悲しみよりもっと悲しい物語   A Sad Story Than Sadness  
 原題:悲しみよりもっと悲しい物語 슬픔보다 더 슬픈 이야기(スルプムボダ ト スルプン イヤギ) <2009>

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両親に捨てられたラジオPDのケイ(クォン・サンウ)。交通事故で一瞬にして家 族をすべて失った作詞家クリーム(イ・ボヨン)。二人は、時には家族のように、時には友人のように、互いの空席を埋めながら、一緒に暮らしている間柄だ。

誰よりも孤独に耐えられないクリーム。ケイは、彼女に贈る最後の贈り物を準備する。

ジュファン(イ・ボムス)が現れる。歯医者で、賢明で、親切で、そして健康で、クリームを一生守ってくれそうな男。ジュファンは、クリームを見て一目で愛 に陥る。

愛を伝えないケイ。一生を添い遂げたいジュファン。そして、その二人のたった一人の恋人クリーム。互いに違う三つの方式の愛が始まる。

日本公式:http://morethan-b.com/

【予告編】

監督 ウォン・テヨン <2009>悲 しみよりもっと悲しい物語

出演

クォン・サン ウ(權相佑)

出演作品一覧

イ・ボヨン(李寶英)

<2004>マ イ・ブラザー、<2006>卑劣な街、 <2008>ワンス・アポン・ア・タイム
<2009>悲しみよりもっと悲しい物語、 <2009>私は幸せです

イ・ボムス (李凡秀) 出演作品一覧

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【レビュー&ネタバレ】
2009年3月韓国公開。観客動員数は、約70万人。
興行的には、人気スター出演のラブストーリーにしては、失敗ですね。
2009年2月27日(土)には、日本での全国公開が決定。

ウォン・テヨン監督は、映像畑の人間ではなく、人気詩人です。
韓国人は、「詩」を読むことが好きで、詩集もよく売れるのです。
その人気詩人が、脚本を書き、メガホンを取ったわけですが、やはり畑違いということでしょうか。
完成度の低さが、この映画の問題でしょう。
そして、あまりにも非現実で、受け入れられないストーリー。
献身的にも程があるだろ!
それじゃタダの都合のイイ男!
という感じで、どうも主人公ケイに感情移入できず、
自由奔放で、ケイを振り回しているだけの小悪魔なヒロインにも感情移入できず。
前半は、まさにシラケまくり、
まぁ、詩人らしく、ロマンティックであるけれど、感情移入するには難しいかも。
ラストには、そんな苦痛も消え、涙、涙、なワケですが、
結局、クォン・サンウ演じるケイの影が薄.............

タイトルがとっても意味深で、「悲しみ」よりも、「もっと悲しい」物語があるのか?
と、皆さん疑心に思ったことと思います。
タネをバラしてしまえば、この映画は大きく、前半戦、後半戦の2部構成のような作りです。
前半戦が「悲しみ」であれば、後半戦は、前半戦よりも「もっと悲しい」物語になっているということです。
正直、前半戦は飽き飽きして観ていたのですが、
後半戦になり、物語が反転してからというもの、いろんな真実が明らかになり、
もう、涙でグチャグチャになりました。
いわば、前半戦は、後半戦のための伏線だったわけです。
あの時計の演出は、よいよね。

ちょっと完成度が低いので、オススメするのが難しいところですが、
韓流の王道のラブストーリー。
韓流ファンには、気に入って頂けるのかもしれません。
あとは、個々の感性と、好みの問題。
しらじらしくて全く泣けない方もいれば、号泣してしまう人もいるでしょう。

ただ、観終わった後に、なんだか心の中に温かなものが残ります。
それは、主演二人の成果ではなく、
周りにいる人らの温かさが伝わるからでしょう。
ジュファンや、ジュナの心も伝わって、なんだか胸が熱くなりますね。
ケイとクリームは、それだけ周囲の人間に感動を与えたということですが..........
ちょっと、イ・ボムスが可哀想で、せつなかったですけれど........

