過速スキャンダル   Speed Scandal  
 原題:過速スキャンダル 과속 스캔들(クァソク スケンドゥル) <2008>

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一時はアイドルスターとして、10代の少女ファンの永遠の偶像だったナム・ヒョ ンス(チャ・テヒョン)。今は30代半ばだが、それでも今のところは好調な芸能人で、聴取率1位の人気ラジオDJだ。

ある日、リスナー自認し、一日も欠かさずラジオにメッセージを送ってきたファン・ジョンナム(パク・ボヨン)が突然に訪ねてきて、自分はヒョンスの娘だと しつこく言い張 り始める。それも、自分の子どもまで連れて現れ、家はもちろん、ヒョンスの縄張りである放送局にまで。

どこでも関係なく追いかけてくるストーカー、ジョンナムのせいで、完璧だった人生を見事に邪魔されたヒョンス。泣きっ面に蜂で、頭が混 乱する彼は、ジョンナムとのスキャンダルにまで巻き込まれてしまう。これが一発炸裂すれば、本当におしまいだ!

日本公式サイト:http://kasoku-scandal.jp/

【予告編】

監督 カン・ヒョンチョル <2008>過 速スキャンダル、<2011>Sorry

出演

チャ・テヒョン

出演作品一覧

パク・ボヨン(朴報営)

<2008>う ちの学校のET、<2008>超感覚カップル、<2008>過 速スキャンダル
<2011>彼女が僕を見ている

ワン・ソッキョン

<2008>過速スキャンダル

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【レビュー&ネタバレ】
2008年12月4日、韓国公開。観客動員数、約830万人というミラクルヒッ トを記録!
韓国歴代興行成績トップ10の記録を塗り替えた。
※ D-WARは韓国映画に含めておりません。また、数値は目安としてください。

 1.グエムル~漢江の怪物~ 約 1300万人
 2.王の男 約1230万人
 3.ブラザーフッド 約 1174万人
 4.海雲台(ヘウンデ) 約 1140万人
 5.シルミド 約1108万人
 6.過速スキャンダル  約828万人
 7.チング 友へ 約818万人
 8.グッド・バッド・ ウィアード 約700万人
 9.トンマッコルへようこそ 約 710万人
10.光州5・18 約 685万人


日本でも、2010年2月13日(土)より、公開決定。

単純に 面白い!

何も考えず、ただただ、楽しめる映画。
まさにエンターテインメント。
新人監督なので、細かな点では気になることもありますが、
初監督作品で、ここまで完成度の高い映画を制作するとは、素晴らしいことですね。
しかも、そんな新鮮なテーマでもないわけで、
平凡な題材で、ここまで楽しませられるのは、演出の力と、俳優陣の好演の成果でしょう。
人間ドラマとしては、ちょっとクサくて、もうちょっと練り上げて欲しい部分がありますが、
コメディーとしては、最高です。
ストーリーは、ベタもベタ。
でも、反発しあっていた者同士が家族になっていく過程ってよいですね。
ストーリー自体に魅力があるわけではないので、
何度観ても飽きません。
くだらないコメディーではないので、何度でも笑えます。

韓国人は、なんにしても「単純に楽しめる」ものが好きなんだなぁ、と感じます。
この映画は、「笑う」ための映画です。
ちょっと心温まるハートフルドラマではありますが、人間ドラマとしては陳腐ですね。
「お涙ちょうだい」のシーンも、逆にシラケます。
とにかく、楽しめることは間違いない。
でも、日本ではコケそうな気がしますが..........

 
【ナム・ヒョン ス】
ラジオDJ
チャ・テヒョン
【ファン・ジェ イン】
ペンネーム:ジョンナム
パク・ポヨン
【ファン・ギド ン】
ジェインの息子
ワン・ソッキョン
 
【イ・チャンフ ン】
獣医
ソン・ジル
【パク・サンユ ン】
ジェインの初恋の人
イム・ジギュ
【ジョモ】
幼稚園の園長
ファン・ウスレ
【ポン・ピル ジュン】
芸能記者
イム・スンデ
   
【局長】
チョン・ウォンジュン
【PD】
キム・ギバン
   

チャ・テヒョンは、コメディーで最高の持ち味を披露。
なんといっても、今回の立役者は、子役のワン・ソッキョンでは?
しかも、これが初出演作品というから驚き。
イイ味だしてるのよー
もー 可愛いしー 抱きしめたくなるしー 笑っちゃうー
ギドンのキャラクターが、映画を癒しと笑いの世界に変えてくれます。
チャ・テヒョンとのコンビネーションが最高!

そして、パク・ボヨン。
2008年に3本の映画でメインキャストを務める、まさに期待の星。
2009年はいったい何をしていたのでしょう?
もったいない。
大学に入学したばかりだから、学業に専念したのでしょうか?
一見平凡そうですが、見る者を魅了してやまない不思議な魅力があります。



バッチリメイクをすれば、こんなにキレイです。

mocaとしては、うちの学校のETのパク・ボヨンが最高でした ね。
パク・ボヨンは、うちの学校のETでは、ウンシル役でオーディショ ンを受け、
監督に、「お前はソンイだ!」と見初められ、ソンイ役にキャスティングされたそうです。
パク・ボヨン自身は、自分の魅力と演技力に気づいていないようです。
今回のジェインと、ウンシルは、共通するキャラクター。
この映画を観て、なぜウンシル役でオーディションを受けたのかわかりました。
自分では得意だと思っている演技なのでしょうけれど、傍から見れば、違和感があってリアルさに欠ける。
それでも、この映画でも、まずまずの演技力を披露しています。
でも、ジェインのキャラクターが好きになれなくて.....
変に大人びて、変に物分りがよくて、生意気で、
なのに、イザという時に最愛の人を踏みにじってしまうような考えなし。
他人を思いやっているようで、実は自己中..... そんな風に思えてしまいます。
実際、16歳で子供を産んで、父も母もなく、一人で頑張ってきたら、こうなって当然ですが.....
その健気さを前面に出して欲しかったです。
パク・ボヨンとしては、これから成長し、いい女優になりそうですね。

劇中、歌を歌うシーンがいくつも出てきますが、めちゃくちゃウマい!驚き!!
しかし、劇中の歌は、他の歌手の吹き替えなんだそうです。ガッカリ。
パク・ボヨン自身が歌う ”自由時代" という曲は、OSTに収められております。
↓これを聞けば、パク・ボヨンの歌唱力はこの程度... と、わかることでしょう。



