チョンソルリへようこそ  Underground Rendezvous 
 原題:出会いの広場 만남의 광장 (マンナメ クァンジャン)<2007>

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江原道(カンウォンド)にある人も近寄らない奥深い山奥に位置する平和な村チョ ンソルリ。 この小さな村の分校に、久しぶりに新しい先生が赴任する予定だ。

しかし、赴任するはずの本物の先生チャングン(リュ・スンボム)は、赴任途中の地雷畑で、時宜外れの野宿(?)生活を始め、一方、偶然村を通った三清(サ ムチョン)教育 隊出身のコン・ヨンタン(イム・チャンジョン)が、先生としての席を占めることになってしまう。

心配になるほど竹を割ったようにまっすぐな性格で、毎日足し算と引き算だけを教えるので、先生というには何か怪しいヨンタン。チョンソルリの人々は、 こんなヨンタンにますます疑いを抱き始める。

そんなある日ヨンタンは、偶然村の里長(イム・ヒョンシク)と彼の妻の妹ソンミ(パク・チニ)の隠密な現場を目撃してしまう。会心の笑みを浮かべるヨンタ ン。ヨンタンは、意気揚 揚と村中を歩き回りながら、チョンソルリの住民たちの弱点を一つ一つ掴み始める。

それぞれ弱点を掴まれたチョンソルリの住民たちは、落ち着かないが、ヨンタンをどうすることもできない。ヨンタンのために、完全に廃墟になったチョンソル リの村。この誤った出逢いの勝者は、果たして誰か?
【予告編】
監督 キム・ジョンジン <2007>チョ ンソルリへようこそ

出演

イム・チャン ジョン(任昌丁)

出演作品一覧

パク・チニ (朴真嬉)

<1998> 囁く廊下~女校怪談~、<1999>恋風恋歌、 <1999>SPY リー・チョルジン
<2000>散策、<2000>なせば成る、 <2001>遠い路、<2003>星(ビョル)、 <2005>恋愛術士
<2005>ラブ・トーク、<2005>愛したあとに~サラン ハンフエ、<2007>チョンソルリへようこそ
<2007>宮女 クンニョ、<2008>甘いウソ、<2010>実家の母、<2010>戦火の中へ(特別出演)





【コン・ヨンタ ン】
イム・チャンジョン
【ソンミ】
パク・チニ
【南側の里長】
イム・ヒョンシク
【ジョンソク】
イ・ハヌィ
【オルシン】
キム・スミ

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【レビュー&ネタバレ】
2007年8月公開。観客動員数は、約122万人。
ヒットとは言えないものの、スター俳優不在の中で、この数字はなかなかではないでしょうか。
ハートフルドラマとはちょっと違いますが、韓国映画特有のぬくもりを感じます。
単にコメディと思って観てください。
ただ、北朝鮮と韓国へと引き裂かれた家族らを描いているので、
それなりに感銘を受けることはあるかもしれません。
冒頭で家族が引き裂かれるのですが、それすらもコメディ仕立てで、
どこまでが事実で、どこまでがフィクションなのか.....
あんな風に引き裂かれたのであれば、離散家族はあまりにも悲劇的です......

とにかく、ユーモアたっぷりのコメディです。
村人らを演じた俳優がもうちょっと純朴な感じだとよかったですね。
イム・チャンジョンは、この手の作品は見事です。
ただ、やはりスター俳優にはなれない。
作品が非凡であれば、結果も非凡でしかない。
この作品も、チャ・テヒョンが演じれば、動員数も相当数増えたでしょうし、
作品の面白さも倍増でしょう。
笑える映画ではあるものの、二流止まり。一流にはなれず。
タイトルも、トンマッコルへようこそをパクったのが一目瞭 然。勘弁してくれ。

以前、韓国侵入用のトンネルが韓国の寸前まで掘られていたことがニュースになりましたが、
それをネタに制作された映画なのでしょうか。
他にない素材であり、ちょっと新鮮な作品です。

鑑賞する上でのポイントを一つ。

なぜヨンタン(イム・チャンジョン)が山奥の分校の教師になってしまったかというと...
警察で、「あそこの奴らは、間違いなくサンチョン・キョユクデへ送られるな」というセリフがあります。
韓国人ならすぐにわかることですが、韓国語がわからない日本人には意味不明でしょう。

