2008年春
に<光州5・18>という邦題で日本公開が決定している<華麗なる休
暇>
(日本公開より一足先に’ゆうばり映画祭’での上映も決定)
2007年7月に韓国公開し、728万人という大大大ヒットを記録。
2007年公開作品の興行成績第二位。(一位はD-War)
この映画好きだー
泣いた、泣いた、泣いた。
現代人が忘れてしまったものがたくさん詰まったヒューマンドラマ。
親子愛、兄弟愛、家族愛、人間としての誇り、信念....
医師としての情熱、教師としての生徒への愛情....
大切なものを守るために命をかけて戦った光州市民たち。
愛する弟のために戦う兄。
彷彿されるのがブラザー・フッドですが、
あれほどの大作ではありませ
ん。
そして、この映画の兄は、ダサいほどに純朴です。
<英雄>には程遠いけれど、だからこそ、リアリティを感じるのかもしれません。
邦題からもわかる通り、1980年に起きた光州事件を描いた作品。
<光州5・18>とは、この光州事件を鎮圧する鎮圧軍の作戦名。
原題だと作品内容がイメージしにくく、不満者を生んでしまう可能性もあるけれど、
邦題はちょっとダイレクトすぎるわね。
<その時、その人々>は、原題のままだと勘違いして観てしまいガッカリする方がいるでしょうけれど、
この<光州5・18>はちょっと違って、全面的に光州事件を描いているものの、
愛する者のために戦う光州市民の姿を感動的に描いたヒューマン・ドラマなんでございます。
逆に、<光州事件>を描いた映画だと知って敬遠してしまったら勿体ないわ。
<光州5・18>というインパクトのある原題があるのに、残念ね。
mocaお気に入りの原題は、ことごとく変更されちゃうのよね。
<光州事件>ですが、韓流に興味を持つようになって初めて知った方もいるでしょう。
ペパーミント・キャンディーで
も、主人公の人
生を狂わせたきっかけとして
出てくるわ。
けれど、事件について詳しく知らない方がほとんどでは?
この<光州事件>を全面的に描いた映画は初めてなんだそうです。
mccaもそうですが、知らなかっただけにショックは大きいです。
国軍による国の乗っ取り。
罪のない人間が暴力を受け、殺され..... 怒って抵抗すれば<暴徒>という罪を着せられる。
それも作戦のうち。
市民全員犯罪者に仕立て、皆殺しにすれば万々歳なのだ。
光州市民を<暴徒>と報道し、市民軍は無傷だが、国軍には死者が出たという嘘の報道まで....
人間の隠された醜い本性。
日頃忘れてしまいがちだけれど、これが人間の本性なのだ。
弱い人間はいつでも苦しめられる立場だということを、思い出させてくれる。
<国民>の力が強くなったせいで大それたことができないだけで、
権力のある者はいつの時代も変わりないものだ。
それに対し、人間的であろうとする光州市民。
愛する者のために怒り、泣き、支えあい、戦う人々。
この映画は実話を元に作られている。
しかし、どこまでが実話なのか.......
とにかく、ショッキングな事件。
この<光州事件>が起きたのは1980年と、かなり近年であり、
事の発端となった全斗煥(チョン・ドゥファン)はまだ生きているということも衝撃だ。
事件が風化する前にこのような映画を制作したキム・ジフンは素晴らしい。
ちなみに、記憶の主人のパク・サンアは、この全斗煥の次
男と結婚。
演じる俳優たちがいい。
まさにハマリ役。
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【カン・ミヌ】
キム・サンギョン
(김상경)
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【パク・フンス】
アン・ソンギ
(안성기) |
【パク・シネ】
イ・ヨウォン
(이요원)
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【カン・ジヌ】
イ・ジュンギ
(이준기)
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【インボン】
パク・チョルミン
(박철민)
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【チャン・ヨンデ】
パク・ウォンサン
(박원상)
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【チョン先生】
ソン・ビョンホ
(손병호)
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【ウォンギ】
ペク・ポンギ
(백봉기)
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【キム神父】
ソン・ジェホ
(송재호)
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【ジャンスの母】
ナ・ムニ
(나문희)
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【チェ・スンギ大佐】
クォン・テウォン
(권태원)
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【ペ中佐】
イ・オル
(이얼)
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【キム大尉】
オム・ヒョソプ
(엄효섭)
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主演はキム・サンギョン。
この方、出演作は主演ばかりなのに、出演作が少なすぎね。
主演以外は断るのかしら?
mocaが観た中で、このミヌ役が一番のハマリ役。
ダサいほどに純朴で、弟を愛する純情な青年。
弟ジヌが撃たれた時の駆け寄る姿.... あのダサいほどの走り方が忘れられません.....
