サイボーグでも大丈夫 I`m a cyborg, But that`s ok |
原題:サイボーグでも大丈夫 싸이보그지만 괜찮아(サイボグジマン クェンチャナ) <2006> |
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監督 | パク・チャヌク | 作品一覧 |
出演 |
チョン・ジフ ン(ピ) |
<2006>サ イボーグでも大丈夫 |
イム・スジョ ン |
<2002>ピ
アノを弾く大統領、<2003>箪
笥、<2003>アメノナカノ青空、<2005>サッ
ド・
ムービー、 |
【レビュー&ネタバレ】 |
2007年秋日本公開予定。 2006年12月韓国公開「サイボーグでも大丈夫」 ベルリン国際映画祭で、「アルフレッド・バウアー賞」を受賞。 予告編やら宣材を観ても、独特でキュート かなり期待しちゃったのです。 けど、目安にしなきゃいけなかったのは、 ○○○映画祭受賞作品、ということではなく、興行成績だわ。 この映画、動員数は60万人よ。 これって、映画の最低基準50万人をかろうじてクリアという程度。 かなり最悪な数字。 好き嫌い分かれるというよりも、ほとんどの方は不満を抱くことでしょう。 やはり、パク・チャヌクはパク・チャヌク。 あのパク・チャヌクがラブコメ?と、目を白黒させましたが、 暴力的描写がそれほどでもなく、あかるーい軽いタッチに見えますが、 ジャンルが変わっただけで、相変わらずの曖昧な自己陶酔型。 エンターテイメントからは、かなりかけ離れた映画です。 ラブコメの ' コメ ' は、' コメディー ' だということ、わかっているのかしら? 同じく自己陶酔型、国際映画祭受賞作品 キム・ギドク監督の サマリア や、 うつせみ-空蝉- の方が、まだわ かりやすく、 そして、一般的にも受け入れやすく、興味を惹かれるわよね。 曖昧で自己陶酔型でありつつも、何か伝わってくるものがあるわ。 つかみどころのない魅力に、いつのまにかハマってしまう。 この< サイボーグでも大丈夫 >という映画は、 パク・チャヌクの’究極の愛’という哲学を描いているものだけれど、 そんなの、ちっとも新鮮じゃないわよ。 相手のすべてを受け入れる...... それが、愛。 そんなの、今更言わなくとも。 まぁ、実際にそれができるか......といえば、また話は別だけれど、 映画で扱う題材としては、定番すぎよね。 それを、どうパク・チャヌク色で描くか..... 確かに、かなり独特。 けど、独創的ならいいのか??? mocaは、頭で考える映画ではなく、心で感じる映画が好きです。 よって、この映画はmoca的ゴミ映画。 かなりの独りよがりの自己陶酔。 ラストシーンも、主役二人のヌードシーンがあり ’性(セックス)’を描いているのではない、観ればわかる、とかほざいてたけど、 ↑これで何がわかるわけ? 言われなきゃ、裸だなんてことさえも気づかんわ! 映画の中では描かれていないのに、監督の頭の中だけで想定して楽しんで、 ムカつくったらありゃしないわ。 二人が愛し合っていることもちーっとも伝わってこないし、 あの濃厚なキスシーンがなければ、’恋愛感情’を抱いていることさえもわからなかったわよ。 あまりにもお粗末すぎ。 いつから互いに好意を持ち始めたのかも不明だし。 そうそう、’なぜ自分をサイボーグと思うようになったか’ これもかなり曖昧よね。 一番重要なポイントだと思ったのに、どういうこと? 結果的にみれば、それよりも..... ’相手のすべてを受け入れる... それが愛’というのがテーマだったので、 どうして自分をサイボーグと思うようになったかは、重要ではなかったわけね........ チョン・ジフン演じるイルスンも、仮面を被り、歯を磨き続ける精神分裂者なのだけれど、 その過程も、さらりと流されちゃって.... 小さい頃に母が家を出て行ったことが心の傷となったのは観てわかったけれども、 「よく磨きなさい」という母の言葉を呪文のように守るようになる...