ノーボーイズ、ノークライ No Boys, No Cry |
原題: ボート 보트 (ポトゥ)<2009> [ 日韓合作映画 ] |
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監督 | キム・ヨンナム | <2006>ドント・ルック・バック、
<2009>ノーボーイズ、ノークライ、 <2009> 黄金時代[segment 10] 100個の釘、鹿の角 |
出演 |
ハ・ジョンウ |
出演作品一覧 |
チャ・スヨン |
<2007>永遠の魂、<2008>ビューティフル、<2008>ここよりどこかへ、 |
【レビュー&ネタバレ】 |
2009年8月、日本公開。2009年5月、韓国公開。 韓国での観客動員数は、約1万4千人... あっはっはっは。どーよ、これ。 こんな見所もない平凡な作品じゃあ、ソッポも向かれましょう。 「日韓合作」 ってとこだけが、この映画の特徴ですから。 他には、なーんもない。 ありがちな日本映画そのもの。 考えさせられる映画ではあるものの、それだけのために観る価値があるのかどうか。 映画としては、ショボいです。 脚本は、「ジョゼと虎と魚たち」や、「メゾン・ド・ヒミコ」の渡辺あや。 「ジョゼ....」は、原作のある作品の脚本化。 「メゾン・ド・ヒミコ」や、このノーボーイズ・ノークライは、 渡辺あやのオリジナル。 「メゾン・ド・ヒミコ」は観てませんから、渡辺あやの全てはわかりませんが、 単に無難な作品としか思えませんでした。 「ジョゼ...」は、それなりに毒があり、独特の世界観がありましたが、原作ありですからね.... ラストのヒョングの独白のセリフは大好きです。 ハ・ジョンウあってこそ生きたセリフだと思います。 しかし、あのセリフも生かしきれなかった。 ラストへ向かうまでの二人の心の絆が描ききれておらず、取ってつけたのようなクサいラストに。 監督は、インディーズ映画で評価されているキム・ヨンナム。 正直、この映画のどの辺が監督の力なのか不明(笑) ただのTVドラマのように平凡。個性なし。 丁寧な心理描写に定評があるようですが、亨の心理はうまく表現されておりましたが、 ヒョングの心理描写が足りなすぎでしょう。 それ故、感動のないお粗末なお涙ちょうだい映画になりさがってしまったのでは? まぁ、脚本の責任ですが。 妻夫木聡は見事に熱演。 好青年のイメージしかなかったので、こんなすさんだ役が演じれるなんて驚きです。 「お前、ほんとにあのアヤジとやっちゃったのかよ」 と、愉快に笑う。 こんなセリフを吐くような役には無縁だと。 日韓合作で一番問題なのはセリフ。日本語のセリフ中心か、韓国語のセリフ中心か。 日本人からしたら、韓国語中心のセリフでお願いしたいところ。 あのつたない日本語を聞かされるのはストレス以外にない。 逆につたない韓国語を聞かされたら、韓国人はイヤでしょうけど..... 今回は、妻夫木聡が韓国語にチャレンジ。 劇中はほとんど韓国語。よかった、よかった。 ハ・ジョンウは残念ですねぇ。 ハ・ジョンウの良さは出ているものの、 この映画で初めては・ジョンウを観た方には、ハ・ジョンウの魅力は伝わらないでしょうね。 韓国でのタイトルは、「ボート」 漂流している若さ、その寂しさ.... 確かにピッタリですね。