あれがかっこよく颯爽と走る姿だったら、心には響かなかったかもですね。
国民的俳優アン・ソンギ。まさに彼のための配役。
軍人の中の軍人。英雄。
まさに清廉潔白。
それ故に、軍人として失脚させられ
今ではキム・サンギョンが勤めるタクシー会社の社長。
アン・ソンギの娘であり、キム・サンギョンが想いを寄せる看護婦にイ・ヨウォン。
一児の母にしてヒロインを演じることができる貴重な存在。
身も心も美しい天使のような看護婦役が、これまたハマリ役。
キム・サンギョンの弟には、イ・ジュンギ。
「今日、弟が殺された。俺の目の前で」
という日本版のコピーにある通り、すぐに死んでしまいます。
イ・ジュンギ目当ての方はご注意を。
すぐに姿を消してしまう役ですが、さすがイ・ジュンギ。
いつまでも印象深く記憶に残ります。
あのカリスマはなかなか出せませんね。
ジヌ役にピッタリ。
mocaの好きなパク・チョルミンも期待を裏切らないわ。
九狐尾家族やノートに
眠った願いごとのわずかな出演でも光ってましたが、
ようやくメインキャストに近いキャスティング。
mocaの大好きな俳優、ドラマ<愛の群像>や、君は僕の運命
のナ・
ムニ。
彼女を信じないでくださいの
ソン・ジェホも
見れて幸せ。
サマリアの父、ホリ
デーのイ・オルがチョイ役。
実力のある人なのに、勿体ないわ。
奇跡の夏の父役、お母さん
での長女の夫、パク・ウォンサンが、
ロン毛で大変なことに(笑)
コメディー系の実力派俳優に演じて欲しかった。
パク・ウォンサンとはお母さんでも共演しているソン・ビョ
ンホ。
美しき野獣でのヤクザとは打って変
わっての教師役。
mocaはソン・ビョンホ演じる高校教師と生徒のエピソードが一番好き。
最後の最後まで泣かされます。
生徒の一人であるウォンギもせつなくて...........
死んだ友のために戦うなんて.....
ミヌがその亡くなった友の兄だとも知らず、ミヌもウォンギが弟のために戦っているとも知らず.......
私利私欲のためにたくさんの命を奪ったチェ・スンギ大佐には、
カルのシム・
ウナ父、クォン・テ
ウォン。
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「愛してるわ、ミヌさん」 シネかと
思えば、弟ジヌだ。
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幼くして両親を亡くしたミヌは、タクシー運転手をしながら弟ジヌを育ててきた。
弟でありながら息子のような、愛する弟。
ジヌがソウル大学法学部に入学することがミヌの楽しみだ。
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恋人はいるのか?/お父さんが探して
くれるんでしょう?
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元軍人パク・フンスはミヌの勤めるタクシー会社の社長。
男手一人で娘シネを育てたが、シネは身も心も美しく、明るく育った。
ミヌが娘のシネに想いを寄せていることも知らず、ミヌもシネがフンスの娘だと知らない。
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行かせるか!犬死にするだけだ!/サ
ンピルが殺されたんです!
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平和な街が一転して戦場に。
軍が国の乗っ取りを計画。罪のない光州の市民は、軍人たちに殴り殺される。
ジヌを筆頭に、光州第一高校の生徒たちは殺されたサンピルの敵を取ろうと団結。
しかし、ジヌたちが反抗したところで、サンピル同様殺されることは目に見えている。
教師達はジヌたちを門の外へ出さぬよう阻止。
しかし、ジヌたちの熱意に打たれ、止めることができないと判断したチョン先生は
涙をこらえ、生徒たちの目の下に煙がしみないよう歯磨き粉を塗ってやる。
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軍は出ていけ!光州市民はデモを行
う。
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軍の横暴に、光州市民は立ち上がる。
市民たちによる大規模なデモにより、軍は撤退することを約束。
しかし、撤退を約束した時間。
軍は撤退するどころか、集まっていた光州市民に向けて銃を構える。
一瞬にして、道庁前は血の海に。
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助けてください....!!
