リメンバー・ミー  Ditto  
 原題:同感 동감(トンガム) <2000>

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リメンバー・ミー

1979年、新羅大学英文科3年の女子大生ユン・ソウン(キム・ハヌル)は、偶 然中古のアマチュア無 線機を手に入れる。

皆既月食があった夜、机の上に放っておいた無線機から不思議な交信音~男の声が聞こえてくる。

彼は、ソウンと同じ大学の広告創作学科2 年のチ・イン(ユ・ジテ)という男子学生。ソウンは、インと学校の時計塔前で会う約束をする。

ソウンは、 まだ工事中の時計塔前でデモ行列を見ながらインを待つが、約束時間を2時間も過ぎてもインは現れない。一方インも、時計塔前で豪雨の中ソウンを待ってい た。

その日の破られた約束に腹を立てた二人。しかし、もう一度始めた交信で、信じられない事が起こっていることを知る。

【予告編】


脚本 チャン・ジン 作 品一覧
監督 キム・ジョングォン <2000>リ メンバー・ミー、<2002>天国からの手紙、 <2006>バカ(公 開 2008)、
<2008>その男の本198ページ

出演

キ ム・ハヌル (金荷娜)

<1998>バ イ・ジュン~さらば愛しき人~、<2000>リ メンバー・ミー
<2002>同い年の家庭教師、<2004>氷雨、<2004>彼女を信じないでください
<2004>霊-リョン-、<2006>青春漫画~僕らの恋愛シナリオ~、 <2007>6年目の恋愛中
<2009>7級公務員、<2009>楽園- パラダイス

ユ・ジテ(劉 智泰)

出演作品一覧
ハ・ジウォン(河智媛) 出演作品一覧

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【レビュー&ネタバレ】
吹石一恵主演「リメンバー・ミー ~時の香り~」として、
日本でもリメイクされた作品。
韓国映画をリメイクする人は、わかってないわ・・・と思うわ。
映画のよさがまったく消えちゃうわよね。
この韓国映画の持つノスタルジックな映像と、言葉の響き・・・
韓国人特有の感情、表現・・・

この映画は、韓国映画の香りを感じられる優しい作品。
2000年前後の作品は、mocaにとっては一番好きな作品が羅列しているわ。
この映画も、とりわけ面白いわけではないけれど、
その雰囲気をどっぷりと感じることができて、好きな作品。

時空を超えるのは、韓国映画の王道ともいえるわね。
「イルマーレ」では、2年
「カラ(ホワイトクリスマス)」では、3年
いずれも、そう遠くない未来。
けれどこの映画では、21年という時空を超えるの。
21年といえば、関わりはあるけれど、遠い未来。
21歳の年の差といえば、少し考えてしまうほど・・・

バイ・ジュンでデビューした二人が、再び共演しているわ。
ユ・ジテって、それほどイケメンでもないのに、
醸し出す雰囲気がすごくいいのよね。
キム・ハヌルも、mocaは大嫌いなんだけれど、
この映画ではすごく可愛いと思うし、
キャラクターにハマって、いつも感じる嫌味さが感じられないわ。
mocaの大好きなハ・ジウォンちゃんが、
三角関係の一辺として出演しているけれど、
この頃はまだ垢抜けないわね。

そして、もう一つの三角関係。
キム・ハヌルと同時代を生きる
キム・ハヌルと想いを寄せ合う先輩ドンヒには、パク・ヨンウ。
キム・ハヌルの友人で、三角関係に陥るソンミには、キム・ミンジュ。
パク・ヨンウは、「オルガミ」のチェ・ジウの旦那様。
とにかく三枚目キュラの方が印象深くて、
この憧れの先輩というのは、ちょっと笑っちゃったり・・・(笑)
キム・ミンジュは、「ラストダンスは私と一緒に」のジャンミです。

それでは・・・ストーリーを。

ソウン(キム・ハヌル)は、新羅大学英文科3年生。
想いを寄せる先輩ドンヒが除隊し復学して、胸ときめかせる毎日。
教室の外からドンヒをみつめていたソウンは、
ドンヒが教室から出てきたことに慌て、
思わず近くの教室に飛び込んでしまう。
そこは、アマチュア無線の同好会の部室。
部品の1つ足りない無線機を、とっさに持ち出してしまったスウン。
翌日返しに行くが、「壊れているからあげるよ」と言われ、
そこへドンヒが通りかかり「君の無線機?」と尋ねられ、
思わず「はい」と、答えてしまう。

