偉大なる系譜  Righteous Ties 
 原題:偉大なる系譜 거룩한 계보(コルカン ケボ)<2006>

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偉大なる系譜

チソン(チョン・ジェヒョン)は、全羅道の組織世界を牛耳る伝説のカルチャビ (ナイフ使い)だ。彼のそばには、幼少期から拳世界に入門するまで、あらゆ
ることを共にしてきた竹馬の友ジュジュン(チョン・ジュノ)がいる。麻薬製造業者チェ博士(チョン・ギュス)の新技術を狙う組織の命令で、彼に刀を向けた チソンは、すべての責任を自分で背負い監獄に行くことになる。そこで、数年前に死刑執行により死んだと思っていたもう1人の竹馬の友スンタン(リュ・スン ヨン)と偶然再会し、喜びで胸が詰まる。スンタンに謝れなかったことを、ずっと悔やんでいたからだ。

そんなある日、数年前チソンのために片足を失った敵対する組織のボス、ソン・ボンシク(イ・ハヌィ)がチソンの両親を刃物で刺す事件が発生する。組織 は勢力拡張のため事件を黙殺し、チソンから背を向ける。しかしジュジュンはチソンに対する憐憫から胸が痛み、組員としての義務感との 間で葛藤するようになる。

10年間。組織のために全てを捧げてきたチソンは、組織の背信に歯ぎしりするほど憤る。そして、組織に対する復讐を決心し、スンタンを初めと する監獄仲間た ちと共に脱獄を計画する。あらゆる脱出方法を試みているうちに、別名<偉大なる系譜>一行は、思いがけない奇想天外な方法で、ついに脱獄に成功する。脱獄 後チソンは、最終目標である組織ボス、キム・ヨンヒ(ミン・ジファン)に会いに行くが、組員の義務としてチソンを迎え討たねばならぬジュジュンとの避 けられない 対決の瞬間を迎える。なんとしても親友の復讐を思い留まらせたいジュジュンと、復讐に向かって走るチソン。そして、チソンの復讐に参加した<偉大なる 系譜>一行の運命は、果たしてどうなるのか!
【予 告編】
監督 チャン・ジン 作 品一覧

出演

チョン・ジェ ヨン

出 演作品一覧
チョン・ジュノ(鄭俊浩) 出演作品一覧

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【レビュー&ネタバレ】
2006年10月公開。
観客動員数は、約148万人。
あの歴代記録を塗り替えたタチャ イカサマ師の、Box Office 4週連続1位を阻止し、1位に輝いた。
ヒットまではいかないものの、スター俳優の出演なし(といっていいでしょう)
内容だけでここまで勝負した、本物の作品。

なんだかねぇ.....
宣材写真やら、あらすじやら、少しも惹かれるものがありませんで.......
つまんない(チャン・ジン風)ヤクザ映画なんだろう...と、

ですが、最近つまらない韓国映画界。
My Son~あふれる想い~もmoca好み ですし、正しく生きよう  は最高!
これは、見なくちゃぢゃあ?
チャン・ジン監督なら期待を裏切らないだろう......
と、ちょっと賭けに出ました。

食わず 嫌いでした!!

なんだよ、イイ映画ぢゃーん。
まさに、チャン・ジ ン風ノワール。
ノワール風コメディーとも言いましょうか?
ノワールの要とも言えるべき(?)
義理、人情、友情、絆.... 
宿命やら、愛 サランやらで大失敗しているノ ワールの世界を、感動的に描いておりま す。
チャン・ジンの「これでもか!」というほどの、ゆるーい笑いの連続で、
ちーっともノワール的な暗さがない。
いつものようにアヘアヘ笑っているところに、思いもよらない大どんでん返し。
ゆるみきっていただけに、これはかなりの衝撃。
大号泣。涙が止まりません。
してやられたり。