なんて、わからないじゃないかー 頼むから、自分の満足のために映画を作るのはやめてくださらない? ピ(RAIN)こと、チョン・ジフンの初主演映画。 お相手はイム・スジョン。 当初、カン・ヘジョンを想定してシナリオを書いていたようですが、 断られたそうで・・・・ イム・スジョンの方が似合う感じがしますけどね。 カン・ヘジョンだったら....... 観たくないかも。 最近、カン・ヘジョンは '情熱を感じる女優 ' を通り越して、 イラつく ' 怪奇な女優 ' になってしまったの。 < オールド・ボーイ >の頃は可愛かったのに。 パステルトーンのスタイリッシュな背景。 全体的にキュートで、コミカルなイメージが漂って、それにすっかり騙されちゃう。 冒頭で、イム・スジョンが自殺を図るのだけれど、 そのシーンさえも、コミカルでシュール。 (あれが自殺だと、気づかない人もいるのでは?) イム・スジョンの心の傷.... 葛藤の描き方もかなり独特。 サイボーグの自分の指先から、弾丸を発射する.... かなり独特で、玄人を唸らせるような映画よね。 北野作品が、一部に圧倒的に人気があるような感じと同じ。 このキュートさと、シュールさは、ティム・バートン監督に通ずるものがあるけれど、 雲泥の差ね。 脇役陣も、コミカルを通り越してイラつくわ。 イム・スジョン演じるヨングンは、’七去之悪’に悩んでいるの。 ’七去之悪’とは、チャングムくらいの時代にあった法律のようなもので、 儒教の教えで、’不幸・不妊・淫行・嫉妬・悪疾・多弁・窃盗’を<してはならない七カ条>として、 嫁に行く女性へ定められたもの。 この映画では、まったく別の七カ条を制定していて、 中でも、最も悪いのが’同情’ (以下、悪い順) ’悲しみ’、’トキメキ’、’ためらい’、’無駄な空想’、’自責’、’感謝の心’ ヨングンは、お婆ちゃんの仇を取りたいけれど、同情心が捨てられないと、 イルスンに泣きつくの。 ヨングンが制定した’七去之悪’は、人間だったら当然持つだろう徳などで、 それを<持ってはいけない=自分はサイボーグ>と思い込むということだと思いますが、 映画の中では、描かれておりません。 ヨングンにとって、祖母は実質母親で、その祖母と引き裂かれたことにより、 精神に異常をきたしたのだと思いますが、 捕らえ方はいろいろで、 ’祖母が自分をネズミだと思っていた’ということも絡むでしょうし、 救急車で運ばれていく時、祖母がラジオの部品をなめていたこともあるでしょうし、 描いていないことを追求するのは、イライラするのでやめときます。 だから、自己陶酔映画は嫌いなの。 この’七去之悪’は、パク・チャヌクの社会批判が込められていると思うわ。 この教えを守る人間がバカを見る世の中だと。 過去の映画.... 復讐三部作などでは、そこで終わっていたけれど、 この映画では、’希望’を見出すことができる終り方。 この’七去之悪’があるからこそ、人間は素晴らしい... 生きることは素晴らしい..のだと。 イム・スジョンのインタビューですが、 「撮らなかったが、監督がエンディングクレジットで見せたらどうかと言った場面がある。 二人が年を取り、お爺さん、お婆さんになり、 ヨングン は相変わらずテレビと話をし、イルスンは熱心に歯を磨く」 といった案があったらしいですが、まさにそうすべきでしたね。 あのラストも、イルスンはヨングンのすべてを受け入れ、 一緒に雷に打たれに行ってあげるわけで、 そこで、ヨングンはイルスンと同じように歯を磨くことで、 イルスンを受け入れ、認めているわけですが.... わかりにくぅ....... お爺さん、お婆さんになった二人というのは、 「保障期間は一生だ」 ということを立証することにもなるし、ぜひそうして欲しかったですね。 この「保障期間は一生だ」という言葉だけが、なぜか心にズキーンと響いたわ。 |
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