TSUNAMI-ツナミ-    Haeundae  
 原題:海雲台 해운대(ヘウンデ) <2009>

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2004年… 歴史上類例がない最大の死傷者を出し、全世界に激しい衝撃を抱か せたインドネシア津波。

当時、遠洋漁船に乗ってインド洋に出ていた海雲台(ヘウンデ)で生まれ育ったマンシク(ソル・ギョング)は、予期できない津波に巻き込まれ、たった一瞬の 失敗で、彼が信じて頼っていたヨニ(ハ・ジウォン)の父を死なせてしまう。この事故のために彼は、ヨニが好きなのに自分の心を隠さなければならない。

そんなある日マンシクは、長い間、胸中に閉じ込めていた自分の心を伝える決心をし、ヨニのために素敵なプロポーズを準備する。

一方、国際海洋研究所の地質学者キム・フィ博士(パク・チュンフン)は、対馬と海雲台を囲んだ日本海の状況が、5年前に発生したインドネシア津波と似てい るという、とんでもない事実を発見する。

博士は、大韓民国は津波の危険が迫っていると何度も強調するが、災難防災庁は、博士の警告にもかかわらず、地質学的、統計的に津波が韓半島を襲う確率はな いと断言する。

その瞬間にも海の状況は時々刻々変わっていき、ついにキム・フィ博士の主張通り、日本の対馬が沈下し、超大型津波が発生する。

夏の暑さを涼む数百万の休暇シーズンの人波と、平和な日常を送っているプサン(釜山)市民たち。そして今まさに互いの心を確認したマンシクとヨニに向かっ て、超大型津波が時速800キロの速さで押し寄せてく。

最も幸せな瞬間に差しせまってきた、とんでもない試練。残された時間は、たった10分間!彼らは、最も大切なものを守らなければならない。

韓国公式サイト:http://www.haeundae2009.co.kr/
日本公式サイト:http://www.mega-tsunami.jp/
【予告編】
監督 ユン・ジェギュン <2001>マ イ・ボス マイ・ヒー ロー、<2002>セッ クス イズ ゼロ、<2004>浪漫刺客、
<2007>一 番街の奇跡、<2009>海雲台(ヘウンデ)、 <2010>第7鉱区、<2011>クイック

出演

ソル・ギョング(薛景求)

出演作品一覧

ハ・ジウォン (河智媛)

出演作品一覧
パク・チュン フン(朴重勲) <1993> トゥ・コップス、<1996>トゥ・コップス2、<1999>NOWHERE  情け容赦なし、<2000>不朽の名作、
<2001>セイ・イエス、<2003>黄山平野、<2004>あぶない奴ら ~TWO GUYS~、<2004>天軍、
<2006>強敵、<2006>ラジオスター、 <2009>TSUNAMI-ツナミ-、<2010> 私のヤ クザみたいな恋人、
<2011>逮捕王
オム・ジョン ファ(厳正化) 出演作品一覧

イ・ミンギ

<2006>ガ チデン 堤防伝説(友情出演)、<2007>浮 気するのにいい日、<2009>ハミング(友情出演)、
<2008>ロマンチック・アイランド、 <2009>おいしいマン[日韓合作]、 <2009>TSUNAMI-ツナミ-
<2009>10億、<2011>クイック、<2011>不気味な恋愛

カン・イェウォン

<2002>純 愛中毒、<2002>魔法の性、<2007>1番街の 奇跡、<2009>海 雲台(ヘウンデ)
<2009>ハーモニー、<2010>ハローゴースト

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【レビュー&ネタバレ】
2009年7月、韓国公開。観客動員数、約1140万人を動員という大ヒットを 記録!
歴代興行トップ10を塗り替えました。

 ※ D-WARは韓国映画に含めておりません。
   また、数値は目安としてください。どうも、正確な数字に思えない..........

 1.グエムル~漢江の怪物~ 約 1300万人
 2.王の男 約1230万人
 3.ブラザーフッド 約 1174万人
 4.海雲台(ヘウンデ) 約 1140万人
 5.シルミド 約1108万人
 6.過速スキャンダル  約828万人
 7.チング 友へ 約818万人
 8.グッド・バッド・ ウィアード 約700万人
 9.トンマッコルへようこそ 約 710万人
10.光州5・18 約 685万人

あの不朽の名作シュリもトップ10から脱落です......

