サランハムネダ~愛は天の川を超えて~ 
 原題:新・牽牛織女 신 견우직녀(シン キョヌジンニョ)<2003>

 オススメ

 ストーリー

 韓流王道

 泣き

 笑い

名作

 映像

×

×

×




朝鮮戦争停戦 50周年記念とし て製作されたスペシャルドラマ

2002年釜山で開かれたアジア大会。そこでのスターはスポーツ選手ではなく、北朝鮮からきた美女応 援団たちだった。才色兼備の彼女たちは北朝鮮に対する堅苦しいイメージを払拭し、韓国の人々とともに「朝鮮は一つ」「祖国統一」と声をあげ応援し た。朝鮮戦争後50年が経った今も緊張状態が続く朝鮮半島での対立が、やっと和解の方向へ向かおうとしていた。
その応援団のひとりが、韓国人ジャーナリストと恋に落ちる。だが国境に分断された彼らの恋は叶うはずもなく…

出演

リュ・スヨン

<2001>覗き、<2003>SSU、 <2003>サランハムネダ 愛は天の川を越えて

チェ・ガンヒ

<1998> 囁く廊下~女校怪談~、<2001>ワ ニ&ジュナ~揺れる想い~
<2003>サランハムネダ 愛は天の川を越えて、 <2006>甘く、殺伐とした恋人、 <2007>私の愛
<2009>グッバイ・マザー、<2010>ベストセラー(友情 出演)

<< HOME

【レビュー&ネタバレ】
この作品は、 映画ではなく2時間のTVドラマよ。
でも、DVD化されているので、ご存知の方は多いでしょう。
停戦50年を記念して作られたこの作品。
南北分断をテーマにしたラブストーリーは多いけれど、mocaはこの作品が一番好き。
とにかく泣いたわ・・・・
このテーマ曲が流れるだけで、今でも涙が出てくるわ・・・・・
TVドラマだから、映画のように手の込んだ作りではないけれど、そこはスルーでよろしく。
さて、このドラマの邦題「サランハムネダ」ですが・・・・
これは「愛しています」の意味でございます。
通常は「サランハムニダ」なんだけれど、北朝鮮訛りだと「サランハムネダ」と聞こえるそうよ。
ドラマでも、ヨンジュンが絶叫しているので、よーく聞いてみましょう!?
そして、原題は「新・牽牛織女」でございます。
「牽牛織女」は、彦星と織姫です。
「国境」という天の川に阻まれた男女のラブストーリーです。
織姫と彦星は1年に1度会えるけれど、北と南に断絶された二人は・・・・
一生会うことも叶わないかもしれない運命・・・・
せつなすぎるわよ・・・・

チェ・ガンヒとリュ・スヨンはTVドラマではわりとお馴染みの顔ね。
mocaはリュ・スヨンは、この作品で初めて知ったのよ。
その後に、明朗少女成功記と、ラストダンスは私と一緒に、を観たの。
この作品を観て、リュ・スヨンって何てかっこいいのー!と思ったのよー
福山雅治なみの爽やかな笑顔と、端整な顔。
一目でメロメロ。(mocaの好みではないのだけれど・・・・)
それでその後に、明朗少女成功記と、ラストダンスは私と一緒に、を観て・・・
この差の激しさにビックリしたわ・・・・
なんだか、意地悪魔女のようなお顔・・・・・
ジュンテはまだ若い頃なのかなぁ・・・なんて思って・・・
サランハムネダは2003年放送で、明朗少女成功記は2002年、思った通りだったわ。
ラストダンスは私と一緒に、は2004年放送。
このサランハムネダの頃が最高潮だったのね・・・・
役どころといえば、どちらも兄弟のように親しい友達を裏切る役で・・・・
moca、サランハムネダを先に観てよかった・・・・
ジュンテとテミンの印象が残ってたら、こんなにこの作品を楽しめなかったかも・・・・・

チェ・ガンヒはとにかくmoca大嫌いなのよぉ・・・・
なんで・・・あき竹城のようなお顔で、ヒロインができるのよー
しかも、すごい甘ったるい声でしゃべるブリっ子っぽいところがもう吐き気がしそう・・・・
ただ、この作品でのチェ・ガンヒはなぜかちょっと可愛かったわ(笑)
ちょっと痩せたのかしらね?
チェ・ガンヒ演じるヨンジョンは、日本でも話題になった、いわゆる「喜び組」よ。

