アジョシ(おじさん)  The Man from Nowhere 
 原題:おじさん 아저씨 (アジョシ)<2010>

 オススメ

 ストーリー

 韓流王道

 泣き

 笑い

名作

 映像

×

×

×

×

×



不幸な事件で妻を失い、世の中に背を向け、細々と質屋を切り盛りし、寂しく暮ら して いる元特殊要員テシク(ウォンビン)。

訪ねてくる人間は、質屋に物を預けにくる人々と、隣りに住む少女ソミ(キム・セロン)だけだ。

世の中から捨てられたソミと共に過ごす時間が多くなり、テシクとソミは、互いに心を開いて友だちになっていく。

そんなある日、ソミが突然消える。ソミの母が犯罪事件にかかわり、一緒に拉致されてしまったのだ。

ソミの行方を追って再び世の中の外に出てくることになったテシク。たった一人の友だちのソミを危険から守るため、犯罪組織とある種の取引きをする。

しかし、ソミの行方は相変らず不明で、警察がテシクを追いかけ始め、テシクは、犯罪組織と警察の両方の追撃を受けることになる。そしてその過程で、 ベールに包まれていたテシクの秘密の過去も現れ始める。
【予告編】
監督 イ・ジョンボム <2006>熱 血男児、<2010>アジョシ(おじさん)、<2011>俺はパパだ

出演

ウォンビン (元斌)

出演作品一覧

キム・セロン

<2009>冬の小鳥、<2010>アジョシ(おじさん)





【チャ・テシ ク】
質屋/元国家情報員
ウォンビン
【ソミ】
テシクの隣家の少女
キム・セロン
【キム・チゴ ン】
刑事
キム・テフン
 
 
【マンソク】
マンジョン兄弟の兄
キム・ヒウォン
【ジョンソク】
マンジョン兄弟の弟
キム・ソンオ
【ラムノワン】
マンジョン兄弟の手下
Thanayong Wongtrakul
【オ・ミョン ギュ】
組織暴力団ボス
ソン・ヨンチャン
【キム・ドチ】
ミョンギュの手下
イ・ジェウォン

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【レビュー&ネタバレ】
2010年8月公開。観客動員数は、約620万人のミラクルヒット。 2010年興行成績のトップ。
「この映画さえ観れれば、もう思い残すことはない!」
それくらい期待し心待ちにしていた映画。
というのも、萌香が韓国映画にハマるまで、最も好きな映画だったのが、「レオン」なのだ。
胸が震えるほど泣きました。
孤独な男レオンと、隣家の少女マチルダの心の交流... そして、マチルダを守るために命をかけるレオン。
そのレオンを彷彿させる映画だからだ。
しかし、期待はずれだった。
中途半端にレオンからの影響が見られるが、雲泥の差だ。
そりゃ、世界的巨匠と、韓国の無名監督とじゃ、比較するだけ失礼よね。

説明くさいだけでドラマも緊迫感もないアクション映画

これがミラクルヒットだというのだから驚きだ。
まさに映画はギャンブル。
いったい韓国の若者は何を求めているのか。
人間ドラマなど必要ない。ただ単にアクションが楽しめればよいのか。

興行の成功に貢献したのはウォンビンだ。
監督でも、脚本(監督執筆)でもない。
オルグルチョッタ!モクスリチョッタ!モミチョッタ!(顔よし、声よし、体よし)
孤独な憂いを秘めた影のある男。ウォンビンにしかない哀愁と憂い。
そして、第一声のアルトなシブい声にゾクゾク。
薄いセーターでは隠し切れない鍛え抜かれた筋肉。
これに加え、最高の演技力。前作、母なる証明とは同一人物 とは思えない。
アクションも完璧。ナイフさばきは見事だ。

ウォンビン最高のミュージックビデオ と、 思ってもらってよい。

そのストーリー性の酷さからも。

ウォンビンの魅力しかこの映画からは得るものがない。
完璧を求めるが故に説明くさくなり、
緊迫感と面白みをを求めるが故に、余分なエピソードが満載。料理で言えば、化学調味料たんまりの料理だ。
ストーリー性のない映画にして何と約2時間!
どんだけ余計なものを詰め込んでいるかが明らかだ。

無能な監督というものは、反省ができないらしい。
前作、熱血男児で感じた感想とほとんど同様 の感想だ。
血の繋がらない人間同士の固い絆....
それがこの映画では最も重要だったハズ。それがなければ、命がけで隣家の少女を助けるか?
その絆は冒頭でアッサリと描かれている。
それ故に、主人公の行動に同調できず、感情移入もできず。
まさに前作と同じ。
主人公に同調できず、感情移入できない映画。
それほどつまらない映画はない。
アクション映画だと割り切ったところで、2時間もダラダラと耐えられるものではない。

この監督は次も同じような映画を作るのかと考えると、心底ウンザリだ。
日本公開は間違いないでしょうけど、どんな邦題がつくのでしょうか。
ダサいタイトルになりそうで心配。

テシクがゴルフ場の網に落とされるシーン。あのシーンは映像が美しくて見とれた。
なので、映像は「○」に。


(1)オ・ミョンギュ社長の存在は必要か

   テシクの敵はマンジョン兄弟であって、マンジョン兄弟とオ・ミョンギュの敵対を入れ込んだのは
   単なる時間稼ぎ。何の意味も持たない。
   ストレートに テスク VS マンジョン兄弟にすべきだった。
   テシク vs マンジョン兄弟 & マンジョン兄弟 vs オ・ミョンギュのエピソードは煩雑にするだけだ。
   警察が2ヶ月も潜伏捜査するほどの大物だが、どれほどの大物かが全く省かれている。

