愛の運命-暴風前夜-    Last Night  
 原題:暴風前夜 폭풍전야 (ポクプンジョニャ)<2010>

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信じた愛に裏切られた後、寃罪を被り収監生活をしているスイン(キム・ナムギ ル)は、ある日監獄で 出会ったサンビョン(チョン・ユンミン)の助けで、命懸けの脱出に成功し復讐を果たそうとする。しかし復讐の相手が目の前から消えてしまう。

世の中の終わりだと感じたスイン。そんな時、自分と似ているような彼女が度々目に映る。一人で海辺のレストランを経営するミア(ファン・ウスレ)。愛だけ が真実だと信じたが、 最後の情事が彼女に残したものは、深い傷と寂しさだけ。

心を堅く閉ざした彼女の周囲をウロウロするこの男。秘密を隠した彼の姿に、彼女も知らぬ間に心が傾いてゆく。全てが絶望だけだった彼ら。 嘘のように再び愛が始まる。
【予告編】
監督 チョ・チャンホ <2005>ピーターパンの公式、<2007>ファンタスティック自殺騒動 [飛べ ニワトリ]、<2010>暴風前夜

出演

キム・ナムギル

出演作品一覧
ファン・ウスレ <2008>ミ スにんじん、<2008>過速スキャンダ ル、<2008>ペントハウス エレファント
<2009>渇き Tirst 、<2010>暴風前夜

【スイン】
キム・ナムギル
【ミア】
ファン・ウスレ
【サンビョン】
チョン・ユンミン
【チョ氏】
ユン・ジェムン
【ミンジョン】
キム・ジョンミン

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【レビュー&ネタバレ】
2010年4月韓国公開。観客動員数は、約8万3千人。
スクリーン数自体、141館と少ないです。
最初から期待されていない映画とも思えます。
今注目のキム・ナムギル主演でこの数字だと、ちょっと期待感が薄れますね.....
mocaは公開決定時から気になって心待ちにしていましたが、
かなりガッカリです....

感性的な映画。
心に染みるような映像美。
セリフも少なく、感性に訴えてくる映画。
その空気感から、感じ取らねばならない映画ですが、その空気感が足らなすぎ。

「短くて太い愛」
というのがキャッチコピーですが、短 すぎんぞっ!!

出会ったと思ったら、次はもう1年経過。
そして、再び11ヶ月後。
二人が惹かれあう空気を感じません。
「互いの存在が気になる」ような様子はまったく伺えず。
1年経過した時に、ようやく二人の距離が近づき、何かが変わったことを感じ取れるものの、
その瞬間、11ヶ月後ですからねぇ....
そして、ようやく二人がマジックを披露したり、料理を教えたりして、
心を閉ざしていた二人が心を開いていくシーンがわずかに展開されます。
で、あることをきっかけに二人は”暴風”の前夜を過ごします。
その”暴風”が何であるかは、とりあえず伏せます。
そして一気に二人は燃え上がり、”暴風”を迎える。

mocaとしては、まーったく納得できず。
二人が心惹かれあう描写は、もっと必要でしょう。
いつ惹かれあったのかすら、わからない!
それすら伝わらないのに、この映画の悲しみが伝わるものでしょうか。
感性にすら訴えてくるものが足らないんだってば。
彼らが抱える悲しみが伝わらないのよね。
感性にも訴えてこない。説得力もない。

重要シーンは、全て予告編に凝縮されております。
ですから、予告編は興味もそそるでしょう。
しかし、あれが全てです。
全編通して観ても、予告編以上のものは特になし。
あの予告編に、ながーいおまけがついているようなもの。
万人ウケする映画ではありません。
感性的な映画が好きな人だけどうぞ。
映像も美しいです。
”美”には、とてもこだわりを感じます。

mocaとしては、「キム・ナムギルのプロモーション映像」という感じでしたね。
キム・ナムギルは文句なしによい。
まさに彼のための映画。
ファンの方は不満はないでしょう。

