氷雨  Ice Rain 
 原題:氷雨 빙우(ピンウ) <2004>

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氷雨 ソン・スンホン

全てのものを飲み込んでしまうような吹雪の中、アラスカのアシアク登山をする ジュンヒョン(イ・ソンジェ)とウソン(ソン・スンホン)は遭難してしまう。しかもジュンヒョンは、脚に酷いケガまで負ってしまう。

海外遠征も遭難も初め てのウソンに、冷たい雪山での孤立は恐れを増幅させる。 暗い氷洞窟の中、眠らないで生き残るために、少しずつ各自の記憶を辿って生の最後の瞬間を継続する彼ら。その瞬間、ジュンヒョンとウソンは不思議な予感に 驚く。

遭難の極限状況下で自分たちを支える記憶が、一人の女性ギョンミン(キム・ハヌル)に重ること。成就しなかったギョンミンとの愛を大事に守ったジュ ンヒョンと、ギョンミンに向けた慎ましいウソンの初恋が、死を前にして切なく交差する。

同じ時間、別の空間で咲いた二つの光の愛。その冷えるように澄んだ切ない記憶が、空と接した雪原を少しずつ満たしていく。

【予告編】

監督 キム・ウンス ク <2004>氷 雨

出演

ソン・スンホ ン(宋承憲)

出演作品一覧

キム・ハヌル (金荷娜)

<1998>バ イ・ジュン~さらば愛しき人~、<2000>リ メンバー・ミー
<2002>同い年の家庭教師、<2004>氷雨、<2004>彼女を信じないでください
<2004>霊-リョン-、<2006>青春漫画~僕らの恋愛シナリオ~、 <2007>6年目の恋愛中
<2009>7級公務員、<2009>楽園- パラダイス

イ・ソンジェ(李誠宰) <1998>美 術館の隣りの動物園、<1999>愛のゴースト、 <1999>アタック・ザ・ガス・ステーション!
<2000>吠える犬は噛まない、 <2000>エン ジェル・スノー、<2001>風林高、<2001>公共の敵
<2004>氷雨、 <2004>風の伝説、<2004>シン・ソッキ ブルース、<2006>ホリデー
<2006>デイジーデイジー アナザー・バージョン)、 <2007>マイ・ボス マイ・ヒーロー3
<2010>夢は叶う、<2010>絃の歌

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【レビュー&ネタバレ】
韓国で はひじょーに不評だった「氷雨」でございます。
日本でも不評だったけど(笑)
監督のキム・ウンスクは女性でございます。
女性ならではの繊細さも垣間見れるかもしれないですね。
3人の心情を丁寧に描いています。
決して激情ではなく、淡々と・・・
ちょっとホ・ジノ監督の作品のような感じかしら。
mocaはホ・ジノ監督は苦手なので、この映画も観終えるのに苦労しまして・・・・
とにかく、過去と現在が入り混じるのでわかりにくい・・・・わかりにくい・・・
少しも物語りに気持ちが入り込めない。
その上、キム・ハヌルは大嫌いだし、
イ・ソンジェも何が魅力なのかわからない髭男で・・・・
(mocaはこういうタイプはダメなのよ・・・)
ソン・スンホンだけが救いでした(笑)
思いっきり好き嫌いが分かれる映画でございます・・・
mocaもキム・ハヌルに感情移入できたら・・・もう少し楽しめたのにね・・・
でも、せつない感じが全体に漂う美しさがあるわ。
名作になり損ねた名作 という感じです。
山場で流れる叙情的で 壮大なせつない音楽が、涙を誘うのよね。

ちなみにアシアクという山はアラスカだけれど、
ロケはカナダで行われました。

この映画のテーマは重いものであるはずで・・・・いわゆる不倫でございます。
ギョンミンと、ジュンヒョンは愛し合っているが、ジュンヒョンは既婚者で・・・・
ウソンとギョンミンは幼馴染みで、ウソンが一方的にギョンミンを想っていて・・・

