雪の女王 눈의 여왕

■ 第5話 ■ ハン・テウン/ハン・ドゥック(ヒョンビン)、キム・ボラ(ソン・ユリ)、ソ・ゴヌ(イム・ジュファン)、イ・スンニ(ユ・イニョン)

演出:イ・ヒョンミン(ごめん、愛してる)
脚本:キム・ウニ、ユン・ウンギョン(冬のソナタ)














ボラは幼い頃のことを思い出していた。
「明日は手術だってわかってるね。ぐっすり眠るだけだと思いなさい。
それから、明日はお父さんは・・・」
病室で幼いボラに話しかけるチャン先生。
「わかってます。出張中だから来られないんでしょ。
代わりにチャン先生がついててくれるんですよね」
チャン先生はにこやかに頷く。

「今度の土曜の2時にこの前行った遊園地の前で会おう。
次に会った時は、名前を教えてくれよ。いいな?」
テウンのメッセージを思い出し、トキメク幼いボラ。

翌日、ボラは傘を持ち、上着を羽織って病院を抜け出した。
ボラは廊下で、チャン先生にすがって泣き崩れるジャンスを見かける。
「パパ来れないって言ってたのに、どうしたんだろ?」
ボラはクビを傾げ、病院を出て行く。
ふりしきる雨の中、テウンを待ち続ける幼いボラ。
「あの時、ずっと待ってたのに・・・ずっと待ってたのに・・・」
あの日のことを思い出しながら、ボラは目を潤ませる。
「どうした?俺の顔に何かついてるか?」
ドゥックはボラの顔を覗き込む。
ボラはドゥックを睨み、図書館を出て行く。
「どうしたんだよ?急に何だよ」
ドゥックはボラの後を追う。
「な、何でもないわ。私は授業があるから、あんたは時間でもつぶしてて」
ボラは言葉を濁し、去って行く。
「どうしてああなんだろ。学会誌が見つからなくて怒ってるのかな?」
ドゥックはボラの後姿を見送る。

「お姫様は12時までに家に帰らなきゃ。な?魔法がとけちゃうだろ」
あの日のことを思い起こすボラ。
「ハン・ドゥックがあのお兄ちゃんだなんて・・・信じられない」
ボラは呆然とする。

ジャンスはドゥックのジムを訪ねる。
「プロモーターになって下さると?
もうボクシングが金にならないということは、
事業をなさってる会長の方が、よくご存知かと思いますが・・・」
館長は訝しがり、冷たくあしらう。
「金は稼げるだけ稼ぎました。ボクシングで儲けようとは思っていません」
ジャンスは穏やかに答える。
「慈善事業家でもないのに、こんなことをする理由は何ですか?
もしや・・・ドゥックのためですか?」
館長は訪ねる。
「それではいけませんか?」
ジャンスは穏やかに答える。
「聞いたところによると会長は・・・」
館長の言葉をジャンスは遮る。
「そうです。一時は知り合いのボクサー使って、あくどい事業もしていました。
ハン君はそんなことに引きずり込むのではとご心配なようですが・・・
私も今は企業家です。手を引いて久しい」
ジャンスは、温かな目で館長を見る。
「ドゥックは、私の息子のようなものですから・・・」
館長はジャンスを疑いの目で見る。
「それならよくご存知でしょう。彼がボクシングをするような男でないことを。
私は何回か会っただけだが、ハン君が非凡なことはわかったが・・・
館長はお気づきじゃないのか、気づかないふりをしていらっしゃるのか」
ジャンスは館長を見据える。
館長は言葉に詰まる。
「私は本心からハン君を助けたいのです。
プロモーターもその一環だと思っていただけませんか?」
ジャンスは館長を説得する。
「プロモーターのお話はありがたいです。
しかし、まだ信用できません。お断りします」
館長は穏やかに丁寧に断る。
ジャンスは残念そうに笑う。