その日は、皆既月食の夜だった。
仕方なく持ち帰った無線機から声がする。
その声の持ち主は、チ・イン(ユ・ジテ)
スウンと同じ新羅大学の2年生。
初心者のスウンに、無線機の本を貸す約束をするイン。
本館の前の時計台で2時に。
「あ、あの今工事している時計台ね」
というソウンの言葉に釈然としないものの聞き流す。



翌日、時計台の前で待つイン。
雨の中ずぶ濡れになりながら2時間も待つインを見て、
インに想いを寄せるヒョンジ(ハ・ジウォン)は
「知らない女をこんな雨の中2時間も待つなんて」と、呆れる。
「知らない女だから待つんだ。お前なら待たない」と、インは言い放つ。
「後ろの建物は本館だよな?」
「これは時計台だよな?」
「ここは新羅大だよな?」
と、ヒョンジに訪ねるイン。

夜、ソウンに「君の気持ちはわかるよ」と、語るイン。
容姿に自信がなくてもコンプレックスを持つことはないよ。
俺が標準以上の容姿だから気後れしたんだろう?
近くにいたんだろう?
というインの言葉に呆れるソウン。
「埃っぽい工事現場で2時間も待ったわ」と、怒りをぶつけるソウン。
「雨なのに埃っぽいわけがない」と、インも怒り出す。
「雨が降ってた?何言ってるの?晴れてたじゃない」
というソウンの言葉に
「新羅大じゃなくて、高句麗大か壇国大で待ってたんじゃないの?」
と、インは半ば呆れ顔で答える。
窓を開け雨の音を聞かせるイン。
「あなたこそふざけてないで、水道の蛇口を閉めなさいよ!」
と、ソウンは怒って通信を切ってしまう。
インは言葉も出ず、溜息を吐くが、
無線機のコンセントが抜けていることに気づき、
(電源が入っていないのに通信していたということ)
「何なんだー?」と、頭を抱える。
(この「뭐야?(モォヤ?)」って言うユ・ジテが可愛くて大好き)



インは、無線機の故障かと、無線機を修理しようとする。
そこへ現れた守衛のおじさんは、
「会話できればいいじゃないか。壊れちゃいないよ」と、言い残す。
(このおじさん、実は謎の人物)

再びソウンと交信するイン。
「何も話すことはないはずだけど」と、ソウンは冷たく突き放す。
インは、コンセントに繋がっていないプラグを不思議そうに眺めながら
「昨日は俺が悪かったよ。無礼だった」と、謝罪する。
険悪なムードも払拭し、二人は楽しく会話を交わす。
「今何年生?」「3年生よ」
「僕は2年生だから先輩だね」
「飛び級で入ったから、歳は同じよ。学籍番号は77番だけど」
というソウンの言葉で、二人は再び言い合いになる。
「普通77番といったら、1977年に入学した学生だろう?」
「そうよ、韓国で1977年に入学した学生は77番でしょう?」と、ソウンも譲らない。
「ちょっと冗談キツくない?」と、インは半ば呆れ顔。
「僕ら同じ歳で同じ大学だろう?1999年入学の学籍番号は99番」
と、インは穏やかに諭す。
「つまり、1999年に入学して、今2000年っていうことなの?」
と、ソウンは聞き返す。
「たぶん・・・そういうことでしょう?」
インの答えを聞いたソウンは、不愉快になる。
「予言通りなら、地球は滅亡しているはずよ」
と、ソウンはまたもや怒って電源を切ってしまう。

呆然とするイン。「悪戯とも思えないんだ」と、
ヒョンジに、事の成り行きを話すが、
「簡単よ。1977年に入学し、現在3年生に在学中。度々休学した。約20回」
と、あっさりと答える。
「ねぇ、軍隊でも行ってたんじゃない?少し長く。
それとも、結婚出産の後、しばらくして復学した」
ヒョンジの妄想にインは付き合いきれない。
(インとヒョンジのやり取りっていいわよね)



미친사람?・・・・불량배?・・・・
사기꾼・・・・아니면, 미래에서 온 사람.
ヘンな人?・・・不良?
詐欺師・・・・それとも、未来から来た人
と、ソウンも頭を悩ましていた。

「~から」という場合、
「場所」の場合は에서で
「時間」の場合は부터だけれ ど
「未来から」の場合は、「場 所」的扱いになるのねぇ。1 つ勉強したわ。

翌日、ドンヒたちと昼食を取ったソウンは、
「ひょっとしたら、地球滅亡まで遊び呆けているかもな」
というドンヒの言葉に
「地球は滅亡しないって、1999年の地球滅亡説は嘘ですって」
と、得意げに答える。

夜、インが交信してくる。
「そう、君は1979年にいる。そして僕は2000年。
つまり、僕らのどちらかが嘘をついているか、頭がイカレてるってこと。
一つ聞くけど、昨日の新聞で記憶にあるのは?」

