霜花店(サンファジョム)-運命、その愛  Frozen Flower 
 原題: 霜花店 쌍화점(サンファジョム) <2009>

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元の支配を受けた高麗末期。親衛部隊<乾竜衛(コルリョンウィ)>の隊長ホンニ ム(チョ・インソン)は、国内外の 危機に置かれた王(チュ・ジンモ)を補佐しながら警戒を緩めない。

しかし、後嗣問題を口実にした元の無理な要求が続き、正体不明の刺客たちが王の命を威嚇する中、王は重大な決定を下す。

王の命令ならば、命のように従うホンニム。王は、高麗の王位を継ぐ子を得るために、ホンニムに王后と交わるよう命じる。

衝撃と欲望が交錯するその夜、三人の運命がうず巻き始める。禁じられた愛と歴史の狂風にまきこまれた彼らの大叙事が始まる。

日本公式サイト:http://frozen-f.com/
【予告編】
監督 ユ・ハ(柳河) <2002>情 愛、<2004>マルチュク青春通り、 <2006>卑劣な街
<2008>霜花店(サンファジョム)-運命、その愛、 <2011>ハウリング
出演
チョ・インソ ン(趙寅成) 出演作品一覧
チュ・ジンモ (朱鎮模) <1997> 朴対朴、<1999>ダンス ダンス、<1999>ハッピー・エンド、<2000> リアル・フィクション、
<2001>MUSA-武士-、<2001>ワニ&ジュナ~揺れる想い~、<2004>ライアー
<2006>頭脳遊戯プロジェクト、パズル、<2006>カンナさん 大成功です!、<2007>愛 サラン
<2008>霜花店(サンファジョム)-運命、その愛、<2010>男たちの挽歌、<2011>珈琲

ソン・ジヒョ(宋智孝)

<2003>狐 怪談、<2004>サム~Some~、 <2007>セックス イズ ゼロ 2
<2008>霜花店(サンファジョム)-運命、その愛、 <2010>あなたを愛しています
シム・ジホ(沈知浩) <2005>秘蜜(緑の椅子)、<2007>ファムファタール(無防備都市)
<2008>霜花店(サンファジョム)-運命、その愛

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【レビュー&ネタバレ】
2008年12月30日、韓国公開。観客動員数は、約380万人の大ヒット!
ソン・ジヒョのヌード、チョ・インソンとの絡み、
チョ・インソンとチュ・ジンモの男性愛に、どこまで踏み込むのか、
そんな話題で注目を集めた霜花店。
これは予想以上に激しいものでございます。
誇張広告ではございません。
そして何より、見応えのある映画でございました。
いろんな話題で注目を集め、中身で勝負できる映画.... それは素晴らしいと思います。
ともかく、せつない.....
その一言。
何とも言えない、せつない余韻が残ります.......
完成度は高くはありませんが、観て損はないでしょう。
秘密の愛に陥ってしまったチョ・インソンに対するチュ・ジンモの疑心により、
ホンニムの心がどんどん追い詰められていく過程は、ハラハラします。
とにかく、チョ・インソン、チュ・ジンモ、ソン・ジヒョの熱演に、ただ、ただ、拍手。
ちょっと、チョ・インソンが<美少年>のイメージとは、ちょっと違うような気はしないでもありませんが....
青ジョリも気になって.....(笑;)
しかし、チュ・ジンモと、ソン・ジヒョが、あそこまで見事に演じきるとは思いもしませんでしたね。
どちらかというと、演技力不足な俳優というイメージがあった二人なので....
王と、王妃、気高く、激しく、威厳があり、美しく.... 凛と咲く花のように。
貫禄がありましたね。
二人は現代劇よりも、史劇が似合いますね。
とにかく、ソン・ジヒョがあんなに美しいとは思いませんでした。
チョ・インソンに抱かれなければならず、涙を流すシーンのソン・ジヒョの美しさは衝撃です。
チュ・ジンモも、史劇の中の華麗な衣装がホント、似合います。
MUSA-武士-のチュ・ジンモも美しかったです ね。
あの、とんがった鼻が気にならない(笑)

そうそう、話題の真実はどうなのかと気になる方(笑)
期待してよいですよ(笑)
韓国版ラストコーションか!(←観てないけど)という程の激しさです。
ソン・ジヒョも、チョ・インソンも、危険地帯まで見えちゃうんじゃあ?と、心配になるほど(笑)
ソン・ジヒョも、覚悟を決めましたね。
画面キャプチャは貼りませんので、本編で確認してみてくださいませ。
まぁ、SEXシーンばかりが多くて、ちょっとウンザリ気味のmocaちゃんですが......

