コムタン |
原題:コムタン 곰탕(コムタン) <1996.1> |
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演出 |
イ・ジャンス (이장수) |
【ドラマ】<1995>
アスファルトの男、<1996>コムタン、<1997>
美しい彼女、 <1998>愛してる、愛してる、 |
出演 | キム・ヘス (金恵秀) | 出演作品一覧 |
ソ・ヘリン | <1996>コルセット、<
1996>コムタン、<1998>約束、<1999>我が心のオルガン、 <2005>クライング・フィスト |
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リュ・シウォン(柳時元) | <1995>キャ ンパス恋歌、 <1996>コムタン、 <2009>パートナー | |
チョン・ウソ ン(鄭雨盛) | 出演作品一覧 |
【レビュー&ネタバレ】 |
SBSの正月特別番組として製作
された2時間ドラマ。 演出があのイ・ジャンス!ということで、迷わず視聴しましたが.................. イ・ジャンス色はいづこに?! 本格的な正統派ドラマ。 激動の時代を生きた一人の女の人生を描いております。 DVDのキャッチコピーに’純愛’とか謳ってますけど、大嘘です。 どちらかといえば、女同士の友情の方が軸になっております。 そして、もう1つ大嘘。(嘘というか、詐欺) 日本版DVDのパッケージにチョン・ウソンが思いっきり載せられておりますが、 チョン・ウソンの出番はほーんのちょっとです。 ヒロイン、キム・ヘスが想いを寄せるジェフンは、チョン・ウソンではなく、 ハン・ジェソクが演じております。ご注意を。 ほんとに、チョン・ウソンは最初と最後にちょこーっとだけ。 ただ、’チョンリョン’という役名までありますし、位置づけとしては’特別出演’的なものかもですね。 役柄的にも、時代を象徴する人物ですし。 それに比べてリュ・シウォン。 キム・ヘスの夫役ではありますが、これが典型的な放蕩息子。 女好きで、愛人を作った上に、妻に対し開き直る横柄な男。 幼稚でワガママなボンボン。 ’プリンス’リュ・シウォンらしくない役柄ではありますが、けっこうお似合い(笑) 遅くなりましたが、主人公スンニョ。 キム・ヘスが演じるには、かなり地味な役ではありますが、 こういう芯の強い耐える女性もなかなか板についておりますわ。 キム・ヘスの子役が、<霧の視程距離& gt;のヒロイン、リュ・ヒョン ギョン。 可愛くないのよね。なぜ、選ばれたのか。 韓国的美人なの? そして、チェボンの壮年期を演じるのが、キム・スミ。 <家門の栄光>や、 <バリでの出来事>ジェミン母でございます。 すごいわ。 さすが大女優。演技派。 軽いアルツハイマーを煩う老女を見事に演じておりますし、 正常な時のゴッド姐ちゃんぶりも見事。 この硬いドラマの中で、唯一和ませてくれますわ。 そして、もう1人。 <オールイン>のイ・ビョンホンの幼馴染、<ピアノ>では、ハクスの舎弟を演じたイム・デホ。 壮年期のスンニョとチェボンを面倒看るコムタン店の店員ヨンミン。 スンニョの息子かと思ったのに、他人なのね。 けど、他人だからこそ、観ていて心が温まるのかもしれないわ。 このドラマを観る方というのは、やはりリュ・シウォン、チョン・ウソンのファンの方でしょうか。 作品自体には、それほど価値があるとは思いません。 激動の時代を生きた女の一生。 興味深いというほど掘り下げているわけでもなく、 当時の韓国で生きた女性の一人の一生ということだけで興味を持てる方でなければ それほど意味のある作品だとは思いません。 とにかく、かたーい正統派ドラマですので、楽しいものではありません。 イ・ジャンス監督の<美しき日々>の並木道を彷彿させるような、雪の並木道の美しさだけが癒しです。 ストーリーですが、 ひもじさに耐える幼い弟、妹を見るに見兼ねて、幼いスンニョは嫁に行くと言い出すの。 毎年米を送ってもらうという条件で........ スンニョは輿に乗り、寒さ厳しい雪の中、嫁いで行く。 チョン・ウソンは、スンニョの嫁ぎ先までの道先案内人。 嫁いだとはいっても、まだ子供。 結婚式もまだまだ先のこと。 とにかく、その家は、男たちの滋養のために毎日コムタン(牛骨スープ)を作るのが日課。 スンニョも、ひたすらコムタンを作るだけの毎日。 おいしいコムタンを作るには、よい肉を使うこと。そして、丁寧に洗うこと。 人生とコムタンとは、よく似ている。 老婆になったスンニョの語り。 大人になり、結婚式をあげたというものの、ソウルの学校に入学した夫に会えるのは長い休暇のみ。 そんなある日、夫が友人ジェフンを連れて帰郷する。 滅多に会えないのに、なぜ友人などと.... スンニョは最初は不満に思うが、しだいにジェフンに淡い恋心を抱き始める。 