ノートに眠った願いごと  Traces of Love
 原題:秋ヘ 가을로(カウルロ)<2006>

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秋へ

10年前のあの日。司法試験に合格し、ついに待ちこがれた検事になったヒョヌ (ユ・ジテ)。世の中の 誰より愛す る女性ミンジュ(キム・ジス)を見知らぬアパートに招く。

バラの花一束と共に慎ましい告白。「愛してる。僕と結婚してくれる?」

1995年6月29日。結婚準備のために一緒にショッピングする約束をしたヒョヌとミンジュ。ヒョヌの職場に訪ねてきたミンジュにヒョヌは、仕事が 残っていると言い、一人で行きたくないから待つという彼女の背を押し、無理にデパートへ送る。「ミンジュ、すぐ行くから地下のカフェで待ってて。分かっ た?」

仕事を終わらせたヒョヌが急いで彼女が待つデパートの前に到着した瞬間、ヒョヌを待つミンジュがいるデパートが、すさまじい轟音 と共に彼の目の前で無惨にも崩れてしまう。

そして10年後。誰より大切だったミンジュをなくした消せない痛み。そして、彼女を死に追いやったのが自分だと いう自責感で、ヒョヌはこれまでの10年を送った。

いつも笑顔の明るい青年だったヒョヌは、もはやその笑顔をなくし、冷たく冷静な検事になってしまった。 世論と圧力に押されて休職処分を受け、喪失感に陥っていたヒョヌに一冊のダイアリーが届けられる。<ミンジュとヒョヌの新婚旅行>という文章が書かれてい るダイアリー。ミンジュが死ぬ前にヒョヌのために準備した贈り物だった。

ヒョヌはミンジュが準備した最後の贈り物であるダイアリーの地図に従い、秋 ヘ....旅行へ出発する。ミンジュがヒョヌに必ず見せてあげたかったという道通りに歩くヒョヌ。そして、彼が行く場所ごとに出会うセジン(オム・ジウォ ン)。度々会う偶然から同行するようになった彼らは、お互い誰なのかを知ることになる。

ヒョヌがミンジュが愛する彼「ヒョヌ」ということを。そしてセジン は、デパートが崩れたその時、ミンジュと同じ場所に埋まった人であったということを。このようにして、ヒョヌとミンジュの秋ヘの同行が始まる。

【予告編】
監督 キム・デスン <2001>バ ンジージャンプ する、 <2005>血の涙、 <2006>ノートに眠った願いごと

出演

ユ・ジテ(劉 智泰)

出演作品一覧
キム・ジス (金知秀) <2005>チャー ミング・ガール、< 2005>拍手するとき発て(特別出 演)、 <2006>ロマンス
<2006>愛するときに 話すこと、<2006>ノートに眠った願いごと
オム・ジウォン <2002>オー バー・ザ・レイン ボー、<2003>トンケの蒼い空、 <2004>ス カーレット・レター
<2005>映画館の恋、<2005>美しき野獣、 <2006>ノートに眠った願いごと
<2007>1942 奇談(特別出演)、<2007>スカウト、 <2008>グッド・バッド・ウィアード(特 別出演)、
<2008>知りもしないくせに、<2009>影の殺人、<2010>不良男女、<2010>フェスティバル

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【レビュー&ネタバレ】
2007年11月日本公開決定。 邦題<ノートに眠った願いごと>
この邦題は、一般から公募したのですが.......
馴染めないまま忘れそうです。

バンジージャンプをするがと ても好きなので、ちょっと期待しておりましたが、
同じ監督とは思えないほどの別世界。
まさに、文学。芸術映画。
あらすじを読むと、なんだか興味をひかれるものがあって............
1995年に起きた<三豊デパート事故>を題材にしているということで、
もっとドラマティックな内容を想像しておりました。
<三豊デパート事故>とは、デパートが崩壊するという信じられない事故。
死者は500人以上。
でも、事故についてはそれほど深くは掘り下げておりません。
本当に’旅情記’というか.........
まさに、’Traces of Love’という映画でしたわ。
心に傷を抱えたまま10年間生きてきた男女が、旅を通じ、
そして、そこでの出会いを通じて、肩の荷を降ろしたかのように、
ようやく前へと踏み出し、生きていくようになる物語。
決してドラマティックではなく、淡々と、優しく.... 美しい景色を映しながら描いていくわ。
ホ・ジノ作品などが苦手な方には勧められない映画ね。
ちなみに、動員数は70万人。

この映画には、観ている側も、観終わった時には心癒され、優しい気持ちになれる力があると思うわ。
心に傷を抱えた方、心が疲れてしまった方、そういった方には、ちょっと優しい映画かも。

ユ・ジテとオム・ジウォンは心に傷を抱えているのだけれど、
’心の傷’というものは、体に症状が現れる場合もあり、
’人格’に影響を与えてしまう場合もあり、
この二人は、それぞれ別の苦しみを抱えているわ。
ユ・ジテは笑顔が消え、冷静沈着な男となり、
オム・ジウォンは、PTSDに苦しみ、電気を消して眠れない、
閉所で発作が起きる、など、未だ引きこもりのような生活を送っている。

