ペパーミント・キャンディー  Peppermint Candy 
 原題:ハッカ飴 박하사탕 (パカサタン) <2000>

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ペパーミント・キャンディ
妻に離婚され、同業者の裏切りに遭い家具店をも失った40歳中年男のヨンホは (ソル・ギョング)、無 気力と絶望の極限に至り、銃を手に入れ自殺しようという瞬間にクァンナム(パク・セボム)という男の突然の訪問を受ける。

ヨンホは、クァンナムに引き連れられて初恋の女性ユン・スニム(ムン・ソリ)に会いに行く。初恋は、はっか飴ひとつを食べても最高においしかった20歳の 純粋さの記憶。妻の不倫を目撃し、自らも浮気をする家具店社長、暴力的狂気に染まる刑事、5月の光州に立った軍人、そして初恋を経験する青年、逆順構造の 話は、一歩一歩20年を逆上る。

【Highright Seens】 

監督 イ・チャンドン(李滄東) <1997>グリーンフィッシュ、<1999>ペ パーミント・キャンディー、<2002>オ アシス
<2007>シークレット・サンシャイン、 <2010>詩

出演

ソル・ギョン グ(薜景求)

出演作品一覧

ムン・ソリ

<1999>ペ パーミント・キャンディー、<2002>オアシス、 <2003>浮気な家族、<2004>大統領の理髪師、 <2005>愛してる、マルスンさん、 <2006>チ・ジニ×ムン・ソリ 女教授<2006>家 族の誕生
<2008>私たちの生涯最高の瞬間、 <2008>謝罪(制作2005年)、<2009>飛べ、ペンギン、<2010>小さな池

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【レビュー&ネタバレ】
2000年1月韓国公開された <ペパーミント・キャンディー>でございます。
韓国映画好きの方なら、必ず耳にしたことがあるでしょう。
ですが、実は日韓共同制作なんですね。
<名作>として、勧められる一作です。
だからといって、誰でも楽しめるわけじゃありません。
好きな人もいるでしょうけど、嫌いな方だっておりますわ。
mocaはどちらかというと、嫌いです。
心で感じれないから。
一人の男が、人生を狂わせられていく過程を、時間を遡りながら描いていくのだけれど、
その根底に何があったのか・・・
そうなるには、どんな理由があるのか・・・
それはとても興味深いテーマかもしれないけれど、
mocaにしてみれば、目新しくもなんともない。
確かに、どことなく懐かしさを感じる映像・・・そして、人間の心理・・・
惹き込まれるものがあるわ。
そして、何よりソル・ギョングの演技が見事!
20歳の若者から、40歳の中年まで一人で演じているのだけれど、
その年齢もまったく不自然じゃないの。
その年齢、その年齢により、別人になっていくのよ・・・
時間を逆に遡っているので、若返っていくような感じね。
そして、20歳の頃の純朴で誠実な自然を愛する青年・・・
年齢だけれではなく、本当にその性質までをも見事に演じて・・・別人のようです・・・
ソル・ギョングにとっては、映画デビュー作。
その印象は強烈で、とても新人とは思えないわ。
この頃から大物の輝きを放っているのよね。

誰でも一度くらいは過去に戻れるなら、いつに帰りたい?と想像するわよね。
ホンホは、「帰りたい、戻りたい」と叫びながら列車の前に立ちはだかり・・・
人生において、数度の岐路・・・
その選択の1つ1つが人生の歯車を狂わせ、
最後には、死ぬしか術がない崖っぷちへと追い込まれ・・・
過去の選択・・・
それは、決して自分の意志だけではなく・・・
残酷な運命の悪戯としか言いようもなく・・・
ヨンホが純粋で気の小さな心優しい人間であったからこそ、
狂ってしまった歯車。
真っ白なものほど、汚れやすいものだから・・・

この映画は、20年間を7段階に分け、遡っていきます。

ピクニック 1999年 春

ヨンホは鉄橋の上へと登りつめ、列車に向かって立ちはだかる。
「帰りたい!帰してくれ!」

3日前 1999年春 カメラ

ラジオの告知コーナーで、20年前同じ工場で働いていた仲間たちで、
20年前と同じ場所にピクニックに行くという案内が流れる。

ヨンホは拳銃を密売人から買い取る。
突然ヨンホの前に現れた男に、自分の荒んだ生活を見せつけ、
自分をこんな境遇に貶めた株屋、高利貸し、裏切った共同経営者である友人、妻・・・
いったい誰を道連れにすればいいんだ?と、男に投げかける。
男はヨンホの初恋の相手スニムの夫であった。
男は、「スニムが貴方に会いたいと言っている」と、ヨンホを連れ出す。

