彼らだけの世界 Kill the Love |
原題:彼らだけの世界 그들만의 세상(クドゥルマネ セサン)<1996> |
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監督 | イム・ジョンジェ(林鐘宰) | <1996>彼 らだけの世界 |
出演 |
イ・ビョンホ ン(李炳憲) |
出演作品一覧 |
チョン・ソン ギョン(鄭仙景) |
【レビュー&ネタバレ】 |
イ・ビョホンの初期作品はつまら
ないものばかりだけれど、 その中でもこの作品は、きわめつけ。 ’二人だけの愛の世界に陥る’ それは、ただセックスに溺れる・・・ともいえる。 互いに埋められない寂しさを抱きながら生きている男女。 そこにあるのは’愛’ではなく、’情’や’依存’にしか思えない。 ’寂しい’から・・・ ラストは、ちょっと衝撃を受けます。 それは最後にネタバレします。 ストーリーは、韓国の有名な古典文学のラブストーリー 春香伝(チュニャンデョンがモチーフになっ ているそうです。 ヒロインの名も、<チュニャン(春香)>です。 <春香伝>は、芸妓(娼婦のようなもの)を母に持った春香が、 貴族で役人の子息の夢龍に見初められ、 二人は契りを交わすものの、夢龍は父について都に戻らればならなくなり、 ’必ず迎えに来る’という夢龍の言葉を信じて待ち、 その間、春香を見初めた好色役人に ’私には夢龍と契りを交わした夫婦だから’と、拒み、死刑を言い渡され・・・ 夢龍は死刑の前日、ようやく春香の下へ戻ってくるが・・・ この映画では、<春香伝>と関わりがあるのは、 ラブ(イ・ビョンホン)が政治家の息子であり、チュニャンが娼婦の娘。 そして、変態のペクチュンに誘惑されるけれど、 自分には’ラブだけだ’と拒む。 ラブは父親に連れ戻されるが、チュニャンを愛しており戻ってくる。 そして、最後に二人がたどり着く場所が、 <春香伝>の発祥の地、全羅北道の’南原(ナムウォン)’だということ。 くらいでしょうか。 <春香伝>の春香ほどの、命をかけた一途な想いには届かず。 地上満歌でも腑に落ちなかったけれど、 なぜ、チョン・ソンギョンがヒロインなのでしょう・・・・ 韓国人の美的感覚が本当に理解できない・・・ それに、この’チュニャン’という役には似合わなさすぎ。 ユ・オソンがイ・ビョンホンの友人の殺し屋ペクチュンで出演。 若くてかっこいいわ(笑) この当時、28歳くらい?ユ・オソンって遅咲きなのね。 チュニャンの母は、<冬のソナタ>のペ・ヨンジュンの母、ソン・オクスク。 ストーリーはわりあい簡潔。 なぜかといえば、ヤってる場面ばかりだから・・・・・・・・ ラブはアメリカで犯罪組織に属し、人を殺して韓国に戻ってくる。 ボスに’休暇だ’と言われ、鞄を預かって。 ナイトクラブでショーガールをするチュニャンは、店にやってきたラブに目をつけ、 二人はセックスをする。 その後、チュニャンはナイトクラブから逃亡し、ラブのホテルへと転がり込む。 チュニャンがラブに聞かせる話が、ちょっと<春香伝>を彷彿させるといえば、させる。 かなり脚色してはいるけれど。 チュニャンは一方的にラブに熱を上げるけれど、 ラブは’鞄を渡したらアメリカに帰る’と、常に冷たく言い放つ。 ラブはチュニャンにねだられ、自分と同じように’LOVE’とタトゥを入れてやり、 チュニャンの髪を切ってやったりと、冷たく仕切れない。 チュニャンは、ラブをアメリカに帰したくなくて、 ボスからの電話を勝手に切ったり、鞄を入れたコインロッカーの鍵を隠したりする。 そんな時、アメリカからペクチュンが鞄を受け取りに韓国にやってくる。 ペクチュンはチュニャンに、 ’鞄の中にはドルが詰まってる。一緒に逃げよう’と誘うが、チュニャンは拒む。 ペクチュンはクラブでナンパした女に変態行為をしたために、 女の仲間からリンチを食らう。 その連中を目撃したラブは、巻き添えを食らい、ナイフで刺される。 死んだペクチュンを見て慌てた二人は、急いでホテルを引き払う。 チュニャンがロッカーの鍵を持っていることを知ったラブは怒鳴りつける。 ’鐘を奪ってペクチュンを殺したと疑われる!俺が殺される!’と。 チュニャンを見捨てて去ろうとするラブに、 ’あんたの方がバカよ。ペクチュンはあんたを裏切ろうとしたのに。 金を持って私に一緒に逃げようって’ それを聞いたラブは衝撃を受ける。 チュニャンの母の知り合いのモグリの医者に傷口を縫ってもらい、 二人は高級ホテルへ宿泊する。 ラブのゴールドカードを使って、ブランド服を買って楽しむ二人。 しかし、そのカードからラブが帰国していることが父に知れてしまう。 ラブは父の元へと連れて行かれるが、 「彼女を愛しているんだ」と、チュニャンの元へと戻る。 ラブはチュニャンとロッカーに鞄を取りにいく。 ↓結末↓ しかし、ペクチュンは死んではいなかった。 二人が鞄を持って乗り込んだタクシーに無理矢理同乗してくるペクチュン。 ラブは走行しているタクシーから逃げ、追ってくるペクチュンから必死で逃げるが、 もみあううちにペクチュンをナイフで刺してしまう。 二人は近くの展示場に逃げ込む。 そこで、鞄が偶然開き、中身を見た二人は驚愕する。 ’kill the love' ラブを殺せというカードと、拳銃が入っていたのだ。 アメリカで大物を殺したラブは、消される運命にあったのだ。 これはちょっと衝撃だった わ。 英題の' kill the love ' がそういう意味だったとは・・・ イ・ビョンホンの役名が’ラ ブ’だなんて、ダサすぎると 思っていたら、 そういうカラクリだったの ね・・・ 展示場にも警官がやってきて、二人は車を奪って逃走する。 どこまでもパトカーは追ってくる。 チュニャンは言う。 ’もう一人はイヤ。愛を待つのも’と。 チュニャンは、自分を撃つように銃を差し出す。 ラブは泣きながらチュニャンを撃ち、自分も拳銃で自殺する。 操縦者のいなくなった車は、フラフラと走り続ける。 無人の車が辿りついた場所は、’南原’ 雨やどりするチュニャンに、ラブは傘を差し出す。 ’ありがとう’とチュニャン。 ’いいや、これが仕事だから’と、ラブ。 END 二人がロッカーから鞄を出したのは金浦空港で、車が辿りついたのは南原。 地理的には、かなり有り得なそうなラスト。 ここからは現実ではなく、二人の空想・・・の世界でしょう。 あの世での二人ということかしらね。 二人の魂が南原へと向かい、 <春香伝>の舞台、広寒楼。雨の中雨宿りするチュニャン。 ラブが’これが仕事だから’と言ったのは、 高級服に身を包み、高級ホテルのベッドで開放感に浮かれる二人が、 ’これからどうやって暮らす?退屈な仕事はイヤ、特別な仕事をしよう’と 二人であれやこれやと空想した仕事のうちの一つ。 二人はあの世で、願いを叶えたということね。 |
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