チョ・インソンとチュ・ジンモの絡みの方ですが、
これも激しいでございます。
ここまでやるとは思いませんでした。
けど、「義理でやっている」という感じがして、ちょっと残念。
後悔なんてしないのキム・ナム ギル(イ・ハン)と、イ・ヨンフンの男性愛を観てますからね......
あれは凄かった!
激しさはないものの、とにかく自然で、愛し合っている感じが爽やかに伝わってきて....
二人はホントはゲイなんぢゃ?と、疑ってしまうほど。
あれが「本物の演技」でしょう。
チョ・インソンと、チュ・ジンモの演技は、「偽物」の香りがプンプン。
観ていてよいものではないですね。

この映画の失敗点は、主人公であるホンニムに感情移入がしにくいこと。
あまりにも、ホンニムと王妃はSEXばかりしているものだから、
初めてSexを知り、欲情し合ってしまったようにしか感じられない。
あの二人の間に「愛があったのか!」と、驚いてしまう。
二人の間に愛があることを感じられるのがあまりにも遅すぎて、
ホンニムと王妃に感情移入できぬまま、終わってしまう。
mocaとしては、王であるチュ・ジンモが、哀れで、せつなくて.......
一番感情移入してしまいました。
王妃がホンニムの為に用意した霜花餅のシーンが一番、王妃の気持ちが伝わってジンと来ました。
あれがなければ、あれほどまでにホンニムを愛している王が哀れでなりませんでした。
けれど、ホンニムは自らを犠牲にする覚悟で自分を救おうとした王妃の愛が「本物の愛」で、
初めて「愛」とは何か、知るわけですね。
王の愛は、「愛」ではなく、「エゴ」であり、「執着」であると......
それでもmocaは、最後まで、王が可哀想で、せつなくて、結末に納得いきませんでした............
チョ・インソンの演技が、チュ・ジンモ相手の時は「義理」のように感じ、
ソン・ジヒョ相手の時には、「愛おしさ」を感じたのは、演出だったんでしょうかねぇ.....
moca的には、王に対し、「一度は愛した」と言って欲しかった。
惨いラストでした....
王が見た夢のように、二人で馬に乗り狩をするシーン。
あれが、更にせつなさ倍増でしたよね。

とにかく、セットや衣装は豪華絢爛ですし、
アクションも華麗で、圧巻です。
ラブストーリーとしても、史劇としても、見応えがあります。
こういう異色な史劇は、面白い試みであり、成功ではないでしょうか。
ただ、長いのよね。2時間半近くですから。
なのに、中身はうす~い。

さて、遅くなりましたが....
誰もが、「霜花店」とは、何ぞや?と、思われたことでしょう。
朝鮮に昔から伝わる有名な民謡に、「霜花店」という唄があるのです。
その「霜花店」の内容が、「霜花」を売る店で繰り広げられる、
儒教の道理に背くような、世俗的な蜜愛を唄ったものなのだそうです。
それはどういうものかといえば.....
スキャンダル-男女相悦之詞のようなもの、 といえばわかりやすいでしょうか。
そして、「霜花」は、「サンファ」と発音し、
日本で言う饅頭のようなものが、「サンファ」と、音が同じなのだそうです。
劇中で、王妃がホンニムに差し出したお菓子のことだと思います。

【ホンニム】
乾竜衛 隊長
チョ・インソン
【コンミン王】
高麗の王
チュ・ジンモ
【王妃】
高麗の王妃、元の王女
ソン・ジヒョ
【スンギ】
乾竜衛 副隊長
シム・ジホ
【ハンベク】
乾竜衛
イム・ジュファン
【テアン公】
王妃の実兄
チョ・ジヌン(友情出演)

