チェイサー  The Chaser 
 原題: 追撃者 추격자(チュギョクジャ)<2008>

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追撃者

4885... お前だろ?お前は捕まれば死ぬ

出張マッサージ店(출장안마소)を運営する元刑事ジュンホ(キム・ユンソク)は、最近雇っていた女逹が相次いで消えるという事件が発生し、ついさっきミジ ン(ソ・ヨンヒ)を呼び出した客の電話番号と、消えた女逹が最後に通話した番号が一致することに気づく。しかし、ミジンまで連絡が途絶えてしま い.....

ミジン を捜している中、偶然ヨンミン(ハ・ジョンウ)とでくわしたジュンホ。服についた血を見て、ヨンミンがまさしくそいつであることを直感し、追撃の末に奴を 捕まえる。

売ったんじゃあり ません。殺したんです....
でも、その女はま だ 生きてると思う

失踪した女逹を皆殺したというショッキングな告白を淡々と打ち明けるヨンミンのせいで警察は大騒ぎになる。右往左往する警察たちの前で、ミジンはまだ生 きているはずだと言いながら平然と微笑むヨンミン。しかしヨンミンを拘束しておけるだけの証拠は何もない。犯人逮捕に血眼になった警察は、ミジンの生死よ り証拠探しにだけ躍起となり、ミジンが生きていると信じるジュンホは一人でミジンを探しに出るが...
【予告編】
監督 ナ・ホンジン <2008>チェ イサー、<2010>黄海

出演

キム・ユンソク

出演作品一覧

ハ・ジョンウ

出演作品一覧
ソ・ヨンヒ <1998>バ イ・ジュン~さら ば愛しき人~、<2002>嫉 妬は私の力、 <2003>ラブストーリー
<2004>ライアー、<2005>麻婆島(マパド)、 <2005>私 の生涯で最も美しい一週間
<2006>連理の枝、<2006>師の恩、<2006>無道里、
<2007>大誘拐 クォン・スンブン女史拉致事件(特 別出演)、<2007>宮女 クンニョ
<2008>チェイサー(特別出演)、 <2008>アンティーク~西洋骨董洋菓子~(友情出 演)

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【レビュー&ネタバレ】
2008年2月公開。観客動員500万人を突破した大ヒット作。
二流の俳優陣に新人監督、誰もがこの映画に期待していなかった。
まさに映画界のダークホース。
ハリウッドでのリメイクも決定。

今やスターダムへとのし上がったハ・ジョンウ。
イケメンなのか微妙な容貌でありながら、人を惹きつけて離さない魅力と存在感。
そして、ドラマ<復活>でのチョン社長で人間的魅力を振りまいたキム・ユンソク。
この二人の共演なら....
と、期待して観た映画なのですが......

いやぁ、予想を裏切られました。
こんな低レベルな作品だとは思いませんでしたわよ。
少しも疑わずに観ちゃったものだから、ふいを突かれてボディーブローを食らった感じね。
ガッカリだわ。

公共の敵のパクリか!?
不正と不手際、そんな腐った警察。
どうしようもないロクデナシが、最後には一番全うな正義の人となっているわけです。
公共の敵には、その過程がきちんと描かれ楽しませてくれますが、
このチェイサーでは、なんだか中途半端。
冒頭で散々’ロクデナシ’を強調するわけですが、
実は優しい面があったり、正義感があったり、そんな意外性に少しも感じるものがありません。

日本人と韓国人は情緒が似ているとよく言われます。
mocaもそう思っておりました。
特にmocaは韓国人の情緒に似ている人のようで、ですから韓流大好きなわけでございます。
しかし、この映画を観て、改めて日本人と韓国人は全く別の人種だと認識させられました。
mocaがよく言う「日本人と韓国人のツボは違う」ということですね。
韓国での大ヒット映画が、日本でコケまくる原因の一つでもあります。
韓国人の情緒は恐ろしく単純であり、単純明快な映画をよしとする傾向にあります。
この映画も、観客動員数をみれば、韓国内でどれほど認められているか理解できるでしょう。
しかし、映画そのもののレベルに着目し、
「なぜこんな空々しい映画がヒットしたのか?」と、疑問視する声もあります。

韓国人の好みを象徴する映画としては、

 笑い:アタック・ザ・ガス・ステーション!
 泣き:マラソンクライング・フィスト
 スリラー:チェイサー

など、と言えるでしょう。

moca的には、スリラーの最高峰は黒い家だと 思うわけです。
なのに、動員数は130万人程度。
韓国人にとっては、複雑に絡み合った綿密な謎解きや、完成度の高さなど、
どうでもいいことなのです。
いかに、単純にキャーキャー叫べるか、それが韓国人のスリラーに対する定義なのでしょう。
頭は使わなければ使わないほど、よいのでしょう。
韓国人はホラー映画が大好きです。
でも、コリアン・ホラーのほとんどが、内容的に破綻しています。
なぜそんな破綻した映画が次々と作られるのか... ようやく納得できた気がします。
韓国人にとっては、それでよかったんですね。

この映画は、連続殺人鬼を追いかけるハラハラする過程と、
殺人鬼が人を殺していく恐ろしさ、
それしかありません。
殺人鬼の背景にある謎を解き明かすミステリー部分は、あまりにもお粗末。
快楽殺人鬼の背景にある性的問題や、宗教などもサラリと出てきますが、素通りも同然。
逆に不完全燃焼になっただけ。
やはり、新人監督だけあるな... という感じ。
本格的ミステリーが好きな方は絶対に観てはいけません。

