国家代表!?    National athlete  
 原題:国家代表 국가대표 (クッカデピョ)<2009>

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 映像

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1996年、全羅北道のムジュ(茂朱)。冬季オリンピック誘致のため、正式種目 の一つであるスキージャンプ国家代表チームが急造される。これに子供スキー 教室の講師バン・ジョンサム(ソン・ドンイル)が国家代表コーチに任命され、彼のあらゆる甘言利説に精鋭(?)メンバーたちが集まる。

ジュニア・アルパイン スキー米国国家代表だったが、実母を探して韓国に来た入養児のボブ(ジャ・ジョンウ)、女がいなければ一日も耐えられないナイトクラブのウェイター・ホン チョル(キム・ドンウク)、昼夜、炭火 だけ吸いながら、父の言うがまま生きてきた焼肉屋の息子ジェボク(チェ・ジェファン)、祖母と弟を養うという重荷を背負った寡黙な少年家長チルグ(キム・ ジソク)、そんな 兄を心から愛する4次元弟ポング(イ・ジェウン)。

パン・コーチは、あたかも神にでもなったように、母と一緒に住む家が必要なボブにはアパートを。愛のために、または扶養家族のために彼らと一緒にいなけ ればならないホンチョル、チルグ-ポング兄弟。そしてジェボクには、軍免除を約束する。但し、金メダルを取れば。

このようにして、スキージャンプが何かも知らず、一時スキーにちょっと乗ってみたという理由で選ばれた彼らが集まり、大韓民国で最初のスキージャンプ国 家代表チームが結成される。
【予告編】
監督 キム・ヨンファ <2003>オー! ブラザーズ、 <2006>カンナさん大成功で す!、 <2009>国家代表

出演

ハ・ジョンウ

出演作品一覧

ソン・ドンイル

<1997> テロリスト2、<2001>7人の夜明け、、<2006>カンナさん 大成功です!
<2008>ワンス・アポン・ア・タイム、 <2009>国家代表、 <2009>洪吉童の末裔

キム・ジソク

<2005>恋愛術士、<2006>カンナさん大成功です!、 <2008>目には目、歯には歯
<2008>夕べのスキャンダル、<2009>国家代表、 <2009>パパは女の人が好き
キム・ドンウク 出演作品一覧

ソン・ドンイル

<1997> テロリスト2、<2001>7人の夜明け、<2006>カンナさん大 成功です!
<2008>ワンス・アポン・ア・タイム、 <2009>国家代表、 <2009>ホン・ギルドンの後裔

チェ・ジェファン

<2004>俺も行く、<2004>僕らのバレエ教室、<2004>マルチュク青春通り、<2005>レッド・アイ、
<2005>大胆な家族、<2005>恋愛の目的、<2006>愛を逃す、<2006>チ・ジニ×ムン・ソリ 女教授
<2006>卑劣な街、 <2006>角砂糖、<2007>光州5・18、<2007> 1942 奇談、<2007>トラック、
<2008>宿命、<2008>ビースティ・ボーイズ、<2008>赤ちゃんと僕、<2009>国家代表
<2009>清潭菩薩

イ・ジェウン

<2002> ロード・ムービー、<2003>ぼくらの落第先生、<2003>殺 人の追憶、<2004>孤独がもがく時、
<2004>大統領の理髪師、<2004>春が来れば、<2005>愛してる、マルスンさん、
<2006>グエムル~漢江の怪物~、<2009>国家代表

イ・ウンソン

<2006>多細胞少女、<2006>ある日突然 3番目の話-D-day、<2007>なつかしの庭
<2007>銀河解放戦線(友情出演)、<2007>ザ・ゲーム、 <2009>国家代表
【ボブ/チャ・ ホンテ】
スキージャンプ国家代表
ハ・ジョンウ
【パン・ジョン サム】
コーチ
ソン・ドンイル
【カン・チル グ】
スキージャンプ国家代表
キム・ジソク
【チェ・ホン チョル】
スキージャンプ国家代表
キム・ドンウク
【マ・ジェボ ク】
スキージャンプ国家代表
チェ・ジェファン
【カン・ボン グ】
チルグの弟
イ・ジェウン
【パン・スヨ ン】
パン・コーチの娘
イ・ウンソン
【マ社長】
ジェボクの父
イ・ハヌィ
【ボブの実母】

イ・ヘスク
【チルグ兄弟の 祖母】

キム・ジヨン

イ・ウンソンがキレイになってビックリ。多細胞少女は個性的だったけど、髪を伸ばしたせいか、その後パっとせず。
オーラはないけど、キレイになりました。

ボブの実母役のイ・ヘスク。兄嫁は19歳。明朗少女成功記、北の駅から、などの美しさは消えつつありますね...
ワニ&ジュナではキム・ヒソンの母役 で、歳の差がそれほどないのに気の毒に思いましたが、ようやく主人公の母役にハマってきた感じですね。

特別出演のキム・ヨンゴンに、友情出演のキム・スロ。最近キム・スロの 顔がヘン。
友情出演のオ・グァンノクに、アイリスの ミジョンこと、ジュニ。
作戦マリンボーイのチョ・ジェユン。ヤクザ役以外初めて見た (笑)しかも、いきなり善良な役(笑)
パク刑事役のマ・ドンソク。見たことある顔なのに思い出せず、ようやくわかった!仁 寺洞スキャンダルのキム・レウォンの子分だ!

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【レビュー&ネタバレ】
2009年7月韓国公開。観客動員数は、800万人を越えるミラクル大ヒット。
歴代記録6位を記録。

ブラボー!の一言。
まさに、商業映画の王道。
笑いあり、感動ありのスポーツコメディ。
キム・ヨンファ監督は、商業映画の神ですね。
3作とも大ヒットです。1作目は約350万人ですが、それでも三作ヒットを続けるなんて快挙!

mocaのだーい好きなヒューマン・コメディ。
ツボのど真ん中を突かれました。
久々に大満足!

キム・ヨンファ監督は、人間の泣き所と笑いどころを心得てますね。
そして、どんどんコツを掴んで、更に更にヒットさせていく。

そして、キム・ヨンファ監督のすごいところは、キャスティングの見事さ。
この映画は、キャスティングの成功が一番大きな鍵では?
ハ・ジョンウ、ソン・ドンイル、キム・ドンウク以外は、端役専門の俳優たち。
しかし、キャラに見事ハマる俳優をキャスティングし、
演技を越え、そのキャラクターそのものにしか見えない。
だからこそ、伝わってくるんです。
感動が。

それぞれ、特に何も持たない平凡なキャラクター。
それが、皆魅力的に見えるんです。
心理描写が見事でしたね。
最後には、全員大好きに。愛さずにはいられない。
ハ・ジョンウとチルグは男らしく、頼もしく。
ジェボクは気弱だけれども、まっすぐで素直で純朴。何気に芯も強い。
一番のお気に入りはホンチョル。
一見チャラ男だけれども、純粋で感激やで、熱い心の持ち主。
ケンカは弱いけど(笑)
スヨンに感動し、涙を流してスヨンに抱きつこうとして拒まれ、
今度はボブに抱きつこうとして拒まれ、一人膝を抱えて泣くホンチョルは可愛くて仕方がない。
こんな子犬のような可愛さを演じられるのは、キム・ドンウクしか知らない。
そして、スヨンはたくましい。
ホンチョル、いいと思うんだけどなぁ...
やっぱり男らしいボブがいいのでしょうか。

この映画は、実話がモチーフ。
ですが...
捏造ともいふ。

実話の方は鑑賞済の方のために最下部に記載します。
ネタバレしちゃったら、夢がなくなっちゃうからね....

まぁ、事実はさておき、フィ クションとして楽しみませう♪


とはいえ、海外には輸出されない危険も...
これだけ事実を湾曲してたら、反感買うでしょう...
「ウリナラ韓国」と呆れられ...
日本は特に...
長野オリンピックの日本勢の素晴らしさを湾曲されちゃってる上に、
日本に対しては、反日発言とまではいかなくても、侮蔑する言葉もありますから...
(日本公開決定です。嬉しいけど、ビックリ。あくまでもフィクションでいくのでしょうかねぇ?)

長野オリンピックの事実は捏造しちゃってますが、事実にこだわり神経質にならないように。
事実、韓国スキーキャンプは映画にも勝る感動的な歴史を作ってますから。
偏見の目で観ないでくださいませ。
フィクションです。フィクション。

イイ映画なんだけどぉ...
この手の商業映画なら、事足りてますかね... 日本。

とにかく、スキージャンプという競技を扱ったのが良かったですね。
華麗で圧巻。

この映画は一般公開向けのバージョンと、完全版のバージョンの2バージョンが公開されました。
ですが、まずは一般公開向けを見てください。
この映画、かなりカットされてます。
ですが、完全版だと中だるみして面白さと感動が半減してしまうと思います。
完全版は一般公開向けを観て、「もっと知りたい!」と思った方向けと思ってくださいませ。



↓  結末までネタバレしますのでご注意を ↓

※最近、「お母さん」「お父さん」とか日本語で呼ぶとこそばゆいので、
オンマ、アッパ、アボジ、オモニ、オッパ、オンニ、ヒョン、ヌナ、アジョシ...などと記載します。
このサイトを見ている方なら、それくらいの韓国語は理解できますよね?



