羽根  Feathers In The Wind   
 原題:羽根 깃(キッ)<2005>

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羽根

映画監督ヒョンソン(チャン・ヒョンソン)は、初恋の相手との約束を果たすため に、済州島の隣りの小 さ な島、牛島(ウド)へ行く。
オフシーズンの物静かなモーテル207号室。
この部屋は、ヒョンソンが10年前に初恋の相手と泊った部屋だ。
ヒョンソンは、そこで叔父の代りにモーテルを管理する明るくて純粋な女ソヨン(イ・ソヨン)に出会う。翌日、約束した初恋の相手は現われず、誰が送ったの か分からない謎のピアノが、ヒョンソンの元へ送られてくる。
台風に足止めされたヒョンソンは、何日か滞在を延ばすことになるが...

【予告編】

監督 ソン・イルゴン(宋一坤) <2001>フラワー・アイランド、<2004>スパイダー・フォレスト 懺悔、<2005>羽根、<2005>マジシャン ズ

出演

チャン・ヒョ ンソン

<1999>シュ リ、<2001>ベサメムーチョ、<2002>ライターをつけろ、 <2003>吹けよ春風
<2004>スパイダー・フォレスト 懺悔、<2004>天国からのメッセージ、<2004>春が来れば、
<2005>羽根、<2005>強力3班、<2005>オーロラ姫、<2006>ロマンス、 <2006>マジシャンズ、
<2006>私たちの幸せな時間

イ・ソヨン

<2003>スキャンダル~朝鮮男女相 悦之詞~、<2005>羽根
<2005>日韓合作 まぶしい一日 episode3 空港男女、<2007>覆 面ダルホ

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【レビュー&ネタバレ】
ミニシアター映画か、インディー ズ映画のような作品。
デジタル撮影で10日間で撮影されたというこの映画、
古めかしいというか、懐かしいというか・・・
ザラザラした質感でありながら、ドキュメンタリーのようなリアルな映像。
古いフランス映画のような映像と音楽・・・
というか、いつの時代のだよーという感じ。
やっぱりアジアはアジア。
古い日本映画に近いのかしら。
タイトルバックの映像と音楽には、思わず苦笑・・・
↑ポスターの真ん中の小さなイ・ソヨン。
この衣装でイ・ソヨンがタンゴを踊るのだけれど・・・
劇中でも、突然イ・ソヨンが華やかな装いでタンゴを踊りだすシーンもあって・・・
これはイ・ソヨンの空想を映像化したわけ?と、
かなり、なんなのー!な要素も多し。

観客動員数3千人にも満たないこの映画。
好きな人にとってはたまらなく、
そうでない人にとっては退屈きわまりない映画。
mocaにとっては、もちろん後者(笑)
正統派純文学作品といったところでしょうか。
ある意味、とても貴重な作品では?

主演はチャン・ヒョンソンと、イ・ソヨン。
イ・ソヨンは、新入社員や春のワルツと は打って変わって、
田舎の純朴な少女を演じてます。
すっぴん(だと思います)で、飾り気のない少女が、予想外にピッタリ。
今までで一番輝いていたわ。
この映画の監督、ソン・イルゴンとは、交際宣言してます。
(2007年4月頃破局)

舞台は、ロケ地のメッカ、牛島(
우 도)
牛島と書いて「ウド」と読みます。
初恋のアルバム」、「連理の枝」、 「イルマーレ
イルマーレは、海の上の家ではなく、イ・ジョンジェがチョン・ジヒョンのために建てた家のある場所。
済州島(チェチュド)の島の一つで、
済 州島の中で一番大きな島。
面積は200万坪、南 北3.5km、東西長さ2.5kmの火山 島。
城山浦航船場から船 で、往復:大人2,000ウォン


(牛島:右上に浮かぶ小さな島)


