SPY リー・チョルジン 北朝鮮から来た男  The Spy 
 原題:SPYリー・チョルジン 간첩 리철진(カンチョプ リ・チョルジン) <1999>

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北朝鮮から来た男




食糧難に苦しむ北朝鮮の人民のために、韓国で開発中の改良豚<スーパー豚>の遺 伝子を入手しろとの特 命を受け、間諜(カンチョプ=スパイ)リー・チョルジン(ユ・オソン)は、南へ派遣される。

彼は東海岸から侵入し、30年の経歴を自慢するベテラン駐在スパイ・オ先生(パク・イナン)と接触するためソウルに向かう。 韓国の人たちと同じように行動しようと<タクシー相乗り>をしたが、それは4人組タクシー強盗団のタクシーで、工作金と拳銃がはいったカバンを巻き上げら れてしまう。果してリー・チョルジンは、任務を無事に遂行することができるのか?





監督 チャン・ジン 作 品一覧

出演

ユ・オソン

<1995> ドクター・ボン、<1996>彼らだけの世界、 <1997> ビート、
<1999>SPY リー・チョルジン 北朝鮮から来た男、 < 1999>アタック・ザ・ガス・ステーション!
<2001>友へ チング、<2002>チャンピオン、< 2003>星、<2004>多黙 安重根、<2006>角砂糖
<2010>ありがたい殺人者、<2011>チャンプ(角砂糖2)

パク・チニ (朴真嬉)

<1998> 囁く廊下~女校怪談~、<1999>恋風恋歌、 <1999>北朝鮮から来た男
<2000>散策、<2000>なせば成る、 <2001>遠い路、<2003>星(ビョル)、 <2005>恋愛術士
<2005>ラブ・トーク、<2005>愛したあとに~サラン ハンフエ、<2007>出会い の広場、
<2007>宮女 クンニョ、<2008>甘いウソ、<2010>実家の母、<2010>砲火の中へ(特別出演)
パク・イナン <1998>ク ワイエット・ファミリー、<1999>SPY リー・チョルジン 北朝鮮から来た男、 <2000>な せば成る
<2001>ミラクル・サッカー、<2001>春の日は過ぎゆく、 <2004>あぶない奴ら~TWO GUYS~(特別出演)、
<2006>無道里、<2007>ハピネス(特別出 演)、<2009>渇き Thirst

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【レビュー&ネタバレ】
かなり古めに感じる作品だけれ ど・・・内容的には少しも劣りません!
この邦題が悪い・・・・・・誰がつけたの!
<北朝鮮から来た男>というタイトルに惹かれると思いますか?
そのせいで、今の今まで観ずにきて・・・後悔しましたわよ。
北のスパイという逃れられない悲しい運命・・・
その悲しみに何度も泣かされます・・・号泣ではないけれど・・・

最近moca、田舎の冴えない純朴男に弱いのか・・・
君は僕の運命/ユア・マイ・サンシャインのソ クチュン (ファン・ジョンミン)
私の結婚遠征記のマンテク(チョン・ジェヨ ン)
この2人に並ぶ、魅力的な純朴男に参ってしまいました・・・・
この3人に共通するのは、純朴な笑顔と会話!
リー・ジンチョルが2人とは違うのは・・・
優しさだけではなく、強さと優しさを兼ね備えた男であること。
スパイだけあって、強靭な肉体と精神、そして、北の人民を想う熱い気持ち、
そして、任務を遂行しようという情熱 かしら。

韓国に来て信号に戸惑うチョルジンがなんだか可哀想で・・・
抱きしめてあげたくなるほどせつなくて・・・
竹馬の友であるソンミンを撃って、苦悩して涙を流すチョルジンは
胸が締め付けられたわ・・・

30年間韓国で暮らしてきた常駐スパイのオ先生の娘であるファイも
負けないくらいに魅力的なの
パク・チニはまだ垢抜けないけれど、やっぱり可愛いし。
この2人が繰り広げるイノセント・ワールドに、mocaはどっぷり浸ってしまったわ。
本当に、<イノセント>という言葉がピッタリなリー・ジンチョルに、
包み込むような情の深さを持ったファイ・・・・
そしてオ先生も、パク・イナン씨(ウンス아빠@ラストダンスは私と一緒に)らしい
温かみのあるキャラクターで・・・
本当に、mocaはこういう映画大好きです。

ユ・オソンとパク・チニは、<星(ビョル)>でも共演しているわね。
何か縁を感じるのは、mocaだけかしら?

