ラジオスター Radio Star |
原題:ラジオ・スター 라디오 스타(ラディオ スタ) <2006> |
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監督 | イ・ジュニク (李俊益) | <1993>キッド・カップ、<2003>黄色平野、<2005>王の男、<2006>ラ
ジオスター、<2007>楽しき人生、 <2008>あなたは遠いところへ、 <2009>雲から抜けた月のように |
出演 |
パク・チュン フン(朴重勲) |
<1993>
トゥ・コップス、<1996>トゥ・コップス2、<1999>NOWHERE
情け容赦なし、<2000>不朽の名作、 <2001>セイ・イエス、<2003>黄山平野、<2004>あぶない奴ら ~TWO GUYS~、<2004>天軍、 <2006>強敵、<2006>ラジオスター、 <2009>TSUNAMI-ツナミ-、<2010> 私のヤ クザみたいな恋人、 <2011>逮捕王 |
アン・ソンギ (安聖基) |
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チェ・ジョン ユン |
<2000>友引忌-ともびき-、 <2002>ボイス、<2003>輪廻
リ・インカーネーション、 <2004>コックリさん、<2006>ラジオスター、 <2007>あいつの声 |
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チョン・ソギョン | <2000>キ
リマンジャロ、 <2001>MUSA
-武士-、<2003>英語完全征服、 <2003>チャ・テヒョンのハッピー☆クリスマス、 <2005>チャーミング・ガール(女、チョンヘ)、 <2005>王の男、<2006>みんな、大丈夫ですか?、< 2006>相棒、<2006>ラジオスター、 <2006> 夏物語、<2006>中天、<2007>覆 面ダルホ、<2007>葡萄の木を切れ |
【レビュー&ネタバレ】 |
大ヒットを記録した王
の男のイ・ジュニク監督の次回作であり、 パク・チュンフンとアン・ソンギの7年ぶりの共演ということで注目を集めた作品。 観客動員数は約186万人。 ヒットまでもう一歩というところでしょうけれど、この無難な作品でこの数字を獲れたのは、 やはり作品の良さなのでしょう。 前作で、男同士の’愛’というセンセーショナルな題材を扱ったわけですが、 イ・ジュニョク監督の基本はやはりコメディーのようです。 好きなコメディーを撮ってこの数字なら、本望なのでしょうね。 2006年は韓国映画低迷の時期でありながらも、 1位 グエムル~漢江の怪物~ 約1300万人 2位 いかさま師 約680万人 3位 美女はつらいよ 約661万人 という、記録を塗り替える大ヒット作がいくつも生まれた年。 それに続くのが、
韓国で大ヒットしたグエムル~漢江の怪物~や王の男など、 日本で惨敗しているように、韓国での数字は日本では参考になりませんので、ご注意を。 mocaは、イ・ジュニク監督の前作王の男はまったく面白く ありませんでしたが、 この<ラジオ・スター>は好き。 大ヒットを記録した2006年の上位3作↑よりも、この映画の方がずっと面白い。 コメディーでありながらも、いつまでもスター気取りの落ちぶれた歌手の成長と、 いつかまたスターの座に輝くことを願いながら献身的に世話をやくマネージャーの友情という 感動を意識したヒューマンドラマも織り込まれておりますが、 そこはちょっとベタすぎてイマイチでしたね。 この映画の良さは、登場人物たちが織り成す温かで優しいハーモニーでしょう。 観終わった後には、心が温かさで満たされます。 頭をからっぽにして笑って、笑って、ちょっと泣いて...... こういう映画はありがちなのに少なくて、本当に貴重だと思いますわ。 主演はパク・チュンフンとアン・ソンギ。 この二人は青龍賞で主演男優賞のダブル受賞となったわけで、 大鐘賞ではアン・ソンギが、春史大賞ではパク・チュンフンが主演男優賞を受賞しております。 けれど、この映画の功績は二人ではなく、二人を支える助演たちにあると思えて仕方がありません。 支局のミキサーに、ここ近年、めざましい活躍を見せているチョン・ソギョン。 支局長に、青春漫画のクォン・サンウ父、チョン・ ギュス。 ソウル本局長に、ガン&トークスで、シン・ヒョ ンジュンたちに銃を調達して くれるおじさん、 エア・シティのオン班長な ど、ユン・ ジュサン。 そして、一番の立役者!寧越(ヨンウォル)唯一のロックバンド、イーストリバー(東江)を演じるノーブレイン。 バカでオチャメで、素直で... ここまでバカだと可愛くて仕方ない(笑) その他、中華料理屋の出前持ち(キム・グァンシク)、タバン(喫茶店)のキムアガシ(ハン・ヨウン)など 映画を支えております。 