「そんな話、何の意味があるの?
まぁ、いいわ。
昨日の一面トップは・・・
金泳三総裁除名の記事。
あとは学生デモの記事ね」
と、難なく答えるスウンにインは、
「目の前に79年の年鑑があったりして」と、唖然とする。
「その議員が14年後には大統領になるって書いてある?」
と、インは尋ねる。
「世の中には科学では証明できないこともあるよな・・・」
インは、スウンの言葉に信憑性を感じ始める。
「しっかり聞いてくれ。明日の新聞には釜山に戒厳令とある。
大学の時計台の落札式も予定されているけど、
理事長が心臓麻痺で倒れて延期される。
心配はないよ。命に別状はなく、式は来月行われる」
インの言葉にソウンも興味を持ち始める。
「他に情報はないの?漢江に人魚姫とか、ソウルに大地震とか。
それとも、大統領死亡のニュースとか」
「彼は今月の26日に死ぬ。人魚姫や大地震はない。
今無理に信じなくてもいい。明日また話そう」
と、インは慎重な面持ちになる。
「そうね。もう通行禁止の時間だし」
と、ソウンは何気なく答えるが、
「通行禁止?気が変になりそうだ」と、呆然とする。

「通行禁止」とは、「夜間通 行禁止」のことで、
朴大統領の時代に実施された 夜間外出禁止令。
1945~82年の間、午前 0時~午前4時まで夜間の外 出が禁止されていた。
この朴大統領というのは独裁 者で、
1979年10月26日に中 央情報部長・金載圭に射殺さ れる。
この事件が、「そ の時、その人々」で 描かれている事件よ。

翌朝、新聞を見たスウンは、インの言った通りであることに驚く。
時計台の式も同じだった。
スウンは信じがたい出来事に愕然とする。

夜、呆然としながら無線機の前で考え込むスウン。
インが交信してきた途端
「あなたは誰?いったいどうなってるのよ?」と、つっかかる。
「簡単さ。僕は2000年にいて、君のいる79年の資料が簡単に手に入る」
「2000年にいるあなたは、私が79年にいるって信じてるの?」
「あぁ」
「私も信じないといけないの・・・?」
「たぶん、それしかないだろ・・・?」
呆然とするスウン。

インが2000年にいると信じたソウンは、
インとの会話に夢中になる。

2000年はどう?
社会はどう?
生活はどんななの?

楽しいこともあるけれど、悪いこともある。
空気汚染や、人口増加とか、
だから昔を懐かしむ人も大勢いる。

誰かを一生懸命好きになれば結ばれるという方法はある?
と、スウンは思わず尋ねてしまう。
「そんな方法永遠に有り得ないよ」と、インは笑う。
「スウン씨、誰かを好きなんだね?」と、インは冷やかす。
「違うわよ」と、スウンははぐらかす。
「大丈夫。僕は別の世界にいるんだから」
というインの言葉にスウンは安心し、
トンヒへの想いを告白する。
「好きな人はいないの?」というスウンの問いに、
インは「いるよ」と、答える。

トンヒが学生デモで怪我を負い入院する。
スウンは、トンヒの無事な姿を見ると、
思わず抱きつき泣いてしまう。
トンヒの腕のギプスに、自分の名前を書き込むスウン。
こうすると、怪我が早く直るのだと。

「彼の体に自分の名前があるなんて不思議」
と、スウンはインに語る。
「両親のなれそめに似てるなぁ」と、話すイン。
「そういえば、両親も同じ大学だった。
そうだ、学籍77番だから君と同期だ」
というインの言葉に、ソウンの声も弾む。
「誰なの?すぐに調べられるわ」
しかし、次のインの言葉で、絶望の淵に追いやられてしまう。
「母親はホ・ソンミ。父親は1年先輩のチ・ドンヒ」
「同じ学科よ・・・」
沈むソウンの声と裏腹に、インの声は弾む。
「親しいの?」
「親しくはないけど・・・・」
「学内で有名なカップルだったって」
「えぇ、有名よ・・・」
盛り上がるインをよそに、スウンは無線機の電源を切ってしまう。
親友ソンミと、憧れのトンヒが・・・
スウンは悲しみに打ちひしがれる。

その頃、同じ病院に入院しているソンミとドンヒが偶然出会っていた。



「嘘よ、全部嘘だわ。2000年にいるなんて有り得ないわ」
スウンは、真夜中自転車を漕ぎ病院へ向かう。
明け方になると、スウンは病室へ忍び込む。
寝ているソンミを見て安堵するスウン。
今度はドンヒの病室へ。
眠っているドンヒのギプスを見やると、
そこにはソンミの名前が書き込まれていた。
絶望するスウン。