経営数学の授業。ボラは発表するよう促されるが、
「できません。あれは写しました」と答える。
罰として前に出て歌うよう言われ困り果てるが、
ボラを心配して紛れ込んできたドゥックが代わりに歌を歌う。
授業が終わると、ボラはさっさと出て行く。
「学会誌がみつからなくて怒ってるのはわかるけど、ひどいんじゃないか?
歌も歌っただろ。やれるだけのことはやったのに、まだそうやって怒るのか?」
ドゥックはボラを窘める。
「怒ってるんじゃないわよ。昨日も怒って帰ったわけじゃない。
 とにかく、歌ってくれてありがとう。これでいい?」
ボラは決まり悪そうに言う。
「言葉だけか?」と、ドゥック。
「어빠(オッパ:お兄ちゃん)って呼んでみろ」と言う。
「어빠(オッパ)って呼んでみろって。俺の方が年だって上だろ?」
ドゥックの突然の言葉に、ボラは動揺する。
「おまえに何か頼める立場じゃないよな。飯でもおごってくれ」
ドゥックはそう言うと、先に歩いて行く。
「어빠(オッパ)・・・」
ボラはドゥックの背中に呼びかける。
ドゥックは驚く。
「なんて言うと思った?べーだ」
と、ボラは舌を出して走り出す。
「こいつホントに・・・ おい!待てよ!」
ドゥックはボラの後を追う。
しかし、ボラは突然胸を押さえて倒れてしまう。

病院でゴヌはスンニと話していた。
退院だと言われたドンピルが「イヤだ」と駄々をこねるのだ。
困り果てたゴヌは、ドンピルを過酷な検査漬けにすると脅し
スンニは慌ててゴヌを追いかける。
「ドゥックさんは元気ですか?」
思いもよらぬ質問に、スンニは驚く。
「ドゥックさん、僕の見合い相手の運転手なんです」
ゴヌは言う。
「あ〜、ボラとかいう女と見合いしたんでしょ?」
と、そこに、ボラを背負ったドゥックが走り去って行く。
「ボラさん!」
ゴヌはドゥックの後を追う。

ボラを診察室に寝かせたゴヌは、ドゥックに最近のボラの様子を尋ねる。
「なら、それほど心配しなくてもいいのかな・・・
筋無力症というのは、疲れると症状が出て、休むとまた治まるんです」
ドゥックの話を聞いて、ゴヌはひとまず安心する。
「筋無力症ですか・・・?」
ドゥックは驚く。
「ポラさんの病気のこと知らないんですか?」
ドゥックは言葉に詰まる。
「知らないのか・・。これからは気をつけてあげて下さい。
こんな風に倒れないように。
ポラさんは僕が連れて帰りますから、ドゥックさんはこのまま帰って下さい」
ドゥックは呆然とする。

最近薬も飲んでなかったでしょう?治療も受けてないし。
こうなると思ったんだ。何を考えてこんな生き方をするんだ?」
目を覚ましたボラを、ゴヌは窘める。
帰ろうとするボラに、検査を受けるようボラに告げるが、ボラは聞き入れない。
「自分の体のことは私がわかってるから気にしないで、ソ・ゴヌ先生」
病室から出て行くボラを、ゴヌは追いかける。
「イヤだって言ってるのにしつこいわね!
何かあっても、ゴヌさんのせいにはしないから、ほっといて」
ボラはゴヌを突き放す。
「どうしてそう自分勝手なんだ?ボラさんの病気、辛いのはわかってる。
うんざりするだろう。
だけど癌病棟へ行ってみろ。
余命宣告を受けた患者たちが、死ぬ日を告知されても生きようと
一日一日を闘ってるんだ。生きようとしてるんだよ!
それに比べたら、ポラさんは幸せじゃないか?
僕には、ポラさんが贅沢にしか見えない」
ゴヌは冷たく言い放つ。
「そうね。ゴヌさんの言う通りだわ。私は贅沢なの。
だけど、知ってます?ホントは私、怖いんです。
15年間病院の中で暮らしてきたけど、病院に来るのが今も怖いの。
手術して、いろんな検査を受けて、数え切れないくらいの注射を打って、
そうやって生きてきたけど、今でも病院に来るのが怖いんです」
ボラは目を潤ませてゴヌを見る。
ゴヌは言葉に詰まる。
「余命宣告された人たちに比べたら、確かに幸せなんでしょう。
でもそう思っても、やっぱり辛くて怖いの」
そんなボラの姿に、ゴヌは目を潤ませる。
「僕が助けます。ボラさんが怖くないように、僕が一生そばにいてあげます」
ゴヌはまっすぐボラをみつめる。
「ゴヌさんっていい人みたいね。
きっといいお医者様、いい夫、いい恋人になれるわ。
でもその相手は私じゃない。私は誰とも結婚しません。これも私の本心です」
ボラはゴヌをまっすぐみつめ、言い放つ。