そして、この映画を影で盛り上げるのが強盗4人組(笑)
-チョン・ギュス(<青春漫画>ジファン
아 빠
-イ・ムンシク(<ひとまず走れ!>泥棒)
-イム・ウォニ(<美しい夜、残酷な朝-Cut>殺人犯)
-チョン・ジヒョン(改名:チョン・ジェヨン)
ある意味すごい面々・・・(笑)
チョン・ジェヨンの三枚目ぶりも笑えるのよー
あのアフロのチョン・ジェヨンは最高

この4人組強盗団は、南に来たばかりのチョルジンを襲うタクシー強盗で、
チョルジンから拳銃と工作金の入ったバッグを奪ってしまって・・・
その中には無線機も入っており、4人はチョルジンが刑事だと勘違いしちゃうの。
絶対にチョルジンが捕まえに来ると恐れ、とんでもない髪型に変装して・・(笑)
ある日、イム・ウォニはその拳銃でつい殺人を犯してしまい・・・
その上、韓国情報部員まで襲ってしまって、
今度はスキン・ヘッドになって逃亡して・・・
今度はチョルジンが北のスパイだとわかって、チョルジンを捕まえに行くのだけれど、
そこで今度は刑事と乱闘になり、逮捕されてしまうという・・・
とんでもなくマヌケな4人組でございます。

では、もう少し詳しくストーリーを・・・

北の人民を食糧難から救うため南に潜入したスパイ、リー・チョルジン。
だが、タクシー強盗に拳銃や工作金まで奪われてしまって・・・
南での世話役の常駐スパイであるオ先生は、かなり生活に切迫している状態で、
ジンチョルの持参してきた工作金を待ち望んでいて、
銃も工作金も奪われたことを知り、チョルジンを追い返そうとするのだけれど・・・
「私には任務があります!」
と言うまっすぐなチョルジンの情熱に打たれたのか、面倒を看ることになって・・・
オ先生の娘ファイはパク・チニで、美術を専攻する学生。
弟のウヨルはシン・ハギュン。学校の番長を目指す高校生。
(シン・ハギュンの役って必要かしら?)
<スーパー豚>を開発する研究室に忍び込む日曜日までの間、
チョルジンはオ先生の家で暇を持て余すだけで・・・
ファイが落として行った<手>のデッサンに、勝手に描き加えたりして・・・
その絵を見たファイはチョルジンに関心を持つようになって・・・
そんな時、オ先生から任務を命じられる。
ホテルに潜伏している敵を葬ること。
一発で確実に仕留めるよう厳しく言い渡されるチョルジン。
無線を通じて標的を仕留める指示を受けながら、どんどん標的に向かっていくが、
その相手は、北で共に学び育った竹馬の共ソンミンだった。
「チョルジン」
と、チョルジンを見て驚くソンミン。
撃つことを躊躇するチョルジン。
<撃て!撃つんだ!>
無線の声に逆らうことの許されないスパイであるチョルジンは、
ソンミンに向かって引き金を引く。
友を撃ち殺してしまったことに苦しむチョルジン。
酒に溺れ、タクシー運転手に向かって「ピョンヤンへ行け!(北朝鮮のピョンヤン?)」
と泣き叫び、タクシー運転手に暴行したとして警察に連行されて・・・・
友をも殺さねばならないスパイの身に嫌気が差して、北に帰りたくなったのでしょうね・・・
そして、警察では「俺は北のスパイだ!」と、わめき散らすのよ。
警察はチョルジンの言うことは、酔っ払いの戯言くらいにしか受け止めず、
オ先生が引き取りに来て、家に帰るのだけれど・・・
洗面所に篭り、一人泣き崩れるチョルジン。
そんなチョルジンを心配したファイは、優しくチョルジンの背に手を伸ばし・・・
「私の運命はきっとあなたの運命よりまだマシだと思うわ。あなたに私の運命を貸してあげる」
そう言って、チョルジンの手の平に自分の手の平を重ね合わせる。
こうすると、その人の運命が相手に移るのだと・・・