そして、36人の美少年で結成された乾竜隊も、話題の1つ。
そのわりには、シム・ジホと、雪の女王の イム・ジュファンくらいしか、「美」少年がみつかりませんが?(笑;)
この二人も適役でしたね。
ファムファタールで見初めてキャスティ ングしたというシム・ジホ。
チョ・インソンと敵対する冷血でリアリストな副隊長がピッタリとハマっておりました。
そして、これぞ「美少年!」のイム・ジュファン。
あまりにも惨くて、王を恨みたくなります....
美しく、そして強く、義理に厚い男でございました。

そして、気になったのが、チュ・ジンモの子役!
あれですよ!アレ!
<ガラスの華>のドンジュ(イ・ドンゴン)の子役イ・プンウンです!
こんなに成長したんだぁ。
何とも言えない存在感があって、将来楽しみです!

ちなみに、チョ・インソンの子役は、サッド・ムービーのヨ・ジン グです。

* * *

時は元の支配下に置かれた高麗末期。
高麗の王は、自らの護衛に当たる護衛隊<乾竜隊>を36人の美少年で結成し、
幼い頃から育て、寵愛した。
中でも、ホンニムだけを側に置き、何をするにでも一緒、特別に寵愛した。
王は、女性を愛することができなかった。
そう、ホンニムは、王の愛人であった。
そんなわけで、王と、元から嫁いできた王妃との間に子ができるはずもなく、
その後継者問題につけこみ、元は高麗に対し、無理な要求ばかりをつきつけてきた。
そればかりでなく、王は正体不明の刺客たちに命を狙われ、危うく命を落とす危機に陥った。
隊長である自分が王を守れず、こんな目に遭わせてしまった...
ホンニムは自分を責め、自分の命を以って許しを請いたいと王に願い出た。
しかし王は、「お前でなければ、私は既にこの世の者ではなくなっていた」と、ホンニムを庇う。
まだホンニムの幼い頃、王は乾竜隊の面々に尋ねた。
「忠誠とは何だ?」と。
ホンニムは、「王に命を捧げることです」と答えたのだった。
そのホンニムの言葉に、まだ若かった王は衝撃を受け、
ホンニムに対し、特別な目を向けるようになったのだった。
ホンニムのことを想い、ホンニムの喜ぶ顔が嬉しく、ホンニムだけが信じられた。
しかしその陰では、王妃は寂しい想いをしていた。
他国に嫁ぎ、頼れる者は王だけであるのに、王の心の中にはホンニムだけしかいないのだから。

そんなある日、王妃は後継者問題をもっと真剣に考えて欲しいと王を諭す。
王も、元からの無理重なる要求に苦渋の想いであった。
しかし、自分は女を抱けない。
王は決断した。
自分の最愛の人であるホンニムの子を、王妃に生ませようと。
王は、王妃とホンニムに、子を作るよう命じる。
うろたえる二人。
自分には王がいるのに、酷い仕打ちだ.... と、ホンニムは王の言葉を信じられない。
王妃も、「そこまで自分を侮辱するのか」と、王を憎んだ。
しかし王の命には逆らえず、二人は床を共にすることになる。
だが、ホンニムがためらいながら王妃を抱こうとすると、王妃は涙を流した。
そして、扉の向こうには王がいる。
ホンニムの気持ちは萎え、王妃を抱くことはできなかった。
しかし、「機会はあと2回しかない。心を決めよ」と、王に諭される。
ホンニムは覚悟を決め、王妃を抱いた。
扉から漏れる二人のあえぎ声に、王はたまらない気持ちになり、
扉を開け、中の二人を覗き見し、耐え難い気持ちになる。