以 下、結末まで思 いっきりネタバレなので注意よー


親にも友達にも言えない・・祝福されない・・・・・
そんなジュンヒョンとの恋に疲れたギョンミンは、
気の置けない幼馴染のウソンの想いに応え、ギョンミンとの別れを決意します。
想いを決別するために登ったアシアクで、
ギョンミンとジュンヒョンは、1本のロープだけが命綱となる危険に晒されます。
このままでは2人とも死んでしまう。
そう悟ったギョンミンは、ジュンヒョンを助けるために
ナイフでロープを切断し、深い谷へと落ちて行きます。
3年後、死んだギョンミンへの想いを胸に
ウソンとジュンヒョンは偶然に同じ登山隊でアシアクに登ります。
遭難した2人は、眠らないよう愛する女性の話をし始めるが、
お互いの愛する女性が同じ女性であることに気づきます。
足に大怪我を負ったジュンヒョンは、自分を残して下山するようウソンを諭します。
絶対に助けると決め、必死にジュンヒョンをソリで運ぶが、
自分のためにギョンミンとの恋を成就できなかったウソンと、
自分のために死んで行ったギョンミンを想い、
ジュンヒョンはソリのロープを外し、一人死んでいきます。

これだけのストーリーが、過去と現在を行き来しながら
ウソンとジュンヒョンの記憶が1つに重なっていく過程を描いているのよ。
もっと詳しく知りたい方は、↓にストーリー全体を載せたのでどうぞ。
どれだけ細切れで過去と現在を行き来するかがわかるでしょう?
過去と現在、どちらにも気持ちが入り込めないまま終わってしまう・・・・
すごくせつなくて美しいストーリーなのに、勿体無いわ。
伏線とかもうまくて、記憶が1つに重なっていく様は面白いのに・・・


アシアクで、テントを貼り夜を過ごす登山隊。
ウソンは、ギョンミンとの幼い頃の思い出を愛しそうに語り始める。

小さい頃、隣りに女の子が住んでいて、
一度彼女の父親のバリカンで丸刈りにされたことがあって・・・
あの頃は彼女の方が背が高く、力もあって・・・
なすがままになるしかなかったんです・・・
けど不思議と、彼女の刈るバリカンの音はとても素敵だった・・・・

テントの外でウソンが煙草を吸っていると、ジュンヒョンも外へと出てくる。
「今あそこを誰かが登っているんでしょうね」
ウソンはジュンヒョンに語りかける。
「それで?」
予想もしないジュンヒョンの反応に驚くウソン。
「さっきのバリカンの話の続き」
そう言われたウソンは、なんだ・・・・と、ホっとする。
2人は和やかに会話を続ける。

何年かして彼女に再会したが、彼女は僕のことを覚えていないみたいで・・・
「羨ましいな、そんな女友達がいて。
でも、彼女は山へ登ることを反対しなかったの?」とヒョンジュンはウソンに尋ねる。
しばらく考えこみ、
「彼女はこのことは知らないんです。でも、今は知っているかもしれないですね・・・」
と、暗い表情でジュンヒョンに答える。

そして学生時代に遡る・・・
大人になったギョンミンとウソンの再会。
地下を歩いていたウソンは、聞き覚えのある声に思わず振り向く。
幼馴染のギョンミンだった。
とりあえず2人は酒を飲みながら話をするが、ギョンミンはウソンと「会ったことがない」と言う。
幼い頃バリカンで髪を刈られた話をするウソン。
思い出した!ハン・ウソンでしょう!
呆れるウソン。

雪道を全力疾走し、思い切り転ぶギョンミン。
かと思えば、今度はホームから線路に飛び降りる。
ギョンミンを背負って必死に電車から逃れるウソン。

現在へ戻る・・・
「俺が来れるのはここだけだ。ここに来ると何でもできるような気がする」
ジュンヒョンはしみじみと語る。
「あれから3年経つのか・・・」
ジュンヒョンの親友インスも、ジュンヒョンの気持ちを察するが、もう忘れろ、と諭す。