ドゥックは警察から呼び出された。
母が借金取りともめているという。
母はドゥックから受け取った金を「息子の金だから」と、渡さそうとしないと。
ドゥックは小切手を借金取りに渡して立ち去るように告げる。
母はあの金はどうしたんだ?と尋ねる。
ドゥックは運転手をしているのだと答える。
悪いことをして作った金じゃないと。
「そう、信じるよ。信じるから、二度とここへは来ないでおくれ」
母はドゥックに言い放つ。
「本当は、あんたに会いたかった。ひと目でも会いたいと今まで生きてきた。
けど、会ってしまうと、これ以上生きていけなくなりそうなんだよ。
こんな風になったあんたを見ると、もう行きていたくなくなるんだ。
飲みな。これを飲んで、もう二度と会わないようにしよう」
母はドゥックに酒を差し出す。
ショックを受け、立ち直れないドゥック。
ジムにも戻らず、ボラの家にも出勤せず、さまようドゥック。
そんなドゥックを、スンニも、ボラも心配していた。
ボラはジムを訪ねる。
ジムにも戻っていないことを聞き、ボラは心配になる。
「ところであんた、ドゥックと知り合ってどれくらいなの?」
ボラはスンニに尋ねる。
「私が小学6年の時に来たから・・・ちょうど8年かな。なんで?」
スンニは答える。
「8年?じゃあ、その時からずっとこのジムに住んでるってこと?
学校にも行かないで?自宅じゃなくてどうしてここに住んでるの?」
ボラは根掘り葉掘り尋ねる。
「家で何かあったんでしょ」
スンニはさらりと言う。
「ちょっと、8年も一緒にいて、どうしてそんなことも知らないの?」
ボラはスンニを責める。
「聞かなかったの。聞けなかったのよ。これでいい?
あれこれ詮索されたら、あんた気分いい?
きっと辛いことがあったから家を出たんじゃないの。
あんたはそういうこと気になるかも知れないけど、私は全然気にならない。
なぜかって?私はお兄ちゃんの過去じゃなくて今を愛してるから。
それがこのイ・スンニのハンドゥックへの愛の形よ。わかる?」
スンニは得意げに答える。
「ドゥックが帰ってきたら、私がただじゃおかないって言ってたって伝えて」
ボラはそう言い捨てて立ち去る。
その帰り道、ボラはドゥックと鉢合わせする。
「ちょっと、ハン・ドゥック!あんた、一体どこで何してたのよ?」
ボラは怒鳴りつける。
「ごめん。おまえのことすっかり忘れてたよ」
ドゥックは力なく答える。
「は?忘れてた?最低限連絡くらいするものじゃないの?
あんた、私のことバカにしてるわけ?」
ボラは怒鳴り散らす。
「そうじゃなくて・・・本当にごめん。申し訳ないけど、今は放っておいてくれ。頼むよ」
ドゥックは、憔悴しきった目で告げる。
「昨日は家にも帰ってなかったんだってね。
正直に言いなさい。どこで何してたの?
私が納得する理由を言いなさいよ。
何してたの?お酒飲んでたの?それとも女と会ってた?
言ってみなさいよ。何か理由があるんでしょ?」
ボラはまくしたてる。
「やめてくれ!放っておいてくれって言っただろ。
おまえには何の関係もないのに、なんでうるさく言うんだよ。
頼むからほうっておいてくれよ!頼むから!」
ドゥックは怒鳴り散らす。
唖然とするボラ。「わかったわ。もう邪魔しない」と、ボラは立ち去る。
「ごめんな。ちょっといやなことがあって、それで・・・怒ってごめん」
ドゥックは優しくボラに謝る。
「ハン・ドゥック」
ボラは立ち去るドゥックを呼び止める。
「ご飯、食べたの?」
屋台のククスを食べるドゥック。
「もっといい所があるのに、なんでこんな所なのよ」
ボラは不満たらたらだ。
「俺、元々屋台が好きなんだ。ククスも。
子供の頃はククスが大嫌いだった。母さんが毎日ククスを作るから。
昼もククス、夜もククス。ククスをみるとうんざりしたけど・・・
この頃は、これが食べたくてさ。毎日毎日食べても飽きないんだ」
ドゥックの言葉にボラは言葉を失う。
「お母さんの・・・せいなの?
こうやって屋台でククスを食べるのも、今日出てこられなかったのも・・・
お母さんのせい?」
ボラはドゥックの心中を察するように尋ねる。
「バレたか。鋭いな」
ドゥックは力なく答える。
「どうして?お母さん、どこか悪いの?」
ボラはドゥックを労わるように尋ねる。
「母さん・・・悪いんだ。心がすごく傷ついてる。8年ぶりに母さんに会ったんだ。
ずっと母さんにひどい事をしてきたから、今からでもよくしてあげたかった。
けど、母さんは許してくれなくて。
二度と会わないって言われて、何も言えずに帰ってきた。バカみたいに・・・」
ボラは言葉に詰まる。
「そうだ。さっきジムまで俺を探しに来てたんだろ?心配したか?」
ドゥックは元気に切り出す。
「従業員の管理のために立ち寄っただけよ。
飼い犬が家出したって、ちょっとは探すもんでしょ?」
ボラはどもりながら誤魔化す。
そんなボラの心中を察したドゥックは小さく笑う。
「たった300円でこんなにいっぱい出しちゃって。これで儲けがあるの?」
ボラは照れ隠しにククスを食べながら文句を言う。

