最高のパートナー My New Partner |
原題: マイ・ニュー・パートナー 마이 뉴 파트너(マイ ニュ パトゥノォ)<2008> |
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監督 | キム・ジョンヒョン | <2004>スーパースター☆カム・サヨン、<2008>最高のパートナー |
出演 |
アン・ソンギ |
出演作品一覧 |
チョ・ハンソ ン | <2004>オ
オカミの誘惑、<2006>連理の枝、
<2006>熱血男児、<2008>最高のパートナー、 <2008>甘いウソ、<2009>アタック・ザ・ガ スステーション! 2、<2010>無籍者 |
【レビュー&ネタバレ】 |
2008年3月公開。観客動員数は、約27万人。 動員の最低のラインと言われる50万人の約半分。 韓国では、思いっきりソッポを向かれた映画。 韓国では大ヒットし、日本では大ゴケする映画。 韓国では大ゴケし、日本では、愛される映画。 そこには、韓国人と日本人の感性の違い、 映画を鑑賞する年代の違い、 そこが大きいと思います。 そして、ここ最近は、韓国映画コンテンツの質の悪さもあり、 なかなか「これは!」という映画に出会うのは難しいものです。 もちろん、観客動員数は、あくまで目安。 動員が少なくとも、良い映画はたくさんあります。 この映画は、国民的俳優アン・ソンギ主演。 しかし、チケットパワーの無さが露見してしまいましたね。 やはり、作品が良くないと。 この映画は、どちらかというと、幅広い層で楽しめるよう制作されたエンターテインメント映画。 ですが、宙ぶらりんなテーマにより、 刑事モノのドキドキする面白さが中途半端になったことにより、若者層を獲得できず、 親子間の確執を描いたヒューマンドラマの部分で、更に若者層にはウケなかったのだと思います。 この映画は、どちらかといえば、日本の韓流好きには好まれるかもしれません。 あくまでも、韓国の観客に比べれば、ということですが。 吸いも甘いも知った年代だからこそ、共鳴できる部分があるかもしれません。 ただ..... ほーんと、陳腐なのよね。オーソドックスもいいところ。 コケ落としの「お涙ちょうだい」シーンの連続で、興ざめもいいところ。 しかも、なーんか、昭和初期の日本映画くらい、ありがちなストーリー展開。 石原裕次郎とかが活躍していた頃の映画って、こんな感じの映画なんじゃないんでしょうか。(見たこと無いの) とにかく、主人公のどちらにも感情移入できずにいたら、 ほーんと退屈でシラケル映画だと思います。 親子間の確執で始まり、他人との人間関係が築けないヨンジュンの成長と変化、 そして、今度は任侠モノかい! ってくらい、コケ落としのお涙ちょうだいシーン。 かと思えば、「親子の絆」を描いたヒューマンドラマ。 ラストに行けば行くほど、刑事モノとしてのグレードが下がるばかり。 人間ドラマとしても楽しめず、刑事ドラマとしても楽しめず。 しかも、コメディー風。 いろんな面が中途半端。 ヨンジュンを主人公にし、ヨンジュンに感情移入できるような脚本で、 刑事モノとしてテーマを絞ったエンターテインメントにしたら、面白かったかもしれませんね。 ラストなんて、クサすぎて、ひきまくり。 少しも心に響いてきません。 現実ならば、ヨンジュンのような心の変化も理解できるというもので、 頑なな心も、潔癖と言えるほどの信念も、 全て、意固地になっていた自分が一番辛くて、 自分は愛されていると気づいた瞬間、心の中の氷が解けてしまう。 親子とは、そういうものでしょうから。 愛と憎しみは紙一重。 愛するからこそ、愛されたくて..... 愛してるから、憎んで.... 愛されないからこそ、憎んで..... けれど、その原点は愛だから、自分への愛を感じた瞬間に、 まるで氷が溶けるように、心の中のわだかまりが消えてしまうものなのでしょうね..... 現実では。 でも、人間の心は、そんなに簡単じゃないと思うんですけどね.... この映画では、あまりにも簡単に憎しみが溶解してしまって、納得いきません。 ヨンジュンは父を許しても、 ヨンジュンというフィルターを通して父ミノを見ていた観客は不完全燃焼です。 有能な警官だった父が、なぜ警官として不正を行い、浮気をし、家族をないがしろにしたのか。 単なる道を踏み外しただけなのか。 それとも、左遷され、真っ向に生きようと反省し、元のミノに戻ったのか。 それとも、警察という「組織」に逆らえず、自暴自棄になったのか。 不正刑事であっても、刑事として有能。 人間的にも、人情的。 それはわかっても、父ミノの過去に対するわだかまりは溶けません。 人間は失敗する生き物。 そう受け止め、納得するべきなのでしょうか。 大事なとこが曖昧で、心に響いてきません。 あそこまで頑ななヨンジュンが、ラストにあんなに本音を吐露し、 父親への憎しみが溶け、あっさりと心に変化を見せるのが、 ちょっと違和感あるのよね。 それというのも、ストーリー展開が悪かったせいね。 あんなクサい「親子の絆」で泣けるのは、ほんとに純粋な心の持ち主だけでしょう。 ヨンジュンの気持ちは、痛いほどわかります。 理想と思っていた刑事の父親が、浮気で母を苦しめ、収賄容疑で逮捕され、 心労が重なり、母親が死んでしまう。 父を憎んで当然でしょう。 そういう年頃ですから、よけいに........ だからこそ、「不正」を誰よりも憎み、領収書1枚すら融通を利かせられない性格になってしまった。 警察の不正をなくすつもりで警官になったものの、 仲間を騙し、欺き、陥れる辛さ。 それでも信念を貫き、弱い自分を閉じ込め..... 苦しくなって当然。 そこまでヨンジュンを追い詰めた父カン・ミノ。 観客が父親を許せるような脚本が必要でしたね。 これでは、どんな親失格な親でも、多少なりとも子を思う気持ちはある、程度にしか感じません。 人生の苦味を味わうことなく、純粋な心の持ち主にだけ、勧められるかもしれません。 あまり期待しないように。 観客動員数は、27万人ですから!!
ドラマ【恋人】のセヨン役、チョン・チャンが冒頭の刑事役で特別出演しております。 ドラマ【冬のソナタ】のヨングク役、リュ・スンスも特別出演です。 高校時代のヨンジュン役は、チョ・ハンソンの実弟、チョ・ハンジュン。 似てる部分もあるけれど、俳優向きの顔じゃないわよね......... * * * 結 末までネタバレしますので、ご注意を! * * *
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