ミスにんじん Crush and Blush |
原題:ミスにんじん 미쓰 홍당무(ミス ホンダンム)<2008> |
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監督 | イ・ギョンミ | <2008>ミ スにんじん |
脚本 | イ・ギョンミ、パク・ウンギョ、パク・チャヌク |
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出演 |
コン・ヒョジン |
<1999>少
女たちの遺言、 <1999>ラスト・プレゼ
ント、<
2001>ガン&トークス、<2001>火山高、 |
イ・ジョンヒョク | <1999>シュ
リ、<
1999>アタック・ザ・ガス・ステーション!、
<
2004>マルチュク青春通り、 <2004>シン・ソッキ ブルース、<2005>Mr.ソクラテス、 <2006>卑劣な街、 <2006>ある日突然 4番目の話-死の森、<2007>浮気す るのにいい 日、<2007>用 意周到 ミス・シン、 <2007>ラジオデイズ、<2008>ミスにんじん、 <2009>パラレルライフ |
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ソウ | <2007>My
Son~あふれる想い~、<2008>ミ
スにんじん、<2008>携帯電話(特別出演)、 <2009>パジュ(坡州)、<2010>下女 |
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ファン・ウスレ | <2008>ミ
スにんじん、<2008>過速スキャンダ
ル、<2008>ペントハウス
エレファント、 <2009>渇き Tirst 、<2010>暴風前夜 |
【レビュー&ネタバレ】 |
レビュー1つ書くのに1日がかりですが、このレビューは3日もかかってしまいま
した....... コメディーでありながら、重要なシーンばかりなんですもん..... こんなに時間をかけても、喜んでくれる人はどれくらいいるのでしょうかねぇぇぇ........ このサイトも、結局mocaの自己満足ってヤツですかね.....(苦笑) 2008年10月韓国公開。観客動員数は、約54万人。 動員数の最低基準50万人をギリギリクリア。 スター俳優不在のこの映画。それを考えれば、駄作とも言えないでしょう。 ちなみに、2009の第23回福岡アジア映画祭の上映作品。 監督のイ・ギョンミは、 2008の青龍映画賞で、新人監督賞、脚本賞を受賞。 主演のコン・ヒョジンは、 大韓民国映画大賞主演女優賞や ニューヨーク・アジア映画祭の次世代アジアスター賞を受賞。 同じく主演クラスのソウも、 大韓民国映画大賞や韓国映画評論家協会賞の新人女優賞を受賞している。 とにかく、この映画の良さは俳優陣の好演にあるでしょう。 コン・ヒョジンとソウの演技は、見事。 ファン・ウスレも、自由自在に、したたかさを見せたり、可憐さを見せたりと、脇を固めます。 ソウも、ファン・ウスレも、今までにないタイプの女優です。 特にソウは、mocaは My Son~あふれる想い~で 一目惚れです。 雰囲気の不思議さと可愛らしさに併せ、しっかりした演技と、独特の演技を見せてくれます。 この映画では、「アッパ、ミウォ!」と叫ぶシーンは、もう絶品! というか、名シーンの数々! ベタ惚れです(笑) とにかく、韓国映画界の期待のホープ、ブルーチップです。 世間で評価されている通り、天才的な演技力。 次回作は、チョン・ドヨン 、イ・ジョンジェ と三角関係を繰り広げる名作【下女】のリメイク版に決定。 イ・ジョンジェの妻役だそうですが、今まで中・高生役しか見ていないので、 大丈夫なのかなぁ?と心配しておりましたが、実年齢は、2010年で25歳なんですね。 今回、中学生の役ですが、違和感ないです。 コン・ヒョジンも、この破壊的キャラクターを見事に演じただけではなく、 再出発を決めた時の、泣き笑いのような笑顔が最高ですね。 これぞ、女優! とにかく、奇想天外な映画です。 