奇跡の夏  Hello Brother 
 原題:アンニョン、兄ちゃん 안녕 형아(アンニョン ヒョンヤ) <2005>

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アンニョン、お兄ちゃん

9歳の チャン・ハニ(パク・チビン)は、世の中で怖いものはない問題児だ。学 校の友達はみんな自分の子分で、家族達は部下だ。 特に病弱な兄ハンビョル(ソ・テハン)は最高のいじめ相手。

今日もハンビョルは頭痛で痛がってる。
「塾に行かなきゃならない」と、アラーム時計を合わせ、ハンビョルは眠ってしまった。こっそりアラームを止めておいたが、母ちゃんに見つかった!ごまかす 方法は一つだけ。 「兄ちゃんが具合悪いって・・・」、言い訳のつもりが、ハンビョルが突然吐いて倒れた。それで、家族みんなその日一日病院で過ごすことになった。塾に行か ないことも、ものすごく怒られ・・・・
 
母と医者は何か深刻な感じで話していたが、ハニはただタイミングよく吐いてくれたハンビョルに感謝するだけ。入院したハンビョルのおかげで病院も遊び場に なり、はばかることなく病院の廊下をヒーリースに乗って疾走したハニにタックルが飛んでくる。 ハンビョルの横のベッドを使うことになったおかしな話し方の田舎者のウク(チェ・ウヒョク)。夢はコメディアンで、「オク・ドンジャ」と呼んでくれという 寒いギャグを連発する少年だ。

同じ病気のハンビョルを「兄ちゃん」と呼び、親しそうにするウクが面白くないハニ。病院、兄、手術、薬・・・こんな言葉だけ の母ちゃん、父ちゃん、兄ちゃん・・・まったくおもしろくない。頭にきたハニは、学校では友達に鼻血を出させ、病 院ではウクに鼻血を出させた。 担任の先生が病院に訪ねてきて・・・二重で怒られた絶体絶命の危機状況。鼻血攻撃を受けたウクがなぜかハニをかばって自分の田舎の家に非難させてくれた。

都市型人間のハニが、初めて田舎者のウクと純朴に楽しい時間を過ごしたが、裏山に住む「ターザンおじさん」の出現に驚いた二人は全力疾走。それが原因でウ クが意識を失った!「ターザンおじさん」が不思議な水をくれ、ウクも意識を取り戻した・・・考えてみれば楽しい旅行だった。 田舎の裏山をピョンピョン跳ねながら走り回るからてっきり治ったと思っていたけど、ウクはまた病院に戻ってきて毎日寝るだけになった。

医者もいつも固い表 情、一体ウクはいつ目を覚ますのか。それにハンビョルも頭の中にある悪いコブを全部取ったといったのに、また手術をするという。おかしな機械たちがたくさ ん並んでいる白い部屋でハンビョルと ウクは目を開けずにいた。 ウクのやつ、一番好きなコメディアン「オク・ドンジャ」を連れてきたら、寝てなんていられないだろう?ウクの田舎の裏山にあった不思議な水を持ってきてあ げたら、兄ちゃんも目を覚ますか?暴れてばかりいたハニが、忙しくなり始めた・・・ハニの最後の挨拶はいったい・・・Good-byeか、Helloなの か?

【予告編】

監督 イム・テヒョン <2005>奇跡の夏

出演

パク・チビン

<2004>ファ ミリー、 <2005>奇跡の夏、 <2005>青春漫画~僕らの恋愛シナリオ~
<2006>アイスケ-キ、<2010>鯨を探す自転 車

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【レビュー&ネタバレ】
うぇーん、ボロボロ泣きました~
巷では「号泣必須の映画」という噂だとか???
とはいっても、やはり泣けない人はいるらしい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「火垂るの墓」で泣けなかった人は、絶対に泣けないと思うわよ!!!
火垂るの墓はせつこの死で泣いた人が多かったと思うけれど、
せつこの死以外で泣けなかった人も泣けないでしょう!
この「奇跡の夏」は、子供の健気さ、純粋さに泣けちゃうのよ・・・・・・
火垂るの墓の兄の姿に重なるかしら・・・・。
火垂るの墓の兄は、子供とはいえ随分大人で、この映画のハニはまだ9歳だからね・・・・・
随分違うけど。
せつこを想う兄と、兄と友達を想うハニ・・・・
そのヒューマン・ドラマに共通する部分があるかしら。
あまり参考にはならないかしらね。
ただ、「泣ける!」と聞いたのに泣けなかった!
そう後悔する人がいないように、mocaのちょこっと予想でございました。

日本でヒットしなかったのは、あの予告編にも問題があるんじゃ???(公式サイトで見れますわ)
あれじゃ・・・観よう!という気持ちには・・・なれませんことよ?