過去に戻る・・・
大学の山岳部の新入生歓迎会で、新入生の挨拶をするギョンミン。
ギョンミンの視線がOBのジュンヒョンに注がれる。
酔ってしまったギョンミンは、道でジュンヒョンにぶつかる。
「ごめんなさい」
頭を下げ、ギョンミンの視線はジュンヒョンに注がれる。

ジュンヒョンの家では、優しい妻が待っていた。

現在へ戻る・・・・
雪山を登るウソンたちの登山隊。

過去へ戻る・・・
道でタクシーを待つジュンヒョン。
道の向こう側をギョンミンが歩いている。
ジュンヒョンに気づいたギョンミンは、深々と頭を下げる。
ギョンミンに覚えがないジュンヒョンは不思議そうにギョンミンをみつめる。
大きく手を振るギョンミン。
無謀にも、大通りを横切り、ジュンヒョンの元へと駆け寄ってくる。
呆れるジュンヒョン。

和やかに並んで歩くギョンミンとジュンヒョン。
ギョンミンはジュンヒョンが抱えている建築道具に興味津々だ。
建築を手がけるジュンヒョンに、環境破壊だとつっかかるギョンミン。
動物がたくさん死んでいる、と。
環境に優しい高速道路もあるんだ。動物が通る道も作る、と話すジュンヒョンに、
「動物用の信号もあればいいのに。
そうしたら、動物たちも信号待ちできるし、一列に並んで横断できるわ」
無邪気なギョンミンを、ジュンヒョンは楽しそうにみつめる。

ホームに並んで立つギョンミンとジュンヒョン。
ホームの向かいの雪山の広告の写真に興味を惹かれるギョンミン。
「あの・・・、あれがどこか知ってますか?」
「アシアクだよ」
アラスカのアシアクを登れば、自分を残してこの世を去った人々に会えると信じられているんだ。
でも、あの山には恐ろしい面もあるんだ。
ジュンヒョンは生き生きと話し出す。
「あの山はあなたに似ているわ」
穏やかに見える時もあれば、そうでない時もある。
ギョンミンの言葉に、苦笑いするジュンヒョン。
「あの山に行ったことあるの?」
「いや、まだないよ」
いつかその時が来たら行くつもりなんだ。
そう語るジュンヒョンの横顔をしげしげとみつめるギョンミン。
じゃ、あなたについて行けるように、もっと練習しないと。
ギョンミンの言葉をどう受け止めていいのかわからないジュンヒョンは、ただ穏やかに笑うだけだ。
大学の図書館。
アシアクの写真を眺めるギョンミン。
ウソンに、「この山は死んだ人に会えるのよ。いつかそこへ行くの」と、話すギョンミン。
「そんなところに行って戻ってこれなかったらどうするんだ」と、ウソンは心配する。
ウソンは自分で作ったトッポギを食べようとギョンミンを促す。
ギョンミンは、最近「いかにも男」という感じの人に出会ったとウソンに話す。
ウソンは「俺の知っている奴か?」と、不満げだ。
ギョンミンはウソンの作ったトッポギを褒め、
野球の才能がなかったらコックになったらいいと言い出す。
「俺に野球の才能がないと思っているのか?」
ウソンはギョンミンの褒め言葉も嬉しくない。
ギョンミンは、野球は年をとったらできないのよと、サラリと言う。

現在に戻る・・・・

険しい絶壁を登るウソンたち。
その時、激しい落雷により、ミョングン(キム・ジョンハク)が絶壁から転落してしまう。
一つのロープで繋がっていたウソンとジュンヒョンも、続いて転落していく。

