1番街の奇跡 Miracle on 1st Street |
原題:1番街の奇跡 1번가의 기적 (1ポンガエ キジョク) <2007> |
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監督 | ユン・ジェギュン | <2001>マ
イ・ボス マイ・ヒー
ロー、<2002>セッ
クス イズ ゼロ、<2004>浪漫刺客、 <2007>一 番街の奇跡、<2009>海雲台(ヘウンデ)、 <2010>第7鉱区 |
出演 |
イム・チャン ジョン(任昌丁) |
出演作品一覧 |
ハ・ジウォン (河智媛) |
出演作品一覧 | |
チュ・ヒョン (朱鉉) | 出演作品一覧 |
【レビュー&ネタバレ】 |
2007年2月に韓国公開し、
275万人を動員というヒットを記録。 それでも、あまり興味が湧かなかったこの映画。 ハ・ジウォンちゃんが出演しているので、どーしても観たい!とは思っておりましたが....... こんないい映画だったとは!! 前半はイム・チャンジョン演じるピョルジェにひたすらムカつき、張り倒したくなること然り。 しかし、それだけに後半ピョルジェの情にひたすら感動してしまうのです。 何より、イルドン、イスン兄妹が可愛いの何のって! どれだけ泣かされたことか。 そして、サブストーリーとして展開する自販機屋と ネズミ講(本人はネットワークマーケティングと主張)にハマる貧民街の住民ソンジュのラブストーリー。 この自販機屋のテソクがまたよいのです。 テソクとソンジュの物語だけ別編集にして、何度も繰り返し観たくなるくらい。 この2時間で、愛して、愛して、別れが惜しくなる人々ばかり。 絶対に幸せになって欲しい........ きっとそう思うことでしょう。 mocaの大好きな<愛の群像>のシニョンアッパ、チュ・ヒョン씨も、さすがの存在感ですわ。 ジウォンちゃんは、鼻を骨折するほどの熱演を見せましたが..... 彼女じゃなくてもよかったような役で残念です。 今までで一番パっとしない役だったかな。 キャスティング当初はボクサーじゃなく、占い師の役だったのよね。 いづれにしても、ジウォンちゃん向きではなさそうね。 心が温かくなり、充実感で満たされる映画です。 何度も観たくなる。 ホントに大好きな映画です。 貧民街が舞台だということですが、思ったより風景は映りません。 ロケ地もソウルの貧民街ではなく、釜山の荒嶺山の北側、蓮堤区ムルマンゴルで撮影。 この映画は、イム・チャンジョンが主演と頭に入れて観た方がよいかもしれません。 ジウォンちゃんは、イム・チャンジョンと絡みながらも、 同時進行で、ボクサーを目指す父親想いの娘というサブストーリーの主演という感じ。 この映画自体が、小さなストーリーの詰め合わせ。 ちょっとしたオムニバスのような作りなのです。 チュ・ヒョン씨は、ジウォンちゃんのコーチでありながらも、父親のように暖かく見守る人物。 ジウォンちゃんの父親を寝たきりにさせてしまったのは、自分の判断ミスだと、未だに苦しみながら。 苦労している娘のために、父親として最後の決断を迫るシーンは、 貧乏であることの悲しさに胸を締め付けられます。 青松1番街というのは、貧民街。 この映画を観ていると、みな好きで貧乏になったわけじゃないのに..... と、せつなくなります。 そんな中で健気に生きるジウォンちゃんや、幼い兄妹イルドンとイスン。 みんな貧乏ながらも、懸命に生きているのに、世の中というものはどこまで彼らを追い込むの? 日本も今、’格差社会’が問題になりつつありますが、ここに現実を見ることができるかもしれません。 世の中とはこういうものだと。 物語の中心となるのは、 立ち退きを迫るピョルジェ(イム・チャンジョン) 東洋チャンピオンを目指す女ボクサー、ミョンラン(ハ・ジウォン) 幼い頃、自分のせいで父が試合をリタイアせず、下半身不随になってしまったのだと思い込んでおり、 肉体労働で生活を支えながら、父と幼い弟の面倒を看ている。 (ハ・ジウォンの子役は、’ラブストーリー・イン・ハーバード’で、父を殺されてしまうダウン役のソ・ジヒ) 母親に捨てられ、祖父と暮らす幼いイルドン、イスン兄妹。 しかし、その祖父も癌になり、余命幾ばくもない。 トマトが癌に効くと知った兄妹は、祖父のためにトマトが欲しいが、それすらも貧しくて買えない。 