猟奇的な彼女  My Sassy Girl 
 原題:猟奇的な彼女 엽기적인 그녀(ヨプキジョギン  クニョ)<2001>

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猟奇的な彼女

除隊後、復学したキョヌは、ある日地下鉄の駅で酒に酔いよろけて線路に落ちそう な彼女(チョン・ジ ヒョン)を助けてあげる。

ところが、この小さな親切が仇になる。彼女は車内で前に座ったハゲ頭おじさんのカツラの上にあっという間に吐いてしまう。そし て、キョヌをまるで自分の彼氏のように呼びながら倒れたのである。

名前も知らない彼女を背負って旅館を探してさ迷い、高い宿泊費まで渡したところ、今度は 突然警察が押し入り破廉恥犯扱いされてしまう。

やっと悪縁が終わったかと思った頃、彼女から電話がかかってくる。昼間に見たら結構可愛いい女の子。しか し、怖い女性は避けるのが上策だ。ところが、酒に酔った彼女の涙がなんだか気にかかる。



【予告編】

監督 クァク・ジェヨン(郭在容) <1990>雨降る日の水彩画、<1991>秋の旅、<1993>雨降る日の水 彩画2、
<2001>猟奇的な彼女、 <2002>純愛中毒(脚本)、<2002>ピアノを弾く大統領(脚本)、
<2003>ラ ブストーリー、<2004>僕の彼女を紹介します、 <2006>デイジー(脚本)、
<2008>僕の彼女はサイボーグ(日 本映画)、<2008>最強☆彼女(制 作: 2006年)

出演

チョン・ジ ヒョン

出演作品一覧

チャ・テヒョ ン

出演作品一覧

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【レビュー&ネタバレ】
韓国映画の代名詞ともいえる映画。
観客動員は全国490万人と、歴代トップ10には及びませんでしたが、
この映画は傑作だと思います。
面白い映画だとしても、一度観てしまえばもう一度観ても楽しめないものがほとんど。
けれど、この映画は観るほどに好きになる。
初回は面白くて、ちょっぴりせつなくて、胸がキューンとなるような感じで終わったけれど、
二度目は、ポロポロ泣きました。
この映画は、何年経っても、何度でも、楽しめる映画だと思うわ。
まさに’何度でも観たい映画’
面白い映画だけれど、こういう映画が嫌いな人もいるのよね。
たいていの方にはオススメできると思うけれど。

この映画は、脚本も、監督も、キャスティングも、すべてパーフェクト。
なによりも、チョン・ジヒョンとチャ・テヒョンでなければ、
ここまで魅力的な映画にはならなかったでしょう。
そして、タイトルも・・・見事。
엽기적 (ヨッキジョク)は直訳すれば’猟奇的’
けれど、韓国の若者には’ステキ’とか、’新鮮’などという褒め言葉として使われている流行語。
それを’ステキな彼女’などという邦題にせず、’猟奇的な彼女’としたセンスはすばらしい!
日本で’猟奇的’といえば、ちょっと恐ろしい感じ。
そんな恐ろしい彼女を演じるのがチョン・ジヒョンだからこそ、
そのキュートさとのギャップで魅力倍増。
そして、強い女に振り回される優しい一途男を演じさせたら天下一品のチャ・テヒョン。
この映画でも、’本当の優しさ’を見せてくれる。
’優しさ’というのは、’気が弱い’のとは違う。
本当に優しい男は、強いのだ。
女のすべてを許し、受け止め、包み込む・・・そんな優しさを見事に演じてます。
一見’情けない男’に見えるけど。

二人のラブストーリーが最高。
何かといえば「死んでみる?(죽을래:チュグレ)」と言う彼女。
最後の最後まで、’彼女’は名前は明らかにならない。
アイスクリームを頼もうとすれば、「死にたくなければコーヒーにしとけ」
キムチチゲを頼もうとすれば、「つぶ貝にしときな」
と、いちいち命令。これが笑う。
けど、ただの「無頼漢」なわけではなく、正義感。
しかも、純粋で純情な正義感。
援交する男女の間に割って入って説教するわ。
電車で老人に席を譲らない若者をドつくわ。
電車の床に落書きする子供を叱るわ。
ポイ捨てする男に説教するわ。
すがすがしい。
正義感なだけではなく・・・・ ワガママで自己中なんだけど(笑)
でも、主人公キョヌが「彼女といると一日が過ぎるのが早い」と言うのも理解でき、
憎めないというか・・・目が離せない。
実は、’彼女’には、心に深い傷があって・・・
それを知った瞬間、’彼女’を深く愛してしまうことになる・・・
キョヌも、彼女の心の傷を知り、「この人の心の傷を癒してあげたい・・・」と
’彼女’の本当の姿を理解し始める。

本当にステキなステキなラブストーリー。
そして、遊び心も満載。マニアにはたまらない映画になってるわ。
よく’ゴミ映画’の監督が、中身がゴミだと悟らず、遊びにばかり力を注いでたりするけれど、
この映画は、更に映画を楽しませてくれるわ。
たとえば、キョヌが彼女をおぶって入った旅館(韓国ではラブホテル)の壁に貼られた
’五つ子’の新聞記事。
これは、旅館のおじさんが五つ子の一人なんですね(笑)
あとの4人は・・・地下鉄駅員、留置場の中の’当たり屋’の親分・・・これで3人。
あとの二人は、わかりづらすぎ。
あの旅館には、五つ子のうち二人が働いていて、主人と従業員なんですね。
そしてもう一人。これは観てもわかりません。
彼女の通う女子大の守衛さん。
その日はどうしてもその俳優(キム・イル)の都合がつかず、似た人で撮影したんだそうです。
なので、後ろ姿だけ。
他にも、UFOが飛んでいたり・・・・・・・・・・
彼女がシナリオ家志望ということで、
彼女の書いたシナリオのストーリーが展開したりと・・・
そのシナリオも独特で・・・(笑)
生きたまま埋められちゃうのには笑いが止まらない。