チャ・テヒョンがファン・ウスレを前に弾き語りする
"Because I Love You" は、もちろん本人が歌っております。

注目株は、園長先生を演じるファン・ウスレ。
まだ出演作品が少ないので、あまり見かけないと思いますが、
どんな役も演じこなせる、面白い女優になりそうです。
ミスにんじんの彼女を見てもらえれ ば、わかると思います。

ソン・ジルは相変わらず最高に面白い!
魔王のイム・スンデ、パク・ヨンソに、冬ソナのチョン・ウォンジョン、
私の名前はキム・サムスンのキム・ギバン。
なかなかのバイ・プレイヤーが集まっております。


では、ストーリーを。
ネ タバレしますので、ご注意を。
ちなみに、「ジョンナム=ジェイン」ですので、本名が「ジェイン」と判明した時点から、「ジェイン」と致します。

元アイドルのヒョンスは、ラジオの人気番組のDJ。
CMにも出演し、順風満帆。
独身生活を謳歌する毎日。

ヒョンスのラジオ番組では、「ファン・ジョンナム」という少女が、リスナーの注目を浴びていた。
まだ会ったこともない父を探すべきか、ジョンナムはその悩み事をヒョンスに送っていたのだ。
ヒョンスは人気者らしく、ジョンナムを励まし、応援する。
「ぜひ会いに行くべきだと」
口がすっぱくなるほど、ジョンナムに助言する。
そして、父に会ったら何をしたいかという質問に、
「歌を歌いたい」
と、答えるジョンナム。
「歌手になりたいの?僕らの番組でも、歌の競演コーナーがあるの知ってますか?見えるラジオ。
ぜひ出演してください」
ヒョンスは、ジョンナムに出演の約束をさせる。
優勝すれば、歌手としての夢も叶えられるし、
僕らも全面的に応援できると。

夢を育てる代わりに、
子供を育てる22歳のシングルマザー、ジョンナムさん。
今はその少女の夢までも包み込む父親。
そして、愛する孫。
彼女の家族に、いつも幸せが降り注ぐことを祈ります。
と、ヒョンスは神妙に締めくくる。
しかし、本音はジョンナムのことなど心配しておらず、
突然、娘と孫に訪ねてこられる父親を哀れみ、ネタにして楽しんでいた。
芸能記者のポン記者は、
ヒョンスの熱愛スクープに目を光らせている。
奔放な恋愛を繰り広げるヒョンスにとっては、
手ごわく、危険な相手。
ヒョンスは、警戒心を緩めない。
恋人を初めて部屋に招き、その準備もぬかりない。
ヒョンスはウキウキして、彼女を待つ。


しかし、そこに現れたのは、
見たこともない野暮ったい少女と、小さな男の子。
「部屋を間違えたのでは?」
と、ヒョンスはドアを閉めようとするが、
「ナム・ヒョンスさんですよね?間違いないわ」と、
勝手に部屋に入ろうとする。
必死に抵抗するヒョンス。
すると彼女は告げた。
「ジョンナムです。メッセージを送った」
それを聞いたヒョンスは、態度が一転。
ジョンナムなくしては、番組の聴取率も上がらない。
邪険にはできない。
「あぁ、ジョンナムさんかぁー」
ヒョンスは愛想をふりまく。
「お父さんには会えなかったの?」
ヒョンスは尋ねる。
「ファン・ボギョンがママなんだけど」
ジョンナムはそう言って、部屋の中に入ろうとする。
ヒョンスは必死にドアを死守しながら尋ねる。
「それで?」
ジョンナムは首をかしげる。
「わからないの?」
ヒョンスは「わかるべきなの?」と、尋ねる。
「知ってるはずだけど?」
ジョンナムはドアを開けようとする。
「知らないけど」
ヒョンスの言葉に、ジョンナムは呆れて、ため息をつく。
「ナム・ヒョンスさんが中3の時、
隣りに住んでいた姉さん。5歳年上の。
ナム・ヒョンスさんの初体験」
平然と語るジョンナムの言葉に、ヒョンスは硬直する。
全てが崩れ落ちていくようなショック.......
ラジオでの、今までのジョンナムとの会話を振り返るヒョンス。心当たりがありすぎ.....
この子は、俺の娘?
ヒョンスは、ショックのあまり呆然とする。
仕 方なく、ジョンナムとギドンを部屋に入れるヒョンス。
ヒョンスはまだ、目の前の現実を受け入れられない。

その時、約束していた恋人が部屋にやってくる。
部屋に来た途端、いいムード。

しかし!

じっと部屋の中で隠れていろ!
と言ったはずのギドンが、チョロチョロしている。
「トイレに行かせないと」
ジョンナムは、言うことを聞かない。
恋人の手前、ヒョンスは焦りまくる。
トイレの水が流れる音がすれば、
彼女を抱きしめ、耳をふさがせ、
ギドンが廊下を走れば、
無理な体勢を取り、視界を遮る。
しかし、こんな苦労は続くはずがない......

ヒョンスは涙を呑んで、彼女に告げる。
「別れよう」
ヒョ ンスは、先程までの憔悴しきった態度から一転し、
強気に出る。
「俺にこんな大きな娘がいるはずない。
それにホギョンさんとは、たった1回だけだ。
中3のガキが、そんなうまく狙えるか!」
ヒョンスは認めない。
「私は、高1の時」
と、にっこり笑ってギドンを抱きしめる。
「お前、母親じゃなくて姉だろう?」
ヒョンスは、あくまでもジョンナムの狂言だとつっぱねる。
ジョンナムらを「前科者」になりたいか?とまで脅す。
立派な住居侵入罪だと。
ジョンナムは仕方なく出て行く様子を見せる。
その途端、ジョンナムは新聞を広げる。
「映画俳優、キム・ジュニョン。ビデオの波紋!」
ジョンナムは新聞の一面を大声で読み上げる。
つい最近、ポン記者のスクープにより、
自滅した人気俳優だ。
「追い出したら、私達のことをメディアに売るわよ?」
と、言わんばかりのジョンナムの脅し。
これには、ヒョンスは従うしかなかった。

ジョンナムらがやって来てから、家の中は大変だ。
部屋の中は嵐の後のように、散らかし放題。
仕舞いには、ギドンが液晶TVの画面に落書きしてしまう。
ヒョンスは腹の虫が収まらない。
ヒョンスは、アイドル時代のメンバーのチャンフンに泣きつく。
信用できない病院でDNA鑑定なんてできやしない。
もし秘密がバレたら....
チャンフンは獣医。
ヒョンスに娘が.... と聞いて、愉快でたまらない。
喜んでDNA鑑定を引き受ける。
結果が出るまで、10日。
ヒョンスは、悪がきギドンの荒らしまくった部屋を掃除したりと、悪夢の10日間を暮らす。

