家族の誕生  Family Ties
 原題:家族の誕生 가족의 탄생(カジョゲ タンセン)<2006>

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家族の誕生

誰が見ても恋人同士だと誤解するほど仲がよく、友人のようで恋人のような姉弟ミ ラ(ムン・ソリ)と ヒョンチョル(オム・テウン)。自 由な人生を楽しむヒョンチョルは、5年間音信不通で、突然姉ミラを訪ねてくる。人生が曇り始めた20歳年上の女性ムシン(コ・ドゥシム)と一緒に。そし て、素晴らしい人 生を夢見たミラは、愛する弟ヒョンチョル、そして弟が愛する女性ムシンとのハラハラしたぎこちない同居を始める。

リアリストのソンギョン(コン・ ヒョジン)は、ロマンチストの母メジャ(キム・ヘオク)のために静かな日がない。愛ならば万事OKの母の後始末をするソンギョン。ボーイフレンドのジュノ (リュ・スンボム)との愛情戦線に混じった暗雲も、一向に晴れる兆しを見せない。

愛のために気が休まる日がないギョンソク(ポン・テギュ)。顔も性格も可愛いチェヒョン(チョン・ユミ)が、溢れる愛を周囲の人々に分けてい たら、恋人のギョンソクは愛情欠乏症にかかってしまったという数奇なカップルだ。

この7人は、愛だけでも複雑だが、あちこちで複雑に絡まったスキャンダルでいつも人生が揺れている。愛に、スキャンダルに、風が静まる日がない彼ら。果た して、光り輝く幸福が生まれるだろうか。

【MV】 日曜日、晴れ(일요일 맑음) by ラブホリック(LoveHolic)

監督 キム・テヨン(金兌容 ) <1999>少 女たちの遺言、 <2004>20のアイデンティティ、 <2006>家 族の誕生

出演

ムン・ソリ

<1999>ペ パーミント・キャンディー、<2002>オアシス、 <2003>浮気な家族、<2004>大統領の理髪師、 <2005>愛してる、マルスンさん、 <2006>チ・ジニ×ムン・ソリ 女教授<2006>家 族の誕生
<2008>私たちの生涯最高の瞬間、 <2008>謝罪(制作2005年)、<2009>飛べ、ペンギン、
<2010>小さな池
コ・ドゥシム(高斗心) <2000>プライベートレッスン青い体験、<2002>頑張れグムスン
<2004>初恋のアルバム~人 魚姫のいた島~、<2004>多黙 安重根、<2005>お 母さん
<2006>家 族の誕生
コン・ヒョジン <1999>少 女たちの遺言、 <1999>ラスト・プレゼ ント、< 2001>ガン&トークス、<2001>火山高
<2002>品行ゼロ、<2002>無分別な妻、 波瀾万丈な夫、それから太拳少女、<2002>緊急措置19号
<2003>サプライズ、<2005>天軍、 <2006>家族の誕生、<2007>ハピネス <2007>M エム
<2008>タチマワ Lee -悪人よ、地獄行急行列車に乗れ!、<2008>ミ スにんじん
<2008>今、このままがいい、<2010>牛と一緒に旅する方法
キム・ヘオク(金恵玉) <1993>トゥ・カップス、<2002>同い年の家庭教師、<2002>僕は彼女をはなさない
<2003>吹けよ春風、<2004>マイ・リトル・ブライド、<2004>秘蜜(緑の 椅子)
<2005>チャーミング・ガール、 <2006>家族の誕生、<2006>オールドミス・ダイアリー 劇場版
<2006>アドリブ・ナイト、<2006>二つの顔の猟奇的な彼女、<2007>6年目の恋愛中
<2008>ドレミファソラシド、<2008>素晴ら しい一日、<2010>六連発銃強盗団
ポン・テギュ 出演作品一覧
チョン・ユミ <2005>甘 い人生、 <2005>親知らず、 <2006>家 族の誕生、<2007>よいではないか、
<2008>恋人たち、<2008>よく知りもしないで、<2008>視線1318、<2008>彼女たちの部屋、
<2008>おいしいマン[日韓合作]、 <2009>チャウ、<2009>10億、
<2009>グッドモーニング・プレジデント(特別出演)、<2009>ある訪問、<2010>私のヤクザみたいな恋人、
<2010>オッキの映画、<2010>もう少しだけ近くに、<2010>カフェ・ノワール、<2011>るつぼ
オム・テウン <2003>春 の日のクマは好き ですか?、<2003>シ ルミド、<2004>ファミ リー、<2005>公共の敵2
<2006>家族の誕生、<2007>私の愛、<2008>私たちの生涯最高の瞬間
<2008>あな たは遠いところに(特別出演)、<2008>裡里(イリ)、<2009>携帯電話、
<2010>シラノ・エージェンシー