(2)テシク vs 警察は必要だったのか

   キム・チゴン刑事役のキム・テフンは、キャスト表の三番目に表記されている。
   それほど重要な役割のはずだ。
   しかし、ストーリーを展開させるための脇役でしかない。
   わざわざ警察に追われなくとも、テシク vs マンジョン兄弟で十分だ。
   オ・ミョンギュ社長がどれほど大物な人物か知らしめるためにも警察の存在は必要だが、
   そもそも、オ・ミョンギュ社長の存在が要らない。
   そして、テシクの秘密の過去を暴くためにも必要な存在なのかもしれないが、
   テシクというキャラクターに興味もないのに、過去など知りたくもない。
   なぜ殺し屋級の腕を持つかは、いくらでも説明する方法はある。

この2つの無駄を省いただけでもスッキリするはずだ。

萌香が何とか耐えられたのは、マンジョン兄弟の弟ジョンソクのおかげ。
イカレたキャラが最高!!その上、かっこいい。
今まで何度となく見かけた俳優だけれど、今までは目立たないキャラばかり。
かっこいいとも思わない。これも全て髪型のせいか???
きっと他の作品では、トキメクこともないだろう(笑)
何と言っても、一番トキメイタのはキスシーン!
ジャグジーに浸かり、電話をしながら「チュっ」とするキスが最高にエロい!(笑)
唇を見ただけでエロい!
好きな人とのキスなら、「ウマい、ヘタ」関係ないけれど、ウマいキスは、キスだけでクラクラしてしまう。
いいなぁ、あのキス(笑)

少女ソミ役のキム・セロン。
ウォンビンからノートパソコンをもらったと自慢し、「ブサイクなくせに」と随分叩かれましたが、
本当にブサイク(笑)
なんだけれど、子役にして名女優。
言葉にできない不思議な自然な演技がすばらしい。
だけど、この子の演技は萌香の涙腺を刺激しない。出演作二作とも涙でず。





黒い土の少女とのユ・ ヨンミちゃん。おっきくなったねー(↑画像)
ドラマ「黄金のリンゴ」のクムシルは見ているだけで癒されるほど可愛かったのに、あの愛らしさが消えて残念。
ドラマ「ありがとうございます」のボラムも、ちょっと可愛さが薄れていたのでガッカリしてましたが、
ここまで別人に成長してしまうとは..............


キム・チゴン刑事役のキム・テフンは、キム・テウの弟だ。
兄と違って存在感も、演技力もない。





↓  結末まで 綿密に ス トーリー紹介(結末ネタバレ) ↓

キャプチャー画像は過去最多です。なんせ2時間ですし。
この映画を期待している方も多いので、字幕なしでも内容が理解できる程度には紹介したいと思います。
仕事から帰ってちょこまかちょこまかやってましたが、1週間かかったー!大仕事だね。

「アジョシ=おじさん」ですが、「おじさん」だとニュアンスが違うので、「アジョシ」で通します。




麻薬課のオ・チゴン刑事らは、2ヶ月もの間、麻薬界の大物オ・ミョンギュ社長の周囲を張り込み続けている。
そんなある日、取引現場を押さえたものの、覚醒剤の現物が見当たらず途方に暮れる。
というのも、ダンサーのヒョジョンが覚醒剤を受け取ったウェイターをスタンガンで気絶させ奪ったのだ。




とあるアパートで細々と質屋を営むテシク。
世の中から背を向け生きるテシクを訪ねて来るのは、質草を預けに来る人々と隣家の少女ソミだけだ。
ある日ソミがMP3プレイヤーを預けに来る。
友達のように親しげに語りかけてくる少女ソミにテシクも心を許していた。




目ざとくテシクのソーセージを見つけたソミ。
「私、ソーセージ好き」と、一緒に食事にありつく。
「金を儲けてどうするんだ?」
テシクはソミに訪ねると、ソミは両手を広げてネイルアートを披露する。
「ネイルアートするんだよ。クラスで一番上手なの。アジョシにもやってあげる。最近は男もするの」
ソミは自慢げだ。
テシクはチラリと目をやっただけで、ソミのスプーンにおかずを乗せてやる。




「アジョシ、本当にヤクザなの?みんなそう言うの。オンマもアジョシがセクハラ犯だから気をつけろって」
ソミは尋ねる。
「おまえも俺が悪人に思えるか?」
テシクは尋ねる。
「なんとなく... 監獄が似合う気がします」
ソミは率直に答える。
その時、ソミの母が質草であるカメラとカメラケースを持ってやってくる。
ソミの母は、オ・ミョンギュのナイトクラブで覚醒剤を奪ったダンサーだった。




テシクは手馴れた様子でカメラをチェックし、カメラとケースを預かり質札を渡す。
「警告するけど、うちの子にヘンなことしないで。ソミにヘンなことをしたらタダじゃおかない。
私は人妻だから誘惑しても許すけど、子供は容赦しない。金玉引きちぎってやる。
そんなに寂しいなら誘惑するか?すました感じも良いし相手してあげてもよいけど」
ソミの母はテシクに告げる。
何の言葉も発しないテシクを見て、ソミの母は悔しそうに引き下がる。




その頃警察では、オ・ミョンギュの部下が証拠不十分で釈放された。
「捕まえたら漁ってやる」
チゴンは悔しがる。




オ・ミョンギュは、覚醒剤を奪われた失態を犯したマンソクを叱責し殴打する。
「子分らに命じて捜しています。奪った奴をみつけたら....」
マンソクは言い訳するが、
「丸太商売をする奴は、これだから信用できない」
と、言い放つ。

この映画で初めて知った言葉。
臓器売買(장기매매)のことを丸太 商売(통나무장사)と言うようです。
人肉商売ともいうようだけれど、な んで丸太なんだ?

「中国の奴らは、1億6千万人が大麻を吸い、2千6百万人がメタムフェタミン(麻薬の一種)、
千百万人がヘロインをやっている。大儲けだ。UN軍がそう言ってる。
3日だ。
中国の奴らを引き止められる期間、3日だ。
その間にサンプルのヘロインを捜せなかったら、弟とおまえを ”人体の神秘展” に送ってやる。
人肉商売していれば、どういうことかわかるだろう?」
オ社長の言葉に、マンソクは脅える。
「三清教育隊を再び作り、捕まえて放り込めば国が甦る」
オ社長は言い放つ。

チョンソルリへようこそに出てきた三清教育隊って有名なん ですね。
なのに、チョンソルリへようこそでは、近くに住む里長が知らな い.....