 
【ケイ】
本名:カン・チョルギュ
SBC FM放送 PD
クォン・サンウ
【クリーム】
本名:ウン・ウォン
作詞家
イ・ボヨン
【ジュファン】

歯科医
イ・ボムス
 
【ジュナ】
ジュファンの婚約者
チョン・エヨン
【キム・カムシ ク社長】
芸能事務所社長
イ・ハヌィ
【ミンチョル】
キム社長の部下
シン・ヒョンタク
【キャットガー ル】
歌手
ナム・ギュリ(特別出演)

クォン・サンウは淡々と演技をこなしていますね。
そういうシナリオと演出なのですが、まぁ、影の薄い感じです。
クォン・サンウが演じなければ、もっとうすーい印象になっちゃったかもですね。

イ・ボヨンは自由奔放な小悪魔を魅力的に演じておりますが、
いまいちイ・ボヨンのキャラとイメージが違うような気がして....

イ・ボムスは、たいていの役は演じこなしますね。
今回も善良で、誠実な役がピッタリ。でも、ちょっと哀れな役どころ.......
イイ人です、ジュファン。

そして、あまり見かけないチョン・エヨン。
mocaが見たのは、6つの視線~もし、あなたならだけで す。
この女、最初はもームカつく女だったのですが、後半戦でちょっと感動しちゃいます。

イ・ハヌィはいつ観ても面白い(笑)
なので、ノーコメント!

特別出演のナム・ギュリ。ほーんと、お人形のように可愛いのよね。
可愛いんだけど個性がないから、「これはナム・ギュリ」って説明されないと気づけない.....
See-Yaの時は、残りの2人がとーっても個性的だから、ナム・ギュリだってわかるんですけどねぇ......


特別出演のチョン・ジュノと、同じく特別出演、主題歌を歌うイ・スンチョル

イ・スンチョルの曲は、ほーんとイイわよね。
チョン・ジュノは、カメオ出演が一番適役な気がします(笑)
なんか、主演を演じても、物足りないのよ。
それなりに存在感はあるから、カメオでちょこっと出演するのが最も効果的な気がする今日この頃(笑)

* * *

物語は、チョン・ジュノとイ・スンチョルが、芸術的な歌詞を発見し、
その作詞家を探し、その作詞家を知るミンチョルが過去を語るという
回想シーンとして物語は始まります。
主演であるクォン・サンウ演じるケイが死んでしまっていることも、
冒頭から明らかになっています。

愛する女性を、他の男と結婚させて死んでしまった奇異な人物として......

ケイとクリームは、高校生時代に出会います。
その出会いはケイにとって、あまりにも衝撃的で、忘れられないと。
そこからクリームの奔放さは浮き彫りになります。
父が死に、母に捨てられたケイ。
そして、両親と妹を、交通事故でいっぺんに失ってしまったクリーム。
二人は孤児。
そして、二人はケイの家で同居を始めます。
二人はルールを決める。
二人の間では、本名でなく、他の名を呼び合うと。
ウォンは「クリーム」と名乗り、チョルギュは、「ケイ」と名乗った。
ABCD....... K..... のKでなく、「ただのケイ」だと。

そして時が過ぎ、ケイはラジオ局の敏腕プロデューサーとなった。
それまでの間、クリームとの関係は、右往左往という感じで、
クリーム一筋で、心から愛しているケイに対し、
クリームは何人もの恋人を作り、ケイの目の前でも平気でイチャつくような有様。
それでも、クリームを憎めないというケイ。
ケイはクリームに「愛」を明かさず、
「サランヘ(愛してる)」の代わりに、「チョアヘ(好きだ)」と、言葉を濁しながら、
クリームと、時には家族のように、時には友達のように、時には恋人のように過ごしてきた。
10年もの間。

クリームは、ケイの紹介で作詞家としての仕事を始める。
しかし、クリームの詞を書き直すよう言われ、クリームはショックを受ける。
家の中で一人泣きじゃくっていたクリーム。
そんなクリームを、ケイは優しく抱きしめ、なだめる。
「もし、生まれ変わったら... これはどう?」
クリームはケイに尋ねる。
そして、生まれ変わったら何になりたい?と、ケイに尋ねる。
「日記帳」
ケイは答える。
「そんなものに生まれ変わって面白い?」
クリームは不満だ。
「お前が買ってくれればいい。そうしたら、毎日飽きないだろう?」
ケイは答える。
ケイの言葉に、クリームは何かを感じる。
「今日は私が神父様になります。心の奥に隠している言葉はない?」
クリームは尋ねるが、ケイは「ない」と、あっさり答える。
そして、「良い男をみつけて結婚しろ」と。
「あんたじゃダメなの?」
クリームは尋ねる。
「俺は良い男じゃない」
ケイは、何事もないかのように、さらりと答える。