1996年全羅北道(チョルラブクト)、茂朱(ムジュ)。
冬季オリンピック誘致を目標に、大規模工事の真っ最中だったその時期...
国際オリンピック委員会から予期しない一通の急報が飛び込む。

“貴国のオリンピック誘致申請を検討してみたところ、
貴国のスポーツ界の人気が不足していること、及び正式種目不在の理由で申請資格を保留します。”

これに慌てた冬季オリンピック誘致委員会は慌てて当不在種目を調査し、
その中に、”スキージャンプ”というなじみがうすい種目を発見する。
すぐさま、国家代表チームを急造しろとの特命が下され、
不毛地と思える韓国に、スキージャンプ代表チームが結成される。





養子縁組の家族捜索番組。
アメリカへと養子縁組されたボブがステージに立つ。
準備したメモを取り出し読み上げるボブ。
「私の韓国名は、チャ・ホンテです。私は1971年に生まれました。
7才なった1977年、私の妹と共にアメリカで養子縁組しました」

アナウンサーが、何か思い出はないかと尋ねる。
「砂糖をまぶしたトマトです... オンマが度々作って下さってたくさん食べました...
そしてアパートに対する記憶もあります。
オンマがお金たくさん溜めて、必ずアパートで暮らそうと..
それで私たちをアメリカへ送る時、アパートに引越したら必ず迎えに行くと言いました。
少しの間だけ... 我慢して待ってくれと...」
ボムは語る。

アナウンサーは尋ねる。
「韓国語はどうしてこんなに上手なのですか?」
「オンマを待っていたからです。韓国人学校に通いながら韓国語も勉強して、
韓国人教会にも行って韓国の友人らとも仲良くなって..
オリンピックが開催されれば、韓国にアパートがたくさん建設される..
それで、オンマがもうじき迎えに来るだろうと思いました」
ボムの言葉に、アナウンサーは目に涙を溜める。

「ご両親は、人情が厚い方ですね」
アナウンサーは、ボブの背景に映し出された養父母の写真をみながら語る。
それを聞いたボブは、不愉快になる。
「妊娠できないから、養子縁組をしたのでは!」
ボブは「인심(インシム:人情)」と「임신(イムシン:妊娠)」を聞き間違えたのだ。
慌てたアナウンサーは必死に訂正しようとするが、パニくってしまう。
それを見ていた観客たちは笑いがこらえきれず、スタジオ内に笑い声が溢れてしまう。
ボブは状況がわからず通訳に彼女が何を言っているのか尋ね、ようやく理解する。
「あ~!人情! Heart?! Mind?!」
ようやく番組は無事に終わる。




TV局の控え室で、一人の男がボブを待ち構えていた。
それは、スキージャンプ競技のコーチを任命されたパン・コーチだった。
「国家代表ですか?」
ボブは尋ねる。
パン・コーチは、微笑を浮かべ【ボブ・ジェームズ米国アルパイン ジュニア国家代表】と書かれた
英字新聞を差し出す。

「許せない。大韓民国。
俺は.. 米国へ行く時、妹と俺とで三千万ウォンで売りました、韓国が...
そんな国の国家代表?!笑わせますよね?」
ボブは言い放つと、カバンかついで控室を出ようとする。
「だったら、君も韓国を売ればいい!」
パン・コーチはボブに投げかける。
「FUCKING KOREA!!」
ボブは中指を立て言い放つ。
ロッカーの扉を荒々しく閉め出て行くボブ。
悲鳴を上げるパン・コーチ。
ボブが閉めたロッカーに指を挟んだのだ。
怪我した指を握り締めながら、ボブの背中をみつめ唸るコーチ。

痛む指を堪えながら、ボブの後を追うコーチ。

「オイ!ボブ・ジェームズ!すばらしくて.. すばらしいことだ。
TV局も見返し、米国ジュニアチームも見返し、オンマだって見返せる。
直接このような形でオンマを探せば、問題も起きないのでは?」
コーチは言い放つ。

「子供が両親探すのに問題が起きる?この汚い国ならそうかもしれない」
ボブは言い放つ。

「他でもないお前のオンマが、今君のことを知らずにいるのでなく、現れないでいるとしたらどうする?
そんなこと考えもしなかっただろう?オンマがお前に会いたくないこともあることだろう?」
コーチは告げる。

怒ったボブは、コーチを壁に押し付ける。
「会ったこともない俺のオンマのことを悪く言うな!」

「違う!侮辱しているんじゃない!お前は何もわかっていない。
韓国に来て自分のオンマ探すという養子縁組の人たち。皆、成功している。
医師に!会計士に!国際弁護士!!皆そうだ、皆..
だが、お前はなんだ!!
その国に適応できず、韓国で失業者になっただけじゃないか。
それでオンマを探すと?!
オンマの立場も考えてやれ。くそったれ」
コーチは言い放つ。
コーチの話に衝撃を受けたボブ。

「お前が探すのではなく.. オンマがお前を探すようにすればいい.. 」
ボブはコーチの言葉を噛み締め、コーチをぼんやり見つめる。




ボブは、旅行用カバンをワゴン車にのせて助手席に座る。
高速道路を走るコーチのワゴン車。
行き先は茂朱。
ボブは、候補選手たちのプロフィールを眺めている。
選手たちの名前の横には、「除名」と判が押されている。
「顔を覚えておけ。そいつら高校までスキー選手だった」
コーチは告げる。
ボブは、「除名」という判を示す。
「薬物使用で全国大会のメダル剥奪された... スキーに二度と乗れない」
コーチは説明する。
「ゴミらで何をされるつもりです?」
ボブは告げる。
「お前!この野郎!話を聞いてたのか?ゴミが何だと!?」
フフッと笑うボブと、不愉快なコーチ。




まっすぐに伸びた農道を走るワゴン車。
その前に、一人の少年が割り込んでくる。
狭いあぜ道を占領するように歩いていく少年。
コーチはクラクションを鳴らし、「お前、よけろ!」と怒鳴る。
少年は聞こえないかのように、黙々と歩いていく。
クラクションを鳴らし続けるコーチ。
すると、警告音が。
振り返ると、いつのまにか後ろにぴたっと耕運機がつけている。
耕運機に乗った老人。「よけろ」というように自作のクラクション鳴らし続ける。
進退両難。困り果てるコーチ。

「大バカ野郎!お前、本当によけないのか?!この野郎!」
コーチはクラクションを鳴らす。
すると、少年は振り返り、つかつかとワゴン車に近付く。
「なんだ.. この野郎」
コーチは訝しがる。
「乗せて.. 」
少年は無表情のまま告げる。
再びクラクションを鳴らし、ハアハアと息をする耕運機の老人。
「忙しくて気が狂いそうだ。お前、本当に轢いてやるぞ!早くよけろ!この野郎!」
コーチもヒートアップしていく。
少年は断念したのか、悲しい微笑を残して再び中央を歩いていく。
呆れるコーチ。
ハンドルを切って、少年を避けようとする。
少年は、あたかも後ろが見えるかのように、素早い動きでワゴン車がよけた方向をふさぐ。

さすがにボブも耐えられなくなる。
「乗せてやってくださいよ、ちょっと」
ボブはコーチを諭す。
「俺がなんで?あの野郎をなぜ乗せなきゃならん?!」
コーチは聞く耳を持たない。
再び反対側にハンドルを切りアクセルを踏むコーチ。
だが、少年は再び素早い動きでワゴン車の前をふさぐ。急ブレーキを踏むコーチ。
ついにワゴン車の車輪が溝にはまってしまう。
そんなコーチを眺めてにっこり笑っている少年。
コーチはアクセルを踏んでみるが、エンジンまで止まってしまう。
殺気立ったコーチ、少年を追いかける。呆れ返って車を降りるボブ。
リスのような機敏な少年を捉えるには力不足なコーチ。
息切れして立ち止まってしまう。
再び、いらだったようにクラクションを鳴らす耕運機。
「ハラボジ!後退してください、後退!!」
コーチは怒鳴る。
「後退できるか!この野郎!」
老人も怒り出す。




呆れて少年を眺めるコーチ。
すると、少年はパっと傘を開く。
同時に耕運機の老人も日除け幕を頭上で広げる。
「何だ?」というばかりに、しきりに首をかしげるコーチとボブ。
その時耕運機後方から、突然浮び上がる農薬散布用ヘリコプター。
不吉な予感を感じたコーチ。
ボブにも車に乗るよう言い放ち、車に向かって全力疾走する。




しかし、手遅れだという事実に気づいたコーチ..
諦めたように立ち止まり、呆然と空を眺める。
(口は閉じなきゃ)
農薬ヘリコプター、あっという間にコーチとボブの頭上で大量の農薬を投下して消える。
「だから乗せてやれって言ったのに!」
ボブは嫌味を言う。
コーチは農薬を飲み込んだのか、吐き気をもよおす。





田舎だが繁華な通りのナイトクラブ。
コーチはボブに待つよう合図し、クラブの中へ入っていく。
ビラを配りながら客引きの真っ最中のホンチョル。
公衆電話で話しているボブがホンチョルの視界に入る。
ボブにビラを差し出すが、その場で捨てられ憤慨するホンチョル。
「ヤンキー!ヤンキー!グラマーな女とブッキングしようか?OK?」
ホンチョルは電話中のボブにちょっかいだし、殴られそうになる。
このまま引き下がれないホンチョル。
ボブも腹が立ち、ホンチョルと決闘するつもりで挑発する。
一触即発の危機。その時ウェイターに案内されロビーにやってくるコーチ。
ウェイターが手でホンチョルを指す。
コーチは慌てて二人を制止する。
選手候補のプロフィールをボブに差し出し「こいつだ」と、ボブに説明する。

そして、次に向かったのはチルグの家。
そこには、ぬいぐるみの目付けの内職をする老祖母と、農道で会った少年がいた。
そこへチルグが帰ってくる。
チルグは祖母と弟を養うために、茂朱のスキージャンプ台の工夫の仕事をしていた。
残るは、マ・ジェボクだけだ。




「マ・ジェボク ガーデン」という店を営む父の言いなりに生きているジェボク。

ジェボクの店で酒をしこたま飲み明かす面々。
「お前ら... 国の代表しないか?!」
コーチは酔っ払いながら、提案する。
ホンチョルは酔っ払って舌が回らない。
「は?生きる?俺は安死?」
ホンチョルは頭も回らない。
「国家代表しないかって言ってんだ~~~この野郎~」
コーチは回らない舌で再び説明する。
「俺たちスキーに乗れません」
チルグは言い放つ。
「(ホンチョル指して)あの野郎のせいで除名された..
大学も行けなくて.. 軍隊も行かなければならなくて!くそったれ!!」
チルグはテーブルの上の物をブチまける。
「ヤク中」
ポングはホンチョルを睨む。
「バカ野郎が... ロミノルだ!くっそったれ!ロミノルは風邪薬だ!」
ホンチョルは反論する。
「50粒ずつ.. 100粒ずつ... たくさん飲めば麻薬だろう?風邪薬か?」
今度はジェボクが反論する。
「Stupid」
ボブは呆れたようにホンチョルに言い放つ。
ホンチョルは微笑を浮かべ、ボブに韓国式「Fuck you!」のジェスチャーで親指を立ててみせる。






コーチは四人を集め、スキージャンプ競技の説明を始める。
初めてスキージャンプを見たジェボクとチルグは、その華麗さに驚きと感動を覚える。
しかしホンチョルだけが覚めた目でみつめていた。
「スキージャンプは、38度の傾斜を滑走し、120mを跳躍する。
この時、空中の姿勢の安定感プラス、飛距離を合算する。
120mより1m越えるごとに1.8点加算、1m不足するごとに1.8点減点。満点はない。
風の影響をたくさん受ける競技だから世界記録は意味がない...
団体戦は4名の選手たちが2回ずつ走る。合算して結果を出す。
素晴らしいだろう?質問は!」
コーチは陶酔しきったように語る。

