美しい夜、残酷な朝(-割愛Cut)  Three Monster 
 原題:スリーモンスター 쓰리 몬스터(スリ モンスト) <2004>

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3人のアジアを代表する監督の3本立てのオムニバス。
美しい夜、残酷な朝(英題:Three Extremes)
日本編 「box」、香港編 「dumplings」、韓国編「cut」

若手映画監督のリュ・ジ ホ(イ・ビョンホン)は誰も が羨むよう な成功を手に入れ、素晴らしい人生を満喫している。クリエイターとして確実な地位を手に入 れ、観客からも批評家からも手堅い評価と支持を受けている。富と名声、それを裏付ける才能、誰からも好かれる性格、そして愛する妻…。
ある日撮影から帰っ てくると、見知らぬ男(イム・ウォニ)が彼を迎えた。それは狂った夜の始まり────
男はリュの映画のエキストラだった。リュも、そして誰もが気にとめなかった男。何もか もに恵まれたリュに激しく嫉妬し、彼を破滅させるために現れたのだ。どこかから連れてきた少女とリュの妻ミラン(カン・ヘギョン)を人質にした男は、 リュ に恐ろしい選択を強要する。どちらを選んだとしてもリュの人生はもとには戻らない。それが男の望みだった。徐々に男の狂気が家の中を汚染していく。男が恐 ろしい告白を口にし、次第にリュの人生の暗部が暴かれていくのだった・・・

【予告編】

監督 パク・チャヌク 作品一覧

出演

イ・ビョンホ ン(李炳憲)

出演作品一覧

カン・ヘジョ ン

<2003>オー ルド・ボーイ<2004>美しい夜、 残酷な朝(割愛-Cut)、< 2005>南極日誌
<2005>恋 愛の目的、<2005>、親切なクムジャさん、 <2006>とかげの可愛い 嘘
<2005>トンマッコルへようこそ、<2007>ハーブ、<2008>うちにどうして来たの
<2009>キル・ミー、<2009>トライアングル、<2009>ガールフレンズ
イム・ウォニ(林元煕) <1999>SPY リー・チョルジン 北朝鮮から来た男、<2000>タチマワ Lee、
<2000>ダイ・バッド ~死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか~、<2000>ゴー ストタクシー
<2001>ガン&トークス、<2001>これが法だ、<2001>血も涙もない、<2002>おもしろい映 画、
<2002>ムッチマ・ファミリー、 <2003>シルミド、<2004>美しい夜、残酷な朝(韓国版-Cut)
<2004>ラブリー・ライバル、 <2005>クライング・フィスト、 <2007>死んでもハッピーエンド
<2007>M エム、<2007>食客、<2008>タチマワ Lee -悪人よ 地獄行急行列車に乗れ!

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【レビュー&ネタバレ】

↑これが日本版ポスター。韓国版と違いすぎ。
日本は本来の作品の意図を思いっきり捻じ曲げちゃってます。

イ・ビョンホンはノーギャラでこ の映画に出演したそうで・・・・・
moca的にはなんでこんな映画にそんなに出たかったの?っていう感じでございます。
ブラック・ユーモアが散りばめられたホラー映画・・・・
っていうより、スプラッターか・・・・・とmocaは思いますが・・・・・
復讐三部作に並ぶくらいエグいです・・・・・・・・
その残酷さに目をつぶって観るほど、何かがある映画ではないかとmocaは思うわ・・・・・・
パク・チャヌク監督の他の映画に比べると、リアルさに欠けると思うわ。
体中をピアノ線で張り巡らされた妻のミラン。そして、スタイリッシュで鮮やかな色彩で彩られた空間。
それらがリアルさを失わせているの。
だからこそ、この映画がより生きるように思えるわ。
これがただのリアルなスプラッターだったら・・・・・・それこそ、ただのスプラッター(笑)
ヘンな踊りだの、尻文字だの・・・尻文字を書いていたら思わずオナラが・・・・
笑える要素もあるけれど、mocaはそういう下品な笑いはキライなのよー
とにかく、頭で考える映画じゃなく、観てそのまま心で感じる映画がよいわ・・・・・・
パク・チャヌクはどの作品もエグいけど、ミランの指をミキサーにかけるシーンは目を覆うわよ・・・・・