チャ・スヨンは、ビューティフルで「絶世の美女」と いう役どころでしたが、 やはり「美女」とは、ちょっと言いがたいような.... 存在感はすごいんですけどね。 mocaの大好きなイ・デヨン。 どんな役でも演じこなす実力派ですが、やはり悪役は寂しい。 ↓ 日本語DVDが発売されていますので、ストーリーはあらすじ程度にします ↓ 韓国の青年ヒョングは幼い頃に母親に捨てられ、ボギョンに拾われ養われてきた。 ヒョングは、オンボロのボートで韓国から日本へボギョンに頼まれた荷物を密輸するのが仕事だった。 日本でそのヒョングを待ち荷物を受け取るのが亨だった。 「ヨボセヨ」 と、いつも挨拶する亨。 「ヨボセヨは”もしもし”の意味で電話の挨拶だ」と、何度教えても直さない亨。 ボギョンは、姉が作ったキムチを宝物のように扱った。 姉は母の味を完全に受け継いでいる。こんな美味いキムチはないと。 「もしキムチをなくしたら、海に飛び込みます」 ヒョングはボギョンに、そこまで言い切った。 「僕はボギョンおじさんの犬ですから」と。 それを聞いたボギョンは激怒する。 「俺がいつ犬扱いした」と。 「お前は息子だ。ヒョングが兄、隆が弟(ボギョンの実子)だ」 ボギョンはヒョングに言い放つ。 ヒョングが日本に来ると、ボギョンは必ず女を買い与えて遊ばせてくれた。 ボギョンの姉にキムチを受け取りに行ったヒョングは、姉から忠告される。 「ボギョンを信用したらいけない」と。 いつものようにボギョンに頼まれた荷物とキムチを運ぶヒョング。 しかし岸を目の前にしたその時、何者かがヒョングをボートから引きずり落とした。 そのせいで、キムチはダメになってしまう。 「おじさんに叱られる」 ヒョングは頭を抱え、追い詰められる。 亨は涼しい顔して、買ってきたキムチを詰め替える。 「ダメだ!バレるって!ババァの作ったキムチは美味いんだ!」 ヒョングは亨を制止する。 しかし亨は淡々と作業をこなす。 ヒョングは目を見張った。 亨は壷の中に白い粉の入った袋を詰め、その上にキムチを詰めたのだ。 「それは何だ?」 ヒョングは呆然とする。 知らぬうちに麻薬の運び屋にされていたことに愕然とするヒョング。 ボギョンはキムチがすり替えられたことにも気づかず、「美味い!美味い!」を連発していた。 ボギョンはそれなりに報酬もくれるし、女とも遊ばせてくれるし... と、ヒョングは自分を納得させた。 しかしある日、とんでもないものを運ばされた。 それは人間だ。 保険会社に勤めるジスの父親がボギョンと組んで会社の金を持ち逃げ、 しかし、その父親が姿をくらましてしまい、その娘ジスが人質として拉致されたのだ。 困り果てながらも、ボギョンの命令は絶対だ。 仕方なくジスを日本へと運ぶ。 しかし日本に到着し、空き部屋にジスを運ぶと、 保険会社からの回し者らしき男二人が、空き部屋にやってきた。 火事を装い、なんとか男を巻き、ジスを連れ出したヒョング。 だが、ヒョングが亨に助けを求めるために電話している間に、ジスは袋から抜け出してしまう。 手を縄で縛られていながらも、やすやすとヒョングと亨に捕まらないジス。 そんな時、ジスは思いもよらぬことを提案する。 「私を助けて。そしてパパを探してくれたら、一人5000万円ずつあげる」と。 金に目のくらんだ亨は、ジスの提案を受け入れる。 しかしヒョングは生きた心地がしない。 そんなことでもしたら、ボギョンに殺されるに違いない。 ファミレスで食事をとる三人。 亨はヒョングに告げる。ボギョンにジスに逃げられたと電話したと。 「怒ってなかった。ホテルでゆっくり休めって」 亨はヒョングを安心させた。 ホテルで休んでいたヒョングの元へ、ツーショットの写真が何枚か送られてくる。 「なんだ?