過去に戻る・・・

ギョンミンたちの山岳部は、山登りへと出かける。
そこでギョンミンは片方の靴を無くしてしまう。
インスに「おんぶしてやろうか?」と尋ねられるが、ジュンヒョンの顔を見て断る。
夜の山荘。皆が眠ってしまっているが、眠れないギョンミンとジュンヒョン。
メンバーの一人が寝言を言って飛び起きるのを見て、二人で微笑み合う。
翌朝、でかける準備をするギョンミンにジュンヒョンは真新しい靴を差し出す。
「盗んできた」と、照れ笑いするジュンヒョン。

現在に戻る・・・・

転落したウソンは無事で、すぐに目覚める。
青ざめた顔で、ロープをつたいジュンヒョンたちを探す。
命は無事だったが、ジュンヒョンは足に大怪我を負っていた。
目覚めたジュンヒョンは、あまりの痛みに苦しみもがく。
ミョングンの消息は不明で、他の仲間たちからもはぐれてしまった2人。
ジュンヒョンは登山の経験の浅いウソンに、「絶対に眠るなよ」と言い聞かせる。
一方、登山隊のテントでは、仲間達はウソンたちの安否を気遣っていた。
若いガンホ(キム・ヨンジュン:ジノン@ひとまず走れ!) は、
何が何でもウソンたちを助けに行くと言ってきかない。
インスは、「俺達は下山しなければならない。そうしなければ、俺達は全員死ぬ」と、言い聞かせる。

過去に戻る・・・・・

夏休み。ほとんどの寮生たちは帰省してしまったギョンミンの寮。
ギョンミンの部屋の電球が切れてしまう。
ギョンミンはウソンを呼び、電球を取り替えてもらうが、ヒューズが飛んだのか点かない。
2人は真っ暗な部屋の中で、ザクロを食べながら楽しく笑い合う。
「なぜ実家に帰らないんだ?」と、尋ねるウソン。
「やることがあるから」と、後ろめたさを隠しながら答えるギョンミン。
服がベトベトするから着替えたいと、ウソンを部屋から追い出すギョンミン。
そこへ警備員が巡回にやってきた。
ウソンは慌てて部屋に戻るが、着替え中のギョンミンを見て胸の鼓動が抑えられない。
警備員に見つからないよう息を潜める2人。
ウソンはギョンミンの体温を感じてたまらなくなる。
「なぁ、なんで女の子はあんな風にどこでも着替えられるんだ?
俺がそこにいることを知っていながらさ・・・」
ウソンは噴出す汗を拭いながら、「俺は男なんだぞ」と、ギョンミンに伝えようとする。
そんなウソンを可愛いと思ったかのように鼻で笑うギョンミン。
ウソンを少しも男だとは意識していない。

現在に戻る・・・
ジュンヒョンの怪我の応急手当をするウソン。
「切断しなければならないかもな・・・」と、ジュンヒョンは悲痛な胸の内を漏らす。
ウソンは答えることができない。

過去に戻る・・・

ギョンミンとジュンヒョンは二人きりで海へやってきた。
夜、ベッドで眠るギョンミンと、ソファーで眠るジュンヒョン。
すやすやと眠るジュンヒョンに対し、ギョンミンは眠れない。
ギョンミンはジュンヒョンを突付いて起こし、「私の物」と言って唇にキスをする。
「ここも・・ここも・・・」
ジュンヒョンの額、心臓・・・次々と優しくキスをする。
帰り道の車の中。
「事故に遭わないかな」と漏らすギョンミン。
「それじゃ、みんなにバレちゃうよ。それが望みなの?」
ジュンヒョンは優しく尋ねる。ギョンミンは、
この車に乗るといつもそう考えてしまうと、遠くを見ながら答える。

寮を出て、一人暮らしを始めたギョンミンの部屋。
ジュンヒョンとじゃれ合うギョンミン。そこへギョンミンの母が尋ねてくる。
ドアを開けることができないギョンミン。
悲しそうな表情を浮かべるギョンミン。

