作戦 -The Scam- 
 原題:作戦 작전(チャクチョン) <2009>

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貧しい人生を一発大逆転するために株をマスターしたカン・ヒョンス(パク・ヨンハ)。元組織暴力 団ファン・ジョング(パク・ヒスン)一味にかかわり、600億の株価操作作戦に挑戦する!

悔しいことがあると夜も眠れないカン・ヒョンス、貧しい人生から脱出するために株に挑戦するが、あっという間に信用不良者となる。彼は死 にもの狂いで数年間独学し、ついに作戦を成功させて一度に数千万ウォンを握る。

しかし喜びも束の間、彼が関わったのは元暴力団ファン・ジョングが作業中の作戦株であった。袋叩きに遭い拉致されたヒョンスは、ファン・ ジョングの作戦を混乱させた才能を認められ、大韓民国を揺るがす600億ヘビー級作戦に参加することになる。

初心者ヒョンスと は違い、今回の作戦に加担したメンバーは、大韓民国の経済を操作する大物プロたち!

長い間の暴力団生活を清算してDGSホールディングスを立上げ、株価操作の世界に飛び込んだファン・ジョング。脱税を望む成金、裏金を蓄積している政治家 など、上流層の資産だけでなく秘密まで徹底して管理するユ・ソヨン(キム・ミンジョン)。ソジンアセットで高い実績を誇り、昇進街道まっしぐらの作戦界の 特級エースチョ・ミニョン(キム・ムヨル)。そして、作戦の元締めテサン土建の大株主パク・チャンジュまで、最高のメンバーが集まった。

彼らの作戦対象は信頼性のない建設会社テサン土建。作戦の最高アイテムは、「環境技術」を利用して「水質改善バクテリア研究」をしている「ハンギョル環境 工学」に投資し、ユ・ソヨンの顧客の1人で、投資金額がその辺の投資会社より大きい「馬山創業投資」と呼ばれる完壁な投資主の金をエサに、テサン土建の 株を買い入れる。ここに精密な分析で有名な証券言論スターキム・スンボムの世論作りと、ブライアン・チェを通じて外国資本を引き込んだ時には、手のつけら れ ないほど莫大となり、何も知らない働き蟻の金を集め始める。

大成功を目の前に 完壁に進められる作戦!
作戦メンバー同士 の追いつ追われつの水面下作戦が始まる…
大韓民国の金が動 く地上最大の作戦が始まる。

日本公式サイト:http://scam-movie.com/

【予告編】

監督 イ・ホジェ <2009>作 戦-The Scam-

出演

(故)パク・ヨンハ 出演作品一覧

キム・ミン ジョン

<1998> 囁く廊下~女校怪談~、<2002>バス、停留場、 <2004>僕ら の バレエ教室
<2006>恋の罠~淫乱書生~、<2009>作戦-The Scam-

パク・ヒスン 出演作品一覧

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【レビュー&ネタバレ】
2009年2月韓国公開。観客動員数は、約153万人。
日本でも、2010年1月16日より公開。

パク・ヨンハは既に、韓国より日本の方が人気がありますから、
韓国では「スター俳優主演映画」と、どこまで言ったらいいのやら?
でもまぁ、一応スター俳優と致しましょう。
そして制作は、韓国では大ヒットし たチェイサーの制作社ピダンギル(絹の道)
大いに期待されたこの映画。
それにしては、冴えない結果です。
ヒットとも言えない無難な数字。それほど面白くもなく、それほどくだらなくもなく...
敢えて勧められる映画ではないという感じですね。

そもそもチェイサーは、moca的には退屈な映 画だったので、
ピダンギル(絹の道) と、相性が悪いのかもしれません。
チェイサー は、ロケ地的には最高でしたが、それだけで...........

なので、あまりmocaのレビューで偏見を持たないよう、
予告編を日本版にしてみました。
この予告編で「観たい!」という気になれば、きっと楽しめるでしょう。
予告編であまり期待できなかった方は、じっくりご検討くださいませ。

この映画は犯罪スリラーですが、「スリル」を感じることができるのは、
”株”などのマネーゲームに多少は足を踏み入れている方だけかもしれません。
この映画は、”株式投資”を知らない方にも、わりと親切に作られています。
それでも、実際にマネーゲームのスリルを知らなければ、
この映画のスリルも楽しめないような気がします。

そして、スリラーにしては、テンポが悪いのも退屈にさせます。
何より、観客そっちのけで、制作陣だけが楽しんでいる感がありますね。
やはり、登場人物に感情移入し、「そうだ!いいぞ!」と、楽しめる感覚がありませんね。
せっかくですから、一緒にマネーゲームを楽しめる構成にして頂きたかった。
最後には「なーんだ」という感じの種明かしで、
「見事!」と唸らせられるというよりも、スッキリしない欺かれた感が残ります。
劇的なラストを狙うあまりに、そのラストへ向けての伏線が組み込まれすぎ、
そのせいで、中だるみはするし、ダラダラするし....

犯罪スリラーを求めるなら、他の犯罪スリラーをお勧めします。
単に、マネーゲームというのが、mocaには合わなかったのかもしれませんが。

逆に、”株”を知らない方にとっては、”株のHOW TO 映画”として、面白いかもしれません。
”株”のからくりもわかりますし、いい教訓になると思います。

【裏話(ネタバレ)】 ※本編のネタバレではありませんが、一応ご注意を!

シナリオと本編では、映画の趣旨が異なっています。
シナリオには、ジョングが窓の外を眺めながら「좆같지...(チョッカッチ:理不尽だな)」と、
つぶやくシーンはありません。
エンドロールで馬山創投が語るシーンもありません。
馬山創投のセリフは、同等のものが中盤(飛行機の中)で語られています。

シナリオでは、ウ博士の遺体に対しジョングが、
「그 새끼가 진짜 살인마다.... 주식살인마...(この野郎が本当の殺人魔だ... 株式殺人魔...)」
と、言い放ちます。

恐らく元々は、「俺達は自らの手を汚して人を殺した悪党だが、殺人魔ではない。
こいつは自分の手も汚さずに、楽しみながら多くの人間を死に追いやった殺人魔だ」
ジョングの言葉にはそんな意味が込められており、
それがこの映画で伝えようとした趣旨であったのだと思います。