これ」 ヒョングには、わけがわからない。 一方その頃ボギョンは、ヒョングの行方を血眼で捜し、 ヒョングが戻れないよう、ヒョングの乗ってきたボートを解体していた。 「ヒョングに殴られ、ジスと共に逃げられた」 亨はボギョンに嘘の報告をし、自らもボートの解体に加わっていた。 ホテルに戻った亨は、ヒョングが日本で寝た女たちは全員同じで、それは自分の妹の奈美だと告げる。 そして、同じ写真をボギョンにも送ったと。 奈美は隆の嫁。 ボギョンは激怒していると亨は告げる。 もうボギョンの元には帰れない。一緒にジスの父親を捜すしかないと。 怒ったヒョングは亨を殴りつける。 「金のためだ!それ以外に理由があるかよ!」 亨は怒鳴りつける。 お前のために買う女のための三万円。妹にお前とヤラせて、それも貯金した。 そしてヒョングを、自分の家へと連れて行く。 亨は一人、痴呆症の祖母と、ヤリマンの妹奈美。 そして奈美の子供三人を養っていた。 子供の父親も定かではない。隆の子供も、「あっちか、こっち」という有様だ。 しかも子供のうちの一人シンは、重病だった。 それを見て、ヒョングがなぜ金が必要なのか納得した。 亨は、いつか船の中から何者かに船から引き摺り下ろされたのも、奈美だとバラす。 奈美が金のために麻薬を奪おうとしたと。 「奈美はバカだから」 と、亨は笑う。 ジスから父親が糖尿病でインシュリンを打っていることを聞かされ、亨は名案が浮かぶ。 海外からの輸入品を扱う雑貨店。闇密輸でインシュリンも輸入していた。 亨は一万円札を掴ませ情報を得ようとするが、「お茶を飲んだら帰れ」と、拒まれる。 亨は奈美を呼び出す。 「あのオヤジと寝て情報を聞き出せ」と。 拒む奈美を蹴り倒す亨。 「お前は母親なんだよ!三人の子供の!このままシンが死んでもいいのか!」 奈美は、亨の言葉に深く傷つく。 奈美を傷つけたことで落ち込む亨。そこへヒョングがやってくる。 「お前、何人家族だ? 亨は尋ねる。 「俺、家族いないけど」 ヒョングは、あっけらかんと答える。 「ガキの頃、母親が弟を連れて俺を捨てた。今も、どこかで生きてるだろ」 ヒョングの言葉に、亨は考え込む。 「お前は、幸せだな」 亨は告げる。 「お前に言われると、そう思うよ」 ヒョングは苦笑する。 家族みんな、ばあちゃん、奈美、子供ら... みんな死んでくれないかなって時々思う。 俺のいない間に火事とかで。 あいつらのせいで、俺はまともな仕事にも就けず、結婚も諦めた」 亨は、胸のうちを吐き出す。 翌日、亨は元カノ敦子と再会する。 結婚が決まったという敦子。 「幸せになれよ」 亨は、せいいっぱいの強がりを見せる。 亨は奈美からメモを受け取る。 あの店の店主から得たインシュリンの入荷情報だった。 「お前、ほんとにあのオヤジとやっちゃったのかよ」 亨は笑い飛ばす。 怒った奈美は、亨を蹴飛ばす。 思いもよらぬことが起きる。 隆が奈美に会いに亨の家にやってきたのだ。 隆に、ヒョングやジスのことなど、全てバレてしまう。 一家はボギョンらから逃げるために引っ越す。 ヒョングは亨に尋ねる。 「もし一人置いてくとしたら、誰を置いてく?」 亨はその言葉に激怒する。 「真ん中かな..」 亨は口を開く。人見知りしないし、体が丈夫だからだと。あいつなら、一人でも生きていく。 亨の言葉から、母の想いを察するヒョング。 部屋の窓からオモチャを投げ捨てる子供ら。 亨はそのオモチャを一つ一つ拾うが、金網に腕を引っ掛け怪我してしまう。 やるせなさに打ちのめされる亨。 周りの自転車を蹴り倒し、大声でわめき散らす。 