しかし翌朝、王は涼しい顔をして「初めて女を抱いた気持ちはどうだ?」と、ホンニムに尋ねる。
「王の命に従ったまで」と、ホンニムも顔色を変えずに答えた。

しかし、それ以来、ホンニムの頭から、王妃のことが離れない。
任務を抜け出し、王妃 の姿を覗き見し、
謎の刺客の襲撃の際に王妃が失くしてしまった、
大切な香箱と似た香箱を、思わず買い求めてしまう。
しかし、買ったはいいものの、渡すべきではないと、思い悩む。
そんなホンニムの気持 ちも知らず、王は城外へ調査に出かけたホンニムの身を案じ、
庶民の姿をし、城外までホンニムの様子を伺いに来るほど、ホンニムのことを愛していた。
そんな王の心を察し、王妃のことを忘れようと、王へ寄り添うが、忘れらることができない。

そんな時、王妃が熱心に祈祷に励むあまり、高熱を出してしまった。
ホンニムはいてもたってもいられず、高熱に効く薬を煎じ、王妃の侍女に持たせた。
しかし、ホンニムが高熱のための薬を煎じていたことを耳にした王は、我が耳を疑う。
もしや、ホンニムが王妃に?
なぜ?
もしや........
王の心の中に不安がよぎる。
「お前の煎じる薬は高熱によく効く。王妃に届けてはどうだ?」と、誘導尋問をする。
王の言葉に、ホンニムも動揺する。
「既に医者がよい薬を調合したのでは?」と、はぐらかす。
「確かに、表向きがよくない」と、王はそれとなく、ホンニムに釘を刺す。

そして、二度目の合宮(子作り)の日の話が出ているが、先延ばしにすると
王は王妃と、ホンニムに告げる。
動揺するホンニム。
王妃への想いが断ち切れないホンニムに対し、王妃は涼しい顔で王の意を受け入れる。
ホンニムは思わず、王妃を訪ねる。
いつか買い求めた香箱を差し出した。
「大切な香箱を失くされたそうで、似たものを見つけたので買い求めました」
ホンニムは、本心を隠してそう告げる。
「深い心遣いだ」
王妃は感心したように、礼を述べる。
しかしその心の奥では、ホンニムの本心を見抜き、そして、ホンニムに対し、心は揺れていた。

そして、後継者を望む祈祷の宴の日。
王妃の胸には、ホンニムから贈られた香箱が飾られていた。
それを見たホンニムは、逸る気持ちを抑え切れなかった。
そして、王妃の侍女から王妃からの言伝を聞かされる。
「書庫に来るように」、と......
王妃はホンニムに近寄ると、まっすぐにホンニムを見つめ、そっと手を握った。
王妃の気持ちを悟ったホンニムは衝撃を受ける。
そして、二人は書庫の中で、激しく愛し合う。

それからというもの、毎晩丑の刻に、二人は書庫で愛し合った。
ある日、ホンニムは王妃から贈り物を受ける。
それは、王妃自ら刺繍した帯だという。
それは王妃の真心だった。

そんなある日、いつかの刺客たちの調査のため、約束の時間を過ぎてしまった。
書庫で寂しそうに立ち尽くす王妃。
ホンニムが急いで戻った時には、王妃の姿は既になかった。
王妃を傷つけたことを悔やむホンニム。
しかし翌日、王から思いもよらぬことを突きつけられる。
昨夜の報告をすると、「副隊長から既に報告を受けた」と。
副隊長の話だと、お前の方が先に城に戻ったそうだが、なぜ報告が今なのだと。
「お休みところを起こしてしまっては忍びないので」
と、ホンニムは言葉を濁す。
「10年も通った寝所なのに、いつから格式を持ったのだ」
王はホンニムをとがめる。
ホンニムは言葉を失う。

そしてその日は、王妃は兄と一緒に、実家に里帰りする日であった。
昨夜王妃との約束の時間を守れなかったことが悔やまれるホンニム。
ホンニムは城を抜け出し、元の王妃の実家へと向かった。
予期せぬホンニムの訪問に、王妃は動揺したものの、二人は熱く互いを求め合った。
そして、高麗へと戻ろうとするホンニムを王妃は引き止めた。
「今度いつこうして逢えるかわからない。私の酒を受けて行きなさい」
そうして、ホンニムに酒を酌み、話し出した。
元から高麗へ嫁いだ時、頼れるのは王ただ一人だけだった。
しかし王の心の中には、ホンニムのことだけしかなかった。
どれだけホンニムを憎んだことか.... と、静かに微笑んだ。
そして、「私が作ったのだが、一つ食べてみなさい」
そうして、箱を開けた。
霜花餅.....
元の女たちは、愛するものに霜花餅を渡すという風習があるという。
王妃も、いつか故郷の女たちのように、霜花餅を愛する人へ渡したかったのだと微笑む。
霜花餅を口にしたホンニムは、王妃の想いに胸が熱くなり、涙をこらえる。