このシーンは胸が苦しくなるほどせつないわ・・・

そして、研究所に侵入する日がやってきた。
ICカードで厳重に警備された研究室に侵入すると、そこは空き部屋だった。
動揺するチョルジンとオ先生。
チョルジンはついさっき廊下ですれ違ったギョンミン博士のことを思い起こし、
ギョンミン博士に銃を突きつけ遺伝子のサンプルを渡すよう脅迫する。

チョルジンのそばで、「君は北へ戻るからいいが、私はどうすればいいのかね?」と、
こそこそ顔を隠すオ先生が笑えます(笑)

サンプルを奪い、ギョンミン博士を人質に取り逃走するチョルジンとオ先生。
一方その頃ファイは、自分の手をモチーフに作ったオブジェを眺め考え込んでいた。
悩んだ末、オブジェの生命線に、線を長く付け足した。
その時チョルジンは、廊下をやってくる警備員が角を曲がり、難を逃れた。

結末までネタバレしちゃいます よー


チョルジンはファイの作品が展示されているパフォーマンス公演場の<無題>というタイトルの
オブジェに博士を紛れ込ませ、立ち去る。
サンプルを手に入れ、任務を果たしたチョルジンは北へ帰ることになった。
オ先生が車を出そうと外へ出ると、そこにはファイが待機していた。
寒いからエンジンをかけておいたと・・・
長距離みたいだからガソリンも満タンにしていたと、オ先生の顔色を伺うファイ。
チョルジンは、偶然拾った4000万ウォン(約400万円)の当選くじを
ソファで眠っていたウヨルの手に握らせ家を出て行く。
チョルジンが外へ出ると車の中でファイが決まり悪そうに笑っていた。

会話形式でどうぞ。

オ先生:  「前に私が金のことしか頭にないと言っただろう?昔は生きるために必要なのは
        信念だった頃・・・それが無ければ死ぬことと 同じだった。私の信念が壊されて、
        私の闘いがなくなれば、その時私は死ぬと思った。だが、この国にが良いとこ
        ろがある。それは、どんなものでも使えば消えるということ。闘いも、時代も、
        信念も、すべて使い尽くしたから、すべて消えた。リー・チョルジン同 胞、私
        が共産主義者に見えるか?」
チョルジン:「今の言葉は聞かなかったことにしておきます」
オ先生:  「気をつけて帰りなさい。そう、人民を救わなければならない。(深く頷く)
ファイ:   「(眠ったふりをしている。目からは涙が流れ落ちる)」

オ先生の車は、国境のイムジン川(臨津江:イムジンカン)沿いのレストハウスに到着する。

チョルジン:「借りた運命を返します。家に帰るくらいは大丈夫でしょう?」
ファイ:   「いつかまた会えますよね?」
チォルジン:「(微笑むだけ)」
ファイ:   「(チォルジンをみつめる)」
チォルジン:「(オ先生に歩み寄って)ありがとうございました。お元気でいてください」
イ先生:  「(チョルジンの襟元を閉めながら)首から入る風は風邪を引くぞ」

チォルジンはレストハウスに入って行く。

コーヒーをオーダーするチョルジン。TVには、<スーパー豚>のニュースが・・・
飢えに苦しむ北朝鮮の子供達の映像。
韓国は、政府がこの<スーパー豚>の助成を行うことを決定したと・・・
それは、北のスパイが遺伝子を狙ったことで、今後の発展性を再認識したためという・・・
そこに2人の客が入ってくる。
「コーヒー」と言った男の声を聞き、考えこむチョルジン。
<撃て!>
ソンミンを銃撃する時に聞いた無線の声だった。
2人の男は北の常駐スパイだ。
遺伝子の入ったカバンを抱え、動揺しながらそろりと逃げ出そうとするチョルジン。
そこへ男たちが立ちはだかる。
銃を向けるチョルジン。男は、床に転がった遺伝子の入ったカバンを一発ずつ打ち抜いていく。
先ほどの、飢えに苦しむ北の子供たちの映像が頭をよぎるチョルジン。
チョルジンは、悔しそうな表情でゆっくりと自分の頭に銃口を当てる。