そういった二人の心の傷を描いているのだけれど、
mocaが一番胸に焼きついたのは、、、
オム・ジウォンが旅先で眠るシーン。
さほど重要なシーンだとは思えないのに、さりげなーく挿入されている。
電気がついたまま、疲れたように眠るオム・ジウォン。
その姿に、なぜか’心の疲れ’を感じずにはいられなくて.........
’心の疲れ’というものが、どれほど疲労感が大きいか....
こうして、ひたすら眠り続けていられたら....
疲れた時こそ、眠ることが必要....
いろいろなことを考えさせられたシーン。

そんな二人が、優しい景色に包まれながら旅をする。
韓国の名所ばかりだから、旅に興味がある方にはなかなかよいかもしれないわ。
ただ、’旅行映画’とも違いますので、各々の地名などが表示されるわけではありません。

ソスェウォン(瀟灑院)소쇄원 牛耳島の砂漠 우이도 모래언덕


プリョン(仏影)寺 불영사
メタクワイア街路樹通り 메타콰이어 가로수길



こんな感じで、美しく優しい景色と共に、時間が流れていくのです。
この旅の候補地を選ぶだけでも、3ヶ月かかったそうです。

ミンジュが残した革表紙の日記’秋へダイアリー(가을로 다이어리)’が、
15,000ウォンで発売されているようですね..(笑;)
二人の軌跡を辿るというすてきな楽しみ方もできますね。



主演は、ユ・ジテ、キム・ジス、オム・ジウォンですが........
キム・ジスの出演は、’主演’というよりも、’特別出演’っぽい雰囲気で、
出演分量もそれほどではなく、オム・ジウォンの方が実質主演のような感じがしてしまいますね。
だから、1年に3本の主演作という荒業をやってのけたのかもしれませんね。

mocaは、オム・ジウォンはどうしても’ヒロイン’というイメージで見られないの。
’西尾まり’にしか見えないの..............
チョン・ウソン、クォン・サンウなどの相手役を務めたり、
’メロークィーン’と呼ばれていることが信じられません。
ただ、この映画のセジン役にはすごくなじんでいて、自然だった。
地味でありつつも、その中に潜む美しさを感じるような......
ユ・ジテの車に乗せてもらったお礼に缶コーヒーを買って手渡すシーンの彼女は、
心が洗われるほどに美しい。

主演陣以外は、有名俳優はほとんど出演しておりません。
パク・チョルミンが、ユ・ジテと行動を共にする捜査官で友情出演しておりますが、
日本では無名同然ですね。
ひとまず走れ!で、道路料金所の職 員(一人 は高飛車で、一人はこじゃれてて...と 証言した男)
九尾狐家族の刑事役、あいつの声 のトランクの中の刑事....くらいしか記憶にありません。
この映画で唯一のとぼけたキャラクター。すごく好きです。
なによりあの笑顔。チェゴ。

そして、キム・ジスの父には......
誰が俺を狂わせるかで、 イ・ ビョンホンの上司、ドラマ<彼女は最高> で執事
チェ・ジョンウォンが出演。



内容は説明するほど深くなく、あらすじのままです。
死んだ恋人が残した贈り物に書かれた旅行記を辿って旅に出る青年の物語。
大切な人を失う痛み、しかも、自分が死なせたようなものかもしれない.....
そんな重荷を背負って10年も生きていたら、、、、、
思いがけない事故に遭った時、死に間際の人間はどんな想いなのか.....
同じ事故で多くの人が死に、助かった人間は
「自分だけが助かって....」という自責の念と、PTSDに苦しみ続け......
日本でも、様々な事故が起きておりますが、
事故に関わった方々の心情を、多少なりとも理解できるかもしれません。


ミンジュの残した贈り物を辿るうちに、心の傷も不思議と癒えているユ・ジテ。
ミンジュの恋人に出会い話をしたことで、今まで背負っていた重荷が軽くなったオム・ジウォン。
誰にも話せなかった、心を開くことができなかった....
そんな二人だけれど、旅が終わる頃には、確実に何かが変わっていた。

旅が終わる頃には、心に森が茂るでしょう.....

旅にはそんな力がある。ミンジュの最後の贈り物。
ユ・ジテは、一度は諦めた訴訟の捜査を引き受け、
オム・ジウォンは、電気をつけて眠れるようになり、働きにも出るようになった。

名前だけしか知らぬまま、ぎこちなく別れた二人。
しかし、ユ・ジテはオム・ジウォンの居所を調べ、会いに行く。
メタクワイヤ並木道を、並んで歩く二人。
忘れていた笑顔を取り戻して.....


これから、二人が恋愛関係になっていくだろうと想像させるラスト。
この世で一番互いを理解し合えるだろう二人だから、最高の組み合わせだと思いますが....
死んだミンジュのことを考えると、気の毒になってしまいます....
ユ・ジテのことを考えれば、幸せにならくちゃいけないと思うし、
ミンジュのことを考えれば、一生ミンジュだけを想って生きて欲しい、と思うわけで.....
この映画では、過去を振り切って前に歩き出すことを支援するメッセージを送っていると思いますが。

とにかく、キム・ジス演じるミンジュがとてもステキな女性なのです。
キム・ジスが演じると、更にその好感度も高まって.....
崩れたビルに閉じ込められ、死ぬ間際のミンジュが、より一層美しくステキです。
だからこそ、一人助かってしまったセジンの苦しみは一層深くなってしまったようにも思えます.....





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