一方、城では、王が一人悲しそうにうなだれていた。
ホンニムの喜ぶ顔が見たくて、王である自分よりも良い馬をホンニムに用意していたのだった。

ホンニムが城に戻ると、ホンニムの自室で王が待ち受けていた。
「一晩中、どこへ行っていた?」
王は厳しい顔つきで追及する。
動揺するホンニム。
「書庫で兵書を読んでいました」と、ホンニムは言葉を濁す。
「どの兵書だ?」
王は更に問い詰める。
「六韜です」
ホンニムの表情に緊張が走る。
王は更に追い詰める。
「六韜のどの巻に興味を持った?」
ホンニムは言葉に詰まる。
「文と豹の巻です」
ホンニムは堂々と答える。
「文と豹の巻の内容は?」
王は追及の手を緩めない。ホンニムは動揺する。
「野山で敵と会った時に使える戦術と、伏兵に関する内容です」
ホンニムは必死に答えた。
「お前が夜通し兵書を読むような人間であれば、武術を怠らなかったはず。
今から剣を持って乾竜場へ来い」
王は言い放った。王はホンニムの嘘を見抜いていたのだ。

二人は剣を持ち、本気の戦いを始める。
明らかに王の圧勝であった。
「剣は術でなく魂だと教えたはずだ」
王は言い放つ。
「夜通し兵書を読んでも無駄だ。問題は、お前の心だ」
そう言い捨て、去って行った。
ホンニムは、返す言葉もなかった。

そして、いつかの王を襲撃した刺客の正体が明らかになる。
何と、王の周りの信頼すべき役人たちの仕業だったのだ。
高麗の人間でありながら、元に肩入れしていたのだ。
「身内が自分を殺すつもりだったのか」
王は激怒し、関わった人間すべてを処刑することを宣言した。
そして、処刑の場とするために、宴が開催されることになる。
しかし、驚くべき事実が明らかになる。
王妃の実兄であるテアン公までが、うまく言いくるめられ、裏切りに加担してしまったのだ。
王は、王妃の手前、宴では殺さず、
テアン公の家へ赴き、そこで殺すことを命じる。
その任務を与えられたのは、なんとホンニムだった。
ホンニムの心は揺れる。
愛する人の兄と、その家族を自分の手で殺さねばならぬのだ。

そして、宴の日。
ホンニムは役人たちを処刑した後、テアン公の家へと向かう。
テアン公に剣を向けるホンニム。
しかし、必死に命乞いするテアン公を前にし、剣を振り下ろすことができなかった。

城へ戻ると、王妃はホンニムを責めた。
「あなたが兄を殺したの?」
王妃は怒りと悲しみを露にした。
「テアン公は生きています。今頃、元に向かっているでしょう」
ホンニムの言葉に、王妃は安堵した。
信じていたホンニムに裏切られたのではなかった。
そして、兄は生きている.....
しかし、その頃テアン公は、副隊長のサンギの手で殺されていた。
サンギは王に報告する。
ホンニムがテアン公と家族を逃がしたのを、この目で見たと。
ホンニムへの疑惑は、事実だったことを悟る王。

翌日、王はホンニムと王妃を呼び寄せる。
先送りにしていた合宮を再開するという。
動揺し、王を追及するホンニムと王妃。
「先送りにしていただけのこと。なぜ驚く」
王は涼やかに答える。
「しかし、今度の相手はサンギだ。ホンニムは結果がよくなかった」
王の言葉に、王妃は怒りをぶつける。
「そこまで私を侮辱してよいのですか!」
ホンニムも黙っていない。
「なぜ、そのようなことをおっしゃることができるのですか」
ホンニムの言葉に、王はホンニムを責めるように尋ねる。
「なぜ、このような決断を下したのか、理解できないのか?」
王のその言葉に、ホンニムも王妃も、言葉を失った。
王は全てを悟ってしまったと。

