天国からの手紙  A Man Who Went to Mars 
 原題:火星に行った男 화성으로 간 사나이(ファソンウロ カン サナイ) <2003>

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亡くなったパパが火 星に行ったと信じる幼い少女ソヒ。パパを恋しがって送った火星行の手紙は、周囲の人々を切なくするが、まもなく神秘なことが起こる。地球から1億kmも離 れた火星から、パパの返事が来たのである。手紙は、ソヒに懐かしいパパの安否と共に、美しい初恋をプレゼントして。

隣家の少女ソヒのために、夜中書いた手紙を真っ赤なポストへ入れたスンジェは、故郷の村の郵便配達人になった。ソヒがいなくなった今でも、彼女のおば あさんに、以前ソヒにしたように、来ない返事の代わりをしてあげている。

火星にしばらく旅行に出かけたパパが手紙を送ってくれていると信じたソヒ。彼女はいつの間にか冷たい都会で、成功のために明け方から夜遅くまで休まない 女になった。ある時、富と成功を得た一人の男性と出会い、新しい愛を始めるが、彼女に試練は相変らず訪れる。

全てを失い一人になったソヒは、唯一残った大切な愛スンジェを訪ねる。しかし、いつもそうだったように、スンジェは今回も彼女より先に出発し ていた。ソヒの最後の大切なものとなるために... ソヒの大切なものがそっくり集まっている星、火星へと。

【ミュージック・ビデオ】

脚本 チャン・ジン 作 品一覧
監督 キム・ジョングォン <2000>リ メンバー・ミー、<2002>天国からの手紙、 <2006>バカ(公 開 2008)、
<2008>その男の本198ページ

出演

シン・ハギュ ン(申河均)

出演作品一覧

キム・ヒソン(金喜善)

<1997>敗者復活戦、<1999>ホワイトクリスマス~恋しくて、逢いたくて~、<1999>愛のゴースト
<2000>アウトライブ~飛天舞~、<2001>ワニ&ジュナ~揺れ る想い~、<2003>天国からの手紙
キム・ミンジュン(金民俊) 出演作品一覧

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【レビュー&ネタバレ】
リ メンバー・ミーのコンビ。
チャン・ジンの脚本に、監督はキム・ジョングォン。
今度は、自然豊かな田舎のとある村を舞台に描かれるラブファンタジー。
リ メンバー・ミーが過去との交信ならば、
この天国からの手紙は、天国との交信と言うべき か。
チラリ、チラリ、と描かれるだけで、あまりファンタジー色は強くありません。
ダムの下に沈もうとしている山奥の村で育った男と、
村を出て、都会で洗練された女性に成長した女のラブストーリー。
もっと正確に言うと.....

山奥の村の純朴な青年の、長年温め続けた初 恋の女性への献身的で一途な愛

ヒロインは’相手’として存在するだけで、飾りです。
二人の美しい愛を描いたのではなく、
あくまでも、男の初恋の女性に対する愛を描いているのです。

そこを履き違えてしまうと、最初のボタンを掛け間違えたように、
ちょっとズレたラストへたどりついてしまうかも。
男の目線だけでストーリーを追わないといけません。

そこを間違えてしまうと、泣ける純愛として終われないかもしれません。
泣けるか、泣けないか、重要なポイントの1つです。

この映画は、あまりにも賛否両論に分かれる映画でして....
正直、この映画の主人公くらいに純粋で純朴でないと、この映画は泣けないでしょう。
mocaのようにスレてしまった大人の心には、少しも響きません。
誰でも泣ける映画ではないです。
ご自分の純粋さをよく考慮してから、観てください。

この映画は、キム・ジョングォン監督の次回作、バカに似すぎて おります。
あまりにも純粋な男が、村を出て行った幼い頃の初恋の相手を待ち続ける。
ヒロインはその恋の’相手’というだけで、’飾り’であることまでそっくりです。
本当に、演技派のハ・ジウォンを起用した意味が全くなし。
ですが、キム・ヒソンは....
自他共に認める演技力不足ですから、この映画には合っていたのかも。
美しいだけの飾り。
あまりにも美しすぎて、演技云々はどうでもいいくらい(笑)
ある意味、ヒロインではなく....
主人公を引き立てさせる悪役と言ってもいいのではないかと.....
ワニとジュナを終え、もっと演技者とし て成長します.... と、
2年ぶりの映画復帰となったわけですが、成長は見られておりません.........