夜、インに「両親に会った?」と問われ
「お似合いのステキなカップルよ」と、スウンは答える。
「彼とはうまくいってる?」と聞かれ、
「彼とは縁がないような気がするわ」と、スウンは弱音を漏らす。
「縁なんて関係ないよ。
それに、縁がないなんて・・終わった時に言うもんだよ」
と、インに慰められ、スウンは泣き崩れる。

インは、久しぶりに実家に帰る。
両親の大学の卒業アルバムで、スウンの顔を知ったインは、
スウンが両親と三人で仲よさそうに写った写真がいくつもあることに首を傾げる。
スウンは母とは親しくないと言っていた。
インは、全てを悟る。

10月26日。
朴大統領暗殺のニュースが流れる。
スウンは驚愕する。
やっぱりインが2000年にいるのは事実なのだ・・・
スウンはドンヒの元を尋ねると、心の中で別れを告げる。




そろそろ結末ですわよー。ネタ バレご注意。


インは、ソウンの卒業後の行方を調べる。
この大学の英文科で教授をしていたが、二年前に異動になったことがわかる。
インが入学した年に、異動の希望を出したのだと。
スウンが父を選んでいたら・・・
愛を貫いていたら・・・
僕はどうなっただろう?
インは思い悩む。

ソウンからの交信が入る。

彼とは別れたわ。
あなたの言う通り、最後まで愛を信じようと思ったけど、
自信がなくて・・・
だから、今日、心の中から彼を消したの。
随分学内を歩いたわ。
人は香りを持って生きてるの。
そして、その香りを感じながら生きてるの。
その香りが消えたら、人は死ぬんですって。
でも、死んでもその香りがずっと残る人もいるそうよ。
その香りを他人に分けてあげる人もいる。
香りはどんどん豊かになって、永遠に放たれる。
私、その人の香りがわかります。
いつでもどこでも、目を閉じれば香ってくる。
その人と私は間違いなく同じ気持ちで生きているわ。
同じ哀しみ
同じ喜び
同じ香りを感じながら
生きている。
1979年の喜びは
2000年にも感じられるはず。

「愛」を「香り」に例えたソ ウンの想い。
香りを他人に分けてあげると いうのは、
自分は愛を諦め、インをこの 世に残してあげること。
その人と私は間違いなく同じ 気持ちで生きてるわ。
それは、お互い愛し合ってい るのではなく、
この世に生きているインを通 して、
同じ感情を分け合う・・・
インのことで彼が喜べば、ソ ウンも嬉しく、
インのことで彼が悲しめば、 ソウンも悲しく・・・
そうして、永遠に同じ気持ち を分け合って生きてい く・・・
そうやって、永遠に彼を愛し て行く、
という、せつないソウンの決 断。
愛を諦めたことで、生まれた 喜び。
その喜びは、2000年に なっても、
インがこの世に存在すること で感じ続けることができる、 と・・・

インは、ソウンの異動した大学を訪ねる。
一言謝りたいと・・・
顔を見るだけでいい、幸せかどうか・・・
笑ってるといいな。
悲しそうな顔をしていたらどうしよう・・・俺のせいだ。

教室から出てきたスウンは、廊下に佇むインの姿に驚愕する。
何も言えずにみつめ合う二人。
スウンは慈愛に満ちた微笑をインに向け、インの横を通り過ぎる。

インは帰宅すると、スウンに交信する。

今日、あなたを見ました。
美しく輝いていた。
幸せそうで本当に安心したよ。
スウン씨が僕の横を通 り過ぎた時、香りを感じた。
君が言った香りを僕も感じることができたよ。

インは、涙が止まらない。
「こいつのせいだ」と、インは無線機を叩き壊そうとする。
そこへ守衛のおじさんがやってきて
「歳月とは、そうやって流れていくものだ」
と言い残して去って行く。

「歳月とは、そうやって流れていくもの。ジタバタしてもしょうがない」
インとヒョンジは、腕を組みながら歩いて行く。

END

キム・ハヌルとユ・ジテのラブストーリーだと思ってみてたから、
21年後に再会し結ばれるのかと思ってたのに、肩透かしだわ。
やっぱり21年の年月は越えられないものなのね。
けど、逆にとってもせつなさを感じたわ。
スウンの愛の形に。
あのスウンの微笑みに、全てが込められていたわ。
2000年にも、この喜びを感じることができるでしょう・・・
その言葉通り、慈愛に満ちたスウンの微笑み。
スウンの強さにちょっと感動し、
横を通り過ぎていくスウンに何も言えないインに、
せつなくなったわ・・・







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