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【レビュー&ネタバレ】
グ エムル~漢江の怪物美 女はつらいよタチャ イカサマ師な どの大ヒット映画を抑え
 「第44回大鐘賞映画祭」最優秀作品賞を受賞した作品。

とりわけ、1300万人を動員し、歴代記録を塗り替えたグエムル~漢江の怪物 を抑えての受賞 に、
ネチズンからは批判の声も相次いでいたわ。
というのも、<家族の誕生>は、動員数22万人。動員数で見ても、納得いかない結果なのでしょう。
確かに、この映画がグエムルを超える素晴らしい映画とは、ちょっと言い難いかもしれないわ。
でも、上記2006年大ヒット作3作は、技術の派手さと、スター俳優の出演によるヒットといっていいと思うわ。
moca的には、この三作は見た目の派手さで勝っているだけで、内容的には薄っぺらいと思うわ。
この三作だけじゃないわ。
’韓流ブーム’と持ち上げられた以降の映画は、どれもこれも薄っぺらいものばかり。
mocaは最近の映画に不満たらたらだったけれど、
この<家族の誕生>には、それらの映画になかったものがあるの。
あの見終わった後の充実感。
久しぶりだったわ。

近年の映画には、<ドラマ>がない。
派手に演出して、目先ばかりごまかして、登場人物が死んでいる。
この映画のように、映画の登場人物が生きている映画がなくなってしまった。
この<家族の誕生>は、決してドラマティックではなく、その辺にいくらでもあるような地味な話。
暗く、地味で、見ていて辛くなる。
けれど、登場人物と一緒になって喜怒哀楽を感じながら、2時間を楽しむことができる。
劇中、3組のカップルのオムニバスとなっており、
その3組のカップルの話が終り、エンディングを迎えた時。
今までの辛かった曇った空が一気に晴れ渡り、心が温かくなるような幸福感に包まれる。
生きているってことは、素晴らしいことかもしれない...と

この映画を観た日の朝、とてもせつない夢を見て.....
なぜか無性にこの映画を観たくて選んだの... 大正解だったわ。

正直、エンターテイメント大作のような映画が好きな方には絶対に勧められないわ。
けれど、’韓流’が好きな方の中には、こういった’情’を感じる人間ドラマを求めている方も
多いのではないかと思うわ。

↑のポスターや、MV(ミュージック・ビデオ)のような明るさはまったくない映画よ。
特に目立ったキャラクターもなく、その辺に転がっているような人物ばかりですが、
見終わった後には、すべての登場人物に情と愛着が湧いてしまうわ。
↑のポスターのように、幸せな日が訪れることを心から願ってしまう。
2時間の映画なのに、すごいわ。

<大鐘賞>の審査員はすごいかもしれない。
韓国映画のよさというものをきちんとわかっていて、
<グエムル~漢江の怪物>などのヒット作は、技術面に踊らされていることを
世に知らしめてくれたように思うわ。

そして、この映画の監督、キム・テヨンも素晴らしいわ。
デビュー作少女たちの遺言;は、私の生涯で最も美しい一週間のミン・ギュドンとの合作。
二人が学生時代に同じく合作で作った短編を見て、
「どちらが才能があるのかわからないから」と、映画会社が二人に合作で依頼したそうだけれど、
二人とも才能があるということを明らかにしてくれたわね。
けれど、キム・テヨンの才能は並々ならぬもののようだわ。
こんな地味な映画なのに、どうしてこんな素晴らしい映画にすることができるのか。
次回作が期待されるわね。


映画ですが、メインキャストは7人。
血のつながりのない多様な<家族>が誕生していく中で、家族の意味を教えてくれるわ。



ムン・ソリ、コン・ヒョジンは言うまでもなく、韓流好きの方ならご存知でしょうし。

オム・テウンも、ドラマ’復活’で人気が出てきているので、ご存知かしら。
<オム・ジョンファの弟>から、脱皮し始めた注目の俳優ね。

チョン・ユミは、エリックの<ケ・セラ・セラ>に抜擢され、今一番期待される女優。
mocaは好きじゃないのですけどね.....
親知らずの頃か ら、随分垢抜けてキレイになってビックリ。
ドラマ<愛情の条件>にも女子大生ハンジも彼女よね?
これは変わりすぎ....