タクシーで帰るというボラを、ドゥックはバスで送って行く。
「明日も行きなさい」
ボラは言う。
「え?」
ドゥックは何のことかわからない。
「お母さんのことよ。明日も行ってみなさい。
明日も、明後日も、ずっと行き続けるの。
お母さんが許してくれるまで。
8年ぶりで会った息子を許すには、お母さんが待ち続けた時間は長すぎるのよ。違う?」
ボラの言葉が心にしみるドゥック。
ボラをみつめるドゥック。

翌日、元気よく母の食堂を訪ねるドゥック。
「ヒーターです。店の中が寒そうだったから」
と、ヒーターを運び込むドゥック。
「こんなもの必要ない。持って帰りな」
母は呆然としながら告げる。
「母さんが何て言っても、俺は母さんの息子だよ。
明日も明後日もずっと来るから。母さんが許してくれるまで。
じゃあ、仕事に行ってきます」
そう言うと、ドゥックは明るく出て行く。

大学の学食で食事をするボラとドゥック。
ボラをみつめるドゥック。
「病気なのに薬も飲まないから倒れたりするんだろ。
さあ、早く飲め。これからはおまえが薬飲んでるか、俺がちゃんと見張ってるからな」
ドゥックは告げる。
「おばさんが頼んだんだろうけど、飲まないわ。無駄なことはしないで」
ボラは言い放つ。
「おまえ、ボクシングの基本が何か知ってるか?目を閉じないことだ。
なのに、俺は殴られるのが怖くてしょっちゅう閉じてしまう。
だから余計に殴られるんだ」
ドゥックは淡々と語る。
ボラは図星を突かれ、言葉に詰まる。
「おまえ、怖いんだろ?薬を飲むと病気だって確認するみたいで、
怖くて薬を飲まないんだろ?」
ドゥックはボラを見据える。
「ふざけないでよ。何が怖いって?」
ボラは誤魔化すために、怒鳴りつける。
「どんなに逃げたくても、絶対に目を閉じるな。逃げるな。怖がるな。
 怖がらずに飲め。大丈夫だ」
ドゥックは薬を差し出す。
「あんたの話に感動して飲むんじゃないから。
説教を聞くのが面倒くさいから飲むのよ」
ボラはそう言って薬を飲む。
「そうだ。ありがとう、ボラ。
おまえのおかげで、母さんに会いに行けたよ。ありがとう」
ドゥックはボラを見上げる。
「ハン運転手。運転しないの?いつまで座り込んでるつもりよ」
ボラは照れ隠しで怒鳴りつける。

館長はジャンスを訪ねる。
ドゥックに手を貸してやって欲しいと。
「本心からドゥックを助けたいという言葉、信じてよろしいですか?
それにしても、なぜよりによってドゥックなのですか?」
「実は、私にも息子がいました。利発で賢いやつでしたが、先に逝ってしまいました」
館長は言葉を失う。
「ハン君を見ていると、しきりにあいつのことが思い出されます。
それでどうにも気にかかってしまって」
ジャンスは笑う。
「申し訳ありません・・・」
館長は自分を責めるように頭を下げる。
「何を謝られるんですか。人生とはそういうものでしょう」
ジャンスは笑う。
「ドゥックを、助けてやって下さい。
あいつは会長が考える以上にすごいやつです。
あいつが自分の道を見つけられるように、どうか手を貸してやってください。
それを申し上げに来ました」
館長はジャンスに告げる。