そして、結果が出る。

100% 実の子だ!
チャンフンは愉快で仕方ない。
科学で証明されたら、ヒョンスも認めざるえない。
ヒョンスはワインを飲みながら、ジョンナムに語りかける。
「一人で子供を育てて苦労したろう?」
と、ジョンナムを労わる。
そう、今度は泣き落としだ!
「お前の母さんを愛してた。最初で最後の愛だ。
だが、愛するが故に、別れねばならなかった。
愛する男の前途を案じたお前の母さんは、
そうしてお前を隠した。
あの時、教えてくれればよかったんだ。
すまなかった」
ヒョンスは一人熱演。
ふとジョンナムの様子を伺えば....
一人でワインをガブ飲みしていた!
しかも、酔えば絡むタイプ....
ヒョンスは、またもや自分のペースに巻き込めず、
延々ジョンナムの愚痴や、思い出を聞かされる。
しかしジョンナムは思いがけない言葉を発する。
「私、出て行くわ。止めないで」
ヒョンスは心の中でガッツポーズ。
しかし平静を装い、
「父さんは、お前の意思を尊重する」
と、心にもない言葉を発する。
それから二人は、ワインを何本も空け、飲み明かす。
飲みすぎてダウンし、記憶のないヒョンス。
目覚めたら、横にはジョンナムが!
もしや、近親相姦?!
さすがのヒョンスも焦った。
チラリと布団をめくると、二人とも、ちゃんと服を着ていた。
ホっとするヒョンス。
しかし、ヒョンスのベッドに寝ている状況はマズい!
ヒョンスは隣りの部屋で寝ていたギドンを抱き上げ、
ジョンナムの隣りに寝かせて偽装工作した。
(これ、最高に笑えるんですけど!)

ジョンナムが目覚めぬうちに仕事にでかけようとするヒョンス。しかし、ジョンナムと鉢合わせしてしまう。
「昨日の約束覚えてるでしょうね?」
ジョンナムは確かめる。
ヒョンスは一切の記憶がない。
「あぁ...」と、生返事をする。
呆れるジョンナム。
「とにかく、年末までは頑張って。すぐ出て行くから」
それを聞いたヒョンスは、
嬉しくて、顔が緩んで仕方がない。
一難去って、また一難。
父ヒョンスと無事再会したわけなので、ジョンナムは掲示板に悩みを相談することもなくなった。
だが、ジョンナムが番組の掲示板に姿を現さなくなったと、リスナーが大騒ぎしているというのだ。
しかも局長までが、「あの子のメッセージを紹介した日は、必ずグーンと聴取率がUPするのを知らないのか!」と、ヒョンスを叱責しる始末。
その上、ADが余計なことを言い出す。
「出てこないなら、こちらから探してはどうですか?そして、番組に出演してもらおう」と。
そんなことされてみろ、ヒョンスの秘密がバレてしまう!
ヒョンスは一人猛反対する。
「便りは便りのままだから美しい。あの子を番組に出してみろ!それで終わりじゃないか!次はどうするんだ?」
と、凄い剣幕で皆を黙らせた。

そして家に帰ると、ジョンナムに掲示板に書き込まないのか?と、催促する。

ジョンナムからのメッセージを横から監視し、ケチばかりつけるヒョンス。
仕舞いには「代われ!」と、自分にとって都合良い父親像を作り、嘘八百の内容に。
父は太っ腹にも、「お前たちに使う金はいくらでも惜しくない」と、父のカードを渡してくれました。
カードを貸してもくれないのに。
今日は遊覧船に乗りました。
カモのボートにさえ、乗せてくれたこともないのに。
百貨店で高価な洋服を買い与えてくれまし...たぁ?
ジョンナムは不満顔でヒョンスを見やる。
仕方なくヒョンスは、ジョンナムとギボムを百貨店に連れて行く。
しかし買ったものは、高価な自分の服ばかり。そしてジョンナムに1着、安物の服を買い与えただけ。
ジョンナムは、幼稚な父に呆れ果てる。
それからも、「父がどれだけ子供を愛しているか」「私を探すつもりならやめてください。便りは便りのままが美しいのです」などと、ジョンナムに代わって、 勝手に書き込むヒョンス。
そしてやってきた。
ヒョンスの番組の名物コーナー「見えるラジオ」
激戦の予選をくぐりぬけてきた5組の王座決定戦。
ヒョンスは意気揚々と準備を始める。
しかしそこに、こともあろうにジョンナムの姿が!
しかも、ギドンまで連れて。
ジョンナムはそ知らぬ顔で、参加者席に座る。
突然のことに動揺を隠し切れないヒョンス。
失態ばかりを繰り返す。
そして4人目の参加者の番が終わる。
最後はジョンナムだ。
しかしヒョンスは、「これで参加者全員終わりましたね」と、
勝手に番組を終わらそうとする。
審査員に「もう1人いるけど」と言われ、ヒョンスの目論見は失敗に終わる。
「ファン・ジェインさん」
審査員はジョンナムを呼ぶ。
「独特な名前だね?英名?」
審査員は尋ねる。
「いえ、”素直”って意味です。
素直に生きなさいと、母が....」
ジェインは答える。
そんな娘の大切な話も、ヒョンスは無関心。
この危険をどう乗り越えるかしか頭にない。
「素直に生きるよう願うよ」
ヒョンスは悪態をつく。
審査員たちは、ヒョンスがそんな態度を取るのに驚く。
「全国民が見てるから、緊張しないでね」
と、ヒョンスはプレッシャーを与える。
しかしジェインは、プレッシャーのあまり歌えなくなる。
「ざまあみろ!」
とばかりに、愉快で仕方ないヒョンス。
「緊張されているようなので、次回のチャンスにってことで!」と、ヒョンスは終わらせようとする。
その瞬間。
ジェインはアコースティックギターを片手に弾き語りを始める。
しかも澄んだ透明感のある声、
伸びやかで心地いい心に染みる歌声。
誰もがジェインの歌に圧倒された。
ヒョンスも開いた口がふさがらない。