そして、ヒロイン役のファン・ウスレ。
映画界のブルー・チップと言われている期待のホープ。
過去の作品を観て、期待できる女優が現れたと思いました。
しかし、メローには向かないようですね。
「ミス・キャスト」「経験不足の未熟な発声」などと、かなり叩かれています。
下積みが長いのに、何を練習していたのでしょう???
いい味を持っている女優さんなので、期待はしておりますが。
彼女には独自の路線を歩んで欲しいですねぇ。
もったいないです。

こういった感性的な映画は、好き嫌いが極端に分かれると思います。
賛否両論は避けられない映画ですね。
ひどくせつなくて、涙なしに見られない人もいるでしょう。
気になった方はご覧になることをお勧めします。
好きな人にとっては、好きな映画だと思います。


↓  結末までネタバレ。ご注意を ↓


海辺で一人でレストランを営むミア。
全国をワゴン車で移動しながら、マジックショーを巡業するサンビョンとジノがやってくる。
彼らと親しくなったミアは、彼らの公演のアシスタントも務めるようになる。
そしてミアは、サンビョンに惹かれていた。
サンビョンのマジックに喜び、無邪気に笑う明るいミア。


「もっと高度な魔術はいつ教えてくれるの?」
と、ねだるミア。
「知ってしまったら、俺のことがつまらなくなるんじゃ?」
サンビョンは答える。
ミアの家へ到着するが、ミアはなかなか車を降りようとしない。
そして降りたかと思うと、運転手側の窓を開けさせ、激しく唇を奪う。
仕舞いにはドアまで開け、サンビョンの体を愛撫し始める。
とうとうサンビョンもその気になってしまい、二人はなだれこむようにミアの部屋へ向かう。
激しくサンビョンを求めるミア。
「コンドーム」
サンビョンは告げる。
それでもミアは聞く耳を持たない。
「コンドーム」
再びサンビョンは制止する。
しかしミアは少しも聞き入れようとしない。
「コンドーム!コンドーム!!!」
最後には、叫びのようなサンビョンの声だけが響き渡る。


ミアはサンビョンに食事を作ろうと、サンビョンの家を訪れる。
そこで、衝撃の事実を目撃してしまう。
抱き合うサンビョンとジノ。
二人はゲイだったのだ。(サンビョンに至ってはバイ・セクシャルですね)
ショックでサンビョンの家を飛び出すミア。
ミアを追いかけるサンビョン。
しかしミアを捜し出すことができなかった。


ミアはハンターのチョ氏の店で猟銃を買い求めていた。
尋常でないミアの様子に不安を覚えるチョ氏。


ミアは一人残っていたジノに銃口を向ける。
そこへサンビョンが帰ってくる。
「何をしてるんだ!」
サンビョンはミアの行動に愕然とする。
「誰を愛してるの!」
ミアはサンビョンに問う。
「誰を愛してるか、言えよ」
ジノもサンビョンに告げる。
何も言えないサンビョン。
サンビョンはミアの銃を奪おうとする。
その瞬間、誤って発砲され、ジノは絶命する。


ジノの亡骸にすがって嗚咽するサンビョン。
そして落ち着くと、銃を持って警察へ自首する。自分がジノを殺したと。


妻殺しの濡れ衣を着せられ無期懲役の刑を受けたスイン。
ある日スインは、エイズになると特赦を受け出所できるという話を受刑者仲間から聞かされる。


スインはエイズの受刑者サンビョンに接近する。

サンビョンは一つマジックをスインに教える。
自分自身を消す方法。
手の平で目の前を隠すサンビョン。
俺は消えた。

スインはサンビョンに自分を助けて欲しいと頼み込むが断られてしまう。
スインはどうしても刑務所を出て、自分に濡れ衣を着せたヤツへの復讐がしたかった。


ある日、病室で点滴を受けているサンビョンの点滴の針を抜き、
スインはサンビョンの血を自分に輸血する。


そして目覚めたサンビョンから、思いもよらぬ真実を聞かれる。
エイズになれば出所できるというのはただの噂で、外部の病院で治療を受けるために外出するだけだと。
ここから出る時は、死ぬ時。
サンビョンの言葉に言葉を失うスイン。
更にサンビョンは衝撃の事実を告げる。血液によるHIV感染は、余命3年以内だと。
スインは絶望する。