ちょっとネガティブ的な趣旨から、ポジティブ的な教訓へと変更されています。
「株」とは、こうでなければいけないと。

【カン・ヒョン ス】
デイトレーダー
パク・ヨンハ
【ユ・ソヨン】
資産管理士(PB)
キム・ミンジョン
【ファン・ジョ ング】
投資会社DGS CEO 元暴力団
パク・ヒスン
【チョ・ミニョ ン】
証券ブローカー
キム・ムヨル
【パク・チャン ジュ】
テサン土建大株主
チョ・ドッキョン
【ブライアン・ チェ】
在米同胞ファンド・マネージャー
キム・ジュンソン
【ドクサン】
ジョングの部下
パク・ジェウン
【マサン創投】
ベンチャー投資家
チョン・ググァン
【ウ博士】
株式殺人魔
シン・ヒョンジョン

パク・ヨンハは、7年ぶりですか?映画の出演は。
それにしても、老けましたね....
その上、ボッテリして....
ちょっとガッカリ。
ですが、俳優パク・ヨンハとしては、見事ですね。
彼は天性の役者としての才能があると感じます。
人を惹きつけずにはいられない。

そして、mocaのだーいキライなキム・ミンジョン。
それが、ビックリするくらいよくなりました!オドロキ!!
元々こういうクールな役どころの方が合っているのかもしれませんね。
表情演技も、嫌味がなく、見事。

そして何といっても、パク・ヒスンのかっこよさ!
ヤクザを演じてもかっこいい....
カリスマが溢れすぎてます。悪役でも、憎めません。
ジョングは、道を外れなければ大物になれた人間。残念で仕方がないです。
ですが、パク・ヒスンの株はまたまた上昇!
なにかといえば、「オッケー!」と口にするキャラクターが最高。
これはシナリオにはないですが、監督の演出なのか、それとも本人のキャラ設定なのか?
ともかく、かっこいい!

ミニョンは、ドラマ【一枝梅】のウンチェの兄。こんな顔でしたっけ?
ジョングの部下イ代理は、マリンボーイのイム部 長。
ヤクザ役ばっかですね。
でも、イイ味だすんですよー


↓  結末までネタバレします。ご注意を ↓



業界では超一流の証券ブローカー、ミニョン。
ある日、とんでもないトラブルが発生し、
思わず罵声を吐いてしまう。
三ヶ月もの間、多額の資金を投入し裏操作していた
作戦株「オメガ情報通信」の株が一気に大暴落。
何者かに作戦株を潰されたのだ。
ミニョンはすぐさま仲間のユPD、ジョングへ連絡。
その連絡を受けた二人は、血相を変える。

一体、何者が!?









※「作戦株」とは、隠れた低評価額の株に
多額の資金を投入し、裏操作し株価を上げ、
多額の利益を得る違法投資。
映画のタイトルである「作戦」も、この作戦株のことを指す。
作戦株を潰したヤツのその正体は、
”蟻”と呼ばれる個人投資家。
いわゆるデイトレーダーであるヒョンスだった。



5年前──

ヒョンスは大学を卒業し、就職活動をしていた。
しかし三流大学卒業では、
採用してくれる会社は、怪しげな商品を販売する
零細企業だけだった。

そんな中、先輩は自分で会社を作り、
株式投資で一儲けする計画を話す。
「今は株で儲ける時代だ」
先輩は熱弁する。
ヒョンスの友人ジヒョクはすぐさま乗り気に。
まだ上場前の株を定額で売ってくれとねだる。
ヒョンスも参加したがったが、「考えとく」と、答える。
単に、元となる資金がなかったのだ。
「確実なんだよ」
ヒョンスは母に資金を貸してくれるよう説得する。
しかし母は思いがけないことを告白する。
今まで賃貸していたマンションを、購入したのだと。
だからお金はないと。
それを聞いたヒョンスは逆上する。
こんな田舎のマンション、いくらになると?
頑張らなかった母さんの人生の結果がこれか?
悔しくないのか?
二人の息子を大学まで出し、
マンションまで購入した母に、ヒョンスは暴言を浴びせ、
家を飛び出していく。





街をうろつくヒョンスの目に留まった一冊の本。
「私はこうして10億を作った」
ヒョンスはその本を買い、
そして、クレジットカードの申込をする。
株を始めるためだ。


しかし、バブルがはじけた年の冬。
ヒョンスは先輩に「確実だ」と言われた株を買い、
あっという間に信用不良者となってしまう。
その先輩は、フィリピンへと逃げてしまった。
騙されたのだ。
ヒョンスはその足で漢江へと向かう。
しかしヒョンスは飛び降りなかった。
信用不良となったクレジットカードを次々と漢江へ
投げ捨てるヒョンス。
「悔しいことがあると闘志が湧く」
ヒョンスは、懲りずに株式投資を継続した。






そして5年─

今までの投資額を合わせれば、
高級車が3台は買えただろう。
それでも夜は運転代行のバイトをし、
昼はデイトレーダーという生活を続けていた。


そんなある日、友人のジヒョクから電話が。
「午前中だけで300万ウォン飛ばしてしまった」と。
母親の古希の祝いの金を注ぎ込んでしまった。
何とかしてくれと泣きすがる。
「オメガ情報通信」
ヒョンスは言い放つ。
これは100%【作戦株】だと。
「韓国に作戦株以外にあるか?」
ジヒョクは反論する。
「そうさ、皆が作戦株を狙ってる。
だが、大事なのは売買するタイミングだろ?
答えは、全てチャートに出ている。
今買って、終了間際に売れ。
欲を出して墓穴を掘るなよ」
ヒョンスは忠告する。
ヒョンスから確実な情報を得たジヒョクは、
すぐさま株仲間に「オメガ情報通信」の情報を流す。
その情報は、まるでねずみ講のようにどんどん広がり、
どんどん株価が上昇していく。


ヒョンスがちょっと目を離した隙に、
株価は急暴騰。
ヒョンスは慌てて株を売りに出す。

間一髪のところでセーフ。
その後、オメガ情報通信の株価は一気に下落。



オメガ通信情報の株を潰された
ミニョン、ユPD、ジョングは怒りが燃え滾る。
一方、一発で一千万ウォンを手にしたヒョンスは
笑いが止まらない。






ジョングは、ミニョンの元を訪れる。
「酒の席で仲間の誰かが情報を漏らしたんじゃ?」
ミニョンは言い張る。
超一流の証券ブローカー、ミニョン。
自尊心が許さない。
「お前でも、こんなことがあるんだな」
ジョングは、ミニョンの自尊心を更に傷つけ去って行く。
オメガ情報通信の株のせいで、
業務中に暴言を吐いたミニョンは、
罰として窓口業務に回される。
そして、そこへやってきたのは、
オメガ情報通信の作戦株を潰した張本人ヒョンス。
ミニョンはヒョンスの取引履歴を参照し、
「こいつか!」
と、顔色を変える。
「最近、利益率が良いようで」
ミニョンは、ごまかす。