「ブツはどこへやった!?」
ソミの母と共謀しヘロインを奪ったソンシクはソミの母を問い詰める。
「奪ったのは私だ。半分は貰わないと、違う?」
ソミの母が言い放つと、ソンシクはソミの母を殴る。
「おい、よく聞けクソ女。8対2ならいい条件だ。キチガイじみたこと言わずに明日までに出せ!」
ソンシクは脅す。
「笑わせるな。直接処分して雲隠れしたら終わりってことだ!」
ソミの母も負けていない。
「おまえ、奴らがどんな奴が知ってるか?よく考えろ。キチガイ女」
ソンシクはソミの母を殴り飛ばし立ち去る。




そこへソミが帰宅する。
「外で遊んできなさい」
母はソミに告げると、ヘロインに溺れる。
快楽に溺れる母の声を台所で聞きながら、耳を塞ぐソミ。




その頃テシクは、喪服にアイロンをかけていた。カレンダーを見やるテシク。明日は妻の命日だ。




そこへ、母の喘ぎ声に耐えられなくなったソミが訪ねてくる。
「本当だよ。オンマの友達が帰ったら出て行くから」
ソミはテシクの部屋へ上がりこむ。
「アジョシのあだ名知ってますか?質屋の幽霊だって」
ソミは語る。
「私のあだ名わかる?」
ソミは尋ねる。
「何だ?」
テシクは尋ねる。
「考えてみてくださいよ」
ソミは告げる。
そんなソミに、テシクは枕を差し出し、自分のベッドに寝かせてやる。
「ゴミ箱です」
ソミは自らあだ名を教える。
「叔母さんが、オンマが妊娠した時にゴミ箱を蹴って足の指を折ったと。
それからずっとゴミ箱。笑わせるでしょう?」
ソミは語る。
「寝ろ」
テシクは何の反応も見せず、一言告げる。
「質屋の幽霊とゴミ箱。何かのIDみたいでしょ?」
ソミは問うが、テシクは答えない。




椅子の上で夜を明かしたテシク。翌朝目覚めると、既にソミの姿はなかった。
冷蔵庫に貼られたメモに目が留まる。
「材料が足りなくて手を抜いたの。可愛いと思って許して(笑)」
ふと指を見ると、薬指だけにネイルアートが施されていた。
(冷蔵庫なんかに貼るから料理でも作ったのかと思ったじゃん!)




喪服を着て納骨堂を訪れるテシク。そこには、愛する妻が眠り、子供の靴が供えられていた。
幸せだった日々を思い起こし、表情が曇るテシク。




納骨堂の帰り、偶然ソミが見知らぬ親子に殴られている場面に遭遇するテシク。
警官まで駆けつけ、ソミがカバンを盗んだかと尋問する。
シラを切りとおすソミに対し、「大人を呼ばなきゃダメね」と、言い放つ。
その時ソミはテシクに気づき、テシクに向かって指を指す。
「アッパ?」
と尋ねる婦警に頷くソミ。




しかしテシクは黙って立ち去ってしまう。




その頃、マンソクは弟のジョンソクへ電話をかけていた。
ヘロインを盗んだのがソミの母だとドチから連絡があったと。
それを聞いたジョンソクは憤慨する。




近所の文具屋で遭遇するソミとテシク。テシクを無視するソミ。
「怒ったのか?」
テシクは尋ねる。
ソミは答えず、品物を万引きして駆け去る。




「さっきの品物はいくらですか?」
テシクは文具屋の主人に金を差し出す。
「放っておけ。子供というものは元々盗みなどをやって育っていくものだ。
あの子は、いつも一人で遊んでいるじゃないか?
他の父親と同じように連れて来なさい」
老人は語る。
そして、「サービスだ」と言って笑う。




ソミの後をついて行くテシク。振り返るソミ。
「私のMP3返して」
そしてソミは1枚のカードを差し出す。
「お金がないから、これを差し上げます。私の宝物のカード。全てに勝つ」
ソミはそう言って去って行く。




振り返るソミ。目には涙が。
「アジョシ。アジョシも私が恥ずかしいんでしょう?それで、知らんぷりしたんでしょう?
大丈夫です。クラスの友達もそうだし、先生もそう。
オンマも、迷子になったら住所も電話番号もわからないフリをしろと言う。
お酒を飲めば、一緒に死のうとばかり....
乞食と罵る子らよりも、アジョシの方が悪い人です。
それでも憎みません。
アジョシまで憎めば、私が好きな人が一人もいなくなる。
そう考えると、ここが痛むの。だから、憎めない」
ソミはそう言って、心臓を叩く。
悲しい表情でソミの後ろ姿を見送るテシク。




ソミが家に戻ると、そこにはジョンソクに軟禁された母の姿があった。
ドライヤーを押し付けられ、やけどを負った母の足を見て脅えるソミ。立ちすくむだけでどうすることもできない。




その頃、マンジョン兄弟の手下のドチらがテシクの部屋に侵入していた。




「俺たちが捜しているものがある。協力して貰わないと」
ドチはそう言ってナイフを抜く。
黙って財布を差し出すテシク。
「こいつ、チンピラだと思って...」
テシクの行動に憤るドチ。
その瞬間、テシクは財布にナイフを挟み奪い取る。あっという間の行動に、ドチは驚愕する。
ドチの部下がテシクに歩み寄る。しかし、あっという間に伸されてしまう。




「みつかったか?」
ジョンソクはドチに電話をする。
「それが... ちょっとヤバイです」
ドチは声を震わせた。そこへ、マンジョン兄弟のボディーガードのラムノワンが現れる。
「ちょっと雰囲気が違うようです」
尋常でないテシクを察したラムノワンは、ジョンソクに伝える。




