ミスにんじん   Crush and Blush  
 原題:ミスにんじん 미쓰 홍당무(ミス ホンダンム)<2008>

 オススメ

 ストーリー

 韓流王道

 泣き

 笑い

名作

 映像

×

×

×




時をわきまえず顔が赤くなる顔面赤面症のヤン・ミスク(コン・ヒョジン)は、情 けなさから感極まって、 墓穴を掘ってしまう高校のロシア語教師だ。

「おととしの会食の席でも私の横に座ったし、家へ行く車の中でも私の横に座ったのだから、ソ先生(イ・ジュヒョク)が私を好きなのは明らかだ」と考えた彼 女の前に、単に 可愛いという理由で愛されるすべての女性の敵イ・ユリ先生(ファン・ウスレ)が現れた。

イ・ユリ先生も同じロシア語の教師だが、ロシア語が人気ないという理由で、ヤン・ミスクは、中学校の英語教師の辞令が出され、片想いするソ先生とイ・ユリ 先生の間にも微妙な気配が感知される。

ミスクは、自分に英語教師の辞令が出たのも、ソ先生の心を掴むことができないのも、すべて彼女のせいだと考える。そして、嫉妬と願望に捕われたヤン・ ミスクは、ソ先生とイ・ユリの間を引き離すために、ソ先生の娘で、礼儀をわきまえない全校の仲間はずれソ・ジョンヒ(ソウ)と、ある種の秘密の同盟を結ぶ ようにな る。

29年目(日本年齢28歳)の「墓穴堀り」に人生をかけてきた情けないヤン・ミスク。片想いする男を守るために彼女の本格的な「墓穴堀り」が始まる。

【予告編】

監督 イ・ギョンミ <2008>ミ スにんじん
脚本 イ・ギョンミ、パク・ウンギョ、パク・チャヌク

出演

コン・ヒョジン

<1999>少 女たちの遺言、 <1999>ラスト・プレゼ ント、< 2001>ガン&トークス、<2001>火山高
<2002>品行ゼロ、<2002>無分別な妻、 波瀾万丈な夫、それから太拳少女、<2002>緊急措置19号
<2003>サプライズ、<2005>天軍、 <2006>家族の誕生、<2007>ハピネス <2007>M エム
<2008>タチマワ Lee -悪人よ、地獄行急行列車に乗れ!、<2008>ミ スにんじん
<2008>今、このままがいい、<2010>牛と一緒に旅する方法

イ・ジョンヒョク <1999>シュ リ、< 1999>アタック・ザ・ガス・ステーション!、 < 2004>マルチュク青春通り
<2004>シン・ソッキ ブルース、<2005>Mr.ソクラテス、 <2006>卑劣な街
<2006>ある日突然 4番目の話-死の森、<2007>浮気す るのにいい 日、<2007>用 意周到 ミス・シン
<2007>ラジオデイズ、<2008>ミスにんじん、 <2009>パラレルライフ
ソウ <2007>My Son~あふれる想い~、<2008>ミ スにんじん、<2008>携帯電話(特別出演)、
<2009>パジュ(坡州)、<2010>下女
ファン・ウスレ <2008>ミ スにんじん、<2008>過速スキャンダ ル、<2008>ペントハウス エレファント
<2009>渇き Tirst 、<2010>暴風前夜

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【レビュー&ネタバレ】
レビュー1つ書くのに1日がかりですが、このレビューは3日もかかってしまいま した.......
コメディーでありながら、重要なシーンばかりなんですもん.....
こんなに時間をかけても、喜んでくれる人はどれくらいいるのでしょうかねぇぇぇ........
このサイトも、結局mocaの自己満足ってヤツですかね.....(苦笑)


2008年10月韓国公開。観客動員数は、約54万人。
動員数の最低基準50万人をギリギリクリア。
スター俳優不在のこの映画。それを考えれば、駄作とも言えないでしょう。

ちなみに、2009の第23回福岡アジア映画祭の上映作品。

監督のイ・ギョンミは、 2008の青龍映画賞で、新人監督賞、脚本賞を受賞。
主演のコン・ヒョジンは、 大韓民国映画大賞主演女優賞や
ニューヨーク・アジア映画祭の次世代アジアスター賞を受賞。
同じく主演クラスのソウも、 大韓民国映画大賞や韓国映画評論家協会賞の新人女優賞を受賞している。

とにかく、この映画の良さは俳優陣の好演にあるでしょう。
コン・ヒョジンとソウの演技は、見事。
ファン・ウスレも、自由自在に、したたかさを見せたり、可憐さを見せたりと、脇を固めます。
ソウも、ファン・ウスレも、今までにないタイプの女優です。
特にソウは、mocaは My Son~あふれる想い~で 一目惚れです。
雰囲気の不思議さと可愛らしさに併せ、しっかりした演技と、独特の演技を見せてくれます。
この映画では、「アッパ、ミウォ!」と叫ぶシーンは、もう絶品!
というか、名シーンの数々!
ベタ惚れです(笑)
とにかく、韓国映画界の期待のホープ、ブルーチップです。
世間で評価されている通り、天才的な演技力。
次回作は、チョン・ドヨンイ・ジョンジェ と三角関係を繰り広げる名作【下女】のリメイク版に決定。
イ・ジョンジェの妻役だそうですが、今まで中・高生役しか見ていないので、
大丈夫なのかなぁ?と心配しておりましたが、実年齢は、2010年で25歳なんですね。
今回、中学生の役ですが、違和感ないです。

コン・ヒョジンも、この破壊的キャラクターを見事に演じただけではなく、
再出発を決めた時の、泣き笑いのような笑顔が最高ですね。
これぞ、女優!

とにかく、奇想天外な映画です。
やはり、パク・チャヌク監督の制作・プロデュースですからねぇ..........
その奇抜さと、アクの強さは、鬼才ならではの素晴らしさ。
そのパク・チャヌクの鬼才さを借りつつも、
イ・ギョンミ監督が女性の目というフィルターを通し、アクの強さを和らげております。
良い相乗効果。
パク・チャヌク監督のシュールさと、
イ・ギョンミ監督のハートフルドラマ&コミカルさがミックスされた映画。

やはり、観客動員数が50万人程度ですから、万人ウケする映画ではないでしょう。
なにしろ、ヒロインのキャラクターがあまりにも独特というか、好感を持たれるキャラではなく、
長い間いじめというか、のけ者にされていたような女性です。
学生時代から嫌われ、先生になった現在も、生徒からバカにされ、嫌われる存在。
この映画のテーマは.....

だか ら、おまえは嫌われる!

とでも?

というくらい、嫌われる要素をありったけ詰め込んだようなキャラクター。
本人は「どうして私だけ悪者?私だからでしょ?私だけは別なんでしょ?」
という、長い間溜め込んだ心の傷と鬱憤により、被害者意識が非常に強くなってしまったわけですが、
嫌われるのには、おまえに原因がある!と、ばかりに、破壊的なキャラクターを描いています。
まさに、「墓穴を掘りまくり」の人生という感じ。

逆にミスクにしてみれば、「私が何をしたと?」というわけです。

このキャラに共感できずに、楽しめず終わってしまう方もいるでしょう。
楽しめないだけならまだしも、イライラ不快な気持ちになってしまったら最悪ですね。
自分が大好きで、ちょっとしたことで、相手が自分に好意を持っていると勘違いしてしまう自意識過剰さ、
自分が特別だと勘違いしている、お姫様病。
相手のことなど少しも考えず、何よりも自分の気持ち優先。迷惑この上ない。
その上、何かあれば、すべて相手のせい。
ヒステリックで、自分の思い通りではないと、怒りを爆発させる。
極端に言えば、【自己愛人格障害者】、というキャラクターです。
子供のまま大人になってしまったともいえますが、その分、子供のような純粋さを持っているともいえます。

孤独だから、愛されたくて自己愛が強くなり、
自己愛が強いから、周囲に嫌われ、
嫌われるから更に孤独になり、自己愛が強くなり、
そんな悪循環で、どんどん孤独と自己愛が強くなってしまった。
それが、ミスクとジョンヒなのでしょう。
しかし、ミスクとジョンヒという似たもの同士。
二人はいつしか強い絆で結ばれるように.....
そうして、そのままの自分を受け入れ、大切に想ってくれる存在ができたことで、
二人は一つ壁を乗り越え、成長します。

とにかくコメディーなので、ミスクのそんな性格も、楽しめるように制作されています。
楽しめるだけでなく、けっこう奥深く、人間の真理を鋭く突いてます。
moca的には、けっこうオススメしたい映画なのですが、
鬼才と言われるような監督の作品は、好き嫌いが激しいものですから。
シュールで、ブラックユーモアたっぷりです。
キム・ギドク、パク・チャヌ ク、ポン・ジュノ のような作品が好きなら、試しにどうぞ。
ちなみに、ポン・ジュノ が、ミスクの英会話教室の仲間として友情出演しています。
これは、本人がシナリオを読み、惚れこんで、
「セリフのない腹の出た中年教師でもいいから出させてくれ」
と、自ら願い出たそうです。