現在へ戻る・・・・

ジュンヒョンの回想。
ギョンミンの部屋でアルバムを眺めるジュンヒョン。ウソンの写真を見て「誰?」と尋ねる。
「친구(チング:友達)」 と答えるギョンミン。前に話したじゃない、幼馴染がいるって。
今は頭1つ分彼の方が背が高いけど、今は私の方が大きいの。彼は野球選手なの。
ギョンミンの言葉を思い出し、ウソンの話と重なることに驚愕するジュンヒョン。
「ピッチャーなのか?なぜ野球を辞めて山に登ったんだ?」と、真剣な目で尋ねる。
「友達のためです」と答えるウソンに、「女友達じゃないのか?」と、疑いを向けるジュンヒョン。
何も答えられないウソン。
「彼女との間に何があったんだ?」
ウソンは黙ったままだ。

過去に戻る・・・・

親知らずが痛み、何も食べられないと嘆くギョンミン。
(韓国では、初恋をする頃に親知らずが生えると言われています)
フライドポテトが食べたとため息をつくギョンミンを、ウソンたちはマックへ連れていく。
痛みを堪えながら、満足そうにポテトをほうばるギョンミン。
ギョンミンの顔についた塩を払ってやろうと手を伸ばすウソンの手を思い切り払いのけてしまう。
汚らわしいというような険しい目でウソンを見るギョンミン。
ウソンは呆然とする。

現在に戻る・・・・

「ヒリヒリするな・・・食べている時に親知らずを落としたんだ・・・」と、ぼんやりと呟くジュンヒョン。

過去に戻る・・・・・

焼肉屋。
「これ貰ってくれない?」」と、抜いた親知らずをジュンヒョンに差し出すギョンミン。
あなたにあげるかどうか悩んだんだけど・・・というギョンミンの真剣な想いを、
「これ、ガムみたいだよな」と、親知らずを見て笑うジュンヒョン。
怒ったギョンミンは、ジュンヒョンの手から親知らずを奪おうとし、
勢い余って炭の中に落としてしまう。
咄嗟に真っ赤に燃え滾る炭の中に手を伸ばし、親知らずを拾うジュンヒョン。
「もう少しで無くすところだった」
ジュンヒョンは何でもないかのようにサラリと言いのけるが、ギョンミンはせつなそうに俯く。

現在に戻る・・・・

「それで火傷したんだ・・・」 そう呟くジュンヒョン。
「형(ヒョン:男性が年上の男性を呼ぶ呼称)、もしかして、以前会ったことがないですか?」
ウソンも、ジュンヒョンの話が覚えのあることに気づき始める。

過去に戻る・・・・

突然の大雨の中、慌てて走るウソンとジュンヒョンは道で衝突する。
ジュンヒョンは包帯を巻いた手を庇っていた。
ウソンはジュンヒョンがギョンミンの住むマンションに入っていくのをみつめていた。
ウソンも長い間顔を見せないギョンミンを訪ねていくところだった。
ギョンミンの部屋を訪ねるウソンと、ギョンミンの友達サンヒ。
だが、「突然連絡もしないで来ないで」と、ギョンミンはあからさまに迷惑そうだ。
ウソンは玄関の男物の靴と、部屋の中に干された濡れた男物のワイシャツを見て怪訝に思う。
「どうしてそんな風に言うの?私達友達でしょう?あなたに会いたくて来たのよ。
あなたが一人で寂しくないか心配で来たのに、あなたって薄情なのね。
いつからそんな風になっちゃったのよ」
サンヒからなじられるのを、ジュンヒョンは部屋の中で居た堪れない気持ちで聞いていた。

現在に戻る・・・・

ジュンヒョンを疑いの眼差しでみつめるウソン。
형(ヒョン)が言っている人っ て、もしかして登山をしてませんでした か?」
「彼女と出会ってどれくらいですか?」ウソンの中にも確信に近い予感があった。
君ほどじゃないよ。ジュンヒョンは答えるが、
「うまくいく筈がなかったんだ。俺はもう結婚していたから・・・・」
自分を責めるように呟 く。