最初は北朝鮮にも、南北問題にも関心がなく、
流行で赤い色を着ちゃうような、韓国人の若者の代表ようなテヨンが
ヨンジョンに出会うことによって南北の悲しみを知っていくのよね・・・・
このドラマには、韓国人の北へ対する主張もふんだんに織り込まれていると思うわ。
テヨンがヨンジョンに浴びせる

なぜ核を持つの?
海上での衝突は?境界線を侵犯するのでは?
戦争でもするつもり?
脱北者が後を絶たないことは知っているでしょう?
みんな飢えて逃げ出す。
食糧支援をすれば図々しい態度。
南北会議もそう。離散家族を政治の道具に駆け引きばかり・・・
指導者様のために、美女が踊って歌って・・・

この痛切な批判は、韓国の生の声でしょう。
そして、
「共和国(朝鮮民主主義人民共和国)の人間は嘘はつきません」
と言いながら、すぐさま嘘をついてしまうヨンジョン・・・
明らかにオフサイドなのに、「絶対にゴールしてたわ、誤審よ」と叫ぶ美女応援団たち・・・
随所で、北への皮肉、本音を垣間見ることができると思うわ。
韓国は歩み寄ろうとしている、北が勝手なんだ
と言わんばかりのとこともね。
だけれども、この作品が言わんとしていることは・・・・
罪を憎んで人を憎まず・・・じゃないけれど、
誰にも罪はないんだ、ということじゃないかしら。
怖くて夫を裏切ったヨンジョンの母、
怖くて妻を売ったヨンジョンの父、
そして、逮捕されることが怖くてヨンジョンを裏切り記事を書こうとしたテヨン、
裏切りを非難するヨンジョンだけれども、怖くて置き手紙を残したのだと・・・
誰だって危険は怖い、危険を避けようとするのは人間の本能だ。
罪はないんだ・・・・
過去の戦争の悲しみも・・・
誰にも罪はない。
危険を前にして、人間は正しくは生きられない。
危険を避けようと、自分を守ろうとしたことだ・・・
だから、これからは過去を許して歩み寄ろう・・・・
それがこの作品のテーマなんじゃないかしら。
けれど、そんな難しくて重いドラマじゃないので安心してね。
ドラマならではのヒューマンドラマを交えたラブストーリーよ。




そろそろネタバレしてきます よー ご注意をー

最後のヨンジョンの
「사랑합니다.잊지마세요.(サランハムネダ:愛してます。イッチマセヨ:忘れないでください」
にはもう、涙が止まらなかったわ。
チェ・ガンヒとリュ・スヨンの演技も、演技とは思えないほどで・・・・
ヨンジョンと父の再会、そして火の中に包まれていく父ウソクの姿・・・
「이버지、이버지・・・(アボジ:父)」と泣き叫ぶヨンジョン・・・
二人を追い詰めていく機動隊・・・
涙なくしては見られないわ・・・
「私は共和国を愛しています」と海の中に飛び込むヨンジョン、
連れ戻された後、インシクがわざとドアを開けたまま出ていく姿・・・
せつなくて、せつなくて・・・・
ヨンジョンがどれほど純粋で、素直なのか・・・
全面から伝わってくるわ。
国を愛している・・・
これほどまでの熱い想いは、他国ではなかなか見られないのじゃ・・・
純粋すぎるから・・・・
だから、金正日をまるで洗脳されたかのように崇拝してしまって・・・
北朝鮮の国民の異常なまでの愛国心の裏側を浮き彫りにしていると思うわ。
そんな純粋なヨンジョンにテヨンが惹かれていくのも当然で・・・
2人の心が少しずつ近づいていく過程がすごくステキ。
テヨンがわりとすぐに釈放されたのには安心したわ。
これならヨンジョンも罪には問われないわよね?きっと・・・
2人の再会を心から願うわ・・・
もうドラマとは思えないわよ・・・・・
停戦から50年。この50年の間に、再会できずに死んでしまった家族は大勢いるはずよ・・・
もう悠長なことをしていられる時間はないわ・・・・
一日も早く南北統一・・・まで行かなくても、正常な国交を願うわ。
ちなみに、2人が再会を約束した「新義州(シニジュ)」は、北朝鮮の特別区よ。
経済都市を狙って、北朝鮮が設けたものよ。
韓国人を始め、全外国人が自由に行き来できる街を想定したらしく、
南北の離散家族も、この地で一緒に仕事をすることができるとか謳ったらしいけど、
まだうまくはいってないらしいわ。
この2人が再会を遂げ、幸せになるストーリーが見たいわ・・・・
 


