ひきこもり  the loner 
 原題:ひとりぼっち 외톨이 (ウェトリ)<2008>

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叔父と祖母だけの家族だが、不足することなく育った17歳の少女スナ(コ・ウ ナ)。

スナは親友の死以後、部屋の戸を閉めて引きこもりになってしまい、部屋に閉じこもって正体不明の相手と会話したり、家族の目の前で自殺を図ったりする など、ゾっとする行動を見せ始める。

叔父セジン(チョン・ユソク)の恋人で、引きこもり専門医のユンミ(チェ・ミンソ)は、スナの異常行動の背後には彼女の家族と関係する秘密があると直感 し、その実体を暴き始める。

そして、ついにスナの部屋の戸が開かれ、想像さえできないほどゾっとする結末に向かって進んでいく。
【予告編】
監督 パク・チェシク <2008>ひ きこもり

出演

チョン・ユソク <1999>ラ ブストリー ひまわり、<2005>ユア・マイ・サンシャ イン、<2007>リターン
<2008>ひきこもり
コ・ウナ <2006>サ ンデーソウル、<2006>残酷な出勤、 <2007>離れの選手とお母さん、<2008>ひきこもり
<2009>10億
チェ・ミンソ <2002> チャンピオン、<2004>非日常的な彼 女、<2005>かつ ら 鬘、
<2005>亡国のイージス(日本映画)、<2008>ひきこもり、 <2010>菜食主義者

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【チョン・セジ ン】
スナの叔父
チョン・ユソク
【チョン・ス ナ】
高校生
コ・ウナ
【チェ・ユン ミ】
セジンの恋
チェ・ミンソ
【祖母】
セジンの母
チョン・ヨンスク
【レビュー&ネタバレ】
2008年9月公開。観客動員数は、約7万5千人。
大コケも大コケ。
ですが、日本でのDVD発売が決定。
観れば納得。
かなり完成度の高い作品。
なのに、どーして韓国では動員数がふるわないのか。

萌香の法則。
韓国で は、完成度の高いホラー映画ほど観客 が入らない。

何度も言うようですが、韓国人はストーリーが破綻していても、
緊迫感が溢れ、単純にキャーキャー叫べる映画が好きなようです。

そして、この映画はホラーというよりもスリラーに近く、恐怖感が非常に薄いです。
また、この映画からホラー要素を抜くと、大人向けのストーリー。
せつなく悲しい悲劇のラスト。
このせつなさは、若者にはわからないかもしれないですね。
ホラーのターゲットは、いわゆる若者層。
故に、韓国での動員数がふるわなかったのでしょう。

萌香は、この映画のような、せつなく悲しい余韻の残る映画が好きです。
最後のメールから、愛と憎しみの狭間で葛藤する気持ちがせつせつと伝わってきます。
オススメ度は○ですが、気持ち的には◎にしたい。
でも、好みは人それぞれですから。
万人にウケる映画ではないと思います。

交錯する愛が招いた悲劇。
愛と憎しみは紙一重。
ほんの少しの選択の誤り... しかし、どんなに後悔しても還らない。

萌香は、次のセリフに感嘆しました。

   喉が枯れるほどあんたを呼んでも、聾(ろう)のように無視した。
   私たちが痩せこけても、盲人のように見なかった。
   あんたが愛してると言えば、私たちは生き延びれたのに、あんたは唖(あ)のように沈黙した。

とても感性的で、詩的なセリフですね。

脚本も完璧ではありませんが、練りに練っています。
ネタバレしないで観た方が絶対に楽しめます。
また、一度観ただけでは気づかない面や伏線が多いです。
二度目には、一度目には気づかなかった面に納得でき、違う楽しみ方ができると思います。
バラしたらつまらなくなる重要なネタがあるのですが、ストーリーを書くのが難しいですね。
そのネタだけはバレないように書くので、ちょっとおかしなことになるかもしれません。
画像には、ヒントを残しておきます。

驚いたのは、韓国でも「ひきこもり」は「ひきこもり」と呼ぶようです。
あらすじに「히키코모리」と書かれていて驚きました。セリフにも「ひきこもり」とあります。
「ひきこもり」は、日本特有のものだという証拠ですね。

ホラー要素は少ないですが、食事中に観るのは避けましょう。
萌香は後悔。
食事中でなくとも、気持ち悪い............
虫が這いずりまわります.........