スインは検査入院のために外出することになる。
そこへサンビョンが近づいてくる。
脱出に力を貸す。
その代わり、「ルート」というレストランを経営しているミアという女が元気に暮らしているか報告してくれと。
サンビョンにより手錠の鍵を手に入れたスインは、手錠を外し無事脱獄に成功する。


スインは親友と共に妻の浮気相手である神父をボコボコにし、浮気したことを認めさせる。
だが一瞬の隙をつき、神父は崖から飛び降り自殺してしまう。


これで復讐する対象が消えてしまい、
同時に、自分の無実を証明できる人間も消えてしまった。
自分に残されたのは、逃亡者という生活と、エイズにより残された短い人生。
スインは途方に暮れる。


行く場所もなくなったスインは、サンビョンに頼まれたレストラン「ルート」のミアの様子を見にやってくる。
しかし、スインはただ波打ち際で海を眺めているだけだった。
今にも海へと向かっていきそうなスインを見つけ不安になるミア。
マイクを握りスインへ呼びかける。
「ここは自殺禁止区域です。自殺するのであれば、別の場所に行って下さい」と。
ミアの放送により、我に返ったスイン。
スインはミアの店を訪れる。


スインにメニューを差し出すミア。
「食事はできません。コックが辞めてしまって」
ミアの言葉を聞き、厨房に行き料理を始めるスイン。
スインは一流のコックだったのだ。
「ここにはコックが必要だ」
スインはそのままコックとして、レストラン「ルート」へ居つく。


ミアは自分の生活の拠点であるモーテルへスインを案内する。
「なぜモーテルに?」
スインは尋ねる。
「ご近所がいないから」
ミアは答える。

ミアは部屋に入ると、大量の薬を飲み干した。
生きながらえるための命の綱。
ミアはサンビョンにより、エイズに感染したのだ。


スインはミアに料理の腕前を見てもらうためにコース料理を作る。
その豪華さとおいしさに感動するミア。


モーテルを管理するミンジョンは、すぐにスインが指名手配犯だということに気づく。
「悪い人なのかな、良い人なのかな」
ミンジョンは祖母に尋ねる。
「良い人だ」
二人のおかげで、スインはモーテルに身を隠すことができた。


エイズがスインの体も、ミアの体も苦しめる。


そして、二人が出会ってから1年が経った。
ミアは誕生祝だと、ケーキを用意する。
そしてスインは告白する。
自分は脱獄者で逃亡中で、エイズに感染していると。
そしてミアは、スインがサンビョンに頼まれてここに来たということも知る。
サンビョンはどこにいるの!とミアは怒り出す。
スインから刑務所にいることを知らされたミアは、サンビョンに面会に行く。


ミアはサンビョンに告げる。
サンビョンがなぜ自分にそうしたのかという答えを探したと。
同性愛者であったサンビョンに「誰を愛しているのか!」と泣き叫んだミアの答えが何だったのか未知数だ。
私も愛していたという安堵だったのか、他の何だったのか。
サンビョンの心も未知数ではあったが同じだ。
彼女も愛したのか、単に彼女に申し訳なかったからなのか......
ミアは、何かふっきれたような気持ちになる。


店に戻ってきたミアの怒った表情を見て、スインは声をかけることもできない。
黙々と料理を作り、接客し、ゴミを台車に乗せ捨てに行くスイン。
そんなスインにミアは呼びかける。
「スイン씨(シ:さん)!大変じゃないですか?手伝いましょうか?」
ミアはスインを許した。
初めて「スイン」と名前を呼んでもらったことで、スインは驚き言葉も出ない。
自分の名前を呼んでもらったことで、自分がこの世に存在することを認識したような気持ちだ。


スインはぎこちなくガッツポーズを取る。
しかし手を離した台車が傾きゴミが散らばってしまう。
それを見たミアは笑う。
今までに見せたことのないような、屈託のない笑顔だった。