近年の傾向として、韓国国民が映画に求めているものが変化しているのを感じますね。
重みのある映画はどんどん影を潜め、ユニーク、斬新、CGなどの技術、アクション、、、
映画はエンターテインメントであり、アトラクションのような感覚になっているのでしょうか。
映画世代が若者世代なので、そうなってしまうのでしょう。
近年の傾向として、グエムル~漢江の怪物~や、今回の海雲台(ヘウンデ)
どちらもCGを駆使したパニック映画です。
こうしたパニックものが好まれるようです。
そして、CGを駆使した映像に、国内映画もココまで来たぞ!と、
誇りを感じ、興味をそそるのかもしれません。
ただ、今回の海雲台のCGはアメリカで撮影されたもので、
漁船が巨大台風に巻き込まれる映画、
「パーフェクト ストリーム」を撮影したチームが参加しているそうです。
この映画が制作されたのは2000年ですが、そのCGで表現した波の美しさは絶賛されたそう。
あれから約9年。技術も進化したでしょう。
この海雲台のCGも、本物のようです。圧巻。

実際、ユン・ジェギョン監督は、
ハリウッドなどのブロックバスター級、パニック映画と競うつもりでは作っていないそうです。
予算自体が、ハリウッドの1/10であり、その時点で結果は目に見えている。
韓国人だからこそ作れる、
韓国映画らしさを盛り込んだ「韓国ヒューマン・パニック映画」を目指したそうです。
その目的は、見事成功したのではないでしょうか。
パニック映画としては見劣りがするものの、
ヒューマン・ドラマとして、この映画は韓国人だから作れた映画になっていると思います。
パニック映画なら、ハリウッドはもちろん、日本映画も圧倒される作品が多数あります。
ですが、
「パニックの中での人間愛、人間ドラマ」
これを描いたことが、この映画の一番のポイントとなっていると思います。
グエムル~漢江の怪物~でも同じですね。
あの映画も、家族愛を描いた映画です。
韓国は情に厚い国であり、人間関係が深く、そして、家族の絆も深い。
だからこそ、他国では真似できないヒューマンドラマを描くことも、可能だと思います。
(どんどん希薄な人間関係になってきているそうですが)

とにかく、一応はパニック映画ですが、ヒューマンドラマと思った方が良いと思います。
パニッ ク映画を求めている方は遠慮した方が 賢明です!
パニック映画が観たいなら、ハリウッドや邦画を観ましょう。

また、グエムル~漢江の怪物~は、韓国では大ヒットしたも のの、日本ではコケました。
似ていると言われている韓国人と日本人の情緒。
けど、映画で大事なのは「情緒」だけではないし、若者の情緒と熟年者の情緒も違いますからね.......
海雲台(ヘウンデ)の日本公開は、なかなか困難でしょう。
コケるのがわかっていて、大枚は叩けません。
まぁ、高値をふっかけられて、困難と言われていたグッ ド・バッド・ウィアードも、結局は買い付けられたので、
いづれかは、この映画も公開されるでしょう。
たぶん、韓流にハマっている方にとっては、涙、涙の人間ドラマを堪能できることと思います。
一般ウケはしないでしょう......
パニック映画としては、期待しないように..........
とにかく、mocaは大号泣。
ちょ~~~ストライクにハマった映画でした。

そしてこの映画は、ヒー ローの存在しない映画!
だそうです。
パニック映画といえば、誰かがヒーローになり、人々を救うものですが、
この映画には、ヒーローは存在しません。
人間同士が助け合い、そして、人々は救われるのです。
誰かが犠牲になったり、助け合ったり.....
そこにいるのは「ヒーロー」ではなく、ただの人間たちなのです。
地震を予告したキム博士が、釜山市民たちを救うというのが、ありがちなストーリーですが、
キム博士は予告しただけで、救うことはできません。
ヒーローではないのです。
人々は、ただの他人、愛する者同士.... 助け合う。
この災害のために、長年の確執が解けたり、愛を確認し合ったり、
この映画には、人間ドラマがあります。
この映画はどちらかといえば、フィクションよりもずっとリアルで、人間の匂いのする映画ですね。
監督の目的は達成されていると思います。

【チェ・マンシ ク】
漁師
ソル・ギョング
【カン・ヨニ】
無許可刺身屋店経営
ハ・ジウォン
【チェ・ヒョン シク】
海洋救助隊員
イ・ミンギ
【キム・ヒミ】
浪人生
カン・イェウォン
【チェ・オク チョ】
会社会長
ソン・ジェホ
【キム・フィ】
地質学者
パク・チュンフン
【イ・ユジン】
国際イベント担当理事
オム・ジョンファ
【ジミン】
フィとユジンの娘
キム・ユジョン
   