過去に戻る・・・・

ワイシャツが乾かぬうちに部屋を出て行こうとするジュンヒョン。
風邪ひくから・・・アイロンをかけるまで待って、と止めるギョンミン。
「俺がシャツを洗って欲しいって頼んだか?」
というジュンヒョンの言葉に、ギョンミンは別れを宣言する。
「私達には何もなかったのよ。苦しいのよ。
あなたには家庭があって、帰る家もあるじゃない。あなたはろくでなしよ」
ジュンヒョンは思わずギョンミンの頬を激しく叩いてしまう。
「苦しいだと?今苦しんでいるのか?わかった。もう会わない」
そう言って、ジュンヒョンは部屋を出て行ってしまう。
ジュンヒョンと別れたギョンミンは、苦しくて思わずウソンに会いに行ってしまう。
「顔色が悪いな」と、ギョンミンの心配をするウソン。
「あいつのせいなのか?」ウソンの思いがけない言葉に驚くギョンミン。
「どんな奴なんだ?いい奴なのか?こんなに君を苦しめておいてさ。
忘れちゃえよ。俺みたいな男友達だっているんだしさ」
ウソンは優しくギョンミンに言い聞かせる。
「私、彼のことよく知らないの。でも・・・彼に会えないと何も手につかないの。
彼に会いたくて仕方ないの。死にたいくらいに・・・」
ギョンミンは切々と心の奥の苦しみを漏らす。
「そいつはどうなんだ?同じように思っているのか?」
ウソンはギョンミンの苦しみを聞いてたまらなくなる。
「私の親知らずね。冗談で彼にあげたの」
そして、焼肉屋での出来事をウソンに話して聞かせるギョンミン。
「それで好きになったのか?幸運な奴だな」
ウソンはイラ立ちを隠せない。
「別れたの・・・」ギョンミンは呟く。
「そんなに彼のことを愛してるのに?」
ウソンはギョンミンを心配する。
「愛しても無駄なの・・・」淡々と答えるギョンミン。
「どうして?結婚でもしてるのか?」
答えられないギョンミンに、ウソンは図星であることを察する。
「お前・・・・何で・・・・何を考えてるんだよ・・・・ほんとガッカリだな」
そんな男に苦しめられているギョンミンに、ウソンはたまらなくなる。
「そんな汚い男にお前は・・・」
ウソンのその言葉に腹を立てたギョンミンは、ウソンの頬を平手打ちし
「この前は悪かったわ」と、去って行ってしまう。
凍結した滝登りにインスと出かけたジュンヒョンは、落下し怪我をして入院してしまう。
その知らせを聞いたギョンミンは、思わず病院へ訪ねてしまう。
ジュンヒョンの妻に「山岳部の者です」と挨拶するギョンミン。
「一人で来たの?心配だったんでしょうね」と、冷めた目でギョンミンを見るジュンヒョンの妻。
ジュンヒョンに、「寝てなくて大丈夫なの?何が飲みたい?」と、甲斐甲斐しさを見せ付ける妻。
ギョンミンとジュンヒョンの関係を見越したかのように。
「お体を大事にしてください」と、ギョンミンは病室を出て行く。
ジュンヒョンはギョンミンを追って出て行く。「まだ動いちゃダメなのよ」という妻の制止も聞かずに。
自分を追ってきたジュンヒョンを見て、ギョンミンは何も言わず、優しい目で首を横に振り行ってしまう。
帰り道、一人泣くギョンミン。
電車の中から、いつかのアシアクの広告写真をみつけるギョンミンは、何かに憑かれたかのように
アシアクに想いを馳せる。