貧乏を恥ずかしく思うソンジュ。 ’絶対に金持ちになる’と、ネットワーク・マーケティングの会社へ入る。 その会社の自販機を管理するテソクとひょんなことで知り合い、テソクはソンジュに恋をしてしまう。 しかしソンジュは、自分が貧民街に住んでいることを恥ずかしくて知られたくない。 テソクの優しさに惹かれながらも、テソクを拒んでしまう。 前半はとにかくピョルジェの性格と行動にムカつくわ。 幼い兄妹を何かとコキ使い、小突き、 周りの人間にも好き勝手ばかり押し付ける。 兄妹は幼く純粋なので、ピョルジェを受け入れるけれど、ミョンランとは何かと衝突する。 しかし、ある時、みなの心が通い合う。 ↓ ネタバレします ので、ご注意を↓ トマトを欲しがる妹のために 「落ちているものだから、盗んでない」と、店先に落ちているトマトを拾ってポケットに入れるイルドン。 しかし、店主にみつかり捕まってしまう。 店主に殴られているところへ通りかかったのがピョルジェ。 「盗んだのか?」 と、ピルジェの問いに首を横に振る兄弟。 「俺も一緒に警察に突き出せ!」と、店主を蹴りつけるピョルジェ。 「この世で一番のクズは嫁やガキに手を上げる奴だ」 ピョルジェは店主を怒鳴りつける。 「何が食いたかったんだ?食いたいだけ取れ」 と、兄妹を叱り、トマトを箱ごと買ってやる。 ここは涙が止まりません。 あのピョルジェが....... そしてその後、そのトマトはいじめっこにメチャメチャにされちゃうのです........ トマトを投げつけるいじめっこから妹を守ろうと、妹の前に身を投げ出す兄の姿には感動....... 兄妹愛なんて、今の世の中にもあるのか..... 韓国には、未だ存在しているのか... とにかく、涙。 しかし、涙を狙っていたのでしょうけれど、あまりにも長すぎて興ざめです...... トマトでベチャベチャになった兄妹を洗ってやるピョルジェ。 「東洋チャンピオンとの対戦が決まったの!」 そこへ息を切らしてミョンランがやってくる。 ピョルジェの顔が笑顔で緩む。 みなで水を掛け合いはしゃぐ。幸せな一時。 しかし、そこへピョルジェの上司キム部長たちがやってきた。 まだ住民を立ち退かせられないのかと。 ミョンランを殴りつけるキム部長たち。 ピョルジェは思わず上司を止めに入ってしまうが、一緒にボコボコにされる。 キム部長たちは住民たちを暴力で無理矢理立ち退かせる。 ↓ 結末です。ご注 意を↓ クレーンで潰されていく家を見て泣き出す子供たち。 ピョルジェは居た堪れなくなり、子供たちに怒鳴る。 「古い家を壊さなきゃ、新しい家が建たないだろう?お前たちの新しい家を作るために壊してるんだ。 祈るんだ、いい家をくれと。ヒキガエルの歌知ってるだろう?大きな声で歌え」 ピョルジェは涙を拭ってやりながら、子供たちを諭す。 泣きながら歌いだす子供たち。 ♪古い家をあげるよ。新しい家をおくれよ♪ ピョルジェは棒を手に取り、キム部長たちに殴りかかっていく。 ボコボコにされ、血まみれになるピョルジェ。 ピョルジェに駆け寄るイルドン、イスン。 「ちゃんと祈ったか?なら大丈夫だ」 兄妹を抱きしめるピョルジェ。 その頃、ミョンランは試合の真っ只中。 最後まで食い下がるものの判定負けしてしまう。 時が流れ── トマトを栽培するハウスの中で、キレイな服を身につけ喧嘩するイルドン、イスン。 兄妹を呼ぶ声。 「はい、オンマ(お母さん)」 イルドンは母の前では喧嘩はしないようにとイスンに言い聞かせる。 スクーターの後ろにミョンランを乗せ走るピョルジェ。 「アジョッシ(おじさん)」と呼ぶミョンランに 「もっといい呼び方があるだろう。オッパ(親しい男性や恋人などを呼ぶ呼称)って」 と、ミョンランにさりげなく提案するピョルジェ。 そんなピョルジェを嬉しそうに笑うミョンラン。 今日はミョンランの試合。 東洋チャンピオン、ミョンランの。 しかも、大口のスポンサーがついた。 不幸が去って、幸福の始まりだ。 END これから幸せになっていくであろう登場人物たちに安心するラスト。 何より、兄妹が母に引き取られ幸せに暮らしているのが嬉しくて。お祖父ちゃんも健在だし。 あんなに嫌いだったピョルジェも、大好きになってしまったわ。 |
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