【オ・ドンジュ ン】
マンシクの同僚
キム・イングォン
【クムリョン】
マンシクの母
キム・ジヨン
   

そして今回、見事だったのがキャスティング。
パク・チュンフンに関してはちょっと疑問ですが、すべてがハマり役。
だからこそ、リアルで、感動が生まれたのかもしれません。

ソル・ギョングは単なる漁師でありながら、漁業組合のリーダーとしてのカリスマがあり、
愛するヨニの前では、可愛らしささえも見せる愛すべきキャラクター。

ヨニは芯の通った釜山女。
父亡き後、たった一人で生活し、強く生きている。

ソル・ギョングの弟に、イ・ミンギ。
海洋救助隊としての使命感に溢れ、兄よりもずっとしっかり者。
だが、愛する女性の前では純情で、純朴だ。
可愛らしく、たくましく、どんなキャラも演じるイ・ミンギは見事!

1番街の奇跡で、ねずみ講にハマってしま う貧乏人、ソンジュを演じたカン・イェウォン。
こんな話題作のメインキャストとは、大抜擢ですね。
高慢だけど、筋の通った強い女は、なかなかハマっておりました。
けど、他人を侮蔑するような高飛車な女なのに、自分は浪人生なのに梨花女子大でお金持ちなどど
見栄を張るところはどんなものでしょう.......

そして、mocaのだーい好きなソン・ジェホ。
ソン・ジェホだからなお、大号泣してしまったのかもしれません。
情の深く、義理堅く、懐の大きな大韓民国の男の代表のようなキャラクターを見せてくれました。

地質学者を演じたパク・チュンフン。
どうもコメディー俳優のイメージが強くてねぇ.... イマイチしっくりこず。

どうしてパク・チュンフンがキャスティングされたのかわかりました。
元々は、ファン・ジョンミンがキャス ティングされていたのですね。
イ・ミンギが演じたヒョンシクも、元々はイ・ジュンギがキャスティングされていた。
制作発表から、随分時間がかかるなぁ.... と思いましたが、キャスティングの問題があったのでしょうね。

そして、その元妻で、気の強いキャリアウーマン、ユジンを演じたオム・ジョンファ。
いつも同じようなキャラクターで、もうウンザリしてましたが、
このユジン役はオム・ジョンファにピッタリでしたね。

そして、可愛い、可愛い、キム・ユジョンちゃん。
だいぶ成長してきましたねぇ。
相変わらず可愛いけど、ファン・ジニ 映画版や、仮面の頃が最高潮かも。

どうしても、バカなキャラクターになってしまうキム・イングォン。
最後の最後まで、愚か者でした。
そう、バカではなく、愚か者。
きっと、これからの人生は、別人のように生きてくれることでしょう。

そして、ハルモニ(お婆ちゃん)役では、お馴染みのキム・ジヨン。
情の深いキャラクターも、口うるさい底意地の悪いキャラクターもお手の物。
今回は、どちらかといえば後者ですね。
キム・イングォンを海に蹴落としたシーンは、笑いが止まらず。
彼女だからこそ、笑える(笑)


* * *


時は2004年。多数の死者を出したインドネシア津波。
ちょうどその時、遠洋漁業のため、チェ会長の船「オクチョ」は、荒れた海の渦中にいた。
皆が混乱する中、マンシクは魚を捕獲する檻を下ろすよう命じた。
しかし、檻のワイヤーは切れ掛かっていた。
「下ろすのは危険だ!」
ヨニの父はマンシクを制止する。
しかし、マンシクはヨニの父の言葉を受け入れない。
「今回も収穫なしで帰るのか!陸では父でも、船では俺がリーダーだ!」
そう言って、マンシクは檻を下ろそうとする。
しかし、それにより、ヨニの父は重い檻の下敷きとなってしまう。
海洋救助隊が「オクチョ」の船をみつける。
その報告を聞いたチェ会長を始め、乗組員の家族たちは喜びに湧き上がる。
しかし、津波は確実に船に押し寄せていた。
時間がない。
すくに乗組員たちを救助せねば。
しかし、ヨニの父を助けるには、檻はあまりにも重過ぎて持ち上げることができない。
檻を持ち上げるよう、必死に命じるマンシク。
しかし、ヨニの父はマンシクに告げる。
「いいから、もう行け。ヨニを頼んだぞ」と。
そして、マンシクは無理矢理ヘリに救助され、遠くなっていくヨニの父へ向かって泣き叫ぶ。