ラムノワンは、ジョンソクからの電話をテシクに渡す。
「アジョシ、誰だよ?」
そう尋ねるジョンソクに、テシクは一蹴する。
「質屋で捜すのは間違いだ。通報はしないから行け」と。
動じないテシクを愉快そうに笑うジョンソク。
「いいだろう。捜し物がみつかれば消えてやる。パク・ヒョジョンという、昨日荷物を預けた女がいるだろう?
カメラ、バッグ... それを出せ」
ジョンソクは告げる。
「質屋は半日過ぎても一日分の利息を貰う。元金8万ウォン、利子1600ウォン。
本人が持ってきたら渡す」
少しも動じないテシクに、ジョンソクは更に愉快になる。
しかし、ジョンソクはソミとソミの母を拉致していた。
それを知ったテシクは、黙ってカメラとバッグをラムノワンに手渡す。




カメラバッグを切り裂くラムノワン。そこから、白い粉の入った袋が現れた。
匂いを嗅ぎヘロインだと確認するドチ。




その瞬間、伸された仲間を銃殺するラムノワン。携帯電話を残して立ち去る。
呆然とするテシク。





仲間をいとも簡単に殺す残忍さにソミの身を案じ、ラムノワンらの後を追うテシク。




テシクはソミが拉致された車を追う。
しかし、車には追いつけず、ソミらは連れ去られてしまう。




「クソったれが。何も解決できないで!ボクシング、合気道... そんなもんか?」
ジョンソクはドチを蹴る。
「兄貴、兄貴が直接見ないと。超早くて何も見えなかった」
ドチは言い訳する。
「そうか、上手くやった。どちらにしろ捨て駒が必要だったしな」
ジョンソクはバカにする。
「目をつぶらなかった」
ラムノワンが一言告げる。
「銃を撃った時、少しも怯えなかった」
ラムノワンも、ドチの言葉に同調する。ラムノワンも、テシクが只者ではないことを感じていた。




ラムノワンが置いて行った携帯電話が鳴る。
マンジョン兄弟からの指示だ。




テシクは指定された車に乗り込む。それを隠れて確認するマンジョン兄弟。




駅前で車を止めるテシク。
「コンソールボックスを見ろ」
指示がある。
コンソールボックスには、コインロッカーの鍵が入っていた。
鍵の番号のロッカーには、「故障」と書かれていた。
(これが伏線にもなるわけだけれど、「故障」と書くのはヤバいんじゃあ?修理のために開けられたら....)
ロッカーの中身を持ち去るテシク。




再びジョンソクから電話が。
「盆唐のタイラ・ゴルフ場へ行って、オ・ミュンギュ社長を尋ねろ」と。
「二人は、いつ返してくれるんだ」
テシクは問う。
「盆唐に美味しいスジェビ(すいとん)の店がある。9時に3人で予約した。探してみろ」
ジョンソクは言い放つ。




電話を切ったら携帯電話は捨てろと指示され、ごみ置き場に捨て去るテシク。
車に戻り袋を開けると、車のおもちゃが入っていた。
箱を開けると、底には白い粉が。麻薬だ。




指示通りオ社長を訪ねたテシク。
オ社長は慣れない中国語で、うやうやしくテシクに挨拶する。
その頃、通報を受け、チゴン刑事らがオ社長の元へ向かっていた。




「一人で来たのか。大陸の奴は恐れを知らんな」
オ社長は微笑を浮かべ、お茶を勧める。
「瀋陽で空輸したが、口に合うか...」 謙虚にダンディーに訳せと通訳に命じる。
疑惑に満ちたテシクの目。
「中国でヤクザ映画でも観たのか。それとも葬儀にでも来たのか」
オ社長はテシクの形(なり)を見て笑う。
「通訳しますか?」
と尋ねる通訳に、「死にたいか」と脅すオ社長。
お茶に手を出さないテシクにオ社長は不愉快になる。
「この野郎、毒でも盛ったと思ってるのか」
オ社長は疑惑を晴らそうと自ら茶に手をつける。
「あなたがオ・ミョンギュ社長ですか?」
韓国語で尋ねるテシクに驚くオ社長。テシクはヘロインを差し出す。驚くオ社長。
「約束は守った。二人を返してくれ」
テシクは告げる。
「誰に命じられて来たんだ!」
オ社長が怒鳴りつけると同時に、オ社長の部下に取り押さえられるテシク。




「間違いなく届けた。約束を守れ」
テシクの言葉がオ社長には理解できない。
その時、オ社長の携帯が鳴る。マンソクからだ。
「ブツは受け取ったか?」
ヘロインをマンソクが届けたと知ったオ社長は驚く。
「おまえ、俺に投げつけたのか?」
オ社長は憤慨する。
「でなければ、目の前で業場を奪われるのを黙っているとでも?」
マンソクは言い放つ。
「無事でいられると思ってるのか!」
オ社長が興奮しながら怒鳴りつけるのを聞き、マンジョン兄弟はほくそ笑む。
「オ社長.... 58年犬年オ・ミョンギュ社長。このクソったれ。 一言だけ言ってやる。
判事・検事の尻の穴を舐めたところで知れたもんだ。助かりたければ、必死に走れ!クソ野郎!」
マンソクは言い放つ。




オ社長は怒りでヘロインの袋を握りつぶし、袋が炸裂しヘロインが飛び散る。
「おい、中国科!おまえのアルバイト料が消えた!」
オ社長は通訳に言い放つと、ヘロインの袋をテシクに投げつける。
オ社長の部下らに叩きのめされるテシク。
そしてそのまま、ゴルフ場へと投げ捨てられる。




オ社長が逃げ出すのに気づいたテシクは後を追い、乗ってきた車に乗り込み、オ社長の車に体当たりする。




そして車から逃げ出そうとするが、衝撃で開いたトランクが目に留まり愕然とする。




その時、麻薬課の刑事らがテシクに向かって突進してくる。
それでも、トランクから目が離せないテシク。




テシクは刑事らに捕らえられる。
トランクの中を見たチゴンら刑事らも、言葉を失う。




トランクの中には、眼球やら臓器を取り出したと思われるソミの母の遺体が裸体のまま詰め込まれていた。
テシクが運んだ車に、ソミの母の遺体が詰められていたのだ。
テシクは呆然となる。