ジェインが何をやらかすか恐ろしくなったヒョンスは、
とりあえずジェインに頭を下げる。

「俺が悪かった、行かないでくれ」
「私が多少悪いところもあるし」
それを聞いてヒョンスは激怒する。
「なんで俺の番組に出たんだ!」
「必ず出ろって言ったじゃない」
ヒョンスは返す言葉がない。
「確かに最近の番組は全てお前のおかげだ。
聴取率もどんどん上がってる。
お前は子供までいる子供だ。育児に努めないと!
歌いに出歩くんじゃない!
お前の成長過程はどうなってんだ!」
ヒョンスは怒りに任せて失言してしまう。
「父親なく育ったわ」
ジェインは寂しそうに答える。
ヒョンスは言葉を失う。
「シングルマザーでも、やりたいことは山ほどあるの」
そう言って、ジェインは自分の部屋に戻っていく。


ジェインの歌手への夢を認めたヒョンス。
しかし、「子供はどうするんだ?」と、叱責する。
「連れて行ってもいいし」
と、ジェインはにっこり答える。
「ダメだ!ダメだ!ラジオ局は知り合いばかりだ!
俺のスキャンダルを出したいのか!」
ヒョンスは必死に止める。
「じゃあ、幼稚園に預ける」
ジェインは尋ねる。
「息子よ、幼稚園に行く?」
すると、ギドンは喜んで行くと。
しかしまだ問題があった!
ヒョンスはギドンに尋ねる。
「俺はお前のなんだ?」
ギドンはにっこり笑って答える。
「おじいちゃん!」
それを聞いたヒョンスは、顔を不満げに顔を歪ませる。

「ここにおじいちゃんがいる」
ヒョンスは、でっちあげの家計図を作成し、
ジェインとギドンとの偽の関係をギドンに叩き込む。
「このおじいちゃんに兄弟が3人いて、
この2番目の子供がうちの父親になる。
そこに長男がいて、この長男が2人の子供を...
1人は男、1人は女。女で、苗字は異なる....
メチャメチャの家計図。
どうにか、三人の偽の関係を作り上げた。

幼稚園に向かうヒョンスとギドン。
ヒョンスはギドンに尋ねる。
「俺は誰だ?」
「叔父さん」
ギドンはしっかり答える。
「どんな叔父さんだ?」
(この場合は、実の叔父です。韓国では単に独身男性をサムチョン(叔父さん)と呼ぶこともあります。他人なのにヌナ、オンニ、イモなどと呼ぶのと同じ感覚 でしょうか)
「パパのおじいちゃんの2番目の叔父さん」
ギドンはすっかり頭に叩き込んでいた。
「両親は?」
ヒョンスが尋ねると、
ギドンは黙って項垂れる。
「よくやった」
ギドンを褒めるヒョンス。
両親はいないことにしたのだろう。

ボーっと突っ立ったままのギドンを、ヒョンスは「ここにでも座ってろ!」と、叱る。
しかしギドンはそれどころではなかった。
なんとも愛らしい女の子の園児ムグンファに、一目惚れしてしまったのだ。
ただただ、ボーっと女の子をみつめるギドン。
ヒョンスはギドンのところへやってくる。
そして、自分もまた、ギドンのように目を奪われる。
相手は、美しい園長先生ジョモ。
二人して、木偶の坊のように立ち尽くす。
近寄ってきたジョモにヒョンスがまず言った言葉は、
「私の息子ではありません」

ようやく三人の生活も慣れ、
それなりのルールと、生活のリズム、
そして、家族らしさが生まれ始めていた。
番 組の打ち合わせ。
話題はジェインに集中する。
「ジェインは度胸がある」
PDが褒めると、ADは否定する。
「歌はできるけど、安っぽくないですか?
ファッションも田舎娘みたいで古臭いし」と。
「安っぽいかは知らん。
でも、なんとなく色気があるだろ?」
PDは語る。
「田舎の子は本来明るいから、
胸もツンと突き出して歌って.... 最高だな」
話はジェインに対するY談へと向かっていく。
「そんな子がベッドでは、イヤァァァーン」と悶える.....
調子に乗ったPDを、ヒョンスは怒鳴りつける。
「この極悪非道な奴らめ!
出演者を、しかも幼い子に対し、卑劣な野郎だ!
お前にも娘がいるだろ!
誰かがお前の娘のことを同じように.....
みんな!絶対にコイツを告訴しろ!
こんな奴には電気パンツを履かせて...
あぁー もう、クソっ!」
ヒョンスは一人怒り狂って部屋を出て行ってしまう。
残された皆は呆然。
「俺が悪いこと言ったか?」
PDは首をかしげる。
ヒョ ンスは、ジョモの顔を見ようと、
ウキウキで幼稚園を訪ねる。
「他でもない甥がお世話になり、お礼に食事でも」
と、ヒョンスはジョモを誘おうとするが、
そんなヒョンスに呆れ、叔父としての責務を諭す。
「もっとギドンに気を遣ってあげてください」と。
「ギドンには好きな子がいるんですけど、
ギドンの服がダサいと、遊んでくれないんです」と。
そして、みんなの輪の中に入れず、
片隅でポツンと寂しそうにしているギドンを見て、
ヒョンスは頭に血が上る。
ジェインも、ギドンも、皆から「ダサい、安っぽい」とバカにされ、ヒョンスは怒り心頭。
ジェインとギドンを百貨店へ連れて行き、
「品が良さそうで、安っぽくない服を」
と、二人のために服を買い占める。

そして、着飾った....
まるで財閥のご子息のようないでたちのギドンに、
園長のジョモは目を丸くする。
(これ、最高!)
ジェインもオシャレな服にメイクもし、王座決定戦のスタジオに現れる。
今までと態度をコロリと返るADらに、ヒョンスは
「どうだ!」
と、言わんばかりに自慢げに鼻を高くする。
(この時歌うのが、パク・ボヨンが自ら歌う自由時代)

気分よく放送局を出るジェイン。
そこに、サンユンが待ち構えていた。
「ファン・ジェインだろ?」
サンユンはジェインの初恋の相手。
サンユンと再会してからのジェインは、心ここに在らず。