出張に向かうジャンスは空港に向かうが、そこにボラが待っていた。
「おまえがここに何の用だ?」
ジャンスは驚く。
「なんとなくね」
ボラは微笑む。
「人が見たら、仲のいい父娘だと思うだろうな」
ジャンスはさらりと言う。
「養ってもらってるんだから、これくらいはしなきゃ。行ってらっしゃい」
ボラは微笑む。
「ああ。留守を頼むぞ」
ジャンスは嬉しそうに小さく微笑む。
「あ、ハン君。これから忙しくなるかもしれないぞ」
ジャンスはドゥックに告げる。
「え?」
ドゥックは呆然とする。

ジャンスの飛行機を見送るボラとドゥック。
「実は俺、一度も飛行機に乗ったことないんだ。
だけど空港は二回目だ。前に話しただろ? ラップランドに行きたいって言ってた子。
昔、その子に会うためにここに来た」
ドゥックは淡々と語る。
「そう?」
ボラは誤魔化す。
「その子のおかげで滑走路まで走ったんだぞ。気持ちが晴れ晴れして・・・
まるで空を飛ぶような感じ。飛行機に乗る気分もそんな感じか?」
ドゥックは語る。
「その子、どんな子だったの?」
ボラはそれとなく尋ねる。
「そうだな。小さくて可愛い子だったよ。でも、なんだか悲しそうに見えた。
そういえばあの子、ボラによく似てたな」
ドゥックはさらりと言う。
「わ、私に? どこが?」
動揺するボラ。
「お姫様病。その子もおまえみたいにすごくわがままだったから」
ドゥックは笑う。
「その子とはよく会ってたの?」
ボラは動揺を隠しながら尋ねる。
「いや。二回会っただけだ。会う約束をしてた日に、俺が行けなかったから」
ドゥックはさらりと答える。
「どうして?どうして行けなかったの?何かあったの?」
ボラは、まっすぐドゥックをみつめる。
「覚えてない・・・」
ドゥックは、言葉を濁す。
「え?覚えてない?よく考えてみて。何か理由があったんでしょ?」
ドゥックは、ジョンギュが死んだ日のことを思い起こしていた。
ジョンギュの死の知らせを聞いて、泣き叫ぶドゥック・・・
「何も覚えてない・・・」
ドゥックは遠い目で答える。
「何も覚えてない?」
ボラはドゥックを睨みつけると、滑走路へ走っていく。
「ボラ!待てよ!」
ドゥックはボラを追いかける。
「最低ね!は?覚えてない?どうしてそんなことが言えるの?どうしてよ?」
ボラは目を潤ませながら叫ぶ。
しかし、ドゥックまで届かない。
「私があの子よ。あんたが会うはずだったあの子なのよ!
バカじゃない。どうして気づかないのよ!」
ボラは怒鳴り散らす。
「何言ってんだ・・・ ボラ、戻って来い!」
ドゥックは叫ぶ。
「あんたが言ったんじゃない。
今度会ったら名前を教えてって、あんたが言ったんじゃない。
それなのに何?覚えてない?
キム・ボラよ。私よ。キム・ボラだってば!」
ボラは泣き叫び、走り出す。
「ボラ!」
ドゥックもボラを追って走り出す。
そして、ボラの手を取り、あの日のように滑走路を走る。

「初めて会った時から、どこかであったような気がしたの。
こんなに変わっちゃったけど・・・私のこと覚えてくれてないけど・・・
それでもお兄ちゃん、また会えてうれしいよ」
ボラは心の中でつぶやく。

「あんた、土曜日は何してる?」
ボラはドゥックに尋ねる。
「土曜日? 土曜日はジムにいるよ。何で?」
ボラは言い出せない。
携帯が鳴るが、電話にも出ないボラ。
「あのお医者さんなんだろ。出た方がいいんじゃないか?」
ドゥックは諭す。
「だから出ないんでしょ。あの人、いい人なの。だから、
私みたいな子に会っちゃいけないの。
私よりもっと優しくていい人に出会わなくちゃ」
ボラは神妙に言うと、明るく授業に向かう。
「あの人のこと好きなのかな・・・?」
ドゥックはつぶやく。