オメガ情報通信の作戦株を練ったのがミニョンとも知らず、
ヒョンスは横柄な態度であしらう。
ヒョンスが帰った後、
ミニョンはすぐさまジョングに連絡を入れる。
ヒョンスは儲けた金でギャンブルを楽しむ。
そこへ現れたのは、セクシー女ミヨン。
ヒョンスはミヨンに誘われるまま、とあるビルの一室へ。
ズボンを脱がされ、ミヨンの積極的さに悦ぶヒョンス。
そこで部屋の電気がつく。


我に返ったヒョンス。
そこには、強面のヤクザが立っていた。
ヒョンスは状況が飲み込めず、慌てる。
イ代理はヒョンスを暴力で押さえ込む。
「オメガ情報通信、思い出したか?誰から聞いた?」
一方、冷静なハン部長は尋ねる。
「変動チャートを見て買ったんですよ」
ヒョンスは主張する。
株についてチンプンカンプンのイ代理は、
更にヒョンスを痛めつけようとする。
そこへ、ボスのジョングがやってくる。
「誰かから聞いたのでは?」
ジョングもヒョンスを疑う。
しかしヒョンスは、「絶対に違うと誓う」と主張。
ジョングは、「どうやって作戦株だと知った?」
と、チャートをプロジェクターで映し説明させる。
ヒョンスは、三ヶ月前から作戦が始まったと説明し、
どのように作戦株だと知ったかを説明する。


(いつまでチンピラでいる気だ!とイ代理を蹴り飛ばす
ジョングがかっこよく見えちゃうのよねぇ)
ファン・ジョング。
彼は安山の暴力組織”毒ガス”の親分だった。
財テクに関心を持っていたジョングは、
日陰の身であろうと、心は常に陽に向かっていた。
組織生活からの脱却なくしては未来はないと悟る。
そして、車椅子で出所する財閥総帥の姿に、
自分の未来を重ねた。
そして組織を解散し、投資会社を設立。

ヒョンスは、その元ヤクザの親分の作戦株に、
爆弾を落としたのだった.............
自分がとんでもないことをしでかしたことを悟るヒョンス。
「それだけの目標額で話が通るとでも?」
ジョングはまだヒョンスの話を信じきっていない。
ヒョンスは言い訳しようとするが、
「運だ」
ジョングは言い捨てる。
「君が強運の持ち主か、一度拝見しよう」
ジョングはヒョンスの為に、収益率大会を開催するという。
1日で20%以上の収益を上げれば信じよう、と。
その代わり、20%に満たない場合、
1%ごとに指を1本ずつ切り落とすと。
「そんなの話にならない...」
ヒョンスは拒もうとするが、
目の前で裁断機の切れ味を確かめるイ代理を見て、
何も言えなくなる。
イライラしながら、必死に売買するヒョンス。
時間は悪戯に過ぎていく。




もうすぐ市場終了の15時だ。
結果は、17.6%の収益。


イ代理は、ヒョンスの指を切り落とそうとする。
必死で抵抗するヒョンス。
「ちょっと待って、ちょっと待って!
時間外取引があるじゃないか。それも当日取引だ」

そして、時間外取引が締結される。
結果、20.3%の収益。
ヒョンスは命拾いをする。
だが、そのままではすまされない。
「他人の金を盗んだら、返すのが道義では?」
ジョングは言い放つ。
「所詮、元手の差では?
同じ1%でも、100万ウォンなら1万ウォンで、
100億ウォンなら、1億ウォン。
金持ちと蟻では、最初から勝負にならない」
ヒョンスは語る。
「その通り。必死に足掻こうと、強い者だけが勝つ。
좆같지?(チョッカッチ:理不尽だろう?)
1万ウォンずつ賭け、償おうとすれば時間がかかる。
体で返す方法もあるがな。
決めろ!イワシを追うか、エビを捕らえるか。
こうしよう、オメガの件はキレイさっぱり水に流し、
その代わり、大口の山がある。
君がチャートを見ろ」
ジョングは言い放つ。
「私に、作戦を練れと?」
ヒョンスは、たじろぐ。
「それなりの肩書きがいるな。課長?代理?」
ジョングは問う。
ヒョンスは冷静に考える。そして答える。
「次長で」と。

※좆같지(チョッカッチ)とは、「汚ねぇやり方」などの
「汚い」の意味ですが、
直訳はジョングのキャラクター的に合わないのよね。
後々の伏線もあるし。
「うちの次長がその格好では困るな」
ジョングはヒョンスに、一流店で服を一式揃える。
満足げに微笑むヒョンス。

その日は、”作戦”メンバーの会合があった。
証券ブローカーのミニョン。
ファンド・マネージャーのブライアン・チェ。
そして、今回の主役。
テサン土建の大株主パク・チャンジュ。
パク・チャンジュのテサン土建が、
ハンギョルという環境ベンチャー企業を併合し、
テサン土建の株を乗せれば、迂回上場ということになる。
そして、株価が高騰すれば売り抜けだ。
これが今回の作戦。



そして場所を会員制高級クラブへと移す。
そこで、ユ・ソヨンPDが待っていた。
ユ・ソヨンが今回の作戦の資金源だ。
ユ・ソヨンは、脱税を目論む成金や
裏金だらけの政治家の金を管理し、運用するPDだ。
顧客は、国会議員を初めとする大物揃いだ。
株に精通する者なら誰もが知る
「馬山創投」も、彼女の顧客の一人だ。
転がす金が、投資会社よりも多額で、負け知らず、
そこからついた名前だ。
人は彼のことを「スーパー蟻」と呼ぶ。
「馬山創投」の資金も、ソヨンの投資する資金だ。

ソヨンは初対面のヒョンスに不快感を露にする。
信用できるのかと。
そして、ソヨンは場を立ち去る。
しこたま酒を飲まされたヒョンス。
目覚めると、廃墟となったヘルスクラブに軟禁されていた。