しかし、画面にはスキージャンプの事故シーンに変わっていた。
途方もない高さから無残に転がり墜落する選手たち。
死ぬのではないのかと思う。
それに気づかず熱弁するコーチに、ボブがさりげなく合図を送る。
脅えるようなホンチョル、チルグ、ジェボクの表情。
コーチは素早くプロジェクターを消して室内灯をつける。

そこへ、学校が終わったポングが入ってくる。

「次は我が国家代表スキージャンプチームの主将を紹介する。
米国ジュニア・ アルパイン代表をしばらく歴任した韓国名チャ・ホンテ。米国名ボブ・チャ」
コーチは誇らしげにボブを紹介する。
コーチの大袈裟な紹介に苦笑しながら、挨拶するボブ。
律儀に頭を下げるジェボク。
「一人で代表して、一人で主将して、バカなことをやってればいい」
ホンチョルは言い放つ。
ボブは、余裕ある微笑と共に中指で'FUCK YOU'を飛ばす。
ホンチョルも、韓国式'Fuck you!'を返す。
「なぜ、俺たちなんですか?」
チルグは尋ねる。
「誰もやりたがらないから」
と、微笑むボブ。
コーチはボブを睨む。
「アジョシ!なぜ誰もしないことを俺たちがしなければならない?」
ホンチョルは言い放つ。
「これ以上、ゴミのように生きたいのか!」
コーチは言い放つ。
ボブはコーチに同意するように頷く。
「国家代表になれば、何か良いことがありますか?」
チルグは尋ねる。
「国家代表になって.. オリンピックで入賞すれば君らの運命が変わる報奨金があふれる。
もし金メダルまで取った日には、アパートまで受け取れる。 アパート、分かるだろう?!」
コーチは告げる。
「オリンピックでメダルですか?可能性は?メダルを獲れる可能性?」
ジェボクが尋ねる。
「ない!米国もかなり投資した。それでも獲れない!」
ボブは言い放つ。
「余計なことを...」と言わんばかりに、コーチはボブを睨む。
「俺は降りる。国家代表せいぜい頑張って」
ホンチョルは拍手をし、背を向け出て行こうとする。
ボブも拍手をし、言い放つ。
「これからの可能性30%、ヤク中になり人生が終わる可能性30%」
ホンチョルは振り向き言い放つ。
「お前、何歳なんだ?」
「TWENTY SEVEN!」
ボブは余裕の表情で答える。
「お前、俺が형(ヒョン)なら、言うことを全て聞いた」
ホンチョルは言い放つ。
「我が国にはそういう風習はない。だから형である必要はない」
ボブは「くだらない」とばかりに告げる。
頭に血が上ったホンチョルは、ボブに向かってツカツカと歩み寄る。
二人を制止するコーチとジェボク。
「戦え!戦え!」
と、嬉しそうに煽るポング。
すぐさま、ポングの頭にチルグのげん骨が飛ぶ。
ホンチョルは相手にするのもバカらしいというように、出口に向かって歩いていく。

「チェ・ホンチョル!軍隊行かなくて済むこともある!よく考えてみろ!軍隊!!」
コーチはすがるようにホンチョルに声をかける。

場内粛然として同時にコーチを見つめるチルグとジェボク。

「アジョシ!遅いよ... ここにいる皆、令状受け取ってしまった」
ホンチョルは言い放つ。

「令状を破ってしまい、国家代表になれれば自動的に入隊延期。
メダル取れば完全免除.. 俺が君らのために紅海を分ける!軍免除!!」
コーチは言い放つ。
(※「紅海を分けるというのは、「君らのモーセになる」という意味でしょう)
チルグとジェボク、興味をそそるのか、互いの顔を見つめる。






その時、ドアをあけて入ってくる誰か...
長いストレートの髪をなびかせ、清純で美しい女性。
ホンチョルは一目で釘付けになる。
「お前、どうしてここがわかった!」
コーチは女性に向かって叫ぶ。
「アッパ、外で待ってる」
女性はそう言って廊下で待つ。
ボブ、コーチと窓の外に見える清純な女性をかわるがわる見る。
「ヤク中!お前が何を考えているかわかったぞ。
お前はそのまま『はい、頑張ります』と言えばいい」
ボブはホンチョルに言い放つ。
一目惚れした美しい女性がコーチの娘... という心の中を見透かされホンチョルは悔しくて仕方がない。
「くそったれ!ジャンプが何だ!スキーもみな売った.. やるもんか!!」
ホンチョルは強がって捨て台詞を残して去って行く。
ボブは勝ったとばかりに、米国の国家を口笛で吹く。




チルグは家に帰ると、ホコリをかぶったトロフィーを磨き始める。
そして、祖母に語る。
「ハルモニ、国家代表になったんだ。月50万ウォンの訓練費も出る。
もう、ぬいぐるみの目付けもしなくていいんだ。軍隊も行かなくてすむかもしれない」
(家長で祖母と幼い弟を養うんだから軍免除では?けど、一般公開版にはないけれど、兵務庁に直訴して却下されてるのよね... 納得いかないわ。家族を飢 え死にさせろと?)

一方ジェボクは、父親のマ社長にゴルフクラブで尻を殴られていた。
遠くから心配そうにみつめるスンドク。

「何だと?スキー?」
マ社長は呆れて言い放つ。
「スキージャンプです。 素晴らしいです。アボジ。そして、今度は国家代表です」
ジェボクは訴える。
「お前のようなヤツが国を代表するだと?
お前は、自分自身の人生すら代表になれない奴だ..
金にもならない国家代表。お前は俺が言うとおりに生きればいいんだ!わかったか!」
マ社長は言い放つ。




訓練が開始された。
ジェボクとチルグはランニング。
自転車に乗り、ホイッスルを吹きながら選手たちを促すコーチ。
ポングも駆け付けて、コーチの自転車に太極旗を挿して一緒に走る。
その時、ジャージ姿のホンチョルがこっそりチーム員らに混ざって走り始める。
「何だ?あの野郎?」
と、コーチはニヤリとしホンチョルを見つめる。

「ジャンプ台工事が終えられる日まで、我々は理論訓練と体力訓練にだけ集中する。
今日初めての理論訓練に先立ち..
『装備はいつ出来るんですか?訓練服はないんですか?』などの様々な質問があるとわかっている」
コーチは語る。
「団体戦ならば、候補選手5人必要です。今4名なんですよ」
ボブが告げる。
「候補選手.. ポイントだ。 とても良い指摘!その点に関しては深刻に悩んでいた...」
コーチはまるで自分の落ち度を誤魔化すかのように語る。
その時、そばで泥遊びしているポングが目に留まり、呼び寄せる。
(ってゆーか、ミミズ食おうとしてるし....)

「君たち、日本が今スキージャンプで世界をさらっているという事実を知ってるか?」
コーチは尋ねる。

「体が小さく、スキーが大きいから.. 風に乗って更に遠く飛んで行くんです」
ボブは答える。
コーチはポングを指し、「まさに逸材!」とばかりにポングを後押しする。
「その子、中学3年です」
チルグは告げる。
「年齢制限はない」
コーチは言い捨てる。
チルグはボブをみつめる。
「その通り」と言わんばかりに、ボブは頷く。
不満そうなチルグをコーチは諭す。
「候補選手登録用だ」と。




上方を呆然と眺める選手ら。
ほとんど廃虚化した30mジャンプ台に上がっているコーチ。
コーチは、槌やシャベルなどをレールに投げる。
「30m基礎ジャンプ台だ。 体力訓練だと考えよう。 要請はしない。
やりたくないヤツは運動場走れ!
どうせここで適応できなければ、120mは夢見ることすら出来ない」
戸惑う選手ら。
瞬間、槌を持ちジャンプ台を修理し始めるチルグ。




ジャンプ台のそばにあったホースから水が出てくる。
ジャンプをするチーム員らの姿。
見苦しい姿だ..
チーム員らの姿をビデオカメラに収めるスヨン。




ビデオを見て外国選手たちの姿勢を研究するコーチとチーム員ら。

高い木の枝を利用し空中でぶらさがる訓練。
ボブもチルグもホンチョルも真剣だ。




その高さに臆したジェボクが逃げようと背を向けた瞬間、目の前にスンドクが。
「どこに行かれるので?」
有無を言わさないスンドクの表情。




あっという間に吊り上げられるジェボク。
スンドクまで一緒になってジェボクを吊り上げる。愛のムチだ。
脅えて悲鳴をあげるジェボク。
(スンドク最高)





空き缶の上の板の上でバランスを取るチーム員ら。
中心を捉えるのが容易でない。

選手たち、停止したまま外国選手たちと同じように姿勢を取ってみる。
二人が一組になって後人が前の人のスキーを足で踏む姿。




地上でのジャンプ・シミュレーション練習。
台車の上で低姿勢を取り、一定の距離をソリに乗るように跳躍後ジャンプするチーム員ら。

力強く打ち下ろす槌打ち。
コーチは汗をダラダラ流しながらワゴン車の上にスキープレートを打ち込んでいる。
その姿を訝しく眺める選手たち。
槌打ちしていた手を止め、選手たちを見てニヤリと笑うコーチ。

ワゴン車の上にベルトで体を縛られているホンチョル。
下り坂を疾走するコーチのワゴン車。
激しい風に涙が出てくるホンチョル。
時速90kmを示すと、すぐに歓呼するコーチ。
コーチの原始的な訓練方法に呆れ返るボブの表情。

傾斜の滑走は何とかなるものの、ジャンプ後の無様な姿にコーチは嘆く。
そして、皆を連れて来たのはウォーター・スライダー。






スライダーに滑走できるようレールを打ち込むチーム員ら。
滑走路は完成した。
体にロープを巻き、スライダーの上をスキーを履いて滑走するチーム員ら。
巻き取り台に巻いたロープが終われば、滑走してきた選手の体も止まり、無残に転ぶこともない。
作戦は成功。
コーチはポングを抱きしめて大喜びする。




ジャンプ台の水が断水し訓練ができない機会に、ボブは母親探しに警察に行く。
スヨンは知り合いのパク刑事に、「大学に復学し課題で養子縁組のドキュメンタリーを撮ることになった」
と嘘をつきボブを紹介する。
ついて来たホンチョルは通訳だと。

