ビューティフル  Beautiful  
 原題: 美しい 아름답다(アルムダプタ)<2008>

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美しいが、幸せでないウニョン(チャ・スヨン)。どこへ行ってもついてくる男た ち の負担になる視線と、女たちの嫉妬と誤解が彼女を孤独にしている。

ある日、彼女のストーカーの1人ソンミン(キム・ミンス)から、背筋も凍るような強姦に遭い、彼から衝撃的な言葉を聞いてしまう。「あなたがとても美しい ので、そうしました」

衝撃を克服することができないウニョンは、全ての不幸は、自分が持った美しさのためだと考えるようになる。そして、その不幸を呪いながら、破滅の道を進む ようになる。

そんな彼女をせつない目で見守る一人の男ウンチョル(イ・チョニ)は、彼女の周りをウロウロし始める。



【予告編】
原作 キム・キドク(金基徳) 作品一覧
監督 チョン・ジェホン <2008>ビュー ティフル、<2011>豊山犬(プンサンゲ)

出演

チャ・スヨン

<2007>永遠の魂、<2008>ビューティフル、<2008>ここよりどこかへ、
<2008>ノーボーイズ・ノークライ(日 韓合作)、<2009>五感度 segment 2<私、ここにいます。>、
<2009>五感度 segment 3<33番目の男>、<2009>ヨ ガ教室

イ・チョニ(李天煕)

<2003>浮気な家族、<2004>氷雨、<2004>彼女を信じないでください、 <2004>オオカミの誘惑
<2005>記憶が聞こえる(短編映画)、<2005>3人3色 ラブストーリー、<2005>台風太陽~君がいた夏~、
<2006>ガチデン 堤防伝説、 <2008>ビューティフル、<2008>ハミン グ、<2009>10億

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【レビュー&ネタバレ】
2008年福岡アジア映画祭(Fukuoka Asian Film Festival)にて、グランプリを受賞。

もう1人の弟子チャン・フンの映画は映画だは、 100万人を突破し、
自身の悲夢では、オダギリ・ジョーと、イ・ナヨンという夢 だったトップスターの起用と、
2008年はキム・ギドクにとって最高に嬉しい年となったのではないでしょうか。
長かった屈辱の時も終わったと言っていいでしょうか。


この、美しい。
韓国での観客動員数は振るいませんでした。
mocaが使っている統計データですと、たったの1500人.....
まぁ、上映館が14ですから、考えられなくもありませんが、すごい数字だ...............

しかし、この映画の価値は数字では計れません。
キム・ギドク特有の度肝を抜く発想の数々、そして、悲しくせつない耽美な世界は健在。
キム・ギドクの徹底した世界観には敵わず、若干安っぽさが見えるものの、
キム・ギドクそのものでしたね。
キム・ギドクは音楽のチョイスがイマイチのような気がしますが、音楽も美しく儚い。
自分の美しさを呪う女の、悲しき破滅へのプレリュード。

うつせみサマリアのような、幻想的な悲しさはイマイチ欠けますが、
絶対の愛のような、想像を絶する展開が待っていま す。
moca的には、キム・ギドク作品の中では、ベスト3に入りますね。

チョン・ジェヒョン監督は、ニューヨークで短編映画を何本も撮っていた人。
うつせみを見て、監督の絶対的なファンになり、 弟子入りを志願。
この映画は、シナリオ形式ではなく、シノプシス形式で5~6枚程度の原案を渡されたそうです。
チョン・ジェヒョンなりに加味しつつ、ラストも変えたそう。
あのラストには絶句。言葉を失います。
キム・ギドクにはない発想ですね。
それがよかったのか、悪かったのか.......
キム・ギドクの徹底した世界観を貫く姿勢とは異なり、
より娯楽的であり、衝撃的。
幻想的な悲しき愛で終わるところを、より印象的なラストへと導いた。
あのラストはかなり衝撃的ですが、あまりにもヒロインが哀れで、笑うしかないでしょう......(失笑)
あのラストはラストでよかったですけれど、
キム・ギドク的耽美な世界を描くならば、ベッドシーンで終わるべきでしたね。
せっかくの余韻が台無し。
どちらがいいかは、人それぞれ。
mocaはどちらもよくて、選べません。

