血の涙  Blood Rain 
 原題:血の涙 혈의 누(ヒョレ ヌ) <2005>

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血の涙

19世紀、朝鮮時代末期 。製紙業を基盤に成長した小さな島、ドンファ島。

ある日、朝廷に献上する製紙が輸送船と共に燃えるという事故が起こり、事件解決のため捜査官ウォンギュ(チャ・スンウォン)一行がドンファ島へ派遣され た。

島到着一日目 火災事件の解決を急いだウォンギュ一行の前で、血なまぐさい殺人事件が起こる。 犯人が特定できない殺人事件、そして、血の雨が降ったという噂に、村の人々は7年前、一家全員が惨刑を受けたカン客主(ゲクチュ)の呪いだと考え、動揺し 始めた。 そして… 事件の解決のために冷徹に推理するウォンギュの前に、残酷な連続殺人事件が続く。

不吉な島に孤立したウォンギュ一行は、殺人犯の痕跡を探せないまま村人たちの雰囲気により窮地に追いやられる…

製紙所の主人の息子イングォン(パク・ヨンウ)は、ものものしい村の雰囲気を強圧的な態度で抑え、ウォンギュと対立する。 そこに、惨刑を受けたカン客主に恩恵を感じているというドゥホ(チソン)が現れる。その上、連続殺人事件に自分が関係していることを知ったウォンギュは、 ますます 深い混乱に陥っていくが…
【予告編】
監督 キム・デスン <2001>バ ンジージャンプ する、 <2005>血の涙、 <2006>ノートに眠った願いごと

出演

チャ・スン ウォン(車勝元)

出演作品一覧

パク・ヨンウ (朴埇佑)

<1997>オ ルガミ~罠~、<1999>シュ リ、<2000>リ メンバー・ミー 、<2001>MUSA -武士-
<2002>永遠の片想い、<2004> スーパースター☆カム・サヨン、<2005>血 の涙
<2005>ナンパの定石、 <2006>甘く、殺伐とした恋人、 <2006>私 の小さなピアニスト
<2006>静 かな世界、<2007>ビューティフ ル・サンデー、<2007>今、愛する人と 暮らしていますか?
<2008>ワンス・アポン・ア・タイム、 <2009>携帯電話、<2010>子供たち

チ・ソン(池 城) <2001>彼女 と別れる数時間前
<2002>特殊工作 員-ヒドゥン・プリンセス-北朝鮮+韓国 VS CIA、<2005>血 の涙、 <2007>宿命

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【レビュー&ネタバレ】
第13回春史羅雲奎芸術映画祭 で、 大賞となる作品賞をはじめ、
監督賞、助演男優賞、撮影賞など7部門を制覇した作品。
しかも、観客動員は227万人!
スター俳優のチケットパワーは一切なく、中身で勝負の高レベルな映画。
この映画のジャンルはミステリー。
ミステリーで227万人動員とは...... ちょっと驚き。
日本でも、八墓村などは愛されているので、驚くことでもないのかしら?
製作された映画のうち、大部分は内容が破綻している韓国映画。
それを考えると、この映画は本当にハイレベル。
綿密に練られたストーリー。
最後の最後まで、何度も驚かされる展開。
人間の身勝手さ、醜さ、人間の本質というものを、見事に描いております。
ミステリーなのに文学的。
観客も最後まで一緒に謎解きを楽しめるようなわかりやすい進行。
製作陣の独りよがりで観客を置いていってしまうような映画ばかりの中で
こんな力のある映画人がいることに驚き。
いったい監督は誰?
と思ったら、キム・デスン!
この人、人を驚かすわよねー
バンジージャンプする、 血の涙ノー トに 眠った願いごと
いづれも、まったく異なるジャンルの作品。
なのに、どんな作品を作っても溢れるばかりの才能を発揮。
バンジージャンプ するは、好きで好きでたまらない映画だし、
ノートに眠った願いごとは、地味だけれど、心に 残るよい作品。
次回作では、どんな映画を見せてくれるのでしょう。
本当に楽しみです。

この映画が、日本語DVD化されないのは、非常に残念。

主演のチャ・スンウォン。
mocaの苦手とする俳優の一人でしたが、My Son~あふれる想い~で、 株急上昇。
この映画でも、ウォンギュ役がまた見事にハマっていて、映画へ大きく貢献したように思います。