テシクは逮捕され、取調べを受ける。
「ソミの母は臓器が全てなかった。肝臓、腎臓、心臓、皮膚組織... 金目のものは全て消えてます」
ノ刑事は検事に告げる。
「丸太商売なら、オ・ミョンギュの仕業じゃない。コイツ」
係長は告げる。
捜査は続行されるが、テシクとオ・ミョンギュの接点がみつからない。




麻薬前科もなし、薬物反応もなし。
驚くことには、1998年から2006年までの記録が抹消されていることだ。
テシクはいったい何者?
「記録を抹消するような奴らだ。周囲の人物を洗い出せ。必ずオ・ミョンギュとの接点をみつけろ。これは殺人事件だ」
チゴンは命じる。




ソミの家からテシクの質屋の質札が発見された。質屋の住所はここだ。
パク刑事は、ソミの母の遺体の写真を並べる。




「鼻から斑点が出た。心臓が動いているうちに目玉をえぐった証拠だ。まだ生きているうちに目玉を抜いたんだ!」
パク刑事は言い放つ。
しかしテシクは、表情一つ変えない。
テシクの目に、ソミから貰った無欠のカードが目に留まる。




「暗黒の戦士。バロン城から脱出。日が昇れば、陰に隠れる」
カードはそのように書かれていた。
その瞬間、テシクの心の中に再び闘志が甦る。




夜食を出されたテシクは、「俺は左利きだ」と、手錠をはずさせる。




チゴンらは、テシクの質屋を捜査する。驚くことに、そこには一体の死体が。




チゴンはパク刑事に電話するが、電話に出たのは参考人の中国語科アルバイトだった。
テシクは逃げるために「左利きだ」と偽り手錠を外させ、逃走したのだ。
テシクの仲間だから共謀したと疑われたくないアルバイト学生は、「私は単に夜食を頼んだだけです」と、
必死に言い訳する。




その頃、ソミの母の相棒ソンシクはコンビニから出ると老婆に声をかけられた。
目が悪いから、息子の代わりに車のナンバーを確認してくれと。
「5124」
と、老婆はナンバーを告げる。
(オー・イル・イー・サじゃなく、オー・ハナ・イー・サとも読むんですね)
「あったぞ、この車だ」
ソンシクはナンバーを確認した途端、車から降りてきた男らに殴られ拉致される。




ソンシクが拉致されたのと引き換えに、車からソミが降ろされた。
逃げようと後ずさりするソミに老婆は言い放つ。
「オンマに会いたくないのか?」と。
ソミは仕方なく老婆の後について行く。




そこは「アリの巣窟」と呼ばれる、子供を利用した犯罪組織だった。




一人不安を抱えるソミ。
その頃テシクは、捨てた携帯電話をゴミ置き場を漁りみつけていた。




チゴンらは、署内のCCTVを確認する。
テシクが脱走するまでの間、警官6人を叩きのめし、オ・ミョンギュのファイルを抜き出し逃走するまで、
わずか4分30秒。
その逸脱した能力に驚かざる得なかった。




しかも、身元調査にロックがかかっている人間。その上、ロックコードは011... 軍政保社だ。
政界人でもないのにロックがかかった民間人は初めてだと、好奇心を描き立てられる情報課の刑事。
調べる方法は一つ。
ショートトラック事件という事件の時、韓国の小学生がアメリカ大統領にメールを送った。
「I KILL YOU(おまえを殺す)」と。
その時に、FBIから捜査依頼が来た。
FBIから捜査依頼が来れば、ロックされた人物でも国政院は情報を公開するしかない。
同様に、「I KILL YOU」と、テシクの名前でメールを送り、FBIから捜査依頼が来れば情報を得ることができる。




拉致されたソンシクは、マンジョン兄弟の元へと連れて来られた。
「あのバカ女が先に盗もうと...」
ソンシクは必死に言い訳する。
「韓国のクソったれは切迫すると仕事する。オリンピックだと橋を架け、競技場を作り....」←的を得ていて笑えます
ジョンソクは言い放つ。
「狂わずに耐えられるか?」
と、ジョンソクは斧をちらつかせる。
「質屋の奴は誰だ?仲間か?」
ジョンソクは尋ねるが、ソンシクには何のことかわからない。
「3つ数える。答えないと、てめーのチンポを切ってトーチで炙るぞ」
ジョンソクは脅す。
ジョンソクが斧を振り落とそうとした瞬間、マンソクが斧を奪いソンシクの頭に突き刺す。
血が飛び散り驚くジョンソク。
「驚くじゃないか!この!」
ジョンソクは怒鳴り散らす。
「何か言ってから殺れよ!やぁ!」
ジョンソクは兄に怒鳴る。
(このシーンのジョンソクのキャラがめっちゃ好きです。可愛いのだ)




その頃、オ社長はラムノワンに掴まっていた。ラムノワンの手には、鋭いナイフが。
「一度だけ助けてくれ。マンソクより金をやる。このヒロポン(覚醒剤)があれば、俺もおまえも一生楽して暮らせる」
オ社長は哀願する。
しかし無残にも、ラムノワンはオ社長を殺害する。




一方刑務所では、テシクの情報が公開され会議が行われていた。
チャ・テシク。通称UDC。
AIUが統合され作られた特殊部隊要員で、1998年から2006年まで秘密任務を遂行。
特殊殺傷武術教官に服務。金星章と武貢章を授与。
主な任務は、敵の後方攪乱、爆発、要人暗殺及び拉致。
秘密工作に特化した性格を持っています。
訓練課程については、模範訓練を視察した国会議員が失神するほど残酷という以外知られておりません。
2006年に交通事故で入院後行方をくらまし、チャ・テシクの公式な記録は止まりました。
怪しいのが、事故現場での同乗者とは別に、チャ・テシクだけが軍病院へ搬送されました。
手術した軍医官の話では、銃傷だったと。
移送・手術記録に関しては、何者かが組織的に削除したかと。
同乗者はチャ・テシクの配偶者で即死でした。
情報課刑事は報告する。