家に戻ったボラは、ドゥックを遊園地に誘う。
人事管理レポートのために行かなくちゃならないの、と。
ドゥックに「嘘だ」と突き詰められ、白状するボラ。
「実は、あそこに行くと思い出す人がいるの。
でも、一人で行ったらかっこ悪いじゃない。でしょ?」
「分かった。一緒に行ってやるよ。けど誰だ?思い出す人って?」
ドゥックは尋ねる。
「知らなくていいわよ。とにかく、土曜日の2時に遊園地の入口に来て。
あんた・・・今度は絶対来なきゃダメよ」
そう言ってボラは立ち去る。
「今度は?」
ドゥックは耳を疑う。

「バカ。気づきもしないんだから。あんたよ、あんた。
よし、今度の土曜日に、私があのおちびちゃんだって話してやろう。
ちょっとプライドが傷つくけど、まあいいわ」
ボラは一人こっそりと笑う。

ドゥックのジムにゴヌが尋ねてくる。
「実はボラさんにふられました。
電話にも出ないし、あんまり追い掛け回すのもなんだし、困ってます。
だけどわかってるんです。ボラさんが僕のこと嫌いじゃないって。
ボラさんが筋無力症だっていう話、したでしょう?
そのせいで、つき合うのが怖いみたいなんだ」
ゴヌは語る。
ドゥックは昼間のボラの様子を思い出していた。
’あの人、いい人なの。だから、私みたいな子に会っちゃいけないの。
私よりもっと優しくていい人に出会わなくちゃ’
「好きなんだな・・・」
ドゥックはボラがゴヌを好きなのだと思い込む。
「でも。どうしてそんな話を僕にするんですか?」
ドゥックは尋ねる。
「ドゥックさんに助けてもらえないかと思って」
ゴヌは言う。

土曜日。遊園地の前で待つボラ。
「何よ。まだ来てないの?早く来すぎたかな。仕方ないか」
あの時のポケベルを見るボラ。
その頃ドゥックは、チュンシクの仕事を手伝っていた。
「いい事をしたんだよな・・・?」
ドゥックは一人つぶやく。

夜、ジムに帰ると酔ったボラが待っていた。
「ゴヌさんは?一緒だったんじゃないのか?」
ドゥックは尋ねる。
「さっきまで一緒に飲んでたけど、あんたのこと思い出して来たの。
あんたにお礼を言わなきゃと思って。
どうしてあそこにゴヌさんを行かせようと思ったの?」
ボラはドゥックにからむ。
「昨日ゴヌさんが来たんだ。ぜひおまえと遊園地に行きたいって言うから。
遊園地に行くと思い出す人って、ゴヌさんだろ?
だから俺に行ってくれって言ったんだろ?」
ドゥックはさらりと言う。
「あんたがそう言うんならそうなんじゃない?」
ボラはドゥックを睨む。
「それ、どういう意味だ?」
ドゥックはわけがわからない。
「私が一番嫌いな奴って、どんなのかわかる?
自分の過ちに気づかない人。そして、同じ間違いを二度繰り返す人。
一番嫌いだし、軽蔑するわ」
そう言い放つと、ボラは出て行く。

家に帰ると、ゴヌがボラを待っていた。
「そんなに会うのがイヤだからって、黙って帰っちゃダメじゃないか。
僕にも弁解するチャンスを下さい。
子供の頃好きだった人・・・遊園地でずっと待ったのに来なかったって言ってたでしょ。
その思い出を、僕が変えてあげたかった。
ときめくような幸せな思い出に変えてあげたくて、
それでドゥックさんに頼んだんだけど、僕が間違ってたみたいですね・・・」
ゴヌは懸命に言い訳する。
「もしかして、鳴らないポケベルを握り締めて、毎日待ってたんですか?
僕はもうたくさんだ。誰かを待つこと・・・本当につらくて寂しいことです。
だけど、すごく心ときめくことでもある。
ボラさんと出会って、本当に久しぶりにときめきました。
ときめかせてくれたこと、ありがとう。
短かったけど、ありがとうございました。
もう・・・本当にお別れだね」
ゴヌはニコリと微笑むと、寂しそうに去って行く。

その頃、ドゥックはボラの言葉の意味を考えていた。
「同じ間違いを二回繰り返す・・・」
「土曜日の2時に遊園地の入口に来て。
あんた・・・今度は絶対来なきゃダメよ」
「今度は来なきゃ・・・今度は・・・」
「実は、あそこに行くと思い出す人がいるの」
「キム・ボラよ。私よ。キム・ボラだってば!」
ドゥックはボラがあの遊園地の少女だと気づきハっとする。
血相を変えて走り出すドゥック。