ヨニの父だけが死んだ。
助かるものと、心躍らせていたヨニは失意に陥る。
たった一人の家族を失ったヨニ。
孤児となった。


時が流れ──


地質学者のキム博士は、地質に異常が起きていることを察知する。
日本の東側で頻発している地震の発生源が、どんどん朝鮮半島に近づいてきているのだ。
この状況だと、近々日本で大地震が発生するだろう。
そして、韓国と日本の間にある対馬が沈没したら、
この海雲台はメガ津波に襲われ、インドネシア津波のような状況に陥るだろう....
キム博士は、この恐ろしい事実を確信した。
しかし、何度そう忠告しても、災難防災庁は「そんなことはありえない」と、聞く耳を持たない。
そんな折、キム博士は、7年ぶりに別れた妻ユジンと再会した。
そして、小学校3年生になった、娘ジミンとも。
しかし、ユジンはキム博士が父親であることは、ジミンには告げていないと冷たく言い放つ。

またマンシクは、ヨニへの想いを告げられずにいた。
互いに想い合っているマンシクとヨニ。
しかしマンシクには、自分のミスにより、ヨニの父親を死なせてしまった負い目があるのだ。
そしてヨニは、その真実を知らず、相変わらずマンシクを慕っている。

マンシクの弟ヒョンシクは、海洋救助隊員だ。
ある日、ヨットから海へ転落した浪人生のミヒを救助する。
しかしその日以来、ミヒは積極的にヒョンシクにアプローチをかける。
だがミヒは、「自分は梨花女子大生で、大金持ちの娘だ」と、ヒョンシクに嘘をつく。
そのため、「そんな高嶺の花と自分が釣り合うわけがない」と、ヒョンシクは苦悩する。
その上、ミヒに好意を持つジュナに暴行を加えられる。
「ミヒは俺の婚約者だ。近づくな」と。
ジュナの言葉を信じたヒョンシクは、ミヒに弄ばれたのだと、誤解してしまう。

ある日、マンシクは意を決して、ヨニにロマンティックなプロポーズをする。
しかしヨニは、返事は明日まで待つようにじらす。
「明日の朝、私の船に赤いリボンがかかっていたら、OKだと思って」と。

しかしマンシクのプロポーズの話をヨニから聞いたドンジュンは、怒りを露にする。
「あいつ正気か!」
そして、ヨニの父親が、なぜ死んだのか、真実をヨニに暴露してしまう。
ショックを受けたヨニ。
ヨニは船で出かけ、泣きながら赤いリボンを海へと投げ捨ててしまう。

翌朝、ヨニの船を見たマンシクはショックを受ける。
そして、そこに現れたドンジュンに、ヨニに真実を話したことを告げられる。

また、ドンジュンの母は、息子ドンジュンを案じ、予定していたピクニックを取りやめ、
ドンジュンの就職のための靴を買い求めていた。


↓ ネタバレしますので、ご注意を↓


そんな時、海底では、確実に異変が起きていた。
日本で大地震が起きたのだ。
マグニチュード6.5
対馬の海底は火を噴き、地割れが発生。
日本は緊急注意報を発令した。
キム博士の予知通りになってしまったのだ。
このままでは、海雲台は危険だ。
時速800キロの速さで、メガ津波が海雲台へ向かっているのだ。
到達までの時間は10分!
急いで非難通告が出されるが、10分で何ができようか。
災難防衛庁がパニックに陥っている中、キム博士は職務を放棄し、外へと向かってしまう。
娘、ジミンを救わねば!
キム博士は、現状をユジンに電話する。
ジミンが待つホテルへと向かうユジン。
しかし、エレベーターが地震の衝撃で止まってしまい、ユジンは閉じ込められてしまう。
キム博士がホテルへ到着した時には、既にホテルは津波で浸水状態だった。
ジミンの部屋のドアを開けるキム博士。
目の前の状況に驚愕する。
部屋は浸水し、海水はキム博士の肩の高さまで溢れ、
今まさに、ジミンは割れた窓からビルの外へと流されようとしていた。