ミアが店に入ると、そこにはスインを捜しにやってきた刑事が待ち受けていた。
店内の音楽のボリュームを上げ、外にいるスインに放送で呼びかけるミア。
「逃げて。刑事がいるの」
スインは、それを聞きすぐさま逃げ出す。


スインの親友は、スインに出頭するよう勧め警察まで連れてきた。
「俺は罪をおかしたのか」
スインはボソリとつぶやく。
「よく考えればいい」
親友はそう告げ、車を発車させる。


行く場所も、生きる目的も、全て失ったスイン。
スインは死のうと、走ってきた車の前に飛び出す。
しかし皮肉なことに、車は飛び出したスインを避け横転してしまい、スインは無傷のままだった。


スインがいなくなったレストラン「ルート」
雨の中、一人モーテルへ帰ろうとするミアは、チョ氏に強姦されてしまう。

絶望したミア。
もうミアは、生き長らえるための努力をやめた。
エイズのために毎日飲み続けていた薬を、窓から投げ捨てる。
(このシーンも、とても美しい)


そして、スインが消えてから11ヵ月後。
突然スインが戻ってきた。
「休暇がとても長かったんですか?」
と、泣きそうなミア。
「ミアさんは、化粧をしない方がもっとキレイです」
スインは笑う。


料理の苦手なミアに料理を教えるスイン。
そして、自分が唯一できるマジックをスインに披露するミア。
穏やかで幸せな時間が過ぎていく。


そんなある日、チョ氏が店にやってきた。指名手配犯の手配書を持って。
「隠れる場所が必要だったのか!」
チョ氏はスインを責め、激しく投げ飛ばす。
一方、チョ氏に強姦されたことが蘇り、チョ氏への怒りが抑えられないミア。

ミアはチョ氏の店に行き、チョ氏を責める。
「私も知ってるのよ!私を強姦したことを!人間のクズ!」
チョ氏は黙ってしまう。
「あんたもエイズになればいい...」
ミアはチョ氏が許せなかった。


チョ氏の通報により、モーテルに刑事がやってくる。
刑事に気づいたミンジョンの祖母はけたたましい声をあげ、それを知らせる。
ミンジョンはすぐさまミアに電話し、その旨を知らせる。
慌ててスインを匿うミア。

刑事が部屋にやってくる。
しかしスインの姿はどこにもない。
人が隠れられる場所は、大きなマジックボックスだけだ。
刑事はマジックボックスに剣を刺す。
そして、中を開けるが誰もいない。
刑事は諦めて帰って行く。

ミアはマジックボックスの扉を逆に開ける。
すると、隠れていたスインが現れる。


ますます病状が悪化していくスイン。
スインは長らく待たせていたサンビョンへの手紙を送る。
ミアさんは元気です。
僕も元気です。
その手紙を読んだサンビョンは、安らかな笑みを浮かべる。


最後の晩餐を静かに楽しむミアとスイン。
だが食事中にスインは鼻血を出してしまう。
ミアはスインの鼻血を急いで拭ってやる。
「鼻血を拭えば、僕はまだ生き続けられそうですか?」
スインは尋ねる。
「誰が助けるといいましたか?鼻血を止めてあげるだけです」
ミアは答える。
スインの鼻血を拭いながら、今後自分もスインと同じように病魔に苦しむことがわかった。


最後の晩餐を終え、モーテルに戻った二人。
隣同士の部屋の鍵を各々開けるミアとスイン。
しかし、どこか心残りであることが隠せない二人。
ミアはスインに駆け寄り、二人はキスを交わし抱き合う。
そして、二人はSEXする。
エイズである者同士、もうこんなことは二度としないと思っていた。
激しく求め合う二人。


翌朝、ミアの表情は晴れ晴れとしていた。
「目をつぶって」
ミアはスインに告げる。
そしてスインが目を開けると、目の前には紙ふぶきが舞い、ミアの姿はどこにもなかった。


「その程度のマジックなら、俺にもできる」
そうつぶやくと、海へと向かっていくスイン。

END



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