ジェインはサンユンと会う約束をする。
酒を酌み交わしながら、久しぶりの会話を楽しむ二人。
「歌うまいな。観ながら少し泣いた」
とサンユンは笑う。
「実は、番組に出れば、あなたがこれをどこかで観るかもしれないと、また再会できるかもしれないと....
そんなことを考えていたの」
ジェインは告白する。
ヒョンスは園長のジョモに呼び出される。
「どうして言わなかったんですか。ギドンが上手だということを」
ヒョンスはジョモにいきなり責められる。
ヒョンスはとっさに、ギドンが幼稚園で賭博花札をしたのでは?と、勘違いしてしまう。
ギドンは天才的に花札がうまいのだ。
ギドンが呼ばれ、
「さっきのアレ、もう一度見せて」
ジョモはギドンに告げる。
「いや、ギドン!やめろ!」
ヒョンスは慌ててギドンを制止するが、
ギドンは予想を反し、ピアノの前に座り、
ピアノを弾き始める。
なんとも見事に、「ブラームスのハンガリー舞曲 第5番」を弾きこなしてしまうギドン。
これには、周りで見守っていた職員や園児たちも圧倒させられる。
まさに神童。
ギドンの好きなムグンファも、満面の笑みで大拍手。
ギドンは鼻が高い。
(ヒョンスの携帯の着メロがハンガリー舞曲に変わってしまうのも笑える)
ピアノの才能を埋もれさせないよう、
ジョモの家にピアノを習いに行くことになったギドン。
ヒョンスは「よくやった!」と、ギドンを褒める。

そして、それから、
ギドンとヒョンスのスパイ大作戦が始まる。

「つきあっている男はいるのか?
いなければ、つきあう意思はあるのか?
俺のことをどう思っているのか?
好きな食べ物は何か?
どんな男が好きか?
俺がやらせたとバレないようにな!」
ヒョンスはギドンに徹底的に叩き込む。
交換条件に買ってもらったローラーブレードで遊び、
ご満悦のギドン。

そして、ギドンは随一ヒョンスに報告する。


ある日、ジョモの家にピアノを習いに行ったギドン。
そしてジョモからヒョンスに電話がくる。
「これから三人で食事に行きませんか?」と。
天にも昇る気持ちのヒョンス。
ジョモの家に迎えに行くと、ジョモは表情を曇らせる。
「どうしましょう。ギドンが眠いと....」
ヒョンスもガッカリだ。
しかし、それは気を利かせたギドンの作戦だった。
目をこすり、眠いマネをしながら
「カー、カー(行け!行け!の意味)」
と、ヒョンスに合図を送るギドン。
ギドンがキューピットとなり、めでたく二人きりで食事することに。
ギドンから仕入れた情報を元に、ジョモが好きなトンカツを食べに行くヒョンスと ジョモ。
「トンカツを塩コショウで食べるのが好き」
という、これまたギドンから仕入れた情報を元に、
「僕は塩コショウで食べるのが好きなんですよ」
と、一芝居打つヒョンス。
「私も」
と、ジョモは笑う。
「いやぁ、運命だな。こんな食べ方珍しいのに」
と、ヒョンスは意気揚々としゃべりまくる。
「休みの日は何を?
僕はTVゲームがプロ級なんですよ。
今度、一緒にゲームしませんか?」
これまたギドンの情報を元に、ジョモを誘うヒョンス。
しかし、それはガセだった。
ジョモは「ゲームをする男性は嫌い」なのだと。
「情報が誤って伝わったようですね?」
ジョモは苦笑いする。
ジョモの言葉に、ヒョンスはうろたえる。
「ギドンがあまりにも周りをうろつくものですから.....」
と、ジョモは説明する。
ヒョンスは冷や汗をかく。
「直接聞いてくれればいいのに」
と、ジョモは微笑む。
立場がないヒョンス。
「どんな男性に魅力を感じますか?」
やけくそ気味にジョモに尋ねる。
すると、ステージに目をやるジョモ。

そして、ステージに上がり弾き語りを始めるヒョンス。
うっとりと聞き入るジョモ。




サンユンはジェインを家まで送り届ける。
「ジェイン、6年前に言うべきだった。
俺はマジで、一生涯お前を心の底から愛する」
サンユンはジェインに告白する。
サンユンの告白に、戸惑うジェイン。
「私が.... 他の女性と違っても?」
ジェインは尋ねる。
「愛してる」
と、即答するサンユン。

ジェインとマンションの前で別れた後、
ジェインの写真を撮ろうと、後をつけていくサンユン。

マンションの前で、ジェインはヒョンスと鉢合わせする。
「どこに行ってた?男だろう?」
と、ジェインを責めるようなヒョンス。
まるで、男と女の会話だ。
サンユンは二人の関係が気にかかる。
しかも二人は仲むつまじくエレベーターを待つ。
「俺のパンツ(下着)、大きすぎるぞ!フリーサイズか?」
ヒョンスは冗談めかす。
二人で笑いあう姿を見て、サンユンはショックを受ける。
カメラが趣味で、写真家を目指すサンユンは、カメラを常に携帯している。
サンユンは、思わず二人の写真を撮ってしまう。

アルバイト先の写真館のパソコンで、ヒョンスとジェインの写真を眺めながら失意に陥るサンユン。
堪えられず、スタジオを飛び出してしまう。
しかし、その日の客は、芸能記者ポンだった。
ポン記者は何気なく覗いたパソコンの画面を見て、
ニヤリとする。
とうとうヒョンスのネタを掴んだのだ。
サンユンはジェインに写真を見せる。
「これは違うよな?一緒に暮らしてないよな?」
ジェインを責めるサンユン。
「今度話すから」
ジェインは答える。
「寝たのか?」
サンユンは更に責める。
サンユンの言葉に、ジェインは呆れる。
「奴を探し出して全部....」
サンユンは逆上する。
ジェインはそんなサンユンに失望し、
「やってみれば?」
と、サンユンを挑発する。
「そんなに奴が大事か?奴が傷つくから庇うのか?
奴がそんなにいいか?
家に連れ込み、養ってくれるからか?」
サンユンは執拗にジェインを責める。
ジェインの怒りは頂点に達する。
「そうよ、死ぬほど好きよ」
ジェインはサンユンに言い放つ。
「俺は奴を許さない。
ある記者に渡せば、処理してくれると言ってる。
ナム・ヒョンスを潰してやる!」
サンユンは言い放つ。
ジェインは怒って、サンユンのカメラを叩き壊し、
メモリーカードを奪い、
「あんたは昔と、ちっとも変わらない。
もう二度と私達の前に現れないで」
と、言い捨てる。

しかし、ヒョンスとジェインの情報は、既に流出してしまっていた。
ポン記者が、更なる決定打を捕らえようと、狙っていた。
局長はヒョンスを呼び出し、たしなめる。
「2枚目で撃沈し、3枚目で苦渋をなめただろう?
潰れることも一瞬だとわからないのか?」
局長は、ジェインを年末の番組に出さないよう命じる。
ジェインの夢を知っているヒョンスは、胸が痛む。