パソコンのモニターの前に座っている刑事と女性警官。
モニターには、住所地が表示されている。
ボブとホンチョルは彼らと向かい合って座る。
スヨンは、カメラを持ってあちこちアングルを見回す。

「必ず会わせて差し上げることはできません。
電話してみて、相手が会いたいという意志を示さなければダメなんですよ」
パク刑事は説明し、ホンチョルに通訳しろと促す。
ホンチョルは、ボブに×マークを見せる。
「通訳したのか?」
パク刑事は訝しがるが、ホンチョルは通訳したと頷く。
呆れた刑事は、「もういい、俺が話すから」と、ホンチョルを相手にしない。
賢明にボブに説明しようとする刑事。
しかしボブは、わざと英語でまくしたてる。
刑事は困り果て、ホンチョルに助けを求める。
「会いたい、それだけ」
ホンチョルは告げる。
「おい、ほんとに通訳か?」
刑事は疑いの眼差しでホンチョルを見る。




「カット!カット!」
その様子を見たスヨンが割って入る。
「今まさに涙を流す場面なのに.. 感情が全て台無しじゃないの!?」
そして、さりげなくモニターのそばに移動する。
「さあ.. 巡査お姉さんから.. またキュー!」
パク刑事を言いくるめたスヨンは、モニター画面の住所地をズームインで撮影する。




住所の場所へやってきた三人。
あまりの豪邸に唖然とし、躊躇するボブとホンチョル。
スヨンはそんな二人を横目にチャイムを鳴らす。
「良い言葉を伝えに来ました」
スヨンがそう告げると、門の扉が開けられる。

豪華な居間。ソファに座っている貴婦人。
温和な顔の貴婦人、高級そうな服... 優雅だ。
「私どもの教区で作ったものです。神様の誠意が一汗、一汗、込められているとても大切な物です」
スヨンは玉匠版を売り込む。




「神様の誠意が感じられますね」
貴婦人は玉匠版を触りながら告げる。
しかし、玉匠版からにじみ出る青い粉に顔色が変わる。
「玉粉です。 オク.. 」
スヨンは慌てて繕う。
「再婚されますか?」
突然ボブが、唐突な質問を投げかけ、貴婦人は唖然とする。
慌てたスヨンがその場を繕うように「祈ります」と、祈りの言葉を告げ祈祷する。
貴婦人もスヨンの言葉をありがたく聞きながら祈りを捧げる。
「息子が... いるでしょう?」
ボブはまた唐突な質問を投げかける。
 「娘が一人だけいます。いったいどうしたんでしょう?」
貴婦人は訝しがる。
今度はホンチョルが繕う。
「家族で購入なされば良いと思いますので。まとめて買われれば、少し安くすることも可能です」
貴婦人は逆に気分を損ねる。
「神様の有り難いものを割引では買いません。持ってきたもの全て買います」
貴婦人は告げる。

※玉匠版とは磁気マットのようなもので、スヨンが売っているのは玉匠版の偽物。霊感商法のようなもの。
日本でいうねずみ講のような類で、「ピラミッド」と言われている。





その時、2階から降りてくる娘ヘラと、家政婦のアジュマ。
ヘラはセーターを手に持ち、泣き顔でアジュマを侮辱する。
「アジュマ!どうしてそうなの!!これ洗濯機で回してはいけないのに!!
英語読めないの!?プリーズ ドライ!!」

「ごめんなさい... 私が英語を読めないで... そのまま洗ってしまいましたね...」
アジュマは素直に謝る。
「それなら英語勉強して!!でなければ出て行くか!!アジュマ、行く場所もないでしょう!!」
「ヘラ!」
娘のあまりの態度に、貴婦人は娘をたしなめる。
 「アジュマ、その服置いておいてここにお茶をお出しして」
ボブは怒りがこみ上げてくる。
お茶を出しているアジュマ。用心深くカップ一つずつ下ろすのが全て左手だ。
(一般公開版にはありませんが、ボブの母親は左利きだそうです)
戸惑うボブ。
この人がオンマ....

その時、他のセーターを持ち出す娘ヘラ。
「これも洗ったよ!!英語の勉強少しくらいしてよ!!」
ヘラは怒りをぶつける。

ボブは、TAGを調べて英語を読んでみようとするアジュマを見つめる。
ボブは耐え切れず、門の外に逃げるように飛び出す。




米国の養父に電話をかけるボブ。
「パパ、ごめんなさい..」
「違うだろ.. 話すことがあるなら、言いなさい」
養父は優しく促す。




そこへ、妹が割り込み受話器を奪った。
「今、自分を捨てたママ探しているなんて.. 良いと思ってるの?
今、兄さんと私のおむつを取り替えながら育ててくれたママは病気で..
聞いている?で、何?その女の部屋を借りてあげるために金を貸してくれ?!それでも人間なの?!電話切って!」
妹は憤慨する。

その頃、チルグやジェボクはシュミレーション訓練をしていた。
ボブが国家代表を辞めると案じていた。




ジェボクは訓練しているところを父親のマ社長にみつかり、スキー用具一式を燃やされてしまう。






家の前で、ごみ袋の中から何かを探しているボブの母。
ボブは近付くことができず、電信柱の後ろからオンマをみつめる。
門が開いてヘラが出てくると、大きなゴミの袋をボブの母に投げ捨てる。
「領収書探しておいて。みつかるまで入ってこないで。あぁ、そのまま出て行っても構わないけど.. 」
門をドンと閉め、中に入っていくヘラ。
ヘラが投げて置いて行ったゴミの山を眺める母。
やがてゴミの袋を解き始める。
そんな母をみつめるボブは重い気持ちになる。






30mジャンプ台の前で、虚しい表情のチーム員ら、出発台に立ち装備を着用している。
地面に水をかけているポング。その時、遠くから歩いてくる誰かを発見する。
「ボブだ!!」
ポングはボブに駆け寄り抱きつく。
表情明るくなるコーチとジェボク、チルグ、スヨン...
唯一憂うつになるホンチョル。




「ここは下宿屋か?」
ホンチョルはボブに嫌味を言う。
ボブは答えず、ヘルメットとゴーグルを着用する。いつもと全く異なる姿勢と彼の目つき。
「本当にアパートくれるんですね」
ボブは尋ねる。
「俺が?!」
慌てるコーチ。
「メダル取れば、アパート本当にもらえるんですか」
ボブは念を押す。
「....金メダル!!」
コーチは驚く。
スヨンはボブの肩を叩く。
「おぉ!オッパ、金メダル取るつもり?!」
ボブにやきもちを焼いたホンチョルはボブに言い放つ。
「俺が質問しただろ?!ここは下宿屋かと!てめー!」
「下宿屋は何をするところか?!」
ボブはスヨンに尋ねる。
「お前、帰化はしたか?!くそったれ、この野郎!!
完全に自己中心だな。昨日は米国人で、今日は韓国人か?!」
ホンチョルは言い放つ。
「ちょっと後で顔を貸せ」
ボブはホンチョルに言い放つ。




その夜、30mジャンプ台の上にボブがやってくる。
ホンチョルといえば、 首を回して準備運動までしている。
「お前、何する気だ?!」
ボブは尋ねる。
「お前は知らないだろう?我が国はヨチヨチ歩きを始めればすぐにテコンドー道場に通うんだ」
ホンチョルは言い放つ。
ボブは余裕のある笑みを浮かべる。
「俺もスキーする前にボクシングをしていた..」
「この野郎!」
ホンチョルは風のようにボブに駆け寄り殴りかかる。
ボブは、ワンツーストレートでホンチョルを打ち負かす。
「耳殴るな」
そう怒鳴ると、再びボブに向かっていくホンチョル。
ボブを捕らえ、ジャンプ台の下へ転がり落ちる。
スロープから落ちる二人。




「スヨンがお前をどうして好きになる?よく考えろ..」
ボブは言い放つ。
「お前、顔も知らない人を探そうとして俺たちを利用してるんじゃないか?!
韓国に遠足に来たか?!くそったれ、俺たちは命を賭けてるんだ!この野郎!
お前のオンマがお前を探さない理由がわかるよ。このヤンキー野郎が!!」
ボブに言い捨てるホンチョル。
ホンチョルに稲妻のように駆け寄って胸倉を掴むボブ。
「お前に何がわかる?!お前が何がわかるんだ!
薬を大量に飲む気違い野郎が!
その通りだ!捨てたことも忘れて、俺の顔も調べない!だから俺が探すんだ!!その人が俺を探さないから..
俺の邪魔するな!とっさに殺してしまうかもしれないからな!わかったか!!」
ボブの剣幕にホンチョルは声も出ない。




スヨンを呼び出したホンチョル。
「俺たち.. もう一度しよう。爽やかに!そうする時が来た!」
ホンチョルはスヨンに告げる。
「ただ、10万ウォンあげるわ」
スヨンは告げる。
「ジェボク... あの気違い野郎.. 違う。そういうことじゃない.. わかった.. それでは約束したと思うことにする」
ホンチョルは弁解する。
「俺、あまりにも荷が重いから.. 君が好きで!好きで!俺を好きになってくれるまで待つから」
ホンチョルは必死だ。
「ただ、一度しよう」
スヨンは言う。
「あんた、私がお金のために.. ねずみ講やっていると思っているでしょう?」
スヨンは言い放つ。
「全部買う.. 俺が..」
ホンチョルは独り言のようにつぶやく。
「治療費のためにしてるの...」
スヨンは告げる。
「なんだ、俺はそれで惹かれたようだ... 何?どこ?肝硬変?白血病?」
ホンチョルは微笑む。
「エイズ..後天性免疫欠乏症。もう2年になる..」
スヨンは涙を溜めて告げる。
ホンチョルは呆れた表情を見せる。信じられないというように。
スヨンは自分の腕をまくって見せる。赤い斑点だ。
衝撃受け、強張るホンチョル。




「あんた.. 私を愛しているんでしょ?そうなの.... ここで一度しよう?!キスして」
スヨンは目を閉じる。
パニック状態に陥ったホンチョル。
「怖いの?なら、胸触る?!ここは伝染ならないから」
スヨンはシャツのボタンを外し、ホンチョルの手を握り自分胸を触らせる。
拒むホンチョル。
「これで互いの真心がわかった... 病気のことはアッパに秘密にして。強制よ。
私.. 私の残された人生が平凡であることを望むから...」
スヨンは告げる。



翌日、奇声を上げながら狂ったように全力疾走するホンチョル。
「薬でも飲んだか?」
ボブは皆に尋ねる。
「昨夜スヨンを呼び出して、『必ずヤル!』って言ってたけど、できなかったのかな」
ジェボクは答える。
ボブはホンチョルを不安げにみつめる。