一方、夫もソウルにチェボンという愛人を作っており、そのチェボンも突然押しかけてくる。 夫インソン(リュ・シウォン)は、「青春なんだ、女くらいいなきゃ」と悪びれもしない。 夫とチェボンと3人で一部屋で並んで寝るスンニョ。 しかも、夫はチェボンを抱きしめながら..... スンニョはようやく懐妊。 一家一丸となり、安産を祈るが、スンニョは流産してしまう。 それからというものの、夫インソンンは更に実家に帰郷しなくなってしまう。 ある日、インソンの父が危篤となり、スンニョはソウルまで知らせに行くが、 夫インソンは、女と同棲していた。 それはチェボンでもなく、夫を亡くした未亡人。 まるで本妻のように扱われている未亡人を見て、スンニョは不愉快になる。 そりゃ、当然。 自分は夫の家族の世話に明け暮れる日々なのにね.... 妻じゃなく、召使だわ。 結局、その未亡人との間に息子が生まれ、 夫インソンの母はスンニョの前で気遣うこともなく、孫の誕生を大喜び。 スンニョはインソンの母の面倒を看ながら過ごす日々。 そこに加わるのは、夫の元愛人チェボン。 劇団の女優だったチェボンは、劇団が潰れ安ホテルに売られるが(売春婦として) 着の身着のままで逃げ出し、行くあてもなく、インソンの実家にやってきたという。 スンニョは不愉快ながらも、傷の手当をし、家に置いてやる。 チェボンを演じるのは、<我が心のオルガン& gt;で、オールドミスの女教師。 <クライング・フィスト> で、チェ・ミンシクの妻を演じたソ・ヘリン。 映画よりも、TVドラマで見る顔です。 とはいっても、脇役ですが....(- - ;; <LOVE~サラン~>で、チャン・ドンゴンの同僚、<悪い女たち>で、パク・ソルミの部下、 などなど。 このチェボン。 最初にインソンの実家に押しかけてきた時は、人間性を疑ってしまうような不快指数100の女でしたが、 実は孤児で寂しい人だったんです。 そして、情と義理を重んじるような全うな人間だったんです。 このチェボンの予想外の(良い)裏切りで、ドラマに深みが加わった..... といいますか、このチェボンあってこそ、キム・ヘス演じるスンニョも輝く........ このドラマになくてはならない人物。 このチェボンのスンニョへの想いに、涙がホロリ。 ’友情’だなんて簡単な言葉では片付けられない。深い、深い、絆。 チェボンにとっては、スンニョは命の恩人。 ホントならば、殺したいほどの仇であるはずのチェボンを助けるということは、 簡単にできることではないわ。 そして、チェボンがその恩に報いようと、スンニョを助けるために何度も体を売る.... それも簡単にできることではないわ。 しかも、チェボンは体を売るのがイヤで、死に物狂いで逃げてきたのだし..... こんな二人の深い絆は老後まで続いており、いろいろと考えさせられるわ。 スンニョもチェボンも、結局独り身で老後を送るわけですが、 こんな家族より家族らしい友達がいたら、結婚よりずっと人生が深いものになるでしょうね。 話は戻って、、、 結局、夫インソンは不渡りを出して経営していた会社が倒産。 実家を担保にしていたために、スンニョたちは家から追い出されてしまう。 ほんとに..... スンニョはいったい何のために嫁にきたのか.... 「食うに困らないだろう....」 という、スンニョの親心さえも踏みにじられて..... 結局、スンニョはチェボンと工場で働いたり、食べ物の配給を受けながら何とか生き延びる。 夫インソンはホントにしょうもない男! こんな男にスンニョもチェボンも泣かされて...... しかも、インソンはスンニョに離婚を迫るの。 息子のヒョンスがアメリカで成功して、一緒に暮らそうと言ってくれているのだけれど、 呼び寄せられるのは、実の親のみで.... 愛人が生んだ子供は、戸籍上はスンニョの子となっていたのね。 スンニョが離婚しなければ、ヒョンスの実の母はアメリカに行けないわけ。 けど、スンニョは離婚に応じない。 名だけの妻なのに、その名さえも奪おうというのか。 その名さえも奪われたら、私の人生は何の意味もなくなると。 ほんとに、スンニョの言う通り。 あんまりよね.... その上、今度はヒョンスの母がわざわざ訪ねてきて 「息子と一緒に暮らさせてくれ」と..... 結局、スンニョは折れてしまうわけ........ こんな哀れな人生でいいわけ....? 結局、この世の中は、不幸な者ばかりが不幸になり、損をする人間ばかりが損をする..... せめて、ジェフンがスンニョの元に戻ってきてくれたら..... スンニョの人生... まさに、踏んだり蹴ったり.... そんな人生を送っている方はたくさんいることでしょう。 そんな方がご覧になったら、胸が痛くて仕方ないドラマかもしれませんね.... |
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