ある日、クリームの足の指を見て、ケイは何気なく言う。
「2番目の指が長いと、お母さんが長生きするっていうよな」と。
「そんなの嘘よ、お父さんとお母さん、仲良く一緒に死んじゃったもの」
クリームは、あっさり答える。
そして、クリームはケイを蹴っ飛ばす。
「あんたは、私より先に死んだら許さない!」

仕事に対しても自由で、勝手なクリーム。
そして、そんな彼女を見守りながら、ケイは密かに別れの準備をしていた。
そう、ケイには残された時間がなかったのだ。
末期のガンだった。
極度の寂しがりやで、一人でいることが堪えられないクリーム。
そんな彼女のために、自分がいなくなった後の空席を埋めてくれる人を探そうと。
そんな時に現れたのが、歯医者のジュファン。
クリームは、「恋に落ちたかも」と、ケイに打ち上げる。
その日から、ケイはジュファンの内部調査を開始する。

善良で、歯科医という堅実な仕事をしている上に金持ちで、何よりも健康だ。
ジュファンならば、きっとクリームを幸せにしてくれるはずだ。
ジュファンは、クリームの相手をジュファンと決めた。
そして、涙ぐましい努力が始まる。
それは、ジュファンには、既に婚約者がいたからだ。

自分の歌手を売り込むために、賄賂を渡して歌手を番組に出演させようと、
躍起になる芸能事務所キム・カンシク。
ケイは今まで賄賂を一切受け取らない主義だったが、
キム社長の歌手、キャットガールを番組に出演させることと引き換えに、
ジュファンと婚約者を別れさせるよう手を組んだ。

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キム社長の部下ミンチョルも手伝い、「別れさせ屋作戦」を繰り広げる。
キム社長の調査によると、ジュファンの婚約者ジュナは、呆れるほどの男好きだった。
肉体関係のある男性は数え切れない。
その証拠の写真をネタに、ケイはジュナに婚約を破棄するよう求めるが、
逆に殴られて引き下がってしまう。

打つ手がなくなったケイ。
ケイは苦渋の末、ジュナに手紙を出す。
自身が余命いくばくもないという医師の診断書を同封し、
愛するクリームのために、ジュファンとの婚約を破棄して欲しいという、切実なものだった。
ジュナはケイの願いを受け入れる。
但し、条件があるという、写真家であるジュナは、ケイにモデルになって欲しいと。
死を前にした人間を撮影するのは、興味をひかれると。
死ぬまでの間、モデルになること。
そして、もう1つの条件は、後で話すと。
ケイはジュナの条件を受け入れ、モデルになる。
そしてジュナは、約束通りジュファンに婚約破棄を申し入れた。
「両親たちが驚くだろうな」
と、言いながらも、ジュファンは同様しない。
それは、既にクリームに惚れてしまったからだ。
逆に有難いと。
こうして、クリームとジュファンとの間に、何の障害もなくなった。

クリームはケイに質問する。
「結婚とは?」
ケイは、コップの中の歯ブラシのようなものだと答える。
コップの中の歯ブラシのように、一緒にいることが当然に思えることだと。
「それじゃあ、私達、結婚してるわね」
と、クリームは何気なく口にする。
「結婚式を挙げてから、結婚っていうんだろう」
と、ケイは否定する。