亨らは、雑貨屋の店主を脅し、客の元へと案内させる。 しかし、客はジスの父ではなかった。 ヒョングの元へ、ボギョンから電話が。そして、驚くべき事実を知らされる。 ジスを運んだ日やってきた保険会社のエージェント。 あれは亨が手引きしたのだと。 保険会社から大金を貰っている。お前のせいにして、ジスを保険会社に売ろうとしたのだと。 「女を連れて来い。そうすれば全て水に流してやる」 亨の裏切りを知っても、亨の事情を知るヒョングは答えに迷った。 そんなヒョングにボギョンは言い放つ。 「長い間母親に会ってないだろう?会えずに死ぬなんて可哀想に」 ジスを連れてこなければ、母親を殺すというのだ。 ヒョングは亨を問い詰める。 保険会社を手引きしたのはお前か。大金を貰ったのかと。 「貰ってない。お前らに逃げられたから」 亨の言葉に、ヒョングは激怒し殴りかかる。 激しい殴り合いになる二人。 「あいつらのためなら、なんだってやってやるよ!」 亨は言い放つ。 「母ちゃんが殺される」 ヒョングはつぶやく。 ヒョングの言葉に困惑する亨。 「ボギョンに何て言われたんだ?」 亨は尋ねる。 「母ちゃんを殺すって!俺も家族を守りたい...」 ヒョングは告げる。 葛藤する亨。 そこへジスがやってくる。父親がみつかったと。 亨は更に葛藤する。 「ボギョンのところに俺を連れていけ。俺がジスを殺したと。その代わり、金を家族のところへ必ず届けてくれ」 亨はヒョングに告げる。 亨と共にボギョンの元へ向かうヒョング。 しかし、どこかやりきれない。 突然車のサイドブレーキを引き、亨を引きずり降ろすヒョング。 「家へ帰れ!」 そう言って突き飛ばし、亨を置き去りにしてボギョンの元へと向かう。 ↓ 結末ネタバレ。ご注意を ↓ ボギョンに半殺しにされるヒョング。 「母親とお前、どっちを先に殺すか?」 ボギョンは尋ねる。 「俺を.... 母ちゃんは... 助けてください.... お願いします....」 ヒョングは懇願する。 「わかった。母親は後だ。4~5人に輪姦させて、両手両足へし折ってからブっ殺してやる」 ボギョンはそう言って、ヒョングに最後の一撃を食らわせる。 ヒョングはボギョンの手下らに抱えられ埠頭へ向かう。 それを見守るボギョンと隆。 「オヤジ、本当にアイツの母親知ってるの?」 隆は尋ねる。 「昔、釜山でストリップ小屋をやってた。マーメイドって店だ。その看板だったよ。 ある日、店の金を持って逃げようとした。 可愛がってやった俺を裏切った。母親とガキは似るもんだ」 ボギョンは言い捨てる。 「母親、今どこにいるの?」 隆は尋ねる。 「とっくに... 沈んだよ」 ボギョンは不敵な笑みを浮かべる。 瀕死の状態で、ブロックをくくりつけられ海に投げ捨てられるヒョング。 朦朧とする中で幻を見る。 人魚が現れ、自分を助けようとしていた。 しかしそれは亨だった。 アニメで見た話だと、人魚が海に落ちた王子を助けるんだ。 だとすると、俺はさしずめ王子ってことか? だが、だとすると... 今俺を助け上げ、俺の名前を呼び、俺にキスしている男は何者だ? こいつも王子か? 王子と王子。 恋じゃねえしな。 いったい何だったのか。 泣くなよ、王子。 もし目覚めたら、笑ってやるよ。 ヒョングは心の中でつぶやく。 亨は人口呼吸をし、必死にヒョングを揺り起こしながら泣き叫ぶ。 しかしヒョングは目覚めることはなかった。 END |
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