしまいます・・・
それが伏線となって、更に悲しみを掻き立てます。

チャン・ドンゴンの父親代わりの刑事には、
これまたmocaの大好きなシン・グ씨
ドラマ<ジュリエットの男>でチャ・テヒョンの祖父、八月のクリスマスで は、ハン・ソッキュの父。
人柄のにじみ出るような温かさが伝わります。

あとは、みかけないお顔ばかり。
少女たちの遺言のキム・ミンソン が、
ラストに保母さんでカメオ出演しております。


何よりも、この映画の貢献者は仲村トオルだと思いますが・・
彼をキャスティングした人は偉い!
まさに彼のためにあるようなキャラクター。
韓国の映画祭で助演男優賞を受賞したという快挙!
映画を観れば、納得します。
仲村トオルは元々大好きな俳優さん。
この映画もよかったわ・・・
あの目がいいわ。
すべてを目で語っているようで。
撮影秘話の仲村トオルの話を聞いて、
更に好きになりました。
紳士で、真摯で、情が深い・・・・



この映画、ストーリーを書いてもわかりづらいでしょう。
映画を観ていてもわかりづらないのですから。

ですので、ポイントをまとめます。
完全ネタバレですので、未視聴 の方はキケンです。


○85年のウラジオストック事件のデータになぜアクセスできないのか?
井上財団とは?

85年の事件も、今回の井上財団が関連していた。
井上財団とは、秘密裏に1909年にタイムスリップし、
日本を救った影の英雄井上の子孫。
なので、警察も井上財団には介入できない。
これは上層部のみのトップシークレットのため、
データにロックがかかっている。

○高橋は、なぜ殺されたのか?

井上財団に盾つき、秘密を暴こうとした坂本を危険視し、
高橋刑事殺しの犯人として陥れようとした。

○坂本は、なぜ英世を射殺したのか?

「めがね変えたら?」と助言した坂本に、奥さんが買ってくれたから・・
と、英世は答えていた。
しかし、高橋殺害後、英世はめがねを変えており、怪我までしていた。
事件の時、坂本ともみあった犯人は、めがねのガラスを割ってしまった。
坂本は、英世が高橋殺しの犯人だと悟り、射殺した。

○ヘリンは、井上が1909年にタイムスリップした時に連れ去られた
女性研究員の生まれ変わりか?

生まれ変わりではなく、歴史が塗り替えられていなかったら・・・
そのもう一つの世界で生きるヘリンの姿を、
坂本はデジャ・ヴを通して見ていた。
にしては、矛盾がありすぎのようですが?

○不令鮮人司令官の老人の
「これが永遠の別れではない」という言葉の意味は?

歴史が戻され、正しい歴史として動き出せば、
必ずどこかで出会える、という意味。
なので、死んでしまったミンジェも死んだのではなく、
もう一つの世界で出会うということ。
ラストでは、時代が正しく動き出し、
生まれ変わったミンジェが登場する。


細かいことを追求すると矛盾だらけ。
それはおいておいて、雰囲気だけで流しておきましょう・・・
もっと突き詰めて設定して欲しかったけど、
終わったことはどうしようもない・・・
韓国クォリティということで。



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