いよいよ完工した120mスキージャンプ台。
誘致委員長をエスコートするコーチ。
「委員長様、ありがとうございます。 このように常に関心を持って下さって、見守って下さって.. 」
「コーチも本当に.. 私の方がコーチには感謝している。急造してチーム作ることが易しいですか?」
誘致委員長は告げる。
「それは正直、ちょっと大変でした。 委員長様」
コーチは告げる。
誘致委員長
「そうですね、不人気種目が全て揃ったことだし、
オリンピック開催地選定まで数ヶ月しかないから、私たちの最善を尽くしてみましょう」
誘致委員長は告げる。
 「そうですね。委員長様。とにかく今回のワールドカップで必ず通過して
オリンピック出場資格を必ず得ます。失望させないで差し上げます」
コーチは告げる。
「失望しません。期待をしてこそ失望もするだろう。メダルは、私たちはショートトラックがありますから..」
誘致委員長は告げる。
「そうですね、そうです... はい。 ショートトラック.. 金メダルハンティング.. はい、良いですね」
コーチは答える。

査閲している選手チームを前に置いて傲慢に訓示中であるオリンピック誘致委員長.
フラッシュをたく20人余りの全州(チョンジュ)地域記者ら。

「私たちは冬季スポーツ強国です!
スキージャンプ台とスキージャンプチームの創設により、オリンピック誘致に向かって一段階跳躍しました。
ここにおる4名の私たちの誇らしい大韓民国スキージャンプ選手たち!
皆さん、まさに彼らが.. 冬季スポーツ不毛地という汚名を拭う主役です」
心にもないスピーチをする誘致委員長に関心のないスキージャンプ選手4名。




120m頂上に立っているチーム員ら。
豆粒のように見えるポングとスヨン。想像以上の高さ.... クラっとする...
「主将が先に行って」
ホンチョルが告げる。
そう言われたら、行かざるえない。





たいしたことでないようにバインディングし、出発台に座るボブ。
大きく深呼吸して下を眺める。
ボブは走ろうとするが、戻ってくる。
「設計が間違ってる。傾斜が変だ」と言い訳して。




「いったい誰が先に走るんだ!!」
コーチは急かす。
チルグが俺が行くと決意する。
出発台に座るチルグ。
呼吸を整え走ろうとするが、やはりボブと同じように走ることができない。




「ホントだ。傾斜がおかしい」
チルグも戻ろうとする。
しかしその時、ホンチョルがスキー板でチルグを押し出してしまう。




不安定な姿勢で出発したチルグ。
中心を捉えることができなくてふらつく。
中間から、かろうじて中心を捉えるチルグ。歯をくいしばってジャンプ台終わりで跳躍する。
驚くコーチとポング。




チルグ。ジャンプ台のチーム員らにOKサインを送る。
(このチルグ、最高に好き!)
歓呼し拍手するチーム員ら。
すぐに背を向けて嘔吐するチルグ。




出発台のボブ。勇気を得たように格好良く出発する。
速いスピードと安定した姿勢.. 跳躍.. 空で立ち止まったようなボブの姿。




チルグ、ボブに続き、ホンチョル、ジェボクも走り出す。
そして、見事に跳躍する。
台車を使ったシミュレーション訓練。
ウォータースライダーでの訓練。




木に吊るされた姿勢訓練。




着地した時のバランスを取るための、空き缶を使ったバランス訓練。
これらの地道な訓練が実を結んだのだ。


このシーンは、かなり感動しました。
子供スキー教室のコーチが国家代表のコーチ?と思ったけれど、
素人、しかも子供を教えられるということは、「育成できる」ってことなんですね。




コーチは選手のために太極旗のマークの入った練習着を用意する。
皆の士気も高まる。

ボブも、ついに韓国国籍を取得する決意をする。
住民登録に向かったボブ。
本籍地に「コロラド」と書いたものの訂正し、「茂朱(ムジュ)」と、書き直す。




用具とユニフォームを点検中のチーム員ら。
「ワールドカップまで一週間だ。6位までがオリンピック出場確定だ。
俺たちが13チーム中で6位になれるか?!」
コーチは尋ねる。
「日本を叩きのめしますよ。チョッパリ捕らえて!オリンピック行こう~」
ホンチョルは自信満々だ。 
「オリンピックは長野だよ。開催国がなぜ落ちるの?」
ジェボクはホンチョルに問う。
「日本と長野に何の関係があるんだ、この野郎」
ホンチョルはジェボクに言い放つ。
「おい、長野は何だと思ってる?オリンピックの開催地だ。バカ野郎」
コーチは呆れてホンチョルに告げる。

その時、ボブがドアを開けて入ってくる。
感慨深げで、嬉しげで... そんなボブを見てホンチョルは嫌味を言う。
「金でも拾ったか?」
ボブは自慢げに住民登録証を見せる。
拍手して喜ぶジェボク、チルグ、コーチ。
つまらないという表情のホンチョル、またスキーにワックスを塗り出す。
その時、ドアをあけて入ってくる黒服の男たち。
「どなたです?」
コーチは尋ねる。
「俺が誰かって?このボスが捜しに来たというのに」
その言葉にコーチは凍りつく。




スヨンは玉匠版を持って帰ってくる。
外に止まっている車を見てイヤな予感を感じるスヨン。
窓から中を覗くと、皆がヤクザに囲まれていた。
スヨンはこっそり事務所に忍び込み、お金や通帳などを持ち出そうとした。
そして、航空券に気づく。
「使い道がないか」
というような表情で、航空券を床に捨てるスヨン。

一列に並ばされ、軍歌を歌わされるチーム員ら。
コーチは支払覚書を書かされている。
軍歌を知らず口だけ動かしているボブの前に尋ねるボス。
「なぜ lip syncだ?」
ボブは英語で答える。
「何かわかってこそ歌うのでは」と。
「多国籍の借金だらけのイカレたヤツらよ... 必ず返せよ」
そう言ってヤクザらは引き揚げる。




ホンチョルはスヨンが捨てた航空券6枚を発見する。
旅行用カバンに荷物を詰めているチーム員ら、気力がない。
ジェボク
「コーチ님.. 私たちの荷物は、ずっと安いですか? 」
(님=様)
ジェボクは尋ねる。
「オーストリアまで歩いて行く気か?!
訓練費まで全て持って行かれた。通帳も....」
コーチは力なく答える。

「どうしてアボジという人が娘のことをわからないのですか?」
ボブは責める。

「自分の子供、自分の両親が一番わからない。
明日、訴えるよ。このままでは、俺も生きられない....」
コーチは告げる。
じっと我慢していたホンチョル。怒りを爆発させコーチを怒鳴りつける。
「誰を訴えるんですか!」
そして、6枚の航空券を投げつける。
「あんた、スヨンの状況を一度でも考えてみたことがあるのか!!」
ホンチョルは興奮して止まらない。
「ない。そんな状況がなかった。そうだ、スヨンの状況とは何だ?気になる」
コーチは告げる。
「あんた、アッパなのか?スヨンが病を患っていることも知らず!!全身湿疹だらけだ。くそったれ!本当に..」
ホンチョルはコーチを責める。
「俺がオンマか?」
コーチの言葉に、ホンチョルは更に怒り狂う。
「エイズだと?」
コーチの言葉にホンチョルは言葉を失う。なぜわかったんだ?と言わんばかりに。




コーチは航空券を掲げて見せ、荷物をまとめるように急かす。
「オリンピックに出たいんだろう?」
呆然とするホンチョルに、「荷物をまとめろ、この野郎」と言い放つ。
ホンチョルは状況がわからず困惑する。




そして、無事搭乗したチーム員ら。
ボブが体が痒いのか、体を掻き毟る。
ボブはコーチに腕を見せる。赤い湿疹だらけ。スヨンと同じだ。
コーチは目を見張る。
「お前、もしや玉匠版を使ったのか?!このバカ!」
コーチは驚いて、皆にも玉匠版を使っていないか尋ねる。
「朝が違うと聞いて」
ボブは何も知らずに答える。




ようやく状況が飲み込めたホンチョル。
スヨンに一杯食わされたのだ。
スヨンがエイズだと信じた自分に虚しくなり、頭を窓にゴツン、ゴツンと打ちつける。




ジャンプ台に並ぶ韓国チーム。
だが、我々が先だと言わんばかりに米国チームが割り込む。
「おい、俺たちが先に来た」
ボブは英語でたしなめる。
すると、一人の男が振り向く。
「ボブ.. お前、ボブだろう?やあ... 韓国に逃げたボブ?!」
ブルースはボブを侮辱する。
「お前、まだ選手だったのか?」
ボブも負けていない。
「米国で通用しないから韓国に逃げたのか?(太極マークを見て)それは何なの?」
ブルースも対抗する。




「お前の国の方が、もっと可愛いよな。お前のママが好きなパンティーのデザインだしな」
その言葉にブルースはキレ、ボブに殴りかかろうとする。
それを制止する周囲の人々。
その騒ぎを見ていたコーチが「堪えろ!」と、命じる。
ボブは仕方なく、じっと堪える。




各国の選手たちとスタッフらで混みあっているパブリックバー。
カウンターに並んで座っている韓国チーム員ら。
ホンチョル、ビールコップの上に木製箸、その上に洋酒杯を乗せている。
周囲の人々、気になってホンチョルの行動を見守る。
その時、人々をひっかき散らして入ってくる米国チーム選手団が。
ブルース、カウンターに座っている韓国選手らを発見する。
「IMF KOREA!!」
ブルースは大声を上げながら近寄ってくる。

(IMF KOREA=経済破綻しアメリカのIMFに救援された韓国を侮辱している言葉ですね)




ボブの頭を突付きながら侮辱の言葉を並べるブルース。
ホンチョルはつぶやく。
「ボブのために.. 場所を変えるか」
「お前、ここに何しに来た?キムチ・パーラーに来たの?」
ブルースはからかう。
ボブは前だけ見てじっと堪える。
ホンチョルに「悪い」と謝る。
ホンチョル、ブルースをさっと見つめる。図体が大きいブルース。
ブルース、引き続きボブの頭を指で突付く。
「黄色い猿。さっきのようにふざけてみろ」
ますますエスカレートするブルースの侮辱。

