静かな世界  The World of Silence 
 原題:静かな世の中 조용한 세상(チョヨンハン セサン) <2006>

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静かな世界

ピエロの前で、少女たちが笑いながら死んで行く。洗濯機の中、屋上の水槽と、幼 い少女たちの水死体が 相次いで発見される。身元不明の幼い少女たちの死。目撃者も犯人の痕跡もな い。残された証拠は少女たちが発見された現場ごとに残されたピエロの人形だけ。そして死んだ少女たちの口元には人形のように悲しいほほ笑みが残っている。

残酷な犯罪現場さえ日常になってしまった現場歴5年目のキム刑事(パク・ヨンウ)。容疑者手配のチラシを常に胸のポケットに入れて歩くほど情熱的な刑事 だ。そして、事件現場 でミステリアスな1人の男に会う。身上を把握する間もなく消えた男。しかし、別の事件現場で、人質犯を説得するその男と再び出くわす。リュ・ジョンホ(キ ム・サンギョン)というこの男。興奮している容疑者をあっという間になだめて事件を解決し、忽然と消え る

 ”私の愛した人は、少女の時死んだ”
他人の心が聞こえる男ユ・ジョンホ。幼い頃、自分の能力のせいで初恋の人を失ってから、世の中との疎通を拒否したまま韓国を去った。15年ぶりの帰国。 ひょ んなことから両親を失ったスヨン(ハン・ボベ)の面倒を看ることになる。鏡のような自分だけの世界で、他人との疎通を拒否するジョンホと少女スヨンの微妙 な同居。スヨンの清 い瞳にジョンホは昔の愛を思い出し、自分の世界を破り徐々に心を開き始める。

徐々に明かされる失踪事件の無惨な真実! 一方、3人の少女が消えた’少女連続失踪事件’を追うキム刑事は、委託保護中のスヨンが4番目の犠牲者になる可能性があると、本格的な捜査 を始める。スヨンの委託保護者があのミステリアスな男ユ・ジョンホだと知るが、神秘的な能力を持ったユ・ジョンホの正体にキム刑事は混乱する。厳しい監視 の 中スヨンが消え、スヨンを救うために2人の男の手の戦いは始まるが…

【予告編】


監督 チョ・ウィソク <2002>ひ とまず走れ!、 <2006>静かな世 界

出演

キム・サン ギョン(金相慶)

<2002>気まぐれな唇、< 2003>殺人の追憶、<2004>私の彼のロマンス、<2005> 劇場前、
<2006>静かな世 界、<2007>華 麗なる休暇

パク・ヨンウ (朴埇佑)

<1997>オ ルガミ~罠~、<1999>シュ リ、<2000>リ メンバー・ミー 、<2001>MUSA -武士-
<2002>永遠の片想い、<2004> スーパースター☆カム・サヨン、<2005>血 の涙
<2005>ナンパの定石、 <2006>甘く、殺伐とした恋人、 <2006>私 の小さなピアニスト
<2006>静 かな世界、<2007>ビューティフ ル・サンデー、<2007>今、愛する人と 暮らしていますか?
<2008>ワンス・アポン・ア・タイム、 <2009>携帯電話、<2010>子供たち

ハン・ボベ <2002>復 讐者に憐れみを、 <2002>ボイス、< 2002>アーユーレディー?、<2002>永遠の片想い
<2006>礼儀なき者たち、<2006>静かな世界

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【レビュー&ネタバレ】
2006年12月公開。まったく ヒットせず。
↓このメインポスターも問題なんじゃあ???



このポスターとあらすじを読んだら、ホラーか?と思ってしまうわよね。
しかも、この口裂け女のような唇は失笑を誘うわ。
夏になれば、こぞってホラー映画が公開される韓国。
ホラー映画はそれなりに需要があり、低予算で採算が取れるそうで。
ですが、この映画は冬。
冬にホラー?
スター俳優が出演しているわけでもないし、これは興行的には難しいのでは?
ですが、観てみればホラーではございませんでした。
’ホラー映画’を彷彿させてしまうのは、逆に勿体なかったように思います。
猟奇的殺人ではあるけれど、それほどグロくもなく、ミステリー色の方が強いです。
そして、ただのミステリーでもなく、人間ドラマがある映画。
moca的には、’ミステリー’はさほど重要な映画ではないと思います。
’私の愛した人は、少女の時死んだ’
その悲しみをいつまでも背負ったまま、自分の世界に篭ったまま生きる男の悲しみ。
映画のラストに漂う悲しみは、オールド・ボーイで味わった余韻に似ているよう で...........
物悲しくせつない余韻が胸に残ります。
オールド・ボーイ は大傑作ですので、引き合いに出して比べたりするのは間違いですが。