まぁ、そんなこんなで・・・
ストーリーは簡潔で、すごく短時間で作れそうなものなのに、
無駄なものが多いわけね。
この’無駄’を楽しめるか、それとも、’無駄’と感じるかが
この映画を好きになれるかどうかの境目かしら。

出演者も、なかなか楽しめるわ。
キョヌの父には、mocaの大好きなキム・インムン씨
キョヌの母は、冬ソナのペ・ヨンジュン母、ソン・オクスク。
この二人が夫婦って・・・・ どう考えても親子なのに・・・・・・・・・
そして、彼女の父は、ハン・ジニ。
' グリーンローズ ' のイ・ダヘ父、' ホテリアー 'のソン・ヘギョ父、
moca的には ' あの青い空の上に ' のスノ父が一番好きですが・・・
この映画の父役もいいわね。娘同様、焼酎3杯で’コテっ’と眠ってしまう(笑)
遊園地の脱走兵は、' 兄嫁は19歳 ' で、ユン・ゲサンと同居していた友達、ソ・ドンウォン。


この映画を観ていない方がここを観るとも思えませんが、
ネタバレしてますので、ご注意を。



原作と映画は随分違いがあって、映画の方が断然いいです。
元カレは死んでしまったからこそ、彼女の心の痛みが伝わってくるし、美しい・・・
そして、結末も・・・・
あのラストだからこそ、この映画が輝くのです。
原作では、二人は会えないままだそう・・・

後半戦は、けっこうせつないです・・・
彼女がお見合いをして、キョヌが見合い相手に残した言葉・・・
そして、’別れの準備’を始める彼女・・・
2年後の今日、ここに来てタイムカプセルを一緒に開けようと・・・
なんで・・・と思いますよね・・・
けど、彼女の気持ちもわかる・・・・・
元カレのことも愛していたし、キョヌのことも愛し始めていた
純粋な彼女にとっては、どうしていいのかわからなくなってしまった・・・
二年後、もっと親しい関係になるのか、それとも永遠に離ればなれになるのか・・・
キョヌは再会した時に、今とは違う自分を彼女に見せられるよう
その2年間を、自分を磨き、有意義に過ごしていたけれど、
寂しさに耐えられず、ネットに彼女とのことを書き始め、
それが「猟奇的な彼女」として映画化されることになり、
彼女の夢をキョヌが代わりに叶えてしまうことになり・・・
そして2年後の約束の日・・・
彼女は来ませんでした。
キョヌは、一人でタイムカプセルを掘り手紙を読みました。
そこには彼女の以前の恋人は亡くなってしまったと書かれていました。
そして彼の面影をキョヌに求めていたということも・・・
彼女がキョヌと出会ったのが、彼が亡くなってちょうど一年目。
その日彼女はこの木の下で彼に’自分を自由にして欲しい’と祈ったと、
だから、彼がキョヌと引き合わせたのではないかと思ったと、
キョヌを愛することは、彼に申し訳なく・・・
キョヌに彼の面影を求め、彼を忘れようとすることはキョヌに申し訳なくて・・・
一人になって彼のことを忘れたかった・・・
もし2年後に現れなければ、それはまだ会う勇気がないということだと・・・

キョヌはそれからも度々その場所を訪れ、彼女は約束の日から1年後にやってくる。
「もしキョヌとの出会いが、運命だったら偶然にどこか会えるのではないか」
と、彼女は木の下で出会った老人に話し、
「運命は努力した人に偶然という橋を架けてくれる」
と、老人は言う。
そして、この松の木は実は昨年落雷で死んでしまったが、
ある青年が以前と同じように見える木を探して植え直した
この木がなくなってしまったら悲しむ人が人がいると・・・青年が言っていたと彼女に聞かせる。
キョヌの想いを知った彼女は、キョヌに連絡を取ろうとするが、
携帯の電話番号は変わってしまっていた。
彼女は涙に暮れる・・・

この松の木のエピソードがせつなすぎる・・・
そして、彼女と出会った時、「この人の心の傷を癒してあげたい」と思ったこと、
もっと親密になりたい・・・
彼女がキョヌの想いに気づき、自分のキョヌへの想いに気づき・・・
連絡してみれば、番号が変わっていて・・・
なんでよー
それからも何度もあの場所に行っているのは、彼女と会いたいからでしょう?
なぜ番号を変えちゃうのー?
変えたなら、タイムカプセルに番号を入れたらいいじゃないー
まぁ、番号もわからず、再会する術がないからこそ、あの感動的なラストにつながったのですが・・・
あのラストは、本当にステキ。
最高のラスト。
あのラストで、今までの伏線が一気にわかって、感動の嵐。
'息子を亡くした叔母さんに、顔がそっくりなおまえが顔を見せてやりなさい'
'女の子を紹介してあげるわ'
あの時紹介されていたら、こんな風にはなれなかったわね。
運命って、すごいわ。
この映画、最高。




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