ボラは、ゴヌの言葉を思い浮かべていた。
「誰かを待つこと・・・本当につらくて寂しいことです。
だけど、すごく心ときめくことでもある」
ボラは、ゴヌの元へと走って行く。
「私、気に入らないことがあると絶対に我慢できないんです。
忍耐力なんて全然なくて、性格も悪くて、自分の思い通りにならないと気がすまないの。
筋無力症に情緒不安定に、お姫様病まで、病気もいっぱい持ってます。
それになにより・・・まだゴヌさんのこと愛してません。
それでもよければ・・・私とつき合ってくれますか?」
それを、かけつけたドゥックが聞いていた。
せつない目で、ボラとゴヌをみつめるドゥック。


【一番下に、英語字幕ですが動画があります】
【レビュー】

ボラ、チェゴ!最高!!
「たった300円でこんなにいっぱい出しちゃって。これで儲けがあるの?」
あのボラ、めちゃめちゃ好きですー
かわいー

けど、スンニに「あんた病気なんだってね。大丈夫?」と心配され、
「あんたが治してくれるの?放っておいてよ」
それはちょっとないんじゃぁ・・・と思いますが・・・・・
でも、ボラからしてみれば、病気に触れられるのが相当イヤなのかもしれないしね・・・
自分が病気だと思い知らされるのも、わかったようなことを言われるのも・・・

とにかく、ボラが好き。
今回もめちゃめちゃ可愛いしー
ボラのヘアスタイルとファッションを見るのも楽しみのひとつ。
可愛いわー

そして、5話からmocaの大好きなチョン教授が登場!
「投げるのはわしのさじ加減だが、落ちるのはボール次第だろう?
わしにどうしろって言うんだ?この野郎」
確かに(笑)
燃費を尋ねれば、
「おい、財閥二世。資本主義社会だから、おまえがどれだけ高級車に乗ろうが構わん。
しかし、このボールの行く手を阻むのは我慢がならん。1km25円かぁ、高いなぁ」
って・・・ちょーおもしろキャラ。
これからどんどん面白くなっていきますわよー

そして、ゴヌも相変わらずねー
「このポンコツ!殺すぞ」
はやっぱりゴヌね、という感じだけれど、
「今度は何だよ。おい、家に帰るぞ」
というのは、まるでボラをあやすのと同じようで(笑)
好きだわー ゴヌ。
そして、ボラの苦しみに気づいたゴヌが、目に涙を溜め
「僕が一生そばにいます・・・」って・・・
あのシーン。すごく好きです。
ボラが「私みたいな子に会っちゃいけないの。もっと優しい子に出会わなきゃ・・」
そう思ってしまう気持ちもわかります・・・
そして、やっぱりボラは悪い子じゃないんだよね・・・
ボラ、好きです。

けど、ボラの心の氷を溶かしたのはゴヌではなく、やっぱりドゥックなのよね。
「自分が病気だって確認するみたいで、薬を飲むのが怖いんだろう?」って・・・・
何も言わないのに悟ってくれる人ってすごいし、
心の氷も溶けてしまうわよね・・

そして、ドゥックも、ボラに背中を押されて・・・
「許してくれるまで会いに行かなきゃダメ。
お母さんが待ち続けた時間は長すぎたのよ・・・」
これは、ボラだからわかってあげられた気持ちなのかもしれないわね。
自分が自分の母にそうして欲しかったのかもしれない。
許してあげれるようになるまで、ひたすら会いに来て欲しかったのかも・・・

ボラのひとことは、わかったようなことを言うトンチンカンな慰めではなく、
心にズシリと響くひとこと・・・

しかし・・・
そうなるとは思ってたけど、ゴヌを遊園地に行かせちゃダメよー
そして、あの少女がボラだって気づくの遅すぎー
取り返しのつかない展開が待っていそうね・・・
ドゥックがボラのことを好きだとは、これまでの内容からは感じないけど。
ボラも、どこまでドゥックのことがすきなのか?

「私よ、キム・ボラ!」
滑走路で叫ぶボラはせつないわ・・・
ドゥックは覚えていないのではなく、忘れたかった・・・ 話したくなかった・・・
悲しいすれ違い・・

二人で滑走路を走るシーンは美しいわー







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