さて、思いっきり結末までネタ バレしちゃうわよー
というより、ストーリー全文で す(笑)

俺は<赤>を恐れない世代。(※ 赤=北朝鮮の象徴)
戦争は知らない。
離散家族? 関心ないね。
朝鮮戦争?誰と戦ったっけ?
北朝鮮? 休戦ラインの向こうの分からず屋さ。
でも、応援団はいい。
なぜかって?
可愛いからさ。ちょっとダサいけどな。
そんな現在の韓国の若者の代表のようなジャーナリスト、シン・テヨン(リュ・スヨン)。
そして・・・ちょっと軽薄(笑)
テヨンはアジア大会で美女応援団にインタビューするのだけれど、
「南の印象は、人民の熱い応援」
口をそろえたような模範的な回答に不快感を感じるの。
それで、次にインタビューしたリー・ヨンジョン(チェ・ガンヒ)に、ヨンジョンが答える前に
「南の印象は、人民の熱烈な応援?」と、つっかかるのね。
ヨンジョンは呆気に取られるけれど、
頭のいい彼女は、テヨンがなぜそんな風につっかかったのかをすぐさま理解するのね。
「まだこっちに来てから3日なんです。忙しいし、まだ慣れないんです」
「一番印象的だったのは、誰もが持っている携帯電話です」
と、和を壊さぬようにしながらも、彼女の考えをハッキリとテヨンに主張するの。
そんなヨンジョンを、「ネコの皮を被ったトラ」のようにテヨンは思うのね。
そして、ヨンジョンが落としていったロケットを拾うのだけれど、
中にはヨンジョンの母親の写真が・・・けれど、その裏には男の写真が隠されていたの。
韓国の南山タワーを背景に撮った写真。
写真には「ヨンジョンへ」と小さく書かれていた。
北の女が南の男の写真を・・・しかも、母親の写真の裏にわざわざ隠して・・・
不審に思ったテヨンは、スクープを狙ってヨンジョンとの接近を試みるの。

ロケットと引き換えに、質問に正直に答えるよう条件を突きつけるテヨン。
「共和国(朝鮮民主主義人民共和国)の人間は嘘はつきません」と応えるヨンジョン。
裏の写真の男性は誰ですか?
テヨンの質問に言葉を詰まらせるヨンジョン。
「叔父です。叔父は党の幹部をしていて、離散家族訪問の責任者で韓国へ来たんです。」
と、ヨンジョンは嘘をつく。
なぜ核を持つの?
海上での衝突は?境界線を侵犯するのでは?
戦争でもするつもり?
脱北者が後を絶たないことは知っているでしょう?
みんな飢えて逃げ出す。
食糧支援をすれば図々しい態度。
「個人的な質問は禁止されているんです」
と、テヨンを制止するヨンジョンに、テヨンは痛切な言葉を浴びせる。
南北会議もそう。離散家族を政治の道具に駆け引きばかり・・・
テヨンは攻撃をやめようとしない。
「そうだ、喜び組は知ってる?」
指導者様のために、美女が踊って歌って・・・
テヨンの侮辱にヨンジョンは激怒し、テヨンの頬を平手打ちしてしまう。
北の仕込んだマニュアルから脱してしまったヨンジョン。
「これだよ、俺が望んだ正直な答えは」
お決まりの答えしか言えないのはわかる。
けど、僕らは若い。新しい世代同士で腹を割って話すことができるはずだ。
「あなたたちの正直が無礼のことを言うのなら、遠慮します」
ロケットの礼を言って立ち去ろうとするヨンジョンに
「その人探しているんだろう?手伝うよ。力になれると思う」
と声をかけるテヨン。無言で立ち去るヨンジョン。
2人の姿を、北朝鮮の国家安全保安部員が陰から見張っていた。