「ボブのためにどこへ行っても非難されて..
この野郎、韓国の人でもなく、米国の人でもなくて。透明人間なのか?可哀想に。
ボブのために一生が苦しくて。恥ずかしくなって... お前、なぜ来たの?韓国に」
そう言うと、むくっと立ち上がりブルースを殴りつけるホンチョル。
同時にホンチョルを襲う米国チーム員らとスタッフら。
ホンチョルの行動に驚いたボブ。
ホンチョルを痛めつけられて怒ったボブも、米国チームを殴りだす。




チルグはビリヤード台に昇り、米国人に向かって走り出し、米国チーム員1人にとび蹴りを食らわせる。
米国選手たちに囲まれて集団暴行受けるホンチョル。
ボブとチルグ。何とか囲まれているホンチョルを助け出す。
ジェボクも必死に米国選手の足に噛み付く。




ボブ。それでも駆け寄ろうとする米国チームにビール瓶を破って大声を出す。
「俺の仲間だ。テメーら、手を出せば皆殺す!!」
ボブは言い放つ。
血だらけになったホンチョル。片方の腕で自分を支え、大声を出すボブを見つめる。
ボブの行動にギョッとする米国チーム員らとスタッフら。
その時、ドアをあけて入ってくる韓国コーチ。状況を察したように頭が痛い表情で頭をあちこちかく。




ロビーに座っているチーム員ら。
ホンチョル、片方の目は開くこともできず、唇は閉ざすことができない。
ボブがストローでコーラを飲ませようとすると、ありったけの力をふりしぼるホンチョル。
その姿を見てクスクス笑うポング。
コーチは手に新聞を持ってやってくる。
パブリックバーでの乱闘が既に新聞記事になっているのだ。

「運営委員会で.. 我々と米国は明日出場禁止することでモメている」
コーチは告げる。
「大丈夫でしょうか?」
ボブは尋ねる。
「試合前にもう一度協議してみるって...」
コーチは告げる。




結局、韓国は出場停止が決定した。
ボブを睨みつけるチルグ。
チルグ、スキー持ってジャンプ台エレベーターに走っていく。
しかし競技進行要員らは、チルグを荒々しく搭乗を阻止する。




韓国チームは、控え室で虚しく競技の様子をTVで見ていた。
「俺たち、もう4年頑張ってみよう」
コーチは告げる。

その時、異変が起こる。
競技が30分も中断されているのだ。
それは濃霧のせいだった。
結局、濃霧のせいで競技は中止。
そうなれば、無条件に全ての国がオリンピック出場権を獲得することになる。
参加国13ヶ国全部出て行く特典を与えますね..
92年アルベールビル オリンピック予選にもこういう事がありましたよ..
モニター画面にオリンピック参加資格国家名簿が国家基本とともに紹介される。
13ヶ国中最後に映る大韓民国。
「俺たちがオリンピックに出場することになった!!」
一斉に抱き合って歓呼する選手たちとコーチ。
奇跡だ!神よ!
ボブらは、歓喜する。
外国選手たちと役員ら、稀なことではないのに大げさに騒ぐ韓国チームをいぶかしく眺める。




韓国に戻った韓国チーム。
しかし、ジャンプ台のある練習場には「立入禁止」の看板が。
呆然とするボブら。




しかも、頑丈な鍵までかかっている。




ホンチョル、誘致委員長部屋をノックする。
委員長は来客中だった。
女秘書が「今は、ダメ、ダメ」とジェスチャーで合図する。




旅行用カバンに服類らを詰めているコーチ。
そこへチーム員らがやってくる。

「開催都市を選定する時まで.. その時までだとどうして話さなかったんです?」
ボブは静かに尋ねる。
「申し訳ない。結果を出せば大丈夫だと思ったんだ...」
コーチは詫びる。
「オリンピックを開催しようと.. そのためだったと、なぜ話をしなかったのですか.. 」
ボブは静かに問いただす。
「本当にすまない..」
コーチは詫びるより他にない。
「俺は帰化しました.. 捨てられた国に.. なのに、また捨てましたね.. 大韓民国が」
ボブは悔しさを堪えながら、落ち着いた口調で告げる。
「それで、今逃げようと?同じだね.. 父も娘も.. いったいどうして?」
ジェボクは言い放つ。
「そうだ、この野郎!俺はあまりにも惨めに生きてきて、老いて捨てられるのが恐ろしくて、
それでちょっと国家代表コーチをしてみようとした。悪いか、くそったれ」
コーチの言葉に激怒したホンチョルは、コーチを殴り倒す。
床に転がるコーチ。対抗する意思すらない。
「どうした?! 練習しよう.. ウン?早く練習しよう.. 俺達でやれば良い」
チルグは皆を説得しようとする。
ボブに「アパート... 必要なんだろ?」
ジェボクに「スンドクを置いて軍隊行くのか..?」
ホンチョルに「そこで何をして.. オリンピック出場しきゃ..」
しかし、誰もチルグに同意しない。
「やめろ.. このバカ野郎が...」
ホンチョルはチルグに言い放つ。
「オリンピックに出場しなきゃ.. くそったれ!!」
チルグは怒鳴ると、片っ端からスキー板を割り始める。
誰も何も言えない。
その時、ポングがチルグに駆け寄る。
「ダメだよ!僕のだ!」
自分のスキーを奪って逃げるポング。
その時、合宿所にマ社長が現れる。
「アボジ..」
ジェボクは驚く。
ジェボクの頬を力いっぱい叩くマ社長。
「家へ帰るぞ」
しかしジェボクは困惑して立ち尽くすだけだ。
そんなジェボクにしびれを切らし、外にいたスンドクを中に引き入れる。
スンドクのお腹は、一目で妊娠しているとわかるほど大きくなっていた。
言葉を失うジェボクやチーム員ら。
「このバカが.. お前のような奴が父だと?!家へ帰るぞ!この野郎!!」
呆然としたまま、マ社長に着いて行くジェボク。
誰も何も言えない。

家に戻ったマ社長とジェボク。
焼酎を飲むマ社長の前で、黙って正座するジェボク。
「どうするつもりだ」
マ社長はジェボクに問う。
「結婚します。アボジ.. 」
ジェボクはオドオドしながら告げる。
「中国の女と?お前、初孫だぞ..」
マ社長はとがめる。うなだれるジェボク。
その時、延辺(中国の朝鮮族が暮らす地域)アジュマらがスンドクを支えながら階段を降りてくる。
ただごとでない様子だ。
「スンドクが死にます。このままでは本当に死にます!」
アジュマが訴える。
ジェボクは立ち上がり、スンドクを追いかけようとする。
「お前、今行けばすぐに申告するということだぞ。不法滞留者として...」
マ社長は言い放つ。
立ち尽くすジェボク。そして、告げる。
「申告既にしました。婚姻届...」
ジェボクの言葉に、マ社長は言葉を失い焼酎をガブ飲みする。

ホンチョルは、薬局の前でそわそわしていた。決心したように薬局に入る。
「風邪薬です... ロミナル一箱下さい」
ホンチョルは告げる。
「一箱ずつは売らないんですが?」
薬剤師はあっさり告げる。
「では、10粒だけ下さい」
ホンチョルは告げる。

両手に玉匠版をたくさん持ち、すごすご歩いているスヨン。
彼女の視野に入ってくる電光掲示板。
“茂朱冬季オリンピック誘致失敗”
人の波に飲まれながら、ぼんやり電光掲示板を眺めるスヨン。

茂朱市内を走っている救急車。
ジェボクを手招きするスンドク。
ジェボクが近づくと平手打ちを食らわす。呆然とするジェボク。
「あんたがこうさせたんだ!私はまだ二十歳なのに!!」
スンドクは中国語でジェボクを責める。

チルグは何もする気になれず、ぼんやりと壁にもたれていた。
ポングは、「国防部長官様へ」という手紙を書いている。




ボブは、母の後をつけていた。遠くから、こっそり見守るボブ。
ヘラの付き添いで買い物にやってきた母。
ヘラはカートが一杯になっているのに、次々とカートに商品を投げ入れる。
その度、商品はカートから落ち、ボブの母が拾う。
そんな母の姿に、ボブは体の血が逆流する想いだ。

さっきとは別の薬局に入るホンチョル。
「ロミナル10粒ずつなら売れるでしょう?」
ホンチョルは尋ねる。
「あぁ。それとも、1箱売ろうか?」
薬剤師は微笑む。
ホンチョルは見透かされたようで恥ずかしいそうに笑う。
薬剤師は窓の外を眺める。
「冬の雨が降ってきたな」
ホンチョルも背を向け、窓の外の雨を眺める。




ヘラは、輸入品のコーヒーポットを手に取り、粗雑に戻す。
その腕を誰かが捉える。ボブだ。
「アガシ(お嬢さん)、英語うまいの?」
ボブは尋ねる。
ヘラは得意げに答える。
「SURE!」
ボブはコーヒーポットの箱に書かれた英語の文字を指差す。
「投げるなとなっているじゃない」
ヘラは微笑を浮かべるが、ボブの雰囲気がただならぬことを感じて逃げようとする。
ボブは、また腕を掴む。
「壊れやすい!」
と、ボブは英語で告げる。
「警告!この商品は壊れやすい物。投げたり衝撃を受けると破損します!!
破損した場合、当社は責任を負いません。
わかったか?!投げるなってこと!!わかったか?!」
一気にまくし立てるボブの剣幕にヘラは脅え涙ぐむ。
「アジュマ....」
ヘラはボブの母に助けを求める。




ボブの母は、遠くからボブをぼんやり眺める。
ボブも母をみつめるが、どうすることもできない。
「英語勉強し直して。もう一度」
逃げるように立ち去るボブ。




薬局の中から、冬の雨を眺めるホンチョル。
デパートから出てくるボブ。顔が濡れているのは、雨なのか、涙なのか....