久しぶりに重量感のある映画を見た!
面白い!
発想の奇抜さも然ることながら、その洞察力の素晴らしさったら!
ですが、元々キム・ギドクの作品は独特ですから、
好き嫌いは大きく分かれることでしょう。
うつせみ 以降の作品が好きだというならば、見る価値はあると思います。
ブレスはホントにヤケっぱちとしか思えない (^-^;;

キム・ギドク作品では、独特の美しい風景が見所の一つですが、
今回は、京畿道の一山(イルサン)でした。
スタイリッシュに撮られておりますが、時々生々しい現実が垣間見れ
ちょっと幻想的な世界から外れてしまいましたね。

ヒロインには、ただいま絶好調のチャ・スヨン。
この人が絶世の美女かは、個人の主観ですので、賛否両論あるでしょう。
けれど、そこにこだわっていたら物語が進みません(^-^;;
moca好みではないので納得できませんが、すばらしい演技を披露してくれました。
彼女でなければ、この映画はありえなかったかも。
時々、目を見張るほどの美しさに言葉を失いました。

相手役には、最近目覚しい活躍を見せるイ・チョニ。
出演作は多いですが、端役ばかり。
ようやく主演級に上り詰めました。
イケメンといえばイケメン。ですが、ちょっと物足りない。
ですが、このウンチョル役には適役でした。
ウンチョルは、正義感に燃えるまっすぐ君。というわけでなく、
理想の警官であり、男であり、人間なのです。
言葉にすると、なんか安っぽいのよ。
凛々しくて勇ましく、男らしい。
女ならば、絶対にヒロインが羨ましくなることでしょう。
ですが、その先には悲劇が待っています。
あの時、愛に気づいていれば....

ですが、全てが信じられなくなってしまった人間には、どうすることもできないのです。
全てが嘘に見えるのです。
本当の愛を待ち望んでいたのに、
それが訪れた時には手遅れだったんです。

愛の定義なんて人それぞれではあり、
執着や自己愛による欲望も、「愛」とする人間もいるのです。
この映画は、「愛」と「性的欲望」がテーマの1つです。
女なら誰もが「性的欲望」は「愛ではない」と否定してしまいがちですし、
冒頭のレイプ事件は、ことさら「愛ではない」と、否定するでしょう。
しかし、ウンチョルのヒロインへの深い愛を知った時、
性欲や偏愛は、「愛」と紙一重だと納得せざるえないでしょう。
あれほどまでの愛を示せる人間がそういるわけはないですし、
何せ、あの全ての理想であるウンチョルなのですから。

果たして、悪いのは女の美しさなのか、
男の低俗な欲望なのか、
この映画を見て、答えを出せた方はいらっしゃいますか?


【キム・ウニョ ン】
絶世の美女
チャ・スヨン
【チェ・ウン チョル】
警官
イ・チョニ 
【キム刑事】
ウンチョルの上司
チェ・ミョンス
【キム・ソンミ ン】
強姦犯
キム・ミンス
【ミヨン】
ウニョンの親友
イ・ミン 
【ミノ】
ミヨンの恋人
キム・ボムジュン

今回、どーしょもないろくでなし刑事でチェ・ミョンスが出演。
嬉しいわー
13歳、スアでは、純朴で温かい青年、セブンデイズでは、冷酷な殺人犯、
そして、今回ろくでなし刑事。
何を演じても、ピタリとハマる。すばらしい!


さて、ストーリーですが......