ヤクザ の世界に幻想を抱くな。
義理も 正義もない。

と、映画の主人公チソンは言いますが、
この映画には、義理も正義もある。
いや、正義はないか....
男たちの義理に、泣かずにはいられません。
アクションもかっこいい。

基本的にコメディーですので、ストーリーは<あらすじ>程度のものしかありません。
なのに、魅せてくれますわ。
とは言っても、好き嫌いが分かれる映画だと思いますし、
ヒットまではいかなかった、それなりの敗因を感じられる面も多々あります。
正直、作品としてのレベルは低いかも。
ラストなんて、ちょっとお粗末。
なのに、涙が止まらない。
ヒューマンドラマや、義理、人情に弱い方にはオススメ。
右腕、左腕のオチなど、チャン・ジン流笑いが満載。

<系譜>とは、家系図のことですが、
ヤクザの世界では、<派閥>のようなものを意味しているみたいですね。


【トン・チソ ン】
チョン・ジェヨン
ヨンヒの左腕
【キム・ジュ ジュン】
チョン・ジュノ
ヨンヒの右腕
【チョン・スン タン】
リュ・スンヨン
死刑囚(偉大なる系譜)
【ユ・ミョンシ ク】
イ・サンフン
囚人(偉大なる系譜)
【チャン・ナ ギョン】
チュ・ジンモ
囚人(偉大なる系譜)
【房長】
イ・ムンス
死刑囚(偉大なる系譜)
【チ・ムンシ ク】
パク・チョンギ
囚人(偉大なる系譜)
【キム・ヨン ヒ】
ミン・ジファン
チソンのボス
【ハン・ウク】
キム・ギュチョル
チソンの中間ボス
【ソン・ボンシ ク】
イ・ハヌィ
敵対組織のボス
【パク・ムン ス】
イ・チョルミン
囚人
【アウ】
キム・イルン
チソンの弟分
【チェ博士】
チョン・ギュス
麻薬製造者
【チョ検事】
イ・ヘヨン
チソンの担当検事
【ヤン・ヨイ ル】
チャン・ヨンナム
チソンの恋人
【ファイ】
ユ ン・ユソン
写真館主人

出演陣は、さすがにチャン・ジン ファミリーが多いですわね。

チョン・ジェヨンは、ちょっと演技力不足ではございますが、
チソン役にハマっております。
アクションもかっこいい。
チソンがかっこいいんだなぁ.......
これぞ、男だわ。
こんな男なら、ヤクザでも構いません。
そして、いい男の横には、いい女が。
チョン・ジェヨンの恋人役は、これまたチャン・ジン ファミリー、チャン・チョンナム。
拍手する時発ての女検事。
チャン・ジンは、男にしても、女にしても、
「かっこいい」生き様を心得ているのでしょうね。


チョン・ジュノは、公共の敵2に続いて二 度目。
まだファミリーとは言えませんが、今後も出演があるかもしれませんね。
チョン・ジュノといえば、ヤクザばかり。
本人も認めている演技力不足。
故に、できる役はコメディー映画のヤクザ。
この手のものなら、もう余裕が見られます。
今回は、ヤクザにコンプレックスを抱くヤクザ。
ヤクザには見えない、ちょっとモードなスーツでキメ、
しかし、これでキメキメになっては、知的でクールなアナーキスト のようなチョン・ジュノに。
あえて、おばさんパーマで奮闘しております。
アナーキストのような役も似合うのに ね。
演技力が必要なければ。

ファン・ジニ 映画版のリュ・スンヨン。
イケメンとは言えないのに、なぜかカッコイイ。
人間、己を磨かねばと思わされたり。

イ・サンフンはチャン・ジン ファミリー。
My Son~あふれる想い~では、無期囚の チャ・スンウォン見守る温かさに感 動。
演劇、ミュージカルだけでなく、ガン&トークス の助監督、特殊メイク、
北 朝鮮から来た男(SPYリー・チョルジン)の特殊メイクも担当。