↓  そろそろネタバレ危険です。未見の方はお引き換えしを! ↓



王妃はホンニムの部屋へ忍んでやってくる。
「ここを離れましょう。お前となら、どこへでも行く。ここから連れ出して」
王妃は必死だ。
「お戻りください。ここに来たことが知れれば、命の保証はありません」
ホンニムは王妃をたしなめる。
「かまわない。怖いものなど何もない」
王妃の言葉を、ホンニムは突き放す。
「私は怖い。今後、私をもう呼ばないでください。これからは王の人として生きて生きます」、と。

ホンニムは、一人王の元を訪れる。
「殿下、私は大きな罪を犯しました。一時の欲情に目がくらみ、殿下を裏切り蔑みました。
いつか殿下に頂いた剣です。この剣で私を殺してください。死を以って許しを乞います」
そう言ってホンニムは涙を流す。
「お前は命より大事なものを壊しておいて、お前の命を奪ったとて、何の意味がある?」
王はそう言い捨て、立ち去った。
ホンニムは剣を前に、一日中呆然と池の前に佇んでいた。

そんな時、大事件が起きる。
王妃が自殺を図ったのだ。王は衝撃を受ける。
そして、ホンニムを問いただす。
「王妃とのことは、本当に一時の欲情だったのか?」
ホンニムは肯定する。
それを聞いた王は、ホンニムにここをしばらく離れるよう命じる。
そうすれば、王妃のことはキレイに忘れられるだろうと。
ホンニムは、王の命に従う。
そして、昔のような王とホンニムの穏やかな日々が戻る。

しかし、その平穏に見える日々も、思わぬ事実により壊される。
王妃が懐妊したのだ。
王妃の侍女がホンニムに伝えにきた。
どうしても王妃のことが頭から離れないホンニム。
王との寝所を抜け出し、書庫へと向かう。
そこには、王妃が待ち受けていた。
「ここを離れる方に、真実を告げるべきか迷いました」
王妃は告げる。
まだ王には話していないという王妃を、ホンニムは諭す。
「きっと、ご自分の子として迎えてくださいます。心を強くお持ちください」
そう言って、ホンニムは別れを告げる。
しかし、別れがたい二人。
ついに、体を重ねてしまう。
王が、姿を消したホンニムを探していることなど考えもせず......
そして、王はついに二人をみつける。
熱く互いを求め合う二人を、目の当たりにしてしまった王の衝撃は凄まじいものだった。

ホンニムと王妃は捕らえられる。
「二度と会わないと言ったはずだ!またもやこんな真似をするとは!」
王は声を震わせながら、ホンニムを責め立てる。
「王妃、こやつをどうすべきだ?天下の淫乱者をどうすればいい?」
王は王妃にも怒りをぶつける。
「全て私の過ちです。ホンニムに恋慕し、私が誘ったのです。私を罰してください」
王妃はホンニムを庇う。
「違います。私が恋慕の情を抑えきれずに、王妃様を誘いました。
全ての罪は私にあります。私を殺してください」
今度はホンニムが王妃を庇う。
しかし、ホンニムの言葉は、王の逆鱗に触れる。
「恋慕?恋慕と言ったのか?一時の欲情ではなかったのか?」
ホンニムは堂々と答える。
「王妃様を愛しています」
王は激怒し、恐ろしい言葉を言い放つ。
「去勢しろ!!」
王の言葉に、その場にいた全員が震え上がる。
「いけません!許してください。もう二度と会いません!許してください」
王妃は必死に王に許しを乞う。
「むしろ殺してください!殺してください!」
ホンニムは恐怖で体中が震え上がる。
剣を握ったサンギも、躊躇する。
しかし王の命には逆らえず、剣を振り落とす。
王妃は気絶し、ホンニムも声も出ないほどの痛みと衝撃を受ける。