この映画のタイトルなんだけど、邦題は「奇跡の夏」、原題は「アンニョン、兄ちゃん」でございます。
この「アンニョン」の部分がビミョーなのよね・・・・・
これは韓国語が少しはわかる人じゃないと理解できないタイトルなのよ。
英語では、会った時は「Hello」、別れる時は「Good-bye」
日本語では、会った時は「こんにちは(おはようございます、こんばんは)」、別れる時は「さようなら」
という具合に区別があるけれど、韓国語はないのよー
会った時も、別れる時も「アンニョン」なのよー
この韓国特有の挨拶に、この映画のカラクリがあるのよ。
ちなみに、英題は「Hello Brother」なんだけど、
この会った時と、別れる時の区別がない韓国の挨拶が、クライマックスを盛り上げます。
韓国語のわからない人は、ちょっと勿体ないです・・・・・

この映画は、実話を基にした映画でございます。
「イルマーレ」や「カル」の脚本家キム・ウンジョンが、
甥っ子たちの実話を基に脚本を書いておりますの。
このパク・チビンなんだけど、青春漫画でも可愛かったのよねー
元気のないママのために踊ってあげるんだけど、
ミュージカルがデビューだけあって踊りもうまいのよ!!
この映画も、このパク・チビンあっての映画のような気がするわ。
最初はやんちゃでどうしょうもないんだけど、
兄ハンビョルとウクに対する純粋で健気な行動が泣かせるのよー
ハンビョルが病気になって、ハンビョル中心に地球がまわって、ハニは寂しいし、面白くないのよ。
免疫力のないハンビョルと、タオルを共用することはご法度なのに、
ハニはわざとハンビョルのタオルを汚い手で拭いちゃうのよ。
それが原因で、ハンビョルは吐くわ、熱を出すわ・・・また入院しちゃうのね。
ハンビョルに謝りたいのに謝れない。優しくしたいのに、優しくできない。
ハニは自分の宝物であるカードゲームの王様的カードをハンビョルにあげるのよ。
それがまた可愛いのよね。
こういう純粋な気持ち忘れてたなー、なんて、考えさせられちゃいました。
大人になると、いろんな事情や、自分の気持ち、相手への気持ち、複雑に絡んで、
こういう風に単純には表現できなくなるわよね。
スキだから・・・自分の大切なものをあげよう!こんな風に単純にできたらいいな・・・
何の邪心もない純粋な気持ちっていいわよね・・・・
大嫌いだったウクだけど、仲良くなって、意識不明のウクのために
ウクが大好きなオク・ドンジャを連れてきてあげよう・・・
そんな風に、子供だから故の健気さ、純粋さ・・・・
ウクのために、必死でオク・ドンジャに会おうとする場面では、ボロボロ泣いちゃいました。
「オク・ドンジャに会いたいの?」と聞かれ、何度も頷くハニが可愛いくて、せつなくて・・・・・・
裏山でウクが意識不明になった時、ハニはワンワン泣き出すのよ。
大人だったら、ワンワン泣き出したりしないでしょう?パニくったり、必死に助けようとしたり・・・
ハニはまず「悲しい」が先にくる・・・どうしよう・・・
という気持ちで泣いたのかもしれないけれど、
気持ちのままに泣けるって、子供だから・・・・
すごく羨ましくて、今の自分を考えちゃいました・・・・・。
ハニと一緒に泣きまくり・・・

そしてもう1人の大嫌いなヤツ、同級生テジュン。
テジュンとケンカをし、鼻血まで出させて・・・
けど、テジュンがハニの仕業だということを頑なに口を閉ざして・・・
それを知ったハニの心の揺れが、見ていて伝わってきます。
テジュンが学校を休んだ日、心配になっちゃったり・・・・
2人でハンビョルのために「ターザンおじさん」に会いに行くシーンも、すごくよいのよ。
テジュンがATMからお金を引き出した時は「???」
意味がわからなかったんだけど、「そういうことかー!」ってわかった瞬間、
すごく嬉しくなっちゃったのよ。
それで、水を持って病院に行くんだけれど、
無菌室にはそのまま入れなくて、看護士につかまっちゃって・・・
テジュンが阻止してハニを行かせるんだけど、
そんなちょっとしたことでも、涙腺の緩んだmocaは涙が止まらなく・・・・・
なんだか、他人が泣かないようなところばかりで泣いてるかも?

最後の一歩手前・・・・・
さぁ、思いっきりネタバレですので注意ですよー!!


再手術後、ハンビョルは意識が戻りません。隣りで寝ているウクも意識不明のまま。
ハンビョルが意識を取り戻すと、ウクも目を覚ましていて、
ハンビョルに「アンニョン、兄ちゃん」と挨拶します。
英題で「Hello Brother」とあるので、これは「こんにちは、兄ちゃん」の意味で言ったんでしょうね。
けど、その言葉と共にウクは息を引き取ります。
結局、その言葉は「さようなら、兄ちゃん」になってしまったんです。
たぶん、こういう解釈でいいと思うんだけど。
ほんの一瞬だけど、このシーンに惹き込まれるのです。
あれ?アンニョンはどういう意味?と考えさせられてる間に、
どういうわけか惹き込まれてしまうのです。
タイトルである「アンニョン、兄ちゃん」は、
ハニの言葉になるという先入観で観ていたことも原因の一つよね。
ハンビョルが死んじゃうのかな・・・・誰しも予想していたことと・・・・
それが裏切られたということも、一瞬でこの映画に惹き込まれてしまった原因かもですね。
なにはともあれ、ハンビョルが死ななくてよかった・・・・
ラストシーンのウクに宛てた会話が、雪のシーンと重なって、
せつないような、ほんわかするような・・・
不思議な気持ちになります。



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