さて、結末まで思いっきりネタバレいきます わよー


妻ミランはピアノを弾 いた状態で体中に張り巡らされたピアノ線 で固定されており、
男は5分ごとに彼女の指を切断するという。
妻を助けたければ、そ こにいる子供を殺せとジホに選択を迫る 男。
どちらを選んでも、ジホには救いがない。一転の曇りもないジホの人生に、初めて訪れる危機。
「君が思ってるほど僕は善人じゃない!」と不倫の告白をするジホだが、男は鼻で笑う。
ライバル監督をねた み、いい俳優を出演させなくした事や、
妻ミ ランが整形と 自分の服ばかりにお金を使い、ジホを愛していない事など・・・。
最初は善人であったジホが、
妻の指を一本一本と切断されて行くうちに、
どんどん内面の醜い部分を吐露していく。

「それが告白か?告白とはこういうものだ」と、男 は自分の妻を首を絞めて殺 したことを告白。
「息子も殺そうとしたが、上手くいかなかった・・・」
容赦なく指を切断していく男を見て、ジホは少女の首を絞めて殺そうと決意。
・・・しかし、少女だと思った子供はカツラをつけた少年だった。
ジホはその子が男の息子だと知り愕然とする。
男は少年にまだ息があるのを確認すると、今度は指ではなく手首を切り落とすと言う。
ミランに、「(子供 を)殺して!」と言われ、子供を殺そうとす るが殺すことができない。
とうとうミランは男を噛み殺してしまう。
しかし、それで全ては 終わらなかった。
子供は男の息子だった のだ。少年は「お前ら復讐してやる」と叫 ぶ。
ジホは、少年の許しを得る為にミランを殺してしま う。

ミランを殺すことに納得いかない方もいらっしゃるでしょうけれど、
パク・チャヌク監督の意図としては、
復 讐とい うこれから始まる悲劇から逃れるには
男の息子に復讐に対する等価交換するし かなく、
ミランの命を差し出す しかなかった、ということよ。
この辺はあまりこだわらない方がよいと思うわ。
パク・チャヌクは、自分が助かるために他人の命を奪うことを描きたかったのでしょうから。

原題はスリーモンスター。
男、ジホ、ミラン・・・この3人のことを指しているのよね。
人間、追い詰められたらモンスターの顔を見せるということ・・・・
人生に追い詰められた男は妻を殺し、息子も殺そうとし・・・そして、ジホを破滅させようとする。
ミランは自分が助かるために子供を殺すよう頼み、あげくには、男を噛み殺してしまう。
そして、ジホはパク・チャヌクの哲学を示す要。
誰からも好かれる性格・・・・いわば善人。
誰もから善人と思われていたジホの暗部を描くことで、
「善人」と、「善人に思われたい人間」は違うということを示しているのよね。
子供も殺さずに妻を助 けようと、虫のいいことを考え・・・・
自 分は善人じゃないなんて告白を始め・・・・・
ミランに対しても、「大丈夫だ、俺がなんとかするから」っ て言っておきながら、
「どうしてほしい?お前がして欲しい通りにするから」なんて、責任逃れ・・・・結局は保身に走るのよ。
ジホは善人ではなく、善人に思われたい人間・・・というだけだったということ。
ジホだけではなく、人間はみなそういうものだと、パク・チャヌクは言いたかったのでしょうね。

ミランを救うためには子供を殺せなかったのに、
男の息子の復讐から逃れるため にミランを殺してしまう・・・・
他人のためにはできないのに、自分が助かるためにはしてしまうのよ。
これが人間の本性・・・本質。
男の息子だけが例外で、父親を愛しているのよね・・・・自分を殺そうとした父親なのに。
これがパク・チャヌクの個性なんだけれど、
もっと文学的にわかりやすく描けば、何かを与える映画になったかもしれないわね。
この映画はパク・チャヌクの復讐なのかもしれないわ。
善人と思われている人、善人と思われたいと思っている人への・・・・・



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