決してミスクを通してのアイロニー的な作品ではなく、
ミスクの声を代弁してあげているようなスタンスですね。
ラストでは、とても温かな気持ちになります。
どんな人間でも愛される.... そんなことが結局は伝えたかったのでしょうか。
劇中、ミスクとジョンヒの関係に心が潤される感じがしますが、
ラストは、ミスクには呆れます。
でも、やはり、二人のコンビは最高だと思います。
「友情に年齢は関係ない」
とミスクが語ってますが、そう感じさせられます。
(28歳のミスクより、中学生のジョンヒの方が大人です/笑)
同じ目的を持ちタッグを組み、途中で裏切りを知り、信頼関係が壊れ、
それでも、相手の本音を知り、また友情が芽生え、
本来の目的を忘れてしまいミスクを応援してしまうジョンヒは愛さずにはいられないのと同時に
おかしくて仕方がありません。
ソウの演技力が、更に効果をもたらせます。
この二人の今後を、ずっと見ていたい気持ちになります。
卑猥な女性の裸体に、携帯のカメラで顔だけジョンヒに置き換えてウケまくるミスクと、
そんなミスクを見て楽しそうなジョンヒの姿。
あのシーンは、心が温かくなります。

嫌われ者同士でも、その友情は美しい!
劇中で、舞台に上がった二人が「チンタ!チンタ!」と、罵声を浴びせられますが、
「チンタ(찐따)」というのは、嫌われ者のことです。
日本でいえば、「ハブ」とか、「ノバ」とか、される人のような人のことです。
「ジョンタワ ジョンタエイン(전따와 전따애인:嫌われ者と嫌われ者の恋人)」は、
「チョナク(전학:転校)」と「チンタ(찐따:嫌われ者)」を併せて略した造語で、
「嫌われ者!転校しろ!」という意味なのでしょう。

「人間、何かおかしな行動をするには、理由があるんだ」
それはミスクのセリフにも、ジョンチョルの妻のセリフにもありますので、
それが訴えたいことの1つであるのは間違いないでしょう。

人間なんだから、どんな行動にも理由がある。
「何となく.....」
なんてことはありえない。

それを理由に、ミスクはジョンチョルが自分を好きなのだと思い込んで
一人妄想の世界に突っ走ってしまうわけですが、
他人に対しては、「男は行動に理由なんてないの、単に”何となく”なの!」と、シビアに諭したり、
コメディーだから、”笑い”のためなのかもしれませんが、
ミスクの論理はメチャクチャですね。
しかし、多かれ少なかれ、人間はそんなものかもしれませんね。

とにかく、一番の見所となる、語学室での闘いは是非観て欲しいですね。
素晴らしい脚本だと思います。
”才能”とは、こういうことを言うんだなぁ....と、唸らされます。
一見メチャクチャなシーンに思えますが、練りに練られた名シーンだと思います。
”笑う” 楽しさだけではなく、作品自体の面白さに満足できると思います。
本人たちの向かうべきベクトルが、いろんな理由からアッチ、コッチ、と変わってしまい、
そんなはずじゃー
と、自分の首を絞めるようなことになってしまったり、
とにかく「オイオイ!」って、笑って突っ込みたくなってしまいます。
高度な笑いです。
ミスクが、ありもしない話を語るたびに、
ジョンチョルが、「ネガ?(俺が?)」と、ツッコミを入れるのも最高!

ジョンチョルの妻が、ユリ曰く「恐ろしい女なの」というくらいの女傑。
とにかく潔くて、筋が通ってて、賢くて、慈悲深くて、カッコイイ!
とにかくミスクと正反対のようなキャラ。
ジョンチョルを巡るミスクらのバトルを、見事に決着つけます。
それは予め、ミスクを丸め込むための戦略だったのかな?という気もしますが、
とにかく言うことがズバリ。

↓ ネタバレしますので、読みたい方だけマウスで反転させてください。


浮気したことを知っても動 じず、「大丈夫、病気さえ、うつさないでくれれば」と言い放ち、
ミスクには、「愛情表現と セクハラの区別もつかないの?」

ジョンチョルには、「同僚 にセクハラしたのだから、
あなたの嫌いな麦飯を食べ なきゃ(刑務所へ行きなさいの意味)」
更にミスクには、「費用は 私が持つから、自分で告訴しなさい」
いやぁ、もう名言の数々。

↑ ここまで ↑


【ヤン・ミス ク】
ロシア語教師
コン・ヒョジン
【ソ・ジョン チョル】
国語教師
イ・ジョンヒョク
【ソ・ジョン ヒ】
ジョンチョルの娘
ソウ


 
【イ・ユリ】
ロシア語教師
ファン・ウスレ
【ソン・ウン ギョ】
ジョンチョルの妻
パン・ウンジン
 

ファン・ウスレはまだまだ新鋭女優。
だが、ソウ同様、ブルーチップと評判の期待の星。
出演作品は少ないものの、メインキャスト。
キム・ナムギル主演の”暴風前夜”でも、ヒロインだそうです。
過速スキャンダルのファン・ ウスレも、是非みてみてください。
彼女の女優としての才能と、魅力がわかってもらえると思います。
パク・チャヌクはファン・ウスレが気に入ったのか、
自身の映画、渇き Tirst にも、チョイ役で起用しています。

ジョンチョルの妻は、受取人不明のヤ ン・ドングンの母、
最近ではキッチン~3人のレシピの料理評論家として出演 しています。




↓  ネタバレしますので、ご注意を ↓



ミスクが高3の時の修学旅行。
皆からのけ者にされていたミスクは、
集合写真の撮影時、
どこかに入ろうとしても、邪魔され、
どこにも入ることができず、
結局、
シャッターを切るタイミングに合わせて、
ジャンプして、何とか写真に納まった。

ミスクの人生は常にこうだ。
嫌われ、のけ者にされ、苦渋をなめる日々。
顔面赤面症のミスク。
その症状は、この頃から始まったと、
本人は語る。
そして、それから10年後。
ミスクは母校のロシア語の教師になっていた。
恩師だったジョンチョルは、今では同僚だ。
ジョンチョルに想いを寄せるミスクは、
ジョンチョルの自分に対する想いも自分と同じで、
相思相愛だと思い込んでいた。

「どうして、そうしたの?」
と聞くと、男は「別に理由はないけど」と答える。
しかし、すべての行動には理由があると、
ミスクは主張する。
今こうしてミスクがジョンチョルと会話をしながら、
穴を掘っていることにも、意味があるのだと。
それは、ジョンチョルが自分との関係が「危険」だと自覚しており、危険を冒して会いに来たのだから、
周囲に疑いの目を向けられないよう、
こうして穴を掘りながら、周囲の目を欺いているのだと。

ジョンチョルがミスクがAM9:12に電話をかけた時、電話には出なかった。
しかし、留守電を、その2分後の9:14に聞いている。
それは、電話に出れなかったのではなく、電話に出なかったのだとミスクは主張する。
しかもその理由は、ジョンチョルがミスクへの愛に対して、とても複雑で、辛い状況であり、どうしていいのか悩んでいるからだと、ミスクは主張する。
ミスクは全て自分の理論で完結してしまい、ジョンチョルが口を挟む隙も与えない。
既婚者であるジョンチョルがミスクへの愛に悩んでいる。
でも、私は大丈夫。待ちますから.....

10年前に教え子だったことが不都合?
いや、そんなの理由にはならない。
なら、なぜミスクの電話を無視するのかミスクは考えたと。
それは、ミスクを深く愛してしまうことが怖いからだと、ミスクは結論に達したという。
男は時々、自分の殻に閉じこもりたくなる。
そうなった時、女は黙々と待つしかない。
だから自分も、そうして待とうと努力してみることにしたと。
「彼に電話をしない」
だが、それはとても不安になって仕方がない。
このままジョンチョルが、ミスクがもう電話をかけてこないと思い込んでしまったら?と、不安になると。
だから、電話せずとも不安にならずに待ち続ける方法を考えたというミスク。

まずは、ジョンチョルの妻を探った。
ジョンチョルより8歳年上の妻ウンギョ。
「閉経を迎えたのか、私とは全くゲームにはならないわ」
と、勝ち誇るミスク。
そして、ジョンチョルにはジョンヒという娘がいる。
ミスクの勤める中・高エスカレーター式の学校の中学生。
ジョンヒに対する調査票をこっそり覗き見するミスク。
「行動評価」には、「自己愛が過ぎる」と、書かれていた。
でも、愛する彼の娘だから、ジョンヒにはよくしてあげたいと語るミスク。






そんなある日、ジョンチョルの娘ジョンヒが、
「名札がない」と、ユリに登校指導を受けていた。
ジョンヒは逆に悪態をつく。
「そういうアンタの服装は何?」と。
呆然とするユリ。
「中学生が高等部の教師に向かって何てことを....」
と、ユリはジョンヒを叱責する。
それを見ていたミスク。
ジョンヒを庇うために、ユリに対抗する。
「ユリ先生!自分こそ中学生相手に大人気ない!
中学生相手にムキになって!」
と、ミスクはユリを責める。
ジョンヒを庇うことはもちろん、
ユリに対する恨み、妬みからだ。

思えば.....
いくら考えても、自分の赤面症がひどくなったのは、
イ・ユリのせいだ!
と、ミスクは考えていた。

人気がなくなったロシア語。
高等部に2人もロシア語の教師は必要ないと。
一人は中等部に英語の教師として異動してもらうと、
そして、人気がないという理由から、
ミスクに異動の辞令が出た。

いくら中学英語とはいえ、ミスクは英語ができない。
仕方なく早朝から英会話スクールへ通い、
教え子からは、「英語のできない英語教師」と、
バカにされ、無視され、苦渋をなめさせられた。

それというのも、「若くて可愛い」というだけで
皆から愛されるイ・ユリのせいだ!
と、ミスクはユリを敵視し、恨んでいた。
ミスクはジョンヒをユリから救い出し、
「誠実に生きたらいけない。あんな人達に裏切られる。
あんな人達は、普段優しく振舞うの。
それと、何事も一生懸命にしてはいけないの!
自分だけが損をする」
と、ミスクは口が酸っぱくなるほどジョンヒに言い聞かせる。
ミスクの言葉が心に染み、ジョンヒは泣いてしまう。
慌てて取り繕うミスク。
「大丈夫だってば。
今からでも要領よく生きればいいの」
と、ミスクはジョンヒを慰め、励ます。
そしてジョンヒはユリを睨み返し、
「あの女......!」
と、ユリを罵る。