現在に戻る・・・・

ウソンに、「まず下山して、助けを呼べ」と、力のない声で話しかけるジュンヒョン。
ウソンはイラだちを抑えられない。
「道がわかりません」と、つっけんどんに答える。
ジュンヒョンを抱え、下山するウソン。
「3年前、彼女と一緒でしたか?」
ウソンはジュンヒョンに尋ねる。

過去に戻る・・・

アシアク。雪に覆われた山々を見下ろすギョンミン。
「なんでここが好きなんだ?」
インスはギョンミンに話しかける。
「本当はこの場所、友達に見せたかったんです」と答えるギョンミン。
「準備はできたか?」
他人行儀のジュンヒョン。
1本のロープで繋がり、ペアで絶壁を登るギョンミンとジュンヒョン。
懸命に登るギョンミンを優しい目で見守るジュンヒョン。
その時、ギョンミンが足を滑らせ、
その衝撃でロープを支えていたハーケン(岩に打ち付ける楔)が抜けてしまう。
宙に投げ出され、ロープに掴まるギョンミンとジュンヒョン。
ロープを支えるのは、残された1本のハーケンだけだ。
2人の体重を支えきれず、ジリジリとハーケンが緩み始める。
このままでは、2人とも死んでしまう。
ナイフを取り出し、ロープを切ろうとするギョンミン。
「2人とも助かるさ」というジュンヒョンの制止を聞かず、
「大丈夫、後悔しないわ」と、ロープをナイフで切り深い谷へと落ちていくギョンミン。
谷では、ジュンヒョンの絶叫だけが響き渡る。

現在に戻る・・・・

ギョンミンの死の真相を聞かされ、呆然とするウソン。
遅くなるまえに急ごうと、ジュンヒョンを促すウソン。
「どうせ死ぬのなら、このまま放っておいてくれないか」
ジュンヒョンは力ない声でウソンに哀願する。
「立ってください。なぜここに来たんですか?死ぬためですか?どうしてだ?」
激しくジュンヒョンの体を揺さぶり問いただすウソン。
なすがままのジュンヒョン。
「ただ・・・・・ただ、ギョンミンの為だけですか・・・?」
ウソンは、ジュンヒョンの心の苦しみを察し、静かに問う。
「私があなたをここに置き去りにするとでも思っているんですか?」
私はあなたを助けたいんですよ。ウソンは心の痛みに耐え、ジュンヒョンにそう告げる。

過去に戻る・・・・

並んで歩くウソンとギョンミン。
「俺のこと嫌いなのか?」と尋ねるウソンに
「何言ってるの?」と、ギョンミンは取り合わない。
「もし、そうじゃないのなら・・・・俺とデートしてくれないか?」
ウソンは、勇気を出してギョンミンにデートを申し込む。
おかしそうに笑うギョンミン。「デートってどんな?」と、サラリと尋ねる。
「うん、そうだな・・・」
一緒に映画を観るとか、一緒にお茶したり、夜景の綺麗なレストランで食事したり・・・そんな感じ。
ウソンはドギマギしながら答えるが、
「それなら、今してるじゃない?」と、ギョンミンはあっさり答える。
何を言っていいのかわからないウソンを、ギョンミンはチラリと見やる。
「これ、そうなのか?」
無表情のままウソンは答え、黙ったまま何かを考えている。
「ウソン、私アラスカに行くの」
ギョンミンはウソンに切り出す。
「あぁ・・・」と、いつかの図書館でのことを思い出したかのように気の無い返事をするウソン。
明日出発すると聞いたウソンは、呆れるやら腹が立つやら・・・
「お前っていつもこうだな」と、ギョンミンを突き放す。
「行く前に一度あなたに会いたかったの」
そう言われたウソンは、しばらく考えこむが、
この前言い合いになった時にギョンミンが落として行った腕時計を「遅くなってごめん」と、手渡す。
腕時計をしんみりと見つめるギョンミン。
「あなたこういう時計持ってなかったでしょう?あなたの方が似合うわ」
と言って、ウソンに腕時計を託すギョンミン。
「私が帰ってきたら、その時私に返してちょうだい」と・・・
ギョンミンの言葉に、死の危険を感じたウソンは、少し躊躇するが、腕時計を受け取る。
「戻ったら、一緒に映画を観たり、お茶をしたりしましょう。それがいいわ・・・」
しんみりと語るギョンミン。
「何だって?」
と、自分の耳を疑うウソン。
そしてギョンミンはアシアクへと旅立って行った。