面白い映画とはいえませんが、mocaはすごく好き。
あの心に残るせつなさをまた味わいたい。
しばらくしたら、また観ます。
永久保存版。

映画の軸となるのは殺人事件でも、描かれているのは、
愛する人を死なせてしまったことで、自分の世界に閉じこもった男と、
両親を失った(母は植物人間ですが)少女スヨンとの心の交流。
いわば、愛。
主人公が少女に心を開いていく過程の心理描写がもっとあったら、
もっと悲しく、せつなく、感動を呼ぶ作品になれたのに。
主人公の心理がまったく見えてこなかったので、あの結末はちょっと納得しにくい。
韓国版レオンにも成りえたのに、勿体ない。
連続殺人の結末は、更にお粗末。
映画の出来自体は、褒められるものではないですね。

この映画の立役者は、実は子役のハン・ボベちゃん。
この子は、なんという言葉で言い表したらよいものか........
清純?正統派美少女?
どれも違うのよね。
池脇千鶴のような雰囲気で、清楚な感じの女の子。
この子だからこそ、この映画は成り立ったのだと思います。
ハン・ボベちゃん。
復讐者に憐れみを で誘拐された女の子。
2002年に立て続けに映画に出演し、その後2006年まで空白期間には何が?
これからの活躍に期待したい女の子。

そして、主人公の愛した少女ミニ。
アイスケーキでチ ン・グの妹を演じていたハム・ウンジョン。
この子も決して美人ではないのだけれど、すごく気になる女の子。
この映画でも、彼女だからこそ、主人公の悲しみが手に取るように伝わってきたのかもしれない。
ラストの主人公とミニの会話が、せつなくて、温かい。

ちなみに、主人公の高校生時代は、<思いっきりハイ・キック>で人気急上昇のチョン・イル。
のチュ・ジフン 系よね。
韓国芸能界って、似たような顔が多いような気が。

そして、主人公キム・サンギョン。
mocaの中では、いまいちパっとしない役者というイメージがついてしまっていて....
この映画を観て、少し好感度もUP

何よりも、パク・ヨンウがすごい。
彼は今、ノリにノッてるわよね。主演作が目白押し。
それも理解できるわ。映画を観ていると。
この映画でも、彼から感じるパワーのスゴさったら!
パク・ヨンウ演じる熱血刑事が、観る者を飽きさせません。
パク・ヨンウはずっと三枚目役やコミカルな役が多かったけれど、
この映画でのパク・ヨンウはかっこいいですわよー
キャラクターもそうですし、見た目もゲッソリ痩せ?引き締まった感じで凛々しいです。

パク・ヨンウの相棒の後輩刑事チェ刑事には、イ・ジョンス。
ドラマ<悪い女たち>のボンチュルのイメージがいつまでも拭えなくて、大嫌いなんです。
阿娘(アラン)でも悪人で したし、悪役顔なんでしょうね。
ドラマ<LOVE ~サラン~>ではソン・ユナの弟で、悪人というわけではありませんでしたが。
mocaが見る中では、初めての善人役。
ようやく少し嫌悪感が拭えてきた感じ。できれば見たくない顔ですが。

もう1つキライな顔が。遺体を解剖する検死官。特別出演のイ・ギヨル。
北朝鮮から来た男で、 チョルジンを殺した男。
ドラマ<ジュリエットの男>では、かなりカッコイイ役柄でしたが、
この顔を見るだけで嫌悪感が.......
ドラマ<新入社員>、<ピアノ>、<ハッピー・トゥギャザー>な どでも見る顔です。

さて、ストーリーですが.........
この映画、出だしがよいのよねぇ。
チョン・イル演じる高校生時代から始まります。
’グエムル(怪物)’という言葉と共に、
主人公のTV番組出演シーンと、少女ミニの自殺シーンが1つに重なって......
ちょっと衝撃的。
一気に映画に引き込まれてしまうわ。