テシクはその頃、ラムノワンから渡された携帯電話を手がかりに、闇金融にやってきた。
「ここで売ったらろう!」
テシクは携帯電話を投げる。(すごい情報力だ)
だが、シラを切る闇金融の社長。
「売った奴を教えれば怪我せずに済む」
テシクは言い放つ。
武器を手にテシクに歩み寄る部下ら。




しかしテシクは全員を叩きのめした上に、社長を追い詰め情報を聞き出す。
社長から渡されたのは、マンジョン兄弟の部下ドチの名刺。




ドチの名刺を手がかりに(社名も住所も書いてないじゃん)に、マンジョン兄弟のナイトクラブへやってきたテシク。
偶然にも、マンソクとエレベーターで鉢合わせする。
マンソクは携帯でジョンソクへ行動を起こすよう命じるが、テシクは闇金融で知り合った多重債務者を利用し、
「臓器を買いたい」と偽らせ、ドチの居場所を掴んでいた。




ドチの部下らを叩きのめし、ドチの肩に深くナイフを突き刺し「ソンミはどこだ?」と、脅すテシク。
「俺は知らない。マンソクとジュンソクが知っている」
ドチを更に追い詰めようとした瞬間、ラムノワンが駆けつけドチは射殺される。
すかさず隠れたテシクだったが、銃を乱射するラムノワンの銃に腹を撃たれてしまう。
必死に逃げ出すテシク。
そしてラムノワンはテシクに再び別の携帯電話を渡す。




「電話する」
とジェスチャーし、立ち去って行くマンソクら。




テシクは撃たれた腹の痛みを堪えながら車を運転する。




そこへマンソクから電話が。
「質屋!おまえ、警察官じゃなかったのか?」
マンソクは言い放つ。
「なぜソミの母親を殺したんだ!」
テシクは問いただす。
(運転中に通話は禁止です!)
「殺した?誰がだ。この野郎が。あの女の体で三人の命が救われたのに。
おまえが運んだんだから、おまえが殺したんだろう?違うか?」
マンソクは自らの罪を認めない。
「ソミも同じようにしたのか!」
テシクは問いただす。
「俺がどうすると思う?臓器は未熟で売れないが、角膜は売り飛ばせる。おまえの態度しだいだ。
おまえは5年腐って出て来い。もしかしたら、あのガキが豆腐を持って待ってるかもな」
マンソクは言い放つ。
(罪を被ってムショへ行けってことですね)
「おまえらは明日を見て生きるだろう?明日を見て生きてる奴は、今日を生きている奴に負ける。
俺は今を生きているだけだ。それがどんな地獄か俺が見せてやる」
テシクはそう言い捨て電話を切る。




「国政院へ移管しろ」
係長はチゴンらに命じる。
「捜査日誌、オ・ミョンギュの資料、関係資料も移管してください」
国政院の一人が告げる。
「担当はソ検事でしょう。大学の同期だ。穏やかに処理しましょう」
別の国政院が告げる。
それを聞いたチゴンは不快さを露にする。
「ふざけやがって、クソが。望みはオ・ミョンギュか?チャ・テシクか?
二ヶ月も苦しい思いをして張り込んだのは俺たちだ。今病院にいるのも、俺たちの仲間だ。
俺たちの手で落とし前をつけるつもりです。
邪魔をする奴には黙ってはおかない。クビになってもな。クソッタレ」
チゴンは言い放つ。
「空気が読めないな」
国政院の一人が言い放つ。
「2006年に、衛星関連資料を海外に売却することを目論む研究員がいた。
金額に換算すれば二兆の国家機密密輸。
特殊部隊に下された命令は、密輸ルート遮断、情報再奪還。
投入された要員が浸透組のムン・ダルソ。もう一人が殲滅組(殲滅=皆殺し)のチャ・テシク。
作戦は成功したが、犠牲が生じた」
国政院の要員は語る。
(犠牲って何だよ、説明せい!)




テシクはダルソの家に潜んでいた。慌ててテシクを治療するダルソ。




腹から銃弾を取り出すダルソ。テシクは死ぬほどの苦痛に必死に耐える。




その瞬間、テシクに3年前の記憶が甦る。
産婦人科の廊下でエコー写真をみつめる妻に歩み寄るテシク。




「感動で涙が溢れる。 どうしよう」
妻は言う。




「抱き合おう」
テシクは妻に告げ、二人は抱きしめあう。
そしてテシクはベビー用品店で、ベビー用の靴を買い求める。




喜びを噛み締めながら車で待つ妻の元へ向かうテシク。




しかし、目の前で妻の乗った車がトラックに潰された。
呆然とするテシク。




更に何者かが、テシクに銃を撃ちこんだ。
自らの痛みよりも、車から流れ落ちる妻の血を目にし、悲しみに狂うテシク。




「どういうことか聞いてもいいか?」
ダルソは尋ねるが、テシクは答える代わりに「銃が欲しい」と告げる。
呆れて笑う。
「3年ぶりに出た言葉がそれか?」と。
「コルトやトカレフ以外で。銃身の長い半自動....」
淡々と告げるテシクの様子に、ダルソも心中を察する。
「休め。熱が40度越えている」
ダルソは告げ、家を出て行く。