みんな本音バリバリ、言いたい放題でございますが、その中に韓国の情を感じます。 人と人とのつながりって面白いと感じさせてくれますわ。 カンPDには、友引忌-ともびき-で、ハ・ジウォ ンに嫉妬を燃やすソネ役、 ドラマ<美しい彼女>では、ジムの館長の娘ウニを演じたチェ・ジュンヨン。 久しぶりに見たら、さすがに老けてたわ。もう、三十路前ですものね(撮影当時) それでも、やっぱりキレイです。 でも、なんだかもう........ どうしても沢尻エリカに見えちゃって........ 気分悪。 お涙ちょーだいの父が蒸発してしまった男の子ホヨンには、 ドラマ<復活>のオム・テウン子役、礼儀なき者たち のカン・ サン君。 この子、本当に可愛いわ。 ホヨンのエピソードは、この映画で一番好きです。 チェ・ゴンも好きになりました。 芸能プロダクションのヤリ手社長。 どっかで見た顔だと思ったら、同い年の家庭教師2 のおまわりさんでした。 この映画のポイントは、登場人物たちの織り成す人間ドラマ。 そしてもう1つは、舞台となる江原道(カンウォンド)寧越(ヨンウォル)の風景でしょう。 寧越はよく映画の撮影でも使われる場所です。 愛してるから、大丈夫、<僕らの落第先 生>、天 国からの 手紙など。 寧越の街並みが、疲れた心を癒してくれます。 さて、ストーリーの方ですが.......... 88年の歌謡大賞を受賞したスター歌手チェ・ゴン。 しかし、マリファナで逮捕されたり、暴行事件に巻き込まれたりと、世の中から姿を消すことに。 今ではすっかり落ちぶれて........ カフェ村の小さなステージで弾き語りをする程度。 88年っていえば、もう20年近くも前の話。 その間チェ・ゴンを支えてきたのは、マネージャーのパク・ミンス。 すごいことだわ、20年近くも......... パク・ミンスは家庭も顧みず、子供に存在を忘れられてしまうほど。 チェ・ゴンのためだけに生きる人生。 そのミンスのおかげで、チェ・ゴンはスターとしてのプライドを捨てることもなく生きることができた。 しかし、チェ・ゴンはカフェ村の社長を殴り留置場に。 だが、ミンスには保釈金を用意することもできない。 保釈金の工面に走りまわるが、「寧越の放送局のDJを引き受ければ金は出す」という ソウル放送局の局長の提案を受け入れるしか道がない。 ミンスとチェ・ゴンは寧越支局へやってくる。 しかしそこは、今では原州(ウォンジュ)で録音された番組を中継する中継点でしかなく、 支局長とミキサーのパク技師しかスタッフもいないような寂れた場所だった。 そこへやってきたのは、原州で放送事故(放送中にDJに対しての暴言を吐いた)を起こし左遷されたカンPD。 チェ・ゴン、ミンス、支局長、パク技師、カンPDの5人は、チェ・ゴンの番組をスタートさせる。 しかし、まったくヤル気のないチェ・ゴン。 放送中にタバンのキムアガシにコーヒーを配達させたチェ・ゴンだが、 こともあろうに、キムアガシに「好きなことしゃべっていいぞ」と、マイクを渡してしまう。 だが、そのキムアガシの話がリスナーの共感を呼び、地域住民の連帯感が生まれ始める。 DJの仕事にやりがいを感じ始めるチェ・ゴン。 寧越に住む寧越唯一のロックバンド、イーストリバー。 彼らはチェ・ゴンを ”師匠” と崇める熱狂的なファン。 チェ・ゴンが寧越にやってきた時からチェ・ゴンにひっついて追い掛け回す。 彼らはチェ・ゴンのファンサイトを作成し、録音した番組をインターネットで流し始めた。 寧越限定のローカルなラジオ番組が、インターネットを通じ全国へ。 爆発的な人気を得て、チェ・ゴンはソウルへ帰り、全国放送のDJを任されることに。 それだけでなく、チェ・ゴンの音源を販売したいという大手芸能プロダクションの社長まで現れる。 ようやくチェ・ゴンに復活の時がやってきたのだ。 ↓ 結末ネタバレ。 ご注意を↓ ミンスは大手芸能プロダクションの社長に呼び出される。 しかし、思いもよらない出来事が待っていた。 ミンスを抜きでチェ・ゴンと契約したいというのだ。 「あなたはチェ・ゴンのためにこの20年何かできましたか?」 社長はミンスに痛烈な言葉を浴びせる。 チェ・ゴンを復活させるため、身を引くことを決めるミンス。 しかし、チェ・ゴンはミンスに裏切られたと誤解してしまう。 喧嘩別れになるチェ・ゴンとミンス。 しかし、ミンスがいなくなった今、チェ・ゴンは何もヤル気になれない。 全国放送も、音源販売も、チェ・ゴンには無意味だった。 番組の最中、チェ・ゴンはミンスに呼びかける。 「頼むから帰ってきてくれ」と。 ラジオを聞いていたミンスはチェ・ゴンの復活のために頑なに拒否するが、 妻に背中を押され、チェ・ゴンの下へと戻っていく。 |
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