ヒョンスは、この廃墟となったヘルスクラブで、
一日中生活し、モニターと向かい合う生活を強いられる。


ふと、ヒョンスは、外部に通じる窓をみつける。

「公示前に物量を合わせろ」
と、指示するヒョンス。
「こうして取引量を増やせば、追撃買収が直ちに入る」
ヒョンスは主張する。
「それは、お前らのような蟻が考えることだ」
ミニョンは鼻で笑う。
そして、そこへ1枚のFAXが。
そのFAXを見せられたヒョンスは愕然とする。
前日市場の取引詳細がFAXで送られてくるのだ。
昨日、誰がいくらで買い、誰が売ったか、
翌朝、すべてわかってしまうのだ。
望めば、個人口座までわかるのだと。
「だから蟻だけが大金を失うんだな」
ヒョンスは怒りが湧き上がる。
「お前ら蟻は、いつも作戦にやられた!と、
泣き言を言うんだろう?
自分が能無しだとは、死んでも言わない。
大韓民国経済?
それは俺達が回すんだ。
株式市場が勝手に大きくなっていくと?
俺達のような人間が、揺さぶり刺激を与え、
活気を入れてこそ動くんだ」
ミニョンは言い放つ。
「全財産を失い漢江に行った人にも、
そんなこと言えるのか?」
ヒョンスは反論する。
「誰が株を買えと押し付けた?
株は戦争だ。
ミサイルが行きかう戦場に拳銃1つで飛び込んでも、
誰が止める?」
ミニョンは言い放つ。
ヒョンスは呆れるしかない。
ソヨンの事務所を訪ねるジョングとミニョン。
ソヨンは、USBメモリーを手渡す。
「偽名口座だ」と。
今後は、これを使って株式取引するようにと、
ソヨンは告げる。
ミニョンらを信用していないということだ。
どこで取引しているかもわかるのだ。





ヒョンスの軟禁されているヘルスクラブで
作戦会議が開かれる。
テサン土建とハンギョルの合併公示から、
株式総会まで半年。
その間、週に5万ウォンまで引き上げ、
総会が終わりしだい、売り抜ける。
それがミニョンの練った作戦だ。
「俺なら5万ウォンまで押さない」
ヒョンスが口を挟む。
「大株主の持分が少なすぎる。
初期買入量分が高すぎた。
既に嗅ぎつけたのか、
追撃買収に入っている奴らがいるじゃないか」
ヒョンスは指摘する。
「どんな奴らが作戦株に狙いを?」
ジョングは問う。
「一旦、価格を下げてくると思います。
向こうが怖気づいて去れば、落ちた値で、また買えばいい」
ヒョンスは提案する。
「そうしてる間に向こうが買ってしまえば終わりだぞ。
わかってんのか?」
ミニョンは反論する。
「明らかに単発で入ってきてる奴らだ。
奴らは瞬時に見分け、見込みがなければすぐに去る」
ヒョンスは主張する。
そして、それを証明してみせる。
どんどん株価を吊り上げ、すぐさま20万株もを売りに出し、
株価が下がったところで、また買い戻す。
あっという間に保有量が増えた。
ソヨンもジョングも、
ヒョンスの鮮やかな腕前を期待しながら見守る。

ジョングもソヨンもヒョンスの力を認めるが、
ソウル大卒業の一流ブローカーのミニョンだけは、
自尊心からヒョンスを認めることができない。
「お前、今どれだけの作戦株を潰したかわかってるのか!」
ミニョンはヒョンスに掴みかかる。
「度胸だけは称えるわ」
ソヨンは言い放つ。
「でも、いつか痛い目に遭うわ。なぜかわかる?
常に全力だから。
10回勝っても、1度の敗北で全てを失う」
ソヨンは言い放つ。
そしてミニョンに、目標とグラフの見直しを言い渡す。
不満なミニョン。
「こんなヤツの言うことを信用するんですか?
設計は、私がやります」
「私はチョ次長の自尊心に投資しているわけじゃないわ」
ソヨンは言い捨てる。


その頃、金融監督院のイ・ジェハク事務官が、
テサン土建の株価の動きに目をつけていた。
取引量が増え続けていても、
取引審査はうまく回避していると。
誰かが調整している気がすると、上司に報告する。
「また、”気がする”か?
モニタリングすべき株が700種類もあるんだ」
と、たしなめられる。


ジョングの下っ端の部下ドクサンが、
ふいにヒョンスに声をかける。
「株は大学を卒業しないとできないのか?」と。
自分はチンピラになってから3年になるが、
なったく金も貯まらず、株を習いたいと。
ヒョンスはたしなめる。
タバコに火をつけ、ふかすヒョンス。
「株はこれと同じだ。
金は儲からず、体が悪くなるだけ。それが羨ましいか?」






テサン土建の大株主パク・チャンジュは、
ハンギョルの研究所を見に行くという口実で、
ヒョンスを外に連れ出す。

そしてヒョンスに提案する。
手を組まないか?と。
ジョングが売りに出す時に電話をくれればいいと、
携帯電話を渡される。
「君はこの件では、何も得るものがないじゃないか。
協力してくれれば、君のいいようにしてやろう」と。


新たな問題が起きた。
金融監督院のイ・ジェハクだ。
ミニョンは、本格的にラリーになったら、
こいつがネックになると懸念する。
「金融監督院でも有名な落ちこぼれだ。
いるだろ?刑事気取りのヤツって」
ミニョンはあざ笑う。
「熱心な人みたいね。よくしてあげないと」
と、どこかへ電話をかける。
相手は金融監督院の次官だった。
ソヨンの働きかけで、イ・ジェハク事務官は、
企画調整室へと派遣されることに。
金融院でも重要セクションだ。
「意外とずる賢いヤツだったんだな」
ジェハクの上司は嫌味を言う。
「あそこへ行けば、仕事も山積みだ。俺ならお断りだね」
と、上司は言い捨てて去って行く。
ジェハクは状況が飲み込めない。
ソヨンは、一人ヒョンスを訪ねてくる。
「ヒョンスさんなら、チャンスさえあれば、
見分ける目を持ってると思ったの」
と、携帯電話を差し出すソヨン。
「この携帯に、売り渡し前に電話しろと?」
ヒョンスは笑う。
ソヨンは無言で頷く。
「代価は?」
ヒョンスは尋ねる。
「後々わかるでしょう」
ソヨンは意味深なことを言う。
「断れば?」
ヒョンスは尋ねる。
「それほどバカではないでしょう?」
ソヨンは言い放つ。


ヒョンスは、いつかみつけた外部へ通じる窓から逃げ出し、
弟のジュンスを呼びつける。
そして、自分の机の中に7千万ウォンあるから、
それでテサン土建の株を買えと指示する。
これは千載一遇のチャンスだ。
少なくとも、10倍にはなる。
作戦を練るのはヒョンスだ。
失敗も、バレることもない。
怖気ずくジュンスに言い聞かせるヒョンス。