三清教育隊(韓国の不良更生部隊)という更生部隊があり、
更生が必要な不良人間(劇中ではデモ隊でしょうか???)が送られる部隊があります。
しかし、田舎者で無知なヨンタンは、そんな部隊があることも知りません。
「サンチョン・キョユクデ」と聞いて、「三清教育大」と勘違いし、
自分も「サンチョン・キョユクデ」に送ってもらおうと、デモ隊の中に紛れ込むのです。
しかし、送られたのは江原道の山奥の三清教育隊。

さて、どうしてそんな勘違いが起きたかといえば...
教育大も「교육대(キョユクデ)」教育隊も「교육대(キョユクデ)」で、同音異義語なんです。
しかも、ソウルの「三清(サンチョン)」に、教育大があるからややこしい。
結局、その同音異義語のために、チョンソルリの里長も勘違いし教師として受け入れてしまうわけです。




さて、この映画には、特別出演としてのユーモラスなカメオ出演陣がこぞって出演しております。
圧倒的な存在感を放つキム・スミさえも、カメオです。

そして、セックズ・イズ・ゼロでイム・チャン ジョンと共演したチェ・ソングクも、
パク・チニの夢の中で「ステキな男」という役名(笑)で出演しております。

なんといっても、一番の目玉は、リュ・スンボムです。
これは、かなり話題になりました。
カメオなのに、その出演分量... そして、メインキャストしか登場できないポスターにまで登場してます(笑)
これは、イム・チャンジョンに騙されたそうで....(笑)
リュ・スンボムは、「数時間だから」と言われしぶしぶ承諾したのに
(他の友人や先輩のカメオ依頼を断っているのに一作だけ出演したら 断った方に顔向けできないから)、
監督が「面白い!」と、主役級の出演分量にしちゃったらしいわ(笑)
リュ・スンボムの存在が、ピリっとしたスパイスになり、笑いが止まりません。

↓  結末まで簡単にストーリー紹介(結末ネタバレ) ↓





時は朝鮮戦争の真っ只中....

朝鮮の北と南の境目に住む純朴で人の良い村人らは、アメリカ軍(か?)が柵を立てようとしているのを見て、
「よし、手伝ってやろうじゃないか」
と、勝手に柵作りを手伝う。
しかしそれは、北緯38度線... 軍事境界線のための柵だった。
柵の北と南に分かれて作業していた家族らは、その柵を隔てて、北朝鮮と韓国とに引き裂かれてしまう。




そして、時が流れ...
小さな島で暮らすヨンタンは、両親から大金を渡される。
「こんな小さな島で腐ってはいけない」と。




ヨンタンは教師になることを夢見て、ソウルへと上京する。
しかし、全財産が入ったカバンをひったくられてしまう。
カバンを捜して欲しいと警察へ訪れるが、そこで逮捕者らの中に押し込まれてしまう。
しかしヨンタンは、思いもよらぬ言葉を耳にする。
「あそこにいる奴らは、間違いなく「サンチョン・キョユクデ」に送られるな」と。
「教育大」に送られるなら願っても無いチャンス。
ヨンタンは、逮捕者の中に紛れ込み、「サンチョン・キョユクデ」に送られる。




しかしヨンタンが送られたのは、「三清教育大」ではなく、「三清教育隊」だった。
仕方なく訓練に励むヨンタン。
そんなある日、ヨンタンはチョンソルリ付近で軍車から転落してしまう。




ちょうどその頃、チョンソルリの分校に新たに赴任してきた新米教師チャングンが村へとやってきた。
しかしヨンタンが転落した際に、チョンソルリへの標識が回転してしまい、
チャングンは地雷畑へ足を踏み入れてしまう。