「どう考えてもおかしい。
ジョンヒは何でユリを、あんなに敵視するのか」
ミスクは語る。
ミスクは高3の修学旅行の話から、
愛するジョンチョルに対する悩み、
ユリに対する恨み、
そして、それに関連したジョンヒの話まで、
医師に延々と語り続けていた。

「なぜ、そんな話を私に?」
と、医師はウンザリしていた。

「じゃあ、誰に話せと?」
と、ミスクは逆上する。
医師は呆れる。
医師の名札には、
「皮膚科専門医 パク・チャヌク」と書かれていた。

ミスクは言い張る。
「どう考えても、赤面症が酷くなったのは、
中等部に行ってからだと。
だから、多角的方面から、まず話しますね」と。
医師は頷きながらも、
この常識はずれの患者に、困り果てていた。
「あなたのように、手術後も成果が出ない患者もいます」
医師は語る。
「薬物治療は?」
ミスクは尋ねる。
「薬物治療は高価だし、あなたには必要ない」
と、医師は説明する。
「そもそも赤面症というのは、心を安らかに保ち......」
と、医師が説明すると、
「なったこともないくせに!!」
と、ミスクは医師を怒鳴りつける。
医師は腹をたてながらも苦笑し、困り果てる。
「電話しない」と、決めたくせに、
ミスクは愛するジョンチョルに、電話をかけていた。
ミスクは語る。
「これは秘密なんですけど、
私、毎日一人で職員室に寝泊りしてるんです。
皆と同じように暮らしたら、
いつ自分の家が持てると?」
ウンザリしながらも、
ミスクの話を聞いてやる心優しいジョンチョル。
「でも、今酔っていて、
職員室まで一人で行けないんです」
と、ジョンチョルに甘えるミスク。
本当は今、職員室の中から電話をしてるというのに。
それは、単にジョンチョルを呼び出すための口実だった。
「前の前の前の前の年、職員の飲み会をした店」
ミスクは答える。


ミスクが4年前飲み会をした店の前で待っていると、
ユリが現れた。
ジョンチョルは用事があるので、
代わりに迎えに行ってくれるよう頼まれたのだと。
「二人は電話し合う仲なの?」
ミスクは驚きと嫉妬を露にする。
ユリは答えず、ミスクに自分の話をする。
「実は最近、かなり辛くて.....
あのぉ....
ヤン先生と二人きりの時は、
オンニ(姉さん)と呼んでも?」と、
ユリはミスクに親しみを持ちたいことを告げる。
言葉に詰まるミスク。
ユリは職員室で、ジョンチョルが趣味でやっている
インターネット放送局のサイトをミスクに見せる。
ワールドミュージックの放送で、人気があるのだと。
ミスクはそんなことも知らなかった。
「あ、これ、私の好きな曲」
と、ユリは曲に対する所感を語り始めるが、
それが、放送でジョンチョルが語っている所感と、
全く同じなのだ.......
「ウリ(私達)、時々こうなの......」
と、ユリは世にも不思議なことのように、
脅えて語る。
「ウリ(私達)?」
ミスクは、その言葉に不満を持つ。
そして、ユリにピッタリと寄り添い、強く言い聞かせる。
「ユリ先生、しっかり聞いて。
人間は人を好きになると、
その人の何気ない行動に意味があると考えてしまうの。
ただ、袖が触れ合っただけでも、
なぜ、こっちに来たのだろう?あっちでもいいのに。
もしかして、私がいるから?と、そう考えるの。
人間だから。
だけど男たちは、何の意味もないの。
意味もなく取った行動なの。
だけど、必ずマヌケな女達が混乱し、
勘違いしてしまう」
と、そのマヌケな女が自分だとは気づかずに、
ユリに言い聞かせる。
「どこにそんな女が?」
ユリは反論する。
「いるわよ」
ミスクは自身ありげに肯定する。
「私はソ先生をよく知ってるわ。
相手に対する配慮....」
と、ミスクが言いかけると、
「あの人、自己中なの」
と、ユリが言う。
「そうそう、まさにそれ。
私が言ってるのは、そういうこと。わかる?」
ミスクはユリを諭す。
「毎日、自分のことばかりなの。
それで捨てられたら.... 私はどうしたら......」
と、ユリは泣き出す。
「ソ先生が、私のために離婚すると」
ユリは語る。
「実は、彼の奥さんが、うちに乗り込んできたの。
本気で愛してるなら、持っていきなさい」と。
彼の奥さんは、本当に恐ろしい人なの。
ユリは泣き続ける。
ミスクは複雑な心境だ。
相思相愛だと思っていたのは、勘違いだと、
思い知らされたミスク。
ただの一人相撲だったのだと。
ミスクは認めざるえない。
しかし、ユリはジョンチョルだけではなく、
音楽のビョン先生や、体育のチャン先生までもが、
自分に想いを寄せているようだが、
どうしてそうなったのかよくわからない。
自分が何を間違ったのか.....
と、本気で困っている様子を見せる。
そんなユリにミスクは逆上する。
「あんたはキャンディか!
みんながあんただけを好きに!?」
ミスクはユリを怒鳴りつける。
ミスクはジョンヒに尋ねる。
「あんたの両親、離婚するって事実?」
それを聞いたジョンヒは頭に血が昇る。
「誰がそれを?」
と尋ねるジョンヒの様子を見て、
「ユリ先生が、内緒だと言って教えてくれたの」
と、しめた!とばかりに、ユリを悪者にする。
ジョンヒはミスクの策略だとも知らず、
「あの女....!」
と、怒りを露にする。
それを見たミスクは、とどめを刺す。
「イ・ユリ、死んでしまえばいいのに!」
ミスクの言葉に、ジョンヒは嬉しそうに心を許してしまう。
ミスクの作戦は大成功だ。
「お母さんがね....」
ミスクは同士だと信じたジョンヒは、
家庭の秘密を嬉しそうにミスクに漏らそうとするが、
躊躇する。
「言ってみな!」
ミスクはジョンヒをけしかける。
「お母さんがね.....
月末にトルコに研修に行くんだけど、
その前に、離婚届に判を押すって」
ジョンヒはミスクに話す。
それを聞いたミスクは、慌てる。
「ひとまず、出国させないようにして時間を稼げ」
と、ジョンヒに言い聞かせる。
するとジョンヒは答える。
学園祭に自分が公演に参加するから、
必ず観に来てと、嘘をついたと。
「よくやった!」
ミスクはニンマリし、ジョンヒを褒める。
「そうやって時間を稼ぐのよ。
あの女のせいで離婚するのは防がないと」
ミスクはジョンヒに言い聞かせる。
しかし、問題があった。
ジョンヒが一緒に公演する相手がいないのだ。
公演は、2人以上でないと参加できないのだ。
ジョンヒはミスクに言う。
「だから、一緒に公演する相手をみつけて」と。
「そんなの、自分でみつけないと」
ミスクは拒む。
「誰も私とは公演なんてしないわよ!」
ジョンヒは声を荒立てる。
ジョンヒは、クラスののけ者だった。
「あんたのクラス、全員で公演に出るじゃない」
ミスクは言い放つ。
ミスクの言葉に、ジョンヒは言葉に詰まる。
ジョンヒは、公演の練習でも、のけ者にされていたのだ。
みんなで揃いのリボンをつけるのに、
ジョンヒのリボンを誰かが隠したのだ。
「私のリボン....」
と、ジョンヒが尋ねても、誰も相手にしない。
それどころか、突き飛ばされ、無視される。
「先生だって、のけ者でしょ!」
ジョンヒは言い返す。
今度は、ミスクが言葉に詰まる。
「そう、私は英語ができない」
ミスクは認めざるえない。
「英語ができない上に手抜きだから、みんな嫌ってる」
ジョンヒは、歯に着せぬ言葉を浴びせる。
「でも、一生懸命やったら、もっと嫌がったでしょ」
ミスクは言い返す。
「正直、先生は一生懸命しようが、しまいが、同じよ」
ジョンヒは、さらりと言い放ち、立ち去る。
ジョンヒを追いかけ、後ろから抱きしめるミスク。
「ひとまず公演の相手は、私が探してみるから、
あんたは父親の監視をして。
イ・ユリは、私が何とかする」
と、ミスクはジョンヒに告げる。
訝しがるジョンヒ。
「でも、何で私を助けてくれるの?」
ジョンヒは尋ねる。
言葉に詰まるミスク。
咄嗟に、今までのユリへの恨みつらみを語る。
「私がどれだけロシア語が好きだったか。
イ・ユリがいなければ、今頃私はロシア語教師でいられ、
生徒らに無視されることもなく、とても幸せだったのに」
ミスクは饒舌に語る。
ミスクのその言葉に心を動かされたジョンヒは、
逆にミスクを抱きしめる。
「先生、ありがとうございます」と。


そして、ミスクの強行作戦が始まる。
「来月なら積立が下りるのに。それまで世話になるわ」
と、勝手にユリの家に押しかける。
迷惑げなユリ。
「助けになるべきだけど....」
というユリの言葉をさえぎり、
「ユリ先生は、本当に優しいのね」
と、有無を言わさず、自分の荷物を解き始める。
ユリは何も言えない。