ポン・テギュも近頃絶好調ね。映画の主役にも抜擢されるようになって。
mocaが最初に見たのはオー!マイDJのイ・ボムスの弟。
微妙な馬面なのに、器が大きくてかっこよく見えたけれど、
他の作品はパっとしない役が多くて......
イマイチどう位置づけていいかわからない俳優。

コン・ヒョジンの母メジャには、<バリでの出来事>のヨンジュ엄마キム・ヘオク。
メインキャストなのに、なぜポスターにも、MVにも出演していないのか......
作品を観ればわかります。
この映画は、<家族の誕生>ですので......
キム・ヘオクがこんな地味で貧乏臭い生活に疲れた母親を演じて
なんだかよくわからないけれど、ショッキングで.......
貧乏で、まだ幼い子供がいて、子供の宿題をやってあげたり...
病気で、頭に毛糸の帽子をいつも被っていたり...
なぜか、キム・ヘオクを見ているだけで、せつなくて... 胸が痛くて、涙が溢れて....
なぜだろう.... mocaだけかしら。

雪の女王で、ヒョンビンの 母を演じ たコ・ドゥシム。
’韓国の母’と呼ばれ、母親役が多いのですが、驚いたのが、この映画では、
オム・テウンの母ではなく、オム・テウンの妻だということ。
20歳も年上の。
誰もが「そんな若くてかっこいい夫をGetして羨ましいわー」なんて言うところですが、
見ているうちに、それは逆だということに気づくわ。
このコ・ドゥシム演じるムシン。最高のイイ女なのです。
いつも相手に対し細やかに気を遣い、いつも自分が引いて相手を立てて、
20歳も年下の夫を手の平の上で転がすような度量の大きさと懐の深さ。
最初は、この20歳年下の夫。どうしょもないロクデナシに見えるけれど、
純粋で素直。いい加減で調子がいいだけではない。
二人を見ていると、「こういうカップルもありかなぁ」なんて、思わされてしまう。
(結局はロクデナシでしたが)

ムン・ソリは、mocaは大嫌いで... 最初は観ているのが苦痛。
しかも、自分の店で出したトッポギに髪の毛が入っていてクレームを受けるんだけど
そのトッポギをこっそりまた、商品のトッポギの中に混ぜてしまう。舌を出しながら...
そんなキャラクターだから、更にイヤになって....
けれど、なぜこのミラを、そんなキャラクターとして描いたのかが不明。
ラストには、とてもそんなしたたかな人間には見えなくなっている。
というか、ミラ、最高なのだ。
わざわざそんな人間に描いた理由がわからない。
しかし、なぜ髪の毛が入っていると、あんなに食欲が失せるものなのだろう....

この映画で、コン・ヒョジンは日本語を話している。
いかにも、韓国人の話す日本語(笑)
韓国で日本人観光客のガイドをしているが、
恋人は新しい女を作り、母親は愛人と孫のような弟だけを大事にし、
自分はそんな母の尻拭いだけ。
(恋人役のリュ・スンボムは特別出演)
そんな生活から逃げるために、日本での仕事を決めてしまう。


思いっきりネタバレしていきま すので、ご注意を!


20歳年下の弟は、ムシンのヒモのような状態で、
ムシンに店を持たせようと、姉に金の無心にやってきたようなもの。
しかし、姉はキッパリと断る。
真面目で頭の固い姉に弟は、「一緒にいると息がつまる」という言葉を浴びせる。
この言葉は、まるで自分が言われたようでちょっとショック。
自分のことを省みたり...
この弟がけっこうマトモな人間に見えたから。
けど、映画を観終わった後には、こいつに言われても痛くも痒くもないわ。
一発ブン殴ってやりたくなったわ。

この弟、金が手に入らないとわかると、ミラの家を出て行ってしまうのよ。
「ちょっと出てくる」と言って。
ムシンは、前の夫の前妻の娘チェヒョン(複雑ね)が、自分を頼って訪ねてきてしまい
何のつながりのないチェヒョンまで世話になれないと、
行く宛てもないのに出て行こうとする。
そんなチェヒョンにミラは、「弟が帰ってくるまで、ここで待ったら?」と、声をかける。

そして、2番目の話。

ソンギョンは、母や恋人から与えられた心の傷から逃げるように日本に行こうとする。
そんな時、母メジャがトランクを抱えて押しかけてくる。
そんな母をひどい言葉を浴びせ、追い出してしまうソンギョン。

ある日、母の愛人が部屋を訪ねてくる。
母が重い病気だと....
メジャとソンギョンの確執を心配してやってきた母の愛人にさえも、
なぜ来たのか?金が目的か?余命はどれだけだ?と、冷たい言葉を浴びせるソンギョン。

ソンギョンは母の店を訪ねる。私の貸した金を返してくれと。
母は金はないと答える。
ソンギョンは弟ギョンソクのはめていた腕時計をヒステリックに奪おうとする。
「これは自分が父親にもらった時計だ」と。
(弟の父はソンギョンの父ではなく、現在の愛人)

ソンギョンはとにかくヒステリックな感じで、弟に対しても冷たい。
愛されない自分。愛されている弟。そんな嫉妬心がソンギョンを変えてしまった。
ソンギョンは本当は優しく、情の深い子。
冷たく当たっていた弟の運動会も、「イヤだ」と言いながらも、結局は行ってやる。
そんな時に、メジャはこの世を去ってしまう。
これはショックだったわ....
胸が痛んで、涙が止まらなかった......
メジャの遺影を見るのが辛くて.... なぜ、こんなにも辛かったのだろうか...
まるで、自分の母親のように思えたからだろうか....