川辺で意識を失っていたヨンタン。目覚めると、分校の児童らが目の前に。
子供たちはヨンタンを赴任してきた教師と思い込み、チョンソルリへと案内する。




子供らに連れてこられたヨンタンの姿を見て怪しむ里長(村長)。
しかし、「サンチョン・ユッキョデに入ったので...」と聞き、安心してヨンタンを迎え入れてしまう。




その頃、本物の教師チャングンは、野糞をした際に地雷を踏んで微動もできなくなってしまう。




教師として子供らに紹介されるヨンタン。
なぜ自分が教師に?教育大を出てもいないのに?と、怪訝に思いながらも、
「給料が他より良い」と聞き、喜んで受け入れてしまう。




ヨンタンは逃げ出した鶏を追って村を彷徨う。
すると、夜道で里長が若い女性ヨンミを襲っているのに遭遇してしまう。
しかし襲ったのではなく、実は転んで倒れてしまっただけだった。
ヨンミは里長の義妹だ。




その頃連合軍は、北朝鮮のスパイを厳重的に取り締まっていた。
次にスパイが現れるとすれば、「チョンソルリだ!」と、連隊長は言い放つ。
その言葉を受け、チョンソルリへ軍隊が調査にやってくる。
そこへ見かけないヨンタンが....
マ大尉はヨンタンをスパイと勘違いし銃を向ける。
ヨンタンは新任の教師だと紹介され、誤解はすぐ解けるが............




里長と義妹ソンミの仲を疑ってやまないヨンタン。
村人らを巻き込み、里長とヨンタンの神経戦が繰り広げられる。
「上の村へ住むソンミを送って行っただけだ」
と主張する里長。




ヨンタンはその「上の村」へ行こうと、山を登っていく。しかし、そこは韓国の最北端で、村などなかった。




そしてヨンタンは、偶然に里長らが謎のトンネルへ消えていくのを見てしまう。




ヨンタンの誤解を解くためにソンミが呼ばれていた。
しかしヨンタンは、全く納得しない。
「襲われたんじゃないなら、恋愛か?」
と、ヨンタンに尋ねられ、ソンミは激怒し平手打ちを食らわす。




一歩も譲ろうとせず、結局ヨンタンは、村人らに軟禁されてしまう。
ヨンタンをどうするか、村人らで会議が行われる。
村人らは、ヨンタンの口封じのためにソンミと結婚させたらどうかと提案するが、ソンミが激怒する。
どうやら、ヨンタンはチョンソルリの地雷を踏んだようだ。
なにやら謎めくチョンソルリ。
里長らはヨンタンを殺すしかないと判断するが、子供らがヨンタンを気に入っており、
ヨンタンを連れて行かないでと懇願する。
子供らの意もあり、里長はヨンタンの身上調査のために役場を訪れるが、
チョンソルリに赴任した教師は「今時珍しい熱心な教育者だ」と聞き(本当はチャングンのことですが)、
更に頭を悩ませる。




「チョンソルリへ永住する気はないか!」
里長らは、刃物を手にヨンタンを脅す。




村人らは、ソンミにヨンタンと結婚するよう説得にかかる。
しかしソンミは頑なに拒む。あんな奴は嫌いだと。
思い悩んだソンミは、ある決断をする。ヨンタンをどこかへと連れ出すソンミ。




そこは、以前里長が姿を消したトンネルだった。
ソンミに連れられトンネルを抜けると、そこは北朝鮮だった。
ソンミは北朝鮮の人間だったのだ。
朝鮮戦争のせいで引き裂かれた家族らが、トンネルを通じて逢瀬を重ねていたのだ。
村人らが必死になってヨンタンに隠そうとしたのは、この事実だった。
北朝鮮と内通していたと知られれば、命の保障はない。




ソンミが秘密を守るためにヨンタンとの結婚を決意したことを察したヨンタンは、ソンミを諭す。
「そんなことしないで」と。
好きな女が可哀想なのはイヤだ。僕が死ねばそれで済むなら、僕が死ぬよ。
ヨンタンの言葉に、ソンミの心は揺れる。
その時、スパイ捕獲に躍起になった連合軍がチョンソルリへ再び調査にやってくる。
ヨンタンの家にいるソンミがみつかったら大事だ。




ソンミは布団の中にヨンタンを必死に隠そうとするが、ヨンタンは暴れる。
慌てたソンミは、思わずヨンタンの唇を自分の唇で塞いでしまう。
そのおかげで、ソンミは無事逃れることができた。




