美術館の隣の動物園  Art Museum By The Zoo 
 原題:美術館の隣りの動物園 미술관 옆 동물원(ミスルグァン ヨプ  トンムルォン) <1998>

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美術館の隣の美術館

結婚式ビデオのカメラマンのチュニ(シム・ウナ)は、結婚式の撮影ごとに会う国 会議員の補佐官ソ・イ ンゴン(アン・ソンギ)をひっそりと愛している25歳の女性。

そのチュニの部屋にチョルス(イ・ソンジェ)という男が突然押しかけてくる。彼は、最後の軍 休暇を共に送ろうと膨らんだ心で恋人タヘ(ソン・ソンミ)の部屋を訪ねたのだが、彼女は既にその部屋から引っ越してしまっていない。タヘがまもなく結婚す ることを知ったチョルスは、タヘの心を変えてみせるといってチュニの部屋に頑として居座る。

チュニは滞った家賃をチョルスが代わりに支払ったがゆえに、 チョルスを追い出せない。結局、互いが願わない10日間の同居が始まる。チョルスは、チュニが公募展に出すために書いているシナリオ作業の手助けをする。

心を痛める愛をあざ笑い、愛はセックスのための手段にすぎないと話すチョルスは、徐々に変わって行く。チュニも少しずつ進んでいく愛を理解し始める。チョ ルスは休暇最後の日、誕生日の贈り物とメモを残して去り、それを見たチュニはチョルスに会いに動物園へ行く。
【MV】 미술관 옆 동물원 OST(서영은 - 사랑하는 날에)
監督 イ・ジョンヒャン(李廷香) <1998>美 術館の隣りの動物園、 <2002>おばあ ちゃんの家、<2011>ノーバディー・サムバディー

出演

シム・ウナ (沈銀河)

<1995> サランヘヨ あな たに会いたくて、<1996>ボー ン・トゥ・キル、< 1998>八月のクリスマス
<1998>美術館の隣りの動物園、<1999>イ・ジェスの 乱、<1999>カル、<1999>イ ンタビュー

イ・ソンジェ (李誠宰)

<1998>美 術館の隣りの動物園、<1999>愛のゴースト、 <1999>アタック・ザ・ガス・ステーション!
<2000>吠える犬は噛まない、 <2000>エン ジェル・スノー、<2001>風林高、<2001>公共の敵
<2004>氷雨、 <2004>風の伝説、<2004>シン・ソッキ ブルース、<2006>ホリデー
<2006>デイジーデイジー アナザー・バージョン)、 <2007>マイ・ボス マイ・ヒーロー3
<2010>夢は叶う、<2010>絃の歌

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【レビュー&ネタバレ】
1998年の興行成績では、
<シュリ>に続く第二位という、何気にすごい映画。
なのに、日本での認知度はイマイチ。
この<美術館の隣りの動物園>というタイトルもよろしくないようで。
けれど、観終わった後は、これほど相応しいタイトルは他にないと思うはず。
あらすじを読んでもイマイチ惹かれない。
けど、ほのぼのとしてステキなラブストーリーなの。
mocaオススメの映画。

この<美術館の隣りの動物園>というのは、
劇中でシム・ウナが書いているシナリオのタイトル。
このシナリオの主人公タヘとインゴンが実際に
劇中でも同時進行していくの。
これがまたちょっと面白く、映画を盛り上げるわ。
この劇中のタヘとドンゴンを演じているのが、
マイ・ボス マイ・ヒーローライアー などのソン・ソンミと、
ピアノを弾く大統領など、国民的俳優アン・ソン ギ。
ソン・ソンミはキレイな女優さんだけれど、厚化粧過ぎて美しさが台無し。

この<美術館の隣りの動物園>を
共同執筆することになってしまったシム・ウナとイ・ジョンジェが、
それぞれ想いを寄せるタヘと、インゴンの名前を脚本で使用し、
その二人が劇中のサブストーリーの中で、シナリオの主人公を演じるから
「ぷぷっ」と笑ってしまう。

シム・ウナといえば・・・
そのイメージ通り、女性的なキャラクターばかり演じてきましたが、
この映画のチュニは、相反するキャラクター。
ペットボトルの水をラッパ飲みし、
靴下ははかず、歯も磨かない。
食事の前に奇声を発し、
部屋は散らかって埃だらけ。
けれど、そんなチュニもシム・ウナが演じれば
愛らしくて憎めないキャラクター。
そのギャップがいい。
「美人は得」という言葉を証明しているようでもありますが・・
実際、このチュニというキャラクターは、監督がモデルだそうで・・・
とても愛らしいとは・・・・・・・・・・・・
シム・ウナも最初はどう演じていいのかわからず戸惑ったそうですが、
監督を見てヒントを得たそう。
moca的には、こういうキャラクター大好きですが。

こんなキャラのチュニだから、
見知らぬ男性との同居も、受け入れたのだということです。

そんなチュニと同居することになるチョルスの性格は几帳面。
チョルスはチュニのだらしなさが許せなく、
二人は喧嘩ばかり。

実はこのチョルス。
リュ・シウォンを想定していたものの、断られたそう。
それ以来、リュ・シウォンは
シナリオがよければ、制作会社が潰れ
制作会社が大手だと、シナリオが破綻していると・・・
未だにスクリーンデビューを果たしていない。
2007年、<ミスター・ムーン・ナイト>でようやくデビューするようですが。