病院の入口に立ち、ぼんやりと降って来る雨を眺めるジェボク。

狭い窓に首を差し出し冬の雨を眺めるチルグとポング。
何を思ったのか、互いの顔を見合わせる。




ボブはジャンプ台を囲ったフェンスを乗り越え、ジャンプ台に向かって雨の中走る。
すると、そこへチルグとポングの姿が。
ジャンプ台に到着すると、既にジェボクとホンチョルが準備していた。

スキー板を担いでジャンプ台に上がっていくチーム員ら。
その姿を遠くからコーチがみつめていた。




退勤しようと部屋を出ようとする誘致委員長。
すると、コーチが手に玉匠版を持って気まずい微笑を浮かべる。
コーチ(微笑を浮かべて)
「オリンピックのために... 怒りが押し寄せられると.. これは、そんな時に良いそうです.. 」
コーチは玉匠版を差し出す。

委員長と単独面談するコーチ。
「私がなぜ、あなたをコーチを選んだでしょうか?」
委員長は尋ねる。
「こういう問題が起きた時、支障のない人を選ばれたことでしょう。わかります」
コーチは答える。
「ところで、なぜ.. コーチや、選手。出て行きなさい、出て行きなさい。と言っても出て行かないのでしょうか?
4年後に見ましょう。 平昌(ピョンチャン)が申請するようだから」
委員長は出て行こうとする。

「あの天馬山の教室の子供らは、鼻たれの金持ちでした。虫けらのような奴..
国家代表コーチさせて下さったこと..その恩恵、死ぬ時まで忘れないでしょう。
また、国家代表の選手たちの実力も重要視せず、
いつも見守ってくださったことも絶対に忘れなません。
彼ですが..
実母を探すと自分を捨てた国の国家代表になるという大馬鹿な奴、
頭の足りない弟と、耳が遠くなり呆けたハルモニのために軍隊免除受けなければならないという気違い..
私が教えて通り、騙されて代表になりました。
今回オリンピックに出場できなければ、死ぬ時まで恨むでしょう。
そして、私も委員長様も、死ぬ時まで恨まれるのです..
私ができる全てのことを尽くしても、委員長様を一生呪うでしょう」
コーチは涙ながらに語り、そしてソファから降りて土下座する。

「解体しないで下さい。 委員長様も.. スポーツマンでしょう...」
コーチは哀願する。
委員長は再びソファに腰を下ろし告げる。
「オリンピック行って下さい。.. もう一度、上層部に話してみよう」
委員長の思いがけない返事に表情が明るくなるコーチ。
「だが、自費で行って下さい。既に予算申請終わりました。金はない、金は」
まさに天国から地獄。唖然とするコーチ。
「イヤですか?」
委員長は尋ねる。
「何をおっしゃるので」
と、無理に取り繕い目礼するコーチ。
ドアを開けて出て行ったコーチ。何か忘れたという表情でまた部屋に入ってくる。
そして、プレゼントした玉匠版を持ってまた出て行く。
(っていゆーか、湿疹のできる偽者玉匠版を贈るなって!自分が皆に”使うな!”って怒ったじゃんね)




ボブは尋ねる。いくら必要なのかと。
「滞在費やらで、500万ウォンくらいだ」
コーチは答える。
「大人が500万ウォンもないのか?」
ホンチョルは呆れる。
「ないんだよ、この野郎」
コーチは言い返す。

その時、ドアを開けてスヨンが入ってくる。
皆の視線がスヨンに集中する。しかし、何も言葉が出てこない。
嬉しいやら、恨めしいやら。
皆とは違い、一人感動し涙を流すホンチョル。
両手いっぱいに持った玉匠版を床に投げるスヨン。
「どうしてこんなに売れないのか。一人じゃダメだ」
スヨンはそう言ってホンチョルを見やる。
「このイカレた女!」
コーチはスヨンを怒鳴り飛ばす。
「怒んないでよ。バスに乗ってきたんだから」
スヨンは悪びれない。




涙を流しながらスヨンに近づき抱きしめようとする。
「ダメだって言ったでしょ」
スヨンは拒む。
行き場を失ったホンチョルはボブに抱擁を求めるが、やはり拒まれる。
仕方なくうずくまって泣き続けるホンチョル。
スヨンはポケットから何かを出し床に投げ捨てる。
選手たちの訓練費の入った通帳だ。
「暗証番号、誰が変えたの?借金一つも返せなかったじゃない」
スヨンは言い放つ。
苦笑してスヨンを見るボブ。
とりあえずオリンピックの遠征費は確保できた。

空港のゲートへ向かうチーム員ら。
ジェボクの見送りに来たスンドクを見て、不満げに嫌味を言うホンチョル。
「派兵でも行くのか?空港で恥ずかしい」
しかし、スヨンの姿をみつけると満面の笑顔で駆け寄る。
スヨンは言い放つ。
「私、軍人野郎とはつき合いたくないから、必ず金メダル獲って」
ホンチョルは笑顔で「OK!」と、OKマークを見せる。




マ・ジェボク・ガーデンでは、スヨンの案内により町内の住民らが押し寄せた。
挙動不審なチルグ兄弟のハルモニもいる。

5万人が殺到した長野スキージャンプ台メインスタジアム。
観衆ら、各々自国の国旗を持ち応援歌を歌う姿が壮観だ。

控え室で体をほぐしている各国の選手たち。
ボブはチーム員らに呼びかける。
「空港からずっと考えてみたが.. もう、”ボブ”と呼ぶな」
それに反応したのはホンチョルだった。
「ホンテ。これでいいか?チャ・ホンテ」
ホンチョルはようやくボブを受け入れたという証だ。
ボブは頷く。そして、付け足す。
「ホンテの後に、”형(ヒョン)”をつけて」
ホンチョルとチルグ、それはちょっと悔しいという表情だ。
ジェボクは笑っている。
その時、後ろからコーチがボブの頭をパッコーンと叩く。
「お前も”コーチ님(ニム)”と呼べ。この野郎.. 毎日コーチ、コーチ、とは何だ」
コーチの言葉に、皆の空気が和む。
「ファイティンしよう」
コーチはそう言うと、皆で円陣を組み「ファイティン!」と、掛け声を上げる。




スキージャンプ台へのエレベーターに向かうボブの横に付き添うコーチ。
そして、ボブの肩を叩き送り出す。
「チャ・ホンテ!」
コーチはボブを呼び止める。初めて韓国名でボブを呼ぶ。
振り返るボブ。
「皆、ぶっ殺しちまえ」
コーチは笑う。ボブの緊張がほぐれる。
「はい、コーチ님(ニム)」
ボブは笑顔で答える。
ボブも初めて「コーチニム」と呼んだ。
二人の心が通じ合う。
しかしエレベーターの扉が閉まった瞬間、すぐにコーチは不安な表情に戻る。

※「ぶっ殺せ(죽여 버려:チュギョ ポリョ)」という表現は、実際の試合でもファンが選手に向かって叫びます。
 韓国らしい表現ですね。
 で、日本の選手名が「糸井重里」って(笑)「Etoy」って、韓国風の綴りなんでしょうか。

いよいよボブが出発台に入る。
「1次の最後のチーム、韓国が出発台に入っています」
キャスターが伝える。
「一時、米国アルパイン・ジュニア代表でした。ブルース選手のライバルでした」
米国キャスターが伝える。
「韓国のジャンプ見たことあります?」
「ありません」
日本のキャスターが伝える。
ボブは横で待機しているホンチョルを見やる。
「行け」
と言わんばかりに、無言でジェスチャーを送るホンチョル。




太極旗を降りGoサインを送るコーチ。
信号に合わせて出発するボブ。速いスピードでジャンプ.. 遠く遠く飛んで行く。
安定した姿勢で着地するボブ。
振り返り電光掲示板を見る。
「135m! 姿勢点数まで!!1次の49人中2位です」
キャスターは興奮して伝える。
ボブはガッツポーズする。
韓国チーム員らも、歓喜する。
歓呼する観衆らと驚く各国放送中継チームら。




次はホンチョルの番だ。
緊張のあまり、誤って滑り落ちそうになるホンチョル。
コーチの信号と共に力強く出発するホンチョル。
ブルーラインをはるかに越えアウト・ランに着地する。
皆が歓喜の声を上げる。
だが、ガッツポーズを取ろうとした瞬間、バランスを崩し転倒してしまう。
驚くことに、ホンチョルは138mを飛んだ。
しかし着地の失敗で減点され、2位から6位へと下落してしまう。
悔しがるホンチョル。
中継を見ていたスヨンは、ガッカリする。




次はジェボクだ。
しかしマ社長は無関心で、接客に集中している。
ジェボクは見事な跳躍を見せる。
128mを記録し、再び3位に浮上する。
マ・ジェボク・ガーデンの観客たちも歓呼する。
その様子に、マ社長もテレビ中継が気になりだす。




4番目の走者チルグ。深く深呼吸する。
その時徐々に、ワールドカップの時のように雲霧が押し寄せ始める。
コーチボックスをみつめ、困惑するチルグ。
より一層深まる霧、観衆ら動揺し始める。

「霧が立ち込めてきました.. 当然中止させなければなりません」
韓国の解説者は言い放つ。

その時、中断が決定される。
「Wait!!」
競技進行要員がチルグにストップをかける。
待機するチルグ。
しかし、ブルー・シグナルが点灯する。
誰もが驚く。
前方の視界が遮られているのに競技を進行しようとしているのだ。
競技進行要員ら、ブルー・シグナルを見て、チルグに出発台に座ることを促す。
それを見たコーチは、必死に「戻れ!戻れ!」と、合図する。
しかし競技進行要員が戻るよう指示する。
やむを得ず出発台に座るチルグ。スロープの終わりから先が全く見えない。
危機を感じたコーチは、スタッフ陣らを払いのけながら、死力を尽くして走っていく。




審判席へ息ぜわしく走ってきたコーチ。
ガラスドアを荒々しく叩く。
「今してはいけない!前が見えない!」
コーチは怒鳴りながら、ジェスチャーで審判員たちに訴える。
しかし審判員らは「ダメだ」と、首を振る。
追い出されるコーチ。
そして、赤いブザーが押されてしまう。
10秒内に出発しろとの最後の警告シグナルだ。




覚悟を決めたチルグは、力強く滑っていく。
チルグの姿が濃霧の中へ消えた。
皆が案じた通り、チルグは苦痛で顔を歪め倒れていた。
医療スタッフらと除雪用救急救急車がフェンスに刺されているチルグに集まって行く。
医療スタッフらが助けようとするのに、チルグは痛みで悲鳴をあげる。

順位が表示される。13位... 最下位へと下落する韓国。




2ndジャンプがスタートする。しかし韓国にはもう選手がいない。
苦悩するコーチや選手ら。
落胆するチルグをジェボクが励ます。
「チルグ、大丈夫。 俺たち高校の時にメダルを剥奪されたじゃないか」
それを聞いたホンチョルが激怒する。
「おい、この野郎!なぜ今その話が出てくるんだ!」
気の弱いジェボクも負けない。
「この.. イカレ野郎!お前が薬飲んだからじゃないか!!」
ホンチョルとジェボク、つかみ合いになる。
二人を力ずくで引き離すコーチ。
その時、ポングの声が...
「僕もできるよ」
ポングの言葉に、皆呆然とする。
「僕もできるってば」
ポングは、スキージャンプの姿勢をしてみせる。