実はこの映画、
2004年に韓国で実際に起きた’柳永哲(ユ・ヨンチョル)連続殺人事件’をモチーフにしているそうです。
ですが、いったいどこがモチーフなのか???
売春婦を次々と殺す殺人鬼というだけで、モチーフと言っていいものか.....
実際のユ・ヨンチョル事件を知らなければ理解に苦しむ場面もあります。
チ・ヨンミンが壁に書いた絵は、実際のユ・ヨンチョルが絵に対し驚くほどの才能を持っていたこと、
色覚異常で画家への道を断念せざる得なかったこと、
故に、その鬱憤を墨絵のようなモノクロの絵を描くことでぶつけたこと。
そんなユ・ヨンチョルのエピソードを取り入れたのかもしれませんが、
映画を観ただけでわからないようなシーンは入れないで欲しいものですね。
事件を知らない人にとっては、不完全燃焼なだけ。

そして、快楽殺人の目的は、性的不能を満たすためと尋問されますが、
実際に快楽殺人者には性的問題がある確率が高いそうです。
しかし、ユ・ヨンチョルの快楽殺人者になった背景は、父親からの暴力などによるものが大きいようで
性的問題ではないようです。

絵に関するエピソードを取り入れるなど、ユ・ヨンチョル事件をモチーフにするならば、
徹底的にユ・ヨンチョルに関して描くべきです。
参考資料にしただけのことを、’実話’を匂わせて好奇心を煽るのはどうでしょうか。

韓国人はなぜか’実話を基にした’に弱いようで、実話を元にした映画は大ヒット作が多いです。
同様に殺人事件を扱った殺人の追憶あいつの声
それ以外では、シルミドマラソンク ライングフィスト光州5・18私達の生涯最高の瞬間
ユア・マイ・サンシャイン
、etc...

劇中登場する殺人が繰り広げられる’麻浦区望遠洞’ですが、
これは実在する町名です。
実在する町を使ったものだから、「町のイメージが下がる」と心配され、
住民は怖くて夜道を歩けないと、不安に怯えたそうです。
ですが、実際に撮影されたのは、北阿硯洞と城北区だそうです。
(ハ・ジョンウの住む家は平倉洞)
モダンだけれど、寂れた赴きのある街並みで繰り広げられる追撃戦。
映像的には、とても美しく、ノスタルジック。

気になったのが、パク・ヒョジュ演じる女刑事の扱い。
不愉快になるほど、この女刑事をこき下ろしているのよね。
「うるさい」、「黙れ」などと、犯人を偉そうに抑圧する女刑事。
「生臭いな、生理だな」
という一言で、女刑事を黙らせてしまう。
編集でカットされたそうですが、スーパーの店主が殺害されるシーンでは、
店の外で待機していた女刑事は、女店主の死体を見て震え上がり、
ミジンを助けに中に入って行くことができなかったそうです。

偉そうにしている女刑事を、ことごとくこき下ろしているのよね。
偉そうで自分が有能だと思っている女。
そういう女に対しての批判なのか、思い上がった最近の若者に対する批判なのか、
それとも、無能で不正にまみれた警察に対する批判なのか
監督の意図は全く不明。
但し、映画全体から、不正と無能の象徴の警察に対する批判を感じます。
この映画の制作意図は、警察に対する糾明なのでは?と、思うほど。
本当に、警察に対し腹が立って仕方がないですよ。

【ジュンホ】  元刑事
キム・ユンソク
【ヨンミン】  連続殺人鬼
ハ・ジョンウ
【ミジン】 風 俗嬢
ソ・ヨンヒ
【ウンジ】 ミ ジンの娘
キム・ユジョン
【オジョッ】 
ク・ボヌン
【イ刑事】
チョン・インギ
【オ刑事】
パク・ヒョジュ
【班長】
ミン・ギョンジン
【旗手隊長】
チェ・ジョンウ

キム・ユンソクに期待した方は、ちょっと肩透かしかもですね。
人間的魅力は微塵も感じられない、単に熱い人間です。
この映画で、キム・ユンソク熱はすっかり冷めちゃいました.........

ハ・ジョンウは、連続殺人鬼だからといって、
のチョ・スンウや、俺たちの街のリュ・ドックァンのような精神異常的な演技変身は ありません。
ほんとうに普通の男。ちょっと見たら好青年。
そんな男が快楽殺人を繰り返すわけです。
ハ・ジョンウの演技の幅の少なさを実感しちゃいましたが、
ハ・ジョンウの持つ魅力と存在感が最大限に生かされていると思います。
あのヌケヌケとした図々しさと飄々とした様は、思わず笑いがこみ上げてくるほど。

’チェイサーのヒロイン’と書かかれているのを見たことがありますが、
ソ・ヨンヒはヒロインではありません。
メインの女性キャストは、全て’ヒロイン’と呼ぶものなんですか?
ヒロインではなく、主要人物なだけ。
しかも、出演分量はたいしたことありません。

その娘役のキム・ユジョンの方が分量が多いのでは???
ファン・ジニ角砂糖町内金庫殺人事件仮面などのキム・ユジョン。
本当に可愛い。
ですが、なんか今回はムッチリした感じというか、
幼児が少女になったようだというのか、
なんだか、可愛いだけではなくなって... ちょっと、moca的には微妙なところ。




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