「そろそろ本当の作戦を始めよう」
ジョングはミニョンに告げる。
ジョングはミニョンに尋ねる。
今回の作戦での利益を。
「あれこれ含め、100億以上の利益だ」
ミニョンは答える。
「今、回している株は200億だ。
手元には更にあるのに、割に合わない。
俺が準備した口座だ。株を全てそこへ移せ」
ジョングはミニョンに命じる。
「ユ・ソヨン、パク・チャンジュ、全て押しのけ、
今回の一発で終わらせるんだ。
もうすぐ選挙だろ?
公認を受けるには、2、30億ってとこかな。
この国では、金だけあってもダメだ。
金。権力。両手に持っていれば、真の1%になれる。
俺達が馬山の金を引き出す。
すると向こうは、あちこち金を捜し回る。
で、一番怪しいのは... カン・ヒョンスだ」
ジョングは言い放つ。
「だが、ソヨンが先にヒョンスをみつけたら、
俺達だとバレてしまう」
ミニョンは懸念する。
「絶対にみつからない。絶対にな」
ジョングは確信を持って告げる。
「イ代理は、人を葬る腕だけは確かだ」
その言葉を聞いたミニョンは、恐ろしくなる。

そして、作戦は始まった。

まずはジョングらが根回しした、
韓国証券テレビの専属アナリスト、キム・スンボム室長が
テサン土建とハンギョル環境工学の買収合併の話を
テレビで持ち出し、アピールする。
これだけで、テサン土建の株価はどんどん値を上げる。
そしてヒョンスが株を操作し、価格を下げる。
目標の4万ウォンまで株価を上げるには、
雑魚を払いのけ、堅実な蟻を育てるのだ。
しかしヒョンスは心配する。
一旦下がった株価をどうやって上げるのかと。


ミニョンはブライアンを呼びつけ、
ヒョンスをサロンに連れて行き、株の裏操作を説明する。
韓国人が一番何に飛びつくかわかるか?
海外製品だ。
ブランド品なら、偽物でもお構いなしだろ?
株式情報にも、海外製品があるんだ。
ブライアンが転がすのは、米国投資会社だ。
つまりアメリカ製。
ヤツが株を買えば?
株式市場では、外国人が買ったとみなされる。
外国人が買ったから、これはいいものだと、
蟻たちが寄ってくる。
これを”黒髪の外人”と呼ぶ。

そして、馴合売買。
ミニョンは酒を株に見立てて説明する。
まず、ここに株がある。
これにちょっとだけ上乗せしてブライアンに渡す。
そしてブライアンは、そこにまた上乗せし、ヒョンスに渡す。
ヒョンスも上乗せし、ミニョンに戻す。
これで、好きなだけ金額を吊り上げることができる。
だが、いくら蟻が群がってきても買うことはできない。
俺達は、取引量と売買時間をきっちり合わせ
瞬時に売買するから、入り込む隙はない。
そして俺達は、さーっと一気に去る。
群がった蟻たちは、目の前から餌が消える。
テサン土建の株価が4万ウォンを超えた。
そろそろ終盤だ。
明日ヒョンスに回して終わりだとミニョンは告げる。
ブライアンには、話を合わせておいたと。
「もうカン次長には会えなくなるな」
ジョングは笑う。
「何が次長だ。明日からは詐欺師だ」
ミニョンはあざ笑う。


翌朝、ミニョンがイ代理らを伴いヘルスクラブへやってくる。
物々しい雰囲気に、ヒョンスは危険を察知。
USBメモリを抜き取り、脅しにかかる。
「これがないと取引はできないぞ!」
しかしヒョンスは、すぐさま捕まり、
USBメモリも奪われてしまう。
しかし何とか反撃し、更衣室へ逃げ込むヒョンス。

ヒョンスは、ソヨンとテサン土建のチャンジュに
同時に電話し、売渡を知らせ、窓から脱出を図る。

電話を受けた時、ソヨンとチャンジュは偶然同席していた。
お互いに、慌てふためいて場を去って行く二人。



ソヨンはナム秘書に、すぐさま口座を凍結するよう命じる。


ヒョンスは例の窓から逃げ出すが、捕まってしまう。
「消耗品は取り替えなければ」
ジョングは、あっさり言い放つ。

ミニョンは、テサン土建の株159株全てを、
ジョングの口座へと移す。
そこへ、ソヨンから電話が。







「大変だ、カン・ヒョンスが逃げた。株を全て引き出して」
ジョングはぬけぬけと嘘をつく。
「どうしてわかったの?」
ソヨンは尋ねる。
「約束の売買時間になっても口座に入ってないから、
確認に来たら既に逃げていた」
ジョングは、尚も嘘をつく。
「私が渡した偽名口座は、USBメモリのない他所では、
確認できないはず」
ソヨンの言葉に、ジョングは凍りつく。
そうだった.... と。
ソヨンはジョングが裏切ったことを悟る。
一方、テサン土建の大株主チャンジュは、
自分の持分の株125株全てを売りに出し、逃亡する。
ミニョンはチャンジュの裏切りに気づき怒り狂う。
テサン土建の株は、下限値まで大暴落してしまった。

ジョングは、怒りが収まらない。

作戦は思いもよらぬ方向へ...
売り抜けた者が勝ちだ!


ヒョンスは、イ代理らに拉致され、
穴に埋めて始末される危機に瀕していた。






その時ジョングから、テサン土建のチャンジュを探すよう電話で指示が入り、イ代 理らはドクサンにヒョンスの始末を任せ、去って行く。

ドクサン一人になり、ヒョンスはドクサンを説得する。
「株がやりたいんだろう?俺が教える。
田舎の親のことも考えないと!」
しかしドクサンは、黙々とヒョンスに砂をかける。
ふいに周りを見渡すドクサン。
そして、ヒョンスを穴から引き上げる。


どこかへ電話をかけるドクサン。
「ユPD、私ですが。永宗島の近くにいます」
電話の相手は、ソヨンだった。
ドクサンは電話を切ると、ヒョンスに告げる。
「ユPDがスカウトしてくれました。
엄마(オンマ)とも一緒に暮らせるんです」と。







その頃、ジョングとミニョンは、
「株式殺人魔」と呼ばれる潰れた作戦を復旧する第一人者であるウ博士を訪ねていた。
彼が動くたびに蟻たちが自殺する。
人呼んで「株式殺人魔」だと。
「ウ博士は前金なしでは動かない」
ミニョンは払える金もないのにと危惧する。
「ユ・ソヨンが偽名口座をみつけるのも時間の問題だ。
直ちに現金化できなければ、俺達は終わりだ」
ジョングは告げる。



