実家の母 Mom |
原題:実家の母 친정엄마 (チンジョンオムマ)<2010> |
|
監督 | ユ・ソンヨプ | <2010>実 家の母 |
出演 |
キム・ヘスク (金海淑) |
|
パク・チニ (朴真嬉) |
<1998>
囁く廊下~女校怪談~、<1999>恋風恋歌、
<1999>SPY リー・チョルジン、 <2000>散策、<2000>なせば成る、 <2001>遠い路、<2003>星(ビョル)、 <2005>恋愛術士、 <2005>ラブ・トーク、<2005>愛したあとに~サラン ハンフエ、<2007>チョンソルリへようこそ、 <2007>宮女 クンニョ、<2008>甘いウソ、<2010>実家の母、<2010>戦火の中へ(特別出演) |
|
【レビュー&ネタバレ】 |
2010年4月公開。動員数は約48万人。関係者が期待したほどの動員はできな
かったよう。 これは本国、韓国よりも、日本の韓流ファンの方がウケが良さそうな映画ですね。 温かく、優しい映画... 良い映画と言うべきか。 韓流の王道ではあるけれど、ちょっと視点が違うだけでこれだけ新鮮さがあるものなんですね。 いわゆるおきまりパターンではないです。 マイ・ブラザーがお好きな方にはオス スメ。そうでない方でも、母親の愛を描いた作品が好きな方ならば。 キム・ヘスクは「母親モノ」に随分出演しておりますが、その中でも一番自然で無理の無い作品。 ひまわり、ファム・ファタールのような無理な演出もありません。 地味ながら、心温まる映画です。 そう面白い映画ではないけれど、韓国映画らしい映画です。 映像も美しく、温かい。 ↓ 結末まで簡単にストーリー紹介(結末ネタバレ) ↓ ジスクは実家に帰るために、夫と娘に車で駅まで送ってもらう。 心配そうな夫。ただならぬ雰囲気。 「ジスク!」 夫はジスクを呼び止める。 ジスクは力なく笑い、そのまま駅へと歩き始める。 ジスクは帰省しながら、幼かった頃を思い出していた。 息子を何より大事にする世間の中で、ジスクの母は娘であるジスクを大事に大事に育てた。 ジスクの大好きな桜桃の缶詰を弟が寝ている間に「こっそりお食べ」と差し出すような母だった。 (このシーン大好きです。弟ジノが笑える) 母は常に夫の暴力に耐えていた。 耐え切れなくなったのは、それをいつも見ていた娘のジスクだった。 「離婚して。それか、ソウルへ逃げて」 ジスクは母に懇願する。 「おまえのために我慢しているんだ。私がいなくなったら、家のことを誰がやる?そんなことをお前にさせられない。 私一人が我慢すればいいんだ」 母はジスクに告げる。 ジスクは専門学校(日本でいう短大)の奨学生に一番で受かりソウルへ上京することに。 娘のために、カバンいっぱいに荷物を積め、「カバンが重くてごめんね」と謝る母。 旅立って行く娘を、まるで嫁にやるかのように案じる母。 電車の中でカバンを開けると、中には空き袋に小銭がたくさん詰まっていた。 200ウォンのもやしを100ウォンに無理矢理マケさせ、豆腐も半丁だけ食べ、そうやって貯めた金だと。 ジスクは母からの手紙を読みながら、涙を流す。 母は上京するたびに、持ちきれないほどの荷物を抱えてやってくる。 中身はジスクの好きなものがたくさん詰まっている。もちろん、桜桃の缶詰もだ。 しかしジスクはそんな母を、感謝よりも恥に思い冷たく当たる。 ジスクにも恋人ができた。両家の顔合わせ、母は父が買ってくれた韓服を嬉しそうにジスクに自慢する。 (何気にアボジも心優しいところがあるのよね。だから、夫婦としてやってくれたのだけれど。 両家が顔合わせするというのにロクな服を持っていない母に、店で一番高い韓服を買ってやるシーンはいいですね) 浮かれる母を尻目に、ジスクの顔は沈んでいる。 「実は、向こうのご両親は反対しているの」 ジスクの言葉を聞いた母は驚愕する。 結局、自分の娘をけなすジュンスの母に耐え切れなくなった母は、啖呵を切って店を出てきてしまう。 しかし、悲しそうな娘の顔を見ると、好きな人とも結婚できない娘が哀れで居た堪れなくなる。 母は恥を偲んでジュンスの家を尋ねる。 「どう言えば許してもらえるのか」と、母はジュンスの母の前に跪く。 母のおかげで、ジスクはジュンスと無事に結婚することに。 そして、結婚5年目には、可愛い娘が生まれる。 自分の娘が可愛い可愛いと誉めたてるジスクに母は、「おまえの方が可愛かった」と言って譲らない。 突然、父が亡くなり、母は悲しみに暮れる。 母を心配したジスクは、自分と一緒にソウルへ行こうと説得するが、母は拒む。 「おまえのためだ。結婚した女が行く場所がないのは可哀想だ。辛いことがあったら、ここへ帰っておいで」と。 現在に戻る。 実家に戻ったジスクは、親友のミジョンを訪ねる。 父も亡くなったし母が心配だ、時々顔を見に行ってやってくれないかとミジョンに頼むジスク。 「あんたの母親は、私の母親だ」 ミジョンは快く引き受ける。 夕食。突然ジスクは涙を流す。 「ただ、嬉しくて」 と、ジスクは言うが、母はその様子が気にかかる。 翌朝、ジスクは目覚めると、「今日はオンマと遊びたい、絶対に」と、せがむ。 二人はもみじ狩りに出かけ、おいしい食事を食べ、母にキレイな服を買ってやり、最後に記念写真を撮った。 ずっと引き伸ばしにしていた親孝行を一日で行ったようだった。 家に帰ると二人でサンピョン(縁台)に寝そべりながら、母は語る。 このサンピョンに横になりながら、よく泣いたと。 ジスクは幼い頃から利発で、どれだけ可愛かったことか。 おまえは本当は、私らのような親に生まれるような子じゃない。 この頃一人で眠りにつくと、そんなことをよく考えると母は語った。 ジスクに何かがあったのだと察した母は、ジスクの夫ジュンスに電話をかける。 ジュンスは突然泣き出す。ジスクは膵臓癌の末期だと。 母はジュンスの言葉にショックを受ける。 誰にも連れていかせない。私が守る!母は泣きながらジスクを抱きしめる。 しかしジスクは亡くなった。母はまるで魂を抜かれたようだった。 ジスクを思いながら、偲び泣く母。 私がこの世でした一番良いことはおまえを生んだこと。 そして公開することは、おまえを生んだこと。 おまえには申し訳ないが、次の世でも、私の娘に生まれてくれないかい。 母は天にいるジスクに語りかける。 END |
|