そして、ミスクのスローガンを掲げた鏡を立てかける。
「1位を獲るより、首を獲る」
ジョンチョルの妻になろうとは考えず、
敵であるユリの首を獲る!
自分は、妻の次でいい。2番目でいいと。
ミスクはユリに尋ねる。
「もしや二人は、体の関係も?」
ユリは高飛車に答える。
「少しだけね」、と。
「私はそういうことは嫌いな人間なんだけど」
と、ユリは声を荒立てて主張する。
「嘘つき」
ミスクはユリを更につきつめる。
ユリはその言葉に腹をたてる。
「私の願いは、愛する人と手をつないで眠ること」だと、
ユリは強く言い張る。
ミスクは余裕の表情で頷きながら、
「両手をつないで、後ろからやるということでしょ」
と、ユリを怒鳴りつける。
ユリは、その言葉に激怒する。
そして、ミスクの思惑通りに本音を吐露してしまう。
「私は結婚するまでイヤなの!
それまで堪えられないなら、別れるべきだと」

しかし、ユリの部屋着から透けて見える
黒いパンティーを見てしまったミスクは、
ジョンチョルが誘惑される危険を察知する。

ジョンチョルの妻のダンス教室に
「イ・ユリ」という名前で入会したミスクは、
ユリにジョンチョルを誘惑されぬよう、
妻に激を飛ばす。
「先生、頑張ってください」
ウンギョはミスクの言っている意味が飲み込めない。
とりあえず、「イ・ユリさんも頑張って」と、答える。

ジョンヒはミスクに尋ねる。
「私と公演する子は?」
ミスクは答えずに、尋ねる。
「正直に言ってみ?公演するのイヤでしょ?」
ジョンヒは頷く。
「私も、あんたのママとパパの前で公演するのはイヤなの」
ミスクの言葉が、ジョンヒは飲み込めない。
「ウリ(私達)、公演前に離婚を阻止しよう」
ミスクは告げる。
「ウリ?」
ジョンヒは尋ねる。
ミスクは答えない。
「みつけられなかったの?」
ジョンヒはミスクを責める。
「知ってる子がいないもの」
ミスクは答える。
「役立たず」とばかりに呆れるジョンヒ。
「でも、準備はしたの」
と、「コドを待って」という本を取り出す。
「水準は高いけど、私達にピッタリだから」と。
ジョンヒは不満げに本を広げる。
本には、数箇所マーキングされていた。
「ありがとうございます」
「とんでもない」
「いえいえ、本当にありがとうございます」
「何をおっしゃいます」
マーキングされているのは、そんなセリフだけだ。
そして、重要なセリフとして
「それが人生ってもんでしょう」
と、星印がついていた。
いくらめくっても、マーキングされているのはそこだけ。
ジョンヒはミスクを侮蔑するように睨み、
「私がバカだった」
と、席を立とうとする。
必死にジョンヒをなだめるミスク。
「大丈夫!公演前に離婚を阻止するから!
私達が公演する必要はないわ」と。
「私達がどうやって!」
と、ジョンヒはもうミスクを頼りにしていない。
「イ・ユリは...」
と、ミスクが口を開くと、
「また、それか....」
とばかりに、ジョンヒはあきれ果てる。


ミスクは、それでも語る。
「イ・ユリは、結婚まで堪えられない男とは、
すぐに別れるって」
ジョンヒはそれを聞いて、考え込む。
ミスクは、自信ありげに頷いてみせる。
そして、その夜。
二人は学校の語学室にノートパソコンを持ち込み、
ジョンチョルのIDでメッセンジャーにログインし、
そして、ユリにメッセンジャーを送る。
突然ジョンチョルがメッセンジャーを送ってきたことを
訝しがるユリは、ジョンチョルに電話をかける。
「そんなことだと思った」
ジョンヒはジョンチョルの携帯電話をくすねてきていた。
携帯の着信を無視し、
「もう電話もメールも送るな」
と、メッセンジャーを送る。
「本気?」
と、ユリはメッセンジャーで返信する。
「君を抱きたくてたまらない。俺の気持ちがわかるか?」
ミスクは返信する。
「よくわからない」
ユリは返信する。
ミスクもジョンヒも、どう返したらいいか困惑する。
「それを、なぜわからない」
ミスクの返信を見て、ユリは呆れる。
「率直に言ってください」
ユリは返す。
「率直に言って......」
まどろっこしい返信を返そうとするミスクを見かねたジョンヒは、パソコンをミスクから奪い、ミスクの書いた文章を全て消し、書き直す。
「君に触れたい。深々と」
ジョンヒの返信を見たユリは、
驚いて嫌悪感を露にし、顔をゆがめる。
「私、怖いです....」
ユリは返信する。
ユリの返信を見て、ミスクは感心する。
「ジョンヒは、EQが高いのね」と。
「ありがとうございます、先生」
と、ジョンヒは素直に礼を言う。

それからジョンヒは、取り憑かれたかのように、
次々とメッセンジャーを送る。
「君のパンティーを被りたい。
そして、ビリビリに破りたい」
それを見たユリは、脅えたように顔をしかめる。
「電話で離婚の話をされ、もう会うのは難しいと言われ、
私と別れたいのかと.... だから連絡もせず....」
ユリは自分の気持ちを伝えようと、
長々と文章を綴る。
しかし、ユリがその文章を送る間もなく、
しびれを切らしたミスクが、ジョンヒからパソコンを奪い取り、とどめの一発を送る。
「今すぐ脱げ!」
それを読んだユリは、考えこむ。


ユリから返信が来ないことを、拒絶だと考えたミスクとジョンヒは、してやった り!と、喜ぶ。
しかし、喜びも束の間、ユリから返信が.....
「着ないでいたのに....」と。
それを読んだ二人は、呆然とする。
「突然何言ってんの?この女」
ミスクは意味が飲み込めない。
「さっき先生が脱げって言ったじゃない!」
ジョンヒが告げる。
ユリの対応に困惑する二人。
すると、ユリから催促が...
「もしもし?」と。
「狂ったの?」
と、ミスクとジョンヒは、頭を抱える。
翌日、ユリはジョンチョルに何かを渡し、そそくさと逃げていった。
「私よくわからないけど、用意してみました」と。
呆然とするジョンチョル。
「何を渡したの?」
それを見ていたミスクとジョンヒは気になる。
ジョンチョルは渡されたものを広げてみる。
それは、真っ赤なSexyランジェリーだった。
(前を隠す三角がついただけの紐パン)
ユリの予想外の行動に、二人は驚くばかり。

「ここでの会話は、外に持ち込まないでくれ」
ユリにメッセンジャーを送る。
「じゃあ、毎日ここで話すの?」
ユリは返信する。
「毎晩、ここで話さなくては?」
と、返信する二人。
結局、毎晩メッセンジャーしなければならなくなってしまった二人。
思惑が外れてしまう。
二人はSexマニュアル(カーマ・スートラ?)を見ながら、
ユリにメッセンジャーを送る。
「君の股ぐらに俺の鼻を深々とつっこむ」
それを見たユリは嫌悪感を露にする。
「吐き気が!この変態!」
それを読んだ二人は、歓喜の声を上げる。
更にミスクは追い討ちをかける。
「そして、その中で俺は鼻をかんでしまった。
どう?満足?」
ユリは返信する。
「この変態!もう私の前に現れないで!」
それを読んだ二人は、
「やっと終わった....」
と、涙を流す。
しかし、すぐさまユリからメッセンジャーが。
「でも、好き」
それを読んだ二人は、唖然とする。
しかも、更にユリはメッセンジャーを送ってくる。
「明日は、もっと違うことをしてね」と。
ユリの方が、一枚うわてだった。
「先生、私達、公演しなきゃみたい」
ジョンヒは項垂れる。
「私、やっぱり公演はできない。あんた、一人でやって」
と、ミスクはジョンヒを突き放す。
それを聞いたジョンヒは逆上する。
「私もあんたとは公演したくない。
これからは、語学室にも来ないで!」
と、ジョンヒは怒って去って行く。
一人でユリにメッセンジャーを送るジョンヒ。
しかし、「来るな!」と言ったのに、ミスクはやってくる。
二人の睨み合いが続く。
ついにミスクはジョンヒからパソコンを奪い取ろうとする。
取り合いになり、傷だらけになる二人。

一方ユリは、そんな状況も知らず、
本を片手にリラックスしながら、メッセンジャーを楽しんでいた。
本を読み、重要部分にマーキングしながら、
トレーニングするユリ。
その本は何と、有名な古代インドのSexマニュアル
「カーマ・スートラ」(爆)
ユリはそれを読みながら、喘いだり、男の喜ばせ方を勉強していたのだった。

ミスクとジョンヒといえば、大喧嘩の真っ最中。
「私を侮蔑してるんでしょう!
だから、公演したくないんでしょう!」
ミスクはジョンヒに食って掛かる。
それを聞いたジョンヒは、言い返す。
「先生だって、私のことが嫌いじゃない!だから、他の子みたいに一緒に公演したくないんでしょ!」
ジョンヒはミスクを責める。
「なんで、あんたを嫌うの?」
ミスクは尋ねる。
誤解だったのだ。
ミスクが一緒に公演しないと言ったのは、
みんなと同じように自分を嫌ってのことだと、
ジョンヒは思い込んでしまっていたのだった。
「本当に?」
ジョンヒは泣きながら尋ねる。
「でも、あんたは私を侮蔑してるから
一緒に公演したくないんでしょ!」
ミスクは泣きながらジョンヒを責める。
ジョンヒは、素直に「うん....」と、頷く。
「あんまりだ!」
ミスクはジョンヒを責める。
その時、他の生徒らが語学室に入ってくる。
学園祭で語学室を使うらしく、
もう語学室は使えなくなってしまった。
二人は、ジョンヒの母のダンススタジオに場所を移す。
ウンギョがスタジオから出て行くのを待ち構え、
スタジオに泊り込む。
そこで公演の練習をし、ユリとのメッセンジャーもし、
語り合ったりもした。