「ファン・ジョングもテサン土建のパク社長の裏切りに呆然としているでしょう ね。
せっかく引き出したのに大暴落して現金化もできない。
株を売るためには手段を選ばない。
そのタイミングで私達が先に売れば」
ソヨンは淡々と語る。
「売る株があるのか?」
ヒョンスは呆れる。
「始めたばかりの頃、担保にした株がある」
ソヨンは告げる。
「皆、自分の懐を満たすために忙しかったんだな」
ヒョンスは笑い飛ばす。
「有能な者同士、好きにやってくれ」
と、ヒョンスは降りることを告げる。
その途端、ソヨンは急ブレーキをかける。
「生まれつき株をやっている人間はいない....
そう言ったのは誰?今更、被害者ぶる気?」
ソヨンはヒョンスを責める。
「あんた達の尻拭いをなんでしなきゃならないんだ」
ヒョンスも反論する。
「だから弟にテサン土建の株を買わせたの?」
ソヨンはしっかり情報を掴んでいた。
ヒョンスは返す言葉もなく、逆上し車を降りてしまう。
「お金を取り戻せる唯一の方法なの。
ヒョンスさんも全て失ったでしょ」
ソヨンはヒョンスを説得する。
「ヘマをしたのは今回が初めてじゃないさ」
ヒョンスは強気で言い返す。
「見損なったわ。この程度の人間なら組むんじゃなかった」
ソヨンは言い放つ。
「あぁ、そうかい。ちっぽけな命を助けてくれた謝礼をしないと。いくらだ?10億?100億?
すまないね、俺は一文無しなもんで」
ヒョンスの言葉にソヨンは失望し、頬を叩く。
冷静になったヒョンス。
「すまない...。けど、命がけで金を稼ぐ気はない」
と、改めて断る。
ソヨンは仕方なく、ヒョンスを家まで送り届ける。


その頃ジョングは、ウ博士に交渉していた。
「もっと厳しいのも手がけたことがある。
問題は、手間がかかるということだ」
ウ博士は告げる。
要するに、「金」ということだ。
「直ちに作業に入るとし、10億で手を打ちましょう」
ジョングの言葉を聞いたウ博士は、
黙って紙ナプキンに何かを書き去って行く。
紙ナプキンを裏返すと、「50」と書かれていた。
50億...
すっかり足元を見られている。
ジョングは悔しがる。



実家に戻ったヒョンス。
そこで、ジュンスから思いがけない事実を知らされる。
ヒョンスに頼まれた7千万ウォンだけでなく、
母のマンションを担保に金を借り、株を買ったのだと。
母のマンションまで失うわけにはいかない...
ヒョンスは、作戦に加わる他なくなってしまう。






ソヨンの事務所に着くと、ソヨンは砂まみれのヒョンスの為に、ナム秘書のスーツ 一式を差し出す。
「さっきの売渡のタイミングの話だけど、
引っ張れる確立は?」
ヒョンスはソヨンに尋ねる。
「半分以下ね...
わかってるわ。でも、他に方法がないの」
ソヨンは答える。
「引っ張れないなら、俺達が作らないと。
これを見たことは?」
ヒョンスは、ハンギョル研究所の社長ユン教授の研究ノートをソヨンに見せる。
ソヨンはヒョンスの意図が読めない。




その頃、テサン土建のパク社長がジョングに捕まり、
ボコボコにされていた。
ニュースでテサン土建をアピールした証券アナリスト、キム・スンボム室長(あれはそうよね?)も、
払った金を返すよう命じられ、
ブライアンまでもが、金を用意するよう命じられた。
パク社長の有様を見れば、
恐ろしくて拒否できるはずがない。
金は何とか到達できそうだ。
ジョングはウ博士を呼ぶよう命じる。


二冊のノートを前にソヨンは語る。
「報告書の話をしたのは、あなたが初めてだ」と。
ソヨンはヒョンスの目の付け所に感心する。
「中身は重要じゃないわ。要は、どう利用するか」
ソヨンは言い放つ。

「とにかく、今日中に売られないよう株価を調整しないと」
ヒョンスは緊張の面持ちだ。

「あなたに会わせたい人がいるの」
ソヨンはヒョンスをある場所に連れて行く。
そこで対面したのは、初老の男性。
「馬山を買った田舎者に会いたいのは君か?」
男はヒョンスに声をかける。
男の言葉で、ヒョンスは気づく。
「この方が、馬山創投?」
そして、ソヨンに小声で囁く。
「スーパー蟻ですか?」





男の顔に見覚えを感じるヒョンス。
そうだ、いつか買った本を執筆した人だ!
ヒョンスは思い出す。
「僕はあなたの書いた本で株を習いました」
ヒョンスは感激して告げる。
「それなら、何も学んでないということだな」
馬山創投は、さらりと言い放つ。
「あなたの教えが誤っていたということですね」
ソヨンは馬山創投に言い放つ。
「10分だけだぞ」
馬山創投は、ソヨンの言葉により時間を割いてやることに。


その頃ジョングは、50億を掻き集めウ博士を訪ねていた。




ソヨンは馬山創投に、ユン博士の研究ノートを見せる。
「ユン博士の研究の価値は無限だと言われています」
ヒョンスは説明する。
「今は売る時でなく、買う時です」
ソヨンは告げる。
「ファン・ジョングが売りに出せば、値は更に下がるはず。
なぜ今なんだ?」
馬山創投は言い放つ。
「奴らは、あなたのお金を生涯食いつぶすでしょう」
ヒョンスは告げる。
「売らずに買え」
馬山創投は言い放つ。
「私がこんな計画に乗る人間に?」
馬山創投は微笑む。
ウ博士が作戦の復旧を開始する。
まず、抜ける奴らが去った後に罠を仕掛けると。
底値の株が再び上昇すると信じる馬鹿心理。
それを利用する。
ウ博士は言い放つ。
「午後に注文を入れよう。
今が底値だと思い込み、必ず手を出してくる奴らがいる。
そいつらに引き渡し、売り抜ければゲーム終了だ」
ウ博士は語る。
「下落市場で虚数注文か。易しくはないだろう?」
ジョングはため息を漏らす。
「だから面白いんじゃないか。
安易に飛びつく奴らが地獄を見るのだ」
ウ博士は自信ありげに言い放つ。
「ファンらが動き出したわ。大量の買い注文よ」
ソヨンはヒョンスに報告する。
「それは虚数注文だ。
値が上がればすぐに取り消し、手放す」
ヒョンスは説明する。
「こうして眺めている場合じゃないわ」
ソヨンはとがめる。
「早くに売れば、全て売れずに下限値まで急降下だ」
ヒョンスは言い放つ。
「ユン博士の研究発表だけでも、時間は稼げるはずだ」
ヒョンスは言い放つ。
ソヨンはノートを前に、思い悩む。