準主役級なのが、パク・ヨンウ。
パク・ヨンウはオルガミ~罠~ でのチェ・ジウの夫に始まり、
どこか'脇役専門'のようなイメージがついて回ってましたが、
最近はほとんどが主役級ですね。
この映画でもかなりせつない人物像なわけですが、それをちょっと演じきれていないのが残念。
なぜパク・ヨンウをキャスティングしたのかも理解できず。
正直、パク・ヨンウとチソンは逆であるべきだと思うのですが?
それを敢えて逆にキャスティングしたことで、その意外性がよい裏切りとなり
この映画のレベルをも上げることにつながったようには思いますが。




チソンは時代物でもかなりステキです。
はじめはチソンだと気づかず、「お、イイ男」と思ったらチソンでした。
この映画公開の約1ヶ月後、2005.6.7に入隊。

これといったスター俳優もおらず、ジャンルもミステリー。
なかなか観ようという気持ちにならないかもしれないですね。
完成度は高いけれど、万人ウケするかは難しい。
mocaとしても、ススメていいものかどうか、ビミョーなところ。
好き嫌いがかなり分かれそうです。
八墓村などをわざわざ観ようと思う方はぜひどうぞ。
それと、ミステリーですが、殺人シーンはかなり惨いです。

ストーリーですが、ミステリーなので、まずはネタバレしない程度に。

製紙業が盛んな小さな島。
その夜は、巫女による祈祷と宴が行われていた。
しかし、巫女は突然倒れると謎の言葉を口走る。
「私の体が引き裂かれた後も呑気な暮らしをしおって。
お前らの肉を引き裂き、血の雨を降らしてやる」
それは、7年前に斬刑により無念の死を遂げたカン客主の声だった。
村人たちが怯えるその時、火事が起きる。
製紙が輸送船もろとも炎上。
捜査官ウォンギュが調査のために島に派遣され、やってくるが、
そこで、体に杭が貫通する惨い殺人事件が発生する。
トッキ(ハン・ヘジン)という男が毒殺したことが判明するが、
死体に杭を刺し晒してなどいないと否定する。
まだこの事件には謎があるようだ。

火事の3日前、イ・ソシクという船員が行方不明になったことがわかる。
口数が少ないその男は、毎年この時期になると船に乗るために志願してやってきたのだと。
そんな時、2人目の殺人が起きる。
今度は、生きたまま釜茹でにされ、殺された。
トッキは、7年前のカン客主の事件について語り始める。
1日1人ずつ、家族5人が斬刑されたのだと。
その方法と、今回の殺人の方法が同じなのだ。
幼い弟は串刺しに、娘は釜茹で、母は手を縛られ壁に頭を打ちつけ、
妻は濡れた半紙を顔に被せ窒息死、
カン客主は両手足を4方向に縄で牛にくくりつけられ体を裂かれて殺された。
カン客主は、ある者の陰謀により、謀反の疑いをかけられ殺されたのだ。
今回殺された2人は、嘘の密告をした密告者だった。
ウォンギュは今回の事件はカン客主の事件の復讐だと睨む。
しかし上官であるチェ差使(チェ・ジョンウォン)はウォンギュをたしなめる。
それは危険な考えだと。
カン客主の件が何者かによる策略ならば、
それを見破れずに刑を執行した討捕使の失態を意味するからだ。

ウォンギュはカン客主の屋敷でトゥホ(チソン)に出会う。
2人目の殺人は、トゥホが管理する釜で行われた。
孤児だったトゥホはカン客主に拾われ、絵まで学んだという。
カン客主は、身分ではなく能力で判断する人だった。
人々は、トゥホはカン一家のためになら命をも投げ出す関係だと語る。

そして、今度は獄中にいたトッキが殺される。
顔に濡れた半紙を被せられ窒息死したのだ。
カン客主の妻が殺された方法だった。
村人たちはカン客主の霊の仕業だと恐れおののいた。
ウォンギュは村人たちに霊を祓う護符を与えた巫女を尋ね警告する。
人々を惑わせるなと。
心虚病という病気は、恐怖を感じて血管が詰まるのだと。
それをよく霊に憑かれたと人々は言う。
火を怖がる者は火の霊に、閉所を怖がる者は家の霊にと。
それは心の病だ、呪いではない。
呪いで終わらせるのは正しい解決方法ではないと言い放つウォンギュ。
しかし巫女は驚くような言葉を口にする。
雨が一滴も降らなかった夜、断崖の辺りで雷鳴が。
その夜以来、霊の泣き声が聞こえるのだと。

