お客様は王様だ The Customer Is Always Right |
原題:お客様は王だ 손님은 왕이다(ソンニムン ワンニダ) <2006> |
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監督 | オ・ギヒョン | <2006>お 客様は王様だ |
出演 |
ミョン・ゲナ ム(明佳男) |
【出演】 <1993>
あの島へ行きたい、<1994>外の世界へ、<1994>薔薇色の人生、 |
ソン・ジル |
<2001>
風林高、<2001>公共の敵、<2001>ア
フリカ、 <2002>ライターをつけろ、(友情出演) |
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ソン・ヒョナ(成賢娥) | <2001>真
心の斧、 <2004>女は男の未来だ、
<2004>スカーレット・レター、 <2005>チェロ ホン・ミジュ一家殺人事件、<2005>秘愛 Secret Love、<2006>お客様は王様だ、 <2006>絶対の愛(時間) |
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イ・ソンギュン |
<2002>サ
プライズ、 <2002>恋
する婚活プランナー、<2002>ボス上陸作戦、 <2002>僕は彼女をはなさない、 <2002>菊花の香り、<2004>R-POINT、 <2004>初恋のアルバム ~人魚姫のいた島~、<2004>恋する神父、 <2004>ヒッチハイキング(短編映画)、<2006>お 客様は王様だ、<2006>残酷な出勤、 <2007>俺たちの街、<2008>アバンチュー ルはパリで、<2008>サグァ(2005年制作)、 <2008>ロ マンチック・アイランド、<2009>パジュ(坡州)、<2010>オッキの映画、<2011>逮捕王 |
【レビュー&ネタバレ】 |
ソン・ジルが大好きで、大好き
で、仕方がないmoca。 口笛姫 で、ノックアウトされちゃったのだ。 その後も、ドラマ<波乱万丈 ミス・キムの10億作り>や、君 に 捧げる初恋で、更に株上昇。 映画の出来は気になるところだけれど、 ソン・ジルが観れればいいやー という感じ。 それに、原作が西村京太郎の<優しい脅迫者>だと知って、興味が描き立てられたわ。 ○○サスペンスだとかで、この原作ドラマを観たような気はするけれど(サスペンス好き)、 筋を覚えてないし(笑) が、しかし、驚いた。 同じ原作でここまで別物になるものか。 やっぱり、○○サスペンスごときと映画を一緒にしたら失礼よね...... 西村京太郎モノとは思えない、モダンでスタイリッシュな内装の理髪店で繰り広げられる 謎の男の脅迫と、理髪店主人の苦悩。 ちょっとシニカルで、ウェットの利いた笑い。 サスペンスか? なんて思ってみていたら、ちょっと肩透かし。 ○○サスペンスのジメっとした暗さなど、微塵もない。 しかも、何の芸もないただの理髪店なのに、 理髪店の妻は妖艶でセクシーな美女という....... そして、サスペンスなのに..... 最後には... 胸が熱くなる人間ドラマになってしまった(笑) 原作は<モチーフ>として使われただけで、 最後には、一人の映画を愛する男へのオマージュになってしまっている(笑) しかし、これが胸を熱くするのです。 皆が皆ではないと思いますが、ミョン・ゲナムをご存知の方なら 最後には、拍手を送りたくなることでしょう。 ミョン・ゲナム大好きのmocaにとっては、せつなくて、胸が熱くなってしまいました。 韓国映画好きの方なら、何か感じるものがあるのではないでしょうか。 一人の男の人生に、拍手を送らずにはいられない。 奇想天外な結末は、西村京太郎のおかげサマですが、 この監督はセンスがいいわ。デビュー作とは思えない。 (サスペンスの手腕はイマイチですが) オープニングのタイトルバック。出演者の名前が次々と流れていきます。 성지루 성현아 이선균 박철민(특별 출연) ソン・ジル ソン・ヒョナ イ・ソンギュン パク・チョルミン(トゥクピョル チュリョン:特別出演) 小気味いい効果音と共に、飽きさせない。そこへ..... 그리고 명계남 クリゴ(そして)、ミョン・ゲナム ク、、クリゴ、、、、って、、、、、、、、、、(激爆) こんなバカバカしいセンスが大好き。 のっけから期待しちゃいました。 映画としての完成度は高いと思いますわ。後は、好き嫌いの問題。 観客動員は、15万人 惨敗も惨敗.... 恥ずかしいくらいの数字。 