現在に戻る・・・・

怪我をしたジュンヒョンを、ソリで必死に運ぶウソン。
倒れては何度も立ち上がって・・・
ジュンヒョクは、「ウソン、미안하다(ミアナダ:すまない)」と、
届かぬ声で呟き、ウソンの握るロープをソリから外す。
力尽きて立ち上がることができないウソン。
ようやく立ち上がり後ろを振り向くと、ソリもジュンヒョクも消えていた。
ジュンヒョクを探し回るウソン。
ようやく見つけたジュンヒョクは雪の中に埋もれており、すでに息絶えていた。
「目を開けてください。目を開けてくださいよ!」
答えることのなジュンヒョン。ウソンは泣き崩れる。
ウソンはギョンミンから預かった腕時計をジュンヒョンの遺体に残し、一人麓へと向かう。
真っ白な雪が広がる。
力尽きたウソンが、雪に埋もれ風に吹かれていた。
救助隊のヘリコプターがやってくる。
救助されながら涙を流すウソン。

今日二人を埋葬した。
今までで一番短く感じた時間だったが、同時に忘れたい時間でもあった・・・・・
あいつの・・・・ あいつの声を聞きたい・・・・

ウソンの心の中にギョンミンの声が響く・・・
もしあそこに行けば、亡くなった人と会えるのよ。
私、あそこに行きたいな。

END

男って、ジュンヒョクの妻のような貞淑な女よりも、
ギョンミンのような自由奔放で自分勝手な女に惹かれるんでしょうね。
けれど、そんな自由奔放なギョンミンが、ジュンヒョンとの恋に疲れてしまって・・・・・
そんな様子が見事に描写されていると思うけど、
ギョンミンの気持ちにカタルシスを感じることはできなかったわ。
キム・ハヌルって、本当にこういう「悲しみ」を演じる役をやると下手だし、
自由奔放なギョンミンも、シラケルのよね。
ジュンヒョンもウソン もステキな男性でした。
ジュンヒョンが自らソリのロープを外すシーンは、せつなくて・・・・
いろんな懺悔の気持ち、
そして、真実を知り、自分の愛する女性を苦しめ、死なせてしまった男だと知った上で
必死にジュンヒョンを助けようとするウソンを巻き込んで死なせたくない・・・
そして、愛するギョンミンと同じ地で死にたい。
本当にいろんな気持ちが入り混じっていたと思います。
ウソンがジュンヒョンを何が何でも救おうとしたのは、卑怯な男になりたくない、
愛するギョンミンの愛した男を死なせたくない、ギョンミンの死を無駄にしたくない・・・
そして、ギョンミンと同じ場所で眠らせたくない、そんな気持ちもあったのでしょうか。
ラストに向け て・・・・
ギョンミンがジュンヒョンを助けるためにロープを切って落ちて行くシーン、
ジュンヒョンがソリのロープを外し、一人死んで行くシーン・・・
壮大な音楽が悲しみを誘うのよね。
ギョンミンが落ちていくシーンがもう少しリアルだったら、もう少し泣けたのにね。
ラスト、ウソンまで死んでしまったのかと思って、あんまりだと胸が痛んだわ・・・・
それにしても、なんでギョンミンはあんなにアシアクに惹かれたのかしらね?
会いたい人がいるとも思えないし・・・・
山が好きな人にしかわからない・・・とでも解釈しておきましょうか。




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