このチョルス。
最初は「なに、こいつ!」というようなキャラですが、
しだいにかっこよく見えてくる!(笑)
バスに乗り遅れそうなチュニを見て、
バスの前に車を割り込ませ、チュニをバスに乗せてあげるシーンは、
最高にかっこいい!
雨の中、チュニとスーパーに買い物に行き、帰り道で雨が上がると、
「荷物は持ってやるから、傘を差して傘を乾かせ」
と言って、晴れた中傘を差すシーンもステキ。
それはチュニも同じだったようで、
それ以来、一人で歩いていても、傘を差すようになるの。
確かにリュ・シウォンのイメージと違うけど、かなりハマると思うわ。
「プリンス」のイメージを壊したくないのかしら。
別の魅力が加味されて、もっとステキになったと思うのに。

こんな相反する二人だけれど、
チョルスはチュニの天真爛漫さと純粋さに惹かれ始める。
男性は、シム・ウナがいつも演じているような女性に惹かれがちだけど、
こういう「守ってやらなくちゃ」なキャラが愛しくなったりするものよね。

この映画は、あらゆる面で「対称」となるものを描いているわ。
チュニとチョルスの恋。
チュニの書くシナリオの中年男性と若い女性の恋。
動物園という自然のオープンな空間と、限られた空間の美術館。
チュニの恋愛の仕方とタヘの恋愛の仕方。

だからこそ、
この<美術館の隣りの動物園>というタイトルも気が利いてて、
美術館派のチュニと、動物園派のチョルス。
そして、それが隣り合っていて・・・
なんともロマンティックでステキな演出となるのです。

この美術館と動物園は実際に存在して、
果物(クァチョン)のソウル大公園の中にある美術館と、
その隣りにある動物園で撮影されています。
映画を観ると、かなり行きたくなります。
向かう途中の果川街路樹通り(과천가는길)もステキ。
美術館を撮影するのは本当に大変だったそう。
なんせ、国立美術館ですから。
一旦撮影は断られたものの、館長が大の映画好きで
「韓国映画に貢献したい」と、一ヶ月経った頃に連絡があったそう。
館内を撮影するにも、
美術品が映り込んでしまうと著作権に関わってくるので、
何十人ものアーティストに許可を取ったそう。


ストーリーですが、


結婚式のビデオ撮影の仕事をしているチュニは、
式場でいつも見かける代議士秘書インゴン(アン・ソンギ)を密かに想っている。
今日もインゴンを見かけるが声を掛ける勇気が無い。

そんなチュニの部屋に突然やってきたチョルス。
10日間の兵役休暇を恋人タヘ(ソン・ソンミ)と過ごそうと訪ねてきたが、
彼女は既に引っ越しており、そこにはチュニが住んでいた。
そんなことも知らず、部屋に上がり込み、
家賃を催促しに来た大家に、家賃まで払ってしまう。
チョルスはタヘと連絡を取りたくて部屋に居座るが、
チュニはチョルスが家賃を払ってくれたので追い出せない。
こうして、10日間の共同生活が始まる。

タヘは2ヶ月前、別の男と結婚を決め、チョルスの元から逃げ出していた。
チョルスはチュニにタヘの実家に連絡させ、居場所を突き止める。
しかしタヘは、チュニと一緒でなければ会わないと言い出す。
チュニは仕方なくチョルスと一緒にタヘに会う。
結局タヘの気持ちは変わらず、指輪まで返されてしまう。
傷心のチョルスは川に指輪を投げ捨てる。
だが、タヘを忘れられない。

チュニはシナリオの公募に応募するため、
苦手なパソコンでシナリオを書いているが、
締め切りも間近だというのに、一向に進まない。
チョルスはチュニが書いたシナリオを盗み見て、文句をつける。
チュニの愛は、ただ待つだけの消極的な愛だからだ。
「愛はセックスのための手段」だと、チュニの愛を嘲笑う。
チュニは勝手にシナリオを読まれた上に、恋愛経験が無いことを指摘され、
チョルスを追い出してしまう。
だが、チョルスのことが気になって仕方がない。
チュニは車の中にいたチョルスを呼び戻し、
再び共同生活が始まる。

パソコンが苦手なチュニのために、チョルスは代りにパソコンを打ってやる。
だが、チョルスはなんだかんだと口を出し、二人の共作となる。
二人のそれぞれの愛する相手タヘとインゴンを主人公にした物語。
タイトルは「美術館の隣りの動物園」
最初はインゴンを遠くからみつめるだけのタヘだが
少しずつ彼に近付き、
愛を信じなかったインゴンは
タヘの積極的な態度に少しずつ心を開いて行く。
しかし、それはシナリオの中だけではなかった。
天真爛漫で純粋なチュニにチョルスも惹かれ始め、
チュニもチョルスと暮らすうちに、
愛とは一目見た時から熱く燃え上がるものではなく、
こんな風にいつのまにか
ゆっくりと温めていくものなのだと感じ始める。

チョルスは、休暇最後の日。
誕生日プレゼントのステレオと、メモを残して去っていく。
仕事から帰ってきたチュニはそのメモを見て、
チョルスを探しに動物園に向かうが、
チョルスはチュニのことを考えながら美術館にいた。
しかし、二人は帰り道
美術館と動物園の分かれ道で出会う。
そして仲直りした二人はキスする。





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