ジョンヒは尋ねる。
「先生のお父さんはどんな人?」
ミスクは答える。
「私が生まれる前に亡くなったと。
そして母も、自分を産んで、そのまま亡くなったと」
「孤児だったの?」
ジョンヒは尋ねる。
ミスクは心の傷に触れられ、言葉に詰まる。
逆に、ミスクは尋ねる。
「あんたの両親はどうやって出会ったの?」
ジョンヒは語る。
「母が酒を飲んでバイクに乗り、タクシーに衝突し、
1年間入院したと。
そして、父が大学生で、その病院に奉仕活動に来ていて出会ったのだと。それで、いつも目が合って....」
ジョンヒはそこで話をやめてしまう。
催促するジョンヒ。
言いづらそうなジョンヒ。
「わいせつな部分があって...」
と、ジョンヒは言葉を濁すが、ミスクは脅して話させる。
「だから、私を妊娠したの!しかも、8人部屋で!」
ジョンヒの言葉を聞き、ミスクも黙ってしまう。
ジョンヒは言いづらそうに続ける。
「全身... ギブスをしたままで.....」
それを聞いたミスクは驚く。
「そんなことが可能なわけ?」
それを聞いたジョンヒは逆上する。
「じゃあ、不可能だと?私はどうやって生まれたと?」

ジョンヒの母は妊娠を知ると父に告げ、
父はすぐに受け入れたと。
「私は...お前が本当に気に入った...
(난...니가 참 마음에 든다...)」と
母は、たった一言でプロポーズしたと。

それを聞いたミスクは
「もう、これ以上やってられない!作戦変更!」
と、ジョンヒに告げる。

「もう、これ以上堪えられない!」と、
ミスクは強烈な言葉をユリに送り、
ジョンチョルには、倉庫に来るよう呼び出す。




君は俺だけのライターだ。
俺の体に火をつける、俺だけのライターだ。
ライターをロシア語で言ってくれ。
セクシーに、69回。ロシア語で。

ジョンチョルが倉庫にやってくると、
ユリはメッセンジャーで求められた通り、
ロシア語でライターと言い始める。

「좌지까까(ズァジカカ:陰部、剥いて、剥いて) 」
ロシア語でライターを発音すると、
韓国語の卑猥な言葉の発音と同じなのだ。
ロシア語の教師ミスクは、それを利用した。
一発撃沈を狙ったのだ。
ユリは、本当にジョンチョルが自分を求めているのだと、
必死に要求に答える。

驚いたのはジョンチョルだ。
突然呼び出したかと思えば、
いきなり、「陰茎、剥いて、剥いて?」
しかも、四つんばいになり、喘ぎ声を上げながら、
「좌지까까(ズァジカカ)」 を繰り返すのだ。
たじろぎながらユリを止めようとするジョンチョルだが、
69回繰り返さなければならないユリはやめようとしない。
しかし、倉庫を誰かが覗いていることに気づいたジョンチョルは、ユリを置いて逃げ出してしまう。
ユリはジョンチョルを呼び止める。
「先生!どこへ!私、怖いですぅー」

そしてジョンヒは、父の携帯電話から
ユリにメールを送る。
「妻の方が、遥かに魅力的だ。君にはガッカリした」
メールを読んだユリは、失意に陥り、涙を流す。

ミスクとジョンヒは、万々歳だ。
友達には年齢は関係ないようです。
ミスクは懲りずにまた、皮膚科専門医に長々と自分の近況を語り、頭を痛めさせる。
ミスクが「大きくなった、大きくなった」と打つと腕が疲れるから、今度はその子が打つんだけど、ちゃんと打てなくて、「大きくなった、大きくなった、大き いなった」ってなっちゃうんですよ。
「こうやって打たなきゃ。じゃないと、大きいなった、ってなっちゃうんです。
先生、大きくなったって打ったことあります?
そこでやってみてくださいよ」
ミスクは、楽しくて、幸せでたまらない。
他人の迷惑など、考えもしない。
自分が楽しかった話を、誰かに聞いて欲しくて仕方がないのだ。

とうとう限界を越えてしまった医師は、
看護婦にメモを見せる。
「この患者を追い出し、おかしな話を止めさせてくれ」
一方ジョンヒは、自分が生まれた謎を解明したかった。
「全身ギプスをして妊娠は可能か?」
ジョンヒは母に尋ねようとするが、相手にされない。

「全身ギブスの女との可能な体位は?」
ネットで質問してみるが、
「キチガイ」「気が狂っているようだ」
などと、全く相手にされない。
妊娠は不可能.....
ジョンヒは呆然とする。
ようやく離婚阻止に成功したかと思えば、
とんでもないことが起きる。
一発撃沈を狙ったライター事件がきっかけで、
ジョンチョルが再びユリに連絡をしてきたのだ。
「もう終わっているのかと思って連絡しなかった。
すまなかった」と。
ユリは「ソがおかしい!」と、ミスクに語る。
「終わったのかと思えば、また始めて、
始まったかと思えば、また終わって、何なの?」
ユリは腹立たしい。
ユリの言葉を聞いたミスクは愕然とする。
「終わった?終わったって、いつ?」
ミスクは愕然として尋ねる。
「酔っている先輩を迎えに行った日ですよ」
ユリは答える。
ミスクはわけがわからない。
「終わったなんて言ってないじゃない!」
ミスクは訴える。
「恋愛って、『私達別れましょう』そう言って終わるもの?
終わりって、感覚的に『終わったんだな』って感じるものでしょう?離婚話をされたって聞いて、もう終わりなんだなって、感じたの」
ユリは語る。
しかしミスクは納得できない。
終わっていたのなら、今までの苦労は何だったのか!
しかも、終わったものを、わざわざ復活させてしまったのか?
ミスクは逆上する。
「恋愛するなら、恋愛する、
終わったなら、終わった、言葉でハッキリ言わなきゃ!
あんたは芸能人か!」
(恋愛=ヨネ、芸能人=ヨネイン、言葉遊びが好きね)
ミスクはユリを怒鳴りつける。
「ソ先生が一人で飲んでるから、出かけてくる」
出かけようとするユリをミスクは必死に止める。
「プライドもないの!」
するとユリは悲しげに語る。
「みんなが私を大好きだと大騒ぎする日はいつ来るのかな?私が勇気を出して好きだと告白するでしょ?けど、必ず3ヶ月と15日以内に捨てられるの。だか ら、今回は物凄く反省して、勉強を熱心にして、かなり努力をしたの」
と、ユリはせつなくしみじみと語る。
ユリはキャンディなんかではなかった。
ユリはユリなりに、せつない孤独を抱えていたのだ。
ユリの話を聞いて、ミスクは悟った。
でも、ミスクはユリを諭す。
「男は理由なんかないの!何となく、何となくなの!
深く考えないで!ユリ先生!」
しかしユリは考えない。
「私はただ、ソ先生と話し合いが必要なのだと」
出て行こうとするユリをミスクは必死に止める。
「最近物騒な世の中よ。どこにいるか知らないと、
心配で寝れないわ」
と、心にもない嘘をつき、二人が会う場所を突き止める。
「あの店で飲むから大丈夫。ゆっくり寝てね」
ユリは出て行く。
しかし、ユラリユラリと揺れるユリのヒップを見て、
ミスクは不安になる。

二人が会うことを阻止するため、
ミスクは出かけるために着替える。
しかし、自分の服が気に入らず、イライラする。
そして、ユリのワンピースを勝手に借りてしまう。
(阻止するだけが目的ではないのね.....)

懸命に走りながら、ジョンヒに電話するミスク。
「あんたのパパとユリが会ってる!
私も何とかしてみるから、あんたも方法を考えて!」
ユリが店に着くと、ジョンチョルの携帯だけが残され、
ジョンチョルの姿が見えない。
ジョンチョルの携帯には、娘ジョンヒからの電話の着信が鳴っている。
しかし、ジョンチョルは携帯を置き忘れたまま、電話には出られるはずもない。
そして今度は、ミスクの携帯にジョンヒから電話が。
ジョンヒの指示通り、店の外に出ていたジョンチョルを、ラブホテルまで運ぶミスク。
父と母を、ラブホテルで会わせようというジョンヒの作戦なのだろう。
それを知ったミスクは、複雑な心境になる。
しかし、ユリに奪われるよりはいい。
ミスクは必死に泥酔したジョンチョルをラブホテルのエレベーターに乗せ、ドアを 開けてやり、出るように告げる。
しかしジョンチョルは降りない。
しかも自分をみつめている。
単に泥酔してボーっとしているだけなのに、
ミスクは自分への愛のサインだと思い込んでしまう。
ジョンチョルに駆け寄り、キスしてしまうミスク。
ジョンチョルも、乳を出された赤ちゃんのように、
反射的にミスクのキスを受け入れてしまう。


ジョンチョルと肉体関係を持ってしまうミスク。
頭の隅には、友情を感じているジョンヒへの罪悪感がよぎる。私達は、深い絆で結ばれ始めているのに.....
しかし、愛には勝てなかった。
愛するジョンチョルと1つになれたことに、この上ない幸せを感じ、その喜びを隠 せないミスク。
それとは逆に、この悲劇をどうすればいいのかと、ジョンチョルは頭が痛い。
「もしや、ユリ先生に会わなかったか?」
ジョンチョルは尋ねる。
しかしユリは、ジョンチョルを一人待ちながら、
あまりの寂しさとヤケで、ビョン先生を呼びつけてしまう。
そして、ユリはビョンと深い関係を結んでしまう。