ドラマ<魔王>で名を知らしめたチュ・ジンモ。
チュ・ジンモといえば、カンナさん大成功です! のチュ・ジンモでしたが、
今では、おじさんチュ・ジンモも負けてません。
正しく生きようのオトボケぶ りも最高 ですが、今回も笑えます。

<魔王>といえば、もう一人。この方、キム・ギュチョル。
<あの青い草原の上で>での、情けない三男坊はいずこへ?
<復活>や、今回のような悪役も違和感なし。

春のワルツのイ・ハ ヌィも、 チャン・ジン作品ではおなじみに。
このスットボケ具合が、チャン・ジン作品に見事にマッチ。

雪の女王のイ・チョルミン も、すっか りチャン・ジン ファミリーですね。
見ているだけで笑ってしまう独特のキャラクターを今回も生かしてます。
地なのか、演技なのかわからない(笑)

青春漫画や、ラジオスターのチョン・ギュス。
冒頭では、笑わせてくれます。

検事役のイ・ヘヨン。この人も、チャン・ジン作品の常連ですね。
黒い家では、殺害される心理学教 授。

房長の奥さんには、特別出演のキム・ドンジュ。
劇中のセリフ通り、年を重ねても美しい。
どこかで見たことあるんだけれど....
<ウェディング>のリュ・シウォン母に似てるけれど別人ですし.....

特別出演は、
チョン・ジェヨンの父に、八月のクリスマス
<ありがとうございます>、<銭の戦争>のシ ン・グ
映画の出演作もたくさんありますが、ちょこっとしか見れないので悲しい。
やっぱり、ドラマでじっくり見たい人ですね。

ユ ン・ユソン も特別出演。
人質となる写真館主人。
ユン・ユソンといえば、凛としたかっこいい役が多いですけれど、
この映画では、まったく別のユン・ユソンが見られます。
お茶目で可愛い
さすが実力派。幅が広いわ。



チソンはボスの命で麻薬製造の新技術を開発したチェ博士に手を組むよう交渉するが、
断ったチェ博士を刺し、全責任を自分で背負って刑務所へ行く。
チソンのボス、ヨンヒを何としても逮捕したいチョ検事は、
今回の件はボスの命だと白状すれば情状酌量してやるとチソンに持ちかけるが、
チソンはそれすらも拒み、自分一人で背負い込む。

かくして、懲役7年の刑に処せられたチソンは刑務所へとやってくる。
そして、そこで思いもよらぬ出会いがチソンを待っていた。
処刑されたと思っていた死刑囚、チソンとジュジュンの竹馬の友スンタンが生きていたのだ。

親友を救えなかったことが自責の念となっていたチソンは、喜びで胸が詰まる。
面会にやってきたヨンヒにも、喜びを隠せず笑顔で報告するチソン。
チソンにすぐに出れるようにすると告げるヨンヒだったが、
実はし、チソンに罪の全責任を負わせたまま始末するつもりだった。
チェ博士が、自分を刺したチソンを痛い目に合わせるよう取引の条件としてきたのだった。


チソンに7ヶ所刺さされ片足を失ったボンシクは、報復のためにチソンの両親を刺し重症を負わす。
その頃、チソンもヨンヒの命を受けたアウによって刺されていた。
喜びも悲しみも共に分け合ってきた愛しい弟分アウ。
アウがなぜ自分を刺さねばならなかったのかも、チソンは十分承知していた。
アウの罪を庇い、犯人を告げぬチソン。
チソンの弟分への愛。組員としての義理との狭間でアウは苦しみ、自殺してしまう。

チソンは治療のために刑務所から外出し、病院に入院することに。
それを聞きつけたジュジュンは、無理を言ってチソンに面会を申し込む。
両親がボンシクに刺されたことを聞かされ、憤るチソン。
しかし、ジュジュンは冷静に告げる。
おかしいと思わないか?
両親の件でも、組は沈黙している。
しかも、お前まで刺す必要がどこにある?
ジュジュンは、組がチソンを裏切ったことを匂わす。