ソヨンは顧客でもある国会議員を訪ね、
ユン博士の研究を発表するよう協力を頼む。
「これが実現しない場合、君もわしも窮地に追い込まれる」
国会議員は言い放つ。
「そうでしょうね」
ソヨンは、あっさり答える。
「これで君への貸しは帳消しということでいいかね」
国会議員は協力することを示唆する。
「今後、私を必要とされないのなら」
ソヨンは自信ありげに答える。
虚数注文を入れたものの、悶々とするジョングら。
ウ博士は、おもむろに手帳を開き、
メッセンジャーにログインする。
元安全企画部員の配信ニュースで、
ごく一部の人間だけが知る最高機密情報だと。
一般市民が知ることは、まずない。
購読するには、一ヶ月数百万ウォンの購読料がかかる。
そこには、驚くようなニュースが。
ハンギョル環境工学が、政府主要科学技術部門に
指定されたという。
もちろん、ソヨンの働きかけのおかげだ。
しかしジョングらは、そんなこととは知るはずもない。
明日になれば、ニュースで流れてしまう。
ウ博士は、少しずつ減らしていくよう促す。
しかしミニョンは危惧する。
「上がり始めている株を売ろうと?」
「俺は契約にないことはしない」
ウ博士は言い放つ。
ジョングも納得がいかない。
「こんな好材料を無にしたら、また苦汁を嘗めるんじゃ?」
ウ博士は言い放つ。
「あんたらの株だ。好きにしたらいい。
売らないなら、俺は抜ける」
ウ博士は去って行く。
しかし、それでジョングが納得するはずがない。
50億も払っているのだ。


「あんたが何をした?金は返してもらわないと」
ジョングは博士を引き止める。
(情報を提供したけどねぇ)
「この世界に返金という言葉はないと知らないのか?」
ウ博士は言い放つ。
「乞食の本性丸出しだな」
ウ博士の言葉に、ジョングは不愉快になり、
ウ博士を痛めつけるよう命じる。
その途端、ウ博士は銃を向ける。
「そのまま行かせろ。奴でなくても売れる」
ミニョンはジョングを諭す。
だがジョングは受け入れない。
「金はどこだ!」
ジョングはウ博士を怒鳴りつける。
だが、銃を向けられては、身動きさえできない。
去って行くウ博士。
そこへ陰からイ代理が現れ、
ウ博士の頭部を木材で殴打する。
息絶えてしまうウ博士。
「殺すにしても、金のありかを聞いてからだ!」
ジョングはイ代理を蹴りつけ怒鳴り散らす。
これで、更に50億を失ってしまった。

この調子で株価が上昇し、明日売りに出しても40億だと
ミニョンは告げる。
「40億か...」
ジョングは苦い顔をする。
不安で落ち着かないミニョン。
そんなミニョンを見てジョングは逆上する。
「今までどうしてきたか見てきただろ?
1人も2人も同じだ」
と、ウ博士の死体を見せ脅す。
「完璧にやれ」と。
ミニョンは恐怖で、涙を流す。
ヒョンスはヨイドで、ある人物と接触する。


翌日、ソヨンの部下であるナム秘書が、
ジョングの元を訪れていた。
ナム秘書は、ジョングに買収されていたのだ。
ソヨンの事務所にヒョンスがいることを報告するナム秘書。
それを聞いたジョングは、逆上する。

その時、壮版紙がFAXされてくる。
前日の市場の売買情報だ。
「ユ・ソヨンだ!」
ミニョンは大声を上げる。
「昨日の株価を上げたのは、馬山創投だ」と、
ミニョンはうろたえる。
「くそ、一体何が起こってるんだ」
ジョングは怒り狂う。
「奴らが売りに出したら、俺達は終わりだ」
ミニョンは言い放つ。
そこでジョングは冷静になる。
「ユ・ソヨンは、俺らが何も知らないと思っているはずだ。
なら、取引を阻止すればいい」
ジョングは言い放つ。
ジョングらは、ウ博士の死体をトランクに積み、
ソヨンの事務所へ向かう。




ソヨンの事務所に到着したジョングら。
ミニョンは責任の重さに不安を隠せない。
失敗は許されない。
失敗すれば、自分も殺される....

ジョングはウ博士の拳銃片手に事務所に乗り込む。
ヒョンスは、やすやすと捕まってしまう。
しかし、ソヨンの姿がない。
ミニョンは慌てる。

パソコンのモニターを確認するミニョン。
「別の場所から売る気か?」
ミニョンは叫ぶ。

その頃ソヨンは、
スカイラウンジでパソコンのモニターを見守っていた。


ふとミニョンは、あるメモをみつける。
「水質改善研究 政府認定」
と書かれているメモに、ミニョンは愕然とする。
なぜ、まだ発表されていないニュースを
ソヨンらが知っている?
「配信ニュースを見たろ?」
ヒョンスは言い放つ。
「うまい話には乗らない方がいい。
結局、誰かに利用される」
ヒョンスは言い放つ。
「ファン社長、テサン土建もよかったが、
たまには人だけを信じず、株も信じてみては?」
ヒョンスはジョングに言い放つ。
「誰が先に売りぬくか。1秒でも早い方が勝ちだ」
ヒョンスの言葉を、ジョングはあざ笑う。
「クソ野郎が。売ろうが売るまいが、
お前は俺が始末する」
ジョングは言い放つ。
もうすぐ、市場開始の9時になる。
ソヨン、ミニョンらの顔に緊張が走る。




一方、馬山創投は、
時が来るのを、どっしりと構え待っていた。


市場開始3秒前。
ソヨンは、モニターと向かい合う。




市場開始。
ミニョンは、緊張しながらパソコンを操作する。

「売渡注文が締結しました」
そのメッセージを見て、ミニョンは狂喜乱舞する。
「やった!売り抜けた!」
その言葉を聞いたジョングも満足だ。


「いくら必死に足掻こうと、強い者だけが勝つ。
좆같지?(チョッカッチ:理不尽だろう?)」
ジョングはヒョンスに言い放つ。
「このままで、金融監督院が黙っているとでも?」
ヒョンスは言い放つ。
「調査に一ヶ月はかかるだろう」
ジョングは不敵な笑みを浮かべる。
「そうか、あんたは実業家だもんな」
ヒョンスは、意味深な笑みを浮かべる。