夕食の時間。
国家安全保安部のカン・インシク(キ・ジュポン:サンドゥ@オールイン)がヨンジョンの元へやってくる。
さっきの記者とは何を話していたんだ。
「恋人はいるのか、とか、好きな男性のタイプは、とか・・・いつも同じ質問ばかりで困るわ」
インシクをはぐらかすヨンジョン。
気分が悪い、と一人部屋に戻ったヨンジョンは、こっそりボロボロになった日記帳を開く。
そこには、仲睦まじい両親の写真が・・・
「力になるよ」という、テヨンの言葉を思い出すヨンジョン。
一方テヨンは、ヨンジョンを傷つけたことを反省していた。
翌日、必死にヨンジョンの機嫌を取ろうとするテヨン。
「미안해요(ミアネヨ:ごめんなさい)」というボードを掲げるテヨンにヨンジョンの心は揺れる。
その翌日、ヨンジョンは押し寄せる観客にバッグを払いのけられ、日記帳を落としてしまう。
ヨンジョンのただならぬ様子に、テヨンはただ事ではないことを悟り
日記を拾ったインシクの手から、日記帳を取り戻す。
競技の応援の最中、ヨンジョンの手元に日記が届けられた。
駆け引きせずに日記を返すことで、ヨンジョンの信用を得ようというテヨンの目論見だ。
テヨンを信用したヨンジョンは、テヨンにこっそりメモを渡す。
70年代に東京に留学していた男性です。見返りはありません。記事にもしないでください。
それでも助けてくれますか?
ヨンジョンのメモを読んだテヨンは、ヨンジョンに笑顔で手を振る。
しかしそんなテヨンを、インシクは危険人物視し始めた。
テヨンはヨンジョンへ近づくことを禁止され、ヨンジョンの後輩(スミ@彼女を信じないでください)に、
ヨンジョンに携帯電話を渡してくれるように頼む。
「夜11時に電話する。必ず出て」というメモと一緒に。
ヨンジョンの様子がおかしいことに感づいたインシクは、
「南が豊かなのは、共和国の腐った幹部が豊かなのと同じだ」
南の人民は本当は豊かで、自家用車も持っている、
という話を聞かせた時のヨンジョンの答えを聞いて、
ヨンジョンが誰よりも共和国を愛していると思った、という話を聞かせる。
ヨンジョンに共和国への忠誠を再認識させるように・・・
そして、キム書記長の写真のバッジをプレゼントする。

夜11時。
テヨンから着信している携帯電話と、キム書記長のバッジを眺め悩むヨンジョン。
しかし、ついにテヨンからの電話を取った。
「携帯は受け取れません。捨てることにします。人探しもやめることにします・・・・」
ヨンジョンは涙を流しながらテヨンに断る。人を捜すことは、国への裏切り行為なのだ。
「笑うかもしれないけれど、南はまだ敵なんです」
ヨンジョンは心の苦しみを吐露するかのように泣き叫ぶ。
「人捜しは罪じゃない。それは人として当然のことだよね?
悪いのは君じゃない。あいつらの方さ。
君はさっき敵だって言ったけど、俺も小さい頃は北は敵だって教えられた。
今は政治に関心がないけど、少なくても敵とは思っていない。友達になるっていうのはどう?」
テヨンの言葉に耳を傾けるヨンジョン。心の中の荒波も静まっていく。
テヨンの冗談に心が安らぐヨンジョン。
テヨンは明日船に戻る時に窓の外を見るように言う。
そして、橋のライトアップと共に届いたテヨンのメール。
「感動したなら1、感動しないなら2」
こっそり隠れて「?」とメールを返すヨンジョン。
どうやってあの灯りを灯したの?と・・・
「灯りよ、灯れ!」って命令したんだよ、と答えるテヨン。
少しずつ近づく二人の心。
2人はまるで友達のようにメールを交わした。
「テヨンさんは何歳なの?友達なら年くらい知ってないと」
テヨンさんは時々正直すぎるけれど、それは心が美しいからです。
本当にありがとう・・・ずっとそう言いたかったんです。
ヨンジョンの心は、すっかりテヨンを受け入れていた。
テヨンを信用して、正直にすべてを話すヨンジョンに、テヨンは複雑だ。