でも、同じ2006年上半期公開の連理の枝は、11万人 スター俳優の出演していないこの作品。 作品のみで勝負。 そう考えると、まずまずの作品では? ただ、「何でもかんでも作れ」と浮き出しだっていた頃だから作れた作品ね。 面白い作品だけれど、お金を出して劇場で観るには難しいかも。 (mocaのようなマニアも生まれるでしょうけど/笑) mocaはかなり好きな映画になってしまったので、 イカレ気味だった韓国映画界のフィーバーに感謝したいわ。 ゴミ映画も散々放出したけれど、世の中に出ることができなかったよい作品も日の目を見たもの。 韓国映画界。あじゃ、あじゃ、ふぁいってぃんっ! mocaとしては、ソン・ジルの持ち味を見られず残念。 この平凡な理髪師を丁寧に演じておりましたが。 ソン・ヒョナは、ハマリ役ですね。 インパクトのない顔立ちでも、この妖艶さは彼女ならではのもの。 メインキャラ4人目。イ・ソンギュン。 <コーヒープリンス1号店>に抜擢されるまで、ご存知でなかった方もいらっしゃるのでは? 映画でも、端役も端役。パっとしない役ばかり。 サプライズでは、キ ム・ミニの婚約者(出番ほぼなし) 初恋のアルバム ~人魚姫のいた島~で は、チョン・ドヨンの恋 人。 観終わったら顔を忘れちゃう....... 菊花の香りでも、恋 する神父でも、気づかないほどの端役。 この映画で、彼は開花したのでは? 今までの平凡なキャラでなく、このイカレ気味のキャラがピッタリ! ミョン・ゲナムを蹴りつける彼の姿に、言葉を失ったわ。 これが本性?と。←オイ! これからも、イカレキャラを演じて頂きたい! 特別の出演のパク・チョルミンは相変わらずイイ味出してるわ。 日本では知らぬ方の方が多いと思いますが... 見覚えがあるとすれば....ひとまず走れ!の 高速道路料金所職員? mocaは、秋へでのキャ ラが大好きですが。 ミョン・ゲナムは脇役の器の俳優ではないわ。 ↑キャストリストには、日本では観られないような作品は省略しているのですが、 ミョン・ゲナムがどれだけの映画に出演しているのか知って頂きたくて 調べた範囲で全て載せました。 ちなみに、 1997年2月のある日。若かりし日のソン・ジルとソン・ヒョナが観に行った公演 <コントラバス>は、実際にミョン・ゲナムが出演しております。 ドラマでも、<新貴公子>の売れない映画監督や、<ホテリアー>、<雪だるま >でお馴染みでは? 「依頼された出演は絶対に断らない」と言われているミョン・ゲナム。 近年どんどん出演作が減っているのは、出演分量の比重が増え より主演に近い位置になっているから....と思ったのですが、 <イーストフィルム>という制作会社の代表になっていて、 企画・制作の方を手がけたりしているのですね。 その作品が、ペパーミント・キャンディーや、オアシスだとい うから驚き。 更に近年は... 政治の方へ進出しているようで..... なんだか、この映画の熱が急激に冷めていってしまい、悲しかったわ..... この映画の’ミョン・ソンナム’は、’ミョン・ゲナム’の分身だと思っていたから..... ストーリーは、 理髪店の主人が、謎の男に脅迫されるという内容。 取調室─ なんとか言ったらどうだ? お前の店で人が死んだんだ。お前が殺したとか、あいつが勝手に死んだとか、 何か言うことがあるだろう?」 茫然自失のチャンジン。 過去に戻る─ 「私はおまえの知られたくない秘密を知っている」 と書かれた謎のハガキが届き、 「キム・ヤンギルという名前を覚えておけ」 と電話が...... 怯える理髪店店主チャンジン。 チャンジンには身に覚えがあるのは..... 数ヶ月前に、チャットで知り合った若い娘との援交。 しかし、シャワーを浴びている間に財布を盗って逃げられたのだ。 被害を受けたのはチャンジンの方である。 突然店にやってきた脅迫者キム・ヤンギル。 言い訳など聞くわけもなく、チャンジンは金を要求される。 言われるがままに金を渡すチャンジン。 「次回は、この2倍用意しておけよ」 ヤンギルは去って行く。 またもやヤンギルはやってくる。 「これは脅迫だ。警察に通報するぞ」 チャンジンは強気に出る。 しかし、ヤンギルは驚くことを口走る。 白のアヴァンテの乗用車。ナンバーは、02- 다 -7060 ─ それは、まさにチャンジンの車。 若い娘を轢いたな。 死んだよ。お前が殺したんだ。 幸か不幸か目撃者が一人。 それが、俺だ。 轢き逃げ犯で捕まれば、人生は終りだ。 チャンジンは震え上がり、腰を抜かす。 チャンジンはヤンギルの要求通り、来るたびに2倍の金を渡した。 金も底をつき、サラ金にも手を出した。 