↓ かなりネタバレ します。ご注意を↓


そして、巫女の言葉通り断崖付近から遺体が発見される。
その遺体の身につけていた衣服は、行方不明になっていた船員イ・ソシクのものだった。
そして驚くことに、イ・ソシクは女であった。
しかも、7年前に殺されたカン客主の娘ソヨンだった。
代わりの死体を釜の中に放り、何者かによって命を助けられていたのだ。
そして、その命の恩人に会うために、毎年返送し島へやってきていたのだろうとウォンギュは推測した。
しかし、密告者にみつかり殺された。
この事件は、7年前のカン客主の復讐ではなく、ソヨンを殺されたことによる復讐なのだとウォンギュは睨む。
ウォンギュは残りの密告者を調べるが、何も証拠がない。
では、虚偽の密告により刑を執行した討捕使は?
ウォンギュは、そこで驚くべき事実を知ることになる。
その討捕使は他でもないウォンギュの父イ・チサン大監だった。
イ・チサン大監は、カン客主を処刑した功績で都総監になっていた。
手柄を立て、出世のためにカン客主が陥れられたことを見ぬふりしたのだ。
村人たちもカン客主がそんな人間ではないことを知りながらも
カン客主が死ねば、カン客主に借りたお金がチャラになるだろうと口をつぐんだ。
ウォンギュは父だからとはいえ、不正は見逃せないと憤る。
その不正を暴けば、若いお前の一生も台無しだとチェ差使はたしなめるが、
ウォンギュは目をつぶることができなかった。

↓ 結末ネタバレで す。ご注意を↓


打ちひしがれるウォンギュに巫女が声をかける。
「私が差し上げた護符はカン客主の霊を祓う護符です。
その護符を持つ者がおそらく密告者ではないかと」
そんな時、ウォンギュはカン客主の家の門に護符が貼ってあることに疑問を持つ。
亡くなったカン家には、今はトゥホしか住んでいない。
ウォンギュはトゥホの部屋へあがりこみ、
トゥホが大事に抱いていたカン一家の肖像画を巻紙から剥がす。
そこには、護符が貼られていた。
トゥホはカン一家を慕っていたのではない。恐れていたのだった。
最後の密告者はトゥホだった。
その頃トゥホは、犯人に捕らえられ、両手足を縄で四方に向かって縛られていた。
その縄の先には歯車が....
ギシギシと回る歯車。少しずつトゥホの体は引っ張られていく。
トゥホはカン客主の娘ソヨンが海に落ちたのを命がけで助けたが、
服を脱がせ救命しようとしていたところにカン客主が現れ、
ソヨンを強姦しようとしていたのだと疑われ、監禁され、生死をさまよったのだ。
身分が低い人間は恋をしても罪になるのか?
トゥホはその日からカン客主を恨んでいたのだった。
真の犯人は、製紙所の息子イングォンだった。
イングォンとカン客主の娘ソヨンは愛し合っていたのだった。

トゥホは間一髪のところでウォンギュに助けられる。
しかし、村人たちはカン客主の呪いを信じて疑わない。
カン客主の怒りを静めるためにトゥホを差し出さねばならないと、
トゥホを引き渡すようウォンギュたちの行く手を阻む。
「わずかな借金でカン客主を見殺しにした奴らが、
今度は他人の血で許しを請うのか!」
ウォンギュは村人たちに言い放つ。
ウォンギュはトゥホを守ろうとするが、トゥホは村人たちに襲われ刺し殺されてしまう。
その時、空から血の雨が降り注ぐ。
村人たちは狂乱し、吐血する者、自ら刃物で腹を刺す者、信じられない光景となる。

事件は終わった。
多くの悲しみを残して。

ウォンギュは袖をまくり傷を見やる。
癒えていく傷。
しかし、深くて大きな傷跡が残るであろう。
ウォンギュは、ソヨンが遠く離れているイングォンに贈ろうとした織錦図をそっと海へと流す。

END

なかなか深い作品ですね。
最後、血で染まる人々を見ていられず製紙工場の中で茫然自失となるウンンギュだけれど、
元気に黙々と働く人々の幻が見えて.....
村人たちも、ちっぽけな人間でしかないだけで.....
醜い欲の塊だったわけでもなくて......
村人たちも、カン客主も、イングォンも、ソヨンも、慎ましく汗を流しながら幸せに生きていた。
それを奪ったのは..........
ウォンギュも結局はちっぽけな人間の一人にすぎず、
けれど、良心はある。
最後そっと海へと流した織錦図。
あれはウォンギュのせめてもの良心なのか。




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