連続する幼女殺人事件。
遺体発見現場は、洗濯機の中、屋上の貯水槽の中と、いづれも水に関連する場所。
遺体のそばには、口元に笑みを浮かべているかのようなピエロの人形が。
しかも、遺体の少女の口元にも、人形と同じように笑みが。
解剖の結果、遺体からは幻覚成分が検出される。
マジック・マッシュルーム(韓国には輸入されていないのには驚き)に似たキノコが使われている。
そして、いづれもまだ幼い幼女だというのに、家族からの捜索願が出ていない。
キム刑事(パク・ヨンウ)は、捜索願が出ていないのは、孤児だからだと推測。
孤児を委託保護者の下へと委託する委託センターへ協力を求めるキム刑事。
委託センターの職員チョン・ユジンは、次の被害者となる可能性があるのはスヨンだと話す。
スヨンは、二年前の交通事故で父を亡くし、母は植物人間となり、
保護施設’天使の家’に預けられていたが、そこが閉鎖されてしまい、委託保護者に預けられたのだ。
委託する際に、実際に契約した委託保護者が長期不在にもかかわらず、
その甥であり養子であるリュ・ジョンホ(キム・サンギョン)に押し付けてしまったことを不安に感じていると
ユジンはキム刑事に話す。
そして、そのリュ・ジョンホの身元を確認したキム刑事は仰天する。
ここ数日の間に、キム刑事を何度も驚かせた謎の男だったからだ。
地下鉄の中で指名手配中の犯人を追っていたキム刑事。
犯人が女のバッグを奪おうとしているところを制止したのがリュ・ジョンホ。
ジョンホはなぜ犯人が犯行を行おうとしていたことがわかったのか不思議でならなかった。
そしてまた数日後、今度は刃物を持った籠城犯を説得し、事件を解決してしまったのだ。
キム刑事の出る幕もなく。
その謎の男がスヨンの仮の委託保護者だと知り、キム刑事はジョンホに目をつける。
ジョンホは、「見えているものを見逃してしまうのが人間だ」とキム刑事に語る。
地下鉄の事件が事前にわかったことは、特別なことではないと。
そして、近くにいる男女の会話を推測して見せる。
調査の結果、ジョンホは海外移住しており、韓国入国した時点で既に連続殺人事件は起きていたことが判明。
犯人から外される。

愛想がなく、話しかけても答えないジョンホを恐れ、寂しがるスヨン。
そのスヨンが突然倒れた。
医者の話では、二年前の交通事故が原因だと。角膜移植を行わなければ、失明は免れない。
医者の言葉にジョンホはショックを受ける。
スヨンが目覚めると、朝だった。
慌てて朝食を作ろうとキッチンへ向かうが、そこにはジョンホの姿が。
慣れない手つきで、山盛りの朝食をこしらえるジョンホ。
たくさん食べればよくなるからと医者が言っていたと。

ジョンホの不器用な優しさが、心に 染みます。
知れば知るほど、惹かれてしまう人 物。

心に傷を抱え、自分の世界に閉じこもって生きてきたジョンホ。
ジョンホは高校生の頃、愛する少女を自分のせいで死なせてしまったのだ。
委託児童だったミニは、養父から性的虐待を受けていた。
ジョンホはそのことに気づき、ミニに自分に打ち明けてくれと説得するが、
その話を他の生徒に立ち聞きされ、ミニは自殺をしてしまったのだ。
助けようとしたのに死なせてしまった。
人間には、他人を助けることなどできないのだ。結局、死ぬ。
ジョンホは冷めた人間のように振舞ってきた。
しかし、ジョンホが誰よりも情が深く、優しい人間だった。
スヨンは、そんなジョンホの心の傷と優しさに気づいていく。
少しずつ心を開いていくジョンホとスヨン。
ジョンホはスヨンにある秘密を話して聞かせる。
ジョンホとスヨン、二人だけの秘密。

そんな中、スヨンが突然姿を消してしまう。
雨の降る中、必死にスヨンを探すジョンホ。
そんな中、幼女の遺体が発見されたと通報が。
三番目の犠牲者。
今度はゴミ処理場の冷蔵庫の中。雨水に浸かった幼女の遺体。
ジョンホは自分が遺体を確認すると申し出る。
しかし、その遺体はスヨンではなかった。

三人の連続幼女殺人事件。
綺麗な服(個人の主観によりけりですが)を着せられ、
殺される前までは、大切に、大切にされていたと思われるのに、なぜ殺すのか。

↓ 結末ネタバレで す。ご注意を↓


そんな時、キム刑事が追っていた指名手配犯チャンベが逮捕される。
チャンベは、路上で突然女性に襲い掛かったのだ。
チャンベが言うには、盗みに入った家で食べたキノコスープのせいで、幻覚を見たのだと。
そして、チャンベが盗んだものから、驚くべきものが発見される。
殺された幼女たちが映ったビデオテープ。
その中で幼女たちは、綺麗な服を着て、楽しそうに笑い遊んでいた。
キノコの成分により、愉快に笑っていた少女たち。
孤児だった彼女たちは、今まで一度もそんな風に楽しそうに笑ったことなどなかったのだった。