何としても真相を確かめねば。
仇は必ず討つ。
チソンは抑えきれないほど憤る。

その頃チソンの同房たちは、脱獄を計画していた。
その仲間に加わるチソン。
ミョンシクは、脱獄して新しい系譜を作ろうとチソンに持ちかける。
かくして生まれた<偉大なる系譜>

あの手、この手で脱獄を図るものの、一向にうまくいかない。
その頃、ジュジュンは山奥で銃の訓練に参加していた。
引き金を引くにも逃げ腰の軟弱ヤクザ、ジュジュン。
目をつぶり、死ぬ思いで引いた引き金。
その弾は何と!以前ジュジュンに因縁をつけた兵士の操縦する飛行機に命中!
(んなアホな!)
その上、飛行機は刑務所へと墜落し、刑務所の外壁が破壊されてしまう。
(おじいちゃんが可愛いすぎ)


崩壊された壁から、我先と脱獄していく囚人たち。
チソンら、<偉大なる系譜>の面々も逃走に成功。
ただ一人、トイレで用を足していたナギョンが逃走できずに捕まってしまう。


ナギョンは拷問され、あることないこと全て白状してしまう。


<偉大なる系譜>の面々は、写真館に押し入り主人のファイを人質に取る。


房長の脱獄するための目的は、妻に会うためだった。
面会にも来れない妻。
それは、妻も刑務所に入っているためだった。
「すまない.....」
それが言いたかったと房長。
「これで会うのも最後ね」
と、妻は笑う。
「明日も来ようか?」
と笑う房長の言葉に、首を横に振り微笑む妻。
「絶対に捕まらないで」
夫を気遣う妻の愛。妻は夫の心を全て見抜いていた。
帰り道。涙が止まらない房長。

↓ 結末ネタバレ。ご注意を↓


「ここで別れよう」
チソンは、<偉大なる系譜>の面々に告げる。
復讐は、自分一人でやるべきだと。
そんなチソンの言葉に腹を立てるミョンシク。
既に仲間となった5人。
チソンを見捨てるはずもなく、運命を共にする。


ヨンヒのアジトへ乗り込むチソンら。
そこには、ジュジュンが待ち構えていた。
チソンらを取り巻くジュジュンの手下たち。
「こういう奴らばかりですまない....」
ジュジュンはチソンに詫び、タイマンでケリをつけようと申し出る。
手下たちに絶対に手を出すなと命じ。
チソンにまったく歯の立たないジュジュンは、一方的に殴られるばかりだ。
そんな騒ぎの中、ヨンヒはこっそり車でアジトから抜け出す。
それをみつけたチソンは一人車に乗り込みヨンヒの後を追う。
しかし、チソンの車の前にジュジュンが立ちはだかる。
「すまない。俺には組員としての義務があるんだ」
ジュジュンはチソンに銃を向ける。
チソンはジュジュンに向かって車を加速させる。
しかし、ジュジュンは引き金を引かず、そのままチソンの車に撥ねられる。
組員である前に、ジュジュンはチソンの親友だった。
血まみれのジュジュンを車に乗せ、ヨンヒを追うチソン。



その頃アジトでは、スンタンが自分をハメたウクを刺し殺していた。
長年の恨みをようやく晴らすスンタン。


ヨンヒの車をみつけるチソン。
しかし、警察に取り囲まれてしまう。



刀を握り締め、ヨンヒに向かおうとしたその瞬間。
銃声が。
目の前のヨンヒが、額から血を流し倒れている。
呆然とするチソン。
振り返ると、そこには血まみれのジュジュンの姿が......





チソンへの友情と組への義理のために苦しんだジュジュンの出した答え。
引き金を引くことにさえ怯えていたジェジュン。
愛する友のために、引き金を引いた。


思いもよらぬジュジュンの行動に愕然とするチソン。



そしてジュジュンは、警察の手により射殺されてしまう。






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