── いつかファイと地下鉄に乗った時のシーン

北のスパイの通報に1億ウォン(約1千万円)の懸賞金・・・という車内広告。
「1億ウォンあった ら、ここでは何ができますか?」
とファイに尋ねるチョルジン。チョルジンの耳元でファイはこっそり囁く。
「郊外に家が買えるわ。それと、丈夫な車」


── レストハウス

血まみれで倒れているチョルジン。
手の平の運命線をみつめたまま・・・

END


あまりにも悲しい結末で・・・
mocaは泣いて、泣いて、立ち直れなくなったわ・・・
結局チョルジンは、南で生活する常駐スパイに利用されただけで・・・
チョルジンにソンミンを<撃て>と命じた北のスパイ(イ・ギヨル)は大嫌いよー
ジュリエットの男ではかなりかっこいい役柄だったし、
花嫁はギャングスター2・・・あと、いっぱい見るけど、他では悪役ではないのよね。
けど、イ・ギヨルの顔を見ただけで嫌悪感でいっぱいになるのよー 大嫌い!
南で暮らす北のスパイ(イ・ギヨル)たちは、北のスパイを通報してその懸賞金を手に入れていたのよね。
ソンミンもきっとそう・・・
でも、殺しても懸賞金は手に入るのかしらね?
きっとうまいこと言いくるめるのでしょうね。捕まえようとして暴れられ殺してしまった、とか・・・?
そうでなければ、通報しようとしたが逃げられてしまって・・・
そのことを北に報告されてしまったら大変なことになるからソンミンは殺された?
<遺伝子>の入ったカバンを打ち抜かれたことで、
チョルジンは、男たちが既に<北のスパイ>ではあらず・・・ということを悟るのよね・・・
そして、懸賞金のことを思い出したチョルジン。
北へ帰っても、任務は果たせなかったし・・・人民を飢えから救うこともできない・・・
そんな絶望感と、スパイとしての最後の任務・・・掴まるのなら自分から命を絶つ・・・
ソンミンを殺した理由を悟り、その自責の念もあったのかしら・・・
そんなことで自分で引き金を引いたのかしら・・・
何にしろ・・・悲しい運命だわ・・・
ファイに借りた運命を返したことで、結局家までは戻ることができなかった・・・
オ先生はどこまでこのことに関わっているのかしら・・・
ソンミンを葬ることには関わっていたから、
チョルジンを懸賞金のために犠牲にすることはわかっていたはずよね?
けれど、考えを改めて、チョルジンを北に帰すことにしたのかしら?
車の中で「気をつけて帰りなさい」って言ったあの時に、オ先生の決心が伺われるわ。
<人民を救わねばならぬ>
そう言って頷くオ先生・・・北のスパイとしての信念を取り戻したかのようだったわ。
ファイも、チョルジンが危険に晒されていることを悟っていたのでしょうね・・・
だから、自分も一緒についてきて・・・
ちゃんとチョルジンが北に帰れるかを見届けるために・・・
もしかしたら、オ先生は始めからチョルジンを利用しようとしていたのかしら・・・
<スーパー豚>は、チョルジンに遺伝子を盗まれたことで、その発展性を認知されたくらいで、
そんな<スーパー豚>の存在を北の上層部が認知しているかも疑わしいし、
ましてや、それに目をつけ、奪え!なんて命じることも疑わしいわ。
<スーパー豚>の情報は、オ先生が北へ情報を流し入れ知恵したのかもしれないわよね・・・
そのための常駐スパイなのだから。
あの研究所のICカードを持っていたことも、
研究室がもぬけの殻だったことも、
それを知ってそのまま任務を遂行せずに戻ろうとしたことも、
ギョンミン博士とすれ違った時に、牙を剥くチョルジンを制止したことも、
すべて頷けるわ・・・
韓国政府に、<スーパー豚>の発展性を認知させることが目的だったのだと・・・。
それだけが目的だったから、<北のスパイが研究所に潜入した>という事実だけで、
オ先生の目的は達成されたのだと・・・
深読みしすぎかしら?
ギョンミン博士をパフォーマンス公演場に放置してきたのは、
チョルジンのブラックジョークだったのだろうけど、
そこでファイはギョンミン博士から何かを聞 きだしたのかもしれないわね・・・

チョルジンの純粋さと、愛国心があまりにも悲しい最後・・・
こんな純粋さを持つ人間は、北のような国にしか存在しない気がしたわ・・・








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