そして、事態は更に悪化する。
王妃の懐妊が王に知れてしまったのだ。
王はサンギに命じる。
「腹の子が誰の子か、お前も知っているはずだ。この事実を知る者すべての口を封じろ」と。
そして、事実を知る者すべてが殺害された。

王は牢獄のホンニムを訪ねる。
「お前が戻ってくるのなら、全てを許そう。私の持つもの全てをお前にやってもいい。この国でさえも」
しかし、そんな王の想いも、ホンニムには届かなかった。


↓  結末ネタバレです!!ご注意を!! ↓



王妃は侍女にハンベクに渡すよう手紙を託し、逃げるように命じる。
王に先ほど呼ばれたと。
お腹の子を後継者として認めると告げられたのだと。
それがどういうことか。
事実を知る者は全て殺されるということだ。
王妃は、ホンニムを逃走させ、事実を知る侍女も逃がそうとした。
しかし、侍女は反論する。
王が子を後継者と認めたのであれば、王妃に害は及ばないはず。
それなのに、どうして自ら禍を招くようなことをするのかと。
しかし王妃は、自分の命よりも、ホンニムの命を守ろうとしたのだ。
ハンベクらホンニムの部下4名は、ホンニムを牢獄から助け出し、寺へと逃げた。
「王妃様は?」
と、王妃の身を案じるホンニムに、王妃も寺に向かっていると嘘をつき。

王は、ホンニムが脱走したと知ると、王妃を追及する。
しかし、王妃は頑として口を割らない。
「腹の子が光を見なくてもいいのか?」
王は脅しをかける。
「私を殺しなさい」という王妃に対し、
「すぐに死んでもらっては困る。腹の子は大罪人の子として育てる。それをその目で見なくては」
それでも、王妃は屈しなかった。
しかし、その代わりに、王妃の侍女が殺されてしまう。

ようやく寺まで辿りついたホンニムたち。
しかし、そこには王妃の姿はなかった。
それがハンベクたちの嘘だと知ったホンニムは、王妃を救出するために城へと戻ろうとする。
しかしハンベクは制止する。
王妃を救い出したとして、これからどう生きていくのかと。
王妃を幸せにすることができるのかと。
しかしホンニムはハンベクの制止も聞かず、一人馬を走らせる。
しかし、馬を走らせながら、ハンベクは思い悩んだ。
ハンベクの言葉が、胸に突き刺さる。
自分が王妃を救い出したところでどうなるという。
王妃は幸せになれるのだろうか。
ホンニムは、押しつぶされそうな心を抱え、寺へと戻る。
しかし、寺は荒らされた後だった。
ハンベクらの姿もない。
王の仕業に違いない!
ハンベクは、城へと向かう。
しかし手遅れだった。城壁の外に、首が5つ晒されていた。
ハンベクら、ホンニムの逃走を手助けした4人に加え、もう1人は王妃だった。
王妃の首には、ホンニムが贈った香箱が提げられていた。
衝撃を受けるホンニム。
しかし王妃は死んではいなかった。
ホンニムをおびき出すための、エサだったのだ。
王妃は王に懇願した。今すぐ首と香箱を引き上げて欲しいと。
そうしなければ、必ずホンニムはここへとやってきてしまう。
復讐のために.......
「ホンニムのことは、もう諦めてください」
王妃は王に懇願するが、王は全く聞き入れない。

王妃はサンギを呼び出した。
「ハンベクたちが殺された理由は、お前もよくわかっておるだろう?
あのことを知る者はすべて殺された。お前だけが残ったわね」
王妃の意味深な言葉に、サンギは動揺する。
「王は、お前も密かに消してしまうだろう」
王妃の言葉に、サンギは衝撃を受ける。
「今の王の狂気を、誰も止めることはできない。今夜、お前がその苦痛を止めて差し上げろ。
私は元の王女だ。慶源宮(元の王の甥)が王位に上がろうとも、お前の命だけは私が保証する」
王が死ねば、慶元宮が王位に上がる。
それは、暗に王を殺すよう命じたのであった。