皆、ポングにユニフォームを着せ、選手登録を済ませ忙しい。
ボブはポングを案じ、質問する。
「あの時を覚えてるか?俺が何て言った?」
「ジャンプする瞬間、地面じゃなく前を見る。中心が後ろになれば僕は死ぬ」
ボブは感心してポングの頬を優しく叩く。
ポングも真似てボブの頬を叩く。
しかし、皆不安だ。

その頃、貴婦人の家では、貴婦人とヘラが中継を観ていた。
その後ろで掃除機をかけるボブの母。
「アジュマ、静かにしてよ」
ヘラはボブの母を叱り付ける。
黙って頭を下げ、掃除機をかけ続けるボブの母。




ジャンプ台に入るボブ。
「オンマを捜しに韓国へ戻ってきたチャ・ホンテ...」
キャスターの声にボブの母は驚きテレビの画面をみつめる。
空を遊泳するように飛んで行くボブ。
格好良く着地するボブ。
観衆らの反応を見てとても良い成績が期待される瞬間、電光掲示板を振り返るボブ。
「飛距離138mが出てきました!」
韓国のキャスターは驚きで興奮する。

母がみつめるテレビの中、観衆らの歓呼に片手を高く上げて答礼するボブが映る。
信じられない想いで、涙を流しながらテレビの中のボブをみつめるボブの母。
韓国は、再び9位に浮上する。




その時、ヘラがリモコンを持ちテレビのチャンネルを変えようとする。
咄嗟にヘラの手を掴むボブの母。
「ちょっと待ってください... ちょっと待ってください... どうか...」
涙を流しながら訴えるボブの母。
そのただならぬ様子に、貴婦人も唖然とする。




ホンチョルは心を落ち着かせる。
「Go!」
コーチの合図でホンチョルは走り出す。
声を上げながらスロープを蹴飛ばして跳躍するホンチョル。
安定した着地。ホンチョルの華麗な姿に会場内も歓喜の声が。
何と!137mの記録!
電光掲示板に表示される点数、韓国9位から5位に上がる。
ホンチョルは興奮を隠せない。

次はジェボクだ。
ジェボクはグロープの中にしまっていたスンドクの写真をみつめ心を落ち着かせる。

(ジェボクの表情に対しスンドクの怖い表情が最高!かかあ天下もいいなぁ... と、思うわよね)




華麗なジャンプ、そして着地。
マ・ジェボク・ガーデンでも、歓喜の声で盛り上がる。
マ社長も、思わず拍手を送る。




ジェボクの記録は130m!一気に3位に浮上する。
感激しながら片手を挙げるジェボク。
マ社長は息子の立派な姿に、涙を流しながら拍手を送る。

「後はカン・ポング選手にかかっています..
今4位との格差を考えると、100m以上だけ走ってくれれば無条件で銅メダル以上です」
韓国の解説者が説明する。

松葉杖を突きながらポングと共にエレベーターを上がるチルグ。
不安そうな兄の表情を察し、「心配しないで」というように微笑を送るポング。




ジャンプ台に立ち尽くすポング。
5万人の観衆の起立拍手が沸き起こる。
生まれて初めて体験してみる状況に慌て始めるポング。
すぐさま、ブルー・シグナルが点灯する。
脅えたポングは逃げ出してしまう。
戻ってきたポングを捉えるチルグ。




「怖い...」
ポングはチルグに告げる。
「このバカが!走れ!」
チルグはポングを叱責する。
「怖い...」
ポングは再び逃げようとする。
ポングの頬を勢いよく殴りつけるチルグ。
「この野郎!!お前がなぜ走らなければならないのかわからないのか?!
お前が.. .お前が走ってこそ、兄が軍隊を行かずに済むんだ。このバカ野郎!!」
チルグは怒鳴りつける。
「형... ほんとに行かない?」
ポングはボケーっとしながら尋ねる。
イライラするチルグ。
ポングの肩に付けられた太極マークを見る。
「おい、これは何だ?」
「国家代表...」
ポングは囁く。
「それは何だ!」
チルグは怒鳴りつける。
「大韓民国国家代表!!!」
大声で告げるポング。
「そうだ、お前.. くそったれ。大韓民国国家代表なんだ!!走れ!!!」
チルグは静かに諭す。




ポング、涙を拭きながらジャンプ台へと戻る。
出発台に座るポング。
拳を握った両手でボブを真似て自分の胸を二回叩く。
出発シグナルが入ってくる。
コーチ、徐々に旗を掲げてやる。
ポング発射!

※こういうのに弱いのよねぇ... 涙ボロボロ....




出発するポング。120m急傾斜を滑って降りて行く。
跳躍するポング。空高く舞い上がる。




100m地点で着地するポング。
着地する瞬間、観衆ら歓呼する。だが、そのまま滑るポング... 転んでしまう。
電光掲示板に記録される距離103m... だが、思わしくない姿勢点数。
韓国また13位... うな垂れるコーチとチーム員ら。




しかし観衆ら、スポーツ精神を見せたポングに、「KOREA」を連呼し始める。
起立した5万人の観衆の「KOREA」の叫び声がジャンプ台メインスタジアムに渦巻く。
観衆らの叫び声に戸惑うチーム員ら。
より一層大きくなる観衆らの叫び声、長野ジャンプ台遠くまで鳴り響く。




テレビ中継を見ていた誘致委員長と秘書。
秘書は思わず涙を拭う。
誘致委員長は、「やれやれ」という表情だ。




空港。
選手団ゲートを歩いくるスキージャンプチーム員ら、明るい表情だ。
その瞬間。あちこちで炸裂し始めるフラッシュ。
自分たちの業績?と呆然とするチーム員ら。
しなし... 後に続いて出てきたショートトラック選手たちの歓迎だった。
記者らと人波ら、ショートトラック選手たちの後について引き潮のように消える。




あっという間に場内整理されたら彼らの前に現れる家族ら、そして記者ちりんと1人。
「俺の胸に飛び込んで来い」と言わんばかりのジェスチャーでスヨンに近づくホンチョル。
しかしスヨンは片手を差し出す。
仕方なく握手するホンチョル。

ジェボク、走って行ってマ社長に抱かれている息子を抱き上げる。
マ社長は、まだ完全に彼を認められないようだ。




養子縁組の職員... 重要なシーンがカットされているのに、このシーンにいるのは不自然(笑)




チルグらのハルモニは、ロープをくぐって駆け寄ってくる。
チルグの足のギブスを掴み、「痛い、痛い」と、チルグを困らせるハルモニ。

そしてボブには、思いもよらぬ人物が待ち受けていた。
あれだけ自分をけなした米国の妹だった。




そしてボブは目を見張る。オンマだ!
彼女は勇気が無いからなのか、人々の隙間に混ざって彼を眺める。
その時、ボブに近づく記者、ちりんと1人。
「ひょっとして、実のお母さんみつかりましたか?」
記者は尋ねる。
「いいえ.. まだです」
ボブは目の前のオンマをみつめながら答える。
「ひょっとしてオモニがどこかで見守っておられると思いますが.. 何かお話はありますか?」
記者は尋ねる。
ボブはマイクに向かって、オンマをみつめながら語り始める。
「僕は本当に良く育ったから、僕を捨てた記憶のために...
その記憶のために一生苦しみながら生きないで... 僕.. 幸せだから。
けど、僕は違います。
オンマを訪ねて行って会えば... 僕をなぜ捨てたの.. 本当に酷いって。
その話をしようとして捜したんです」
ボブは涙が堪えきれず、目を手で覆う。
ただならぬボブの様子に、皆が呆然とする。




オンマの目に涙が溢れる。
自分がさらに申し訳ないのか背を向けて去って行くオンマ。
「オンマ!」
大声で叫ぶボブ。
「無条件に待ってて!僕が次のオリンピックに出場して金メダル獲って、
アパートに住ませてあげるから。その時まで、ちょっとだけ、ちょっとだけ待ってて!!
無条件に待ってて!待っててよ...」
ボブは叫ぶ。
目から涙が溢れるが、オンマの顔には微笑も垣間見れる。




ポングが包みをボブに渡す。
「知らないアジュマが渡してくれって」
ボブ、重箱を開けてみる。
彼が好きなトマトに白い砂糖がまぶされている。




紙の箱を開けるボブ。
その中にはアルバムが。生まれた頃から、養子に出されるまでのボブの写真やボブが描いた絵など。
ボブの目から涙がこぼれる。




その時、犬の群れのように駆け寄るチーム員ら...
ボブは一つも口にできないまま、トマトをみな奪われてしまう。




だが、そんなチーム員をみつめながらボブは幸せそうだ。




4年後。
ソルトレイク冬季オリンピック。スキージャンプ競技場。
出発台に座り余裕の表情のボブ。




ボブは、振り返りチーム員らに親指を立ててみせる。
だがチーム員ら、同時に飛ばす韓国式Fuck you!のジェスチャー。
そんな仲間らとの心の絆を感じるボブ。




シグナルがカウントされる。
3..2..1...力強くて躍動的に出発台を離れるボブ。
空中を舞い上がるボブ。

2003年 第21回タルヴィージオ冬季ユニバーシアード団体戦金メダル。
2003年 第5回青森冬季アジア競技大会団体戦金メダル。
2007年 第28回トリノ冬季ユニバーシアード競技大会個人戦・団体戦銀メダル。
2009年 第28回冬季ユニバーシアード競技大会個人戦・団体戦金メダル。

まだ韓国スキージャンプ国家代表の登録選手は5人で全部だ。

END

実際の韓国国家代表チームの授賞式写真が映し出される。



【ネタバレ】

全然実話通りではなく、長野オリンピックの記録などは捏造そのもの。
単にモチーフでしかないので、信じないように。
実際、長野オリンピックでは、”日の丸飛行隊”と呼ばれる日本勢が130m越えの記録を連発する中で、
80mほどしか飛べなかったのです。
しかも、11ヶ国中最下位。

ですが、その5年後。
イタリア・タルヴィージオで開かれたユニバーシアードで、
「タルヴィージオの奇跡」と語り継がれる快挙が達成されたそうです。
韓国がノーマルヒ ルの個人と団体で金メダルを獲得。
前年のソルトレイク大会で8位入賞したものの、
誰もが予想もしなかった中での金メダル。
翌月の青森冬季アジア大会では、日本を抑え金メダルを獲得。
日本のお家芸が... あらら...

でも、国境を越え、こういった実話は感動しますね。



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