帰宅したダルソに告げるテシク。「どうしても捜したい人がいる」と。
「何日も経っていないのに、顔が思い出せない。写真でも撮っておけばよかった」
テシクは苦笑する。




テシクは髪を切り、これからの死闘を覚悟する。




ダルソが入手した銃を、黙々と確認するテシク。




テシクの携帯に、ドチを捜すために利用した多重債務者から電話が。
警察に捕らえられたらしい。自分は無実だと証言して欲しいと。
そして電話はチゴンに代わる。
「結論から言う。おまえは俺が逮捕する。その前に一つだけ聞こう。
死んだパク・ヒョジョンの娘を知ってるだろう?もしや、その子を捜してるのか?」
チゴンの言葉にテシクは答えない。
「ソミは生きている」
その言葉を聞き、テシクは安堵の表情を浮かべる。
「加算駅支店で、昨日ATMから現金を引き出した。知っている情報を全て吐け。おまえじゃソミは捜せない」
チゴンは言い放つ。
「マンソク、ジョンソク... オ・ミョンギュに運ばせたのも、ソミの母親を殺したのも奴らだ。
俺が知るのはそれが全てだ」
テシクは電話を切る。

チゴンはすぐさま行動に出る。
「マンジョンの下でブローカーをやっていたのは誰だ?チャン・ドゥシクだ。
チャン・ドゥシクの位置を確認し、チャイナタウンを聞き込みだ」
チゴンはノ刑事に告げるチゴン。
その頃、テシクもチャイナタウンで手がかりを捜していた。




「蟻の巣窟」では、一人の少女ミジンが家に帰れると挨拶をしていた。
「皆も良い子にしていれば、こうして家に帰れる」と、老婆は子供らに告げた。
ミジンはネイルアートされた両手を見せ、「ありがとう」と、ソミに礼を言って去って行った。
黙って手を振るソミ。




ソミはラムノワンに歩み寄る。
ラムノワンの額の傷に絆創膏を貼ってやるソミ。驚くラムノワン。
「良い子にしていればオンマに会えるんでしょう?本当でしょう?」
ソミの言葉に、ラムノワンの心は揺れる。




テシクは、ロッカーと同じように「故障」と貼られたUFOキャッチャーを発見する。
中身は、麻薬が仕込まれたあの日の車のおもちゃと同じだ。
テシクは、そのUFOキャッチャーの付近で張り込みを始める。




一方チゴンは、仁川港でチャン・ドゥシクを捕らえる。松葉杖に仕込んだ麻薬も押収した。




「本当に知りませんよ。子供らは、半分がアジトにいて、半分が遠方にいるのに連絡すると?」
ドゥシクは告げる。
「失踪した子だ。最近は、子供まで売るのか?」
チゴンはソミの写真を見せる。
「今、38年も前の話をしますか?奴らはそれでもいいでしょう。
でも、これは違う。これは蟻... 蟻です。
中国の黒社会が使う手です。いるじゃないですか?債務弁済能力のない人間が。借金だらけの人間。
その子供らにブツを運ばせ、資金を集金させ、子供を誰が怪しむ?子供なのに...
管理費もかからず、怪しまれず、言うことなしだ。
非組織的だから、追跡も難しい」
ドゥシクの説明に、チゴンは言葉を失う。




その頃、テシクが張り込んでいたUFOキャッチャーに一人の少年が現れる。
小銭を入れクレーンを操り、おもちゃをすくう少年。




周囲に注意し、ゲームセンターへ少年は向かう。
そこでブツを別の子供に渡す。ソミだ。
しかしテシクはソミに気づかず、少年を追跡し続ける。
警官に追われながらも、何とか逃げ延びるテシク。そして、少年が車に乗り込むのを発見し、後を追う。




ソミはブツを運び、資金回収のためにキャッシュカードを回収し、ATMで金を引き出す。




ようやくジョンマン兄弟のアジトを突き止めるテシク。そこでは、子供らがヘロインの製造を行っていた。




そして、アジトの中で臓器を抜き取られたオ社長と、一人の少女の遺体を発見する。




臓器を抜き取られていた少女の爪には、ソミのネイルアートが施されていた。
(家に返すと言いながら、成長すると臓器摘出され殺されるわけですね)
テシクはソミに近づいたことを確信する。




テシクはジョンソクを叩きのめす。




テシクはジョンソクの携帯でマンソクに電話をかける。
「ソミはどこだ?連れて来い」
テシクは告げる。
「質屋か?その場所がなんでわかったんだ?」
マンソクは余裕の表情だ。
その瞬間、テシクはジョンソクの足に釘を打ち込む。ジョンソクの悲鳴を聞いたマンソクは、不安に陥る。
「今のは誰の声だ!」
マンソクは問いただす。
「二度は言わない。ソミを1時間以内に連れて来い」
テシクは答えず言い放つ。
「クソったれ!今のは誰か聞いただろう!!」
マンソクは怒鳴りつける。
「おまえ、俺らが何者かわかってないようだな。
弟の髪一本でも触れたら、ガキの目玉や臓器全部...」
テシクはマンソクの言葉を遮るかのように、再びジョンソクの足に釘を打ち込む。
再び弟があがく声を聞いたマンソクは、「この犬畜生が!」と怒鳴りつける。
マンソクは電話を切り、車に乗り込む。
部下に、「ソミとかいうガキの目玉をえぐれ」と、命じ。




テシクはヘロインの入った袋とランタンを糸で結びつけ、そして、ガスの栓を放つ。
脅えるジョンソク。
「子供らを死なせ、臓器を取り出したろう?
肝臓は忠清道、目は慶尚道に、心臓はソウルに.... だろう?
その幼い命が... そのように死んでも九天(※)を流れると、一度でもそう考えたことがあるか?」
テシクは問いただす。
「ならおまえは?ガキらの命の金額を考えたことがあるか?両親にも捨てられたガキ共だ。
他人の役に立つならいいじゃないか。違うか?」
ジョンソクは笑う。
「おまえは誤った。おまえは今、その子供らに謝罪すべきだ」
テシクはそう言い捨て立ち去ろうとするが、ジョンソクが引き止める。
「この俺に何かあれば、あんたはあのガキに二度と会えない。わかってるのか?」
テシクはジョンソクの言葉にも動じない。


※九天=古代中国で、天を方角により九つに区分したもの。
中央を鈞天(きんてん)、東方を蒼天(そうてん)、西方を昊天(こうてん)、南方を炎天、北方を玄天、東北方を変天、西北方を幽天、西南方を朱天、東南方 を陽天という。