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ジヌも撃たれた人を助けようとして、自ら撃たれてしまう。
目の前でジヌが撃たれるのを目撃したミヌは茫然自失。
フンスに怒鳴られ我に返ったミヌは、ジヌを背負って病院へ。
しかし、ジヌは手の施しようがなく、息を引き取る。
弟ジヌが全てであったミヌは、シネにジヌのことを頼むと、銃を片手に軍へ戦いを挑む。
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ごめんなさい...ごめんなさい!そ
んなつもり
じゃ.......
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病院へ運ばれた人々は次々と亡くなっていく。
「死んでから運んでも助けられない!」
と嘆く医師と共に戦場へ乗り込んだシネは、軍に銃を向けられミヌに助けられる。
しかし、軍人にナイフで刺されそうになったミヌを助けようと軍人に発砲、
シネはミヌを助けるためとはいえ、人を殺してしまった衝撃に耐えられなくなる。
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今から私が市民軍の指揮を執ってもい
いですか?
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罪のない市民たちが殺されていく。
元軍人であるフンスは、市民軍を結成し軍に立ち向かう。
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武器の使い方をレクチャー
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明日の朝も迎えに来てくれますよね?
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ミヌが娘を愛していることを知ったフンスは、ミヌとシネを戦いから抜けさせる。
「愛する者を残して逝くつもりか?」と。
ミヌは一旦シネと戦地である道庁を後にするものの、思い直して道庁へと引き返す。
戻れば死ぬことは免れないだろう。
シネを守るために朝晩送迎してくれていたミヌ。
「明日の朝も迎えにきてくれますよね?」
泣きながらミヌに叫ぶシネ。
それは、「死なないで!」というシネの心の叫びだ。
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亡くなった生徒たちを弔う。先生も戦
うぞ。
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戦いで多くの生徒を失ったチョン先生、家族のために一旦戦いから抜けたインボンや、
「神に会いに行く」と、神父までもが銃を片手に道庁へと集まってくる。
「お父さんを守ってくださいとシネさんに頼まれました」
と、ミヌはフンスに告げる。
銃を手に取り、死を覚悟する市民軍の人々。
↓
結
末ネタバレ。ご注意を↓
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何をするんですか?!/シネは君に任せた。
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市民軍が立てこもる道庁に、軍が押し
寄せる。
市民たちは次々と撃たれていく。
フンスは道庁の地下へとミヌを連れて逃げる。
ミヌを先に柵から出すと、施錠してしまうフンス。
「ここを真っ直ぐ行けば道庁から抜けられる。シネは君に任せた」
そう言って、フンスは戦いの中へと引き返していく。
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俺達は暴徒じゃない!!チク
ショー!!
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ミヌが道庁を出ると、そこには軍が待ち構えていた。
「銃を捨て投降すれば助けてやる」
とミヌに告げる軍。
しかし、「暴徒」と言われたミヌは逆上し軍に銃を向ける。
「俺達は暴徒じゃない!」
その叫びも空しく、軍の銃弾を浴び崩れ落ちていく。
END
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ミヌさん?!
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たくさんの光州市民の命が奪われた。
光州事件は、事件開始から5日後に、米軍の指示により武力鎮圧され幕を下ろす。
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見なさい!これがアナタ達が奪った私
の幸せだ。
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映画は、ミヌとシネの結婚式に集まった人々の笑顔で幕を閉じる。
これは、この事件が起きなければ、ミヌとシネは結婚し幸せに暮らしたであろうし、
亡くなった人々も、それぞれの幸せが待っていた。
この事件が、たくさんの幸せを奪ったのだ。
という、この映画が最も伝えたかったメッセージであろう。
唯一浮かない顔のシネの表情がそれを物語っているのと同時に、
皆は自分の信念を貫き亡くなっていったが、
自分は助かってしまったという自己恥辱間、自責の念。
大切な人が亡くなっていく中で、自分だけが助かってしまったという苦しみが、
この事件を体験した人々の中には多く残されたそうです。
そして、結婚式を挙げることもできずに亡くなったいった恋人たちも多く存在し、
残された恋人は、魂の結婚式を挙げたそうです。
残されたシネも、ミヌと魂の結婚式を挙げたのかもしれませんね。
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