バカは、初恋の相手への一途な愛はエピソードの1 つで、
純粋な男の生き様を描いた映画ですが、
この映画は、一人の女への愛だけを描いております。

この映画の擬似映画は.....
ユア・マイ・サンシャインと、ウェディング・キャンペーンといったところ。
主人公は、田舎で育った純粋すぎるほどの純朴男。
その男が、愛した女性に、想像を絶するような一途な愛を捧げる物語。
ご存知、ユア・マイ・サンシャインは大ヒット映画です。
ファン・ジョンミンの演技力の素晴らしさを実感。
ウェディング・キャンペーンは、’コケっ’ く らいでしょうか。
しかし、この天国の手紙は、’大コケ’です。
そこも、一応ご考慮ください。

原題の’화성으로 간 사나이 ’ですが、’남자’ではなく、’사나이(サナイ)’が使われております。
’사나이(サナイ)’も’男’の意味ですが、
男の中でも、とりわけ男らしい男、逞しく、他人がしにくい事でも 気経に乗り出す勇ましい男であり、
義侠心を発揮する男ということだそうです。

ですが、この主人公。
’사나이(サナイ)’なのは子役時代だけで、シン・ハギュンの見せ場が全くありません。
一応、’優しさ’は感じますが、’사나이(サナイ)’じゃないでしょー
子供の頃のスンジェは’사나이(サナイ)’かもしれません。
大人になってからのスンジェは、どうしても愚鈍に見えてしまう。
好感を持てるエピソードもない上に、いつもニヘラ~と笑っているだけ。
その笑顔が愚鈍に見える上に、偽善的というか、あまりにも作られた無理矢理な笑顔で.....
子役のスンジェの笑顔の爽やかさのカケラも感じられず......

友達が村がダムに沈むことに関して真剣に話しているのに、
「子犬は可愛いか?」「母犬は元気か?犬は出産すると体力が落ちるからぁ」
と、勝手に別の話をして、勝手に去ってしまう。
ほんと、ちょっと頭足りないんじゃない?!
ちょっとイライラ。
なのに、ソヒにキスするシーンでは、スッカリ男!なわけ........
なんか、違和感ありすぎよね。
キスする前の躊躇する演技も、なんか不自然。

演技派のシン・ハギュンも、得て不得手があるということですね。
純朴な田舎の青年にはなりきれなかったようです。
改めてファン・ジョンミンの演技力の素晴らしさを痛感。
シン・ハギュンはちょっと狂気的な役.... そんなところでは素晴らしいのですけれど......

シン・ハギュンの演技が受け入れられるか、否か.....
それも、この映画に入り込めるか、否か、の重要なポイントです。

子役時代は本当によかった。
心温まる優しい映画。
子役時代は素晴らしいですけれど、あまりにも時間をかけ過ぎてしまったのが敗因の一つでしょう。
メインであるべき大人時代が、あまりにも薄っぺらい。
そして、どうしても子供時代と大人時代は、別物に思えてしまう。
大人になってからのスンジェとソヒから、子供時代のスンジェとソヒの影を感じられないのだ。

この監督の持ち味で、優しく、温かい雰囲気。
そして、ファンタジーのように美しい映像。
それだけは楽しめますが、ストーリー的には稚拙で完成度も低く、
内容的には賛否両論でしょう。
ある意味、非常に独特。


【登場人物】

【イ・スンジェ】
村の郵便配達員
シン・ハギュン
【ユン・ソヒ】
世宗証券新人
キム・ヒソン
【ハン・ソンホ】
世宗証券理事
キム・ミンジュン
【ソンミ】
村の薬局
パク・ソヒョン
【キム・ドンホ】
郵便局長
チョン・ギュス
【イ・ホゴル】
スンジェの弟
キム・イングォン
【スンジェの父】
イ・ジェヨン
【ソヒの祖母】
ソン・ヨンスン
【床屋パク氏】
イム・スンデ
【ギョンス】
パク・ソンウン
【トゥクサム】
イ・ウォンジョン

出演分量は思ったほどではありませんでしたが、
短い時間ながら、キム・ミンジュンのオーラを見せ付けました。
まさに貴公子、王子様....
これでオチなきゃ、女じゃない!