サラ金の取立て屋に暴行を受け、取り立てられるチャンジン。 どうすることもできない。 底なし沼だ。 その上、妻ヨノクまで、ヤンギルと肉体関係を持ち始めた。 チャンジンは、探偵「テド・コンサルティング」のジャンギルを訪ねる。 ヤンギルの弱みを掴んでくれ、と。 ジャンギルがヤンギルの調査結果を報告してくる。 ヤンギルは前科など一つもない。 ただの映画俳優だった。端役の悪役専門。 キム・ヤンギルとは、<グリーン・フィッシュ(초록 물고기)>という映画で演じたヤクザの親分の名前。 本名は、ミョン・ソンナムだと。 3年前に妻と娘が轢き逃げに遭い、妻は即死。 娘も下半身不随で、その治療費のために借金の山。 それ以来、映画の出演依頼もなく、廃人のような生活を送っている。 それが脅迫者の真の姿だった。 ↓結末↓ チャンジンは、ジャンギルに追加依頼をする。 脅迫をしようとする気を失わせるよう暴行を加えてくれるように。 二度とアイツは来ない! と、浮かれるチャンジン。 しかし、ヤツは来た。 少しも堪えていない........ しかも、ぬけぬけと妻ヨノクの肉体を褒め称える。 さすがのチャンジンも頭に血が上った。 「これ以上女房に関わってみろ、ただじゃおかない...」 剃刀片手に、震える声でヤンギルを脅すジャンジン。 ヤンギルは怯えるどころか、ジャンジンの手に握られた剃刀を自分の首に引き寄せ 「殺ってみろ」 と、愉快げに挑発する有様。 剃刀を握る手 怯えるヤンギル。 血しぶきが飛ぶ─ 「事故だったんです。ワザとではありません。 居眠りしていたのに、突然お客さんが動いて....」 取調べ室で弁解するジャンジン。 「俺が居眠りしていた...」 とか何とか言ってました、と証言する救急隊員。 「理髪師は悪くない。俺が居眠りをしていたらから....」 と、ヤンギルは瀕死の状態で訴えていたと証言するスーパー店主。 「事故だったんです。あの人は嘘をつけない人です」 泣きながら夫を庇うヨノク。 故意でないこと、遺族が処罰を望んでいないことが考慮され ジャンジンは懲役2年、執行猶予3年で釈放される。 家に戻ると、妻が紙袋を差し出す。 ヤンギルの娘が届けに来たのだと。 袋の中には、山ほどの札束が。そして、ヤンギルの手紙─ この手紙を読んでいる頃には、私はこの世にいないでしょう。 車に轢かれた娘さんの治療費を除いて、全額お返し致します。 どうか許してください.... ジャンジンはわけがわからないものの、喜び勇む。 そこへ、探偵ジャンギルがやってくる。 そして、この事件の真相を語り始める。 それは、映画を愛する一人の男の最後の名舞台だったと。 ジャンギルは、ヤンギルを殺したのはヨノクだと見破っていた。 轢き逃げを起こしたのは、ヨノクだった。 車についた傷を見て、ヨノクが事故を起こしたと悟ったジャンジンは ヤンギルの言うがままになっていたのだ。 そしてヨノクは、ある日ヤンギルを剃刀で殺してしまう。 ヤンギルは意識を失う前に 俺が居眠りをしていて動いたと言うんだ。事故だと... すまない。そして、ありがとう.... そう言って、ヤンギルは意識を失ったのだ。 娘の治療費が払えず、銀行の融資を申し込むが、 定職がなく、収入もなく、担保もない男に貸してくれるはずがない。 仕方なくサラ金に手を出すものの、返す当てもない。 ヤンギルは借金の形に指を詰められてしまう。 それ以来、端役でさえも出演依頼は来なくってしまった。 俳優しかできないのに─ 俳優しかやりたいことがないのに─ 生きる気力も失ったヤンギル。 しかし、一生車椅子生活を送る娘に、少しばかりの金くらい残してやりたい。 が、自殺では保険金は下りない。 そんな時、ヨノクの起こした轢き逃げを目撃してしまう。 幸い被害者は軽症だった。 車のナンバーから、車の持ち主が理髪師だと知ったヨンギルはこのシナリオを思いつき、 人生最後の舞台を演じる決意をした。 ジャンジンには申し訳ないが、轢き逃げの罰だと自分に言い聞かせ.... そして、昭和の活劇のような映像が流れ─ ミョン・ソンナム(実際はミョン・ゲナムの映画人生)が一気に映し出される。 事実を知ったジャンジンは、男の出演した作品を繰り返し観ては涙を流した。 名俳優 ── END 後半は、ミョン・ソンナムとミョン・ゲナムの人生が重なって見えて.... 観ていて胸が痛んだわ.... ジャンジンのように、映像の中のミョン・ゲナムに賞賛の拍手を送らずにはいられない。 ミョン・ゲナムへのオマージュのようなラスト。 夢を失った人には、特に心に染みる映画だと思います。 |
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