ちなみに、主役はコ・ウナではなく、チョン・ユソクです。
萌香は好きなんだけどな。


↓  結末まで簡単にストーリー紹介(結末ネタバレ) ↓




学級委員のスナと、いじめられっ子のハジョンは大の親友。
ハジョンは最近チャットで、ひきこもりのミジョンと友達になったことを語る。
ミジョンは養父にレイプされており、ひきこもりになり、毎日養父と自分を捨てた実父を呪っているという。
ハジョンはそんなミジョンを羨む。
自分もひきこもりになり、いじめた相手を呪いたいができないとハジョンは笑う。




スナは両親を交通事故で亡くしたが、祖母と叔父と三人の暮らしに不満もなく幸せだった。
唯一の不満は、叔父の恋人ユンミとそりが合わないこと。
スナはユンミに対し、嫌悪感を露にし、反抗する。




しかしスナの両親が亡くなったというのは嘘で、実は実母のソンイは生きていた。
ソンイが十数年ぶりにスナの叔父セジンに会いに来たことで、祖母はソンイを罵り杖で打ちのめす。




一方、いじめで追い詰められたハジョンは、ひきこもりになってしまった。
しかし、担任に脅され謝罪に来たウニの前で首を斬って自殺してしまう。




ハジョンの自殺にショックを受けるスナ。
しかしスナは別の悩みを抱えていた。相談する相手を失ったスナは部屋に閉じこもりひきこもりになる。




数日ぶりに食卓に姿を現したスナ。
しかしスナは変わってしまった。食べ物を手づかみで汚らしく頬張り、反抗する。
そして、ある話を聞かせる。
昔ソンイという女子高生がいた。ソンイは家庭教師の大学生と恋に落ち、子供も生まれたが、
2人は男の母に無理矢理引き裂かれたと。
その後、ソンイは惨めで辛い人生を送ったとスナは怒りで震えながら語る。
ソンイは別の男と結婚したたが、その男は毎日ソンイを殴った。
そして、2人の間に生まれた子供は何も知らず、父親を叔父と呼びながら17年間育てられた。
スナは憎しみの目で高笑いしながら涙を流した。




部屋にひきこもったスナを、ひきこもり専門医のユンミは説得しようと語りかける。
しかしドアをぶち破って突き出たドリルがユンミの耳に当てられた携帯電話に突き刺さり、ユンミも脅える。




それと同時に、奇々怪々な出来事が起き始める。
飼い犬が殺され、家政婦が肥溜め(ですよね?)に閉じ込められる。
すべてスナの仕業だった。
「これが始まりよ。心臓をえぐられる痛みを思い知らせてやる」
スナは高笑いする。




部屋にひきこもったスナを見かねた祖母は、ハシゴでスナの部屋へ入ろうとするが、
スナにハシゴを蹴られ、二階から落ちて寝込んでしまう。




怒ったセジンはスナのドアをこじ開けようとするが、スーっとドアが開き、スナが片手を差し出す。
そして、自分の手首をカッターで切り裂く。
「ドアを開けようとすれば、今度は首を斬る」
スナはセジンを脅す。




二階の物音に腹を立てた祖母はスナの部屋に向かい階段を上がる。
すると、杖の先についていた水晶が足元に転がってくる。それはソンイの家で落としたものだ。
そして、目の前にスナが。
驚く間もなく、スナの足元から手が伸び、祖母を階段から突き落とし、祖母は亡くなる。




セジンは、ソンイの居場所を刑事の友人クノに捜してもらうが、ソンイは既に死んでいた。
深夜汽車に轢かれたと。たぶん自殺だろうと。
そしてセジンが部屋に戻ると、窓に血文字が。
「おまえのせいだ。おまえが殺した」
セジンは驚愕する。




怒ったセジンはスナの元へと向かう。
すると、スナは廊下で脅えながらうずくまっていた。
「私じゃない。私は何もしてない」
スナはそう訴えて部屋の中へと消えてしまう。
セジンは一大決心し、スーツをしっかり着込み、スナの部屋の前で椅子に座って語りかける。
セジンは叔父ではなく、スナの実の父だった。
そして、ソンイを捨てたのではないと。
本当に愛していた。
誰よりも早く出世して、ソンイを幸せにしたかった。
だから、軍隊にも志願した。だが、除隊してみると、ソンイは既に他人の妻になっていたと。
おまえにも、何度も真実を告げようとしたが、あまりにも時間が経ちすぎていた。
もし... 自分が大人になってからソンイと出会っていたら、あんな愚かな別れはなかったと。
しかしスナは受け入れない。
例え一年かけて説得しても無駄だ。17年も騙されて暮らしてきたのに、信じられるかと。
それが本心なら、母のように汽車に飛び込めとスナは言い放つ。
「なぜ、それをおまえが?」
自分はついさっき知ったばかりの事実をスナは知っていた。




