実家の母  Mom 
 原題:実家の母 친정엄마 (チンジョンオムマ)<2010>

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世界中の全ての母親が、息子から大切にしていた時代、一人だけ娘礼賛論を繰り 広げたうちの母さん。

心では有難いが、忙しく仕事をしているときに何となく電話してきたり、会いに訪ねてきたり、しつこい母が息苦しく感じられた。

私も結婚5年目で娘も儲けた初歩の母なのに、母の目にはまだ懐の中の子供にしか見えないようだ。

会うたびに口喧嘩してしまったが、もう私も母に愛する心を見せなければならない時が来たようだ。



幼い時期からおしゃべりも上手で、素晴らしかったうちの娘ジスク。勉強だけでなく、ミスコリア顔負けの容貌まで.... 無知で野暮っ たい私の中からどうしてこんな美 しい子が出てきたのだろうか。

一人でソウルの大学に通って、ご飯はちゃんと食べているのか心配だが、働いて稼いだ金で小遣を送ってくれ、結婚するといって恋人も連れてきて、も う子供のお母さんになった。懐の中の子供だったうちの娘が、もう私の中から離れようとするようだ。



秋が深まるある日。ジスクは連絡もなく実家に帰ってきて、引き延ばした孝行娘の役割を始めた。嬉しくはあるが、以前のようでない娘の行動に、母は、なぜか わからない不安感を感じる。
【予告編】
監督 ユ・ソンヨプ <2010>実 家の母

出演

キム・ヘスク (金海淑)

出演作品一覧

パク・チニ (朴真嬉)

<1998> 囁く廊下~女校怪談~、<1999>恋風恋歌、 <1999>SPY リー・チョルジン
<2000>散策、<2000>なせば成る、 <2001>遠い路、<2003>星(ビョル)、 <2005>恋愛術士
<2005>ラブ・トーク、<2005>愛したあとに~サラン ハンフエ、<2007>チョンソルリへようこそ
<2007>宮女 クンニョ、<2008>甘いウソ、<2010>実家の母、<2010>戦火の中へ(特別出演)
【お母さん】
ジスクの母
キム・ヘスク
【ジスク】
放送作家
パク・チニ
【ジスクの父】
バス運転手
チョ・ヨンジン
【ジュンス】
ジスクの夫
イ・ムセン
【ジノ】
ジスクの弟
チョン・ヨンギ

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【レビュー&ネタバレ】
2010年4月公開。動員数は約48万人。関係者が期待したほどの動員はできな かったよう。
これは本国、韓国よりも、日本の韓流ファンの方がウケが良さそうな映画ですね。
温かく、優しい映画... 良い映画と言うべきか。
韓流の王道ではあるけれど、ちょっと視点が違うだけでこれだけ新鮮さがあるものなんですね。
いわゆるおきまりパターンではないです。
マイ・ブラザーがお好きな方にはオス スメ。そうでない方でも、母親の愛を描いた作品が好きな方ならば。
キム・ヘスクは「母親モノ」に随分出演しておりますが、その中でも一番自然で無理の無い作品。
ひまわりファム・ファタールのような無理な演出もありません。
地味ながら、心温まる映画です。

そう面白い映画ではないけれど、韓国映画らしい映画です。
映像も美しく、温かい。


↓  結末まで簡単にストーリー紹介(結末ネタバレ) ↓





ジスクは実家に帰るために、夫と娘に車で駅まで送ってもらう。
心配そうな夫。ただならぬ雰囲気。
「ジスク!」
夫はジスクを呼び止める。
ジスクは力なく笑い、そのまま駅へと歩き始める。




ジスクは帰省しながら、幼かった頃を思い出していた。
息子を何より大事にする世間の中で、ジスクの母は娘であるジスクを大事に大事に育てた。
ジスクの大好きな桜桃の缶詰を弟が寝ている間に「こっそりお食べ」と差し出すような母だった。
(このシーン大好きです。弟ジノが笑える)




母は常に夫の暴力に耐えていた。
耐え切れなくなったのは、それをいつも見ていた娘のジスクだった。
「離婚して。それか、ソウルへ逃げて」
ジスクは母に懇願する。
「おまえのために我慢しているんだ。私がいなくなったら、家のことを誰がやる?そんなことをお前にさせられない。
私一人が我慢すればいいんだ」
母はジスクに告げる。