「私のこと、どう思ってますか?」
ミスクは尋ねる。
「ありがたく、申し訳ない」
ミスクはその言葉に納得がいかない。
「嘘つき.....」
ミスクは、可愛らしく責めてみる。
「なぜ、ヤン先生に嘘を?」
ジョンチョルの言葉にミスクは逆上する。
「ありがたくて、申し訳ないから私にメールを?
しかも、顔文字まで入れて!」
しかし、ジョンチョルは、顔文字の覚えなどないという。
「先生、こんなことしないで.....」
と、ミスクは弱々しい声でジョンチョルを責める。
「もしかして、背景に自動で入る絵のこと?」
ジョンチョルは尋ねる。
「自動?」
ミスクはジョンチョルの言葉に硬直した。
「そのサービスなら、先月解約した」
ミスクは、すっかり立つ瀬がなくなってしまった。


自分の勘違いを棚に上げ、ジョンチョルを怒鳴りつけるミスク。
「このブサイク!それでも私は、
前の前の前の前の年から、本気だった!」
ミスクはジョンチョルを怒鳴りつける。
呆然とするジョンチョル。

ホテルのエレベーターの中で、顔文字の入ったメールを眺めるミスク。
メールには、ただ「会議中に寝るな!」と、だけ書かれていた。自分が情けなくなるミスク。
無断外泊してしまったジョンチョル。
妻の顔を見て、小さくなるしかない。
ジョンチョルが発したのは謝罪の言葉ではなく、
「ヨボ(お前)、愛してる」
そんなジョンチョルを、一睡もできずにいたジョンヒは、
忌々しげに体当たりして家を飛び出していく。




ジョンヒは、学校の前でミスクを待ち構えていた。
「イ・ユリとパパが外泊したの!」、と。
ジョンチョルと外泊したのは自分だとは、
とても言い出せず、後ろめたいミスク。
そこへユリが屈託のない笑顔で声をかけてくる。
ユリを見た途端、ユリに突進していくジョンヒを
「私が何とかするから!」
と、無理矢理引き止める。

「オンニ!私昨日ソ先生とは会えなかったの。
偶然、女友達と会って」
と、ユリはさすがにビョン先生と一夜を共にしたとは言えなかった。
「あんた、昨夜外泊したようね?」
と、ミスクは墓穴を掘ってしまう。
「え?外泊したこと知らなかったの?」
ユリは驚く。
「え?あ、、父が急に具合が悪くなって」
と、ミスクは咄嗟に取り繕う。
「オンニのお父さん、亡くなったんじゃ?」
ユリは首をかしげる。
慌てるミスク。
「亡くなったっていうのは、嘘なの」
と、咄嗟に出た嘘が、また墓穴を掘ることになるミスク。
そこへ、ジョンチョルが登校してくる。
ミスクとユリの顔を見た途端、気まずそうな顔をし、
通り過ぎて行くジョンチョル。
ミスクは、不愉快な気持ちが蘇り、
ユリを残したまま、ズンズンとジョンチョルの後を歩いていく。
呆然とするユリの後ろから、ビョン先生が現れる。
ユリの頭を愛しそうに撫でるビョン。
後ろを歩くミスクから離れようと、必死に歩くジョンチョル。
するとミスクはジョンチョルを追い越し、
「後をつけてるんじゃありません!」
と、言い放つ。

ことの一部始終を見ていたジョンヒは、
状況が飲み込めない。
何がどうなってるの?と、呆然とする。

高3の修学旅行.....
皆からのけ者にされ、唯一ミスクの存在を受け入れてくれていたのがジョンチョルだった。
ジョンチョルの本心を知り、ミスクは心が痛む。
そして、ユリの部屋を出て行く。
ジョンヒから電話がかかってくるが、ミスクは後ろめたくて、とても出ることができない。
腹立たしさが収まらないジョンヒは、ユリの携帯に、非通知で電話をかける。
音声変換ヴォイスを使って。
その時ユリは、ビョン先生と食事をしていた。
密かにユリへのプロポーズの指輪を用意していたビョン。
「既婚者と寝るのが趣味なのか?」
ジョンヒからの電話の第一声に、ユリは驚き、
ビョンに断って、店の外に出る。
ユリが寝た相手は、ビョン先生だ。
咄嗟にユリは、ビョン先生のことだと勘違いする。
「ビョン先生は結婚してたんですか?
私、知らなくて.....」
ユリは驚いて、言葉に詰まる。
「ビョン?音楽教師のビョン?ビョンと寝たのか?」
それを聞いたジョンヒは呆れる。
「じゃあ、ソと寝たのは誰だ?」
ジョンヒは怒鳴りつける。
「ソ先生が誰かと寝たんですか?」
ユリは驚く。
「あんたと寝たんでしょうが!」
ジョンヒは怒鳴りつける。
「ビョン先生とは寝たけど....」
ユリの言葉に、「嘘つくな!」と、ジョンヒはキレる。
「あんたと寝たという証拠がある」
ジョンヒは告げる。
「ソ先生とは寝てないんじゃなく、寝れなかったんです。
彼の携帯にしか会えなかったんです。
ビョン先生に聞いてみてよ」
ユリは必死に説明する。
「だけど、ソに会うために出かけて行ったのは事実だろ」
ジョンヒは執拗に攻める。
「誰からそれを?
着いた時には、もう彼はそこにいなかった。
それも言ったわ。会えなかったと。ミスクに聞いてみてよ」
ユリは告げる。
「それより、あなたは誰なんですか?」
ユリは尋ねる。
「私はソ・ジョンチョルと親しい関係だ」
ジョンヒは答える。
それを聞いたユリは脅える。
「もしや、奥様ですか?」
ユリは勝手にジョンチョルの妻だと思い込む。
「あぁ、ミスク先輩に途中まで話を聞き、誤解されたんですね。でも、私は確かに言いました。会えなかったと。
先輩に話を聞いただけで証拠と言われても....
結局昨夜先輩は、私といたわけでも、ソ先生といたわけでもない。先輩のお父さんのところにいたんです。
その先輩が何を知っていると?」
ユリは説明する。
「ヤン・ミスクの父は亡くなっているじゃないか」
ジョンヒは告げる。
しかし、今朝ユリに「亡くなったというのは嘘なの」と言っていたミスクの顔が蘇り、ミスクを疑いそうになる。
「私も亡くなったと思ってたけど....」
ジョンヒはミスクが嘘をついたと認めたくなる。
「嘘つくな」
ジョンヒはユリを怒鳴りつける。
「じゃあ、先輩のお父さんは亡くなっていると?」
ユリは尋ねる。
「当たり前だろう!」
ジョンヒは泣きそうになりながら、怒鳴りつける。
その瞬間、ある日のミスクの顔が蘇る。
「イ・ユリ、死ねばいいのに.....」
ミスクのその言葉の真意を、ジョンヒは悟る。
「お父さんが生きてらっしゃるなら、昨夜お父さんと一緒にいたという話が通じなくなります。
それに、私とも一緒にいなかった。
じゃあ、先輩は誰と一緒にいたんですか?
ソ先生と一緒にいたってことですか?」
ユリは、泣きそうになりながら訴える。
「だから奥様、先輩のお父さんは絶対に生きるんです.....」
ジョンヒは、ミスクの嘘にショックを受け、失意に陥る。

ジョンヒに話の途中で電話を切られたことに腹をたてたユリは、ジョンチョルの妻の携帯に電話する。
「自分からかけてきて、勝手に切るなんて失礼だ」
と、ユリは責める。
ウンギョは状況が飲み込めない。
「音声変換サービスを使えば、私が脅えるとでも?
幼稚な!
あんたはミスクに騙されたの。
イ・ユリはソ・ジョンチョルとは寝てない。
ソ・ジョンチョルは、ヤン・ミスクと寝たの!
私は初めから怪しいと思ってた。
同僚なのに、連れていけ、送っていけ、とか。
そういえば、そもそも恩師と教え子、興奮したのね」
ウンギョは、思いがけない話に動揺し、
電話を切ってしまう。
「また先に電話を切ったわね!」
ユリは興奮し、怒鳴りつける。
ウンギョはそれでも冷静さを保ち、
「冷めないうちに食べましょう」
と、ジョンチョルを促す。

その頃ミスクは、話が聞いて欲しくて、
皮膚科を訪ねていた。
しかし、パク皮膚科は、移転した後だった。
ミスクは途方に暮れる。
「どうやってまた、初めから説明するの......」と。


そして、学園祭の日がやってきた。
ウンギョは、学校に着くと生徒に尋ねる。
「ヤン・ミスク先生はどこだと」
そして、自分の娘が学校でイジメに遭っていること、
夫とユリ、娘、ミスクが、学校で「좌지까까(ズァジカカ)」
と言っていたということを知る。
ミスクに裏切られたことを知ったジョンヒは、
職員室にいるミスクを訪ね、
無言で平手打ちを食らわす。
職員室は騒然。
しかしミスクが「すみません、すみません」と頭を下げ、ジョンヒを職員室から連れ出す。