やはり、パク・チャヌク監督の制作・プロデュースですからねぇ.......... その奇抜さと、アクの強さは、鬼才ならではの素晴らしさ。 そのパク・チャヌクの鬼才さを借りつつも、 イ・ギョンミ監督が女性の目というフィルターを通し、アクの強さを和らげております。 良い相乗効果。 パク・チャヌク監督のシュールさと、 イ・ギョンミ監督のハートフルドラマ&コミカルさがミックスされた映画。 やはり、観客動員数が50万人程度ですから、万人ウケする映画ではないでしょう。 なにしろ、ヒロインのキャラクターがあまりにも独特というか、好感を持たれるキャラではなく、 長い間いじめというか、のけ者にされていたような女性です。 学生時代から嫌われ、先生になった現在も、生徒からバカにされ、嫌われる存在。 この映画のテーマは..... だか ら、おまえは嫌われる! とでも? というくらい、嫌われる要素をありったけ詰め込んだようなキャラクター。 本人は「どうして私だけ悪者?私だからでしょ?私だけは別なんでしょ?」 という、長い間溜め込んだ心の傷と鬱憤により、被害者意識が非常に強くなってしまったわけですが、 嫌われるのには、おまえに原因がある!と、ばかりに、破壊的なキャラクターを描いています。 まさに、「墓穴を掘りまくり」の人生という感じ。 逆にミスクにしてみれば、「私が何をしたと?」というわけです。 このキャラに共感できずに、楽しめず終わってしまう方もいるでしょう。 楽しめないだけならまだしも、イライラ不快な気持ちになってしまったら最悪ですね。 自分が大好きで、ちょっとしたことで、相手が自分に好意を持っていると勘違いしてしまう自意識過剰さ、 自分が特別だと勘違いしている、お姫様病。 相手のことなど少しも考えず、何よりも自分の気持ち優先。迷惑この上ない。 その上、何かあれば、すべて相手のせい。 ヒステリックで、自分の思い通りではないと、怒りを爆発させる。 極端に言えば、【自己愛人格障害者】、というキャラクターです。 子供のまま大人になってしまったともいえますが、その分、子供のような純粋さを持っているともいえます。 孤独だから、愛されたくて自己愛が強くなり、 自己愛が強いから、周囲に嫌われ、 嫌われるから更に孤独になり、自己愛が強くなり、 そんな悪循環で、どんどん孤独と自己愛が強くなってしまった。 それが、ミスクとジョンヒなのでしょう。 しかし、ミスクとジョンヒという似たもの同士。 二人はいつしか強い絆で結ばれるように..... そうして、そのままの自分を受け入れ、大切に想ってくれる存在ができたことで、 二人は一つ壁を乗り越え、成長します。 とにかくコメディーなので、ミスクのそんな性格も、楽しめるように制作されています。 楽しめるだけでなく、けっこう奥深く、人間の真理を鋭く突いてます。 moca的には、けっこうオススメしたい映画なのですが、 鬼才と言われるような監督の作品は、好き嫌いが激しいものですから。 シュールで、ブラックユーモアたっぷりです。 キム・ギドク、パク・チャヌ ク、ポン・ジュノ のような作品が好きなら、試しにどうぞ。 ちなみに、ポン・ジュノ が、ミスクの英会話教室の仲間として友情出演しています。 これは、本人がシナリオを読み、惚れこんで、 「セリフのない腹の出た中年教師でもいいから出させてくれ」 と、自ら願い出たそうです。 決してミスクを通してのアイロニー的な作品ではなく、 ミスクの声を代弁してあげているようなスタンスですね。 ラストでは、とても温かな気持ちになります。 どんな人間でも愛される.... そんなことが結局は伝えたかったのでしょうか。 劇中、ミスクとジョンヒの関係に心が潤される感じがしますが、 ラストは、ミスクには呆れます。 でも、やはり、二人のコンビは最高だと思います。 「友情に年齢は関係ない」 とミスクが語ってますが、そう感じさせられます。 (28歳のミスクより、中学生のジョンヒの方が大人です/笑) 同じ目的を持ちタッグを組み、途中で裏切りを知り、信頼関係が壊れ、 それでも、相手の本音を知り、また友情が芽生え、 本来の目的を忘れてしまいミスクを応援してしまうジョンヒは愛さずにはいられないのと同時に おかしくて仕方がありません。 