残されたのは、ソンギョンと弟だけ。
まだ幼い無邪気な弟が、更にせつなさを描き立てる。
あの葬式のシーンは、胸が痛くて、痛くて、仕方なかったわ。
この監督、天才。
ソンギョンの弟。この子がまた、可愛いのよ。
弟も可哀想だし、ソンギョンだってまだ若いのに、これからどうなるのか....
心配で心配で仕方なくて....

そして、いつか母が訪ねてきた時に持っていたトランク。
ソンギョンが無理矢理追い出したために、そのままになっていた。
そのトランクの鍵が偶然開いてしまう。
その中から出てきた、写真立てに飾られたソンギョンの写真。
ソンギョンは、写真を抱きながら泣き叫ぶ。
自分は愛されていた....

ソンギョンは愛されたかっただけなのよね。
愛は見えないものだからこそ、難しい.....

そして、最後の話。

まだ若いカップルの話ですが、この二人の出会いからして妙。
電車の中で初めて会って、そのまま付き合っちゃったの?

彼女のチェギョンですが、八方美人というか.... 誰にでも異常に親切な天使のような女の子。
「君は利用されているだけだ。お人よしにも程がある」
と言っても、チェギョンは「悪いことなの?」と、少しも悪びれない。
チェギョンは自分を愛しているのかさえもわからない。
そんなチェギョンに、ギョンソクは疲れ始めていた。
チェギョンを姉に紹介すると誘った夕食会でさえも、
チェギョンは他人の人捜しにつきあってすっぽかしてしまう。
結局、ギョンソクはチェギョンに別れを言い渡す。

しかし、チェギョンが忘れられないギョンソクは、チェギョンに会いに行き、一緒に電車に乗る。
辿り着いたのは、春川(チュンチョン)
その家は、ミラの家。
扉を開け、溢れるほどの笑顔でチェギョンを出迎えたのはミラ。
「엄마(オンマー)」と、抱きつくチェギョン。
なんと、奥から現れたのは、年老いたムシン!

ポン・テギュが、あの幼かったコン・ヒョジンの弟だと気づいた瞬間に
チョン・ユミは、あの幼かった女の子だと察しましたが、
まさか、こんな結末になるとは....
あの家で、まだムシンが暮らしていて、
女の子を置いてやることを拒んだミラが、結婚もせずに女の子を育ててやったのだなんて...
しかも、あのロクデナシの弟は、あのまま戻ってこなかったというのに....

感動。

こんな風につながるとは思わなかったわ。

そして、この日。ちょうどあのロクデナシの弟が戻ってくるのですよ(笑)
しかも、身重の女を連れて..........

そんな弟を見たミラは、弟を追い出して鍵を閉めてしまう(笑)
ミラ、チェゴ

血のつながった弟よりも、ムシンの方が大切。
家族とは、血のつながりじゃない。
そう教えてくれる映画。

チェヒョンも、こんなミラとムシンに育てられたから
誰にでも愛情を注ぐ天使のような子に育ったのよね。
この3人に加え、チェヒョンとギョンソクのつながりを通じ、ソンギョンも1つの家族となるのでしょう。
それを想像するだけで幸せ。
メジャのことを考えると、いつまで経っても辛くて仕方ありませんが。

ポン・テギュの姉がコン・ヒョジンだとわかった瞬間のあのなんともいえない感動。
(眼鏡をかけ、ヘアスタイルを変え、遠目なので最初はわかりません)
あの若いソンギョンが、ギョンソクをここまで育てあげていた.....
二人が無事に、こうしてささやかながらも幸せに暮らしていたことに安心したわ。
おまけとしていえば、ソンギョンは’歌手になりたい’という夢を、多少なりとも叶える形でしたし。

一つだけ言わせてもらえば....
ソンギョンが天に浮いて、花火が上がるシーンだけは
もう少しなんとかならなかったでしょうか?
この映画がブチ壊し。
まるで、<少女たちの遺言>で、ヒョシンが巨人 化してしまうのと同じくらい頂けない。
あれも、キム・テヨン監督のアイディアなのかもね....







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