↓ 結末です。ご注 意を↓


危機一髪でジミンを助け出し、屋上へと辿りついたキム博士。
しかしその頃、ユジンは閉じ込められたエレベーターの中で、まさに絶体絶命の危機に晒されていた。
海水はもう、顎まで浸かり、絶望に陥るユジン。
そこへキム博士からの電話。
強気なユジンも、弱音を吐いてしまう。
「私、もうダメ.....」
電話をジミンに代わるキム博士。
「ジミン、愛してるわ。ごめんね、もっと早く言えばよかった。今一緒にいるおじさんが、ジミンのパパよ」
ユジンはジミンに涙ながらに真実を告げる。
そして、海水がユジンの全てを飲み込もうとした時、
ホテルの修理工が、エレベーターをこじ開け、ユジンは救出された。

一方、マンシクとヨニは、押し問答をしている最中に津波に気づき、
慌てて海から離れようと逃げ出す。
しかし、どんどん津波は押し寄せてくる。

その頃、チェ会長も、津波から逃げ惑っていた。
大事に書類を抱えながら。

海水で溢れる道を、逃げ惑うマンシクとヨニ。
その時、今にも水の中に落ちそうなショートした電線を発見。
二人は驚愕する。
早く水から出なければ、感電死してしまう!
二人は慌てて電柱によじ登り始める。
電線は今にも水の中に落ちそうな状態だ。
間一髪。何とか電柱に登り、災難から逃れたマンシクとヨニ。
しかしマンシクが電柱から壁に登り、ヨニを引き上げようとしたその瞬間、
上から落ちてきた看板がマンシクに衝突し、マンシクは海水の中へと墜落してしまう。
何とかマンシクの手を捕らえたヨニ。
ヨニは渾身の力で、マンシクを支える。
しかし水の流れは速い。
マンシクはなかなか電柱に近づけない。
このままではヨニが力尽き、ヨニも一緒に濁流の流れに飲み込まれてしまう。
しかしヨニは泣きながら叫ぶ。
「この手を離したら許さない!私と結婚しないつもり!私をからかったの!」
マンシクも泣きながら叫ぶ。
「違う!本気だ!愛してる」
ヨニもマンシクも、必死に叫ぶ。
「だったら生きて!死んだら結婚もできない!」
ヨニはマンシクを奮い立たせようと必死だ。
「ありがとう。本当にありがとう」
マンシクのその言葉に、ヨニはマンシクの心中を察した。
「あんたが死んだら、私も後を追って死ぬ!」
しかし、マンシクは決意した。
「ヨニ、幸せになるんだぞ!」
そして、ヨニの手を離すマンシク。濁流に流されていくマンシクに、ヨニは泣き叫ぶ。
マンシクが濁流に飲み込まれようとしたその時、マンシクの手を、誰かの手がしっかりと握り締めた。
引き上げられるマンシク。
それは、マンシクが憎んでいた実の叔父、チェ会長だった。

マンシクは、ヨニの父が亡くなった日、海が荒れているのに船を出させた会長を恨んでいたのだ。
そしてまた、今度は海雲台へ巨大リゾート施設を建設するために、
マンシクやヨニらが生まれ育った土地を立ち退かせようとしていることが、
更にマンシクの憎しみに火をつけたのである。
しかしチェ会長は、ヨニの身を心から案じていたのだった。
ヨニの父が亡くなってから、ヨニを援助し、ヨニが借りている船の賃料も、
「お前にいくら船を貸しても惜しくない!金の心配はするな!」
と、賃料も受け取らずにいた。
そして、今回リゾート施設の建設のことを機に、ヨニにいい場所に店を出してやると申し出ていたのだ。
亡くなったヨニの父との約束もあると。
しかし、その申し出をヨニが断っていたのだ。
「父もオクチョおじさんも私も、海雲台で育ちました。ここの皆が家族のようで...
私だけ店を貰って幸せになっても、父は喜ばないはず。気の毒なマンシク兄さんのためにも、
もう一度考え直してください」と。

チェ会長は、怪我をした手で、マンシクを必死に引き上げた。
「良かった、良かった、助かったぞ」
と、涙ぐみながら微笑むチェ会長。
心から喜ぶチェ会長に、マンシクの心は動かされた。
しかし、濁流に流されてきた看板がチェ会長に直撃し、チェ会長は濁流に飲み込まれていった。
「叔父さん!叔父さん!」
泣き叫ぶマンシク。
長年の叔父との確執が解けたのも束の間、悲しい最期となってしまった。