閉幕まで3日。
携帯電話で話しているのをインシクにみつかったヨンジョンは、
翌日北へと送還されることになってしまう。
この機会を逃したら、一生父に会うことができない・・・・
「私は、共和国を愛しています」
そう呟いて、ヨンジョンは船から海の中へと飛び込む。
ヨンジョンを連れて警察の追っ手から逃げるテヨン。
「明日には戻ってきますよ」
と悠長な韓国側。皆さんエリートだからこんなことが起きるとは思いませんでした。
南の皮肉に、「我々は船にいるんですよ。いつでも出国できます。
北の応援団。南の過剰取材に抗議し電撃帰国」としてもいいんです、とインシクは南を脅かす。
一方、父の住む九龍浦(クリョンポ)へテヨンとヨンジョンはたどり着くが、
ヨンジョンの父ファン・ウソクはそこにはおらず、行方不明になっていた。
九龍浦にも警察の追っ手が迫ってきた。
二人は国家保安法違反で指名手配されていた。
諦めて帰るというヨンジョン。
インシクに「明日帰る」と置き手紙を残してきたのだ。今日中に帰らねばならないのだ。
置き手紙のことを知り憤るテヨン。自分だけが捕まるのか?と。
思わず、「親子再会の記事はどうなるんだ」と、ヨンジョンに漏らしてしまう。
記事は書かないという約束を信じていたヨンジョンはショックを受ける。
迷惑はかけない、約束する、と言い残し、ヨンジョンはテヨンの前から去ろうとする。
全てを自分のせいだと思わないでくれ、お願いだ。
危険に飛び込むのをためらうのは人間の本能だ。北の人間だって同じだろう?
テヨンは必死にヨンジョンを引き止めるが、ヨンジョンは去ってしまった。
ヨンジョンを追おうとしたところを、テヨンは警察に捕まってしまう。
そこへチャン先輩から、ファン・ウソクの居場所がわかったと電話が入る。
しかし、逃げる術がない。
ヨンジョンは考え直しテヨンの元へと戻ってくるが、車のそばにテヨンの取材メモが落ちているのをみつけ、
テヨンの危機を察知する。
テヨンの車を運転し、派出所へ突っ込むヨンジョン。
その隙にテヨンは逃げ出す。
「考えてみたら船まで歩いて帰るわけにはいかないし、お金も一銭もないの」と、
戻ってきた理由をはぐらかすヨンジョン。

学校に忍び込み夜を明かす二人。
二人はいろんな話をする。テヨンは初恋の話を始める。
ミモザの鉢をプレゼントして告白するつもりだったのに、転校してしまった。
「さぁ、これを」
と、かっこよくミモザをプレゼントするつもりだったのに・・・と。
ヨンジョンは結婚も恋愛もするつもりがない、母だけいればいいと答える。
そして、母は亡くなったと・・・・
亡くなる前に、ファン・ウソクの話を聞かされたのだと。
自分は母だけを想っていたのに、母はそうじゃなかった・・・・
恨んでる、今は2人とも恨んでる・・・と涙を流すヨンジョン。胸が痛むテヨン。
翌朝、素麺の絵をテヨンにプレゼントするヨンジョン。
数日前のテヨンの誕生日のプレゼントだと。北では、誕生日に素麺を食べるのだという。
粥(チュク)はダメ。死んじゃう(チュクタ)だから。長生きするように素麺を食べるのだと」
南では、誕生日には祝いのメッセージは留守電に残すものだと思い込んだヨンジョンは、
留守電にメッセージを残す真似をする。
「誕生日心からおめでとう。そしてありがとう。またいつかどこかで会えるといいですね」
二人は照れながら微笑み合う。
そして、ファン・ウソクのいる江原道(カンウォンド)へと向かう。
一方、二人の行方を掴めない情報部は痺れを切らしている。
ヨンジョンの残した置き手紙に火をつけるインシク。
約束の日も過ぎ、ヨンジョンの約束も無効になったのだ。
山道を歩く二人。腰を下ろし一休みしていると、テヨンは足元にミモザが生えていることに気づく。
「さぁ、これを」と、ヨンジョンにミモザを差し出すテヨン。驚くヨンジョン。
「彼女にうつむいた姿が似てたからつい・・・」と、テヨンははぐらかす。
ヨンジョンは母の遺言を話し始める。母は最期に父を裏切ったのだと。
1979年、日本。
国家情報部に居場所を知られ、2人で逃げることにしたが、
父と待ち合わせた駅で、父が情報部員と一緒にいるところを見て、怖くて思わず逃げてしまったのだと。
私も怖い・・・と、ヨンジョン。