その夜、ヒョンスはドア越にジェインに語る。
「年末の公開放送に出ることだけど....
俺は最近CMも入ってきて、
番組改編ももう直で....
お前、番組に出ないでくれないか?
お前が1位になって、次はどうするんだ?
お前は俺の娘だ。子供がいるシングルマザーだ....
そう言うのか?
そうなれば、お前も苦労し、
俺も大変なことに....
お前は言わないと、俺はわかってる。
だが、卑劣な言葉で暴かれたら、
お前は終わりだ。
俺は2枚目で撃沈し、
ここまでくるのにどれだけ大変だったことか...」
ジェインは、サンユンから奪ったメモリーカードを握り締めながら、黙ってヒョンスの言葉を聞いていた。


だが、ジェインとの噂は、社内中に広まってしまう。
悪意を持って情報を流している奴がいるのだ。
結局、ヒョンスは次の改変で番組を下ろされることに。

ジェインがマンションに戻ると、
サンユンが待ち構えていた。
「俺はお前を助けないと!
お前は悪のどん底に落ちてしまう!」
サンユンは必死にジェインを引きとめようとするが、
ジェインはサンユンを無言で突き放す。
マンションまで乗り込んできたサンユン。
ロビーで大声で叫ぶ。
「ナム・ヒョンス!変態野郎!どこにいる!」
ジェインは慌ててサンユンを制止する。
「後でゆっくり話そう」
だが、サンユンは聞き入れない。
「俺が責任取る。しっかり頑張るから。
あの時のお前の目で全てが読めた。
私をここから助け出してと。
あの家を出て、俺の元へ来たいと」
サンユンはジェインを離さない。
そこへ、ヒョンスが現れる。
ヒョンスは、情報を流したのはサンユンだと察知する。
しかも、ジェインがサンユンに頼んでさせたことだと思い込んでしまう。

部屋に戻ったジェインをヒョンスが待ち構えていた。
「最初から、これが狙いだったのか?
お前の母親がさせたのか?
お前の母親の人生がメチャクチャになったから、
俺の人生もメチャクチャにしてやろうと?」
ヒョンスはジェインを責める。
「母さんの人生はメチャクチャになんかなってない!」
ジェインは言い放つ。
「じゃあ、なんでだ?
1人では難しいから、あんな野郎を引き入れて...?
何といって誘ったんだ?」
ヒョンスはジェインを責める。
「新聞社に売りつけようが、
放送局で暴れようが、好きにしろ!
ガキを連れて出て行け!」
ヒョンスは怒鳴りつけ、手帳をオーディオに投げつけ、
ガラスを割ってしまう。
「私は出て行かない。
私は父さんの娘よ。ここにいる資格がある」
ジェインも怒りを露にする。
「金か?金が目当てか?
家を与えると言っただろう!車も欲しいのか?
何でも与えてやる!さっさと出て行け!」
ヒョンスは怒鳴りつける。
「お金のために来たと?」
ジェインの怒りは頂点に達する。
「金のためだろ?
ガキを連れて一人で生きるのがしんどくて。違うか?
じゃあ、俺に父親を求めてきたというのか?」
ヒョンスの言葉に、ジェインは泣きながら訴える。
「そうよ!それを望んだのよ!
他の子はみんな、父さんがいるじゃない。
なぜ私は、父なし子と言われ生きなければ?
私は生まれたくて生まれてきたの?
今まで静かに暮らしてきたでしょ!
歌の夢も諦めて生きてきたわ!
私の何がそんなに間違っていたの?
ここにある私の目、この鼻、
全部父さんが作ったんじゃない!
私は、ここにいるじゃない!
なぜ、私がいなければと?
なんで?どうして!
私は、こうしてここに存在するのに!」
ジェインは思いの丈を全てヒョンスにぶつける。
「お前を望んだことは、一度もない」
ヒョンスは静かに突き放す。
傷つき、泣き崩れるジェイン。
翌朝、ヒョンスが目覚めると、
二人の荷物がまとめられていた。
呆然とするヒョンス。
ジェインはギドンを連れて出て行く。
「今までお世話になりました」と。
「もう来ないわ、いないところで暮らす、お元気で」
ジェインはギドンの準備を整えてやると出て行く。
黙って寂しそうに手を振るギドン。
愕然とするヒョンス。

(ギドンがあまりにも可愛くて、胸が痛いわ...)
あれからジェインからは、まったく連絡がない。
ジェインの携帯電話は、
あの晩、怒りに任せてヒョンスが壊してしまった。
ヒョンスは、チャンフンに愚痴る。
そんなヒョンスにチャンフンは説教する。
「お前はもう人気はないんだ!何にこだわる!」
犬達を見ながら、
「こいつらでさえ、自分の子がいなくなれば叫ぶぞ!」と。

一人部屋に戻るヒョンス。
ガランとひっそりとした部屋に、寂しさを感じる。

ジェインは、ギドンを連れ食堂で働いていた。
夜は食堂の中に布団を敷いて、寝泊りし.....

ジェインがいなくなり、ヒョンスは覇気がなくなっていた。

ジェインを怒鳴りつけたあの日、ガラスを割ってしまったオーディオを修理に出すヒョンス。
そして、録音機の中にテープが入っていることに気づく。
テープを再生するヒョンス。
そこには、ジェインと楽しく語らいでいた会話が録音されていた。
自分の持ち歌の「贈り物」を王座決定戦で歌え!
これは隠れた名曲だ!
と、ジェインに押し付けるヒョンス。
「贈り物」を弾き語りで歌って聞かせるヒョンス。
だが、なんだかうまくいかない。
イラつくヒョンスは、
「本当はこんなんじゃない!
バックにコーラス隊を50人も準備し、
オブリガードもついて、最高だ。全く違う感じになる」
と、必死にジェインに訴えるヒョンス。
「だったら、父さんが出場して歌えばいいじゃない。
DJもして、歌って、一人でやったら?」
ジェインは、あっさり言い返す。

二人の親子らしい楽しい会話を聞きながら、
ジェインらが恋しくなるヒョンス。
ひたすら自分のしたことを後悔する。
ジェインが食堂で昼食をとっていると、
ラジオから、ヒョンスの番組が流れだした。
ジェインはラジオを止めようと立ち上がるが、
「ファン・ジョンナムさんからの便りです」
という言葉を聞いて、呆然とする。
そんな便りを送った覚えはないからだ。