スナに「死ね」と言われ、失意に陥るセジン。
そんなセジンに、ソンイの霊が愛しそうに寄り添っていた。
それを観たスナは、母がまだセジンを愛していることを知る。




セジンは意を決し死のうとするが、なかなか死に切れない。
ナイフを手にしたところにスナが姿を現し、セジンはスナの後を追いかける。




一方ユンミは、亡くなったソンイの家を訪ね、驚くものを発見した。
壁に描かれた家族四人の絵。
それは、先輩から借りたひきこもり患者の資料の中にあった絵と同じものだった。
患者の名前は、キム・ミジョン。
ユンミはスナの家へと急いで向かう。




ガラス(廊下じゃないし、なんでしょう)の上を歩くスナに驚くセジン。
危ないから戻るよう、何度も許しを乞うセジン。
しかしスナは怒りを露にする。
喉が枯れるほどあんたを呼んでも、聾(ろう)のように無視した。
私たちが痩せこけても、盲人のように見なかった。
あんたが愛してると言えば、私たちは生き延びれたのに、あんたは唖(あ)のように沈黙した。
セジンはスナの言葉に何も言えない。



「永遠に復讐してやる」
そう言ってスナは飛び降りるが、寸前のところでセジンが腕を掴む。
その時、背後からスナの声が聞こえた。
「アッパ、やめて!」
スナは泣きながら訴える。驚愕するセジン。
「おまえは誰だ?」
セジンはうろたえる。




「おまえが全てを招いた!やられた分だけ返してやる!」
それを聞いたセジンは、「この悪魔...」と、掴んでいた手を離してしまう。




必死にセジンの腕を掴む謎の少女。
「アッパ、また私を捨てるの?」
少女は悲しい目でみつめ、そして、落ちて行った。愕然とするセジン。




落ちていった少女の背中には、噴水の装飾の槍が突き刺さり、少女は亡くなった。




スナは入院し、全てを語る。
オンマは自分を妊娠した後すぐにまた妊娠した。それが可哀想な私の妹のミジョン。
オンマは祖母にまた奪われたくなくて、すぐに別の男性と結婚した。
祖母のことも憎んだ。だからミジョンと組んだの... 最初は何も考えず....

スナを見守るセジンの元へ、刑事の友人クノがやってくる。
ミジョンの養父は、1年前にミジョンが実の娘でないことを知り、それからミジョンを犯していた。
ソンイの死も、その男キム・サンギュが絡んでおり、指名手配したと告げる。
怒りと悲しみと後悔で震えながら涙を流すセジン。




セジンの元へミジョンからメールが届く。それは、送信予約したメールだった。
メールを送信する日を何度も変更したと、ミジョンの心の葛藤が記されていた。
私とオンマの人生を奪ったアッパの選択が恨めしく、
キム・サンギュに犯される度に、その憎しみが大きくなった。
私の人生を償わせ、オンマの恨みを晴らすにはこれしかないと思った。
オンマが亡くなった後、スナ姉さんが私を家に入れてくれ、アッパに内緒で一緒に暮らそうと言った。
ここへ来て一週間後、スナ姉さんがアッパを苦しめる計画を中止しようと言ってきた。
でも、それは出来ない。
毎晩現れる可哀想なオンマ。
でも、アッパが部屋の前で語ったことが本心だとわかった。
オンマには申し訳ないけど、だんだんアッパが気の毒になってきた。
私のせいで苦しんでいる。
眠れず、やつれていく姿に胸が痛む。
オンマが許してくれるなら、アッパと一緒に暮らしたい。
みんなで一緒に... 永遠に....




セジンはミジョンのメールを読みながら、自分を責めた。
そして、今度はセジンがひきこもりに....

END

ハジョンとの会話の中に出てきた少女がミジョンだったのですね。
そこから、スナとミジョンも繋がっていったわけで...
こんな細かい伏線、一度観ただけじゃ気づきにくいです。
ストーリーでは「スナ」と書いてますが、ミジョンだとわかるシーンがいくつもあります。
ポイントは、シルバーのヘアピン。
スナと思い込ませていたのが、ほとんどがミジョンだったわけです。



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