ついにファン・ウソクをみつける2人。しかし、ためらうヨンジョンを見て、
「道に迷ったので、少し休ませてください」と、願い出るテヨン。
「酒を持っていれば休ませてやろう」と言うウソクに、苦笑いするヨンジョン。
山奥のボロ家で一人昼間から酒を飲む父の姿を見て、たまらない気持ちになるヨンジョン。
「散歩してきます」と、出て行くが、
ヨンジョンの北訛りと、「ヨンジョン」という名前を聞いて、ウソクは「どこから来た?」と尋ねる。
こんな危険を冒して捜したのに、呑気な父の姿を見て憤るヨンジョン。
私には父はいない。母だけだ。顔も見たから帰る、とテヨンに告げるヨンジョン。
「裕福に暮らしていても怒っただろう?話があるんだろう?話さないわけにはいかないよ」と、テヨンに諭される。
母の遺言だけ告げ帰るつもりが、ウソクに言葉を遮られる。
「米は磨げるか?」と、ヨンジョンに米を磨がせ、「魚のチゲが好きだったな・・・」と、語り始めるウソク。
「肉は明日届くそうだ。明日の朝は肉を焼いてやろう」
「いいえ」と断るヨンジョンに。
「泊まっていけ。24年ぶりに来たんだ。一晩くらいは泊まっていくもんだよ」と、諭すウソク。
「疲れたろう。遠くから大変だっただろう」というウソクの言葉に、涙を堪えるヨンジョン。
母親が死んだことをヨンジョンから聞かされ、言葉を失うウソク。
「すまなかったと伝えて欲しい。約束を守れなくてごめんなさい。許して欲しい。
それが最後の言葉でした」と、テヨンに聞かされる。
すまない?許して欲しい?テヨンの言葉に耳を疑うウソク。
ヨンジョンの母は誤解していたのだ。
裏切ったのはウソクの方だった。ウソクが情報院と一緒にいたのは、ウソクが捕まったからではなく、
ヨンジョンの母をウソクが情報院に売ろうとしたからだったのだ。
スパイにされるのが怖くて、ヨンジョンの母親を売ったのだ。
泣き崩れるヨンジョン。
「崖っぷちでも逃げちゃダメだ。逃げずに進めば、崖っぷちでも必ず道は開ける。
逃げてしまえば、一生後悔するだけだ」
ウソクの言葉に、お互い何かを決心したようだ。
そして、2人だけの束の間の優しい時間が流れる。

しかし、そこへ2人を捜しに機動隊が現れる。ウソクに促され、逃げる2人。
「わしが引き止めておくから」というウソクを止めようとするヨンジョン。
「お前だけでも生きていて、わしがどんなに嬉しいか」
そういい残してウソクは家へと戻って行った。
「이버지、이버지・・・(アボジ:父)」と、涙を流しウソクの背中をみつめるヨンジョン。
家に灯油を撒き、火をつけるウソク。
「ヨジン、俺が見えるか?俺のほうこそ許してくれ」そう呟きながら、火の中に包まれていく。
泣き叫ぶヨンジョン。ウソクを止めようと戻ろうとするが、「捕まりたいのか?」と、テヨンに諭される。

山道を逃げる2人。しかし、すぐに追っ手に追い詰められた。
諦めようと言うヨンジョン。
「ほら、北の端の中国との国境<新義州(シニジュ:日本読み的にはシンウィジュ)>。
そこはパスポートがなくても行けるね?
とにかく悪かったと謝るんだ。どういう意味がわかるだろう?」というテヨンの言葉に何度も頷くヨンジョン。
「約束しよう、僕らは終わりじゃない。必ず会いに行く、絶対に。必ず会いに行くよ」
会いに行くと必死にヨンジョンに言い聞かせるテヨンにヨンジョンは、
「사랑합니다.잊지마세요.(サランハムネダ:愛してます。イッチマセヨ:忘れないでください」
と、泣き叫ぶ。
二人をどんどん包囲していく機動隊。
しっかり抱き合うテヨンとヨンジョン。

取調べを受けるテヨン。
船の中へ閉じ込められるヨンジョン。
しかし、インシクはわざとドアを開けたまま出て行く。
船は出港間際。大勢の南の人民が見送りに集まっている。
ドアが開いていることに気づいたヨンジョンは、甲板へと出て必死にテヨンの姿を捜す。
テヨンはヨンジョンの姿をみつけるが、ヨンジョンはあまりにも大勢の人の中から、テヨンを探すことができなくて・・・・
金網越しに、押しつぶされそうな気持ちでヨンジョンを見送るテヨン・・・・
END




<< HOME

inserted by FC2 system