チャンベの証言により、盗みに入った家が捜索される。
家の中のクローゼットには、綺麗な幼女用の服が大量にかけられ、
栽培されている大量のキノコも発見された。
その家の主は、委託センターのチョン・ユジン。
しかし、ユジンの姿も、スヨンの姿も、そこにはなかった。
キム刑事は、スヨンが以前預けられていた’天使の家’へと向かう。
その頃、ジョンホも’天使の家’へと向かっていた。

スヨンは目覚めると、見知らぬ家で、綺麗なドレスを着ていることに驚く。
そこには、注射器を持ったユジンが。

ユジンも実は委託児童だった。
そして、養父から性的虐待を受けていたユジンは、養父を刺してしまい擁護監護を受けていた。
自分の生んだ赤ちゃんを抱く養父に「汚い手で触らないで!」と。
そして、精神に異常を来たしていたユジンは、「汚い。洗ってあげるね」と、
赤ちゃんを水に浸して死なせてしまった。
殺された幼女たちを自分の赤ちゃんだと思い込むユジン。
「私の赤ちゃん。天国に行かなくちゃ」
ユジンはスヨンを殺そうとする。
スヨンを助けにやってきたジョンホは、注射により意識を失いかけているスヨンをみつけるが、
逃げ出そうとしたところをユジンに刺されてしまう。
「この子は君の子じゃない。もう終わったんだ」
ジョンホはユジンを説得するが、
「いいえ、まだ終わってない」
そう言って、ユジンは舞い上がる炎の中へと消えていった。
炎に包まれる天使の家。
スヨンは注射のせいで目が見えず、一人で逃げることもできない。
ジョンホはスヨンを抱え逃げ出すが、倒れてきた柱に足を挟まれ動けなくなる。
助けにやってきたキム刑事にスヨンを託すと、ジョンホはキム刑事に逃げるよう告げる。
スヨンを助け出したキム刑事は、再び建物の中に戻ろうとするが、
炎の激しさで、中に入ることは叶わなかった。

ジョンホは遺体で発見される。
「あんな風に亡くなった方は初めてです」
消防士はキム刑事に語る。
「目をしっかり庇っていて.......」
キム刑事は、スヨンに角膜移植が必要であることを思い出していた。

時が流れ─

ジョンホの墓参りに訪れるスヨンとキム刑事。
「風の音、小鳥のさえずり、ステキだろう...。おじさんも聞いてるよ」
そんなキム刑事の言葉を否定するスヨン。
「おじさんは聞こえないわ」と。
あの日、ジョンホがスヨンに話してきかせた秘密。
それは.......
ジョンホは、幼い頃の交通事故で耳が聞こえなかったのだった。
「人は、目と心で話すことができる」
ジョンホはスヨンに言った。
スヨンの言葉にキム刑事は言葉を失う。
「見えていても見逃すのが人間だ」
キム刑事は、ようやくあの時のジョンホの言葉の意味を悟る。
「私にも、おじさんの心がわかるの。もう、安らかな気持ちだと。そうでしょう?」
スヨンはジョンホに語りかける。

END

この後の、大人のジョンホと少女のままのミニのシーンがとても好きです。
せつなくて........

幼い頃事故のせいで耳が聞こえなくなったジョンホ。
だからこそ、事故により失明するスヨンのことを、そこまでして助けたかったのでしょうね。
耳が聞こえなくなったことで、相手の心をわかろうと、目と心で相手の心に耳を傾けたジョンホ。
耳が聞こえなくても、話はできるのだと.....
しかし、そのせいで愛する人を救うどころか、死なせてしまう......
助けようだなんて、思い上がりだ。
ジョンホの心はどれだけ傷ついたことでしょう.......
情が深く、優しく、純粋だったからこそなおさら。
逆境を乗り越え、プラスにしようとしたのに、結局........
そんな心の傷を負ったら、世の中との疎通を拒否し、
自分の世界に篭ってしまうのは当然。
そんな風に生きてきたジョンホにとって、あのような最期を遂げられ、一番の幸せだったかもしれません。
あのラストシーンが、天国で少女のミニに再会できたのだと願います。






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