ソウの演技力が、更に効果をもたらせます。 この二人の今後を、ずっと見ていたい気持ちになります。 卑猥な女性の裸体に、携帯のカメラで顔だけジョンヒに置き換えてウケまくるミスクと、 そんなミスクを見て楽しそうなジョンヒの姿。 あのシーンは、心が温かくなります。 嫌われ者同士でも、その友情は美しい! 劇中で、舞台に上がった二人が「チンタ!チンタ!」と、罵声を浴びせられますが、 「チンタ(찐따)」というのは、嫌われ者のことです。 日本でいえば、「ハブ」とか、「ノバ」とか、される人のような人のことです。 「ジョンタワ ジョンタエイン(전따와 전따애인:嫌われ者と嫌われ者の恋人)」は、 「チョナク(전학:転校)」と「チンタ(찐따:嫌われ者)」を併せて略した造語で、 「嫌われ者!転校しろ!」という意味なのでしょう。 「人間、何かおかしな行動をするには、理由があるんだ」 それはミスクのセリフにも、ジョンチョルの妻のセリフにもありますので、 それが訴えたいことの1つであるのは間違いないでしょう。 人間なんだから、どんな行動にも理由がある。 「何となく.....」 なんてことはありえない。 それを理由に、ミスクはジョンチョルが自分を好きなのだと思い込んで 一人妄想の世界に突っ走ってしまうわけですが、 他人に対しては、「男は行動に理由なんてないの、単に”何となく”なの!」と、シビアに諭したり、 コメディーだから、”笑い”のためなのかもしれませんが、 ミスクの論理はメチャクチャですね。 しかし、多かれ少なかれ、人間はそんなものかもしれませんね。 とにかく、一番の見所となる、語学室での闘いは是非観て欲しいですね。 素晴らしい脚本だと思います。 ”才能”とは、こういうことを言うんだなぁ....と、唸らされます。 一見メチャクチャなシーンに思えますが、練りに練られた名シーンだと思います。 ”笑う” 楽しさだけではなく、作品自体の面白さに満足できると思います。 本人たちの向かうべきベクトルが、いろんな理由からアッチ、コッチ、と変わってしまい、 そんなはずじゃー と、自分の首を絞めるようなことになってしまったり、 とにかく「オイオイ!」って、笑って突っ込みたくなってしまいます。 高度な笑いです。 ミスクが、ありもしない話を語るたびに、 ジョンチョルが、「ネガ?(俺が?)」と、ツッコミを入れるのも最高! ジョンチョルの妻が、ユリ曰く「恐ろしい女なの」というくらいの女傑。 とにかく潔くて、筋が通ってて、賢くて、慈悲深くて、カッコイイ! とにかくミスクと正反対のようなキャラ。 ジョンチョルを巡るミスクらのバトルを、見事に決着つけます。 それは予め、ミスクを丸め込むための戦略だったのかな?という気もしますが、 とにかく言うことがズバリ。 ↓ ネタバレしますので、読みたい方だけマウスで反転させてください。 浮気したことを知っても動 じず、「大丈夫、病気さえ、うつさないでくれれば」と言い放ち、 ミスクには、「愛情表現と セクハラの区別もつかないの?」 ジョンチョルには、「同僚 にセクハラしたのだから、 あなたの嫌いな麦飯を食べ なきゃ(刑務所へ行きなさいの意味)」 更にミスクには、「費用は 私が持つから、自分で告訴しなさい」 いやぁ、もう名言の数々。 ↑ ここまで ↑
ファン・ウスレはまだまだ新鋭女優。 だが、ソウ同様、ブルーチップと評判の期待の星。 出演作品は少ないものの、メインキャスト。 キム・ナムギル主演の”暴風前夜”でも、ヒロインだそうです。 過速スキャンダルのファン・ ウスレも、是非みてみてください。 彼女の女優としての才能と、魅力がわかってもらえると思います。 パク・チャヌクはファン・ウスレが気に入ったのか、 自身の映画、渇き Tirst にも、チョイ役で起用しています。 ジョンチョルの妻は、受取人不明のヤ ン・ドングンの母、 最近ではキッチン~3人のレシピの料理評論家として出演 しています。 ↓ ネタバレしますので、ご注意を ↓
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