スムニは、人工呼吸器で命をつないでいる危篤状態。
ヨンホは、ペパーミント・キャンディーをスニムに見せながら
「すまない、スムニ」と、泣きながら詫びる。

「これは、あなたのものだとスニムが言ってました」
病院を出ようとするヨンホに、スニムの夫が古いカメラを渡す。
ヨンホはカメラを売りに出し、中に入っていたフィルムを引っ張り出し泣き崩れる。

人生は美しい 1994年 夏

ヨンホは妻が不倫をしていることを突き止め、現場に踏む。
ヨンホも、会社の事務員と不倫をしている。
ヨンホはある男と偶然再会する。
トイレで隣り合った先程の男に尋ねる。
「人生は美しい、だろ?」

告白 1987年 春


ヨンホはある男(↑の「人生は美しい」で再会する男)を逮捕する。
男に拷問で告白を強要する。
拷問の苦しさに負け自白した男に、ヨンホは尋ねる。

お前の日記に「人生は美しい」と書いてあったが、そう思うか?

男は答えない。

祈り 1984年 秋

新米刑事のヨンホは、 未だ取り調べを経験したことがなく、
先輩たちにやってみるよう促される。
初めはぎこちなさがありつつも、すぐに暴力的な態度を見せるヨンホ。
取調べを終えると、ス ニムが面会に来ていることを知らされる。
「軍隊にも面会に行った」、と話すスニム。
ヨンホは、他人のように冷たい。
別人のようなヨンホに驚きながら、キムの優しい手が好きだと言うスニム。
その途端、ヨンホは食堂の女の尻を撫で回す。
傷ついたスニムは、ヨンホにコツコツ貯めた金で買ったカメラを渡す。
しかしヨンホは、スニムにカメラを返してしまう。

夜、食堂の女の部屋(後の妻)
ヨンホと女は初めてSexしようとするが、行為の前に女は祈りを捧げる。

面会 1980年 5月

スニムが門衛の兵士に面会を求めるが、非常事態を理由に断わられてしまう。
そこへ出動命令が下る。
車で輸送される兵士達は、道を歩いているスムニを見て囃し立てる。
ヨンホは、スニムをただみつめるだけ。

夜、市街戦。
足を撃たれたヨンホの前に人影が・・・
親戚に遊びにいった帰りの女子高校生だ。
戒厳令下で捕まれば大変なことに・・・
許しを請う高校生に、「みつかる前に早く帰れ!」と叫ぶヨンホ。
ヨンホを探しにやってきた仲間たちにみつかる前に追い返そうと、銃で威嚇するが、
誤って女子高生を撃ち殺してしまう。女子高生を抱き、号泣するヨンホ。

ピクニック 1979年 秋



샌드 페블즈(Sand Pebbles), 나 어떡해(1977)

河原の花を見つめるヨンホ。
スニムが照れながら話しかける。 二人は恥ずかしそうに並んで歩く。
「いつかカメラを担いで、名もない花を撮り続けたい」と話すヨンホ。
スニムはペパーミントキャンディーをヨンホに差し出す。
スニムに咲いていた花を手渡すヨンホ。

20年後に戻り・・・
鉄橋の上で、列車の前に立ちはだかるヨンホ。



20年前に遡った途端、衝撃で言葉を失ったわ・・・
それまでは、よくわからないままに振り回されていたような感じで、
20年前に遡った瞬間に、すべてが繋がったの。
ヨンホは本当は心美しい青年で、光州事件の時に女子高生を誤って撃ち殺して以来、
人生が狂い始めてしまったのよね・・・
優しさゆえに執った行動が、皮肉にも最悪の事態を招いてしまう・・・
名もない花をカメラに収めながら生きることが小さな希望だった純朴な青年が、
暴力狂気刑事になり、金儲けに走り、友人には裏切られ、事業に失敗し、
妻には浮気され、自分も浮気をし・・・
そんな荒んだ生活に・・・
誤って人を殺してしまった痛みがmocaにはわからないけど、
たいていの人間は、ここまで苦しまないでしょう・・・
純粋すぎるが故に、歯止めが利かないほどに壊れていく・・・
どこに怒りをぶつけていいかもわからず、
すべてが恨めしくて・・・
そんな時に、幸せであるが故の無知な女に、
奇麗ごとを並べられてもイラつくだけで、痒くない場所を掻かれても鬱陶しいだけで・・・
ヨンホはスニムを傷つけてしまう・・・
けれど、最後にヨンホを救ったのはスニムで・・・
自分の意志で人を殺さずに済んだことだけが救いというのもせつないですが・・・
きっとヨンホのように歯車が狂ってしまった方は大勢いると思います。
傷だらけで痛くて痛くて、それ故に、触るもの皆傷つけずにはいられなくて・・・
そんな辛い人生を送っている方に、多くの優しさが降り注ぐことを祈ります・・・

随分前の映画なので映像がなくて、拝借してきました。
9分と長いので、観るか観ないかじっくり検討してください。







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