一方その頃、マンシクの弟ヒョンシクは、海洋救助隊として、救助に当たっていた。
海で救助を求めていたのは、何とミヒとジュナだった。
ヒョンシクはミヒを先にロープでヘリへ引き上げ、自分はジュナを連れて行くと告げた。
ミヒはヒョンシクの身を案じた。
「すぐに戻るよね?」
ヒョンシクを海中に残すのが不安なミヒ。
ヒョンシクはミヒに「1つだけ質問していいか」と、尋ねる。
「あいつは、婚約者なのか?」と。
ミヒは驚き、必死に否定する。
「他人よ!」と。
ミヒの答えを聞き、ヒョンシクは安心し、笑顔でミヒを見送った。
そして、ジュナを抱き上げ、ヘリからロープで引き上げようとするが、何と、ロープが切れ掛かっていた。
二人はとても引き上げられない。
一人なら何とか......
ヒョンシクは決断を迫られる。
心が引き裂かれそうなヒョンシク........
ここで海に落ちれば、助からないだろう.........
だがヒョンシクは、救助隊としての使命をまっとうしようと、悲痛な想いで決断した。
「この時計をあの子に」と、ミヒからねだられていた腕時計をジュナに預けると、
自らの命綱を、ナイフで切り離した。
海の中へ落ちていくヒョンシク。
そして、海上へ浮かび上がり、笑顔でミヒに手を振る。
しかし大波が、ヒョンシクをあっけなく飲み込んだ。
「ヒョンシクさん!」
泣き叫ぶミヒ。

ホテルの屋上には、救助のヘリが到着していた。
しかし、救助できる人間には限りがある。
子供と女性が優先された。
キム博士とユジンは必死に叫ぶ。
「ここに子供がいます!娘なんです!お願いします!」
すると周囲の人々は、ジミンを次々と受け渡しながら、ヘリから下ろされたバスケットにジミンを乗せてくれた。
それでもジミンの身を案じる二人。
そんな二人に、バスケットの中の老女がジミンを抱きかかえ、
「心配しないで」と、頷きながら二人に叫ぶ。
バスケットの中から、「ママー」と、いつまでも泣き叫ぶジミン。
キム博士は思わず叫ぶ。
「ジミン!俺がお前のパパだ!パパだぞ、ジミン!」
キム博士をみつめるジミン。
そして、「パパー!パパー!」と、ジミンは泣き叫ぶ。
泣きながらジミンを見送るユジンとキム博士。
いつまでも手を伸ばし、泣き叫ぶジミン。
ジミンは助かった。
しかし、安心するのも束の間、巨大な津波が目の前に迫っていた。
もう、逃げる場所もない。
二人は覚悟を決める。
ユジンは震える手で、「男の身だしなみよ」と、キム博士のネクタイを締めなおす。
そんなユジンに、キム博士は告げる。
「すまない、すまない」
何度も泣きながら謝り、ユジンを抱きしめるキム博士。
「私こそ」
と、ユジンも泣きながらキム博士を抱きしめる。
二人は抱きしめあいながら、津波に飲み込まれていった。

そして、自らの命を投げ出し救助に当たった救助隊員たちの追悼式が行われる。
そこには、ヒョンシクの写真も。
いつかヒョンシクに暴行を加えたジュナも、沈痛な面持ちで参列していた。
そしてミヒは、ヒョンシクの腕時計を手に、嗚咽していた。

災害により倒壊した家屋を片付ける釜山市民たち。
そして、驚く真実が知らされる。
チェ会長は、海雲台のリゾート施設の申請を取り消していたのだと。
ヨニの言葉が、チェ会長の心を動かしたのだ。
しかも、津波が来る直前に取り消しに行ったことにより、チェ会長は災難に遭った。
そんなことをせずにいれば、死なずに済んだのに.......

そしてドンジュンの母も、ピクニックを取りやめ、息子の靴を買いに行ったために、命を落とした。
母に冷たく当たったこととを、悔やんでも悔やみきれないドンジュン。
災害時、市民を13人も救助し、栄誉賞を貰ったドンジュン。
しかし、それを喜んでくれる母もいない。
他人をいくら助けても、自分の母は、自分が死なせたようなものだ....
ドンジュンは、ただ黙って酒を飲み、泣き叫んだ。

ヨニは、倒壊した自分の家へと戻る。
跡形もなく壊れた家を呆然とみつめるヨニ。
そして驚くことに、いつか海へと投げ捨てた赤いリボンが流れ着いていた。
それを見たマンシクは、喜び勇む。
じゃれあう二人。
不幸の中にも、二人の中は幸せを感じていた。
二人には未来が輝いている。

END







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