職員室を出ると、そこにはジョンチョルの妻ウンギョが。
慌てるジョンヒ。
ウンギョはミスクを見て、
「あなたはうちのイ・ユリさん。この学校の先生だったの?」と、親しげに声をかける。
しかし案内してきた生徒に、
「この人がヤン・ミスク先生だ」と、教えられ呆然とする。
そして、そこへ、ユリもが現れる。
「イ・ユリさん」
ウンギョは声をかける。
「はい」
と、ユリは今までと打って変わって強気な態度だ。
そして、ミスクを見ると、いきなり殴りつける。
ウンギョ、ジョンヒ、ユリ、ミスクと....
全員集合した現場に現れたジョンチョルは、驚愕し、逃げようとする。
ウンギョは、「話をしましょう」と、ジョンチョルを諭す。
ウンギョに語学室に集められたジョンチョル、ミスク、ユリ、ジョンヒ。
「私の考えではなく、今までミスクは自分にはソ先生の悪口を言い、ジョンヒには私の悪口を言い、奥様には告げ口して、姑息な手段を使いました。
あの声を変えた電話もミスクでは?
自分がソ先生と寝たことを教えたくて」
ユリは訴える。
「なぜそんなことをすると?」
ウンギョは冷静に尋ねる。
「私に自慢したくて」
ユリは言うが、
「そんな複雑な方法を使うかしら?」
ウンギョの冷静な判断に、ユリは黙ってしまう。
すると、ジョンヒが言い放つ。
「その電話は、私がかけたの!」
皆、驚く。
「あの日パパがイ・ユリと外泊したのを知り、
2人が寝ると思って」
ジョンヒは語る。
中学生がする話ではない。
ウンギョは皆にヘッドホンをつけさせ、ジョンヒに会話を聞かせないようにする。
「大丈夫、病気さえ、うつさないでくれれば」
ウンギョは言い放つ。
そして尋ねる。
「気分はどう?」
ジョンチョルが答える。
「最低だ」
それを聞いたミスクは傷つく。
「なぜ、イ・ユリが好きなのに、ヤン・ミスクと寝たの!」
ウンギョはとがめる。
「ユリ先生とは、お前が離婚話をした日に終わった!」
ジョンチョルは激しく反論する。
それを聞いたユリは反論する。
「それは違うわ!先生はその後も深い関係を求めてきたわ」と。
「深い関係?」
ウンギョは尋ねる。
ユリは、「そんな深い関係では....」と、言葉を濁す。
「チャットで、深い会話を毎晩求めてきたと.....」
見に覚えのないジョンチョルは、困惑する。
その気配を感じたウンギョはユリに尋ねる。
「どんな会話を?」
しかしユリはそれには答えず、
「私がどれほど辛かったか!睡眠も取れず...」
と、訴えると、ジョンヒがユリの言葉を遮る。


「笑っちゃうわ!」
ジョンヒは、「あんたね!」と、ユリを怒鳴りつける。
「あんたのせいで寝られなかったのは私たちよ」
と、反論する。
ユリは状況が飲み込めない。
「少しでも遅れると大騒ぎして、
日が昇ってもしつこく求めてきて!
休む時間も5分しかくれず」
それを聞いたミスクが加勢する。
「それをしながら、私たちがどうやって!」
ジョンヒは更に怒鳴りつける。
「このキチガイ!」
ユリは動揺する。
「大きくなった、大きくなった.....」
二人はその言葉を繰り返す。
ようやく真実が飲み込めたユリは、あまりのショックで、机に突っ伏す。
「ミスクさんは、未成年の娘に非常識なことをさせ、
イ・ユリさんには、夜な夜な苦痛を味あわせ、
イ・ユリという偽名で私の教室に入会し、私を探り、
その上、泥酔した夫とは、ベッドを共にした」
ウンギョは淡々とミスクの悪行を責める。
そこへユリが口を出す。
「私と一緒に生活している間、光熱費を払ってません!」と。
それを聞いたウンギョは怒鳴りつける。
「彼女も人間なの!非常識な行動を取るには、それなりに理由があるの!」と。
ミスクは、「ありがとうございます....」と、礼を言う。
そして、「さぁ、話してみなさい」と、告げる。
ミスクはたじろぐ。
「何を?」と。
「なぜ、そんなことをしたの?ミス・ヤン?」
皆の視線がミスクに注がれる。
「毎日ジョンヒと徹夜し、朝一には英会話スクール、
昼間は授業、終わればダンス。そして夜には、またジョンヒ。電気なんか使ってない!髪だって、学校で洗ってる!」と、ミスクは主張し、ユリを睨み付ける。
その話を聞いたウンギョは呆れる。
「それは人間のする生活じゃないでしょ。
睡眠と食生活がままならない」
ウンギョのその言葉に力を得たミスクは、更に自己主張する。
「睡眠は昼休みに保健室で少し、朝はスクールのため食べられず、夜に寝れないから、隙があれば目をつぶり、昼も食べる時間がないから売店で買って食べ、退 勤後はすぐにダンスで、夕食の時間もない。夜は公演の練習と、イ・ユリのせいでチャット。ジョンヒが包んできたものを食べてしのいでました」
あまりにも自分よりな主張に、皆が呆れる。
なぜ非常識なことをしたか理由を話せと言ったにも関わらず、ミスクは自分の苦痛しか頭にないのだ。
皆の迷惑や気持ちを労わるなんてことは、ミスクの中にはない。全てが自己中心。自己愛があまりにも過ぎる人間。
ミスクは少しも悪びれない。
ウンギョは、ミスクを更にとがめる。
「ミスクさん、あなたも人間ならば、なぜジョンヒの父親とそんなことをしたの?」
ミスクは、答える。
「申し訳ないと思いながら、そうしたんではないんです。
だからといって、申し訳ないと思っていないということではないんです。ただ私は、エレベーターの中で何かを感じ、そうせずには.... でも、私がそう 言っても、それはあまりにも主観的なので、信じてもらえないのでは?」
ミスクは反論する。
「なぜユリ先生は許されて、私は責められるの?
この人は毎日『感じる』ばかり言ってたのに。
ユリ先生はよくて、私は別なの?
そう、わかったわよ。私は別ってことね!
私が私でなければ、皆、こんな風にはしないのに!
私だから、皆わざわざ無視するんだ!」
ミスクは、自分の罪を謝罪せず、
自分を責める皆をとがめた。
収拾つかなくなり、話にならないミスクを見かねたジョンチョルは、ウンギョに言う。
「ヨボ(お前)、家で話そう」と。
ジョンヒにも「帰ろう」と告げ、皆で語学室を出て行こうとする。
「話はまだ終わってないわ!」
ミスクは逆上する。
その時、放送が流れる。
「18番、ソン・ジョンヒさんと、ヤン先生は、舞台裏でチーム名を確認してください」
それを聞いたジョンヒは驚く。
「あんたが申請したの?」と、ミスクに尋ねる。
「私じゃないけど」
ミスクは答える。
そこへ、放送の訂正が流れる。
「失礼しました。18番のチーム名が確認できました。
「ジョンタワ ジョンタエイン(전따와 전따애인:嫌われ者と嫌われ者の恋人)です」
それを聞いたジョンヒは、
頭に血が昇り、ミスクを怒鳴りつける。
「あんた、頭おかしいの?
なんで、あんたみたいなヤツの恋人なわけ!」
ミスクはひょうひょうと否定する。
「私が恋人の方よ」
ジョンヒは逆上し、スピーカーを叩き壊してしまう。
「帰ろう!」
ジョンヒはジョンチョルらを促す。
その途端、ミスクはとんでもないことを言い出す。
「この人が私に手を出したの!前の前の前の前の年に」
と、ミスクはジョンチョルを指差す。
「4年前?先生に、手をつけたの?」
ウンギョは聞き返す。


驚いたのはジョンチョルだ。
「お前、おかしくなったのか?」
そして、
「俺が何をしたっていうんだ!」
と、ミスクを怒鳴りつける。
「あんなことをしておいて、今更何を...」
ミスクは反論する。
ウンギョは怒鳴りうける。
「言い返さないで、話してみなさい!」
その途端、ミスクは口をつぐむ。
「言えません!」
それを聞いたジョンヒが言い放つ。
「言わなかったら、私たち、ほんとに終わりだから」
ミスクはジョンヒの手を取り、語学室を出て行く。

「いったい、どういうこと!」
ジョンヒはミスクの手を振り放す。
「私が間違ってたの、私を許さないで」
ミスクは言う。
「何が悪いと?」
ジョンヒは責める。
「全部、すべて」
ミスクは、堂々と主張する。
その途端、ジョンヒは泣き出してしまう。
ジョンヒの涙に、ミスクはうろたえる。
「泣かないで、ジョンヒ。全部話してあげるから」
それでもジョンヒは泣き止まない。
「実は、あんたのお父さんが手を出したんじゃない」
ミスクは告げる。
「手を出してないなら、いったい何なのよ!」
ジョンヒは泣きながら訴える。
ミスクは言葉に詰まる。
「あの時.... 2人とも本気だったの」
ミスクは語る。
「だから4年前の飲み会の帰りの車の中で、
先生は私の耳をこうやって撫で、
私は先生の膝に手を置き....
『心配しないで、先生』
と、私が囁くと、そのまま寝たふりしてもたれかかってきたの」と、ミスクは説明する。
「それが全部なの?」
ジョンヒは呆然として尋ねる。
ミスクは頷く。
すると、ジョンヒは激しく嗚咽する。
「私が戻って、全て正直に話すから。私も好きでしたと」と、ミスクは言う。
「あなたのお父さんが手を出したんじゃなくて、
あの時は二人とも心底....」
ミスクも泣き出す。
「ごめんね....」
ミスクはジョンヒに謝る。
「何言ってんのよ!」
ジョンヒはミスクの手を突っぱねる。
「今、この状況でそれを話すと?
こうして、こうしたと、ママにも見せるの?」
ジョンヒは反論する。
「それが真実だもん」
ミスクは泣く。
ジョンヒも、泣き続ける。
そして、ミスクに尋ねる。
「先生、私が嫌いになったでしょ?」
ミスクは激しく首を横に振る。
「わかったわ」
ジョンヒは決意する。
「ヤン・ミスク。よく聞いて」
と、今後の作戦をミスクに聞かせるジョンヒ。