チョン・ギュスは情の溢れる田舎の郵便局長という役どころがピタリとハマっておりましたね。
この映画に温かな温度を与えた影の功労者。
ただ、老人役は痛々しくて胸が痛みます.....

ピアノの毒蛇!イ・ジェヨン
これまた寝たきり老人役......

今更気づいたのが.... パク・ソンウン!
この顔..... エデンの東のイ・ダヘが略奪す る姉の婚約者!
けど、この人って..... Mr.ソクラテスのスキンヘッドのヤ クザだぞ!(驚)
同一人物だとは.... mocaは今の今まで気づきませんでした..... 新発見!



キム・ヒソンの子役ハ・スンニ(ハ・スンリ)ちゃんが超可愛い!
ガラスの靴のキム・ヒョンジュの子役。
抱きしめたくなるほどの可愛らしさ!
でも、もうこの可愛さには逢えないのねぇ......
10回目の雨が降る日では、3年後の スンニちゃんが見られます。
この可愛らしさは消えちゃいました.... 残念。


【ネタバレ】

賛否両論、泣けるか、泣けないか....
そのポイントの1つは、おばあちゃんや、スンジェの最期ではないでしょうか。
もちろんソヒの身勝手さも、映画を台無しにする1つでしょう。
ですが、映画で凝縮して見せられると嫌悪感でいっぱいになりますが、
これは人間の真の姿ではないでしょうか。
疲れたり傷ついたりすると癒し(田舎)を求め、
癒されると華やかな世界(都会)を求めてしまう。
相手が’田舎’や’都会’という場所であればよいですが、
相手が人間だとすれば、それは’してはいけない’こと。
その時の気分で好きな人が変わってしまう....
これは致し方ないことかもしれませんが、してはいけないこと。

但し、この映画はまた違うのよねぇ......
スンジェとソヒは愛し合ったわけでなく、ほんの数日間の間の中の一瞬の心の交流だった。
スンジェが10数年ソヒを想い続けていたのに対し、ソヒにとっては一瞬のことでしかなかったわけで....
都会に戻れば、思い出になってしまうことも、現実としてはあるでしょう.....
人の想いは思い通りにならないもの。
スンジェだって、ソンミのことを酷いやり方で傷つけます。
スンジェに同情の余地はありません。
ただ、ソヒがスンジェに金を出すのは、ちょっとどうかと思いますが。

スンジェに同情できるような構成にして欲しかったところです。

何よりも、納得のいくラストを望みます。
このラストはちょっとねぇ...

明確にはされておりませんが、ソヒの祖母の死は... 自殺でしょう?
息子のところに行く... って、そんな正確に死期がわかるわけないでしょうから。
スンジェの死もです。
これまたあやふやですが、自ら選んだのでしょう。
この二人の死。
独創的といえば独創的で、究極の’愛’であり、’想い’であり、
愚直なほどの不器用さを表しているのかもしれませんが、
やはり自然に受け止められませんよね。
これを素直に’愛’だと感じれなければ、この映画は不満だらけで終わるでしょう。
ソヒの祖母も、スンジェも、この村を離れては生きていけない人間。
だからといって、死を選ぶというのはなんとも.....

ソヒは冷たい孫で、それに比べスンジェは、赤の他人でありながら温かい。
ソヒが書かない祖母への手紙に代わって、
自らソヒに成り代わり、ソヒの祖母に代筆してやる優しさ。
かつてソヒに火星の父からの手紙を代筆したように....
そんなスンジェの優しさに感謝しているとはいえ、
ソヒに失恋したスンジェに、ソヒを逢わせてやりたいと、
自分が死ねばソヒが葬儀のために村に戻ってくるから....
そんな理由があっても、死を選ぶのはあまりにも安直でしょう.....

スンジェも、ソヒにとってスンジェは、故郷の川で釣りをするスンジェであり....
いつでもここで待ってるよ、逢いたい時に帰ってくればいい....
そう約束し、ソヒの故郷になってやりたいとしても....
ダムの下に沈む村と一緒に、そこで眠ろうとするなんて.....
これまたちょっと極端すぎるではないでしょうか.....

この映画に、’自ら選ぶ死’はそぐわない。
それが究極の’愛’だとしても。






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