ともかく、すれ違う男がみな振り返り、芸能人だと騒がれサインをねだられる、
そんな絶世の美女ウニョン。
誰もが羨むその美貌。
しかし、美しくてもウニョンは幸せではなかった。
親友の恋人までもが自分に言い寄り、親友までもが、自分が誘惑したのだと疑う始末。
ウニョンはいつも孤独だった。
しまいには、ストーカーの一人から強姦され処女を奪われた。

ほんと、「美しい」ということは羨ましいことでしかないはずなのに、
ウニョンを見ているとそうでもないということがわかるはず。
好きでもない男に無理矢理キスされるわ、強姦され処女を奪われるわ.....
これで「キレイなんだからいいじゃない」とは、誰も言えません.......

そんなウニョンを救ったのが、警官ウンチョル。
ウニョンがミノから無理矢理キスされているところを救い、
強姦された後も、ウニョンを見守っていた。

最初は警官としての使命感だったんでしょうね。
けれど、しだいにウニョンの美しさに見出されてしまう.........

「あなたが美しいから強姦しました」

なんて言われたら、正気でいられますか?
ウニョンも、精神に異常を来たしてしまう。
醜くなる方法、男に嫌われる方法、あらゆる方法を試すがうまくいかない。
そうするうちに、ますますウニョンの精神は壊れていく。

そんなウニョンを見守り、危険が迫ると救う正義のヒーローのようなウンチョル。
壊れていくウニョンを見ながら、どうすることもできず苦しむ。

そんな二人の行き先は、破滅しかなかった。


↓ 思いっきりネタバレです↓

見ようと思う気持ちが少しでもあるならば、これ以上は見ないでください!!
本当に、見る価値がなくなりますから!!


精神に異常を来たし、男が全て自分を強姦した男スンミンに見え出すウニョン。
スンミンは刑務所の中で、5年は出てこれないのだ。
いくら言い聞かせても、ウニョンは納得しない。

ウニョンはナイフを持ち出し、外に出る。
見知らぬ男の背後に忍び寄り、ナイフを突き立てようとした瞬間、
ウンチョルに阻止される。
ウニョンには、男がスンミンに見えるのだ。
「私、あの男を殺したいの...... 私、生きたいの.....」
そんなウニョンの叫びに、ウンチョルはある決意を固める。

ウニョンが眠る間に忍び込んだウンチョル。
全裸でウニョンの眠るベッドに横たわり、ウニョンの髪を愛おしそうに撫でる。
「ウニョンさん、愛してます....」
ウンチョルは拳銃をウニョンの手にテープで固定すると、
ウニョンの上にまたがり、ウニョンにペニスを挿入する。
ふと目覚めるウニョン。
信じられない光景に、激しく悲鳴を上げる。
自分の上にまたがる男... そう、あの男!スンミン!!
ウニョンはウンチョルをスンミンだと思い込み、銃をこめかみに押し当て引き金を引く。
血まみれで倒れるウンチョル。
ウンチョルの命を賭けた愛。

キム・ギドク監督が描いたのは、ここまでだったのではないでしょうか。
儚く悲しい、美しい愛の物語。



ウニョンは生気を失い、血まみれのまま外へ出る。
驚いて引き止めようとした警備員に向かって発砲するウニョン。
阻止しようとしたキム刑事にも発砲する。
ウニョンには、全ての男がスンミンにしか見えなくなっていた。
銃を乱射するウニョンを、キム刑事は狙撃するよう命じる。
ウニョンの胸を銃弾が貫き、ウニョンは息絶える。

ウニョンの遺体が安置される。
監察医の助手は、ウニョンのあまりの美しさについ、性欲を抱いてしまう。
ウニョンのヴァギナに舌を這わした瞬間、監察医にとがめられる。
監察医もウニョンのあまりの美しさに見出されてしまう。
助手を追い出すと、自分も........

END

このラストは、言葉を失ったわ.........
死姦までされてしまうだなんて...........
ここまできたら、ウニョンの美しさは哀れ以外の何物でもないでしょう.....




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