その瞬間、ジョングの顔がこわばる。



複数の人間の足音が事務所に向かっていた。





ソヨンはモニターを見ながら、ほくそ笑む。
ソヨンは株を売ろうとしていたのではない。
事務所に仕掛けた監視カメラをモニタリングしていたのだ。


ソヨンの事務所に大勢の警官が押し寄せる。
ミニョンら、次々と逮捕されていく。









ジョングもついに手錠をかけられる。


事務所を出ると、
金融監督院のイ・ジェハク事務官が待ち構えていた。
ジョングらは”現行犯”で逮捕されたのだ。
一ヶ月の調査など必要ない。
「株価操作及び金融実名取引違反で告訴する」
イ・ジェハク事務官は言い放つ。
ヒョンスらの狙いは、
ジョングらを現行犯で逮捕させることだった。




刑事の一人がジョングの顔を見て声をかける。
「お前は、毒ガスじゃないか!」
ジョングは不愉快そうに告げる。
「なぜ強力班の刑事が?これは厳然なる経済犯罪だ」
ジョングのプライドだ。
その時、ジョングらの車のトランクから、
ウ博士の死体が発見されたとの声が...
「こんなことだと思ったさ」
刑事は言い放つ。
「拉致や殺人も経済犯罪か?」
刑事は嫌味を言う。
ジョングは護送車に乗せられる。
そこには、ミニョンやジョングの部下だけではなく、
ブライアン、テサン土建のパク社長、
そして、証券アナリストのキム・スンボムの姿まであった。
「もうお終いだ....」
ジョングの表情は、そう語っていた。
窓の外を眺めながら、ジョングは漏らす。
「좆같지...(チョッカッチ:理不尽だな)」


「あなたにも話を聞かないと」
ヒョンスは刑事に肩を叩かれる。
「ヒョンスさん」
そこへ、ソヨンが現れる。
「ファン社長は、言った通り現れたでしょ?」
ソヨンは告げる。
「ナム秘書を利用しようとしたのは俺だ」
ヒョンスは反論する。
「取引内容を、わざと知らせたのは私よ」
ソヨンも譲らない。
「体を張って囮になったのは、俺だけど」
ヒョンスは、恩着せがましく言い張る。
ソヨンは呆れて笑う。
二人は笑い合い、そしてヒョンスはため息をつく。
「ちょっとだけ待って。何とかするから」
ソヨンはヒョンスを励ます。
連行されて行くヒョンスを見守るソヨン。
時は遡り....
いつか、ヨイドで接触した人物とは、
金融監督院のイ・ジェハク事務官だった。
イ・ジェハクの名刺を受け取り、ポケットにしまったヒョンス。
ポケットの中に入っていた名刺に気づく。
それは何と、ファン・ジョングの名刺だった。
ヒョンスが着ているのは、ソヨンのナム秘書のスーツ。
ナム秘書は、ジョングと通じていたのだ。
悔しがるヒョンス。

ヒョンスの証言があれば、ジョングを告訴できると、
イ・ジェハク事務官は告げる。
「証拠を挙げる前に、海外に移すでしょう。
捕まっても、出所すれば裕福な生活が待っている」
ヒョンスは、それでは納得できなかった。
「取引現場を押さえれば確実でしょう?」
ヒョンスは尋ねる。
イ・ジェハクは苦笑いする。
「いつ売るのかわかれば苦労しません」
「それならば、誘い出せばいい。
”作戦”とは、株だけに使う言葉ではありません」
ヒョンスは微笑む。
既にヒョンスの中では、作戦が練られていた。
名刺により知ったジョングとナム秘書の関係を
利用しようと。
そうして、あの現行犯逮捕劇となったわけだ。

パトカーの中でニュースを聞くヒョンス。
そこでは、ハンギョル環境工学の政府認定のニュース。
瞬く間にハンギョルの株は連日ストップ高を更新し、
両親のマンションは守ることができた。
俺の7千万はどうなったか?




1年後。

「水質改善の突破口、ユン博士」
と、ユン博士のニュースが雑誌の表紙を飾る。

ヒョンスはといえば、また演劇を始めていた。
ポスターを貼りながら、ソヨンに電話するヒョンス。
「久しぶりねぇ、公演はいつから?」
ソヨンは尋ねる。
「明日からだ。来れるだろ?」
ヒョンスは答える。
「この前みたいに、また”村人A”じゃ?」
ソヨンは嫌味を言う。
「セリフはあるさ!」
ヒョンスはムキになって言い返す。
「ホントでしょうね」
ソヨンは疑いの目を向ける。
「バカにしてるだろう」
ヒョンスは不愉快だ。
「招待券をくれたら行くわ」
ソヨンは告げる。
「招待券?」
ヒョンスは呆れる。金持ってる人間のくせにと。
「いい、いい、来るな、来るな」
ヒョンスは、すねる。
そんなヒョンスが愉快でソヨンは微笑む。
「稼いでる奴は忙しいもんな。じゃあな」
ヒョンスは電話を切る。
そして、BMWの前でドアロックを外す。
ヒョンスの車だ。
ヒョンスは証券会社に電話する。
「ハンギョルの配当金は?」
ヒョンスは尋ねる。
「いくら?2億...?」
ヒョンスは驚く。笑いが止まらない。
「いい中小企業をみつけたから、3年間だけ投資する」
ヒョンスは告げる。
ヒョンスの車は、軽快に街を走って行く。
そして、馬山創投と対面したあの日......

「この本は、過去の汚点だ」
馬山創投は告げる。
ヒョンスが株を学んだという馬山創投の本のことだ。
「この本を出した後、半年で、また一文無しになった。
君達の言う”乞食”ってヤツだ。
1日だけで倍になったり、潰れたりする会社はない。
しかし株式市場では、1日で億単位の利益や損失が出る。
それはどういう意味が?
何の意味もない。
欲望が渦巻いているだけだ。
そのことに気づいてから、
株価よりも会社を見るようになった。
そこで働く従業員を...
難しい状況だな」
馬山創投は、嘆く。
「まだ、終わってません」
ヒョンスは告げる。
ヒョンスの言葉に、馬山創投は納得する。

こうして、ヒョンスらと、ジョングらの戦いが始まったのだ。
そして、ヒョンスの作戦は見事成功した。




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