サンギは、乾竜隊の者達を呼び集めた。
ことの事実を話したのだ。
ホンニムは悪くはない。そもそも、すべては王が仕掛けたことだと。
この秘密を話せば、私も消されてしまう。
だから、今まで真相を話せなかった、とサンギは語る。
そして、今夜王を殺す計画を皆に持ちかけようとしたサンギの思惑も、無駄になってしまう。
その会議の途中、ホンニムが一人、城へ乗り込んできたのだ。
会議は中断、皆、王の元へと向かう。

ホンニムは乾竜隊を次々と斬りかわし、王の元へと辿りつく。
深々と頭を下げると、「殿下の命を頂きに参りました」と、言い放つ。
「剣をお取り下さい。殿下に対する最後の礼儀です。
あそこまでする必要があったのですか。王妃様まで.... どうして....」
ホンニムは王を責める。
「愚か者」
王はそうつぶやくと、剣を取る。
「私を殺して憤りが消えるのなら、殺してみろ」
そして、二人の激しい死闘が始まる。
「私に勝てると思うのか?」
王は言い放つ。
「既に根まで断たれた身。王の剣に殺されようとも、怖くはありません」
ホンニムは王をまっすぐに見据える。
「根無しの宦官め。そんなに愛が大事なのか」と、王はホンニムの勢いに圧倒される。
(※宦官とは、王妃と間違いを起こさぬよう、性器を切り、去勢して仕える内官)
「愛を教えてくれたその恩恵に感謝致します」
ホンニムは渾身の力で、王へと向かっていく。
二人の戦いは激しく、熱く、死を覚悟した、まさに死闘だった。

そこへ騒ぎを聞きつけたサンギら乾竜隊が駆けつけるが、
「近寄るな!この戦いに割って入り込む奴は、誰であろうと許さん!」
王は乾竜隊を怒鳴りつける。
王を護衛しようとする乾竜隊を、サンギは制止する。
ここで王が死ねば、自ら手を下す必要もなくなるからだ。
更にホンニムも死ねば、目の上のたんこぶも消える。
二人は皆が見守る中、戦いを続ける。
皆が固唾を呑んで見守るほど、激しいものだった。
ホンニムは追い詰められる。
「剣を捨てて降伏しろ。命だけは助けてやる」
王はホンニムに告げる。愛する者を斬りたくない。
「既に手遅れです。早く終わらせましょう」
ホンニムは答える。
「わかった。殺してやる」
王の剣がホンニムの肩を貫く。
「お前はただの一度も、私に愛情を抱かなかったのか?」
王はホンニムの体を剣で貫いたまま、尋ねる。
「ありません。ただの一度もありません」
ホンニムは答える。
ホンニムの言葉に、王は心を打ち砕かれる。
ホンニムは自ら王の剣を自分の体にズブリズブリと貫通させながら、王に向かって行く。
そして、ホンニムの剣が王の体に突き刺さる。
崩れ落ちる王。
ホンニムは最後の力を振り絞り、乾竜隊に向かって行く。
そのホンニムに、サンギがとどめを刺す。
床に崩れ落ちたホンニムの姿を愛しそうにみつめながら、王は息絶える。
そして、息絶え絶えのホンニムの前に、騒ぎを聞きつけた王妃が駆けつける。
王妃は生きていたのだ.... ホンニムは我が目を疑う。
そして、王の本意を悟る。
ホンニムは力を振り絞り、王の方へ向き返り、涙を流す。

サンギは乾竜隊に言い放つ。
「たった今、殿下は刺客の襲撃により崩御された。そして我々は、その刺客を斬った」と。
そして、
「お前達は遺体を処理し、このことは絶対に口外するな」
サンギは皆に命じる。

END


この悲劇は、どこから始まったのか......
王が女性を愛せなかったからか...
それとも、元の支配下に置かれ、世継ぎ問題で苦しめられたからか.....
それとも、ホンニムが王への想いを愛ではないと気づいてしまったからか.....
王が見た夢のように、二人で草原を駆け、狩をするような幸せな日々は、夢のまま消えてしまった。
あの頃のように、二人の想いが一つであったら、
ホンニムが、王への想いを愛だと信じていられたら......

これが運命なのであろう。
もう、あの美しい日々が戻ってはこない。
美しい霜の花のように、消えてしまった...................





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