受取人不明 Address Unknown |
原題:受取人不明 수취인불명(スチュィインブルミョン) <2001> |
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監督 | キム・キドク(金基徳) | 作品一覧 |
出演 |
ヤン・ドング ン |
<1999>ホワイト・バレンタイン、<1999>ダンスダン
ス、<2000>海辺に行く、<2000>彼が駅で降りた、 <2001>受取人不明、 <2002>海賊、 ディスコ王になる、<2003>ワイルドカード、 <2004>最 後の狼、 <2004>風の ファイター、<2006>モ ノポリー、<2010>グランプリ、 <2010>離脱 |
【レビュー&ネタバレ】 |
まだまだ独特の雰囲気が色濃く残
る頃のキム・ギドク作品。 キム・ギドク・ワールドが炸裂しているわ。 ということは・・・ mocaはかなーり、苦手ということ。 この映画も辛かった・・・ なんで見ちゃったんだろう・・・・・・・・・・・・・ 1970年代、米軍が駐留する村に住む混血児チャングクとその 母 そして、村の人たちの人間模様を鮮烈に描いているわ。 この映画は、国への不満、アメリカへの不満、 そういったものが溢れているわ。 ユギオ(6.25)というのは、朝鮮戦争のこと。 その戦争での勲章がまだ自慢になる頃の物語よ。 朝鮮戦争や、米軍駐留により悲劇が訪れたかのように、 この映画では描かれているわ。 黒人との混血児チャングクは、 つねに村人とトラブルを起こし、忌み嫌われている母がうっとうしい。 そんな母を殴る、蹴るの日々だ。 いつかアメリカにいる夫が迎えてきてくれると、 未だにアメリカに向けて手紙を書き続けることにも苛立ち、 混血児という自分自身のアイデンティティにも苦悩する。 そして、学歴もなく混血児ということから、まともな職にも就けず、 母の愛人の犬商人(韓国では犬肉を食す)の元で 仕方なく犬解体の仕事を手伝っている。 ウノクは幼い時、兄に右眼をおもちゃの銃で傷つけられ 右眼を失った容貌にコンプレックスを持っている。 愛犬だけが唯一の心を開く相手。 ウノクの母は、朝鮮戦 争で亡くなった夫の年金を頼りに生活して いる。 しかし、「英雄」であると思っていた夫は北へ逃げていたと発覚し、 年金は中止され、「アカの家族」というレッテルを貼られてしまう。 ウノクに想いを寄せるチフムは、経済的理由で学校に行けず肖像画専門店で働く。 気の弱いチフムは、いつも不良二人組にカツ上げされ、いじめられている。 チフムの父は、ユギオ(朝鮮戦争)で右足を負傷し 月30000ウォン(約3千円)の年金を頼りにして生活している。 チフムの父は、朝鮮戦争で北の人民兵を殺したことが自慢。 貧しく、暗い背景を抱える若者たち。 鬱々として、光も射さない。 チフムは片目のウノクに想いを寄せるが、 コンプレックスを持つウノクは心を開かない。 そんなある日、ウノクは米兵ジェームズに声をかけられる。 異国での軍生活に耐えられないジェームズは、薬漬けになり、 ウノクに救いを感じ、想いを寄せる。 そして、目の治療を条件に、交際を申し込む。 ウノクは申し出を受け入れ、目の手術を受け、長年のコンプレックスを解消する。 しかし、ジェームズの異常な愛に耐えられなくなったウノクは、 自ら治った目を刺し、失明してしまう。 チャングクは、この村で生きる重圧に耐えられなくなり、 犬商人を殺し、母の乳房をナイフでエグり取り、 スクーターでこの村から逃げ出そうとするが、 転んで田んぼに落ち、そのまま死んでしまう。 ↑のハイライトの強烈な映像。 っていうかちょっと笑う・・・ あんな死に様だなんて・・・・・・ 悲しい。 そんな情けない死に様を村人たちの目に触れさせないよう、 チャングクの母は遺体に火をつけ、燃やしてしまう。 チフムは、ウノクの仇を取るために ジェームスに矢を放ち、逮捕されてしまう。 息子を失ったチャングクの母は失意に陥り、 バスに火をつけ、自殺してしまう。 しかし、バスのそばには一通の手紙が落ちていた。 長年書き続けてきた夫への手紙。 その度に「受取人不明」で差し戻されてきた手紙。 その手紙に、ようやく返事がきたのだった。 そんなことも知らず、この世を去ってしまったチャングクと母。 混血児としてチャングクが生まれたことも、 母が村人から忌み嫌われ、 ウノクやチフム、村人たちが生きることもままならないほど貧しく、 ウノクが米兵に魂を売ったことも、 それにより生まれた更なる悲劇も、 そして、チャングクが犬商人を殺し、 結局自らの命を失ったことも・・・ すべて、すべて、戦争がなければ起こらずにすんだかもしれない悲劇・・・ この村から逃げ出そうとしても、 結局、チャングクのように逃れられない・・・ |
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