しかし、二人の会話を全て、ウンギョが立ち聞きしていた。
ミスクはジョンヒの提案通り、4年前の話を語る。
(ジョンヒが「舌!」とばかりに、舌を出すのが笑える)
ジョンチョルは車の中で、私の耳の中に舌を入れたり、
出したり、舐めたり、吸ったり....
そして、ロマンチックに言いました。
お前は、ほっんとおいしい」って。
すると、それを待ち構えていたジョンヒが立ち上がり、
ジョンチョルに向かって言い放つ。
「アッパ、ミウォ!(パパ、許せない!)」と。
騒然となる一同。





「俺はやってない」 ジョンチョルは否定する。
しかし、ウンギョは受け入れない。
「ソ・ジョンチョル。あなたは同僚にセクハラしたのよ。 告訴されないとね!」
ウンギョは強い口調で有無を言わさない。
予想外の展開に、ジョンヒもミスクも呆然とする。
うろたえるミスクは叫ぶ。
「セクハラではありません!」
ウンギョはとがめる。
「それがセクハラではないと?
ヤン・ミスクさん、
あなたはセクハラと愛情表現の区別もできないの?」
ミスクは訴える。
「私が愛情表現だと感じれば、それは愛情表現です」
「そう、心から愛されてるのねぇ」と、
ウンギョはイヤミっぽくジョンチョルを見やる。
ジョンチョルは、全身の力が抜ける。
ウンギョは言い放つ。
「ひとまず、ミスクさんはジョンチョルを忘れるように。
私も今日付で離婚するから」
そして、ジョンチョルを見やるウンギョ。
「あなた、どうするの?
嫌いな豆飯も食べないとね」
(豆飯=刑務所の食事)
その途端「なんで!」と、ジョンヒとミスクは叫ぶ。
「罪を犯したら、罰を受けないと」
ウンギョは言い放つ。
「ヤン・ミスクさん。弁護士費用は全部負担するから、
自分で告訴しなさい」
ウンギョは言い放つ。
困惑するミスクとジョンヒ。
ミスクとジョンヒはウンギョに駆け寄る。
「全部、嘘だったんです!」
しかし、ウンギョは受け入れない。
「それが嘘だとすると、師弟で共謀して、
ある家庭を崩壊させようとしたことになる。
そんなの誰が信じると?信じないわ」
ウンギョは言い放つ。
その途端、とうとうジョンチョルがキレる。
ガラスを割り、怒鳴りつける。
「人間は生きていれば失敗を犯すこともある。
それが人間だ。
どうやったら人の心が一生同じでいられるのか!
皆、努力して生きてる。
努力して生き、疲れたら少し休むこともあるだろう!
俺は少し休んだ。そして、しくじった。
お前は45年の中で一度も失敗したことがないのか!」
ジョンチョルはウンギョに怒鳴りつける。

すると、ユリが弱々しく声をかける。
「先生、私とのことも失敗だったんですか....?」
ジョンチョルは頭が痛くなる。
「ユリ先生、空気を読んでくれないか!」
ユリはジョンチョルの冷たい態度に、涙を流す。
ジョンチョルはウンギョに詰め寄る。
「俺は15年前、病院でお前と最大の失敗を犯した。
だが、ジョンヒが生まれて、幸せにやってきたじゃないか。
頼む。もう、これくらいにしてくれないか?」
それを聞いた途端、ジョンヒが泣き叫ぶ。
「私も知ってるわ!私が実の娘じゃないことを!」
それを聞いたジョンチョルとウンギョは、
慌ててジョンヒの手を取り、「あなたは実の娘よ!」と、必死に否定する。
ジョンヒは訴える。
「どうやってパパとママが!
全身ギプスして... それができる?
一生懸命研究したけど、不可能だった!」
ジョンヒは泣きながら訴える。
「できるの!可能よ!」
ジョンチョルとウンギョは必死に反論する。
「ママが後で教えてあげるから....」
ウンギョはジョンヒを抱きしめる。
「ママ、いろいろとごめんなさい....」
ジョンヒは泣きながら、母に謝る。
こうして、ジョンチョル一家は丸く収まった。
しかし残されたミスクとユリは?
ユリは泣きながらミスクに抱きつく。
「オンニ、辛いでしょう?
オンニの気持ち、わかるわ。ごめんね」と。
ミスクも泣き出す。
泣き叫ぶ二人を見て、ジョンチョル一家は呆然とする。

しかしミスクは、ユリの体を振り払い、
「私も混ぜてください!」
と、ウンギョにかけよる。
(それはユリにあんまりでは?だから嫌われんの!)
「許してください、奥様」
ミスクは訴える。
「何を許してくれって?
それは、うちのジョンチョルを告訴しないってこと?」
ウンギョは尋ねる。
ミスクは、うんうん頷く。
「もうジョンチョルを、つけ回したりしない?」
ミスクは、今度は躊躇する。
「では、ヤン・ミスクさんの望みは何なの?」
ウンギョは尋ねる。
「ありません」
ミスクはキッパリと答える。
それには、ウンギョは腹を立てる。
「じゃあ、いったい何をどうしようと?!」
「そこまで考えていませんでした」
ミスクは答える。
「4年間も、既婚者をつけ回して、
どうしたいかさえも、考えもしなかったの?」
ウンギョは呆れる。
「後々話を変えないよう、ここで整理しましょう。
10分も考えれば十分でしょう?」
ウンギョは提案する。
ミスクは壇上に上がり、瞑想させられる。

そして、ウンギョは選択肢を挙げる。

1番、ジョンチョルを得る代償に、家庭崩壊犯
2番、キレイさっぱり忘れて、新しい出発

決まった?ヤン・ミスクさん?
ウンギョは時計を見る。
「あのぉ」
ミスクは1つ質問がしたいという。
ミスクはジョンチョルに尋ねる。
「先生、もしや、私に電話をかけたいと思ったことは?
何の用もないけど、何となく」
「ただの一度もなかった」
ジョンチョルはキッパリと言い放つ。

それを聞いたミスクは語る。
「実は、そうだろうと思ってました」
それを聞いたウンギョとジョンチョルは頭を抱える。
では、今までのは何だったんだと......

「でも私は、毎日電話したかったです...」
ミスクは告げる。
そして、ふんぎりがついたミスクは結論を下す。
「奥様、2番、新しい出発にします」
4年間しがみついていた想いとの決別。
ミスクは、泣き笑いを浮かべる。
その時、放送が流れる。
「次の出演は、ジョンタワ ジョンタエイン(전따와 전따애인:嫌われ者と嫌われ者の恋人)です」
その途端、ジョンヒは立ち上がり、ミスクの手を引き会場へ向かって疾走する。
公演に出るのはイヤだというミスク。
「逃げたと思われるでしょ!」
と、ミスクを諭すジョンヒ。
二人が舞台に上がると、予想以上に冷たい反応だった。
「チンタ!チンタ!(찐따:嫌われ者)」
と、会場中から掛け声がかかる。
うな垂れる二人。
しかし、ジョンヒはまっすぐ前を見据える。
ジョンヒの中で、何かが変わろうとしていた。
「もう逃げない」
そして二人は、公演を始める。
二人をめがけて、トイレットペーパーやら、石までが飛んでくる有様。
それでも二人は、やり遂げる。
投げつけられた白い粉で真っ白の二人。
しかし、やり遂げた爽快感で、二人は充実していた。
「何がそんなによかったんだろう?」
「全部よ」
そう言って、二人は笑い転げる。
確実に、二人の絆は深まった。

これから、どうやって暮らそうかな.....
ミスクは嘆く。


翌年の春──

ミスクとユリは、電車に揺られながら、
肩寄せあって眠っていた。
ジョンヒの手には、何かのリストが握られている。
それは....
「パク皮膚科」と、「パク・チャヌク」という名を集めたアドレス帳だった。


二人は、「これからどうやって生きて行こう」
というミスクのために、
以前通っていた皮膚科専門医パク・チャヌクを捜していたのだ。
そうして、ようやく突き止める。
ミスクの顔を見て、呆然とする医師と看護婦。
二人の顔を見たミスクは、照れ隠しのように尋ねる。
「先生、結婚されたんですかぁ?」
医師は言葉に詰まる。
それを見かねたジョンヒが言い放つ。
「結婚したならした、してないならしてないと答えなきゃ!」
医師は驚いて、咄嗟に「してません」と、即答する。
それを聞いたミスクは嬉しくて、照れ隠しにジョンヒの背中をバンバン叩きつける。
たまったもんじゃないのはジョンヒだ。
ゴホゴホと咳き込んでしまう。
そしてミスクは、顔を真っ赤にして医師に告げる。
「私は...お前が本当に気に入った...
(난...니가 참 마음에 든다...)」と。
ジョンヒの母がジョンチョルにプロポーズした言葉だ。

ミスクは、一歩成長した。
自分の気持ちを、自ら告げることができた。

しかし.....
自分の存在を否定せず、話を聞いてくれる相手が、
自分に「好意的だ」と、勘違いしてしまうのは相変わらずのようだ........
ジョンチョルも、パク医師も、
「教師」、「医師」としての使命として、
ウンザリしながらも、つき合っていただけなのに.......
ミスクの墓穴堀りの人生は、
まだまだ終わらないようだ。




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