「ソミをみつけても、おまえら二人は殺す」
テシクは言い捨て、ヘロインの袋に穴を開ける。
ヘロインの粉が床にこぼれ落ちれば、糸でつながったランタンが床に転げ落ちガス爆発するのだ。




一人恐怖に脅えるジョンソク。




そして、ランタンは床に転げ落ち、激しい爆発が起きる。テシクはその爆発の音を、携帯でチゴンに聞かせる。
爆破されたアジトを呆然とみつめる子供たち。
テシクは携帯電話を一人の少年に差し出す。「オンマのところに帰らないとな」と。





その頃ソミは、ラムノワンと医師と共に地下駐車場の車の中にいた。
「オンマにはいつ会えるの?」
ソミは未だ母に会えると信じている。そんなソミに、医師は告げる。
「おまえのオンマは、ここにいる」と、手の平を見せる。
「俺が心臓を取り出した。だから、おまえのオンマはここにいるんだ」
医師の言葉を聞き、ソミはラムノワンを見やる。




「アジョシがオンマに会わせてくれるって言ったじゃない。嘘でしょ?オンマ死んでないでしょう?
アジョシ。私のオンマ生きてるでしょう?どこにいるの?会わせて、アジョシ」
哀願するソンミに、医師は麻酔をかがせる。

その頃警察は、蟻の巣窟を捜査していた。医師についても突き止めた。
オ・ソンマン外科開業医。薬物使用3年半。あだ名は「500人」
500人の腹を裂くのが望みだと。




しかし、刻々と手術の手はずが整っていく。




テシクはマンジョン兄弟らのアジトでもある大型公衆浴場へやってくる。
(だから、何なの?その情報力は?)
「来たか?おまえの正体は何なんだ?あのガキとどんな関係でここまで来たんだ?」
マンソクは問う。
「隣家のアジョシ」
テシクはサラリと言い放つ。
「隣家のアジョシ?おまえ、狂った精神病患者だろう?ジョンソクはどこにいる?」
マンソクは問う。
「ソミが先だ」
テシクは言い放つ。
マンソクは、ガラス瓶をテシクの足元に転がす。




ガラス瓶の中には目玉が二つ。テシクは息が止まる。震える手でガラス瓶を拾い上げるテシク。
「ガキが天国にオンマを捜しに行った。だが、目玉がなくて、オンマが捜せない。
おまえは人を見誤った。隣家のアジョシ。ふざけてんのか、この野郎!
俺の弟はどこにいる?俺の弟はどこにいるんだ!!」
マンソクは怒鳴りつける。




「虫歯は何本だ?俺は質屋だ、金歯は預かる。金歯を全部抜いて噛み砕いて食ってやる」
テシクは涙を流しながら淡々と告げる。
そして、激しい銃撃戦となる。




ラムノワンは目玉の入ったガラス瓶を撃ち砕く。
マンソクは金を持って逃走した。生き残ったのは、テシクのラムノワンの二人だけ。
二人は銃を置いて勝負する。




テシクはラムノワンの胸にナイフを突き刺し殺害する。




テシクはマンソクを追いかける。車で逃走しようとするマンソクの車のタイヤに銃を撃ち込みパンクさせる。
マンソクは必死に警察に「殺される!」と、助けを求める。
「撃ってみやがれ!クソったれ!防弾ガラスだ!」
マンソクは怒鳴りつける。
それでもテシクは動じず、銃を固定するように構え何度も弾を撃ちこむ。
何度も弾を撃ち込まれるうちに、ガラスに穴が開く。
撃たれて脅えるマンソク。




「もう一発残ってる」
テシクは淡々と告げる。恐怖におののくマンソク。そして最後の一発で、マンソクを撃ち抜くテシク。




すべてが終わった.... もう何も残されていない。テシクは装弾し、自分のこめかみに銃口を当てる。
「アジョシ」
その時、テシクを呼ぶ声が。




ソミだ。ソミは生きていた。我が目を疑うテシク。




「アジョシが助けに来てくれたんでしょう?そうでしょう?」
ソミはテシクに駆け寄り抱きしめる。
テシクもソミを抱きしめようとするが、手が止まる。




「こいつ、自分の目までえぐったのか?」
チゴンは呆れる。
ガラス瓶の目玉は医師のものだった。
ラムノワンがソミに心を動かされ、ソミを救ったのだった。




パトカーで護送されるテシクを悲しげに見守るソミ。
チゴンはテシクとソミを気遣い、ソミをテシクと一緒に乗せて行くよう命じる。




「お願いがあります」
テシクはパトカーを止め、ソミと文具店へ向かう。文具店を取り囲んだパトカーに、店の主人は驚愕する。




ソミのバッグにありったけの文具やカードゲーム、ネイルアートなどを詰め込むテシク。




「悪かった。あの時、知らぬフリしてごめん。知ってるフリをしたいと、知らぬフリをしたくなる」
テシクは語る。
「それ、どういう意味ですか?」
ソミは尋ねる。
「自分にもわからない」
テシクは笑う。
(自分に深く関わる人間は殺されるというトラウマでしょうね....)




「初めてだ。アジョシが笑ったの」
ソミは告げる。
テシクはその言葉に、胸がしめつけられる想いだ。




「一人で生きていくんだ。できるだろう?」
テシクはソミに問う。ゆっくりと頷くソミ。数日の間に一層力強くなったソミの目。
「一度だけ... 一度だけ抱きしめてみよう。一度だけ、抱きしめてみよう....」
テシクは告げる。




両手を広げるソミ。そして、テシクを抱きしめる。
抱きしめあう二人。




「アジョシ、泣いてるの?」
ソミの言葉に、テシクは泣きながら笑う。




テシクの爪には、剥げかかったソミのネイルアートが....
涙で歪むテシクの顔。

END

エンディングで流れる曲は、ソミのMP3で聴いていた曲という設定らしいです。



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