クリームとジュファンは、結婚が決まる。
そして、ジュファンはケイと二人きりで話をする。
「僕らの同居の話は驚いたことでしょう」
と、ケイはジュファンを心遣う。
「いいえ、彼女に今までよくしてくれてありがとうございます」
ジュファンはそんな細かなことには動ぜず、
逆に愛する人を10年も大切にしてくれたケイへの感謝の意を示した。
そして、クリームのウェディングドレスは、ケイに選んで欲しいと申し出た。
それが、クリームの絶対の願いなのだと。
しかし、懐の深いジュファンでも、やはりケイに対する敵対心を捨てきれずにいた。
「あなたの彼女への心遣いはそこまででお願いします。結婚したら、彼女は僕の家族ですから」
と、ジュファンはケイを牽制した。

クリームはウェディングショップにケイと出かける。
美しいドレス姿のクリームを見て、ケイの気持ちは複雑だ。
クリームは何と、ケイに新郎の衣装を着ろと言い出す。
断るものの、結局言いなりになるケイ。
新郎新婦の衣装をまとった二人は、並んで記念写真を撮る。
本物のカップルのように。
他のドレスも着てみるというクリーム。
クリームが着替えている間、ケイはたまらない気持ちになり、店を出て行ってしまう。
歩きながら、どうしようもない衝動を抑えきれず、ケイは道中で慟哭してしまう。
愛する女性と結婚できない自分。
他の男に嫁がせる悲しさ。
死ななければいけない、自分の悲しい運命........

ケイはモデルになるためにジュナを訪ねる。
そしてケイは、ジュナに頼みごとをする。
突然連絡が途絶えると、クリームが心配すると思う。
だから、これから数年の間、二人の結婚記念日に花を贈ろうと思う、と。
「あの時、もう1つ条件があると言ったわよね?」
ジュナはそう言うと、ケイにキスをする。
そして、告げる。
「死ぬときは、私の隣りで死んで欲しい」と。

クリームとジュファンの結婚式前夜、ジュナは突然ケイの家を訪ねる。
ケイ宛てに女性が訪ねてきたことに動揺するクリーム。
ケイはジュナと一緒に花を選ぶ。
「彼女、可愛いわね。愛したくなったわ。でも、彼女本当に幸せかしら?」
ジュナは、窓辺で悲しそうに項垂れていたクリームの姿を目撃していたのだ。
「どういう意味?」
ケイは切り返す。
「幸せそうには見えなかった」
ケイはジュナの言葉を遮る。
「この花を贈って欲しい.... 三年間」
可愛らしいサボテンの花。
「キレイね。でも、キレイすぎる。偽物みたい、あんたの愛みたいに」
ジュナはケイに言い放つ。
「じゃあ、本物の愛とは?」
ケイは切り返す。
「お腹が空けば食べる、痛ければ泣く、楽しければ笑うのでは?あんたみたいに我慢せず」
ジュナの言葉が、ケイの胸に突き刺さる。
「本当に、このまま死にたいの?」
ジュナは尋ねる。
「なわけない!こんな風に死ぬのはイヤだ。俺も幸せに生きたい。
俺がウォンと結婚したい。明日、あの男の代わりに」
ケイは本音をぶつける。

そして、結婚式当日。
ケイと腕を組み、ヴァージン・ロードを歩くクリーム。
そして、ジュファンの前へと進むと、クリームの手を軽く叩き、ジュファンの元へと見送る。


↓  完全ネタバレ。読んで後悔しないように! ↓


ジュナの部屋に、荷物が届く。
いつかケイが「二人に贈って欲しいと」選んだサボテンの花だ。
ジュナは箱を開け、サボテンを取り出すと、他のサボテンと並べた。
3つ目のサボテン........

そして、時計の針が逆回転し、時間が戻る。
(ここから後半戦の、時間が反転した物語が始まります)

時間はさかのぼり.........