ソンミを送っていくヨンタン。
「さっきのをもう一度してくれませんか?」
ヨンタンはキスをせがむ。素直に受け入れ、ヨンタンにキスするソンミ。




その頃、チャングンが驚いた拍子に地雷から足を離してしまう。
しかし驚いたことに、地雷は爆発しなかった。
九死に一生を得たチャングン。助けを求めてさまようチャングン....
ホっとしたのも束の間。
今度はスパイの容疑で連合軍に逮捕されてしまう。
しかし、疑いはすぐに晴れる。身元照会をしたのだ。
チャングンはチョンソルリへ赴任した教師であるとわかった。
だとすれば... 村にいた教師は何者だ?




連合軍はチョンソルリへとやってくる。
しかし、村はもぬけの殻だった。
その日はオルシンの喜寿の祝いの日で、皆はトンネルの中の「出会いの広場」に集まっていたのだ。
マ大尉は、チョンソルリの村人らを捜すよう命じる。




その頃、一向にやってこないソンミを迎えにヨンタンは北朝鮮のソンミの家に向かった。
しかしそこには、北朝鮮の軍人がいた。
ソンミの部下であるキム下士は、ソンミに想いを寄せていた。
ソンミがトンネルを通じ韓国と内通していることを知っているキム下士は、
それをネタに脅し、結婚を迫っていた。
そこへヨンタンが居合わせてしまったから大変だ。
銃を向けられるヨンタン。
しかし、今度はドンヨプがソンミとヨンタンを迎えに顔を現す。
驚いて逃げ出したドンヨプを追うキム下士。
その間に、ヨンタンとソンミは逃げ出す。




しかし、ドンヨプが肩を撃たれてしまう。




その頃、「出会いの広場」では、オルシンに祝いの言葉を述べて宴を楽しんでいた。




そこへ、血まみれのドンヨプが倒れこんでくる。
「北朝鮮軍がすぐそこまで来ている!」
ドンヨプは危険を知らせる。
上へ上がれば北朝鮮軍が待ち構えている。命の保障はない。
南側の里長は、「下へ降りて一緒に暮らそう」と、北側の里長に懇願する。
「上へ上がって掴まったら、二度と会えない」と。
泣きながらもめる村人ら。家族らが殺されて、一人で気楽に生きられるか!と。
二人の母であるオルシンは、決断する。
「下に降りよう」



戻ってこないヨンタンとソンミを案じるが、よもやそうは言っていられない。
里長らは、トンネルの北朝鮮へ通じる側のトンネルを塞いでしまう。
必死にトンネルへと戻ってきたヨンタンとソンミ。
しかし、トンネルは塞がれていた。後方には既に北朝鮮の軍が....




ヨンタンとソンミに銃を向けるキム下士。追い詰められたヨンタンとソンミ。




すると、ヨンタンは両手を挙げて叫ぶ。
「北朝鮮、万歳!」
驚く北朝鮮軍。




一方、下へと降りた里長らも、連合軍らに追い詰められていた。




「南朝鮮、万歳!」
オルシンが叫ぶ。その声につられ、皆も両手を挙げて叫ぶ。
「自由国、大韓民国!」と。
呆気に取られる連合軍。

オルシンら、北側の人間らは韓国側に歓迎された。
「慶祝 自由大韓民国 帰宅家族歓迎」と。
連合長は昇進までして大喜びだ。




これで長年の夢が叶い共に暮らせるようになった家族ら。
しかし、残酷な思想教育を受け、小さな島へと島流しになった。しかし偶然にも、その島はヨンタンの故郷だった。

数年後──

息子の身を案じるヨンタンの父と、義妹の身を案じる里長。




しかしヨンタンもヨンミも元気に生きていた。
ヨンタンとソンミは結婚し、子供まで儲けた。そして、船で韓国へ向かって脱出した。

END

ヨンタンは「北朝鮮、万歳!」と、北朝鮮に亡命したことになり、命が助かったのでしょうね。
しかも、北朝鮮の英雄として迎えられたようです。
南から北への亡命は栄誉あることなのでしょうか???
それとも、トンネルを塞ぎ、南からの侵入を防衛したと勘違いされたのか???



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