ジスクは専門学校(日本でいう短大)の奨学生に一番で受かりソウルへ上京することに。
娘のために、カバンいっぱいに荷物を積め、「カバンが重くてごめんね」と謝る母。
旅立って行く娘を、まるで嫁にやるかのように案じる母。




電車の中でカバンを開けると、中には空き袋に小銭がたくさん詰まっていた。
200ウォンのもやしを100ウォンに無理矢理マケさせ、豆腐も半丁だけ食べ、そうやって貯めた金だと。
ジスクは母からの手紙を読みながら、涙を流す。




母は上京するたびに、持ちきれないほどの荷物を抱えてやってくる。
中身はジスクの好きなものがたくさん詰まっている。もちろん、桜桃の缶詰もだ。
しかしジスクはそんな母を、感謝よりも恥に思い冷たく当たる。




ジスクにも恋人ができた。両家の顔合わせ、母は父が買ってくれた韓服を嬉しそうにジスクに自慢する。
(何気にアボジも心優しいところがあるのよね。だから、夫婦としてやってくれたのだけれど。
両家が顔合わせするというのにロクな服を持っていない母に、店で一番高い韓服を買ってやるシーンはいいですね)

浮かれる母を尻目に、ジスクの顔は沈んでいる。
「実は、向こうのご両親は反対しているの」
ジスクの言葉を聞いた母は驚愕する。
結局、自分の娘をけなすジュンスの母に耐え切れなくなった母は、啖呵を切って店を出てきてしまう。
しかし、悲しそうな娘の顔を見ると、好きな人とも結婚できない娘が哀れで居た堪れなくなる。




母は恥を偲んでジュンスの家を尋ねる。
「どう言えば許してもらえるのか」と、母はジュンスの母の前に跪く。




母のおかげで、ジスクはジュンスと無事に結婚することに。
そして、結婚5年目には、可愛い娘が生まれる。
自分の娘が可愛い可愛いと誉めたてるジスクに母は、「おまえの方が可愛かった」と言って譲らない。




突然、父が亡くなり、母は悲しみに暮れる。
母を心配したジスクは、自分と一緒にソウルへ行こうと説得するが、母は拒む。
「おまえのためだ。結婚した女が行く場所がないのは可哀想だ。辛いことがあったら、ここへ帰っておいで」と。

現在に戻る。




実家に戻ったジスクは、親友のミジョンを訪ねる。
父も亡くなったし母が心配だ、時々顔を見に行ってやってくれないかとミジョンに頼むジスク。
「あんたの母親は、私の母親だ」
ミジョンは快く引き受ける。




夕食。突然ジスクは涙を流す。
「ただ、嬉しくて」
と、ジスクは言うが、母はその様子が気にかかる。




翌朝、ジスクは目覚めると、「今日はオンマと遊びたい、絶対に」と、せがむ。
二人はもみじ狩りに出かけ、おいしい食事を食べ、母にキレイな服を買ってやり、最後に記念写真を撮った。
ずっと引き伸ばしにしていた親孝行を一日で行ったようだった。




家に帰ると二人でサンピョン(縁台)に寝そべりながら、母は語る。
このサンピョンに横になりながら、よく泣いたと。
ジスクは幼い頃から利発で、どれだけ可愛かったことか。
おまえは本当は、私らのような親に生まれるような子じゃない。
この頃一人で眠りにつくと、そんなことをよく考えると母は語った。




ジスクに何かがあったのだと察した母は、ジスクの夫ジュンスに電話をかける。
ジュンスは突然泣き出す。ジスクは膵臓癌の末期だと。
母はジュンスの言葉にショックを受ける。




誰にも連れていかせない。私が守る!母は泣きながらジスクを抱きしめる。




しかしジスクは亡くなった。母はまるで魂を抜かれたようだった。




ジスクを思いながら、偲び泣く母。

私がこの世でした一番良いことはおまえを生んだこと。
そして公開することは、おまえを生んだこと。
おまえには申し訳ないが、次の世でも、私の娘に生まれてくれないかい。
母は天にいるジスクに語りかける。

END

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