「父と酷い言い争いをした後、家を出ました。
父が酷いことを言いましたが、
それは、本心ではなかったろうと思います。
父も怒って、興奮して、
思わず、心にもない言葉を吐いたのでしょう。
そして、後悔しているでしょう。
そんな父を想うと、もう一度戻りたいですが、
どう和解したらいいのかわかりません。
ナム・ヒョンナムさん、教えてください」

それは、ヒョンスが自らの心をジョンナムの名を借りて
語ったものだった。
「ジョンナムさん、この番組を聞いていたら、
お父さんに電話してあげてください」
ヒョンスは語りかける。

それを聞いたジョンナムの心は揺れる。

その晩、ギドンはジェインに尋ねる。
「おじいちゃんのところに行かないの?」
ジェインはギドンに尋ねる。
「おじいちゃんに会いたい?」
ギドンはポツリと告げる。
「いい人だよ.....」
ジェインは大人びたギドンの言葉に愉快になり、
ギドンを抱きしめる。

ジェインはジェインとして直接ではなく、
ファン・ジョンナムとして、番組に電話をかける。
「相変わらず文章がうまいですね」
ジェインはイヤミを言う。
「隠れていても、問題が解決するわけではありません」
ヒョンスは必死に訴える。
「私の存在自体が問題だったようです」
ジェインは答える。
ヒョンスは、頑ななジェインに腹を立てる。
「誰がそうと?お父さんが言ったの?
ジョンナムさん、お便りに書いてあったようなことを言われたとしても、たぶん、感情が高ぶっての失言では?」
ヒョンスは必死に説得する。
「失言じゃありませんけど」
「失言だってば」
二人は互いに譲らない。
ヒョンスも感情が高ぶり、
思わず、第三者の立場だということを忘れてしまう。
「父をご存知なので?」
ジェインは意地悪く尋ねる。
ヒョンスは言葉に詰まる。
「し、、知らないけど」
そんなヒョンスの様子を、
スタッフらは不思議そうに眺めている。
「一生、私という存在も知らず、
自分の人生を楽しんでいた人を、突然訪ね、
すぐに受け入れてもらえると考えた
私が間違っていました」
ジェインは語る。
「自分が間違ったのだと考え、そのまま離れればいいと?それは何の解決にもならない。
一言もいいわけでなきないお父さんの話も聞くべきでは?」
ヒョンスはジェインの言葉を否定する。
「じゃあ、話してみてください」
ジェインの意地悪な言葉に、ヒョンスは何も言えない。
「私が父の娘になるには、父はたくさんのものを失います。今まで紹介してくれてありがとうございました」
ジェインは、そう言って電話を切る。
ヒョンスは電話が切られた後も、
ラジオを通してジェインに訴えかける。
「ジョンナムさん、まだ番組を聞いているなら、
一言だけ申し上げます。
父の気持ちを理解し離れ、
だとしても、夢まで諦めないでください。
したいことがあるんでしょ?
それを必ず叶えて!
誰かのためじゃなく、
父親、息子... 全てから離れて、
自分自身のために必ず叶えて!
シングルマザーでも、したいことは沢山あるじゃないか」
ヒョンスの言葉に、ジェインの心は揺れる。

そして、年末の王座決定戦の公開録画。
ジェインは姿を現さない。
ヒョンスは、ジェインの出場を取り消すよう
PDに指示する。




しかし、その瞬間。
目の前にジェインとギドンが現れた。
ヒョンスはPDに呼びかける。
「取り消しは取り消しだ!」

そして収録のリハーサルが始まる。
ジェインはヒョンスの持ち歌「贈り物」を歌う。
そして、ふと気づくと、
後ろには大勢のバックコーラスが。
驚くジェイン。
ヒョンスを見やると、ヒョンスは笑ってうなづく。
まるで、娘への贈り物のように。
ジェインも笑顔になり、思いっきり熱唱する。
あらためてジェインの歌唱力に圧倒されるヒョンス。
本番前となり、ジェインはメイクのためにギドンを残してメイク室に入る。
一人きりになったギドンに、ポン記者が近づく。
メイクが終わり戻ると、ギドンが姿を消していた。
必死に探し回るが、いっこうにみつからない。
ジェインは涙でメイクがグチャグチャになるのも構わず、
必死にギドンを探した。
しかしギドンの姿は、どこにも見当たらない。
追い詰められたジェインは、半狂乱になり会場に乱入してくる。
しかも、ステージに上り、ヒョンスにすがりつく。
「ギドンが.... ギドンがいないの....」
もう本番直前だ。
ヒョンスは困って「ステージから降りろ」と、ジェインを突き放す。
「あの子を下ろせ」
局長の命令で、ジェインは会場から連れ出されようとするが、「パパ!父さん!ギドンが!パパー!」
と、泣き叫ぶ。
それを見ていたポン記者は、ニヤリとする。