この牛島の純朴で美しい風景が、
人間の心情を淡々と描いているこの作品を彩っているわ。
描き方としては、「八月のクリスマス」に近いものがあるか も。

主人公ヒョンソンは映画監督。
初恋の相手と10年前に「ここで再会しよう」と約束し、
10年ぶりに「牛島」にやってくる。
二人は、ヒョンソンが軍隊に、ピアニストを目指す彼女がドイツへ留学し、
しだいに心も離れ、別れてしまっていて、
ドイツに渡った一年後に、ドイツ人と結婚します、と彼女は手紙を送ってきて・・・
彼女と再会したいような、したくないような・・・
約束を覚えているのか、いないのか・・・
会っていったい何を話したらよいのか・・・
ヒョンソンの胸の内を淡々と描いているわ。
そして、結局彼女は現れず、その代わりに送り主不明のピアノが届く。
ヒョンソンは、送ったのはきっと彼女だ・・・と悟るが、
それ以上のことは何もわからない。

この映画に実際に登場するメインキャストは
ヒョンソン、ソヨン、叔父さん、叔母さんの4人だけ。
それ以外は、ピアノを配達する配達員や、ソヨンの妄想の中のダンスの相手くらい。
この叔父さんはなぜか似合わない金髪で、
1年前に叔母さんが家を出て行ってしまってから、一言も口を聞かなくなってしまったという。
この叔母さんが突然帰ってきて、
無言で叔母さんを抱きしめる叔父さん、
そんな二人の姿を見て安心するヒョンソン。
本当に、そういった細かなことを淡々と描いているの。

美しい牛島で、ゆるやかな時間を過ごす、普通の島の日常生活・・・
ソヨンとヒョンソンが少しずつ心を寄せ合う心情・・・
一緒にお酒を飲んだり、タンゴを踊ったり・・・
ヒョンソンのために執筆する空間を演出してあげたり、
一緒に石積みをしたり・・・
けれど、ヒョンソンはただの旅行者で、
その先に踏み込むことに躊躇する複雑な心情・・・
映画的なドラマティックなセリフではなく、
より現実的な二人の会話や行動から、それを感じ取ることができるわ。
「来年の今日、ソウルで会おう。宗廟 正面門で午後2時」
「イヤよ。私、待つのは嫌いなの」

ある日、ソヨンがピアノの中から手紙をみつける。
ヒョンソンの初恋の相手からだった。
初恋の相手は、約束を覚えていたし、
ヒョンソンにとても会いたがっていることが記されていた。
そして、彼女は、乳癌で左乳房を失い、今も入院中だと。
抗癌剤で髪が抜け落ち、とても見せられない、と。
ヒョンソンは、彼女のことも、彼女の夫のことも、
心のどこかでは憎んでいて・・・
けれど、この手紙を読んで、彼女を許し、彼女の夫に感謝をするの。
ヒョンソンの心の変化。
それが、ワールドカップでドイツを応援しなかったヒョンソンが、
ワールドカップでドイツを応援しようと心境が変化することで、
見事に、ユニークに描かれているわ。


そろそろ結末よ。


そして、ヒョンソンはソウルに帰ることになり、
お互いへの想いを胸に秘めたまま、別れを告げるソヨンとヒョンソン。
ソヨンは雨の中傘を差し、道に座り込む。
それを見ていた叔父さんは、無言で雨合羽をソヨンに差し出す。
スクーターの後ろにソヨンを乗せ、港まで走る叔父さん。
船はもう出港した後だった。
船の上のヒョンソンに向かって叫ぶソヨン。
「その日、会いましょう。私達、会いましょう」と、
1年後に再会を約束する二人。

ソヨンが、叔父さんを 「本当は優しい人なのよ」と言ったよう に、
最後に、優しい叔父さんだと感じ取ることができるわ。
派手な演出やセリフではなく、
本当に現実的なセリフや行動で、
それぞれの人間の心情や性質を描いているのは
見事かもしれないわ。


1年後─

ヒョンソンは約束の場所、
宗廟 正面門でソヨンを待つ。
時間を過ぎても現れないソヨン。
帰ろうとしたその時、ソヨンが現れる。
ソヨンは誓った通り、 大学に合格し、ソウルに上京したのだ。
笑みを浮かべ、手を振り合う二人。

END

こんな可愛くて、性格もよくて・・若い女の子が、
こんな冴えない男でいいの?と思ってしまうのですが・・・?
この頃の女の子にとっては、30代の大人の男というのは、
とても魅力的なのかもしれないけれど・・・







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