春の日は過ぎゆく  One Fine Spring Day 
 原題:春の日は過ぎゆく 봄날은 간다(ポムナルン カンダ) <2001>

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春の日は過ぎゆく

春の日に竹林をかすめる風。小川のせせらぎ。自然に埋まっている音を尋ね歩く男 がいる。いつか消えて しまう音を録音するサウンド・エンジニアのサンウ(ユ・ジテ)は、痴呆にかかった父方の祖母と若い時に妻を亡くした父、父方の叔母と一緒に暮らしている。

ある冬彼は、カンヌン(江陵)ラジオ放送局で仕事をするPDJ(プロデューサー兼アナウンサー)のウンス(イ・ヨンエ)と出会う。そして、自然の音を採集 し再生するという彼女の番組のための録音旅行をすることになる。

真っ赤な襟巻を巻いた真っ白な顔のウンスと会ったサンウ。風が吹く竹林。すこし距離を置 き、それぞれマイクで音を聞いていた2人。風景音を取りに行った山寺に夜が訪れ、雪が降る。真夜中、サンウを起こしその瞬間を録音するウンス。白く暖かく 降る雪と彼らの感情が小さな幸せを感じる。

しかし、春を過ぎて夏を迎える頃、彼らの愛に少しずつ変化が生まれ始める。熱病のような愛に陥ったサンウとは違 い、離婚経験があり、愛という感情に距離を置くウンスは、時間が経つにつれサンウを負担に感じ始める。

【予告編】


監督

ホ・ジノ(許秦豪)

<1998>八 月のクリスマス、 <2001>春の日は過ぎゆく、 <2004>20のアイデンティティ
<2005>四月の雪、<2007>ハピネス、<2009>五感図 segment 2 <私、ここにいます。>、
<2009>きみに微笑む雨

出演

ユ・ジテ(劉 智泰)

出演作品一覧
イ・ヨンエ(李英愛) <1996>イ ンシャラ、<2000>JSA、 <2001>ラスト・プレゼント、 <2001>春の日は過ぎゆく
<2005>親 切なクムジャさん

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【レビュー&ネタバレ】
ホ・ジノ作品を一作でも観たこと がある方は、
ホ・ジノ作品がどういうものかおわかりでしょう。
この作品も同じです。
<八月のクリスマス>や<四月の雪>は、ちょっと心惹かれるものがあるけれど、
この<春の日は過ぎゆく>は、最もダルい。
ホントに途中で寝ました。
<八月のクリスマス>では、死にゆく青年の死へのカウントダウンを
淡々と描いておりますが、
こちらは、終りゆく男女の愛を淡々と描いております。
ウンス役は、シム・ウナを想定していたそうだけど、
芸能活動休止中で、イ・ヨンエを抜擢。
もし、シム・ウナだったら・・・
もっとウンスに感情移入できたような気がするわ・・・
イ・ヨンエの演じるウンスは、ちょっと勝手で腹ただしくて・・・

年下の男と、離婚暦のある年上の女。
熱病のように女を熱烈に愛する男と、愛に対して距離をおく女。
二人の温度差。
男の愛が負担になっていく女。
そんな女は悪女なのか?不実なのか?
儒教の思想が根強く残っている韓国においては、
女性側のこのような恋愛は、批判の対象にもなるでしょう。
女が耐え忍ぶ・・・
そんな時代を覆し、男が耐え忍ぶ・・
そんな映画。
ある意味、この映画のヒロイン、ウンスは斬新なのかも。
春の日が過ぎゆくように、どうしようもなく移りゆく人間の心というものを描いた文学的作品。
季節感溢れ、自然の情緒ある風景と共に、美しく描かれているわ。

一方、ウンスに熱を上げる年下の男サンウは未練がましい。
「もうかけないで」と言われた携帯電話を握って、一日中寝ている。
女のアパートの前に行き、車の中で一晩過ごす。
夜中、酔っ払って女の家に行き、「昔に戻ってくれ」とだだをこねる。
女が新しい男と一緒にいるところを目撃し、
逆上して女の車に傷をつける。
過去の作品では、完全に男女逆で描かれていたパターン。
女が社会に進出することにより、
韓国での恋愛の在り方も確実に変わっていることが見て取れます。

二人に間に決定的な溝を生んだのが、
「キムチ漬けられる?」というサンウの言葉。
離婚を経験し、恋愛において自由でいたいウンスと、
結婚を意識するサンウとの温度差。
それがこのシーンに表れている。
愛したら、最後まで責任を持たねばならないのか。
価値観の違いから愛が覚めていくのは、罪なのか。
永遠のテーマでありますが、
やっぱり、一方だけが愛にのめりこみ、
一方が覚めていく愛はせつない・・・
苦しみ、泣いて、
そして、ようやく見せたサンウの笑顔が痛ましい・・・

音楽と映像は、ひたすら優しく、美しく、
疲れた時に観たくなるかも。




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