ヒョンスは気が動転しながらも、番組を進行する。
しかし、無理矢理引きずられていくジェインが気になって仕方がない。
そして、足元にはギドンが大事にしていたおもちゃが。
ヒョンスは我に返る。
そして、思わずとんでもない行動に。
「子供を捜しています。
ファン・ギドン。6歳。
髪は天然パーマ、背はこのくらい。
花札が上手で、ピアノは神童です。
夜になると夢遊病になります。
リスナーのみなさん、もし、みかけたら.....」
ヒョンスは訴えるが、ジェインの叫び声を聞き、
いてもたってもいられなくなる。
「やい!この野郎!その手を離せ!」
ヒョンスは番組そっちのけで、
ジェインの元へと走っていく。
ジェインを引きずり出そうとしたスタッフを殴ろうとするが、
落ち着きを取り戻し、とにかくジェインを抱きかかえながら会場の外に出る。
警察にギドンの捜索願を出すヒョンスたち。
ジェインはもう、気が狂いそうだ。
「ここで待っていてもみつかりませんよ、
家に戻ってください」
警官にそう言われても、動こうとしない。
そこへ、知らせを受けたジョモが駆けつける。
「最近の迷子捜索システムは優れてますから、大丈夫。
みんなで探しましょう。
それに、ギドンは賢い子ですから、何があっても必ず戻ってきます」
ジョモはジェインを励ます。
そこへ、サンユンまでもが姿を現す。
「いつのまに子供まで作ったんだ!」
話をややこしくするサンユンの登場に、ジェインはげんなりする。
「そして、あんた!」
サンユンはヒョンスの胸倉を掴む。
「あんたがジェインを泣かせることがあったら...」
サンユンは声を震わせながら脅す。
その時だった。
「あんたの子よ!」
たまらなくなったジェインは叫ぶ。
「あんたがギドンのパパなの!」
ジェインの思いもよらぬ発言に、
ヒョンスもサンユンも、驚きを隠せない。
「死んだんじゃ?」
ヒョンスは尋ねる。
「今、殺されるかもしれない」
ジェインは泣きながら訴える。
「では、あなたは........」
サンユンは、突然態度が丁寧になる。
「俺がジェインの父親だ!」
と、サンユンを殴りつける。
愛するジョモがそばにいることも忘れて。
驚くジョモ。
しかし頭に血が上ったヒョンスは、
そんなことは忘れていた。
「責任取るべきだったのでは?」
と、サンユンをボコボコに殴りつける。
そして、その瞬間を待ち構えていた男がいた。
ポン記者だ。
ポン記者はその様子をカメラに収めた。
ヒョンスがサンユンをボコボコにしている最中、
警官が制止する。
「後で殴ってください」と。
「あなたは、ファン・ギドン君のお父さんのおじいちゃんの次男の叔父さんですね」
警官はヒョンスに尋ねる。
「あなたはファン・ジョンナムさんでもあり、
ギドン君の上の叔父さんの娘さん?」
ヒョンスとジェインは、何が起こったのか理解できず、
互いに顔を見合わせる。
「私は警官になって、そう長いわけでもないが、
こんなのは初めてだ。
そのファン・ギドン君が泣きながら110番してきたんですよ。明け方になっても、二人とも家に戻らないと」と、警官は苦笑する。

慌ててマンションに戻るジェインとヒョンス。
マンションのロビーに、ギドンが半泣きで座っていた。
ギドンは、近寄ってきたポン記者から逃げたのだと。
「午後の青天の霹靂」
と、ヒョンスの番組名をもじった見出して、
ヒョンスのスキャンダルが暴かれる。
ヒョンスは、釈明会見を行うことになる。
覚悟を決めて会見に臨むヒョンス。
「えぇ..... と、若い頃に好きな女性がいました。
初めて感じる愛という感情に自分を抑えられず、
愛して.....」
ぎこちなく釈明するヒョンス。
それを遠めに愉快そうに眺め、会場を出て行くポン記者。
そこで、事件が起こる。
以前ポン記者のスクープにより破滅した人気俳優キム・ジュニョンがポン記者を待ち構えていたのだ。
ポン記者をボコボコに殴りつける暴力事件が発生。
ヒョンスの釈明会見に集まったメディアは、
一目散にそちらの事件へと向かってしまった。
取り残されるヒョンス。
「義務と責任まで理解することができず....」
最後の記者までもがキム・ジュニョンの事件の方に向かってしまい、結局、ヒョンスの釈明会見はうやむやとなってしまった。
その上、ニュースでも、報道されるのはキム・ジュニョンの事件のみ。
虚しく、複雑な心境のヒョンス。
そこへチャンフンから電話が。
「ホラ見ろ!俺はお前はもう人気ないって言ったよな?」
と、チャンフンは嬉しそうに大笑いする。
不愉快なヒョンス。
ジョモからの電話で、食事をすることになったヒョンス。
気まずいヒョンス。
しどろもどろに言い訳する。
「隠そうとする意図はありました。
弁解の言葉もありません。すみませんでした」
ヒョンスは頭を下げる。
「おじいさん」
ジョモはヒョンスを呼ぶ。
不愉快になるヒョンス。
「私達は恋人でもないし、
そんな風に謝る必要もないわ」
ジョモは告げる。
「そ、そうだね」
ヒョンスは納得するが、身も蓋もない。
「もし、私達がつき合えば、
私がおばあちゃんになるのよね?」
ジョモは微笑む。
ヒョンスも、思いがけない言葉に、満面の笑みになる。
「でも、芸能人なのに、
そんなに人気がなくてどうするの?」
と、手厳しいジョモ。
(ジョモのキャラ、最高!)
ヒョンスは返す言葉もない。
「コンセプトとして、”おじさん”をウリにするのはどう?」
ジョモは提案する。
ジョモの歯にものを着せぬ発言に、
ヒョンスは機嫌を損ねる。




しかしジョモの提案を受け入れ、局長も大乗り気だ。
「近頃のお前のイメージは、”責任感”!そんな感じだ」
と、ヒョンスを大喜びで後押しする。

そんなおかげで、ヒョンスは見事に
ウリ生命の専属モデルとして起用されることに。

「父さんが最後まで責任を追います」
そのコンセプトで、人気回復するヒョンス。

ヒョンスは、そのCMを一日中ジェインとギドンに見せ、
上機嫌だ。
「可笑しいんだけど」
と、ジェインはバカにするが、
「いいと思うよ」
と、ギドンはヒョンスを庇う。
「ほら見ろ!いいってさー」
ヒョンスは大喜び。
「父さんに合わせてるだけよ」
ジェインは相手にしない。
ヒョンス、ジェイン、ギドンは、平穏で楽しい一つの家族となり、幸せな日々を送る。
そしてクリスマス。
幼稚園の家族ごとの催し物。
ギドン一家は、「家族バンド」を結成する。
ジェインのボーカル&ギター。
そして、ベースのヒョンス。
ピアノの神童ギドンがキーボード。
そして、特別参加のチャンフンがドラムとして参加。

ジェインもギドンも、ファン姓からナム姓になり、正真正銘本物の家族となった。

しかし、自分の名前が紹介されないチャンフンは不満で、演奏を始めない。
仕方なくヒョンスが司会の先生に耳打ちする。
「ドラムは大学歌謡祭出身の客員ドラマー
独身のイ・チャンフン!」
一気に気分のよくなったチャンフンは、
騒音のようにドラムを叩きまくりヒンシュクを買う。

ナム一家の演奏は皆を楽しませる。
そこへ、サンユンも応援に駆けつける。
ジェインとギドンは喜ぶが、ヒョンスは不機嫌だ。
サンユンはペコペコとヒョンスに何度も頭を下げ、
三人を応援する応援ボードを掲げる。
ちょっと機嫌のよくなるヒョンス。

楽しいステージは幕を下ろす。
一つになった家族の心。

END

エンドロールまでストーリーは続きますので、
お見逃しなく!







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