ある日クリームは、いくら頑張っても作詞が進まず、
ふと思いついてケイの服を漁る。
出てきた薬の瓶。
それはいつかケイが言っていた。
「頭の良くなる薬」だと。
クリームは薬をガリガリと、噛みながら飲んでしまう。
しかし、その途端朦朧としてしまい、意識を失う。
クリームは、薬を病院に持っていき、診察してもらう。
「この薬はどこで?」
医者は尋ねる。
「友達の薬です」
クリームは答える。
「お友達は、いつからこの薬を服用していますか?この薬だと、かなりの重症だと思いますが」
医者はクリームに告げる。
クリームは耳を疑う。
「これは、ガンや白血病患者が服用する鎮痛剤です。しかも、末期患者が.....」
医者は、更に説明を続ける。
クリームは、激しい衝撃を受ける.....
「ケイはもう助からない......」
両親や妹のように、ケイも私を残して逝ってしまう......
クリームは一人で泣いていた。
いつか、「詞を書き直せ」と泣いていたあの日だ。
クリームの涙の原因は、本当はケイの病気のことだったのだ。

クリームは、ケイの病気のことを知っていた。
そして、ケイが病気で苦しむ姿も、影で見守り、苦しんでいた。
病気のことなど知らぬという顔で、平静を装いながら。
そんなケイが、クリームを残していくことを、とても心配していることを知ったクリーム。
クリームは、ケイを安心して天国へ行かせてあげようと、
ジュファンのことを仕組んだのだ。
「恋したみたい」と、ケイに告げ、作為的にジュファンを誘惑したのだ。
婚約者してようが、結婚していようが構わない。
あんたは私とつきあうだけでいいの、ケイのために......
悪い女?
そんなこと言ってる場合じゃないの。
私の愛が死にかけているのに......

クリームは、「結婚とは、結婚式を挙げてからだろ」という言葉を聞き、
ジュファンに結婚を急かした。
そして、一緒に新郎新婦の衣装で写真を撮り、
結婚式場で、二人でヴァージンロードを歩いた。
「式を挙げたから、これで私達結婚したわね」
ジュファンとの結婚式は、クリームにとっては、ケイとの結婚式だったのだ。

ケイばかりがクリームを愛していたのではない。
クリームも深い愛で、ケイを抱きしめていたのだ。
「お願い、病気のことを私に打ち明けて。そうしたら抱きしめてあげる。
そして、一緒に死んであげる。今までしてくれたことを、一緒に行って返してあげる」
そんな言葉を、クリームはいつも心の中で飲み込んでいた。

そして実は、クリームがケイと出会ったのは、クリームの両親が死んだ1年後だったのだ。
まだ子供だったケイとクリーム。
そして、それはケイの母がケイを捨てた場面だった。
自分もまだ家族を失った痛みが癒えていないクリーム。
しかし、母の後ろ姿をみつめ、じっと黙っているケイの方が可哀想で、抱きしめてあげたかったと、
クリームは感じていた。
その日以来、クリームはケイを見守り続けていたのだ。
ケイがクリームと初めて出会ったと思っていた日。
クリームがケイの名前を知っていたのは、そんなわけだったからだ。

そして、いつかクリームがジュファンに言った言葉。
「私より先に死んだら許さない」
その言葉通り、クリームはケイが死ぬ前に自殺した。
ケイはそんなことも知らず、クリームはジュファンと幸せに暮らしているものと思い、
安心して死んで行ったのだ。
約束のサボテンの花も、ジュナから3年間贈られ続けた.....
二人は一度も結婚記念日を迎えられなかったことも知らずに.......

そして、ジュファンもクリームを愛していた。
ジュファンは、クリームがケイを愛していることを察していた。
ウェディングドレスを着ての記念写真を撮る幸せそうなクリームを、
ジュファンは店の外から寂しげにみつめていたのだ。
それでも、ジュファンはクリームを愛するしかなかったのだ。
ジュファンはクリームが眠る納骨堂を訪れる。
深いため息を吐くジュファン。
そして、クリームの遺骨の前に、クリームとケイが新郎新婦の衣装で撮った写真を飾ってやる。
いつも二人が会話を録音していたカセットテープで、二人の会話を流し、
納骨堂を去るジュファン。

  (クリームの独白)

  覚えてる?あんたが目の前にいなくても、私には見えると言ったこと。
  どこへでも、安らかに行って.....
  私がすぐに見つけ出すから.....
  会いに行った私を叱らないで、
  理由を聞いたり、驚いたり、怒ったりもしないで、
  苦労して会いに行ったのに、そうされたら泣いちゃうかも......
  私達がそこで再会したら、二度と泣くのはやめようね.....
  待ってて、すぐに私が会いに行くから.....

END




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